説明

低消費電力の同時刺激装置

単極電極構成を利用するマルチチャンネル電極アレイを有する刺激装置を含む刺激システム。プロセッサは、同時符号相関パルスと、チャンネル相互作用補償を使用することでチャンネル相互作用(CI)シーケンスを決定するように構成されている。プロセッサは作動的に刺激装置と結合される。CIシーケンスは、CIパルスレートとCI平均パルス振幅を持ち、マルチチャンネルアレイに関して与えられた位置で実質的に所望の電位と等しい電位を生成する。CIシーケンスがパルス間に時間ギャップを含み、プロセッサは、該パルス間時間ギャップが減少するようにCIパルスレートを増加させるように構成されうる。その上、プロセッサは、1パルスあたりの電荷が実質的に変ることなくかつパルス間時間ギャップが減少するようにパルス位相持続時間を増加させながら、CIシーケンスのパルス振幅を減少させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気的神経刺激に関し、特にチャンネル特定サンプリングシーケンスに基づく神経の電気刺激に関する。
【背景技術】
【0002】
内耳プロテーゼである移植蝸牛刺激装置(蝸牛刺激インプラント)は聴覚障害の大きい(程度が激しい)聴覚障害者を助ける可能性である。増幅され調整された音響信号を単に使用する従来の補聴器と異なり、移植蝸牛刺激装置は内耳神経を直接刺激する電気システムに基づく。移植蝸牛刺激装置の意図は、正常聴覚とほぼ同様な感覚を内耳で得ることができるようにニューロン構造を電気的に刺激することである。
【0003】
図1は従来の蝸牛の補綴装置を示している。蝸牛補綴装置は本質的に2つの部品から成る。即ち、通常耳のそばの外部に最も近く置かれるスピーチプロセッサ101と、移植刺激装置105である。スピーチプロセッサ101は、システム全体のための電源(バッテリー)を含み、刺激パラメタを抽出するために音響信号の信号処理を行うのに使用される。刺激装置105は、内耳の鼓室階109に広がる電極アレイ107による刺激パターンを作って神経組織にそれらを使う。スピーチプロセッサと刺激装置の接続は、刺激装置105の中に一次コイル103と二次コイルを使用する無線周波リンク(経皮)又は皮膚内のプラグ(経皮)によって確立される。
【0004】
1つの成功した刺激方法は、ウィルソンB.S、フィンリーC.C、ロースンD.T.、ウルフォードR.D.、エディントンD.K.、ラビノウィッツW.M.によってネイチャー、vol.352、236−238(1991年7月)「移植蝸牛刺激装置を用いたより良い音声認識」によって説明される、いわゆる「連続インタリーブサンプリング戦略」(CIS)である。この文献(以下、「ウィルソン他、1991」という)は参照のためにここに組み入れられる。スピーチ(音声処理)プロセッサでのCISのための信号処理は以下のステップを含む。
【0005】
a フィルタバンクによってオーディオ周波数範囲をスペクトルバンドに分ける
b 各フィルタ出力信号のエンベロープ検出
c エンベロープ信号の瞬時の非線形圧縮(マップ法)。
【0006】
蝸牛の周波数部位対応構造によると、鼓室階のそれぞれの刺激電極は外部フィルタバンクのバンドパスフィルタに関連している。刺激のために、対称二相性電流パルスが適用されている。刺激パルスの振幅は圧縮されたエンベロープ信号から直接得られる(上のステップc)。これらの信号が連続して標本化され、刺激パルスは厳密に重なっていないシーケンスで適用される。したがって、典型的なCISの特徴として、一時に1個の刺激チャンネルだけが活性化されている。総刺激率は比較的高い。例えば、総刺激率を18kppsであるとし、12チャンネルのフィルタバンクを使用すると、1チャンネルあたりの刺激率は1.5kppsである。通常、そのような1チャンネルあたりの刺激率はエンベロープ信号の適切な時間表現に対して十分である。
【0007】
最大総刺激率は1パルスあたりの最小位相持続時間によって制限される。位相持続時間を任意に短く選ぶことができない。なぜならば、パルスが短ければ短いほど、電流の振幅は、ニューロンでの作動電位を引き出すために、より高くなければならず、また、電流の振幅が様々な実際的な理由で制限されるからである。総刺激率が18kppsの場合、位相持続時間は27μsであり、これは下限である。
【0008】
CISバンドパスフィルタの各出力は、該バンドパスフィルタの中心周波数においては、エンベロープ信号によって調節される正弦波状と見なされうる。これはフィルタのQ(品質係数)がQ=3であるためである。有声スピーチセグメントの場合は、このエンベロープはほとんど周期的であり、反復率はピッチ周波数と等しい。
【0009】
電流CIS法では、エンベロープ信号だけがさらなる処理に使用され、すなわち、それらが全体の刺激情報を含んでいる。各チャンネルに関して、エンベロープは二相性シーケンスとして一定反復率で表される。CISの特色として、この反復率(通常1.5kpps)はすべてのチャンネルで等しく、個々のチャンネルの中心周波数との関係が全くない。反復率は患者のための時間的な手がかりでないことを意図し、すなわち、それは十分高くあるべきであり、そのため、患者が反復率と等しい周波数にトーンを知覚しない。通常、反復率はエンベロープ信号の帯域幅の2倍に以上に設定される(ナイキスト理論)。
【0010】
単極刺激を使用する12チャンネルの移植蝸牛刺激装置の電極構成
図2は、米国特許第6,600,955号で説明されるように、12チャンネルの移植蝸牛刺激装置に使用する電極構成の例を示す。12個の電極接点201(図で黒点として示している)を含む電極アレイは蝸牛鼓室階の中に置かれる。これらのそれぞれの電極201は、コンデンサーC203と、1組の電流源205、207に接続されていて、電流源205、207の2番目のポートは移植装置のそれぞれの接地209と供給電圧Vcc211に接続されている。例えば、電流源205、207は、それぞれPチャンネルとNチャンネル形のMOS電界効果トランジスタを使用することで実行されるだろう。したがって、利便のために、電流源205、207はPソースとNソースとして指定される。基準電極213は、蝸牛の外に置かれて、1組のスイッチ215、217に接続される。スイッチ215、217の2番目のポートはそれぞれ、移植装置のGNDと供給電圧Vccに接続される。
【0011】
この構成の簡易型集中要素モデルは図3に示される。インピーダンスZ301は、イントラ内耳電極接点の金属表面と、鼓室階中体液間のインタフェースインピーダンスを表す。インピーダンスZI,REF303は基準電極のインタフェースインピーダンスを表す。イントラ内耳体液はオーム抵抗器R305によって表される。鼓室階に沿って断面積が変化するので、クラルA.、ハルトマンR.、モルタザビD.、およびクランケR.によるヒアリングリサーチ121、1998、ページ11−28、「移植蝸牛刺激装置の空間精度:電場と励振の聴力導入」で説明されるように、通常、変数Rが想定される(この文献は、参照のために、ここに組み入れられる。)抵抗器R307は蝸牛が埋め込まれている骨組織に言及する。これらの抵抗器は位置に依存する。空間的な依存はほとんど重要でなく、したがって、利便のために、RとRは一定であると仮定する。そのうえ、無限はしご形回路R/Rを想定する。刺激電流は、基準電極への径路の途中の高抵抗の構造を通る。
【0012】
インピーダンスZと、ZI,REFは、一般に、複素数であり周波数依存である。しかしながら、インピーダンスインビトロ測定は、移植蝸牛刺激装置で使用される電極形状と非常に短いパルス刺激波形に関して、インタフェースインピーダンスが純粋にオーム性であると見なすことができることを示す。
【0013】
米国特許第6,600,955号で説明されるように、図3に示す刺激装置の構成は、(a)単一の非同時の刺激のパルス、又は(b)「符号相関」の同時パルスのどちらかを発生させるのに使用されるだろう。例えば、1つの電極における単一の対称二相性パルスの2つのフェーズは、まず、この電極に関連するPソース313の1つを活性化し、スイッチ315を閉じ、関連するNソース311を活性化し、スイッチ317を閉じることによって作り出される。このパルスの第1のフェーズでは、電流は、関連する電流源の組からはしご形回路を介してスイッチの組まで流れ、第2のフェーズでは、電流方向は逆である。2つのフェーズの振幅と位相持続時間が等しいなら、パルスは電荷バランスがとれ、すなわち、はしご形回路にいかなる実効電荷が与えられない。
【0014】
1つ以上の刺激パルスが同時に与えられるならば、そのようなパルスは「符号相関」を受け、すなわち、いくつかのPソースが同時に活性化され、スイッチ315が閉じられ、あるいは、いくつかのNソースが同時に活性化され、スイッチ317が閉じられるかのいずれかであり、活性化されたP−ソースと活性化されたN−ソースが混り合うことはない。これは、電流の合計が基準電極(すなわち、インピーダンスZI,REF)を通していつも流れていることを確実にする。そのような刺激構成は「分配型単極」と言われる。
【0015】
例えば、単一二相性パルスの第1段階の間に起こる電位は図4の助けによって説明される。Pソース401に特定の振幅Ipを生産させ電圧降下を引き起こす(このフェーズでは関連するNソース403が不活性であることに注意された)。パルスの前にコンデンサー405が荷電されていないとすると、電流Ipはコンデンサー405を横切る電圧Ucを生じさせる。これは、時間に従って、線形に増加する。しかしながら、十分高いキャパシタンスを想定すると、第1のパルスフェーズの終わりで、比較的わずかな電位降下だけがコンデンサー405を横切る。通常、Ucは数十ミリボルト以下であり、オーム性ネットワークでの他の電圧降下と比較して通常無視できる。インピーダンスZと、ZI,REFはかなりの電圧降下U=Zを引き起こす。電流Iは、水平抵抗Rと垂直抵抗Rで構成された無限はしご形回路の中に分配される。垂直抵抗Rを横切る電圧降下の分配は、抵抗409に最大電圧降下Uが起こることころでは指数関数的挙動を示し、両側の隣接している電圧降下は指数関数的に減衰し、すなわち、抵抗411と413ではαU、抵抗415と417ではα、抵抗419、421ではα等となる。係数αはR/R比のみの関数であり、短い計算から次式として与えられる。
【式1】
【0016】

抵抗Rを流れるすべての電流の合計はここでもIpであり、これは、インピーダンスZI,REF423と、閉じたスイッチ425を通って移植装置の方へ戻るように流れる。ZI,REFを横切る電圧UI,REFは、UI,REF=ZI,REFで与えられ、そして、理想的なスイッチを仮定して、閉じているスイッチ425に電圧降下が全くないとする。すべての電圧降下をまとめて以下の移植装置供給電圧Vccを得る。
【0017】
cc=U+U+U+U+UI,REF (1)
そのような回路の合計電力消費は以下の通りである。
【0018】
TOT=Vcc(2)
本願では、PTOTはできるだけ小さい方が望ましい。与えられた電流振幅Iに関して、移植装置供給電圧が最小にされるなら、合計電力消費は最小である。
【0019】
典型的な数値例として、インタフェースインピーダンスZ=5kΩ、ZI,REF=250kΩ、はしご形回路インピーダンスR=450Ω、R=9kkΩ、電流振幅I=800μAであると仮定する。これらの仮定はU=4V、U=0.8V、およびUI,REF=0.2Vをもたらす。これらを式(l)に代入し、電圧Uを無視すると、
cc−U=U+U+UI,REF=5Vとなる。
【0020】
無視できる電圧UでP−ソース401を操作できると仮定すると、最小移植装置供給電圧Vcc=5Vとなる。これを(2)式に代入すると、合計電力PTOT=4mWとなる。明らかに、PTOTの80%がインタフェースインピーダンスZによって吸収され、すなわち、P=U=3.2mWであり、この電力は刺激自体に貢献しない。したがって、移植装置供給電圧の低減と刺激電力消費の低減の両方に関して、如何なる電圧降下の低減が望ましい。
【0021】
を横切る電圧降下を減少させるための1つのアプローチはZ自身を減少させることである。例えば、より大きい電極表面を使用すると、Zは減少するだろう。しかしながら、電極距離などの幾何学的な限界に既に達しているので通常電極表面サイズをさらに増加することはできない。別のアプローチは、時間がたつにつれてZが安定せず、移植後数週間もすると増加しているという観測に基づく。その理由は、特定の組織が成長して電極表面を覆うからである。外科手術の間にコルチコイドを与えることで、この組織の成長を減少させ、インピーダンスを少なくとも初期値に保つと思える。
【発明の開示】
【0022】
発明の第1の態様では、単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイにおける電極を同時に活性化させる方法が提供される。方法は、電極アレイに関して与えられた位置で所望の電位を決定することを含んでいる。マルチチャンネルアレイの少なくとも2つの電極に関連する同時符号相関パルスの振幅は、実質的に所望の電位と等しい、与えられた位置での合計電位を提供するように決定される。与えられた位置で所望の電位を達成するために少なくとも2つの電極が同時に振幅の関数として活性化され、これらの少なくとも2つの電極は、活性化されるときに空間チャンネル相互作用を有する。
【0023】
発明の関連する実施の形態によると、振幅の決定は、与えられた位置における各符号相関パルスから結果として起こる電位を加えることを含むことができる。各決定された振幅は、所望の電位を達成するのに連続インタリーブサンプリング戦略を使用するマルチチャンネル電極アレイにおいて電極を活性化させるのに必要である振幅よりも小さいであろう。同時符号相関パルスを使用して少なくとも2つの電極を活性化させるのに必要である電力は、所望の電位を達成するのに連続インタリーブサンプリング戦略を使用するマルチチャンネルアレイの少なくとも2つの電極を活性化させるのに必要である電力よりも小さいであろう。電極アレイは生者に植えつけられる。例えば、電極アレイは、内耳神経を刺激するのに使用されうる。
【0024】
発明のもう一つの形態では、マルチチャネル電極アレイの電極を活性化させる方法は、順次刺激シーケンスパルスレートと順次刺激シーケンス平均パルス振幅を有する順次刺激シーケンスであって、マルチチャンネル電極アレイに関して与えられた位置で所望の電位を生成するための順次刺激シーケンスを決定することを含んでいる。順次刺激シーケンス−これは、例えば、連続インタリーブサンプリング(CIS)シーケンスである−は、同時符号相関パルスとチャンネル相互作用補償を使用することでチャンネル相互作用(CI)シーケンスに変換される。CIシーケンスは、CIパルスレートとCI平均パルス振幅を有し、前記与えられた位置で実質的に所望の電位と等しい結果として起こる電位を生成するためのものである。
【0025】
発明の関連する実施例によると、電極はCIシーケンスの関数として活性化される。CIシーケンスの平均パルス振幅は、順次刺激シーケンスの平均パルス振幅より小さいであろう。CIシーケンスに必要である刺激電力は順次刺激シーケンスに必要である刺激電力以下であるだろう。順次刺激シーケンス、そして/または、CIシーケンスは対称の二相性電流パルスを含んでいるだろう。マルチチャンネルアレイは離れた接地を有する単極電極構成を使用するだろう。
【0026】
発明のさらなる実施の形態によると、CIパルスレートはパルス間に時間ギャップを含み、実質的に順次刺激シーケンスパルスレートと等しい。CIパルスレートは増加するであろうが、パルス間の時間ギャップが減少する。CIシーケンスのパルス振幅が減少すると共に、パルス位相持続時間は、1パルスあたりの電荷が実質的に変わりがないように増加し、パルス間の時間ギャップが減少する。
【0027】
発明のさらに別の態様で、蝸牛補綴システムは移植可能に設けた刺激装置を含み、該刺激装置は単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイを含む。プロセッサは作動的に刺激装置と結合される。プロセッサは、マルチチャンネル電極アレイに対する与えられた位置の総電位が所望の電位と等しくなるように、マルチチャンネルアレイの少なくとも2つの電極(これらの少なくとも2つの電極は空間チャンネル相互作用を有する)に関連している同時符号相関パルスの振幅を決定するように構成されている。プロセッサはさらに、与えられた位置で所望の電位を達成するために、少なくとも2つの電極を決定された振幅の関数として同時に活性化させるように構成されている。
【0028】
発明の関連する実施の形態によると、総(合計)電位は与えられた位置における、それぞれの同時符号相関パルスから結果として起こる電位の総和と等しい。それぞれの決定された振幅は、与えられた位置で所望の電位を達成するのに連続インタリーブサンプリング戦略を使用するマルチチャンネル電極アレイの電極を活性化させるのに必要であるパルス振幅よりも小さいであろう。同時符号相関パルスを使用して少なくとも2つの電極を同時に活性化させるに必要である電力は、所望の電位を達成するのに連続インタリーブサンプリング戦略を使用して少なくとも2つの電極を活性化させるのに必要である電力よりも小さいであろう。
【0029】
発明のまた別の態様で、蝸牛補綴システムは移植可能に設けた刺激装置を含み、刺激装置は単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイを含む。プロセッサは作動的に刺激装置と結合される。プロセッサは、マルチチャンネル電極アレイに関して与えられた位置で所望の電位が生成されるように、順次刺激シーケンスパルスレートと順次刺激シーケンス平均パルス振幅を有する順次刺激シーケンスを決定するように構成されている。その上、プロセッサは、同時符号相関パルスとチャンネル相互作用補償を使用することで順次刺激シーケンスをチャンネル相互作用(CI)シーケンスに変換する。ここで、CIシーケンスはCIパルスレートとCI平均パルス振幅を有し、与えられた位置で実質的に所望の電位と等しい結果として起こる電位を生産するためのものである。
【0030】
発明の関連する実施の形態によると、プロセッサは、与えられた位置で所望の電位を達成するために、マルチチャンネル電極アレイの少なくとも2つの電極をCIシーケンスの関数として同時に活性化させるように構成される。CIシーケンスの平均パルス振幅は順次刺激シーケンスの平均パルス振幅より小さいであろう。CIシーケンスに必要である刺激電力は順次刺激シーケンスによって必要とされる刺激電力以下であるだろう。順次刺激シーケンスとCIシーケンスは対称の二相性電流パルスを含んでいるだろう。CIパルスレートは、CIシーケンスがパルス間の時間ギャップを含むように、実質的に順次刺激シーケンスパルスレートと等しい。プロセッサは、CIパルスレートを増加させ、パルス間の時間ギャップが減少するようにさらに構成される。プロセッサは、1パルスあたりの電荷が実質的に変わりがないように、そして、パルス間の時間ギャップが減少するように、CIシーケンスのパルス振幅を減少させると共にパルス位相持続時間を増加させるように、さらに構成されている。順次刺激シーケンスは連続インタリーブサンプリング(CIS)シーケンスであるだろう。
【0031】
発明のもう一つの態様では、刺激システムが単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイを含む刺激装置を含んでいる。プロセッサは作動的に刺激装置と結合される。プロセッサは、同時符号相関パルスとチャンネル相互作用補償を使用することでチャンネル相互作用(CI)シーケンスを決定するために構成されている。CIシーケンスはCIパルスレートとCI平均パルス振幅を有する。CIシーケンスは、マルチチャンネルアレイに関して与えられた位置で実質的に所望の電位と等しい結果として起こる電位を生産するためのものである。
【0032】
発明の関連する実施の形態によると、刺激装置は移植可能に設けられ、移植蝸牛刺激装置の一部である。プロセッサは、与えられた位置で所望の電位を達成するためマルチチャンネル電極アレイの少なくとも2つの電極をCIシーケンスの関数として同時に活性化させるために構成されている。CIシーケンスは対称の二相性電流パルスを含んでいるだろう。
【0033】
発明のさらなる関連する実施の形態によると、CIシーケンスはパルス間に時間ギャップを含んでいるだろう。プロセッサは、パルス間の時間ギャップが減少するようにCIパルスレートを増加させるようにさらに構成されるだろう。プロセッサは、1パルスあたりの電荷が実質的に変わりがなくて、パルス間の時間ギャップが減少するように、パルス位相持続時間を増加させると共に、CIシーケンスのパルス振幅を減少させるようにさらに構成されている。
【0034】
発明のまた別の態様では、刺激システムは単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイを含む刺激装置を含んでいる。制御手段は刺激装置を制御する。制御手段は、同時符号相関パルスとチャンネル相互作用補償を使用することでチャンネル相互作用(CI)シーケンスを決定する。CIシーケンスは、CIパルスレートとCI平均パルス振幅を有し、マルチチャンネルアレイに関して与えられた位置で実質的に所望の電位と等しい結果として起こる電位を生産する。
【0035】
発明の関連する実施の形態によると、刺激装置は、移植可能に設けられ、移植蝸牛刺激装置の一部であるだろう。制御手段は、与えられた位置で所望の電位を達成するためにマルチチャンネル電極アレイの少なくとも2つの電極をCIシーケンスの関数として同時に活性化させるだろう。CIシーケンスは対称の二相性電流パルスを含んでいる。
【0036】
発明のさらなる関連する実施の形態によると、CIシーケンスはパルス間に時間ギャップを含んでいるだろう。制御手段は、パルス間の時間ギャップが減少するようにCIパルスレートを増加させる。制御手段は、1パルスあたりの電荷が実質的に変わりがなくて、パルス間の時間ギャップが減少するように、パルス位相持続時間を増加させると共に、CIシーケンスのパルス振幅を減少させるようにさらに構成されうる。
【0037】
発明のさらに別の態様で、単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイの電極を同時に活性化させるコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、コンピュータで読み込み可能なプログラムコードを有しているコンピュータで使用可能なメディアを含んでいる。コンピュータで読み込み可能なプログラムコードは、同時符号相関パルスとチャンネル相互作用補償を使用することでチャンネル相互作用(CI)シーケンスを決定するためのプログラムコードを含んでいる。CIシーケンスはCIパルスレートとCI平均パルス振幅を有し、マルチチャンネルアレイに関して与えられた位置で実質的に所望の電位と等しい結果として起こる電位を生産するためのものである。
【0038】
さらなる関連する実施の形態によると、コンピュータプログラム製品は、与えられた位置で所望の電位を達成するためにマルチチャンネル電極アレイの少なくとも2つの電極をCIシーケンスの関数として同時に活性化するプログラムコードをさらに含む。CIシーケンスは対称の二相性電流パルスを含んでいるだろう。
【0039】
発明のさらなる実施の形態によると、CIシーケンスはパルス間に時間ギャップを含んでいる。コンピュータ製品はさらに、パルス間の時間ギャップが減少するようにCIパルスレートを増加させるためのプログラムコードを含んでいるだろう。
【0040】
コンピュータプログラム製品はさらに、1パルスあたりの電荷が実質的に変わりがなくて、パルス間の時間ギャップが減少するように、CIシーケンスのパルス振幅を減少させると共に、パルス位相持続時間を増加させるプログラムコードを含んでいるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
発明の以上の特徴は、添付図面に関してなされる以下の詳細な説明を参照することにより容易に理解されるであろう。
【0042】
例示的な実施の形態では、マルチチャンネル電極アレイの電極を同時に活性化させるためのシステムと方法が提示される。同時符号相関パルスとチャンネル相互作用補償を有するチャンネル相互作用(CI)シーケンスなどの同時の刺激シーケンスはパルス間に時間ギャップを含んでいる。CIシーケンスは、例えば、CIパルスレートが実質的に順次刺激シーケンスパルスレートと等しいように順次刺激シーケンスに基づく。「微細構造戦略」の実施のために、CIパルスレートは、情報速度が増加されるように、パルス間の時間ギャップを付加パルスで満たすことによって増加される。他の実施の形態では、1秒あたりのパルスの数を増加させないで、CIシーケンスのパルス振幅を減少させて、標準逐次刺激戦略の低電力、低電圧の実施を可能にする。例示の実施の形態を以下に詳細に説明する。
【0043】
同時刺激
図3に言及し、インタフェースインピーダンスZを横切る電圧降下は2個以上のチャンネルの同時刺激に基づいて減少する。2つ以上の電極が同時に刺激されるなら、以下で説明するように空間チャンネル相互作用の効果を利用できる。
【0044】
a.空間チャンネル相互作用
異なった刺激電極(鼓室階に置かれる)が活性化され、刺激可能な神経組織の位置において電場のかなりの幾何学上重複があるとき、空間チャンネル相互作用は起こる。したがって、異なる電極が刺激されるなら、同じニューロンが活性化される。リモート接地電極(単極の刺激)に対する特定の電極の刺激は、電極の両側の2つの減衰指数関数で大まかに表される鼓室階の中に電位を引き起こす。通常、空間定数(人間のもの)λは約10mmである。
【0045】
CIS戦略では、時間的に重ならないパルスを使う(インタリーブサンプリング)ことによって、空間チャンネル相互作用の影響は減少する。ここでの鼓室階の伝導性は、刺激可能な部位で電場がかなり広がり消磁されることにつながる。しかしながら、リモート接地電極に対する2つ以上の電極の非相関同時刺激が考えられるならば、追加の効果が生じる。ここで伝導率は活性電極間の短絡コンダクタンスを表し、一般に、それは、ニューロン位置で電場の生成と破壊の重ね合わせの混合物をもたらす。例えば、2個の同時刺激チャンネルが等しい振幅、但し、異なった符号の電流を発生させると、電流の大部分は、短絡コンダクタンスを通して流れ、意図するニューロンに達しない。
【0046】
b.符号相関パルス
発明の好適実施例は、リモート基準電極(単極電極構成)に接する鼓室階において2つ以上の電極を同時に活性化させる。その上、すべてのパルスがまさに同時であり、すなわち、正負パルス位相は、同じ時間的瞬間にそれぞれ始まりかつ終わる。さらに、すべての同時位相は同符号を有する。ここに使用されるように、そのような同時パルスは「符号相関」パルスと定義される。
【0047】
符号相関パルスを使うことで、単一の刺激電流の合計が基準電極を通していつも流れていることを確実にする。したがって、刺激しやすいニューロンの場所では、電流の重ね合わせだけが起こる。
【0048】
c.チャンネル相互作用補償(CIC)
米国特許第6,594,525号で説明される「チャンネル相互作用補償(CIC)」は、1セットの連続した振幅を1セットの同時の振幅に変換するのに使用され、そこでは、活性電極位置における鼓室階の中では電位は変わりがない。2つの電極を使用する実施例は図5(a)、(b)で示される。図5(a)(先行技術)は、連続して適用された等しい振幅の2つの刺激パルスによる2つ(正規化)の鼓室階電位を示している。活性電極間の距離は12mmである。各電位分布は、両側でλ=10mmで、指数関数的減衰を示す。図5(b)は、発明の実施例に従って、2つの刺激パルスが同時に適用され、かつ、振幅がCICを使用することで適合させられた後の結果の電位(実線)を示している。上の図と比べて、電極の位置でのピーク電位が変っていないことに注意されたい。このカーブは2つの単一電位(点線)の重ね合わせの結果である。単一電位の最大振幅に関して、図5(a)の電位と比べて、これらが減少することは明確である。この実施例では、減少率は23%である。
【0049】
刺激電力の低減
a.同時刺激を使用することでの刺激電力の低減
CICの一般的な特徴として、空間チャンネル相互作用を考慮に入れることによって、刺激パルス振幅は減少する。したがって、CICと組み合わせて同時刺激を利用する如何なる刺激戦略は、1秒あたり同じ数の刺激パルスを使用する標準CISと比べると、平均して刺激電力低減に通じる。平均した低減量は、同時に使用されたチャンネルの数、これらのチャンネル間の距離、または空間減衰率などのさまざまなパラメータに依存する。平均した低減量はまた、CICの入力に使用される連続した振幅の確率分布に依存する。図5(a)、5(b)に示す例に戻り、電力消費は、刺激振幅の減少に比例して減少し、即ち、23%の減少である。しかしながら、節電効果に関して、2つの等しい連続した振幅のケースは「ベストケース」を表す。「ワーストケース」は2つの連続した振幅の1つがゼロの場合に起こる。次に、CICはこれらの振幅を変えないので、節電が全くない。
【0050】
例えば、隣接電極間距離が4mmである6チャンネルのイントラ内耳電極アレイを考える。標準CIS−モードで駆動すると、パルスは厳密に連続して、例えば、図6(a)に示すように、パターン・・・(1)(2)(3)(4)(5)(6)(1)(2)・・・に従って起こる。発明の実施の形態によるCICベースのシステムは図6(b)に示される。図6(b)では、同時符号相関パルスが起こる。より詳しくは、3対の電極(1、4)、(2、5)および(3、6)はそれぞれ、パターンに従って、同時である。但し、・・・(1、4)(2、5)(3、6)(1、4)・・・に制限されるものでない。減衰率は、例えば、λ=10mmであるだろう。図5(b)はそのような電極対の例を表す。両方のシステムが1秒あたりの同じ刺激パルス数を使用し、両方のシステム方が同じ移植装置供給電圧を使用するとすると、約15−20%の範囲の平均刺激電力低減を期待できる。
【0051】
b.より長いパルスを使用することによる低減
図6(b)に示すように、同時パルスを適用することで、ベアの同時パルス間にギャップを設けることができる。これに限定されるものではないが、同時に2パルスを使用する場合は、発明の実施の形態に従って図6cに示すように位相持続時間を倍にすることによって、このギャップをなくすことができる。1位相あたりの等しい電荷とすると、刺激振幅を係数2によって減少させることができる。N個の同時パルスを用いると、連続パルス位相持続時間はN倍であり、1位相あたりの等しい電荷とすると、振幅は係数Nで割ったものとなる。移植装置供給電圧Vccの低減にこの振幅の低減を利用できる、すなわち、移植装置供給電圧をNで割ったものとすることができる。1位相あたり同じ電荷が短い位相を持つ同時パルスとして使用されるので、移植装置供給電圧と平均刺激振幅の積に比例する総刺激電力は係数Nによって減少される。
【0052】
刺激電力の低減と移植装置供給電圧の低減は共にかなりの利益を表す。特に完全に移植可能な移植蝸牛刺激装置(TICI)の場合、そうである。低消費電力はTICIの限られた電力資源に関する一般的な利点であるが、低電圧刺激戦略には特別の関心があり、そこでは、移植装置供給電圧をVcc=3Vまで下げて非常に低い電圧で刺激を行うことができる。現在の移植蝸牛刺激装置では、移植装置供給電圧は通常Vcc=5−6Vである。低電圧刺激戦略が適用されるなら、充電可能な電池によって発生される電圧を直接使用できる。例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)を使用するリチウムポリマ二次電池は3.65Vを発生する。そのような供給電圧は標準CIS−戦略の実施に十分でないだろう。したがって、電位を倍増する、あるいは、同様のサーキットが必要であり、そのようなサーキットはTICIの規模と電力消費をかなり上げる。
【0053】
発明の図示の実施の形態では、CICと組み合わせて、符号相関パルスを使用する同時刺激を適用することは、例えば、「微細構造」刺激戦略を適用する際に情報速度を増加させるのに利用される。図7は、発明の様々な実施の形態に従って刺激情報速度を増加させる方法を示している。方法は、これに制限されるものでないが、単極電極構成を利用するマルチチャンネル電極アレイ107を有する刺激装置105と、図1に示されるように刺激装置105を制御するためのプロセッサ101などの制御装置を含む刺激システムによって実行されるだろう。制御装置は、これに制限されるものでないが、様々なサーキットリー、そして/または、メモリを含み、適切に前プログラムされるか、または適切なプログラムがロードされるように構成されるだろう。メモリ(記憶装置)は例えばディスケット(フレキシブルディスク)、固定ディスク、コンパクトディスク(CD)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能読み込み専用メモリ(EPROM)、そして/または、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含むことができるであろう。図1に示されるように、システムの様々な部分は移植でき、内耳神経を刺激する移植蝸牛刺激装置の一部であるだろう。
【0054】
図7のステップ702では、制御装置は、同時符号相関パルスとチャンネル相互作用補償を使用することでチャンネル相互作用(CI)シーケンスを決定する。上で説明したように、CIシーケンスは、CIパルスレートとCI平均パルス振幅を持ち、マルチチャンネルアレイに関して与えられた位置で実質的に所望の電位と等しい結果として起こる電位を生産する。
【0055】
発明の様々な実施の形態では、制御装置は、CISシーケンスなどの順次刺激シーケンスであって、順次刺激シーケンスパルスレートと順次刺激シーケンス平均パルス振幅を有し、マルチチャンネル電極アレイに関して与えられた位置で所望の電位を生産するためのものを決定することによって、CIシーケンスを決定する。制御装置は次に、与えられた位置で実質的に所望の電位と等しい結果として起こる電位を生産するために、順次刺激シーケンスを同時符号相関パルスとチャンネル相互作用補償を使用するチャンネル相互作用(CI)シーケンスに変換する、上で述べたように、各CIパルス振幅は、所望の電位を生産するために同時CIパルスが加えられるので、順次刺激シーケンスを使用してマルチチャンネル電極アレイの電極を活性化させるのに必要な振幅より通常少ない。
【0056】
そのような変換されたCIシーケンス、または初めて決定されたCIシーケンスはパルス間に時間ギャップを含むことができる。これは、例えば、図7のステップ704に示されるようにパルス間の時間ギャップが減少するようにCIパルスレートを増加させることで制御装置によって利点を持って活用される。増加する刺激率は上で説明されるように微細構造刺激戦略の移植を可能にする。CIシーケンスに基づいて、制御装置は次に、空間チャンネル相互作用を介して与えられた位置の所望の電位を達成するために少なくとも2つの電極を決定されたCIパルス振幅の関数として同時に活性化させる。
【0057】
上で説明したように、様々な実施の形態では、パルス間時間ギャップは、また、標準CIS刺激戦略の低電力、低電圧の実施を可能にするのに有利に利用されるだろう。図8は、発明の様々な実施例による刺激電力及び電圧要件を減少させる方法を示している。図8のステップ802では、制御装置は、図7におけるステップ703と同様に、同時符号相関パルスとのチャンネル相互作用補償を使用することでチャンネル相互作用(CI)シーケンスを決定する。図8のステップ804では、CIシーケンスのパルス振幅を減少させると共に、パルス位相持続時間を増加させて、1パルスあたりの電荷が実質的に変わりがなく、パルス間の時間ギャップが減少する。
【0058】
様々な実施例では、開示された方法はコンピュータシステムによる使用のためのコンピュータプログラム製品として実施されるだろう。そのような実施は、コンピュータで読み込み可能なメディア(例えば、ディスケット、CD−ROM、ROM、または固定ディスク)などの感知可能なメディアに固定された一連のコンピュータ命令、又は、ネットワークに接続した通信アダプターなどのモデム他のインタフェイス装置を介してコンピュータシステムに移送可能でメディアに記録できる一連のコンピュータ命令を含む。メディアは、感知できるメディア(例えば、光メディアまたはアナログ通信線メディア)又は無線技術(例えば、マイクロウェーブ、赤外線他の伝送技術)により実行されたメディアである。一連のコンピュータ命令は以前にシステムに関してここに説明された機能のすべてか一部を実施する。当業者は、多くのコンピュータアーキテクチャかオペレーティングシステムによる使用のために多くのプログラミング言語でそのようなコンピュータ命令を書くことができるのを理解するべきである。その上、そのような命令は、半導体、磁気、光学メモリ素子他のメモリ素子に格納され、光学、赤外線、マイクロウェーブ他の伝送技術などのどんな通信技術も使用することで伝えられるだろう。そのようなコンピュータプログラム製品は、添付の印刷ドキュメント又は電子ドキュメントと共にリムーバブル・メディア(例えば、シュリンク包装されたソフトウェア)として配給され、コンピュータシステムにプレロードされ(例えば、システムROMか固定ディスクにプレロード)、又は、ネットワーク(例えば、インターネットかWWW)上でサーバか電子掲示板から配給されることが予想される。
【0059】
発明の様々な例示の実施の形態を開示したが、発明の本当の範囲から逸脱しないで様々な変更と変形を行い、発明の利点のいくつかを達成することができることは当業者にとって明らかである。特許請求の範囲はこれらの明白な変更例を含むことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】従来の蝸牛補綴装置を示す図である。
【図2】12チャンネル移植蝸牛刺激装置に使用する単極電極構成のブロック図である。
【図3】図2の電極構成の簡易型集中要素モデルを示す図である。
【図4】1持続刺激パルスが誘導されるとき、図2の電流と電圧の詳細を示す図である。
【図5】図5aは、連続して適用された等しい振幅の2つの刺激パルスによる2つの(正規化)鼓室階電位を示す図である。図5bは、発明の実施の形態に従って、同時に適用された2つのCIC刺激パルスによる2つの(正規化)鼓室階電位を示す図である。
【図6】図6(a)は従来のCISでの連続パルスを示す図である。図6(b)は発明の実施の形態によるCIシーケンスにおける同時バルスを示す。図6(c)は発明の実施の形態に従って、パルス持続時間を増加させた場合の図6(b)のCIシーケンスを示す図である。
【図7】発明の実施の形態により、刺激情報速度を増加させる方法を示す図である。
【図8】発明の実施の形態による刺激電力及び電位要件を減少させる方法を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイを含む移植可能な刺激装置と;
作動可能に前記刺激装置と結合されたプロセッサであって、
順次刺激シーケンスパルスレートと順次刺激シーケンス平均パルス振幅を有し前記マルチチャンネル電極アレイに関する複数の与えられた位置においてそれぞれ所望の電位を生成するための順次刺激シーケンスを決定し、
同時符号相関パルスとチャンネル相互作用補償を使用して前記順次刺激シーケンスを、チャンネル相互作用(CI)パルスレートとチャンネル相互作用(CI)平均パルス振幅を有し前記複数の与えられた位置における前記所望の電位に実質的に等しい電位を生成するためのチャンネル相互作用(CI)シーケンスに変換し、前記CIパルスレートは、前記CIシーケンスがパルス間に時間ギャップを含むように、前記順次刺激シーケンスパルスレートにほぼ等しく、
1パルスあたりの電荷が実質的に変わらないように、前記CIシーケンスの前記平均パルス振幅を小さくすると共にパルス位相持続時間を長くし前記バルス間時間ギャップを小さくする、
ように構成されたプロセッサと;
を含んで成る蝸牛補綴システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記プロセッサは、前記マルチチャンネル電極アレイのうちの少なくとも2つの電極を前記CIシーケンスの関数として同時に活性化させて前記与えられた位置における前記所望の電位を達成するように構成されているシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記CIシーケンスのための前記平均パルス振幅は前記順次刺激シーケンスのための前記平均パルス振幅より小さいシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、システムCIシーケンスに必要であるシステム刺激電力は前記順次刺激シーケンスに必要であるシステム刺激電力より小さいシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記順次刺激シーケンスと前記CIシーケンスは対称二相性電流パルスを含むシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記順次刺激シーケンスは連続インタリーブサンプリング(CIS)シーケンスであるシステム。
【請求項7】
単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイを含む移植可能な刺激装置と;
作動可能に前記刺激装置と結合されたプロセッサであって、
順次刺激シーケンスパルスレートと順次刺激シーケンス平均パルス振幅を有し前記マルチチャンネル電極アレイに関する複数の与えられた位置においてそれぞれ所望の電位を生成するための順次刺激シーケンスを決定し、
同時符号相関パルスと、チャンネル相互作用補償を使用して前記順次刺激シーケンスを、チャンネル相互作用(CI)パルスレートとチャンネル相互作用(CI)平均パルス振幅を有し前記複数の与えられた位置における前記所望の電位に実質的に等しい電位を生成するためのチャンネル相互作用(CI)シーケンスに変換し、前記CIパルスレートは、前記CIシーケンスがパルス間に時間ギャップを含むように前記順次刺激シーケンスパルスレートにほぼ等しく、
前記CIパルスレートを減少させ、前記バルス間時間ギャップを小さくする、
ように構成したプロセッサと;
を含んで成る蝸牛補綴システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、前記プロセッサは、前記マルチチャンネル電極アレイのうちの少なくとも2つの電極を前記CIシーケンスの関数として同時に活性化させて前記与えられた位置における前記所望の電位を達成するように構成されているシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムであって、前記CIシーケンスのための前記平均パルス振幅は前記順次刺激シーケンスのための前記平均パルス振幅より小さいシステム。
【請求項10】
請求項7に記載のシステムであって、システムCIシーケンスに必要であるシステム刺激電力は前記順次刺激シーケンスに必要であるシステム刺激電力より小さいシステム。
【請求項11】
請求項7に記載のシステムであって、前記順次刺激シーケンスと前記CIシーケンスは対称二相性電流パルスを含むシステム。
【請求項12】
請求項7に記載のシステムであって、前記順次刺激シーケンスは連続インタリーブサンプリング(CIS)シーケンスであるシステム。
【請求項13】
単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイを含む刺激装置と;
作動可能に前記刺激装置と結合されたプロセッサであって、同時符号相関パルスと、チャンネル相互作用補償を使用して、チャンネル相互作用(CI)パルスレートとチャンネル相互作用(CI)平均パルス振幅を有し前記マルチチャンネルアレイに関して複数の与えられた位置において所望の電位に実質的に等しい電位を生成するためのチャンネル相互作用(CI)シーケンスを決定し、前記CIシーケンスはパルス間に時間ギャップを含み、
前記プロセッサは、さらに、1パルスあたりの電荷が実質的に変わりなく、かつ、前記パルス間時間ギャップが小さくなるように前記CIシーケンスの前記平均パルス振幅を小さくすると共にパルス位相持続時間を長くするように構成されたプロセッサと;
を含んで成る刺激システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、前記刺激システムは移植蝸牛刺激装置の一部であるシステム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムであって、前記プロセッサは、前記マルチチャンネル電極アレイのうちの少なくとも2つの電極を前記CIシーケンスの関数として同時に活性化させて前記与えられた位置における前記所望の電位を達成するように構成されているシステム。
【請求項16】
請求項13に記載のシステムであって、前記CIシーケンスは対称二相性電流パルスを含むシステム。
【請求項17】
単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイを含む刺激装置と;
作動可能に前記刺激装置と結合されたプロセッサであって、同時符号相関パルスと、チャンネル相互作用補償を使用して、チャンネル相互作用(CI)パルスレートとチャンネル相互作用(CI)平均パルス振幅を有し前記マルチチャンネルアレイに関して複数の与えられた位置において所望の電位に実質的に等しい電位を生成するためのチャンネル相互作用(CI)シーケンスを決定し、前記CIシーケンスはパルス間に時間ギャップを含み、
前記プロセッサは、さらに、前記パルス間時間ギャップが小さくなるように前記CIパルスレートを大きくするように構成されたプロセッサと;
を含んで成る刺激システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、刺激装置が移植蝸牛刺激装置の一部であるシステム。
【請求項19】
請求項17に記載のシステムであって、前記プロセッサは、前記マルチチャンネル電極アレイのうちの少なくとも2つの電極を前記CIシーケンスの関数として同時に活性化させて前記与えられた位置における前記所望の電位を達成するように構成されているシステム。
【請求項20】
請求項17に記載のシステムであって、前記CIシーケンスは対称二相性電流パルスを含むシステム。
【請求項21】
コンピュータで読み込み可能なプログラムコードを有しコンピュータで使用可能なメディアを含んで、単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイにおいて複数の電極を同時に活性化させるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータで読み込み可能なプログラムコードは、
同時符号相関パルスと、チャンネル相互作用補償を使用して、チャンネル相互作用(CI)パルスレートとチャンネル相互作用(CI)平均パルス振幅を有し複数の与えられた位置において所望の電位に実質的に等しい電位を生成するためのチャンネル相互作用(CI)シーケンスを決定するためのプログラムコードであって、前記CIシーケンスがパルス間時間ギャップを含むプログラムコードと、
1パルスあたりの電荷が実質的に変わらないように、かつ、前記バルス間に時間ギャップを小さくするように、前記CIシーケンスの前記平均パルス振幅を小さくすると共にパルス位相持続時間を長くするプログラムコードと、
を含んで成るコンピュータプログラム製品。
【請求項22】
請求項21に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記マルチチャンネル電極アレイの少なくとも2つの電極を前記CIシーケンスの関数として同時に活性化させて前記与えられた位置で前記所望の電位を達成するためのプログラムコードをさらに含むコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
コンピュータで読み込み可能なプログラムコードを有しコンピュータで使用可能なメディアを含んで、単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイにおいて複数の電極を同時に活性化させるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータで読み込み可能なプログラムコードは、
同時符号相関パルスと、チャンネル相互作用補償を使用して、チャンネル相互作用(CI)パルスレートとチャンネル相互作用(CI)平均パルス振幅を有し複数の与えられた位置において所望の電位に実質的に等しい電位を生成するためのチャンネル相互作用(CI)シーケンスを決定するためのプログラムコードであって、前記CIシーケンスがパルス間に時間ギャップを含むプログラムコードと、
前記パルス間時間ギャップが小さくなるように前記CIパルスレートを増加させるプログラムコードと、
を含んで成るコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
請求項23に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記マルチチャンネル電極アレイの少なくとも2つの電極を前記CIシーケンスの関数として同時に活性化させて前記与えられた位置で前記所望の電位を達成するためのプログラムコードをさらに含むコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
コンピュータで読み込み可能なプログラムコードを有しコンピュータで使用可能なメディアを含んで、単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイにおいて複数の電極を同時に活性化させるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータで読み込み可能なプログラムコードは、
順次刺激シーケンスパルスレートと順次刺激シーケンス平均パルス振幅を有し前記マルチチャンネル電極アレイに関して与えられた位置において所望の電位を生成するための順次刺激シーケンスを決定するためのプログラムコードと、
同時符号相関相関パルスとチャンネル相互作用補償を使用して、前記順次刺激シーケンスを、チャンネル相互作用(CI)パルスレートとチャンネル相互作用(CI)平均パルス振幅を有するチャンネル相互作用(CI)シーケンスに変換するためのプログラムコードであって、前記CIシーケンスは前記与えられた位置における前記所望の電位に実質的に等しい電位を生成するものであり、前記CIパルスレートは、前記CIシーケンスがパルス間に時間ギャップを含むように前記順次刺激シーケンスパルスレートと実質的に等しいプログラムコードと、
1パルスあたりの電荷は実質的に変わりがなく、前記バルス間時間ギャップが小さくなるように、前記CIシーケンスの前記平均パルス振幅を小さくすると共に前記パルス位相持続時間を増加させるためのプログラムコードと、
を含んで成るコンピュータプログラム製品。
【請求項26】
請求項25に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記マルチチャンネル電極アレイの少なくとも2つの電極を前記CIシーケンスの関数として同時に活性化させて前記与えられた位置で前記所望の電位を達成するためのプログラムコードをさらに含むコンピュータプログラム製品。
【請求項27】
コンピュータで読み込み可能なプログラムコードを有しコンピュータで使用可能なメディアを含んで、単極電極構成を有するマルチチャンネル電極アレイにおいて複数の電極を同時に活性化させるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータで読み込み可能なプログラムコードは、
順次刺激シーケンスパルスレートと順次刺激シーケンス平均パルス振幅を有し前記マルチチャンネル電極アレイに関して与えられた位置において所望の電位を生成するための順次刺激シーケンスを決定するためのプログラムコードと、
同時符号相関相関パルスとチャンネル相互作用補償を使用して、前記順次刺激シーケンスを、チャンネル相互作用(CI)パルスレートとチャンネル相互作用(CI)平均パルス振幅を有するチャンネル相互作用(CI)シーケンスに変換するためのプログラムコードであって、前記CIシーケンスは前記与えられた位置における前記所望の電位に実質的に等しい電位を生成するものであり、前記CIパルスレートは、前記CIシーケンスがパルス間に時間ギャップを含むように前記順次刺激シーケンスパルスレートと実質的に等しいプログラムコードと、
前記CIパルスレートを大きくし、前記パルス間時間ギャップを小さくするためのプログラムコードと、
を含んで成るコンピュータプログラム製品。
【請求項28】
請求項27に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記マルチチャンネル電極アレイの少なくとも2つの電極を前記CIシーケンスの関数として同時に活性化させて前記与えられた位置で前記所望の電位を達成するためのプログラムコードをさらに含むコンピュータプログラム製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5(a)】
image rotate

【図5(b)】
image rotate

【図6(a)】
image rotate

【図6(b)】
image rotate

【図6(c)】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2008−534210(P2008−534210A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504873(P2008−504873)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002510
【国際公開番号】WO2006/136961
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(502067934)メド−エル・エレクトロメディツィニシェ・ゲラーテ・ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】