説明

低損失光ファイバの製造方法及び製造装置

【解決手段】光ファイバに重水素処理を行う際に、重水素処理前の非架橋酸素欠陥(NBOHC)による630nm帯の波長の吸収ピークが重水素処理後に消失したことを確認して製品用光ファイバとする。この確認は、600nm〜1100nmの波長範囲おいて伝送損失を重水素処理中に所定時間毎あるいは随時測定したり、630nmの単一光源を入射して重水素処理中に連続的に伝送損失を測定して行う。
【効果】 光ファイバに重水素処理を行う際に、重水素処理前のNBOHCによる630nm帯の波長の吸収ピークが重水素処理後に消失したことを確認して製品用光ファイバとするので、従来の水素処理を行う必要がなく、低損失光ファイバの製品化までの工程を著しく効率化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1300nm帯の通信波長域のOH基による光の吸収が極めて少ない低損失光ファイバの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信網を利用したFTTH(Fiber To The Home)の進展に伴い様々な波長帯における伝送が要求されてくるようになった。しかしよく利用される1300nm〜1600nmの波長範囲において1380nm近傍にはOH基による吸収があり、伝送損失が増加するという問題があり、このOH基の吸収の低減のために種々の工夫がなされている。
【0003】
即ち、従来からOH基による1380nm近傍の損失増加を抑えるためにプリフォームロッドから光ファイバに紡糸後に重水素処理が行われている。重水素処理はOH基の生成につながる非架橋酸素欠陥(NBOHC;Non Bridging Oxygen Hole Center)等の構造欠陥をOD基に置換するというメカニズムを利用している。
【0004】
これは下記(1)式のようにNBOHC(Si−O・)に水素が結びつきOH基が生成されるが、このOH基が生成されるよりも前に重水素処理をすることにより下記(2)式のようにNBOHCをOD基に置換してOH基による光の吸収を低減させるものである。
2Si−O・ + H2 → 2Si−OH (1)
2Si−O・ + D2 → 2Si−OD (2)
【0005】
なお、NBOHCは630nm近傍にブロードな吸収ピークを有し、この吸収ピークの大きさは光ファイバ内のNBOHCの密度に比例すると言われている。従って、NBOHCの密度が減少するに伴い630nm近傍の吸収ピークも低減することになる。
【0006】
従来は前記重水素処理を行った後にサンプル用の光ファイバを抽出して新たに水素処理を数日間かけて行い、水素処理後の1380nm近傍の波長損失特性を測定して重水素処理による効果を確認していた。この水素処理試験方法はIEC60793−2−50 AnnexC.3.1 Hydrogen Ageing for B1.3fibers規格に規定されている。
【0007】
一方、光ファイバ内のNBOHCの密度を電子スピン共鳴(ESR;Electron Spin Resonance)法で測定し、その後前記の水素処理試験を行うことでNBOHCの密度と1380nm近傍の伝送損失を関係づける方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。ここには重水素処理を行った光ファイバ内のNBOHCの密度が小さい場合には1380nm近傍の伝送損失が抑制されることが記載されている。
【0008】
また、630nmのNBOHCによる伝送損失を測定後、前記の水素処理試験を実施することでOH基生成による1380nm近傍の伝送損失と水素処理試験前の630nm近傍の伝送損失が比例するので、NBOHCによる630nm近傍の伝送損失が2dB/km以下であればOH基による1380nm近傍の伝送損失が0.1dB/km以下に抑えられるという低OH基損失光ファイバ作製時の評価方法に関する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−114347号公報
【特許文献2】特開2003−75293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のような従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
【0010】
即ち、従来の重水素処理を行った後にサンプル用の光ファイバを抽出して新たに水素処理を数日間かけて行い、水素処理後の1380nm近傍の波長損失特性を測定して重水素処理による効果を確認する方法では、水素処理試験において分圧1〜5%の水素ガス中に光ファイバを数日間放置する必要があるが、水素ガスを用いるためにコストアップの要因になり、また時間もかかり作業効率も悪いという問題があった。この水素処理試験の時間を短縮するために分圧100%の水素ガスを用いる方法も考えられるが、それでも10数時間はかかり、また分圧100%の水素ガスは危険性もあるために注意をして取り扱わなければならないという問題もあった。
【0011】
一方、特許文献1に記載された方法では、ESR法は高度な技術と知識を有するために簡便にこの方法を行うことは難しく、また装置等も高価なため光ファイバのコストを上昇させてしまうという問題があった。
【0012】
さらに、特許文献2に記載された方法では、NBOHCによる630nm近傍の伝送損失とOH基による1380nm近傍の伝送損失との間の関係については記載されているものの、やはり水素処理試験を行うために作業の効率が悪いという問題があった。
【0013】
本発明は以上の点に着目してなされたもので、従来技術に比べて簡易な構成でかつ作業効率が良い低損失光ファイバを製造できる方法及び製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以上の点を解決するために次の構成を採用する。
【0015】
〈構成1〉
屈折率の高いコアとその周囲の前記コアよりも屈折率の低いクラッドからなるプリフォームロッドを紡糸した後重水素処理を行う光ファイバの製造方法であって、前記プリフォームロッドから光ファイバへ紡糸後重水素処理を行う際に、重水素処理前の非架橋酸素欠陥による630nm帯の波長の吸収ピークが重水素処理後に消失したことを確認して製品用光ファイバを得ることを特徴とする低損失光ファイバの製造方法。
【0016】
このような構成にすると、従来の水素処理を行う必要がなく、低損失光ファイバの製造工程を著しく効率化することができる。
【0017】
〈構成2〉
前記非架橋酸素欠陥による630nm帯の波長の吸収ピークの消失の確認は重水素処理中に前記630nm帯の波長の伝送損失を測定することを特徴とする構成1記載の低損失光ファイバの製造方法。
【0018】
このような構成にすると、重水素処理中の630nm帯の吸収ピークの変化を随時若しくは連続的に観測することができるので、重水素処理を効率よく行うことができる。
【0019】
〈構成3〉
前記630nm帯の波長の伝送損失を測定する際に前記光ファイバに曲げを加えて高次モード伝搬光を除去して行うことを特徴とする構成2記載の低損失光ファイバの製造方法。
【0020】
このような構成にすると、不要な高次モードの影響が除去されるので正確に630nm帯の吸収ピークの変化を測定することができる。
【0021】
〈構成4〉
前記630nm帯の波長の伝送損失の測定は630nmの波長を含む波長範囲の伝送損失を測定することにより行うことを特徴とする構成2または構成3記載の低損失光ファイバの製造方法。
【0022】
このような構成にすると、630nm帯の吸収はブロードなピークを形成するため、できるだけ幅広い波長範囲における測定を行うことができ、吸収ピークの変化をより正確に把握することができる。
【0023】
〈構成5〉
前記630nm帯の波長の伝送損失の測定は600nm〜1100nmの波長範囲で行うことを特徴とする構成4記載の低損失光ファイバの製造方法。
【0024】
600nm〜1100nmの波長範囲における測定は一般的に用いられる測定機器等によって可能なため、特に製造コストに影響を及ぼす等の問題がない。
【0025】
〈構成6〉
前記630nm帯の波長の伝送損失の測定は630nm帯の単一光源により行うことを特徴とする構成2または構成3記載の低損失光ファイバの製造方法。
【0026】
630nm帯の単一光源による測定では、広い波長範囲における測定に比べて機器等も簡略化できるので簡便な方法で低損失光ファイバを製品化できる。
【0027】
〈構成7〉
前記630nm帯の単一光源により行う伝送損失の測定は重水素処理中に連続して行うことを特徴とする構成6記載の低損失光ファイバの製造方法。
【0028】
連続的に伝送損失の測定を行うことはリアルタイムで重水素処理の状況を把握できるため、目的とする光ファイバの特性に応じて重水素処理時間を変えるなど効率的な重水素処理を行うことができる。
【0029】
〈構成8〉
屈折率の高いコアとその周囲の前記コアよりも屈折率の低いクラッドからなるプリフォームロッドを紡糸した光ファイバに、重水素処理を行う重水素処理槽と、上記光ファイバに対して、600nm以上1100nm以下の波長の試験光を出力する光出力装置と、上記光出力装置と上記光ファイバの間に挿入された、高次モード伝搬光除去手段と、上記光ファイバの出力を受け入れて、伝送される光信号の損失を測定する伝送損失測定装置と、この伝送損失測定装置の測定出力を監視して、重水素処理前の非架橋酸素欠陥による630nm帯の波長の吸収ピークが重水素処理後に消失したと判定してその結果を出力する判定装置を供えたことを特徴とする低損失光ファイバの製造装置。
【0030】
上記の方法を実現するための装置である。この装置で、光ファイバの効率の良い製造ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について具体例を用いて説明する。
【0032】
本発明は、プリフォームロッドを紡糸した後に重水素処理を行う際に630nm帯の波長―損失測定を行い、NBOHCによる630nm近傍の吸収ピークが重水素処理を行うことにより消失したことを確認して低損失な光ファイバを製造するものである。
【0033】
光ファイバの紡糸直後に波長―損失測定を行った場合、630nm近傍にブロードな吸収ピークが存在する場合は光ファイバ内にNBOHCが多く存在していることを示している。従って、重水素処理を行い、630nm近傍の吸収ピークが小さくなる、即ち630nm近傍の伝送損失(dB/km)が小さくなることが確認できればNBOHCが少なくなっていることを表していることになる。
【0034】
この630nm帯の波長―損失測定を行う場合には、重水素処理中に所定の時間毎にあるいは随時測定を行えばよい。またその際には光ファイバに例えば直径20mmのマンドレル等に10巻きほどの曲げを与えてLP02やLP21等の高次モードの伝搬光を除去して行うのがよい。このようにすると、不要モードが排除できるので630nm近傍の吸収ピークの消失をより正確に確認することができる。
【0035】
なお、NBOHCによる630nm近傍の吸収ピークはブロードな為、吸収ピークの変化を明確に捕らえるためには幅広い波長範囲、例えば600nm〜1100nmの範囲で波長―損失測定を行うのが好ましい。
【0036】
図1は600nm〜1100nmの範囲で波長―損失測定を行った結果を示したものである。縦軸は伝送損失(dB/km)、横軸は波長を1/波長(μm−4)で表している。この図より、波線で示す紡糸直後の重水素処理前では630nm近傍にブロードな吸収ピークが存在するが重水素処理後ではこの吸収ピークはほとんど消失していることがわかる。なお、この場合の重水素処理は約50時間かけて行った。
【0037】
次に図2は630nm近傍の吸収ピークが重水素処理中に経時的に変化していく様子を示したものである。やはり縦軸は伝送損失(dB/km)、横軸は波長を1/波長(μm−4)で表している。図2において、光ファイバの紡糸直後、即ち重水素処理前の630nm近傍の吸収ピークは重水素処理後26時間経過してもほとんど変化していないが、41時間後には急激に低下し、52時間後に完全に消失していることがわかる。このように630nm近傍の吸収ピークは一定時間経過後に急激に小さくなるという現象が見られる。
【0038】
ここで重水素処理の時間経過とともに伝送損失がどのように変化するかを図3に示す。図3において縦軸は630nmの重水素処理前の吸収ピーク(伝送損失)と重水素処理後の吸収ピークが消滅した時の伝送損失との差Δα(dB/km)を表したものであり、横軸は重水素処理の経過時間である。
【0039】
図3より、重水素処理を開始して30時間程度経過すると急激に630nm近傍の吸収ピークが小さくなることがわかる。このことは重水素処理後30時間ほど経つとNBOHCがOD基に置換されるために急激に少なくなっていることを表している。なお、630nmの重水素処理前の吸収ピーク(伝送損失)と重水素処理後の吸収ピークが消滅した時の伝送損失との差Δαが0.3dB/km程度で630nmの伝送損失変化量が0.2dB/km/10hour程度になったときに1380nmにおける伝送損失は0.005dB/km程度になるので効果的に重水素処理が行われたことがわかる。
【0040】
実際に重水素処理を行い630nm近傍の吸収ピークが消滅した光ファイバに水素分圧100%で水素処理を行い伝送損失を測定してみたところ、図4に示したように1245nmの波長では損失増加が見られるものの通信波長域である1310nm、1380nmでは全く損失増加は見られなかった。従って、重水素処理中に630nm近傍の吸収ピークの変化を確認することは通信波長域である1300nm帯の伝送損失の予想を行う上で極めて効果的であるということがわかる。なお、630nmの吸収ピークの変化時間は水素処理を行った際の1380nmの吸収ピークの増加時間とよく一致した。これはNBOHCからOH基やOD基が生成しているために630nmと1380nmにおける損失変化が同期しているためと考えられる。
【0041】
ここで、630nmの重水素処理前の吸収ピーク(伝送損失)と重水素処理後の吸収ピークが消滅した時の伝送損失との差Δαと1380nmにおける伝送損失(dB/km)との関係は実験から図5のようになる。即ち、Δαと1380nmにおける伝送損失(dB/km)の比は50:1と表せる。この実験式よりΔαから1380nmにおけるOH基生成による伝送損失を予測することが可能である。
【0042】
ところで、理論上前記Δαが0.3dB/kmの時に残留NBOHCの密度は3.4×1012(個/cm)であり、この残留NBOHCがすべてOH基になったとしても1380nmの伝送損失は0.002dB/km程度である。一方前記図5の実験式から求めたΔαとOH基生成による損失増加量の予測からは1380nmにおける伝送損失は0.006dB/km程度であり、Δαが0.3dB/km以下であれば実用上全く問題ないということができる。
【0043】
上記したように重水素処理中に630nm近傍の吸収ピークの変化を確認するために波長―損失測定を行うに当たって、測定に要する時間は1回につき数分から長くても1時間以内であり、この測定のみで1380nm近傍の伝送損失が実用上問題ないまでに低下したことを判断できるので、従来の水素処理を行う場合に比べて製品化するまでの時間を飛躍的に短縮することができる。また、測定方法も光ファイバに曲げを与えて高次モードを除去する過程もほとんど測定時間に影響を与えないので従来から行っている方法と変わりがない。従って、低損失光ファイバの製造工程を従来に比べて著しく効率化できる。
【0044】
ところで、前述した方法は630nmを含む広い波長範囲の測定を行うものであったが、簡便な方法として630nmの波長のみ、即ち630nmの単一光源を連続的に入射してその出力光から吸収ピークの変化(伝送損失の変化)を測定する方法も用いることができる。
【0045】
この方法は次のようなステップを踏んで行われる。
(1)重水素処理を行う光ファイバに波長630nmのレーザ光を入射させる。
(2)レーザ光の透過光強度を検出器から読み取る。
(3)光ファイバに重水素処理を行い、NBOHCの減少に伴いレーザ光の透過光強度が上昇していくことを確認する。
(4)NBOHCが減少するにつれてレーザ光の透過光強度の上昇幅が小さくなってくる。(5)レーザ光の透過光強度の上昇が止まったとき、例えば約0.2dB/km/10hour以下になったときに重水素処理が効果的に行われ、NBOHCは十分少なくなっており、1380nmの伝送損失が実用上問題ないまでに低下していると判断する。
なお、伝送損失を換算するには、例えばレーザ光入射直後の透過光強度を基にし、変化していく透過光強度を測定すればよい。
【0046】
上記の630nmの波長のみを観測する方法において、630nmにおける伝送損失は6.5dB/km程度になったときに重水素処理が効果的に行われたと判断してよい。この方法では光ファイバ内のNBOHC密度の変化をリアルタイムで観測することができるため、目的とする光ファイバの特性に応じて重水素処理時間を変えることが可能であるので効率的な重水素処理を行うことができる。
【0047】
図6は、本発明を実施するための装置の具体的な実施例ブロック図である。
図の装置は、光出力装置10とマンドレル12と重水素処理槽22と伝送損失測定装置28と分析装置30とプリンタ32を備えている。光出力装置10は、600nm〜1100nmの波長範囲で、出力波長を順次切り替えながら、周期的に試験光を出力する装置である。
【0048】
光出力装置10と光分配機14の間は、導入用光ファイバ16で接続されている。導入用光ファイバ16は、外径が20mm程度のマンドレル12に巻き付けられて、高次モードの伝搬光を除去された光を光分配機14に供給している。光分配機14には、測定用光ファイバ20と参照用光ファイバ18とが接続されている。測定用光ファイバ20は重水素処理槽22の中に導入されている。重水素処理槽22の中には、測定用光ファイバ20をドラム巻きして重水素処理をすることができる処理空間が設けられている。
【0049】
重水素処理槽22から引き出された測定用光ファイバ20は、測定光出力コネクタ24を介して伝送損失測定装置28に接続されている。また、光分配機14で分岐された参照光は参照用光ファイバ18を通じて伝送され、参照光出力コネクタ26を介して伝送損失測定装置28に入力する。伝送損失測定装置28は、参照用光ファイバ18の出力と測定用光ファイバ20の出力とを比較して、測定用光ファイバ20の伝送損失を測定する装置である。測定結果は、分析装置30に読み取られる。
【0050】
分析装置30は、重水素処理前の非架橋酸素欠陥による630nm帯の波長の吸収ピークが消失したのを検出すると、例えば、ディスプレイにその旨を表示して、オペレータに重水素処理槽22の動作を停止させるための通知をする。また、自動化処理により、所定のタイミングで自動的に重水素処理槽22の動作を停止させることもできる。測定結果はプリンタ32等によりハードコピー出力するようにしてもよい。この図に示す装置は、そのまま、低損失光ファイバの製造装置として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】630nm近傍の吸収ピークの変化を表す図である。
【図2】630nm近傍の吸収ピークが時間とともに変化する状況を表す図である。
【図3】Δαと重水素処理時間との関係を表す図である。
【図4】水素処理による通信波長域の伝送損失の状況を表す図である。
【図5】Δαと1380nmにおける伝送損失との関係を表す図である。
【図6】本発明を実施するための装置の具体的な実施例ブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
10 光出力装置
12 マンドレル
14 光分配機
16 導入用光ファイバ
18 参照用光ファイバ
20 測定用光ファイバ
22 重水素処理槽
24 測定光出力コネクタ
26 参照光出力コネクタ
28 伝送損失測定装置
30 分析装置
32 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率の高いコアとその周囲の前記コアよりも屈折率の低いクラッドからなるプリフォームロッドを紡糸した後重水素処理を行う光ファイバの製造方法であって、前記プリフォームロッドから光ファイバへ紡糸後重水素処理を行う際に、重水素処理前の非架橋酸素欠陥による630nm帯の波長の吸収ピークが重水素処理後に消失したことを確認して製品用光ファイバを得ることを特徴とする低損失光ファイバの製造方法。
【請求項2】
前記非架橋酸素欠陥による630nm帯の波長の吸収ピークの消失の確認は重水素処理中に前記630nm帯の波長の伝送損失を測定することを特徴とする請求項1記載の低損失光ファイバの製造方法。
【請求項3】
前記630nm帯の波長の伝送損失を測定する際に前記光ファイバに曲げを加えて高次モード伝搬光を除去して行うことを特徴とする請求項2記載の低損失光ファイバの製造方法。
【請求項4】
前記630nm帯の波長の伝送損失の測定は630nmの波長を含む波長範囲の伝送損失を測定することにより行うことを特徴とする請求項2または請求項3記載の低損失光ファイバの製造方法。
【請求項5】
前記630nm帯の波長の伝送損失の測定は600nm〜1100nmの波長範囲で行うことを特徴とする請求項4記載の低損失光ファイバの製造方法。
【請求項6】
前記630nm帯の波長の伝送損失の測定は630nm帯の単一光源により行うことを特徴とする請求項2または請求項3記載の低損失光ファイバの製造方法。
【請求項7】
前記630nm帯の単一光源により行う伝送損失の測定は重水素処理中に連続して行うことを特徴とする請求項6記載の低損失光ファイバの製造方法。
【請求項8】
屈折率の高いコアとその周囲の前記コアよりも屈折率の低いクラッドからなるプリフォームロッドを紡糸した光ファイバに、重水素処理を行う重水素処理槽と、
前記光ファイバに対して、600nm以上1100nm以下の波長の試験光を出力する光出力装置と、
前記光出力装置と前記光ファイバの間に挿入された、高次モード伝搬光除去手段と、
前記光ファイバの出力を受け入れて、伝送される光信号の損失を測定する伝送損失測定装置と、
この伝送損失測定装置の測定出力を監視して、重水素処理前の非架橋酸素欠陥による630nm帯の波長の吸収ピークが重水素処理後に消失したと判定してその結果を出力する判定装置を供えたことを特徴とする低損失光ファイバの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−84697(P2006−84697A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268524(P2004−268524)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000002255)昭和電線電纜株式会社 (71)
【Fターム(参考)】