低流体抵抗ウェアの生地とその製造方法
【課題】着用者の競技姿勢、フォーム等如何により流体の整流部や、トリップ部が形成される低流体抵抗ウェアの生地を提供する。
【解決手段】生地は、ウェアとして着用し運動や競技をすることにより、該運動や競技のフォームや身体部位の動きや姿勢によって生地裏面側14に形成されたストライプ模様等の凹状部6a,6b,6cに対して略縦方向に伸びが生じる時にのみ生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、また、該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢如何によっては生地裏面側に形成されたストライプ模様等の凹状部に対して略横方向に伸びが生じる時にのみ生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成する低流体抵抗ウェアの生地1。
【解決手段】生地は、ウェアとして着用し運動や競技をすることにより、該運動や競技のフォームや身体部位の動きや姿勢によって生地裏面側14に形成されたストライプ模様等の凹状部6a,6b,6cに対して略縦方向に伸びが生じる時にのみ生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、また、該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢如何によっては生地裏面側に形成されたストライプ模様等の凹状部に対して略横方向に伸びが生じる時にのみ生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成する低流体抵抗ウェアの生地1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低流体抵抗ウェアの生地とその製造方法に関するものである。
本発明の生地の表面側は、通常の状態にて、平滑性を有した一枚の生地であり、該一枚の生地の裏面側には生地の長手方向に沿って連続したストライプ模様などの凹状部を形成した生地である。
【0002】
而して、本発明の生地は、カッティングして縫製され、主にスキーの滑降競技用等のスポーツウェアとして用いられる生地であり、該本発明の生地は、ウェアとして着用し運動や競技をすることにより、該運動や競技のフォーム、身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様などの凹状部に対して縦方向に伸びが生じると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、また、該ウェアは着用して運動や競技をすることにより、該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様などの凹状部に対して横方向に伸びが生じると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成する低流体抵抗ウェアの生地とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
凡そ空気や水のような流体中における物体の表面には、流体が有する粘性のため該流体が付着した層が生じ、この層は物体の表面に沿って最後まで付着していることが出来ず物体の表面からある位置で必ず剥離し(剥離点位置)、結果その下流の物体の影になる部分に圧力の低い部分(低圧部)を生じさせ、この低圧部に向かって流体が流れるため、これが渦となり、結果徐々に大きくなる渦のある乱れた流れ(大きな乱流渦)が後方に発生することが広く知られている。図7a、図7bは、その理論を模式的に示すもので、Rは推力に対し逆向きの乱流渦域、I、I、I・・・は低圧部、Pは剥離点であり、また、Zは境界層であって、乱流渦の域Rとその外側に位置する層流Qとの間に生じている。
【0004】
この大きな乱流渦は、推進方向逆向きの渦となって現れるため、流体中の物体、例えば人体を後方に引っ張り、推力に逆行する力を生じさせるため、人体等の推力に対しては大きな抵抗となり、近時の例えば0.01秒を争うハイレベルなスキーの滑降競技用ウェア、スピードスケートウェア、競泳用の水着、自転車競技用ウェア等においては極めて大きな問題となっている。
【0005】
そこで前記抵抗を減少させるべく、該剥離点を積極的に後方に移動する技術は、例えば競泳用の水着の表面に積極的に突起物を設けることで、突起物の在しない場合の剥離点位置たる80度位置を110度から130度に後方移動する(図8a 及び図8b参照)、ことで低抵抗を狙う手法が競泳用水着の表面にトリップ部を設けるという理論であり、特許文献1にはこの手法の一例が開示されている。
【0006】
即ち、特許文献1は、水泳中の水の流れに対して胸部、背中部、臀部など膨張した部分で圧力が増加し、膨らみに沿って圧力が減少し、膨らみの頂上を越えると圧力が増加するが、この時、水着表面に沿っていた水の流れが剥離して膨張部の後方に逆流する渦が発生し抵抗となることに注目している。
【0007】
そして、特許文献1の水着においては、胸部、腹部、肩甲骨部、臀部の何れか一箇所または二箇所以上の部位の基材表面に、独立した複数の突起が設けられており、それらの突起が体長方向に千鳥状になるように配列された突起群を構成しているか、或いは、それら体長方向に千鳥状になるように配列された突起が体長方向に延びる間隙部によって区切られた突起群を構成しており、該突起群を構成するトリップ部により膨張部の後方に逆流する渦の発生減少させ、その結果、形状抵抗が減少し、記録の向上に寄与するものであるとされている。
【0008】
また、空気や水のような流体中における物体の流体抵抗を抑止、減少させる試みとして、図9に示すように、例えば、水着の表面に突状構造の突起列からなる整流部S1、S2を設けて、該整流部S1、S2の突起列によって後方に移動する水、または、空気を整流して推進抵抗の低減をはかる手法が知られている。
【0009】
そして、特許文献2には、前記手段を用いて、水や空気の流れを積極的にコントロールして整流させることにより水や空気のような流体中における物体の流体抵抗を抑止、減少させる試みが開示されている。
【0010】
即ち、特許文献2の流体抵抗減少衣服では、各種繊維性生地材料またはシート生地材料により縫製した水着等衣服の襟、脇及び背中の開口部の一つまたは二つ以上に隣接する水着本体の表面に離間並列した多数の微細な突条群からなる突条構造整流域を、着用競技時に流体の流れる方向に構成したもので、ドット列からなる整流部を体長方向に配設し、流体を整えて、流体抵抗を抑止、減少するもので、該技術は画期的な効果を発揮しており、その評価は高い。
【特許文献1】特許第3537933号特許公報
【特許文献2】特許第2514120号特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
然しながら、上記特許文献1にて開示された従来技術では、競泳用水着等のウェアにおいて、胸部、腹部、肩甲骨部、臀部等の部位の基材表面に、予め水の流れを予測して独立した複数の突起群を構成するトリップ部を設けるものであり、また、特許文献2にて開示された従来技術においても水着等ウェアの襟、脇及び背中の開口部に隣接する水着本体の表面に離間並列した多数の微細な突条群からなる突条構造の整流部を、予め着用競技時に流体の流れる方向を予測して構成したものである。
【0012】
従って、競技者の各人各様の身体の動きやフォームが必ずしも同一ではないことから、剥離点の移動で乱流渦を十分にコントロールすることは、理論通りには決していかないものであり、また、この点では、空気や水の流れを整流部を形成して積極的にコントロールし整流させることも同様の欠点を有するものである。
とはいえ、あらゆる状態を予め予測して、カッティング及び縫製を行いウェアとして完成させることは、現実には不可能と言える。
【0013】
また、トリップ部を形成する突起は、例えば、突起が突起高さ0.5〜2.5mm、突起群を構成する各突起間の間隔3〜10mm、突起群と突起群との間に設けられる間隙の幅10mm〜20mmといったミリ単位の大きさでは、乱流渦は期待される程小さくはならず大きな結果は得られないばかりか、該突起、または突起群は目視しても、また手触り感としても凹凸感、ザラつき感が否めず、デザイン的にもまたマイナスイメージを有していた。
そして、また、前記、整流部を形成する突状構造の突起列においても、このマイナスイメージは払拭されていなかった。
【0014】
更にまた、参考として、国際スキー連盟(FIS)のルールでは、前記競技用ウェアの生地表面側に異なる素材にて突起や突起群を設けることを現在禁止しており、特にスキーの滑降競技用等のスポーツウェアの開発においては、国際スキー連盟のルールに沿った対応が必要である、ことも述べておきたい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
斯くして、本発明の生地は、カッティングして縫製され、主にスキーの滑降競技用等のスポーツウェアとして用いられる生地であり、該本発明の生地は、ウェアとして着用し運動や競技をすることにより、該運動や競技のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様等の凹状部に対して縦方向に伸びが生じると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、また、該ウェアは着用して運動や競技をすることにより、該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様等の凹状部に対して横方向に伸びが生じると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成する低流体抵抗ウェアの生地の実現を可能にするものである。
【0016】
本発明において、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側には、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等の凹状部を形成し、該生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れ、また、該生地はウェアは前記凹状部に対して横方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れることを特徴としている。
【0017】
また、本発明において、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は、平滑性を有する生地からなり、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等の凹状部を形成し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して一枚の生地を形成し、該一枚に形成された生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地の裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れ、また、該生地は前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れることを特徴としている。
【0018】
本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれ生地の裏面側に生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等の凹状部を形成した一枚の生地、または、2ウェイの伸縮性のある素材から編まれた表生地で該表生地の表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地で該裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等の凹状部を形成した裏生地とを前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して形成した一枚の生地において、前記一枚の生地をカッティングして縫製したウェアは着用して運動をすることにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地のストライプ模様等の凹状部が縦方向に伸ばされたり、前記生地のストライプ模様等の凹状部が横方向に伸ばされることになり、前記ストライプ模様等の凹状部が縦方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、また、前記ストライプ模様等の凹状部が横方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成し、該ウェアの生地表面に形成される整流部とトリップ部は運動のフォームや身体部位の動きや姿勢により空気や水のような流体中において低流体抵抗面を任意に作り出せることを特徴としている。
【0019】
また、本発明において、前記生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成され生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等を有する凹状部は、針抜き編みにて形成されていることを特徴としている。
【0020】
また、本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地で該生地の表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地で該裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等の凹状部を形成した裏生地とを前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して形成した一枚の生地において、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側の固着はフォームラミネーションにて張り合わせ固着することを特徴としている。
【0021】
また、本発明においては、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地、或いは表生地、裏生地は2ウェイのトリコット編みまたはラッセル編みとすることを特徴としている。
【0022】
また、本発明においては、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成される凹状部は針抜き編みにて形成される凹状部となし、該凹状部の模様は生地長手方向又は幅方向に連続乃至連続的に形成し、
該連続乃至連続的に形成した模様はストライプ模様、ジグザグ形状の模様、緩いアール形状曲線の繰り返し模様、或いは、縦長状の略ダイヤ形状、楕円形状乃至菱形形状の模様などが配列され前記生地裏面側に、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、ストライプ模様等に形成されていることを特徴としている。
【0023】
また、本発明は、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側に、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、長手方向又は幅方向に沿って形成されるストライプ模様等の凹状部は針抜き編みにて形成される凹状部を有し、該ストライプ模様等の凹状部を有する生地はウェアとしてカッティングして縫製する場合に前記生地の長手方向又は幅方向に沿って形成されるストライプ模様等が該ウェア着用者の体長方向に成るように、或いはバイアス状に、又はスパイラル状になどと成るようにカッティングして縫製することを特徴としている。
【0024】
更にまた、本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は平滑性を有する生地にて製作され、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿ってストライプ等に連続した乃至連続的凹状部を針抜き編みにて製作し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側をフォームラミネーションにて張り合わせ固着して一枚の生地に製作し、該一枚の生地をカッティングして縫製したウェアは着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、また、該ウェアは着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作した低流体抵抗ウェア生地の製造方法を提供するものである。
【0025】
更には、本発明は、 2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された表生地表面側は平滑性を有する生地にて製作され、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を針抜き編みにて製作し、
前記表生地裏面側と裏生地表面側とをフォームラミネーションにて貼り合わせ固着するにあたり、該裏生地表面側に形成された前記凹状部は、該両生地面または一方生地面全体に塗布等された接着剤が押圧されることによって該凹状部内に充填される結果平滑面と化して一枚の生地に製作され、該一枚の生地をカッティングし縫製したウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動き或いは姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、或いはまた、該ウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作した低流体抵抗ウェア生地の製造方法をも提供するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、ウェアとして着用し運動や競技をすることにより、該運動や競技のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様の凹状部に対して略縦方向に伸びが生じる場合にのみ前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成する。
【0027】
また、該ウェアは着用して運動や競技をすることにより、該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様の凹状部に対して略横方向に伸びが生じる場合にのみ前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成する低流体抵抗ウェアの生地とその製造方法を具現化するものである。
かくして、本発明の低流体抵抗ウェアの生地は、従来の生地素材と比較して流体抵抗を大幅に軽減した。
【0028】
また、従来技術が競泳用水着等のウェアにおいて、胸部、腹部、肩甲骨部、臀部等の部位の基材表面に、予め水の流れを予測して独立した複数の突起群を構成するトリップ部を設けるものであり、また、他の従来技術においても水着等ウェアの襟、脇及び背中の開口部に隣接する水着本体の表面に離間並列した多数の微細な突条群からなる突条構造の整流部を、予め着用競技時に流体の流れる方向を予測して構成したものであることから、必ずしも理論通りの結果をだせなかった。
【0029】
本発明は、この点に鑑みて、伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は、平滑性を有する生地からなり、同じく伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を張り合わせして固着し一枚の生地を形成し、該一枚に形成された生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れ、また、該生地は前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れる構成とすることにより解決した。
【0030】
本発明の低流体抵抗ウェアの生地はカッティングして縫製し、例えばスキーの滑降競技用ウェアとすることにより、該ウェアの着用者の運動フォームや競技姿勢、更には競技中の身体の動きに連動して、生地の裏面側に形成されたストライプ模様等の凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を構成したり、前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を構成して乱流渦の発生による抵抗の抑止や減少を効率的にはかるもので、より各人各様の競技者の身体の動きやフォームに追従できる低流体抵抗ウェアの生地を提供することができた。
【0031】
更にまた、本発明の生地の表面側は、平滑性を有した一枚の生地であって、通常の状態にて(非着用時)、従来技術の如くウェア生地表面に突起や突起群からなるトリップ部や多数の突条群からなる整流部を有していない。
従来技術の前記突起群や突条群は目視しても、また手触り感としても凹凸感、ザラつき感が否めず、デザイン的にもまたマイナスイメージを有していたものを、本発明では、伸縮性のある素材にて編まれ生地の裏面側に生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成した一枚の生地、または、伸縮性のある素材から編まれた表生地で該表生地の表面側は平滑性を有した表生地と、同じく伸縮性のある素材にて編まれた裏生地で該裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成した裏生地とを前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を張り合わせして固着形成した一枚の生地で構成することにより解決して、デザイン的にも感触的にも抵抗感のない低流体抵抗ウェアの生地を提供することができた。
【0032】
更には、本発明の生地によれば、従来からのウェア製作としては一般的なカッティング及び縫製を殊更に変えることを基本的に必要とせずに整流乃至トリップ機能を発揮出来ることもまた顕著な効果と言える。
【0033】
而して、本発明の上述した構成は、前述したように、現在の国際スキー連盟(FIS)のルールにも合致しており、本発明の低流体抵抗ウェアの生地は、スキーの滑降競技用ウェア等の生地として適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側には生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成し、該生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れ、また、該生地はウェアは前記凹状部に対して横方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れる構成とすることを特徴とする。
【0035】
また本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は平滑性を有する生地からなり、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して一枚の生地を形成し、該一枚に形成された生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地の裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れ、また、該生地は前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れる構成とすることを特徴とする。
【0036】
また、本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれ生地の裏面側に生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成した一枚の生地、または、2ウェイの伸縮性のある素材から編まれた表生地で該表生地の表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地で該裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成した裏生地とを前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して形成した一枚の生地において、前記一枚の生地をカッティングして縫製したウェアは着用して運動をすることにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地のストライプ模様等の凹状部が縦方向に伸ばされたり、前記生地のストライプ模様等の凹状部が横方向に伸ばされることになり、前記ストライプ模様等の凹状部が縦方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、また、前記ストライプ模様等の凹状部が横方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成し、該ウェアの生地表面に形成される整流部とトリップ部は運動のフォームや身体部位の動きや姿勢により空気や水のような流体中において低流体抵抗面を任意に作り出せる構成とすることを特徴としている。
【0037】
また、本発明は、前記生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成され生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等を有する凹状部が針抜き編みにて形成されていることが好ましい。
【0038】
また、本発明は、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地で該生地の表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地で該裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成した裏生地とを前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して形成した一枚の生地において、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側の固着がフォームラミネーションにて張り合わせてなされていることが好ましい。
【0039】
また、本発明は、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地、或いは表生地、裏生地は2ウェイのトリコット編みまたはラッセル編みとすることが好ましい。
【0040】
また、本発明は、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成される凹状部を針抜き編みにて形成される凹状部となし、該凹状部の模様は生地長手方向又は幅方向に連続乃至連続的に形成し、該連続乃至連続的に形成した凹部は直線模様、ジグザグ模様、緩いアール曲線の繰り返し模様、或いは、縦長状の略ダイヤ乃至楕乃至菱形模様などとして配列され前記生地裏面側、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成されていることが好ましい。
【0041】
また、本発明は、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、長手方向又は幅方向に沿って形成されるストライプ模様等の凹状部は針抜き編みにて形成される凹状部を有し、該ストライプ模様等の凹状部を有する生地はウェアとしてカッティングして縫製する場合に前記生地の長手方向又は幅方向に沿って形成されるストライプ模様等が該ウェア着用者の体長方向に成るように、或いはバイアス状に乃至スパイラル状などに成るようにカッティングして縫製することが好ましい。
【0042】
更にまた、本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は平滑性を有する生地にて製作され、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿ってストライプ等に連続した乃至連続的凹状部を針抜き編みにて製作し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側をフォームラミネーションにて張り合わせ固着して一枚の生地に製作し、該一枚の生地をカッティングして縫製したウェアは着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、また、該ウェアは着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作することを特徴とする。
【0043】
次に、本発明の明細書中の用語等につき若干の説明乃至定義を以下に記したい。
【0044】
〔ウェア〕
本発明において、ウェアとは、空気または水のような流体中にあって、抵抗を有するスキーの滑降競技用ウェア、競泳用水着、スピードスケートウェア、自転車競技用ウェア等、充分な伸縮性を有する合成繊維素材などによりなるウェア全般を云う。
【0045】
〔伸縮性のある素材〕
合成繊維には必ずしも限られず、広く伸縮性を有する素材全般を言う。
【0046】
〔2ウェイ〕
本発明において、2ウェイとは、縦方向と横方向の双方に伸縮性のあることを云う。
【0047】
〔固着〕
本発明において、固着とは、接着、貼着、溶着、貼り合わせ等にて一体化することを云う。
【0048】
〔針抜き編み〕
本発明において、針抜き編みとは、はじめから任意の不動作針目を設け、その部分の糸がわたってできる編地を云う。
【0049】
〔フォームラミネーション〕
本発明において、フォームラミネーションとは、伸縮性を損なわないようにフォーム状の剤により接着する方法を云う。
【0050】
〔トリコット編み、ラッセル編み〕
本発明において、トリコット編みとは、シンカブロックを備え、ひげ針または複合針を用いた平形のたて編機にて編まれた生地の総称を言い、バリエーションとしてトリコットジャカード編みをも含む概念である。
またラッセル編みとは、主としてべら針を使用し、複数のおさなどを用いて変化編地を作る平形のたて編機にて編まれた生地の総称を言い、バリエーションとしてラッセルジャカード編みをも含む概念である。
【0051】
〔連続乃至連続的〕
厳密には連続してはおらず、極く一部が断続している状態をも含む概念である。
【0052】
〔凹状部〕
本発明において、凹状部は、生地裏面側に(一枚生地の場合)、あるいは裏生地裏面側だけにまたは裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に(二枚生地の場合)、形成される。
裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成される場合には、該凹状部は、表生地裏面側と裏生地表面側とを張り合わせ固着一体化するにあたって接着剤等は押圧されることで凹状部内に充填され結果として該凹状部は埋没するので裏生地表面側は実質平滑面状を呈することとなる、即ち、結果としての構成は、裏生地裏面側だけに該凹部が形成されているのと全く同様の構成となる。
【実施例1】
【0053】
本発明の実施例を、スキーの滑降競技用ウェアの低流体抵抗ウェア生地を例にして説明する。
図1aは本発明の低流体抵抗ウェア生地を説明する生地の一部拡大図で生地表面側を示す平面図、図1bは図1aのA−A断面を示す断面図、図1cは図1aの背面図であり生地裏面側を示す説明図、図2a、図2bは本発明低流体抵抗ウェア生地の動作説明図である。
【0054】
図1並びに図2において、1は一枚の低流体抵抗ウェア生地であり、2は該生地の表面側を表示している。図中上下に延びる矢符3方向が生地としての長手方向になり、該生地1がカッティングされて縫製される時には、該長手方向3がウェア着用者の体長方向になる。また、前記生地の長手方向3は生地1の縦方向として定義付けられ、図中の矢符方向4の方向が生地1の横方向と定義付けされている。
【0055】
図1bにおいて、5は生地1の裏面側を示し、該生地1の裏面側5には適宜間隔を有したストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が形成されている。 このストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・は、伸縮性のある素材を2ウェイのトリコット編みで編まれた生地1の裏面側5に、例えば、針抜き編みにて形成されているものであり、該連続したストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・は、前記生地1に対して縦方向、即ち、長手方向3方向に伸ばされると生地1の裏面側5に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が図2aに示す如く生地の表面側2にそのまま凹部7a、7b、7c、・・・として現れる。
【0056】
また、該生地1は前記凹状部6a、6b、6c・・・に対して横方向4に伸ばされると生地裏面側5に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地表面側に逆に凸部8a、8b、8c・・・として現れる。
【0057】
斯くして、本発明の実施例1においては、前記、低流体抵抗ウェア生地1を用いて、カッティングしスキーの滑降競技用ウェアとして縫製すると、該ウェアは着用して運動や競技をすることにより、その運動や競技のフォーム、並びに身体部位の動きや姿勢によって前記生地1のストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が縦方向3に伸ばされたり、前記生地のストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が横方向4に伸ばされることになり、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が縦方向3に伸ばされた場合には生地裏面側5に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地1の表面側2にそのまま凹部7a、7b、7c、・・・として現れて、該凹部7a、7b、7c、・・・が流体抵抗を抑止、減少させる整流部を形成する。
【0058】
また、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が横方向4に伸ばされた場合には生地裏面側5に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地表面側2に逆に凸部8a、8b、8c・・・として現れて、該凸部8a、8b、8c・・・が流体の剥離点を移動せて乱流渦の発生を抑えトリップ部を形成したり、あるいは整流部を形成したりする。
従って、本発明の低流体抵抗ウェア生地1によりカッティングまた縫製されたウェアの生地表面2は該生地表面2に形成される凹部7a、7b、7c、・・・からなる整流部と、凸部8a、8b、8c・・・からなるトリップ部又は整流部が運動フォームや競技姿勢、そして競技中の身体部位の動きや姿勢により空気や水のような流体中において低流体抵抗面を任意に作り出すことができる。
【0059】
また、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・幅Wや、深さD、凹状部6a、6b、6c・・・のピッチPは任意に変えて低流体抵抗ウェア生地1を編むことができるので、生地表面2に形成される凹部7a、7b、7c、・・・や凸部8a、8b、8c・・・の形状も予め設定した幅や高さに成るように製作することが可能である。
【実施例2】
【0060】
図3並びに図4は実施例2の低流体抵抗ウェア生地を説明するもので、図3aは表生地の生地表面側を示す平面図、図3bは図3aのA−A断面を示す断面図、図3cは図3aの背面図であり裏生地の生地裏面側を示す説明図、図4a、図4bは本発明の実施例2における、低流体抵抗ウェア生地の動作説明図である。
【0061】
図3、並びに図4において、1は低流体抵抗ウェア生地であり、該低流体抵抗ウェア生地1は、表生地9と、裏生地10から形成されており、それぞれ、表生地9の生地表面側11と生地裏面側12並びに、裏生地10の生地表側面13と生地裏面側14を有している。
また、図中上下に延びる矢符3方向が生地の長手方向になり、該低流体抵抗ウェア生地1がカッティングされ縫製される時には、該長手方向3がウェア着用者の体長方向になる。
【0062】
また、前記生地1の長手方向3は生地1の縦方向として定義付けられ、図中の矢符4の方向が生地1の横方向と定義付けされている。
【0063】
而して、前記実施例1は、非常にシンプルな一枚の伸縮性のある素材にて編まれた低流体抵抗ウェア生地1の例によって説明した。然しなががら、本発明をより効果的に実施しようとすると、常にウェアの表面を構成する表生地9の生地表面側11は平滑性を有する生地からできていることが好ましい。
【0064】
従って、実施例2では、2ウェイの伸縮性のある素材にてトリコット編みにて編まれた表生地9の生地表面側11は平滑性を有する生地からなり、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にてトリコット編みにて編まれた裏生地10の生地裏面側14には裏生地10の長手方向に沿って連続したストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・を形成し、前記表生地9の生地裏面側12と裏生地10の生地表面側13をフォームラミネーションにて張り合わせして固着し、一枚の低流体抵抗ウェア生地1を形成し、該一枚に形成された生地1は前記凹状部6a、6b、6c・・・に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側14に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が表生地9の生地表面側11にそのまま凹部7a、7b、7c、・・・として図4aの如く現れ、また、該表生地9は前記凹状部6a、6b、6c・・・に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側14に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地表面側11に逆に凸部8a、8b、8c・・・として図4bの如く現れる。
【0065】
斯くして、実施例2は、前記構成の低流体抵抗ウェア生地1を用いて、カッティングしスキーの滑降競技用ウェアとして縫製すれば、該ウェアは着用して運動や競技をすることにより、その運動や競技のフォーム、並びに身体部位の動きや姿勢によって前記生地1のストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が縦方向3に伸ばされたり、前記生地のストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が横方向4に伸ばされることになり、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が縦方向3に伸ばされた場合には生地裏面側14に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地表面側11にそのまま凹部7a、7b、7c、・・・として現れて、該凹部7a、7b、7c、・・・が流体抵抗を抑止、減少させる整流部を形成する。
【0066】
また、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が横方向4に伸ばされた場合には生地裏面側14に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地表面側11に逆に凸部8a、8b、8c・・・として現れて、該凸部8a、8b、8c・・・が流体の剥離点を移動さて乱流渦の発生を抑えトリップ部を形成したり、整流部を形成したりする。従って、本発明の低流体抵抗ウェア生地1により縫製されたウェアの生地表面側11は、該生地表面側11に形成される凹部7a、7b、7c、・・・からなる整流部と、凸部8a、8b、8c・・・からなるトリップ部又は整流部は運動フォームや競技姿勢、そして競技中の身体部位の動きや姿勢により空気や水のような流体中において低流体抵抗面を任意に作り出すことができる。
【0067】
また、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・幅Wや、深さD、凹状部6a、6b、6c・・・のピッチPは任意に変えて低流体抵抗ウェア生地1を編むことができるので、生地表面11に形成される凹部7a、7b、7c、・・・や凸部8a、8b、8c・・・の形状も予め設定した幅や高さに成るように製作することが可能である。
【0068】
そして、本発明にあっては、前記伸縮性のある素材にて編まれた生地9の生地裏側面12、または、裏生地10の生地裏面側14に形成されるストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・は針抜き編みにて形成される凹状部6a、6b、6c・・・となし、該凹状部6a、6b、6c・・・の溝模様は生地長手方向3に連続乃至連続的に形成し、該連続乃至連続的に形成した模様はストライプ模様、ジグザグ形状の模様、緩いアール形状曲線の繰り返し模様、或いは、縦長状の略ダイヤ形状、楕円形状乃至菱形形状の模様が配列され前記生地裏面側、または、裏生地の裏面側にストライプ模様等に形成されている。
【0069】
而して、図6は、本発明の生地をスキーの滑降競技用ウェアに利用して風洞実験をおこなっている作用説明図を示しており、該図6に於いて競技者は風洞内にて滑降フォームを実施し、該滑降フォームでは、競技者の丸めた背中部分でストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・を縦方向に伸長せしめウェア表面に凹部7a、7b、7c、・・・を形成して、整流部15を作り出しており、また上腕部は筋肉の膨張により凹状部6a、6b、6c・・・に対して横方向の伸長が生じて、凸部8a、8b、8c・・・を形成して、該凸部がトリップ部16を作り出している。
【0070】
次には、第三の実施例を示すが、基本的には上記第2実施例と同様であるので、説明は異なる点のみに止どめたい。
図5は、本実施例の工程段階を示す説明図であり、符号は第2実施例と同様である。
【0071】
本実施例に於いては、裏生地10にはその裏面側14のみならず、表面側13にもまた凹状部6a,6b,6c・・・が形成されている。
表生地9の裏面側12と裏生地10の表面側13とには、全面にわたって接着剤ADが塗布されており、張り合わせ固着時に両生地9,10が押圧されることにより、該接着剤ADは前記凹状部6a,6b,6c・・・に充填され該凹状部6a,6b,6c・・・は埋没することになる。
【0072】
その結果、最終的構成としては、該表面側13の凹状部は予め凹状部が形成されていなかったと同様に、実質平坦乃至平滑面の状態、即ち、第2実施例と全く同様の構成を有する結果を呈していることになる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
斯くして、本発明は、伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は平滑性を有する生地にて製作され、同じく伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿ってストライプ等に連続した凹状部を針抜き編み等にて製作し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側をフォームラミネーションにて張り合わせして固着等して一枚の生地に製作し、該一枚の生地をカッティングし縫製したウェアは着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、また、該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によっては前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作されるものであり、スキーの滑降競技用ウェア、スピードスケートウェア、競泳用の水着、自転車競技用ウェア等に幅広く応用できるのであって、産業上の利用の可能性は頗る大きく、且つ将来への利用範囲の拡大も容易に予測される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例1を説明する正面図、断面図、背面図である。
【図2】本発明の実施例1の動作説明図である。
【図3】本発明の実施例2を説明する正面図、断面図、背面図である。
【図4】本発明の実施例2の動作説明図である。
【図5】本発明の実施例3の工程説明図である。
【図6】本発明の作用を示す説明図である。
【図7】乱流渦のメカニズムを示す模式図である。
【図8】剥離点の状態を説明する模式図である。
【図9】水着に設けられた整流部説明図である。
【符号の説明】
【0075】
1 低流体抵抗ウェア生地
2 生地表面側
3 長手方向
4 横方向
5 生地裏面側
6a、6b、6c・・・凹状部
7a、7b、7c、・・・凹部
8a、8b、8c・・・凸部
9 表生地
10 裏生地
11 生地表面側
12 生地裏面側
13 生地表面側
14 生地裏面側
15 整流部
16 トリップ部
AD 接着剤
I 低圧部
P 剥離点
Q 層流
R 乱流渦の域
S1、S2 整流部
Z 境界層
【技術分野】
【0001】
本発明は低流体抵抗ウェアの生地とその製造方法に関するものである。
本発明の生地の表面側は、通常の状態にて、平滑性を有した一枚の生地であり、該一枚の生地の裏面側には生地の長手方向に沿って連続したストライプ模様などの凹状部を形成した生地である。
【0002】
而して、本発明の生地は、カッティングして縫製され、主にスキーの滑降競技用等のスポーツウェアとして用いられる生地であり、該本発明の生地は、ウェアとして着用し運動や競技をすることにより、該運動や競技のフォーム、身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様などの凹状部に対して縦方向に伸びが生じると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、また、該ウェアは着用して運動や競技をすることにより、該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様などの凹状部に対して横方向に伸びが生じると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成する低流体抵抗ウェアの生地とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
凡そ空気や水のような流体中における物体の表面には、流体が有する粘性のため該流体が付着した層が生じ、この層は物体の表面に沿って最後まで付着していることが出来ず物体の表面からある位置で必ず剥離し(剥離点位置)、結果その下流の物体の影になる部分に圧力の低い部分(低圧部)を生じさせ、この低圧部に向かって流体が流れるため、これが渦となり、結果徐々に大きくなる渦のある乱れた流れ(大きな乱流渦)が後方に発生することが広く知られている。図7a、図7bは、その理論を模式的に示すもので、Rは推力に対し逆向きの乱流渦域、I、I、I・・・は低圧部、Pは剥離点であり、また、Zは境界層であって、乱流渦の域Rとその外側に位置する層流Qとの間に生じている。
【0004】
この大きな乱流渦は、推進方向逆向きの渦となって現れるため、流体中の物体、例えば人体を後方に引っ張り、推力に逆行する力を生じさせるため、人体等の推力に対しては大きな抵抗となり、近時の例えば0.01秒を争うハイレベルなスキーの滑降競技用ウェア、スピードスケートウェア、競泳用の水着、自転車競技用ウェア等においては極めて大きな問題となっている。
【0005】
そこで前記抵抗を減少させるべく、該剥離点を積極的に後方に移動する技術は、例えば競泳用の水着の表面に積極的に突起物を設けることで、突起物の在しない場合の剥離点位置たる80度位置を110度から130度に後方移動する(図8a 及び図8b参照)、ことで低抵抗を狙う手法が競泳用水着の表面にトリップ部を設けるという理論であり、特許文献1にはこの手法の一例が開示されている。
【0006】
即ち、特許文献1は、水泳中の水の流れに対して胸部、背中部、臀部など膨張した部分で圧力が増加し、膨らみに沿って圧力が減少し、膨らみの頂上を越えると圧力が増加するが、この時、水着表面に沿っていた水の流れが剥離して膨張部の後方に逆流する渦が発生し抵抗となることに注目している。
【0007】
そして、特許文献1の水着においては、胸部、腹部、肩甲骨部、臀部の何れか一箇所または二箇所以上の部位の基材表面に、独立した複数の突起が設けられており、それらの突起が体長方向に千鳥状になるように配列された突起群を構成しているか、或いは、それら体長方向に千鳥状になるように配列された突起が体長方向に延びる間隙部によって区切られた突起群を構成しており、該突起群を構成するトリップ部により膨張部の後方に逆流する渦の発生減少させ、その結果、形状抵抗が減少し、記録の向上に寄与するものであるとされている。
【0008】
また、空気や水のような流体中における物体の流体抵抗を抑止、減少させる試みとして、図9に示すように、例えば、水着の表面に突状構造の突起列からなる整流部S1、S2を設けて、該整流部S1、S2の突起列によって後方に移動する水、または、空気を整流して推進抵抗の低減をはかる手法が知られている。
【0009】
そして、特許文献2には、前記手段を用いて、水や空気の流れを積極的にコントロールして整流させることにより水や空気のような流体中における物体の流体抵抗を抑止、減少させる試みが開示されている。
【0010】
即ち、特許文献2の流体抵抗減少衣服では、各種繊維性生地材料またはシート生地材料により縫製した水着等衣服の襟、脇及び背中の開口部の一つまたは二つ以上に隣接する水着本体の表面に離間並列した多数の微細な突条群からなる突条構造整流域を、着用競技時に流体の流れる方向に構成したもので、ドット列からなる整流部を体長方向に配設し、流体を整えて、流体抵抗を抑止、減少するもので、該技術は画期的な効果を発揮しており、その評価は高い。
【特許文献1】特許第3537933号特許公報
【特許文献2】特許第2514120号特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
然しながら、上記特許文献1にて開示された従来技術では、競泳用水着等のウェアにおいて、胸部、腹部、肩甲骨部、臀部等の部位の基材表面に、予め水の流れを予測して独立した複数の突起群を構成するトリップ部を設けるものであり、また、特許文献2にて開示された従来技術においても水着等ウェアの襟、脇及び背中の開口部に隣接する水着本体の表面に離間並列した多数の微細な突条群からなる突条構造の整流部を、予め着用競技時に流体の流れる方向を予測して構成したものである。
【0012】
従って、競技者の各人各様の身体の動きやフォームが必ずしも同一ではないことから、剥離点の移動で乱流渦を十分にコントロールすることは、理論通りには決していかないものであり、また、この点では、空気や水の流れを整流部を形成して積極的にコントロールし整流させることも同様の欠点を有するものである。
とはいえ、あらゆる状態を予め予測して、カッティング及び縫製を行いウェアとして完成させることは、現実には不可能と言える。
【0013】
また、トリップ部を形成する突起は、例えば、突起が突起高さ0.5〜2.5mm、突起群を構成する各突起間の間隔3〜10mm、突起群と突起群との間に設けられる間隙の幅10mm〜20mmといったミリ単位の大きさでは、乱流渦は期待される程小さくはならず大きな結果は得られないばかりか、該突起、または突起群は目視しても、また手触り感としても凹凸感、ザラつき感が否めず、デザイン的にもまたマイナスイメージを有していた。
そして、また、前記、整流部を形成する突状構造の突起列においても、このマイナスイメージは払拭されていなかった。
【0014】
更にまた、参考として、国際スキー連盟(FIS)のルールでは、前記競技用ウェアの生地表面側に異なる素材にて突起や突起群を設けることを現在禁止しており、特にスキーの滑降競技用等のスポーツウェアの開発においては、国際スキー連盟のルールに沿った対応が必要である、ことも述べておきたい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
斯くして、本発明の生地は、カッティングして縫製され、主にスキーの滑降競技用等のスポーツウェアとして用いられる生地であり、該本発明の生地は、ウェアとして着用し運動や競技をすることにより、該運動や競技のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様等の凹状部に対して縦方向に伸びが生じると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、また、該ウェアは着用して運動や競技をすることにより、該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様等の凹状部に対して横方向に伸びが生じると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成する低流体抵抗ウェアの生地の実現を可能にするものである。
【0016】
本発明において、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側には、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等の凹状部を形成し、該生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れ、また、該生地はウェアは前記凹状部に対して横方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れることを特徴としている。
【0017】
また、本発明において、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は、平滑性を有する生地からなり、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等の凹状部を形成し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して一枚の生地を形成し、該一枚に形成された生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地の裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れ、また、該生地は前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れることを特徴としている。
【0018】
本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれ生地の裏面側に生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等の凹状部を形成した一枚の生地、または、2ウェイの伸縮性のある素材から編まれた表生地で該表生地の表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地で該裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等の凹状部を形成した裏生地とを前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して形成した一枚の生地において、前記一枚の生地をカッティングして縫製したウェアは着用して運動をすることにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地のストライプ模様等の凹状部が縦方向に伸ばされたり、前記生地のストライプ模様等の凹状部が横方向に伸ばされることになり、前記ストライプ模様等の凹状部が縦方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、また、前記ストライプ模様等の凹状部が横方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成し、該ウェアの生地表面に形成される整流部とトリップ部は運動のフォームや身体部位の動きや姿勢により空気や水のような流体中において低流体抵抗面を任意に作り出せることを特徴としている。
【0019】
また、本発明において、前記生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成され生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等を有する凹状部は、針抜き編みにて形成されていることを特徴としている。
【0020】
また、本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地で該生地の表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地で該裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等の凹状部を形成した裏生地とを前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して形成した一枚の生地において、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側の固着はフォームラミネーションにて張り合わせ固着することを特徴としている。
【0021】
また、本発明においては、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地、或いは表生地、裏生地は2ウェイのトリコット編みまたはラッセル編みとすることを特徴としている。
【0022】
また、本発明においては、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成される凹状部は針抜き編みにて形成される凹状部となし、該凹状部の模様は生地長手方向又は幅方向に連続乃至連続的に形成し、
該連続乃至連続的に形成した模様はストライプ模様、ジグザグ形状の模様、緩いアール形状曲線の繰り返し模様、或いは、縦長状の略ダイヤ形状、楕円形状乃至菱形形状の模様などが配列され前記生地裏面側に、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、ストライプ模様等に形成されていることを特徴としている。
【0023】
また、本発明は、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側に、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、長手方向又は幅方向に沿って形成されるストライプ模様等の凹状部は針抜き編みにて形成される凹状部を有し、該ストライプ模様等の凹状部を有する生地はウェアとしてカッティングして縫製する場合に前記生地の長手方向又は幅方向に沿って形成されるストライプ模様等が該ウェア着用者の体長方向に成るように、或いはバイアス状に、又はスパイラル状になどと成るようにカッティングして縫製することを特徴としている。
【0024】
更にまた、本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は平滑性を有する生地にて製作され、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿ってストライプ等に連続した乃至連続的凹状部を針抜き編みにて製作し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側をフォームラミネーションにて張り合わせ固着して一枚の生地に製作し、該一枚の生地をカッティングして縫製したウェアは着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、また、該ウェアは着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作した低流体抵抗ウェア生地の製造方法を提供するものである。
【0025】
更には、本発明は、 2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された表生地表面側は平滑性を有する生地にて製作され、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を針抜き編みにて製作し、
前記表生地裏面側と裏生地表面側とをフォームラミネーションにて貼り合わせ固着するにあたり、該裏生地表面側に形成された前記凹状部は、該両生地面または一方生地面全体に塗布等された接着剤が押圧されることによって該凹状部内に充填される結果平滑面と化して一枚の生地に製作され、該一枚の生地をカッティングし縫製したウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動き或いは姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、或いはまた、該ウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作した低流体抵抗ウェア生地の製造方法をも提供するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、ウェアとして着用し運動や競技をすることにより、該運動や競技のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様の凹状部に対して略縦方向に伸びが生じる場合にのみ前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成する。
【0027】
また、該ウェアは着用して運動や競技をすることにより、該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地裏面側に形成されたストライプ模様の凹状部に対して略横方向に伸びが生じる場合にのみ前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成する低流体抵抗ウェアの生地とその製造方法を具現化するものである。
かくして、本発明の低流体抵抗ウェアの生地は、従来の生地素材と比較して流体抵抗を大幅に軽減した。
【0028】
また、従来技術が競泳用水着等のウェアにおいて、胸部、腹部、肩甲骨部、臀部等の部位の基材表面に、予め水の流れを予測して独立した複数の突起群を構成するトリップ部を設けるものであり、また、他の従来技術においても水着等ウェアの襟、脇及び背中の開口部に隣接する水着本体の表面に離間並列した多数の微細な突条群からなる突条構造の整流部を、予め着用競技時に流体の流れる方向を予測して構成したものであることから、必ずしも理論通りの結果をだせなかった。
【0029】
本発明は、この点に鑑みて、伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は、平滑性を有する生地からなり、同じく伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を張り合わせして固着し一枚の生地を形成し、該一枚に形成された生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れ、また、該生地は前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れる構成とすることにより解決した。
【0030】
本発明の低流体抵抗ウェアの生地はカッティングして縫製し、例えばスキーの滑降競技用ウェアとすることにより、該ウェアの着用者の運動フォームや競技姿勢、更には競技中の身体の動きに連動して、生地の裏面側に形成されたストライプ模様等の凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を構成したり、前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を構成して乱流渦の発生による抵抗の抑止や減少を効率的にはかるもので、より各人各様の競技者の身体の動きやフォームに追従できる低流体抵抗ウェアの生地を提供することができた。
【0031】
更にまた、本発明の生地の表面側は、平滑性を有した一枚の生地であって、通常の状態にて(非着用時)、従来技術の如くウェア生地表面に突起や突起群からなるトリップ部や多数の突条群からなる整流部を有していない。
従来技術の前記突起群や突条群は目視しても、また手触り感としても凹凸感、ザラつき感が否めず、デザイン的にもまたマイナスイメージを有していたものを、本発明では、伸縮性のある素材にて編まれ生地の裏面側に生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成した一枚の生地、または、伸縮性のある素材から編まれた表生地で該表生地の表面側は平滑性を有した表生地と、同じく伸縮性のある素材にて編まれた裏生地で該裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成した裏生地とを前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を張り合わせして固着形成した一枚の生地で構成することにより解決して、デザイン的にも感触的にも抵抗感のない低流体抵抗ウェアの生地を提供することができた。
【0032】
更には、本発明の生地によれば、従来からのウェア製作としては一般的なカッティング及び縫製を殊更に変えることを基本的に必要とせずに整流乃至トリップ機能を発揮出来ることもまた顕著な効果と言える。
【0033】
而して、本発明の上述した構成は、前述したように、現在の国際スキー連盟(FIS)のルールにも合致しており、本発明の低流体抵抗ウェアの生地は、スキーの滑降競技用ウェア等の生地として適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側には生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成し、該生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れ、また、該生地はウェアは前記凹状部に対して横方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れる構成とすることを特徴とする。
【0035】
また本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は平滑性を有する生地からなり、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して一枚の生地を形成し、該一枚に形成された生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地の裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れ、また、該生地は前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れる構成とすることを特徴とする。
【0036】
また、本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれ生地の裏面側に生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成した一枚の生地、または、2ウェイの伸縮性のある素材から編まれた表生地で該表生地の表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地で該裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成した裏生地とを前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して形成した一枚の生地において、前記一枚の生地をカッティングして縫製したウェアは着用して運動をすることにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記生地のストライプ模様等の凹状部が縦方向に伸ばされたり、前記生地のストライプ模様等の凹状部が横方向に伸ばされることになり、前記ストライプ模様等の凹状部が縦方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、また、前記ストライプ模様等の凹状部が横方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成し、該ウェアの生地表面に形成される整流部とトリップ部は運動のフォームや身体部位の動きや姿勢により空気や水のような流体中において低流体抵抗面を任意に作り出せる構成とすることを特徴としている。
【0037】
また、本発明は、前記生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成され生地の長手方向又は幅方向に沿って連続したストライプ模様等を有する凹状部が針抜き編みにて形成されていることが好ましい。
【0038】
また、本発明は、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地で該生地の表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地で該裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続した乃至連続的ストライプ模様等の凹状部を形成した裏生地とを前記表生地の裏面側と裏生地の表面側を固着して形成した一枚の生地において、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側の固着がフォームラミネーションにて張り合わせてなされていることが好ましい。
【0039】
また、本発明は、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地、或いは表生地、裏生地は2ウェイのトリコット編みまたはラッセル編みとすることが好ましい。
【0040】
また、本発明は、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成される凹状部を針抜き編みにて形成される凹状部となし、該凹状部の模様は生地長手方向又は幅方向に連続乃至連続的に形成し、該連続乃至連続的に形成した凹部は直線模様、ジグザグ模様、緩いアール曲線の繰り返し模様、或いは、縦長状の略ダイヤ乃至楕乃至菱形模様などとして配列され前記生地裏面側、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成されていることが好ましい。
【0041】
また、本発明は、前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた生地の裏面側、または、裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、長手方向又は幅方向に沿って形成されるストライプ模様等の凹状部は針抜き編みにて形成される凹状部を有し、該ストライプ模様等の凹状部を有する生地はウェアとしてカッティングして縫製する場合に前記生地の長手方向又は幅方向に沿って形成されるストライプ模様等が該ウェア着用者の体長方向に成るように、或いはバイアス状に乃至スパイラル状などに成るようにカッティングして縫製することが好ましい。
【0042】
更にまた、本発明は、2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は平滑性を有する生地にて製作され、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿ってストライプ等に連続した乃至連続的凹状部を針抜き編みにて製作し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側をフォームラミネーションにて張り合わせ固着して一枚の生地に製作し、該一枚の生地をカッティングして縫製したウェアは着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、また、該ウェアは着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作することを特徴とする。
【0043】
次に、本発明の明細書中の用語等につき若干の説明乃至定義を以下に記したい。
【0044】
〔ウェア〕
本発明において、ウェアとは、空気または水のような流体中にあって、抵抗を有するスキーの滑降競技用ウェア、競泳用水着、スピードスケートウェア、自転車競技用ウェア等、充分な伸縮性を有する合成繊維素材などによりなるウェア全般を云う。
【0045】
〔伸縮性のある素材〕
合成繊維には必ずしも限られず、広く伸縮性を有する素材全般を言う。
【0046】
〔2ウェイ〕
本発明において、2ウェイとは、縦方向と横方向の双方に伸縮性のあることを云う。
【0047】
〔固着〕
本発明において、固着とは、接着、貼着、溶着、貼り合わせ等にて一体化することを云う。
【0048】
〔針抜き編み〕
本発明において、針抜き編みとは、はじめから任意の不動作針目を設け、その部分の糸がわたってできる編地を云う。
【0049】
〔フォームラミネーション〕
本発明において、フォームラミネーションとは、伸縮性を損なわないようにフォーム状の剤により接着する方法を云う。
【0050】
〔トリコット編み、ラッセル編み〕
本発明において、トリコット編みとは、シンカブロックを備え、ひげ針または複合針を用いた平形のたて編機にて編まれた生地の総称を言い、バリエーションとしてトリコットジャカード編みをも含む概念である。
またラッセル編みとは、主としてべら針を使用し、複数のおさなどを用いて変化編地を作る平形のたて編機にて編まれた生地の総称を言い、バリエーションとしてラッセルジャカード編みをも含む概念である。
【0051】
〔連続乃至連続的〕
厳密には連続してはおらず、極く一部が断続している状態をも含む概念である。
【0052】
〔凹状部〕
本発明において、凹状部は、生地裏面側に(一枚生地の場合)、あるいは裏生地裏面側だけにまたは裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に(二枚生地の場合)、形成される。
裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に形成される場合には、該凹状部は、表生地裏面側と裏生地表面側とを張り合わせ固着一体化するにあたって接着剤等は押圧されることで凹状部内に充填され結果として該凹状部は埋没するので裏生地表面側は実質平滑面状を呈することとなる、即ち、結果としての構成は、裏生地裏面側だけに該凹部が形成されているのと全く同様の構成となる。
【実施例1】
【0053】
本発明の実施例を、スキーの滑降競技用ウェアの低流体抵抗ウェア生地を例にして説明する。
図1aは本発明の低流体抵抗ウェア生地を説明する生地の一部拡大図で生地表面側を示す平面図、図1bは図1aのA−A断面を示す断面図、図1cは図1aの背面図であり生地裏面側を示す説明図、図2a、図2bは本発明低流体抵抗ウェア生地の動作説明図である。
【0054】
図1並びに図2において、1は一枚の低流体抵抗ウェア生地であり、2は該生地の表面側を表示している。図中上下に延びる矢符3方向が生地としての長手方向になり、該生地1がカッティングされて縫製される時には、該長手方向3がウェア着用者の体長方向になる。また、前記生地の長手方向3は生地1の縦方向として定義付けられ、図中の矢符方向4の方向が生地1の横方向と定義付けされている。
【0055】
図1bにおいて、5は生地1の裏面側を示し、該生地1の裏面側5には適宜間隔を有したストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が形成されている。 このストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・は、伸縮性のある素材を2ウェイのトリコット編みで編まれた生地1の裏面側5に、例えば、針抜き編みにて形成されているものであり、該連続したストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・は、前記生地1に対して縦方向、即ち、長手方向3方向に伸ばされると生地1の裏面側5に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が図2aに示す如く生地の表面側2にそのまま凹部7a、7b、7c、・・・として現れる。
【0056】
また、該生地1は前記凹状部6a、6b、6c・・・に対して横方向4に伸ばされると生地裏面側5に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地表面側に逆に凸部8a、8b、8c・・・として現れる。
【0057】
斯くして、本発明の実施例1においては、前記、低流体抵抗ウェア生地1を用いて、カッティングしスキーの滑降競技用ウェアとして縫製すると、該ウェアは着用して運動や競技をすることにより、その運動や競技のフォーム、並びに身体部位の動きや姿勢によって前記生地1のストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が縦方向3に伸ばされたり、前記生地のストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が横方向4に伸ばされることになり、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が縦方向3に伸ばされた場合には生地裏面側5に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地1の表面側2にそのまま凹部7a、7b、7c、・・・として現れて、該凹部7a、7b、7c、・・・が流体抵抗を抑止、減少させる整流部を形成する。
【0058】
また、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が横方向4に伸ばされた場合には生地裏面側5に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地表面側2に逆に凸部8a、8b、8c・・・として現れて、該凸部8a、8b、8c・・・が流体の剥離点を移動せて乱流渦の発生を抑えトリップ部を形成したり、あるいは整流部を形成したりする。
従って、本発明の低流体抵抗ウェア生地1によりカッティングまた縫製されたウェアの生地表面2は該生地表面2に形成される凹部7a、7b、7c、・・・からなる整流部と、凸部8a、8b、8c・・・からなるトリップ部又は整流部が運動フォームや競技姿勢、そして競技中の身体部位の動きや姿勢により空気や水のような流体中において低流体抵抗面を任意に作り出すことができる。
【0059】
また、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・幅Wや、深さD、凹状部6a、6b、6c・・・のピッチPは任意に変えて低流体抵抗ウェア生地1を編むことができるので、生地表面2に形成される凹部7a、7b、7c、・・・や凸部8a、8b、8c・・・の形状も予め設定した幅や高さに成るように製作することが可能である。
【実施例2】
【0060】
図3並びに図4は実施例2の低流体抵抗ウェア生地を説明するもので、図3aは表生地の生地表面側を示す平面図、図3bは図3aのA−A断面を示す断面図、図3cは図3aの背面図であり裏生地の生地裏面側を示す説明図、図4a、図4bは本発明の実施例2における、低流体抵抗ウェア生地の動作説明図である。
【0061】
図3、並びに図4において、1は低流体抵抗ウェア生地であり、該低流体抵抗ウェア生地1は、表生地9と、裏生地10から形成されており、それぞれ、表生地9の生地表面側11と生地裏面側12並びに、裏生地10の生地表側面13と生地裏面側14を有している。
また、図中上下に延びる矢符3方向が生地の長手方向になり、該低流体抵抗ウェア生地1がカッティングされ縫製される時には、該長手方向3がウェア着用者の体長方向になる。
【0062】
また、前記生地1の長手方向3は生地1の縦方向として定義付けられ、図中の矢符4の方向が生地1の横方向と定義付けされている。
【0063】
而して、前記実施例1は、非常にシンプルな一枚の伸縮性のある素材にて編まれた低流体抵抗ウェア生地1の例によって説明した。然しなががら、本発明をより効果的に実施しようとすると、常にウェアの表面を構成する表生地9の生地表面側11は平滑性を有する生地からできていることが好ましい。
【0064】
従って、実施例2では、2ウェイの伸縮性のある素材にてトリコット編みにて編まれた表生地9の生地表面側11は平滑性を有する生地からなり、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にてトリコット編みにて編まれた裏生地10の生地裏面側14には裏生地10の長手方向に沿って連続したストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・を形成し、前記表生地9の生地裏面側12と裏生地10の生地表面側13をフォームラミネーションにて張り合わせして固着し、一枚の低流体抵抗ウェア生地1を形成し、該一枚に形成された生地1は前記凹状部6a、6b、6c・・・に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側14に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が表生地9の生地表面側11にそのまま凹部7a、7b、7c、・・・として図4aの如く現れ、また、該表生地9は前記凹状部6a、6b、6c・・・に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側14に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地表面側11に逆に凸部8a、8b、8c・・・として図4bの如く現れる。
【0065】
斯くして、実施例2は、前記構成の低流体抵抗ウェア生地1を用いて、カッティングしスキーの滑降競技用ウェアとして縫製すれば、該ウェアは着用して運動や競技をすることにより、その運動や競技のフォーム、並びに身体部位の動きや姿勢によって前記生地1のストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が縦方向3に伸ばされたり、前記生地のストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が横方向4に伸ばされることになり、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が縦方向3に伸ばされた場合には生地裏面側14に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地表面側11にそのまま凹部7a、7b、7c、・・・として現れて、該凹部7a、7b、7c、・・・が流体抵抗を抑止、減少させる整流部を形成する。
【0066】
また、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・が横方向4に伸ばされた場合には生地裏面側14に形成された凹状部6a、6b、6c・・・が生地表面側11に逆に凸部8a、8b、8c・・・として現れて、該凸部8a、8b、8c・・・が流体の剥離点を移動さて乱流渦の発生を抑えトリップ部を形成したり、整流部を形成したりする。従って、本発明の低流体抵抗ウェア生地1により縫製されたウェアの生地表面側11は、該生地表面側11に形成される凹部7a、7b、7c、・・・からなる整流部と、凸部8a、8b、8c・・・からなるトリップ部又は整流部は運動フォームや競技姿勢、そして競技中の身体部位の動きや姿勢により空気や水のような流体中において低流体抵抗面を任意に作り出すことができる。
【0067】
また、前記ストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・幅Wや、深さD、凹状部6a、6b、6c・・・のピッチPは任意に変えて低流体抵抗ウェア生地1を編むことができるので、生地表面11に形成される凹部7a、7b、7c、・・・や凸部8a、8b、8c・・・の形状も予め設定した幅や高さに成るように製作することが可能である。
【0068】
そして、本発明にあっては、前記伸縮性のある素材にて編まれた生地9の生地裏側面12、または、裏生地10の生地裏面側14に形成されるストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・は針抜き編みにて形成される凹状部6a、6b、6c・・・となし、該凹状部6a、6b、6c・・・の溝模様は生地長手方向3に連続乃至連続的に形成し、該連続乃至連続的に形成した模様はストライプ模様、ジグザグ形状の模様、緩いアール形状曲線の繰り返し模様、或いは、縦長状の略ダイヤ形状、楕円形状乃至菱形形状の模様が配列され前記生地裏面側、または、裏生地の裏面側にストライプ模様等に形成されている。
【0069】
而して、図6は、本発明の生地をスキーの滑降競技用ウェアに利用して風洞実験をおこなっている作用説明図を示しており、該図6に於いて競技者は風洞内にて滑降フォームを実施し、該滑降フォームでは、競技者の丸めた背中部分でストライプ模様の凹状部6a、6b、6c・・・を縦方向に伸長せしめウェア表面に凹部7a、7b、7c、・・・を形成して、整流部15を作り出しており、また上腕部は筋肉の膨張により凹状部6a、6b、6c・・・に対して横方向の伸長が生じて、凸部8a、8b、8c・・・を形成して、該凸部がトリップ部16を作り出している。
【0070】
次には、第三の実施例を示すが、基本的には上記第2実施例と同様であるので、説明は異なる点のみに止どめたい。
図5は、本実施例の工程段階を示す説明図であり、符号は第2実施例と同様である。
【0071】
本実施例に於いては、裏生地10にはその裏面側14のみならず、表面側13にもまた凹状部6a,6b,6c・・・が形成されている。
表生地9の裏面側12と裏生地10の表面側13とには、全面にわたって接着剤ADが塗布されており、張り合わせ固着時に両生地9,10が押圧されることにより、該接着剤ADは前記凹状部6a,6b,6c・・・に充填され該凹状部6a,6b,6c・・・は埋没することになる。
【0072】
その結果、最終的構成としては、該表面側13の凹状部は予め凹状部が形成されていなかったと同様に、実質平坦乃至平滑面の状態、即ち、第2実施例と全く同様の構成を有する結果を呈していることになる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
斯くして、本発明は、伸縮性のある素材にて編まれた表生地の表面側は平滑性を有する生地にて製作され、同じく伸縮性のある素材にて編まれた裏生地の裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿ってストライプ等に連続した凹状部を針抜き編み等にて製作し、前記表生地の裏面側と裏生地の表面側をフォームラミネーションにて張り合わせして固着等して一枚の生地に製作し、該一枚の生地をカッティングし縫製したウェアは着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、また、該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によっては前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作されるものであり、スキーの滑降競技用ウェア、スピードスケートウェア、競泳用の水着、自転車競技用ウェア等に幅広く応用できるのであって、産業上の利用の可能性は頗る大きく、且つ将来への利用範囲の拡大も容易に予測される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例1を説明する正面図、断面図、背面図である。
【図2】本発明の実施例1の動作説明図である。
【図3】本発明の実施例2を説明する正面図、断面図、背面図である。
【図4】本発明の実施例2の動作説明図である。
【図5】本発明の実施例3の工程説明図である。
【図6】本発明の作用を示す説明図である。
【図7】乱流渦のメカニズムを示す模式図である。
【図8】剥離点の状態を説明する模式図である。
【図9】水着に設けられた整流部説明図である。
【符号の説明】
【0075】
1 低流体抵抗ウェア生地
2 生地表面側
3 長手方向
4 横方向
5 生地裏面側
6a、6b、6c・・・凹状部
7a、7b、7c、・・・凹部
8a、8b、8c・・・凸部
9 表生地
10 裏生地
11 生地表面側
12 生地裏面側
13 生地表面側
14 生地裏面側
15 整流部
16 トリップ部
AD 接着剤
I 低圧部
P 剥離点
Q 層流
R 乱流渦の域
S1、S2 整流部
Z 境界層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された生地裏面側に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を形成し、
該生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現出し、
また、該生地は前記凹状部に対して横方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現出すること、
を特徴とする低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項2】
2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された表生地表面側は平滑性を有する生地からなり、
同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を形成し、
前記表生地の裏面側と裏生地の表面側とを固着し一枚の生地を形成し、
該一枚に形成された生地は、前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側にそのまま凹部として現出し、
また、該生地は前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現出すること、
を特徴とする低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項3】
2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された生地裏面側に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を形成した一枚の生地において、
または、2ウェイの伸縮性のある素材から編成され表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を形成した裏生地、とを前記表生地裏面側と裏生地表面側とを固着して形成した一枚の生地において、
前記一枚の生地をカッティングし縫製したウェアは、着用して運動をすることにより該運動のフォームや身体部位の動き或いは姿勢によって、前記生地の凹状部が縦方向に伸ばされたり、また、前記生地の凹状部が横方向に伸ばされることとなり、
前記凹状部が縦方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、
また、前記凹状部が横方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成し、該ウェアの生地表面に形成される整流部とトリップ部とは運動のフォームや身体部位の動き或いは姿勢により空気や水のような流体中において低流体抵抗面を任意に作り出せること、
を特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項4】
前記生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的に形成される凹状部が針抜き編みにて形成されていること、
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項5】
前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を形成した裏生地とを、前記表生地裏面側と裏生地表面側とで固着し形成した一枚の生地において、
前記表生地裏面側と裏生地表面側の固着をフォームラミネーションによって行うこと、
を特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項6】
前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された生地、或いは表生地、裏生地を2ウェイのトリコット編みまたはラッセル編みとすること、
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項7】
前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された生地裏面側、または、裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、該生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的に形成される凹状部の形状が、
ストライプの直線模様、ジグザグ模様、緩いアール曲線の繰り返し模様、縦長のダイヤ乃至楕円または菱形模様などを呈すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項8】
前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された生地裏面側に、または、裏生地裏面側又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、長手方向又は幅方向に沿って形成される凹状部は針抜き編みにて形成される凹状部であって、該凹状部を有する生地はウェアとしてカッテイングし縫製する場合に前記生地の長手方向又は幅方向に沿って形成される凹状部模様が該ウェア着用者の略体長方向と成るように、或いはバイアス状乃至スパイラル状などと成るようにカッティングし縫製すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項7記載の何れかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項9】
2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された表生地表面側は平滑性を有する生地にて製作され、
同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を針抜き編みにて製作し、
前記表生地裏面側と裏生地表面側とをフォームラミネーションにて張り合わせ固着し一枚の生地に製作し、
該一枚の生地をカッティングし縫製したウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動き或いは姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、
或いはまた、該ウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作したこと、
を特徴とする低流体抵抗ウェア生地の製造方法。
【請求項10】
2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された表生地表面側は平滑性を有する生地にて製作され、
同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を針抜き編みにて製作し、
前記表生地裏面側と裏生地表面側とをフォームラミネーションにて貼り合わせ固着するにあたり、該裏生地表面側に形成された前記凹状部は、該両生地面
または一方生地面全体に塗布等された接着剤が押圧されることによって該凹状部内に充填される結果平滑面と化して一枚の生地に製作され、
該一枚の生地をカッティングし縫製したウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動き或いは姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、
或いはまた、該ウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作したこと、
を特徴とする低流体抵抗ウェア生地の製造方法。
【請求項1】
2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された生地裏面側に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を形成し、
該生地は前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地の表面側にそのまま凹部として現出し、
また、該生地は前記凹状部に対して横方向に伸ばされると生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現出すること、
を特徴とする低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項2】
2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された表生地表面側は平滑性を有する生地からなり、
同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を形成し、
前記表生地の裏面側と裏生地の表面側とを固着し一枚の生地を形成し、
該一枚に形成された生地は、前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側にそのまま凹部として現出し、
また、該生地は前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現出すること、
を特徴とする低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項3】
2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された生地裏面側に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を形成した一枚の生地において、
または、2ウェイの伸縮性のある素材から編成され表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を形成した裏生地、とを前記表生地裏面側と裏生地表面側とを固着して形成した一枚の生地において、
前記一枚の生地をカッティングし縫製したウェアは、着用して運動をすることにより該運動のフォームや身体部位の動き或いは姿勢によって、前記生地の凹状部が縦方向に伸ばされたり、また、前記生地の凹状部が横方向に伸ばされることとなり、
前記凹状部が縦方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成し、
また、前記凹状部が横方向に伸ばされた場合には生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成し、該ウェアの生地表面に形成される整流部とトリップ部とは運動のフォームや身体部位の動き或いは姿勢により空気や水のような流体中において低流体抵抗面を任意に作り出せること、
を特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項4】
前記生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的に形成される凹状部が針抜き編みにて形成されていること、
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項5】
前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された表面側は平滑性を有した表生地と、同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を形成した裏生地とを、前記表生地裏面側と裏生地表面側とで固着し形成した一枚の生地において、
前記表生地裏面側と裏生地表面側の固着をフォームラミネーションによって行うこと、
を特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項6】
前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された生地、或いは表生地、裏生地を2ウェイのトリコット編みまたはラッセル編みとすること、
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項7】
前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された生地裏面側、または、裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、該生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的に形成される凹状部の形状が、
ストライプの直線模様、ジグザグ模様、緩いアール曲線の繰り返し模様、縦長のダイヤ乃至楕円または菱形模様などを呈すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項8】
前記2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された生地裏面側に、または、裏生地裏面側又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、長手方向又は幅方向に沿って形成される凹状部は針抜き編みにて形成される凹状部であって、該凹状部を有する生地はウェアとしてカッテイングし縫製する場合に前記生地の長手方向又は幅方向に沿って形成される凹状部模様が該ウェア着用者の略体長方向と成るように、或いはバイアス状乃至スパイラル状などと成るようにカッティングし縫製すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項7記載の何れかに記載された低流体抵抗ウェアの生地。
【請求項9】
2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された表生地表面側は平滑性を有する生地にて製作され、
同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を針抜き編みにて製作し、
前記表生地裏面側と裏生地表面側とをフォームラミネーションにて張り合わせ固着し一枚の生地に製作し、
該一枚の生地をカッティングし縫製したウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動き或いは姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、
或いはまた、該ウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作したこと、
を特徴とする低流体抵抗ウェア生地の製造方法。
【請求項10】
2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された表生地表面側は平滑性を有する生地にて製作され、
同じく2ウェイの伸縮性のある素材にて編成された裏生地裏面側に、又は裏生地裏面側と裏生地表面側の双方に、裏生地の長手方向又は幅方向に沿って連続乃至連続的凹状部を針抜き編みにて製作し、
前記表生地裏面側と裏生地表面側とをフォームラミネーションにて貼り合わせ固着するにあたり、該裏生地表面側に形成された前記凹状部は、該両生地面
または一方生地面全体に塗布等された接着剤が押圧されることによって該凹状部内に充填される結果平滑面と化して一枚の生地に製作され、
該一枚の生地をカッティングし縫製したウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動き或いは姿勢によって前記凹状部に対して縦方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側にそのまま凹部として現れて整流部を形成したり、
或いはまた、該ウェアは、着用して運動することにより該運動のフォームや身体部位の動きや姿勢によって前記凹状部に対して横方向に伸ばされると前記生地裏面側に形成された凹状部が生地表面側に逆に凸部として現れてトリップ部又は整流部を形成するように製作したこと、
を特徴とする低流体抵抗ウェア生地の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−177365(P2007−177365A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376987(P2005−376987)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年(平成17年)12月15日 「日経産業新聞」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年12月15日 「繊維ニュース」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年12月15日 「フジサンケイビジネスアイ」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年12月16日 「繊研新聞」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年12月16日 「日本繊維新聞」に発表
【出願人】(591038820)株式会社デサント (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年(平成17年)12月15日 「日経産業新聞」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年12月15日 「繊維ニュース」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年12月15日 「フジサンケイビジネスアイ」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年12月16日 「繊研新聞」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年12月16日 「日本繊維新聞」に発表
【出願人】(591038820)株式会社デサント (42)
【Fターム(参考)】
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