説明

低PAH量を有するカーボンブラックおよび製造方法

低PAH濃度を有するゴムブラック等のカーボンブラックが記載されている。さらに、本発明のカーボンブラックを含有するエラストマー組成物またはゴム組成物、ならびに低PAH濃度を有するカーボンブラックの製造方法がさらに記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、先の2006年11月7日出願の米国仮特許出願第60/864、750号明細書(参照することによってその全てを本明細書中に取り込む)の35U.S.C.§119(e)利益を主張する。
【0002】
本発明は、カーボンブラック、エラストマー組成物またはゴム組成物等のカーボンブラック含有組成物、カーボンブラックの製造方法、およびカーボンブラックの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
工業的に製造されるカーボンブラックは、制御された処理条件下の高温の元で炭化水素の熱分解によって提供される。これらの条件下では、PAHとしても公知の微量レベルの多環芳香族炭化水素が、カーボンブラックの表面に生成する。
【0004】
なんらかのPAHは、健康に害を及ぼす効果を有する可能性がある。カーボンブラックに付着しているPAHは、ヒト曝露に直ちに入手できないが、EUの規制および顧客の両者によって、カーボンブラック中でPAHの濃度を低下させるための行動が取られている(Bonn PJらのFormation of PAH−DNA adducts after in vivo and vitro exposureof rats and lung cells to different commercial carbon blacks、Toxicology and Applied Pharmacology、2005 June 1;205(2):157〜167を参照のこと)。最近の例は、
食品との接触を意図するプラスチック材料および物品のための規則を調和させるEU指令2007/19/ECの公布。この指令は、カーボンブラック中での0.25mg/kgのベンゾ(a)ピレン含有量を定めた。この指令の前は、PAH上限がカーボンブラックに存在しなかった、
タイヤの生産で使用されるエキステンダー油中でのPAHの含有量を規制するEU指令2005/69/ECの公布。この指令は、カーボンブラック中のPAHの含有量を直接規制しない;しかし、EUは、難分解性有機汚染物質での長距離の国境を越えた空気汚染の1979コンベンションの1998議定書の要求に応じて、PAHの年間排出物を減らすために、タイヤを生産用に使用されるエキステンダー油およびブレンド中のPAHの含有量を規制することを選択した、
を含む。
【0005】
上記に列挙した例は、より低PAHカーボンブラックへの増加している傾向を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カーボンブラックでのより低PAHへの増加している欲求があるが、PAHのあらゆる減少は、ゴムおよび他の用途におけるカーボンブラックの望ましい性能特性と妥協できない。従って、現在のカーボンブラックによって達成できる特性を犠牲にすることなく、カーボンブラック中のPAH濃度を低下させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、低PAH濃度量を有するカーボンブラックを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる特徴は、ゴムおよび他の用途において受け入れられる物理的な特性を保持する低PAH量を有するカーボンブラックを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる特徴は、低PAH量を有するカーボンブラックを製造する方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる特徴は、望ましいゴム特性を有し、そして低PAH量を有するラバーブラックを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の記載で部分的に記述されるであろうし、そして記載から部分的に明らかであろうし、または本発明の実施から学習できるであろう。本発明の目的および他の利点は、記載および請求項で特に指摘された要素および組み合わせの手段によって実現され、そして達成されるであろう。
【0012】
これらの利点および他の利点を達成するために、そして本明細書中で具体化され、そして広範に記載された本発明の目的に従って、本発明は、22のPAH化合物の規定された群における低全濃度等の低PAH量を有するカーボンブラックに関する(図1を参照のこと)。本発明の目的のために、PAH22は、ベンゾ(j)フルオラントレン以外の図1で特定されるPAHの測定である。また、本発明の目的のためのPAH8は、ベンゾ(a)アントラセン、ベンゾ(a)ピレン、ベンゾ(e)ピレン、ベンゾ(b)フルオラントレン、ベンゾ(j)フルオラントレン、ベンゾ(k)フルオラントレン、クリセン、およびジベンゾ(a、h)アントラセンの測定である。BaPは、ベンゾ(a)ピレンの参照である。例えば、カーボンブラックは、300ppm以下、100ppm以下、または75ppm以下、または30ppm以下等の500ppm程度の22PAHでの低い全濃度を有することができる。
【0013】
本発明は、少なくとも1種のエラストマーまたはポリマーまたはゴムと共に、エラストマー組成物またはゴム組成物中に、本発明の少なくとも1種のカーボンブラックを含有するエラストマー組成物またはゴム組成物に関する。
【0014】
本発明はまた、カーボンブラックからPAHの少なくとも一部を除去するのに充分な高温に、カーボンブラックを曝すステップ、および/またはカーボンブラックを溶媒抽出にかけて、カーボンブラックからPAHの少なくとも一部を除去するステップを含む、低いPAH全濃度を有するカーボンブラックを製造するための方法に関する。本発明はまた、低PAH量を有するカーボンブラックを生産する方法に関し、この方法は、カーボンブラックおよびPAHを含有する高温の排ガスの存在を含むカーボンブラックの製造の間に、カーボンブラックからPAHを有する高温の排ガス(またはそれらの少なくとも一部)を除去することを含む。
【0015】
当然のことながら、先の一般的な記載および以下の詳細な記載の両方は、例示的かつ説明的なだけであり、そして請求項のような本発明のさらなる説明を提供することを目的とする。
【0016】
本願に取り込まれ、そして本願の一部を構成する添付図面は、本発明のいくつかの態様を具体的に示し、そして記載と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の目的のための’’PAH22’’と考えられる22のPAH化合物(ベンゾ(j)フルオラントレンを除く)の表である。
【図2】図2は、PAH22に対する処理温度を示すグラフである。
【図3】図3は、3つのサンプルでの全PAHを示す棒グラフであり、その1つは低い合計濃度のPAHを有する。
【図4】図4は、3つのサンプルのための相対的なゴム特性を示す棒グラフである。
【図5】図5は、サイクロン回復システムの例を示す図である。
【図6A】図6Aは、ナフタレン、コロネンおよび種々の温度にわたってVULCAN7Hカーボンブラックにおいて減少している全PAH22含有量の減少を示すグラフである。
【図6B】図6Bは、ナフタレン、コロネンおよび種々の温度にわたってVULCAN7Hカーボンブラックにおいて減少している全PAH22含有量の減少を示すグラフである。
【図6C】図6Cは、ナフタレン、コロネンおよび種々の温度にわたってVULCAN7Hカーボンブラックにおいて減少している全PAH22含有量の減少を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、低PAH22等の低PAH量を有するカーボンブラックに関する。本発明はまた、少なくとも1種のエラストマーと共に本発明の少なくとも1種のカーボンブラックを含有するゴム組成物またはエラストマー組成物に関する。本発明は、さらに本発明のカーボンブラックの製造方法に関する。
【0019】
本発明の少なくとも1つの態様において、本発明は、低PAH量を有するカーボンブラックに関する。カーボンブラックが低PAH量を有するように、カーボンブラックは生成でき、または市販されているカーボンブラックでは、低PAH量を有するカーボンブラックを生成するように、PAHを除去するために適切に処理できる。本発明のカーボンブラックは、例えば、ヨード吸収、DBPA、粉砕したDBPA、CTAB、窒素表面積、STSAおよび/または着色強度、ならびにその同類のものに関して、すべての基準ASTMカーボンブラック規格で、低PAH量を有することができる。カーボンブラックは、特別なN−シリーズカーボンブラックのためのASTM規格特性を有するN110、N121、N220、N231、N234、N299、N326、N330、N339、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N650、N660、N683、N762、N765、N774、N787および/またはN990カーボンブラック等のASTM規格カーボンブラックであることができる。カーボンブラックは、20m/g〜150m/g以上にかけてSTSAを有することができる。カーボンブラックは、N110 ASTMカーボンブラック〜N990ASTMカーボンブラック、そしてさらに好ましくは、N110〜N500 ASTMカーボンブラック等の低PAH量を有する任意のASTMグレードのカーボンブラックであることができる。あらゆる商業グレードのカーボンブラックは、低PAH量を有するように生成でき、そして/またはその後に本発明に基づく低PAH量を有するように処理できる。カーボンブラックは、ファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、プラズマブラック、ケイ素含有種、および/または金属含有種を含有する炭素製品ならびにその同類のものであることができる。
【0020】
本発明の少なくとも1つの態様において、本発明は、1種または2種以上の低PAH量を有するカーボンブラック(本発明の目的のために、PAH含有量は、21CFRパート17B、FDA Federal Register、v62、#90.Friday May 9、1997に記載された方法によって、測定/テストされ、参照により本明細書中にその全てを取り込む)に関し、そして、任意選択的に、ゴムマトリックス、またはエラストマー組成物中に少なくとも1つの有益な機械的特性を与える能力を有する。少なくとも1つの有益な機械的特性は、以下の1つまたは2つ以上であることができる:
−耐摩耗性(21%すべり)−米国特許第4、995、197号明細書によりテスト。
−伸長(%)−SBR中カーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法調合および評価手順。
−引っ張り強度(MPa);SBR中カーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法調合および評価手順。
〜100%弾性率(MPa);SBR中カーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法調合および評価手順。
〜300%弾性率(MPa);SBR中カーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法調合および評価手順。
−300%弾性率/100%弾性率(M300%/M100%)の比;SBR中カーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法調合および評価手順。
−バウンド(bound)ゴム(%);S.Wolff、M−J Wang、E−H Tan、Rubber Chem Techn、v66、163(1993)。
−ねじれ歪みモード(剪断)で操作したARES/Rheometrics Dynamic Spectrometer II (RDS II、Rheometrics、Inc.,NJ)でテストした0℃での最大tanδ。測定を、0℃、10Hzの一定周波数で、0.2〜120%の範囲で二重振幅歪(DSA)を用いて、歪みスイープで行った。
【0021】
本発明の1つまたは2つ以上の態様において、本発明のカーボンブラックは、低PAH量およびこれらの有益な機械的特性の少なくとも1つ、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、少なくとも6つの、少なくとも7つの、および/または8つ全てのこれらの有益な機械的特性を有することができる。これらの機械的特性は、上記それぞれの機械的特性の次に提供される公知のASTMまたは認定基準(Published Standard)によって測定される。
【0022】
本発明の少なくとも1つの態様において、本発明は、低PAH22等の低PAH量を有するカーボンブラックに関し、カーボンブラックは、少なくとも1つの有益な機械的特性を与える能力を有する、上記の様に、これらの機械的特性の少なくとも1つは、高PAH22等の高PAHを有する同じタイプのカーボンブラックと同等の機械的特性値の10%以内(例えば、5%以内、3%以内、1%以内)である。高PAH22は、例えば、600ppm〜1、000ppm等の600ppm以上のPAH22であることができる。低PAH量および高PAHを有する同じタイプのカーボンブラックと同等の機械的特性の10%以内にあるポリマーマトリックス中において少なくとも1つの有益な機械的特性を与える能力を有する本発明のカーボンブラックは、有益な機械的特性の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、および/または8つ全てのこれらの有益な機械的特性に関してであることができる。言い換えれば、本発明は、低PAH22等の低PAH量を有するカーボンブラックを提供する能力を有し、そしてエラストマー組成物等のポリマーマトリックス、少なくとも比較できる(この比較は、特別な機械的特性の10%以内(例えば、5%以内または1%以内)を意味すると理解される)機械的特性またはゴム特性を与える。
【0023】
本発明の目的のために、低PAH量は、低PAH22を含み、または低PAH22によって規定される。上記に示したように、PAH22は、本願の図1に記載のPAHの測定である。本発明の目的のために、低PAH量は、低PAH22によって規定できる。好適な量の例は、カーボンブラック中に存在するPAH22の量に関して500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、150ppm以下、125ppm以下、100ppm以下、75ppm以下、50ppm以下、25ppm以下を含む。好適な範囲は、カーボンブラック中に存在するPAH22の全量に関して約1ppm〜約500ppm、5ppm〜500ppm、15ppm〜500ppm、5ppm〜50ppm、5ppm〜100ppm、1ppm〜100ppm、または1ppm〜30ppmを含む。上記に提供した範囲または量のいずれかで、下限は、0.1ppm、1ppm、2ppm、5ppm、10ppm、または15ppmであることができる。範囲は、正確にであるかまたは約(例えば、’’約1ppm’’およびその同類のもの)であることができる。少なくとも1つの態様において、これらのppm範囲は、PAHのすべてまたは任意の数(例えば、すべてのPAHまたはPAHの1種もしくは2種以上)に適用できる。本発明の目的のために、PAH22は、ベンゾ(j)フルオラントレンを除き図1で特定されたPAHの測定である。また、本発明の目的のためのPAH8は、ベンゾ(a)アントラセン、ベンゾ(a)ピレン、ベンゾ(e)ピレン、ベンゾ(b)フルオラントレン、ベンゾ(j)フルオラントレン、ベンゾ(k)フルオラントレン、クリセン、およびジベンゾ(a、h)アントラセンの測定である。BaPは、ベンゾ(a)ピレンの参照である。
【0024】
1種または2種以上の態様において、本発明のカーボンブラックの1種または2種以上は、0.2〜1.5マイクログラム/m、または0.3〜1.25マイクログラム/m、または0.4〜1.0マイクログラム/m、およびその同類のもの等の約0.15〜約2マイクログラム/mのPAH含有量を有することができる。
【0025】
1つまたは2つ以上の態様において、および任意選択的に別個の態様として、本発明は、約0.15〜約2マイクログラム/mのPAH含有量を有するカーボンブラックに関し、該PAH含有量は、PAH22含有量に基づいて決定され、そして任意選択的にカーボンブラックは、任意の1つまたは2つ以上の特徴および/または特性を有することができ、そして任意選択的に本明細書中に記載されたようなポリマーまたはゴム調合物(または他の調合物)の一部であることができる。他の範囲は、0.2〜1.5マイクログラム/m、または0.3〜1.25マイクログラム/m、または0.4〜1.0マイクログラム/m、およびその同類のものを含む。
【0026】
1つまたは2つ以上の態様において、本発明は、低PAH含有量を有するカーボンブラックに関する。PAH含有量は、決定されることができ、そして好ましくは、本明細書中に示されたPAH22含有量に基づいて決定される。カーボンブラックは、ファーネスカーボンブラックまたは本明細書中に記載された他のカーボンブラックであることができる。1つまたは2つ以上の態様において、低PAH含有量を有するカーボンブラックは、特別なSTSA範囲、特別なI/STSA比、ならびに特別なPAH含有量および、ある場合には、特別なDBP範囲に基づいている。1つまたは2つ以上の態様において、本発明のカーボンブラックは、以下の群の1つまたは2つ以上から選択できる。
a)STSA:110〜250m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):1.2〜0.70
PAH:400ppm以下
b)STSA:80〜110m/g、
No(mg/g)/STSA(m/g):1.15〜0.70
PAH:30ppm以下
c)STSA:65〜75m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):1.10〜0.88
PAH:500ppm以下
DBP:115〜125mL/100g
d)STSA:65〜80m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):0.70〜0.88
PAH:500ppm以下
e)STSA:1〜35m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):1.40〜0.70
PAH:50ppm以下;または
f)STSA:70〜90m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):1.00〜1.20
PAH:50ppm以下
DBP:60〜80mL/l00g;または
No(mg/g)/STSA(m/g):0.91〜1.08
PAH:100ppm以下
DBP:109〜119mL/l00g。
上記の群は、特性とPAH含有量との特別な組み合わせを提供し、ゴムまたはエラストマー調合物(または他の調合物)およびその同類のものを含むが、これらに限られない種々の用途において特に有用である。
【0027】
上記群a)〜g)のそれぞれに関して、以下は、使用できる特別な範囲、準範囲、およびその同類のものの例である。
a)STSA(m/g):110〜200;110〜180;110〜175;110〜130;115〜250;115〜200;115〜180;115〜175;120〜250;120〜200;120〜175;125〜250;および/または、
No(mg/g)/STSA(m/g):1.15〜0.7;1.2〜0.7;1.1〜0.7;1.0〜0.7;0.9〜0.7;1.0〜0.8;1.2〜0.8;1.2〜0.9;1.15〜0.8;および/または、
PAH(ppm):350以下;300以下;250以下;200以下;50以下;1〜150;100以下;20以下;1〜200;5〜200;10〜200;10〜100;5〜150;5〜100;5〜50;1〜50;1〜20;1〜10。
b)STSA(m/g):80〜105;80〜100;80〜90;82〜110;83〜110;83〜105;85〜105;90〜110;90〜107;83〜100;および/または、
No(mg/g)/STSA(m/g):1.10以下;1.15〜0.7;1.15〜0.8;1.10〜0.75;1.0〜0.75;1.15〜0.85;および/または、
PAH(ppm):1〜20;10以下;1〜10;5〜30;1〜30;3〜30;1〜15;1〜25。
c)STSA(m/g):66〜68;67〜75;70〜75;68〜72;69〜70;70〜74;および/または、
No(mg/g)/STSA(m/g):1.1〜0.89;1.1〜0.90;1.1〜0.90;1.0〜0.96;1.0〜0.95;1.05〜0.90;および/または、
PAH(ppm):1〜450;400以下;350以下;300以下、250以下;200以下;175以下;150以下;125以下;100以下;75以下;55以下、45以下;1〜5;1〜9;1〜8;1〜7;1〜6;8以下;0.5〜9。
c)のカーボンブラックの例は、N−351カーボンブラックであることができる。
d)STSA(m/g):68〜80;70〜80;72〜80;70〜77;68〜75;72〜80;69〜74;および/または、
No(mg/g)/STSA(m/g):0.88〜0.72;0.85〜0.72;0.83〜0.70;0.85〜0.7;0.85〜0.75;および/または、
PAH(ppm):400以下;200以下;150以下;1〜100;50以下;20以下;1〜500;1〜400;1〜300;1〜200;0.5〜100;0.5〜50;1〜30;1〜25;1〜20;1〜10;0.5〜10;0.5〜5。
e)STSA(m/g):1〜30;3〜25;5〜20;7〜20;7〜30;2〜20;2〜15;および/または、
No(mg/g)/STSA(m/g):1.3以下;1.2以下;1.15以下;1.10以下;1.0以下;0.9以下;1.4〜0.7;1.3〜0.7;1.25〜0.7;1.2〜0.7;1.15〜0.7;0.9〜0.7;0.95〜0.7;0.75〜0.7;および/または、
PAH(ppm):1〜20;20以下;1〜50;1〜40;1〜30;1〜20;1〜10;0.5〜5;3〜50;3〜25。
f)STSA(m/g):70〜87;70〜85;73〜90;73〜85;73〜80;72〜77;および/または、
No(mg/g)/STSA(m/g):1.0〜1.15;1〜1.1;1.05〜1.2;1.05〜1.15;および/または、
PAH(ppm):20以下;10以下;1〜20;1〜50;1〜40;1〜30;1〜20;1〜10;0.5〜5;3〜50;3〜25;および/または、
DBP(mL/100g):65〜80;70〜80;72〜80;65〜78;68〜77;69〜76。
f)のカーボンブラックの例は、N−326カーボンブラックであることができる。
g)STSA(m/g):90〜95;89〜94;90〜94;および/または、
No(mg/g)/STSA(m/g):0.92〜1.07;0.94〜1.05;0.96〜1.03;0.97〜1.00;および/または、
PAH(ppm):80以下;60以下;50以下;40以下;30以下;20以下;10以下;1〜20;1〜50;1〜40;1〜30;1〜20;1〜10;0.5〜5;3〜50;3〜25;および/または、
DBP(mL/100g):110〜115;112〜114;111〜118;113〜117。
g)のカーボンブラックの例は、N−375カーボンブラックであることができる。
【0028】
任意選択的に、PAH22含有量に加えて、または別個で、カーボンブラックa)のためのPAH8は、15ppm以下(例えば、12ppm以下、0.5ppm〜10ppm、1ppm〜5ppm、5ppm以下)であることができる。さらにまたは替わりに、BaPは、4ppm以下(0.1ppm〜4ppm、0.5ppm〜3ppm)であることができる。本発明のカーボンブラックは、等しくより低いPAH8を有することができ、そして一般的に本明細書中に記載されたPAH22値より、少なくとも50%(例えば、50%〜80%低い)PAH8を有することができる。さらに、カーボンブラックのためのBaPは、典型的には本明細書中に記載されたPAH22値より、少なくとも75%低い(例えば、75%〜95%低い)ことができる。
【0029】
本発明の少なくとも1つの態様において、本発明のカーボンブラックは、その用語が業界において理解されるような、ゴムグレードのまたはタイヤグレードのカーボンブラックであることができる。少なくとも1つの態様中の本発明のカーボンブラックは、約20m/g〜200m/gまたは約20m/g〜150m/gまたは約80〜約140m/gのSTSA(m/g)を有することができる。例えば、STSAは、約80〜約100m/gまたは約80〜約90m/gであることができる。選択肢として、カーボンブラックは、0.7(以下)〜0.98等の1.0未満のヨードNo/STSA比を有することができる。
【0030】
1つまたは2つ以上の態様において、本発明のカーボンブラックは、y以下
y=0.004x+(0.6221)
(式中、y=I./STSAおよびx=STSA、式中、STSAは、20m/g〜150m/gであることができる。)であるINo/STSA比を有することができる。
カーボンブラックのヨード数(INo.)は、ASTMテスト手順D1510に従って決定される。STSA(統計的厚み表面積)は、ASTMテスト手順D−5816(窒素吸着によって測定される)に基づいて決定される。
【0031】
本発明の少なくとも1つの態様において、ゴムグレードのまたはタイヤグレードのカーボンブラック等のカーボンブラックは、20m/g〜150m/gまたは80〜約140m/gのSTSAの組み合わせで、以下の機械的特性またはゴム特性の1つまたは2つ以上を有することができ、カーボンブラックがゴム調合物中に存在する場合、機械的特性および/またはゴム特性は、SBR中のカーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法−調合および評価手順に従って決定される:
80〜170の耐摩耗性(21%すべり);
300〜600の伸長(%);
20〜35の引っ張り強度(MPa);
2.4〜4.5の100%弾性率(MPa);
12〜23の300%弾性率(MPa);
3.5〜6の300%弾性率/100%弾性率(M300%/M100%)の比;
15〜30のバウンドラバー(%);および/または
0℃で、0.25〜0.4の最大tanδ。
これらの特性は、1種または2種以上のゴムコンパウンドで達成でき、そしてゴムが天然ゴムおよび/またはSBRの場合、達成できる。
【0032】
本発明の1つまたは2つ以上の態様において、本発明は、上記の様に低PAH量を有し、ならびに20m/g〜150m/gまたは80〜140m/gのSTSAおよびそれぞれの特性で提供された式
耐摩耗性(21%すべり):y=5/6(x)+(43+/−10)
に基づいて以下の機械的特性の1つまたは2つ以上を有するカーボンブラックに関し、式中、xは、カーボンブラックのSTSA(m/g)であり、そしてyは、機械的特性である。
上記で確認された他の機械的特性は、STSAと同じかまたは類似の関係を有することができる。
【0033】
1つまたは2つ以上の態様において、本発明は、本発明の少なくとも1種のカーボンブラックおよび少なくとも1種のエラストマーを含有するエラストマー組成物またはゴムマトリックスに関する。カーボンブラックは、類似のモルホロジーを有するが、より高いレベルのPAHを有するカーボンブラックで一般的に使用されるエラストマーについて、同じ比率で使用できる。当業者は、適当な比がカーボンブラックのモルホロジー、マトリックス組成物、および充填されたポリマーの所望の使用によることを認識するであろう。表面積および構造により、種々のカーボンブラックは、約10phr〜約100phr、例えば、約10phr〜約60phrの配合量で用いることができる。
【0034】
さらに、エラストマー組成物を生成させるために本発明中で使用されるエラストマーに関して臨界がない。1種または2種以上のエラストマーは存在でき、そして使用できるエラストマーはゴム組成物等のエラストマー組成物の生成において従来のものである。エラストマーは従来の量で使用できる。
【0035】
任意の好適なエラストマーは、本発明のエラストマー化合物を提供するために、カーボンブラックと混ぜ合わせることができる。そうしたエラストマーは、1、3ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2、3−ジメチル−1、3−ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、およびプロピレンのホモまたはコポリマーを含むがこれらに限られない。エラストマーは、示差走査熱量法(DSC)によって測定して約−120℃〜約0℃の範囲のガラス転移点(Tg)を有することができる。例は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびそれらの油展誘導体を含むがこれらに限られない。先のいずれかのブレンドをまた、使用できる。
【0036】
ゴムの中で本発明での使用に好適なのは、天然ゴムおよび塩素化ゴム等のその誘導体である。本発明のカーボンブラックはまた:19部のスチレンと81部のブタジエンとのコポリマー、30部のスチレンと70部のブタジエンとのコポリマー、43部のスチレンと57部のブタジエンとのコポリマーおよび50部のスチレンと50部のブタジエンのコポリマー等の約10〜約70wt%のスチレンと、約90〜約30wt%のブタジエンとのコポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の共役ジエンのポリマーおよびコポリマーおよびその同類のもの、ならびにスチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2−ビニルピリジン、5−メチル2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、アルキル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、アクリル酸およびジアルキルアクリル酸アミド等の、それらのαメチレンカルボン酸およびエステルおよびアミド等のそれらと共重合可能なモノマーを含有するエチレン性基を有するそうした共役ジエンのコポリマー等の合成ゴムを用いて使用でき;また本明細書中において使用に好適なのは、エチレンおよびプロピレン、ブテン−1およびペンテン−1等の他の高αオレフィンのコポリマーである。
【0037】
本発明のエラストマー化合物は、エラストマー化合物の特性をさらに高めるために、1種または2種以上のカップリング剤とさらに混合できる。カップリング剤は、本明細書中で使用される場合、カーボンブラックまたはシリカ等のフィラーと結合してエラストマーとなることができる化合物を含むがこれらに限られない。有用なカップリング剤は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン(Si−69)、3−チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(Degussa AG、GermanyからのSi−264、)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Union Carbide Corp.、Danbury、ConnecticutからのAI89);ジルコニウムジネオアルカノールアトジ(3−メルカプト)プロピオネート−O(Bayorme、New JerseyのKenrich Petrochemicals、Inc.、からのNZ66A、)等のジルコネートカップリング剤等のシランカップリング剤;チタネートカップリング剤;N、N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1、6−ジアミノヘキサン(日本の住友化学工業からのSumifine1162)等のニトロカップリング剤;および先のもののいずれかの混合物を含むがこれらに限られない。カップリング剤は、好適なキャリアーとの混合物、例えば、Degussa AGから入手可能であるSi−69とN330カーボンブラックとの混合物であるX50−Sとして提供できる。
【0038】
本発明中に開示されたエラストマー組成物は、加硫処理組成物(VR)、熱可塑性加流物(TPV)、熱可塑性エラストマー(TPE)および熱可塑性ポリオレフィン(TPO)を含むがこれらに限られない。TPV、TPE、およびTPO材料は、性能特徴の損失無く何回か押し出され、そして成形されるそれらの能力によってさらに分類される。
【0039】
したがって、本発明のエラストマー組成物は、エラストマー、硬化剤、補強フィラー、カップリング剤、および、任意選択的に、種々の処理助材、油増量剤、および劣化防止剤を含むことができる。上記のような例に加えて、エラストマーは、1、3ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2、3−ジメチル−1、3ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレンから製造されるポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマー、およびターポリマー)およびその同類のものであることができるが、これらに限られない。これらのエラストマーが、DSCによる測定で、−120℃〜0℃にガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。そうしたエラストマーの例は、ポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレンコ−ブタジエン)、およびポリ(イソプレン)を含む。
【0040】
エラストマー組成物は、例えば、硫黄、硫黄供与体、活性化剤、加速剤、過酸化物等の1種または2種以上の硬化剤、およびエラストマー組成物の加流を行わせるのに使用される他の系を含むことができる。米国特許第。6、573、324号明細書;米国特許第6、559、209号明細書;米国特許第6、518、350号明細書;米国特許第6、506、849号明細書;米国特許第6、489、389号明細書;米国特許第6、476、154号明細書;米国特許第6、878、768号明細書;米国特許第6、837、288号明細書;米国特許第6、815、473号明細書;米国特許第6、780、915号明細書;米国特許第6、767、945号明細書;米国特許第7、084、228号明細書;米国特許第7、019、063号明細書;および米国特許第6、984、689号明細書の特許は、硬化剤、エラストマー、用法、および本発明中で使用できるその同類のもの等の種々の成分の例を提供する。これらの特許のそれぞれは、参照によりその全てを本明細書中に取り込む。
【0041】
本発明の組成物(例えば、エラストマーまたは他の組成物または調合物)は、選択肢として、高PAHを有するカーボンブラックを含むことができ、または、本発明のカーボンブラックと共に、従来のカーボンブラック(または任意の他のフィラーまたは補強剤)を含むことができる。好ましくは、高PAHカーボンブラックまたは従来のカーボンブラックの量は、存在する全カーボンブラック(例えば、0wt%〜30wt%、または0.01wt%〜10wt%、または0.01wt%〜1wt%)の30wt%以下等の0〜少量である。
【0042】
当業者に周知の従来技術は、エラストマー組成物を調製し、そしてカーボンブラックを取り込むために使用できる。ゴムまたはエラストマー化合物の混合は、ゴム混合技術において当業者に公知の方法によって達成できる。例えば、成分は、典型的には、少なくとも2つの段階、すなわち、少なくとも1つの非生産的段階に続く生産的混合段階において混合される。最終の硬化物は、典型的には’’生産的’’混合段階と通常呼ばれる最終段階(混合は典型的には温度、または先行する非生産的混合段階の混合温度より低い究極温度で生じる)において混合される。’’非生産的’’および’’生産的’’混合段階の用語は、ゴム混合技術における当業者に周知である。米国特許第5、763、388号明細書、米国特許第6、048、923号明細書、米国特許第6、841、606号明細書、米国特許第6、646、028号明細書、米国特許第6、929、783号明細書、米国特許第7、101、922号明細書、および米国特許第7、105、595号明細書中に開示されているもの等の充填されたエラストマー組成物を生産するための湿式マスターバッチ方法はまた、本発明の種々の態様により、カーボンブラックを含有するエラストマー組成物を生産するのに使用でき、そしてこれらの特許は、参照によりその全てを本明細書中に取り込む。
【0043】
エラストマー組成物または本発明のゴムマトリックスに関して、エラストマー組成物は、本発明の少なくとも1種のカーボンブラックおよび少なくとも1種のエラストマーを含む。エラストマー組成物は、上記で確認した態様のいずれかにおいて、予め確認された機械的特性の1つまたは2つ以上を有することができる。タイヤおよび工業製品を含む製造の種々の物品は、本発明のエラストマー組成物からなる少なくとも1種の成分を含むことができる。例えば、本発明のエラストマー組成物は、タイヤ、ベルトまたはホースの製造において等の補強材料との複合物を生成するために使用できる。好ましくは、本発明の組成物は、タイヤの形態、および例えば、タイヤのトレッド、ワイヤーコート、ビードコート、サイドウォール、アペックス、チャファーおよびプライコートの1種または2種以上を含むさらに特にタイヤの構成部分である。
【0044】
本発明のカーボンブラックは、種々の方法で製造できる。例えば、市販されているカーボンブラックであるカーボンブラックで始められる。出発材料の例は、N234カーボンブラックを含む市販されているゴムグレードのカーボンブラックまたはタイヤグレードのカーボンブラックを含むがこれらに限られない。カーボンブラックは、カーボンブラックのNl00シリーズ、N200シリーズ、N300シリーズ、N400シリーズ、N500シリーズ、N600シリーズ、および/またはN700シリーズであることができる。例えば、使用できるカーボンブラックは、N110〜N990 ASTMカーボンブラック(例えば、NI l0、N121、N220、N231、N234、N299、N326、N330、N339、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N650、N660、N683、N762、N765、N774、および/またはN990)を含むがこれらに限られない。カーボンブラックは、N220〜N375 ASTMカーボンブラックであることができる。出発材料の市販されている例は、Cabot CorporationからのVulcan(商標)7HカーボンブラックおよびVulcan(商標)Jカーボンブラックを含むがこれらに限られない。市販されているカーボンブラックは、次にカーボンブラックと処理されて、一般的にカーボンブラックの表面上にあるPAHの少なくとも一部を除去できる。一般的に、除去されたPAHおよびさらに好ましくは、除去されたPAH22の量は、上記で確認された低PAH値を達成するのに充分な値である。
【0045】
本発明のカーボンブラックは、例えば、Vulcan(商標)グレードカーボンブラック、Sterling(商標)グレードカーボンブラック、Regal(商標)カーボンブラック、Black Pearl(商標)カーボンブラック、ASTMグレードカーボンブラック、ゴムグレードのカーボンブラック、Spheron(商標)カーボンブラック、およびその同類のものを生成するのに使用される商業的に入手可能な技術からのSTSAパラメーターおよびI/STSAに関して調製できる。具体例は、ASTM 121カーボンブラック、Vulcan(商標)10 カーボンブラック、Vulcan(商標)10H カーボンブラック、Vulcan(商標)M カーボンブラック、Vulcan(商標)J カーボンブラック、Regal(商標)300 カーボンブラック、Vulcan(商標)3 カーボンブラック、Vulcan(商標)3H カーボンブラック、Vulcan(商標)K カーボンブラック、Sterling(商標)SO カーボンブラック、Sterling(商標)NSl カーボンブラック、Regal(商標)85 カーボンブラック、Spheron(商標)5000 カーボンブラック、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。STSAおよび/またはINo/STSA比を有する商業的に種々のカーボンブラックを製造するのに使用される技術は使用できるが、同時に、望ましい低PAH範囲を達成することに関して本明細書中で説明された技術は、ゴムおよびエラストマー調合物を含む種々の用途ならびに他の調合物および用途において有用である好適なパラメーターの組み合わせを作り出すために組み合わせて使用される。
【0046】
PAHを除去するための方法の例は、PAHまたはそれらの一部が除去されるように、任意選択的に不活性(例えば、窒素)または真空雰囲気中において、より高いPAHを有するカーボンブラックを充分な高温にさらすこと、または充分な高温で処理することを含むことができる。カーボンブラックは、カーボンブラックからPAHの大部分を除去して、上記に提供された望ましい低PAH値を達成するために、例えば、約300℃〜約500℃(500℃〜950℃等のそれ以上)の程度の充分な温度に曝される。この加熱は、約10分〜約10時間以上等のPAHの除去を達成するために、任意の充分な時間で行うことができる。この加熱は、高温に、そして好ましくは、不活性または真空雰囲気中に、微粒子を曝すことができる任意のタイプの炉または他のデバイスで起こることができる。熱処理に関する温度は、カーボンブラックが達成する温度に関してであり、そしてこの温度は、350℃〜500℃または400℃〜500℃、およびその同類のもの等の300℃〜500℃であることができる。500℃〜750℃または500℃〜950℃以上等の500℃超の温度を使用できる。
【0047】
別の方法において、PAHは、カーボンブラックを、トルエン等の有機溶媒を使用してソックスレー抽出等の溶媒抽出プロセスにかけることによって、カーボンブラックから除去されたまたは減少させることができる。好適な溶媒のほかの例は、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、塩化メチレン、キシレン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはこれらの任意の混合物を含むがこれらに限られない。一般的に、溶媒の任意の量を使用できる。例えば、100グラムのカーボンブラックでは、250ml〜1リッター(以上)の溶媒を使用でき、そしてこれらの範囲未満または超の量を使用できる。抽出は、特にソックスレー抽出に関しては、24時間以上等の1時間以上であることができる。カーボンブラックは、複数の処理(例えば、熱および溶媒抽出、同一または違う溶媒を用いた複数の熱処理、および/または複数の溶媒抽出)にかけられることができる。
【0048】
低PAH量を有するカーボンブラックを生成することに関して、この方法は、カーボンブラックが生成される直後に行うことができ、または予め製造したカーボンブラックで行うことができる。従って、本発明の方法は、カーボンブラックを製造するための連続的なプロセスに取り込むことができる。さらに、本願において、カーボンブラックは、カーボンブラックの製造の間に、低PAH量を有して生成可能であり、例えば、製造プロセスの間にPAHがカーボンブラック上に濃縮されないように、カーボンブラック製造プロセスから高温の排ガスが除去される。この方法によって生成可能であるカーボンブラックは、先に予め記載したまたは他のグレードの任意のカーボンブラックであることができる。カーボンブラックは、ガス形態のPAHが容易に除去されるように、約750℃または約800℃等の約260℃〜約950℃の温度のガス相から分離でき、そしてこの温度は、カーボンブラックの表面に影響を与えないように充分低い。他の温度範囲は、300℃〜900℃、400℃〜900℃、500℃〜900℃、600℃〜900℃、650℃〜900℃、700℃〜850℃、およびその同類のものまたはそれらの近くを含む。任意のASTMグレードカーボンブラック等の任意のカーボンブラックは、このように製造でき、そして低PAH量を達成できる。
【0049】
例えば、不活性な雰囲気における等の熱処理は、PAH化合物が揮発し、そしてその後にカーボンブラックの表面から脱着して、化学的に影響を受けていない他の表面を残すことを可能にすると考えられている。図2は、窒素雰囲気中での熱処理温度の関数としてのV7HでのPAH22の減少を示す。グラフは、処理温度が高まり、全PAHレベルが減少し、そして約500℃の温度で、ほぼ75wt%のPAHが除去されたことを示す。反応器において、熱分解プロセスによって合成されたPAH分子は、ガス相中に存在し、そしてブラックが200℃未満の温度に冷却されるにつれて、PAHの大部分は、カーボンブラックの表面上に凝縮する。脱着曲線と吸着曲線との間のヒステリシスにより、脱着曲線上におけるより、吸着曲線上で、はるかに低い温度において、等量のPAHを除去できる。従って、PAHがガス相中にまだある間に、カーボンブラックは、高温で排ガスから分離でき、そしてこの方法は、低PAH量カーボンブラックを生成するであろう。
【0050】
従って、1つまたは2つ以上の態様において、本発明は、本発明のカーボンブラックの生産に関し、PAHまたはそれらの一部が除去されて、このカーボンブラックを生成するように、この方法は、任意選択的に不活性または真空雰囲気において500ppm超のPAHを有するカーボンブラックを充分な高温に曝すこと、または充分な高温で処理することを含む。この高温は約300℃〜約950℃程度であることができ、この高温はカーボンブラックが到達するであろう温度である。
【0051】
1つまたは2つ以上の態様において、本発明のカーボンブラックは、カーボンブラックおよびPAHを含有する高温の排ガスの存在を含むカーボンブラックの製造の間に生成できる。この方法は、任意の様式でPAHを含む高温の排ガスをカーボンブラックから除去することを含む。高温の排ガスは、高温の排ガスがカーボンブラックから除去される間、400℃〜約900℃、または約500℃〜約950℃等の260℃〜約950℃の温度であることができる。この方法でのカーボンブラックの製造は、そこに記載された相違または変化と共に、米国特許第6、926、877号明細書;米国特許第6、485、693号明細書;米国特許第6、273、142号明細書;米国特許第6、024、135号明細書;米国特許第6、348、181号明細書;米国特許第6、156、837号明細書;米国特許第6、086、841号明細書;および米国特許第5、190、739号明細書に記載された等の従来方法を使用して従来のファーネスカーボンブラック反応器で起こることができる。1つまたは2つ以上の態様において、カーボンブラックが高PAH含有量無しで回収できるように、サイクロンまたはサイクロンフィルターは、カーボンブラックから高温の排ガスを分離するために使用される。別の方法として、または組み合わせで、高温フィルターは、上記の様に使用できる。この方法において、フィルターまたは他の貯蔵容器内に回収されたカーボンブラックを導入する前に、排ガスから一旦除去されたカーボンブラックの温度を400℃未満または200℃未満の温度まで低くすることまたは減ずることをこの方法は含む。カーボンブラック温度を200未満℃または400℃未満に下げる冷却不活性ガスまたは冷却ジャケット等の他の冷却メカニズム、およびその同類のもの等の任意の様式を使用できる。例えば、蒸気流動床を使用できる。カーボンブラックからの高温の排ガスの分離は、高温の排ガスが所望の仕様でカーボンブラックを生成させる目的のために、もはや必要でなくなるいかなる点においても起こることができる。高温の排ガスは、さます前および排ガス中でのカーボンブラックの生成後に、一般的に除去できる。本発明では、そして以前の従来のカーボンブラック製造方法と異なり、高温の排ガスは、排ガスの温度を下げるために冷却されないが、しかし代わりに、高温の排ガスは、カーボンブラックから除去される。そうすることによって、高温の排ガスは、次に任意の用途のために再利用できる。例えば、高温の排ガスは、同一または違なるカーボンブラック炉反応器、例えば、国際公開第2000/032701号パンフレット(本明細書中にその全部を取り込む)に記載された系を使用するために再利用でき、脱水ステップを省略できる。また、あるいは別の方法として、高温の排ガスは、任意のエネルギー需要のための熱源として使用することによって再利用できる。別の方法では、またはさらに、再利用された高温の排ガスは、カーボンブラック乾燥機等の1つまたは2つ以上の乾燥機に向けられ、そして乾燥機への熱源または部分的な熱源としての機能することができる。例えば、カーボンブラック乾燥機は、カーボンブラックを乾燥させるために使用され、そしてこのように、カーボンブラックから湿気を除去するのに充分高い温度を生成するために実質的な熱源を必要とする。再利用された高温の排ガスは、乾燥機に向けられ、そして乾燥機への少なくとも部分的な熱源として機能することができる。注目されるのは、乾燥機への熱源の少なくとも一部によって、排ガス中のPAHが部分的にまたは完全に破壊されるような温度に充分に達することができる。言い換えれば、排ガス中のPAHは、非PAH分子に分解するであろうし、またはさもなければもはやPAHでは無くなると考えられるであろう。従って、この再生利用は、高温の排ガスのための使用を提供するだけでなく、さらにPAHとしてリスクを呈さないようなPAHの有益な分解となる。
【0052】
本発明の目的のために、短時間で急冷したカーボンブラックは、熱分解からの生成後に、カーボンブラックが短時間で急冷されて、カーボンブラックの生成反応を停止したプロセスによって生成されたカーボンブラックである。短時間での急冷は、95%またはより低いCBトルエン脱色(ASTM D1618によりテストされる)値を確かにするファーネスカーボンブラック製造プロセスのパラメーターであり、本発明の方法では、カーボンブラックからPAHを除去する方法は、カーボンブラックが炉中で生成される所(例えば、ファーネスタイプのブラック)では特に有用であり、そしてカーボンブラックが短時間の急冷の使用から生成される所では、用語が理解されるとおりに、特に有効である。短時間で急冷したカーボンブラックの例は、Vulcan(商標)7H カーボンブラック、Vulcan(商標)J カーボンブラック、Vulcan(商標)10H カーボンブラック、Vulcan(商標)10 カーボンブラック、Vulcan(商標)K カーボンブラック、Vulcan(商標)M カーボンブラック、およびN−121 カーボンブラックを含むがこれらに限られない。1つまたは2つ以上の態様において、本発明は、このように100ppm以下のPAH含有量を有する短時間で急冷したカーボンブラックに関する。短時間で急冷したカーボンブラックは、ファーネスカーボンブラックであることができる。PAH含有量はPAH22含有量に基づいて決定される。短時間で急冷したカーボンブラックは、N110〜N787 ASTMカーボンブラックであることができる。短時間で急冷したカーボンブラックは、PAH含有量、STSA、INo(mg/g)/STSA(m/g)比、DBP、およびその同類のものに関して上記のパラメーターのいずれかを有することができる。
【0053】
さらに、本発明において、本発明は、カーボンブラックからあるタイプのPAHを選択的に除去できる。例えば、200(例えば、1〜199)未満程度の低分子量PAHは、本発明の方法により実質的に除去できる。低MW PAHは、PAH22について上記で参照したppmレベルを有することができる。また、このタイプの方法は、PAHまたはより大量%のPAHを選択的に除去できる。例えば、加熱は、コロネン、フルオランテン、アセナフチレン、シクロペンタ(cd)ピレン、アンタントレン、またはインデノピレンのPAHを大量%で除去できる。溶媒抽出は、ピレン、ナフタレン、ベンゾ(e)ピレン、ベンゾ(ghi)フルオランテン、または1、12ベンズペリレンのPAHを大量%で除去できる。
【0054】
本発明のカーボンブラックは、従来のカーボンブラックと同じ用途で使用できる。本発明の1超のタイプのカーボンブラックは、任意の調合物、組成物、または用途において使用できる。
【0055】
本発明によるカーボンブラックは、多くの最終用途への適用において使用できる。これらの用途は、例えば、プラスチック組成物、インク、トナー、印刷版、被膜、ゴム組成物、紙組成物、成形、成形組成物、フィルム、パイプ、および繊維製品組成物を含む。
【0056】
本発明のカーボンブラックは、プラスチック材料等の任意のマトリックス中で顔料または着色剤として使用できる。本発明のカーボンブラックはまた、プラスチック材料に伝導度を与えるために使用できる。
【0057】
カーボンブラックはまた、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または工業化材料、例えば、複合物を含むがこれらに限定されない種々のプラスチックと共に使用できる。典型的な種類の熱可塑性樹脂は:(1)アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂;(2)アセタール;(3)アクリル;(4)セルロース;(5)塩素化ポリエーテル;(6)ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP)等のフルオロカーボン;(7)ナイロン(ポリアミド);(8)ポリカーボネート;(9)ポリエチレン(コポリマーを含む);(10)ポリプロピレン(コポリマーを含む);(11)ポリスチレン;(12)ビニル(ポリビニルクロライド);(13)ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル;(14)ポリフェニレンエーテルアロイ;ならびに上記のブレンドおよびゴム改質剤とのアロイを含む。典型的な熱硬化性樹脂は:(1)アルキド;(2)アリル基;(3)アミノ(メラミンおよび尿素);(4)エポキシ;(5)フェノール成分;(6)ポリエステル;(7)シリコーン;および(8)ウレタンを含む。
【0058】
一般的に、カーボンブラック製品は、プラスチック予混合物を生成するために使用されるプラスチックに任意の他の顔料のように加えられる。これは、例えば、乾燥混合段階または溶融段階においてすることができる。本発明のカーボンブラックは、プラスチック組成物中で他の従来の添加物と組み合わせて使用できる。本発明によれば、プラスチック組成物の用語は、任意のプラスチック材料、物品、品物、表面、織物、シート、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。例えば、プラスチック材料は、自動車の部品、家の羽目板、スイミングプールのライン、屋根材料、包装材料、および他の家庭または工業品目のあらゆる種類を含む。
【0059】
本発明のカーボンブラックはまた、インク調合物中で有用である。他のインク添加物は、インク調合物中に取り込まれることができる。
【0060】
一般的に、インクは、4つの基本的な構成部分:(1)着色剤または顔料(2)印刷の間担体として機能するビークルまたはワニス、(3)印刷適性、乾燥、およびその同類のものを改善する添加物、および(4)粘度、乾燥および他のインクとの適合性を調整するための溶媒からなる。特性、調製および水性インクの使用についての一般的な説明については、Pringing Manual、5th Ed.、Leach et al、Eds.(ChapmanおよびHall、1993)を参照のこと。種々の水性インク組成物はまた、例えば、米国特許第2、833、736号明細書、米国特許第3、607、813、米国特許第4、104、833号明細書、米国特許第4、308、061号明細書、米国特許第4、770、706号明細書、および米国特許第5、026、755号明細書中に開示されている。さらなる例として、フレクソ印刷インクは、一群のインク組成物を表わす。フレクソ印刷インクは、一般的に着色剤、バインダー、および溶媒を含む。
【0061】
予じめ分散されたものとしてまたは固体としての本発明のカーボンブラックは、標準の技術を使用して、インク調合物中に、取り込まれることができる。
【0062】
本発明のカーボンブラックは、新聞インクにおいて使用可能である。例えば、水性の新聞インク組成物は、水、本発明のカーボンブラック、樹脂および消泡添加物または界面活性剤等の従来の添加物を含むことができる。
【0063】
本発明のカーボンブラックは、絵の具または仕上げ等の被膜組成物中において使用できる。ほかの公知の水性被膜添加物は、被膜組成物中に取り込まれることができる。例えば、MCGRAW−HILL ENCYCLOPEDIA OF SCIENCE & TECHNOLOGY、5th Ed。(McGraw−Hill、1982)参照のこと。また、米国特許第5、051、464号明細書;米国特許第5、319、044号明細書;米国特許第5、204、404号明細書;米国特許第5、051、464号明細書;米国特許第4、692、481号明細書;米国特許第5、356、973号明細書;米国特許第5、314、945号明細書;米国特許第5、266、406号明細書;および米国特許第5、266、361号明細書を参照のこと、
【0064】
本発明のカーボンブラックはまた、紙組成物中において使用できる。従って、本発明は、紙パルプおよびカーボンブラックを含む改善された紙製品に関する。
【0065】
本発明の紙製品は、サイズ剤、保持助材、固定剤、フィラー、消泡剤、凝集防止剤、およびその同類のもの等の他の公知の紙添加物を取り込むことができる。
【0066】
本発明のカーボンブラックは、ゴム組成物の混合および調製において、従来のカーボンブラックと共に、顔料、フィラー、および補強剤として使用できる。
【0067】
本発明のカーボンブラックは、例えば、タイヤにおけるもの等のゴム加流物の調製において有用である。タイヤの生産において、満足な耐摩耗性およびヒステリシス性能を有するタイヤを生成するカーボンブラックを利用することが一般的に望ましい。タイヤの溝の摩耗特性は、耐摩耗性に関連する。耐摩耗性が高いほど、タイヤは、すり減らずにより長いマイルで持続するであろう。ゴムコンパウンドのヒステリシスは、ゴムコンパウンドを変形させるために適用されたエネルギーと、ゴムコンパウンドがその初期の変形されていない状態に回復するにつれて放出されるエネルギーとの相違を意味する。より低いヒステリシス値を有するタイヤは、転がり抵抗を低下させ、したがってタイヤを利用した乗り物の燃料消費を低下させることができる。従って、タイヤにより高い耐摩耗性およびより低いヒステリシスを与えることができるカーボンブラックが特に望ましい。
【0068】
本発明のカーボンブラックは、着色繊維または繊維製品に使用できる。使用に好適な繊維は、綿、羊毛、絹、麻、ポリエステルおよびナイロン等の天然繊維および合成繊維を含む。使用に好適な繊維製品は、綿、羊毛、絹、麻、ポリエステルおよびナイロン等の天然繊維および合成繊維を含む。好ましくは、綿、羊毛、絹および麻を含む天然繊維および繊維製品が使用される。
【0069】
本発明のカーボンブラックは、例えば、直接および酸性染料を用いて繊維および繊維製品を着色させるために使用できる。染料を用いた着色の一般的な説明については、KIRK−OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY Vol.8、pp。280〜350、’’Dyes、ApplicationおよびEvaluation’’(John Wiley and Sons、1979)を参照のこと。
【0070】
トナーまたはトナー樹脂に関しては、本発明のトナー中での使用のために好適なトナー樹脂および現像剤組成物は、スチレン化アクリル樹脂等のスチレン性ポリマー系のものを含む。好ましいスチレン性ポリマー系樹脂の例は:ポリスチレン;ポリ−p−クロロスチレン;ポリビニルトルエン;スチレン−p−クロロスチレンコポリマー;およびスチレンビニルトルエンコポリマー等のスチレンのホモポリマーおよびコポリマーならびにその誘導体;スチレンアクリル酸メチルコポリマー;スチレンアクリル酸エチルコポリマー;およびスチレン−アクリル酸n−ブチルコポリマー等のスチレンとアクリル酸エステルとのコポリマー;スチレンメタクリル酸メチルコポリマー、スチレンメタクリル酸エチルコポリマー、スチレンメタクリル酸−n−ブチルコポリマー等のスチレンとメタクリル酸エステルとのコポリマー;ならびにスチレン、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの多成分コポリマー;スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレンメチルエーテルコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、スチレンビニルメチルケトンコポリマー、スチレンアクリロニトリルインデンコポリマー、スチレンマレイン酸エステルコポリマー等のスチレンと他のビニルモノマーとのコポリマー;ならびにその同類のものを含むがこれらに限られない。これらのバインダー樹脂は、単独でまたは組み合わせて使用できる。一般的に、乾式電子写真方式のトナー製造での使用に特に好適な樹脂は、100℃〜135℃の範囲に融点(環球法)を有し、そして約60℃超のガラス転移点(Tg)を有する。スチレン性ポリマー系樹脂粒子および好適な量の例は、米国特許第5、278、018号明細書;米国特許第5、510、221号明細書;米国特許第5、275、900号明細書;米国特許第5、571、654号明細書;米国特許第5、484、575号明細書;および欧州特許第0720066Al号明細書(参照により、本明細書中にその全てを取り込む)中に見いだすことができる。
【0071】
一般的に、本発明のカーボンブラックは、単独でまたは他の顔料とともに、トナーまたは現像剤組成物の約1wt%〜約30wt%の全量で存在する。トナー組成物中に存在する顔料の量は、好ましくは、100重量部の樹脂当たり、約0.1〜約12重量部である。しかし、より少量またはより多量のカーボンブラックを使用できる。また、一般的に、トナー樹脂は、トナーまたは現像剤組成物の約60wt%〜約99wt%の量で存在する。
【0072】
任意の外部添加物はまた、キャリアー添加物;第四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、サルフェート、ホスフェート、およびカルボキシレート等のさらなる正または負電荷制御剤;流れ助剤添加物;シリコーンオイル;市販されているポリプロピレンおよびポリエチレン等のワックス;マグネタイト;および他の公知の添加物を含む本発明のトナー組成物と、混合またはブレンドできる。一般的に、これらの添加物は、約0.05wt%〜約30wt%の量で存在する、しかし、より少ないまたはより多い添加物を、特別な系および所望の特性によって選択できる。添加物および量の具体例はまた、上記の特許および欧州特許出願に記載されており、そして参照により本明細書中に取り込む。
【0073】
トナー組成物は、従来の溶融押し出しデバイスおよび関連した装置の中で、樹脂、カーボンブラック粒子、さらなる電荷増強添加物および他の添加物を混合する等の多くの公知の方法によって調製されることができる。他の方法は、スプレー乾燥およびその同類のものを含む。カーボンブラックおよび他の成分と樹脂との混合後に、一般的に所望の粒径および粒径分布を有するトナー粒子を提供するための機械的な摩耗および分級が続く。粉末の乾燥ブレンドのための従来の装置は、カーボンブラック粒子と樹脂とを混合またはブレンドするために使用できる。さらに、トナーおよび現像剤組成物を調製する従来方法は、使用でき、そして上記特許および欧州特許出願に記載されており、そして参照により本明細書中に取り込む。
【0074】
さらに詳細には、トナー材料は、バインダー樹脂と、顔料を含む全ての他の成分とを乾燥ブレンドすること、そして次に高せん断混合機中で溶融押し出しして、均一に混合されたマス(mass)を生成させることによって調製できる。このプロセスの間、成分は、バインダー樹脂の融点より上の温度に維持され、そして樹脂に不溶性であるこれらの成分は、それらの平均粒径が低下するように粉砕される。この均一に混合されたマスは、約100μmの平均粒径まで予め粉砕された後で、次に冷却され、そして固化される。この材料は、次にその平均粒径が分級に必要な粒径範囲の仕様を満たすまで、粒径減少に曝される。種々の分級技術を使用できる。好ましいタイプは、空気分級タイプである。この方法によって、大きすぎるかまたは小さすぎる粉砕された材料中の粒子は、所望の粒径範囲である材料の一部から分離される。
【0075】
本発明のトナー組成物は、1成分現像剤中で単独で使用でき、または好適なキャリアー粒子と混合されて、2成分現像剤を生成できる。2成分現像剤組成物を生成するために使用できるキャリアービークルは、種々の材料から選択できる。そうした材料は、典型的にはフィルムを形成する樹脂の薄層で覆われたキャリアーコア粒子およびコア粒子を含み、用いられるトナーと、正しい摩擦電気関係および電荷レベルを確立することを助ける。2成分トナー組成物のための好適なキャリアーは、その全てが典型的にはエポキシまたはフルオロカーボン樹脂等の樹脂被膜で被覆されている、鉄粉末、グラスビース、無機塩の結晶、フェライト粉末、ニッケル粉末を含む。使用できるキャリアー粒子および被膜の例は、特許および上記の欧州特許出願に記載されており、そして参照により本明細書中に取り込む。
【0076】
本発明は、負に帯電した光導電性画像部材上に静電潜像を作成し、樹脂粒子およびカーボンブラック粒子を含むトナー組成物を用いたそれらの現像に影響し、そしてその後好適な基材の上に現像された画像を転写することを含む画像化の方法をさらに対象にする。上記の特許および欧州特許出願に示された画像化の従来の方法を使用できる。
【0077】
本発明のカーボンブラックはまた、成形品、フィルム、またはパイプ中の成分として使用できる。従来の調合物が使用できるが、しかし本発明のカーボンブラックが従来のカーボンブラックの代わりに存在する。低PAH量の本発明のカーボンブラックを含有する種々の物品は、より少ないPAHを含む物品を含む1つまたは2つ以上の利益を提供する。
【0078】
本発明は、本発明の例示となることを目的とする以下の例によってさらに分類されるであろう。
【実施例】
【0079】
例1
研究に含まれるカーボンブラックサンプルは、炉プロセス(J.B.Donnet、R.C.Bansal、M.J.Wang、’’カーボンブラック、’’SCIENCE AND TECHNOLOGY、2nd Edition、Marcel Dekker、NY、1993;およびMJ.Wang、CA.Gray、S.A.Reznek、K.Mahmud^ Y.Kutsovsky、’’カーボンブラック、’’in KIRK−OTHMER ENCYLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY、John Willey&Sons、2005、4、761を参照のこと)を用いて、Cabot Corporationによって製造された材料である。カーボンブラックの特性は、ASTM(ASTM D1765−03S tandard Classification System for Carbon Blacks Used in Rubber Productsを参照のこと)およびCabotの仕様(ウェブサイトwww.cabot−corp.comを参照のこと’)によって規定されている。
【0080】
カーボンブラックを、ASTM(ASTM D3191−02Standard Test Methods for Carbon Black in SBR−Recipe and Evaluation Proceduresを参照のこと)によってSBRゴムコンパウンド中で評価した。典型的なゴム混合プロセスおよびテストは、Maurice Morton、RUBBER TECHNOLOGY、3rd Edition、Van Norstrand Reinhold Company、New York、1987、および2nd Edition、Van Norstrand Reinhold Company、New York(1973)に記載されている。バウンドラバーの試験は、G.Kraus、RUBBER CHEM TECHN、V38、1070(1965)およびS.Wolff、M−J Wang、E−H Tan、RUBBER CHEM TECHN、V66、163(1993)に記載されている。最大tanδは、ゴムのヒステリシス(転がり抵抗)の尺度である。これは、ねじれ歪みモード(歪み)で運転したARES/Rheometrics Dynamic Spectrometer II(RDS II、Rheometrics、Inc.、N.J.)を使用してテストした。測定を、0℃、0.2〜120%の範囲の二重歪み振幅(DSA)を用いた歪みスイープ、10Hzの一定周波数で行った。耐摩耗性を、Cabot Abrader(米国特許第4、995、197号明細書を参照のこと)を使用してテストした。
【0081】
PAH濃度の試験を、図1に示すように、22の個々のPAHを、GCMS分析を用いて、トルエンによる抽出を含むCabotの手順に従って行った。この方法は、21C.F.R.part17B、FDA FEDERAL REGISTER、V62、#90.May9、1997に記載されている。
【0082】
例2
以下の例では、Cabot Corporationからの2種の市販されているカーボンブラック、すなわち、Vulcan(商標)7H カーボンブラックおよびVulcan(商標)J カーボンブラックをテストした。これらのカーボンブラックを、2つの技術、すなわち、ソックスレー抽出によって抽出またはカーボンブラックの加熱に掛けて、PAHを除去した。特に、抽出および加熱テストを以下で説明する。
【0083】
100gmサンプルの抽出を、1500mlのトルエンを用いて、48時間ソクスレー中で行った。
【0084】
カーボンブラックの加熱を、空気または窒素環境の循環オーブン中で行った。1’’×12’’×12’’のサイズを有するトレイを、100gmカーボンブラックサンプルを拡げるために使用した。加熱温度は、285℃〜500℃で変化した。それぞれの加熱条件を、1時間の間適用した。加熱温度および環境を、表1および表2中において、カーボンブラックのそれぞれの研究したサンプルについて、特定する。
【0085】
この試験の結果を下記に説明する。図に示すように、溶媒の使用および熱の使用によるPAHの除去は、PAH、特に、PAH22を著しく減少させるのに効果的であった。さらに重要なことに、エラストマー組成物またはゴムマトリックス内で達成された機械的特性は、PAHに関わりなく実質的に維持され、低PAH量のカーボンブラック、特にゴムグレードがタイヤ産業およびゴム産業に受け入れられると考えられる場合、これは、かなり驚くべきであり、そして重要であった。
【0086】
表1
【表1】

【0087】
表2
【表2】

【0088】
例3
この実験は、高温ガスの分離によって非常に低いPAH含有量を有するカーボンブラックを生成するために行った。PAH分子を、高温下反応器中で改質し、そして反応物流を冷却するにつれて、反応物は、カーボンブラックの表面上に凝縮した。PAH分子がガス相中に残留し、そしてカーボンブラック上に凝縮しないように、実験ではサイクロンを用いて、約750℃の温度でカーボンブラックから排ガスを分離した。カーボンブラックは、V7H(112m/g)に等しいSTSAであった。反応器からの副流を引き込むことによるサイクロンを通したサンプルの収集の間、MUF(メインユニットフィルター)およびペレタイザーからのサンプルをまた、対照として集めた。サイクロン中に収集されたカーボンブラックは、約〜16ppmの全PAH含有量を有し、標準の製造手順の一部として収集された対照サンプルより2桁低いことが判明した。天然ゴムのコンパウンド特性の研究により、このように集めらた低PAH量のカーボンブラックが、対照サンプルと性能において等しいことが示された。
【0089】
カーボンブラック上でのPAHの凝縮を減少させるために、カーボンブラックの高温ガスの分離を、サイクロンを使用してパイロットプラント反応器において行った(表中の’’サイクロン’’は、本発明のこれらのサンプルを示す)。目的は、キログラム量のブラックを分離して、PAHおよびまた(MUF(メインユニットフィルター)中で通常の方法により分離された)対照サンプルと共にコンパウンド特性を研究することである。実験では、高温ガスの分離のためにカーボンブラック反応器から副流を引き込んだ。低PAH量ブラックのサイクロン回収の代わりに、高温ろ過を使用できた。例えば、所望温度の分離(〜750℃)を保つことができるセラミックフィルター(メーカー:Caldo)または焼結金属フィルター(メーカー:Applied Porous Technologies)を使用できた。
【0090】
急冷した反応器の下流の温度は、750℃程度であり、そしてサンプルを引き込むために使用可能であるいくつかの急冷ポートがあったので、分離のための反応器のサンプルを引き込むために使用したところは、反応器の急冷と熱交換器との間であった。実験は、熱い間の排ガスからのカーボンブラックの分離を含み、そして、次に、好ましくは、表面の酸化を避けるために、空気への暴露の前に、〜200℃未満の温度にカーボンブラックを冷却した。実験では、サイクロン分離システムを、反応器の急冷より下流の急冷ポートの1つに接続し、サイクロンの底に取り付けられた容器内にカーボンブラックを落とし、一方、(カーボンブラックを取り除いた)含有量の低い排ガスを、原動力となる流れとして100psiの蒸気ラインを有する排出装置(この場合は、急冷アスピレーター)を使用して、反応器下流に戻した。分離の温度をサンプリングシステム中で異なる場所で測定した。サンプリングシステムを、直結されていない反応器の区画に接続して、蒸気排出装置によって作り出される吸引が、反応器から出る流れを引き込むのにサンプリングシステムにとって充分であるかどうかを決定した。
【0091】
全サンプリングシステム、主にサイクロンの底にあるサンプル容器を予め加熱して、システムが冷却されている間のPAHの凝縮を防いだ。任意であるが、熱いN(800℃)を、容器内において直径で反対側に位置する2つの焼結した金属多孔質管を通して散布した。管を通して冷却されたNを散布することによって収集後に、同じ管を、カーボンブラックを冷却するために使用した。2つの熱電対、容器の中心の一方および(壁から1インチ、かつ底から1インチ)に沿った他方を、カーボンブラックサンプル温度のインジケーターとして使用した。詳細な図を、図5に示す。
【0092】
熱処理実験をV7H上で行ったので、反応器でV7H(〜112m/g)に等しいSTSAのカーボンブラックを製造した。目的は、低Spec20のブラックを作るために、極度に短い急冷を保つこと、そして次に熱分離されたサンプルを収集することであった。MUF(メインユニットフィルター)からの湿ったペレットおよびふわふわしたサンプルを、対照サンプルとして同時に収集した。Spec20は、(ASTM D1618に基づいてテストされた)トルエン脱色の参照である。
【0093】
排ガスがサンプリングタンクに入る主なメカニズムは、(フロー流れにとって行き止まりであるので)拡散によっており、そして大幅なPAH凝縮とならないであろう。従って、サンプリングシステムを前加熱することなく実験を行った。2’9’’の先細の上流であった急冷の上流を移動させることによって、MUF(メインユニットフィルター)からのふわふわしたサンプルのSpec20を、50代に引き下げた。
【0094】
表3は、異なるサンプルでのPAHおよび他のデータを示す。WPは、サンプルが乾燥機に入る前に採取された、湿ったペレットのカーボンブラックをいう。
【0095】
表3.異なるサンプルでのPAHの結果。示されたデータは、2つの測定の平均である。
【表3】

【0096】
MUF(メインユニットフィルター)およびWPサンプルで測定されたPAHは、高温ガスの分離を介してサイクロン中で収集されたものより著しく高かった。収集時間は1時間であり、そして、サンプリングシステムは、熱く、そしてサンプリング期間の大部分の間、約〜700℃の定常状態分離温度にあったという事実により、PAHレベルは約〜16ppmであった。
【0097】
表4は、対照サンプルであったふわふわしたMUF(メインユニットフィルター)と比較したspec20、PAH測定および主要なコンパウンド特性での結果のまとめをを示す。アスタリスク(*)を有する表中に示されたデータは、2つのデータ点の平均値であり、誤差はまた2つの測定に基づく。ブラック上のPAHは、2桁減少していたが、測定されたコンパウンド特性は、実験誤差の範囲内で等しかったことが結果から明らかである。水素イオンの抽出によって測定された活性水素の含有量は、非常に近い様であり、spec20および全PAHは、サイクロンと対照サンプルとの間で非常に異なっていた。これは、PAHが除去され(またはブラックの表面上で凝縮できない)間、ブラックの表面の化学は、影響されないまま(活性H含有量によって測定された)であり、このように非常に類似したコンパウンド特性を生じるという事実の指標となる。図3および図4は、測定されたPAHおよびコンパウンド特性のグラフィカル表示であり、上記の方法によってPAH濃度を除去することが、ブラックの補強特性に影響しないことをあらためて示す。
【0098】
表4
【表4】

*2つのテストに基づいて報告された値および誤差
【0099】
サイクロンを使用した排ガスからのブラックの高温ガスの分離での副流サンプリングは、カーボンブラックのPAH汚染を2桁の大きさで減少させることにおいて成功した。カーボンブラックの後処理は、蒸気流動床中で起こることができる。
【0100】
別の方法として、MUF(メインニットフィルター)は、約1000℃の温度で運転できるセラミックフィルターを有するフィルターハウスで置き換えできる。回転式のロックから落ちた熱いカーボンブラックは、次にまたカーボンブラックをペレタイザーに供給するために必要な温度に冷却する蒸気を用いて運ぶことができるか、またはPAHをなくした後で、冷却された排ガスとともに運ぶことができる。従って、この方法から入手できる排ガスは、ずっと多い回復可能なエネルギーを有するであろうし;そうした方法は、ベンチュリ冷却器中で水スプレーを必要としないであろうし、そして燃料としてバーナー中で再利用するために、排ガスにさらに導くであろうので、これは’’ずっと湿っていない’’。
【0101】
例4
この例において、下の表に記載したように、異なるカーボンブラックを除き、例2を繰り返して使用し、そしてPAHを除去するために処理した。
【0102】
【表5】

【0103】
【表6】

【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

【0106】
【表9】

【0107】
出願人らは、本開示中の全ての引用文献の全内容を特に取り込む。さらに、量、濃度、または他の値またはパラメーターが、範囲、好ましい範囲、またはより大きい好ましい値のリストおよびより低い好ましい値のいずれかとして与えられる場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかに関わらず、すべての対のすべての上限範囲または好ましい値と、全ての下限範囲または好ましい値との全ての対でできた全ての範囲を特に開示するものと理解されるべきである。数値の範囲が本明細書中に記載される場合、特に明記しない限り、この範囲は、それらの両端、ならびに範囲内の全ての整数および端数を含むことを意図する。本発明の範囲は、範囲を規定した場合に、特定値に限定されることを意図しない。
【0108】
本発明の他の態様は、本願明細書および本明細書中において開示された実施を考慮することで、当業者に明らかであろう。本願明細書および例は、本発明の真の範囲および精神が、以下の請求項およびその均等を有し、例示的のみであることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低PAH含有量を有するカーボンブラック、
該PAH含有量は、PAH22含有量に基づいて決定され、該カーボンブラックは、ファーネスカーボンブラックであり、そして:
a)STSA:110〜250m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):1.20〜0.70
PAH:400ppm以下;または
b)STSA:80〜110m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):1.15〜0.70
PAH:30ppm以下;または
c)STSA:65〜75m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):1.10〜0.88
PAH:500ppm以下
DBP:115〜125mL/l00g;または
d)STSA:65〜80m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):0.70〜0.88
PAH:500ppm以下;または
e)STSA:1〜35m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):1.40〜0.70
PAH:50ppm以下;または
f)STSA:70〜90m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):1.00〜1.20
PAH:50ppm以下
DBP:60〜80mL/l00g;または
g)STSA:87〜95m/g
No(mg/g)/STSA(m/g):0.91〜1.08
PAH:100ppm以下
DBP:109〜119mL/l00g
のSTSA、INo/STSA比、およびPAH含有量を有する。
【請求項2】
該カーボンブラックが、a)であり、そして1.15〜0.70のINo(mg/g)/STSA(m/g)を有する、請求項1のカーボンブラック。
【請求項3】
該カーボンブラックが、110〜200m/gのSTSAを有する、請求項2のカーボンブラック。
【請求項4】
該カーボンブラックが、110〜175m/gのSTSAを有する、請求項2のカーボンブラック。
【請求項5】
該カーボンブラックが、110〜150m/gのSTSAを有する、請求項2のカーボンブラック。
【請求項6】
該カーボンブラックが、1.15〜0.9のI/STSAを有する、請求項2のカーボンブラック。
【請求項7】
該カーボンブラックが、1ppm〜200ppmのPAH含有量を有する、請求項4のカーボンブラック。
【請求項8】
該カーボンブラックが、1ppm〜50ppmのPAH含有量を有する、請求項4のカーボンブラック。
【請求項9】
該カーボンブラックが、1ppm〜150ppmのPAHを有する、請求項4のカーボンブラック。
【請求項10】
該カーボンブラックが、1ppm〜100ppmのPAH含有量を有する、請求項4のカーボンブラック。
【請求項11】
該カーボンブラックが、20ppm以下のPAHを有する、請求項4のカーボンブラック。
【請求項12】
該カーボンブラックが、b)であり、そして該INo/STSAが、1.10以下である、請求項1のカーボンブラック。
【請求項13】
該PAH含有量が、1ppm〜20ppmである、請求項12のカーボンブラック。
【請求項14】
該PAH含有量が、10ppm以下である、請求項12のカーボンブラック。
【請求項15】
該カーボンブラックが、c)である、請求項1のカーボンブラック。
【請求項16】
該PAH含有量が、1ppm〜100ppmである、請求項15のカーボンブラック。
【請求項17】
該カーボンブラックが、d)である、請求項1のカーボンブラック。
【請求項18】
該PAH含有量が、1ppm〜300ppmである、請求項17のカーボンブラック。
【請求項19】
該PAH含有量が、1ppm〜150ppmである、請求項17のカーボンブラック。
【請求項20】
該PAH含有量が、1ppm〜100ppmである、請求項17のカーボンブラック。
【請求項21】
該PAH含有量が、1ppm〜50ppmである、請求項17のカーボンブラック。
【請求項22】
該PAH含有量が、20ppm以下である、請求項17のカーボンブラック。
【請求項23】
該カーボンブラックが、e)である、請求項1のカーボンブラック。
【請求項24】
該PAH含有量が、1ppm〜20ppmである、請求項23のカーボンブラック。
【請求項25】
該PAH含有量が、10ppm以下である、請求項23のカーボンブラック。
【請求項26】
該カーボンブラックが、f)である、請求項1のカーボンブラック。
【請求項27】
該カーボンブラックが、72mL/l00gのDBP、76m/gのSTSA、および1.05〜1.09のINo/STSA、および50以下のPAH含有量を有する、請求項26のカーボンブラック。
【請求項28】
該DBPが、66〜77mL/l00g以下である、請求項26のカーボンブラック。
【請求項29】
該DBPが、60mL/l00g〜72mL/100gである請求項26のカーボンブラック。
【請求項30】
該PAH含有量が、1ppm〜20ppmである、請求項26のカーボンブラック。
【請求項31】
該PAH含有量は、10ppm以下である請求項26のカーボンブラック。
【請求項32】
該カーボンブラックが、ゴムマトリックス、またはエラストマー組成物中に、少なくとも1つの機械的特性を与える能力を有し、該少なくとも1つの機械的特性が:
耐摩耗性(21%すべり)−米国特許第4、995、197号明細書でテストされた、
伸長(%)−SBRにおけるカーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法−調合および評価手順、
引っ張り強度(MPa);SBR中のカーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法−調合および評価手順、
100%弾性率(MPa);SBR中のカーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法−調合および評価手順、
300%弾性率(MPa);SBR中のカーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法−調合および評価手順、
300%弾性率/100%弾性率(M300%/M100%)の比;SBR中のカーボンブラックのためのASTM D3191−02標準テスト法−調合および評価手順、
バウンドラバー(%);S.Wolff、M−J Wang、E−H Tan、Rubber Chem Techn、v66、163(1993)、または
10Hzの一定周波数で、0.2〜120%の範囲で二重振幅歪(DSA)を用いて、歪みスイープのために、ねじれ歪みモード(剪断)で操作したARES/Rheometrics Dynamic Spectrometer II (RDS II、Rheometrics、Inc.,NJ)でテストした0℃での最大tanδ
の1つまたは2つ以上であり、
そして該カーボンブラックでの該機械的特性の少なくとも1つが、600ppm〜1、000ppmのPAH22含有量を有する同じタイプのカーボンブラックでの適切な機械的特性のための値の10%以内である、請求項1のカーボンブラック。
【請求項33】
該カーボンブラックが、ASTM D3191−02によるゴム調合物に含まれる場合に:
80〜170の耐摩耗性(21%すべり);
300〜600の伸長(%);
20〜35の引っ張り強度(MPa);
2.4〜4.5の100%弾性率(MPa);
12〜23の300%弾性率(MPa);
3.5〜6の300%弾性率/100%弾性率(M300%/M100%)の比;
15〜30のバウンドラバー(%);および/または
0℃で、0.25〜0.4の最大tanδ、
の機械的特性またはゴム特性の1つまたは2つ以上を有する、請求項1のカーボンブラック。
【請求項34】
請求項1の少なくとも1種のカーボンブラックおよび少なくとも1種のエラストマーを含む、エラストマー組成物またはゴムマトリックス。
【請求項35】
少なくとも1種のカップリング剤をさらに含む、請求項34のエラストマー組成物またはゴムマトリックス。
【請求項36】
該エラストマー組成物またはゴムマトリックスが、加硫処理した組成物(VR)、熱可塑性加流物(TPV)、熱可塑性エラストマー(TPE)または熱可塑性ポリオレフィン(TPO)である、請求項34のエラストマー組成物またはゴムマトリックス。
【請求項37】
請求項34のエラストマー組成物またはゴムマトリックスを含む、タイヤまたはそれらの一部。
【請求項38】
該短時間で急冷したカーボンブラックが、ファーネスカーボンブラックであり、そして該PAH含有量が、PAH22含有量に基づいて決定される、100ppm以下のPAH含有量を有する短時間で急冷したカーボンブラック。
【請求項39】
該短時間で急冷したカーボンブラックが、N110〜N787 ASTM カーボンブラックである、請求項38の短時間で急冷したカーボンブラック。
【請求項40】
請求項1のカーボンブラックを製造するための方法であって、該PAHまたはそれらの一部が除去されて、該カーボンブラックを生成するように、任意選択的に不活性雰囲気または真空雰囲気中において、PAH含有量を有するカーボンブラックを、充分な高温にさらすこと、または充分な高温で処理することをさらに含む、方法。
【請求項41】
該高温が、約300℃〜約950℃程度である、請求項40の方法。
【請求項42】
請求項1のカーボンブラックを製造するための方法であって、該方法が、500ppm超のPAHを有するカーボンブラックを、1種または2種以上の溶媒抽出にかけることをさらに含む、方法。
【請求項43】
請求項1のカーボンブラックを製造するための方法であって、該方法が、カーボンブラックおよびPAHを含む高温の排ガスの存在を含むカーボンブラックの製造の間に、該カーボンブラックからPAHを有する該高温の排ガスを除去することを含む、方法。
【請求項44】
該高温の排ガスの除去が、約260℃〜約950℃の温度にある、請求項43の方法。
【請求項45】
該高温の排ガスの除去が、約500℃〜約900℃の温度にある、請求項43の方法。
【請求項46】
該カーボンブラックが、ファーネスカーボンブラックであり、そして該方法が、ファーネスカーボンブラック反応器内で生じる、請求項43の方法。
【請求項47】
サイクロンが、該カーボンブラックからの該高温の排ガスを除去するために使用される、請求項43の方法。
【請求項48】
高温フィルターが、該カーボンブラックから該高温の排ガスを除去するために使用される、請求項43の方法。
【請求項49】
該高温の排ガスから該カーボンブラックを分離した後で、該カーボンブラックが、200℃超のカーボンブラック温度を有し、そして該方法が、バッグフィルター内に該カーボンブラックを導入する前に、200℃未満に該カーボンブラックの温度を下げることをさらに含む、請求項43の方法。
【請求項50】
該高温の排ガスから該カーボンブラックを分離した後で、該カーボンブラックが、400℃超のカーボンブラック温度を有し、そして該方法が、バッグフィルター内に該カーボンブラックを導入する前に、400℃未満に該カーボンブラックの温度を下げることをさらに含む、請求項43の方法。
【請求項51】
該PAHが、ガス相内に残り、そして該カーボンブラック上に凝縮しない、請求項43の方法。
【請求項52】
PAHを有する該高温の排ガスを再生利用することをさらに含む、請求項43の方法。
【請求項53】
該再生利用が、カーボンブラックの製造プロセス中で該高温の排ガスを再使用することを含む、請求項51の方法。
【請求項54】
該再生利用が、熱源として該高温の排ガスを再使用することを含む、請求項51の方法。
【請求項55】
該高温の排ガスが、乾燥機のための少なくとも部分的な熱源として使用される、請求項54の方法。
【請求項56】
該乾燥機が、カーボンブラック乾燥機である、請求項54の方法。
【請求項57】
該高温の排ガス中の該PAHが破壊されるように、該乾燥機が充分な温度で運転される、請求項54の方法。
【請求項58】
該カーボンブラックが、約0.15〜約2マイクログラム/mのPAH含有量を有する、請求項1のカーボンブラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2010−509466(P2010−509466A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536436(P2009−536436)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/083747
【国際公開番号】WO2008/058114
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】