説明

体液処理用品およびこれを含む着用物品

【課題】 特に体圧が作用したり、体勢が変化したりした場合でも、体液が漏れ出ることがない体液処理用品を提供する。
【解決手段】 シャーシ2のアウタ9外側には、体液処理用品15が取り付けられている。ライナ8およびアウタ9のクロッチ域7に形成された孔16を介して体液処理用品15が露出される。体液処理用品15は、内外面シート18,19の外周に亘って互いに接合することによって、袋体を形成している。内面シート18には開口25を形成し、開口25の縦方向Yの前後に、体液等を収容可能な前後収容領域がそれぞれ形成される。内外面シート18,19の間には、逆流防止シート32が形成され、接合部28を介して内面シート18に接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体液処理用品およびこれを含む着用物品に関し、さらに詳しくは体液処理用品を有する使い捨てのおむつ、排泄トレーニングパンツ、失禁ブリーフ等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、袋状の吸収体物品に開口を形成し、開口に向かって尿が排泄されるものとして例えば特開2005−323797号公報(特許文献1)が公知である。開口と袋状の吸収体物品の底部との間には尿を分散させるガイドシートを形成し、ガイドシート側縁を吸収体で覆うことによって尿を吸収するようにしている。ガイドシートと開口との間にはスキンコンタクトシートを形成し、排泄された尿が着用者に接触するのを予防している。
【特許文献1】特開2005−323797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
吸収体物品内に吸収された尿は、例えば体圧が作用すると吸収体から尿が滲出する。吸収体から尿が滲出した状態で、着用者が寝返りを打ったり四つん這いになったりすると、尿が袋状の吸収体物品の内部を移動して、開口から漏れ出てしまう可能性がある。
【0004】
この発明では、特に体圧が作用したり、体勢が変化したりした場合でも、体液が漏れ出ることがない体液処理用品およびこれを含む着用物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は第1の発明と第2の発明を含む。
第1の発明は、身体前方から後方に延びる縦方向および前記縦方向に直交する横方向と、身体側に位置する不透液性の内面シートおよびその反対側に位置する不透液性の外面シートを含み、前記内外面シートによって袋体が形成され、前記内面シートには、前記袋体内部に体液の流入を可能とする開口が形成され、前記内外面シートが互いに離間することによって前記内外面シートの間に体液の収容領域が形成される体液処理用品の改良に関わる。
【0006】
この第1の発明は前記体液処理用品において、前記内外面シートの間には、前記開口を覆う逆流防止シートが形成され、前記逆流防止シートは、接合部を介して前記内面シートに間欠的に接合され、前記逆流防止シートと前記外面シートとの間にも前記収容領域が形成されることを特徴とする。
【0007】
好ましい実施態様のひとつとして、前記接合部は、複数形成され、少なくとも前記横方向に隣り合う二つの前記接合部の間において、前記開口と前記収容領域とを通液可能に連通する前後方通路が形成される。
【0008】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記逆流防止シートは、前記縦方向に延びる防止シート両側縁と、前記横方向に延びる防止シート前後端縁とを含み、前記接合部と、前記防止シート両側縁または前記防止シート前後端縁との少なくともいずれかの間において、前記逆流防止シートと前記内面シートとが実質的に互いに接合されることのない外側非接合領域が形成される。
【0009】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記接合部は、少なくとも線条の接合線によって形成される。
【0010】
好ましい他の実施態様のひとつとして、隣り合う前記接合線は、前記開口から前記収容領域に向かって互いの離間距離が小さくなる。
【0011】
好ましい他の実施態様のひとつとして、少なくとも前記内外面シートの間に形成された前記収容領域には、前記体液を吸収し保持することが可能な吸液構造体が形成される。
【0012】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記吸液構造体は、前記内外面シートの間に形成された前記収容領域および前記逆流防止シートと前記外面シートとの間に形成された前記収容領域に形成される。
【0013】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記開口と前記接合部との間には、前記内面シートと前記逆流防止シートとが実質的に互いに接合されることがない内側非接合領域が形成される。
【0014】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記内面シートは、前記身体側に位置する第1内面シートと、前記反対側に位置する第2内面シートとを含み、前記逆流防止シートは、前記接合部を介して前記第2内面シートに接合される。
【0015】
第2の発明は、縦方向および横方向と、身体側およびその反対側と、前記縦方向に連なる前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するシャーシを含む着用物品の改良に関わる。
【0016】
この第2の発明は前記着用物品において、少なくとも前記クロッチ域に位置する請求項1記載の体液処理用品を含み、前記体液処理用品の開口が、前記クロッチ域に位置することを特徴とする。
【0017】
好ましい実施態様のひとつとして、前記体液処理用品は、前記シャーシの前記身体側とは反対側に形成され、前記シャーシは、少なくとも前記クロッチ域において前記体液処理用品の前記開口に対して体液の流入が可能に形成される。
【0018】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記シャーシは、前記クロッチ域に孔が形成され、前記孔を介して前記体液処理用品の前記開口に対して体液の流入が可能とされ、前記孔と前記開口とが重なる。
【0019】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記孔は、前記体液処理用品の前記開口よりもその開口面積が小さく設定されている。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、体液処理用品の袋体は、内外面シートを含み、この内外面シートの間には、開口を覆う逆流防止シートが形成されることとしたので、収容領域の体液が開口から漏れるのを防止することができる。逆流防止シートは、接合部を介して内面シートに間欠的に接合されることとしたので、体液は開口から収容領域へと流入することができる。
【0021】
第2の発明によれば、着用物品において、少なくともクロッチ域に体液処理用品を位置させ、体液処理用品の開口が、クロッチ域に位置することとしたので、例えばおむつなどの着用物品を用いた場合には、尿を体液処理用品の袋体で保持することができる。したがって、着用物品からの尿等の漏れを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
着用物品として使い捨ておむつを用い、この発明の一例を説明する。
【0023】
図1はおむつ1の着用状態を示したものであり、図2は、図1の両側縁の接合を解いたときの、おむつ1の平面図であり、それぞれ説明のためその一部を破断している。図2では、おむつ1が平らになるように各弾性体の伸縮力が作用していない状態を示している。図3は図2のIII−III線断面図、図4は図2のIV−IV線断面図である。おむつ1はシャーシ2と、ウエスト弾性体3と、レッグ弾性体4とを含む。シャーシ2は、縦方向Yに連なる前ウエスト域5、後ウエスト域6、これら前後ウエスト域5,6間に位置するクロッチ域7を含むとともに、横方向Xの寸法を二等分する縦中心線P−Pと、縦方向Yの寸法を二等分する横中心線Q−Qとを有している。
【0024】
シャーシ2は、身体側内面を形成するライナ8と、その反対側である着衣側外面を形成するアウタ9とを含み、これらライナ8とアウタ9との間にウエスト弾性体3およびレッグ弾性体4を介在させている。ウエスト弾性体3およびレッグ弾性体4は、少なくともライナ8およびアウタ9のいずれか一方に接合している。シャーシ2は、縦方向Yに延びて前ウエスト域5に位置する前ウエスト側縁10と、後ウエスト域6に位置する後ウエスト側縁11と、クロッチ域7に位置するレッグ側縁12とを含む。
【0025】
シャーシ2は、縦方向Yに直交する横方向Xに延びるシャーシ前後端縁13,14を含む。レッグ側縁12は、クロッチ域7において縦中心線P−Pに向かって湾曲し、レッグ弾性体4は、レッグ側縁12に沿って、伸長状態で収縮可能に取り付けられる。ウエスト弾性体3は、シャーシ前後端縁13,14に沿って、横方向Xに伸長状態で収縮可能に取り付けられる。前ウエスト側縁10と、後ウエスト側縁11とは、互いに接合され、これら前後ウエスト域5,6を連結して、パンツ型のおむつ1が形成される。
【0026】
アウタ9の外側には、体液処理用品15が取り付けられている。体液処理用品15は、少なくともクロッチ域7に位置し、このクロッチ域7から前後ウエスト域5,6に向かって縦方向Yに延びている。
ライナ8およびアウタ9のクロッチ域7には、これらライナ8およびアウタ9を貫通する孔16が形成されている。この孔16を介して体液処理用品15が露出される。孔16は、横中心線Q−Qよりも前ウエスト域5側であって、着用者の外性器に対応する位置に形成する。したがって、孔16を介して外性器が体液処理用品15に臨む。
【0027】
図5は体液処理用品15を示したものであり、説明のためその一部を破断している。図示したように、体液処理用品15は、ほぼ同大であって矩形の内面シート18と外面シート19とを含み、これら内外面シート18,19の縦方向Yに延びる両側縁20,21と横方向Xに延びる前後端縁22,23とを互いに接続している。すなわち、内外面シート18,19の外周に亘って互いに接合することによって、これら内外面シート18,19で袋体24を形成している。内外面シート18,19には、不透液性のフィルムを用いることによって、袋体24全体を不透液性としている。内面シート18には、開口25を形成している。袋体24の内部には、開口25の縦方向Yの前後に、体液等を収容可能な前後収容領域26,27がそれぞれ形成され、両側縁20,21および前後端縁22,23を袋体24の周縁としている。
【0028】
上記のような体液処理用品15の内面シート18は身体側に位置するとともにシャーシ2のアウタ9に接合され、外面シート19はアウタ9に対向する外側に位置している。体液処理用品15の開口25は、シャーシ2のライナ8およびアウタ9に形成された孔16よりもその開口面積が大きく、孔16と一致するように取り付けられる(図1および図2参照)。開口25の開口縁が、第1接着手段49を介して、アウタ9に接合されている。第1接着手段49は、開口25を囲むように開口縁に沿って形成され、開口25と孔16とが離間しないようにしている。したがって、孔16に臨む外性器は、体液処理用品15の開口25に臨み、排泄された尿は開口25から袋体24の内部に収容される。孔16と開口25は、外性器が収まる程度の大きさに形成されている。また、孔16よりも開口25のほうが、開口面積が大きいので、孔16の開口縁と開口25との開口縁とは一致することがない。したがって、外性器は孔16の開口縁に接触することはあるが、開口25の開口縁には接触することはなく、外性器に対する開口縁の接触を減少させることができる。開口縁の接触が少なくなれば、外性器に対する刺激を低減することができ、肌トラブルを減少させることができる。
【0029】
内外面シート18,19の間には、開口25に重なりこれを覆うように逆流防止シート32が形成される。逆流防止シート32は、不透液性のフィルム等によって形成され、これによって逆流防止シート32と、外面シート19との間には、尿の収容が可能な中央収容領域51が形成される。逆流防止シート32は、横方向Xに延びる防止シート前後端縁38,39と、縦方向Yに延びる防止シート両側縁40,41とを含む。これら防止シート前後端縁38,39および防止シート両側縁40,41は、それぞれ開口25の外側に位置し、逆流防止シート32は接合部28を介して内面シート18に接合されている。接合部28のさらに外側には、接合部28が形成されない外側非接合領域31が形成されている。すなわち、外側非接合領域31は、接合部28と防止シート前後端縁38,39および防止シート両側縁40,41との間に形成される。外側非接合領域31では、内面シート18と逆流防止シート32とが重なりあっているだけである。
【0030】
接合部28は、線条を有し、開口25を囲むように複数形成されているが、第1接着手段49とは重ならないようにその外周側に形成されている。接合部28は、縦中心線P−Pに対して傾斜する第1接合線29および第2接合線30を含む。第1接合線29は図面右下がりに傾斜し、第2接合線30は図面右上がりに傾斜し、これら第1接合線29と第2接合線30とは、開口25の縦方向Y外側において横方向Xに交互に配置されている。前収容領域26側では、隣り合う第1接合線29と第2接合線30によって形成され、開口25から前収容領域26に向かって離間寸法が小さくなる漏斗状の前方通路33が形成される。後収容領域27側では、第1接合線29と第2接合線30とによって、開口25から後収容領域27に向かって離間寸法が小さくなる漏斗状の後方通路34が形成される。開口25と両側縁20,21の間には、第1接合線29および第2接合線30がそれぞれ間欠的に縦方向Yに並び、これらの間に側方通路35が形成される。
【0031】
開口25から、第1および第2接合線29,30までの間には、接合部28が形成されない内側非接合領域36を形成している。すなわち開口25周縁は、内面シート18と逆流防止シート32とが重なり合っているだけであって、これらが接合されていない。なお、第1接着手段49は、内側非接合領域36に重なるように形成されている。
【0032】
前後収容領域26,27および中央収容領域51には、吸液構造体37が形成されている。すなわち、吸液構造体37は、袋体24の側縁20から側縁21まで、および、前端縁22から後端縁23までに亘って形成されている。吸液構造体37は、高吸収性樹脂やフラッフパルプ等によって形成される吸液性芯材をティッシュペーパ等の液拡散シートで覆うことによって形成され、第2接着手段50を介して外面シート19に接合されている。
【0033】
上記のような構成において、開口25に向かって尿が排泄されると、尿の水圧によって内面シート18と逆流防止シート32とが互いに離間し、内側非接合領域36に尿が導かれるとともに、尿はこの内側非接合領域36に一時的に保持される。着用者の立位状態では、尿は内側非接合領域36から股下側に向かって流れようとするので、一時的に保持された尿は、主に後方通路34に向かって流れる。後方通路34は第1および第2接合線29,30によって漏斗状に形成されているので、内側非接合領域36の尿が、後方通路34に集められて、これを通過する。後方通路34を尿が通過する場合には、内面シート18と逆流防止シート32とが互いに離間し、筒状の通路を形成する。後方通路34を通過した尿は、接合部28の外側に形成された外側非接合領域31を介して、内外面シート18,19の間に形成された後収容領域27に導かれる。後収容領域27に導かれた尿は、吸液構造体37によって吸収および保持される。
【0034】
上記のような立位の状態から、横になったり、四つん這いになったりした場合には、吸液構造体37に吸収されなかった尿が後収容領域27から中央収容領域51または前収容領域26へと移動することがある。しかし、尿が後方通路34を通過した後は、離間して筒状になった通路が、内面シート18と逆流防止シート32とが再び接触するように重なり合うことによって、閉鎖されるようになり、通路としての機能を失う。また、前後収容領域26,27に尿が導かれることによって、外面シート19と逆流防止シート32との間に尿が存在することとなり、この尿によって逆流防止シート32が内面シート18側に押圧される。したがって、内面シート18と逆流防止シート32とがより一層密着し、前後方通路33,34を閉鎖して、通路として機能しないように作用する。したがって、前後に移動する尿は、前後方通路33,34を通過しにくくなり、この前後方通路33,34を介して開口25へと尿が逆流するのを抑制することができる。
【0035】
さらに、外側非接合領域31および内側非接合領域36においても、逆流防止シート32と内面シート18とが密着し、より一層尿が通過しにくくなる。特に、外側非接合領域31においては、尿が前後方通路33,34へと移動するのを抑制することができる。外側非接合領域31は、接合部28の外側において、逆流防止シート32と内面シート18とが直接接触する部分であるので、逆流防止シート32の面積を大きくすることによって、容易に外側非接合領域31も大きくすることができ、その分、前後方通路33,34への尿の流入を抑制することが可能である。
前後方通路33,34への尿の流入を抑制し、開口25へと尿が逆流するのを抑制することができるので、前後収容領域26,27の尿が、着用者の体勢変化によって縦方向Yの前後に移動したような場合であっても、尿は前後収容領域26,27を移動するだけであって、開口から漏れるのを抑制することができる。
【0036】
逆流防止シート32を不透液性のフィルムで形成するようにした場合には、逆流防止シート32と内面シート18との間を通過した尿が僅かに残り、この尿によってこれらシートが互いに貼り付いて密着する。したがって、逆流防止シート32と内面シート18との間に形成された前後方通路33,34、外側非接合領域31および内側非接合領域36が閉鎖され、尿が開口から漏れるのをより一層抑制することができる。
【0037】
前後方通路33,34を、傾斜した第1および第2接合線29,30によって形成することとしたので、接合部28を漏斗のような形状にすることができ、開口25に排泄された尿を捕集して前後収容領域26,27に導くことができる。したがって、前後方通路33,34が狭い場合であっても、多くの尿を前後収容領域26,27に導くことができる。さらに、前後方通路33,34を漏斗のような形状にすることによって、前後収容領域26,27から開口25に向かう場合には、尿が分散されるようになる。したがって、前後方通路33,34に流入しようとする尿を少なくすることができ、より一層開口25からの漏れを抑制することができる。
【0038】
この実施形態では、着用物品としてのおむつ1において、尿を体液処理用品15に収容することができるので、開口からの漏れがない限り体液処理用品外に漏れることがなく、体液処理用品15を有しないおむつのみで尿を保持するのに比べて着用物品からの尿漏れを飛躍的に抑制することができる。しかも、このような袋で尿を受けるので、大量の尿が排泄されても、この尿を袋内で保持することができ、こまめにおむつを交換する必要がなくなり、より長時間の着用が可能になる。
【0039】
体液処理用品15の内外面シート18,19は、不透液性のフィルム等を用いることができ、シャーシ2のライナ8およびアウタ9は、透液性の繊維不織布等を用いることができる。逆流防止シート32として不透液性のフィルムを用いているが、不透液性であれば繊維不織布等の他の一般的なシートを用いることができる。ただし、内面シート18と逆流防止シート32とがこれらの間に僅かに残存する尿によって密着するようにするためには、内面シート18と逆流防止シート32とは、少なくともそれらが対向する面において平滑であることが好ましい。また、各シートは、一枚の不織布またはフィルム等で形成してもよいし、2枚以上を重ね合わせて形成してもよい。
【0040】
体液処理用品15には、開口25がひとつだけ形成されるようにしているが、例えば後収容領域27に開口25とは別に開口が形成されるようにしてもよい。この場合には、便用として別に形成された開口を利用することができる。接合部28は直線の接合線によって形成されることとしているが、曲線でもよい。また、必ずしも線条である場合に限らず、例えばドット状であったり、これらの組み合わせであったりしてもよい。接合部28は第1および第2接合線29,30によって形成されることとしているが、開口25から収容領域への通路を形成するとともに、収容領域から開口25への尿の逆流を防止することができれば、その形状は種々の態様を採用することができる。接合部28は、接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンド等の慣用技術によって形成される。
【0041】
吸液構造体37は、体液処理用品15のほぼ全域に亘って連続して形成されることとしているが、例えば、中央収容領域51には形成されず、前収容領域26と後収容領域27とに分断して形成されるようにしてもよい。ただし、この発明では、逆流防止シート32の形成によって中央収容領域51を形成し、この中央収容領域51にも吸液構造体37を形成可能とすることによって、形成される吸液構造体37を増量することができ、尿等の吸収能を向上させることができる。おむつ1としてプルオン・パンツ型のものを示しているが、着用時に前後ウエスト域を連結させるオープン型のものでもよい。
【0042】
図6および図7は、体液処理用品15の他の実施形態を示したものである。この実施形態では、体液処理用品15の内面シートは、身体側に位置する第1内面シート18とその反対側に位置する第2内面シート42とを含むことを特徴としている。図6は図5と同様の図であり、図7は図6のVII−VII線断面図である。第2内面シート42は、逆流防止シート32とほぼ同大の不透液性のフィルム等で形成されている。すなわち、第2内面シート42は、横方向Xに延びる第2内面シート前後端縁45,46と、縦方向Yに延びる第2内面シート両側縁47,48を含み、これら第2内面シート前後端縁45,46は逆流防止シート32の防止シート前後端縁38,39にほぼ一致し、第2内面シート両側縁47,48は防止シート両側縁40,41にほぼ一致している。第2内面シート42には、第2内面シート開口43が形成され、第1内面シート18の開口25と一致するように、接合手段44を介して第2内面シート42と第1内面シート18とが接合されている。接合手段44は、第2内面シート開口43の周囲に連なって形成されている。
【0043】
この実施態様では、第2内面シート42と逆流防止シート32との間に接合部28が形成される。接合部28は、前収容領域26側に位置する一対の第1および第2接合線29,30と、後収容領域27側に位置する一対の第1および第2接合線29,30とを含む。前収容領域26側に位置する第1および第2接合線29,30によって前方通路33が形成され、後収容領域27側に位置する第1および第2接合線29,30によって後方通路34が形成される。さらに、開口43の横方向Xの両外側では、第1および第2接合線29,30によって側方通路35が形成される。
【0044】
このような構成において、第1内面シート18の開口25に排泄された尿は、第2内面シート開口43および内側非接合領域36を介して前後方通路33,34に導かれ、外側非接合領域31を介して前後収容領域26,27に収容される。第2内面シート42と逆流防止シート32との間には前後方通路33,34および側方通路35が形成されているが、これら通路は、尿が通過した後は、第2内面シート42と逆流防止シート32とが接触して重なり合うことによって通路としての機能を失う。したがって、一度前後収容領域26,27に導かれた尿が、これら通路から開口25に逆流するのを抑制することができる。第2内面シート42と第1内面シート18とは、その開口43,25に沿って接合手段44を介して接合されているので、これらシートの間から尿が漏れることはない。
【0045】
第2内面シート42は開口43に沿って第1内面シート18に接合されているだけであるので、第2内面シート開口43以外の部分、すなわち第2内面シート前後端縁45,46および第2内面シート両側縁47,48の近傍においては、第1内面シート18から離間可能に形成されている。したがって、第2内面シート42は逆流防止シート32に追従して移動可能であり、逆流防止シート32が外面シート19側に向かって移動したような場合であっても、第2内面シート42と逆流防止シート32とが離間することがない。したがって、これらシート42,43の間に形成された前後方通路33,34および側方通路35の閉鎖状態を維持することができる。すなわち、これら通路33〜35を通路としての機能を失わせた状態を維持することができ、通路を介して尿が逆流するのをより一層防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】おむつの斜視図。
【図2】おむつの展開平面図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】図2のIV−IV線断面図。
【図5】体液処理用品の平面図。
【図6】他の実施形態の体液処理用品の平面図。
【図7】図6のVII−VII線断面図。
【符号の説明】
【0047】
1 おむつ
2 シャーシ
5 前ウエスト域
6 後ウエスト域
7 クロッチ域
15 体液処理用品
16 孔
18 内面シート(第1内面シート)
19 外面シート
20 側縁
21 側縁
24 袋体
25 開口
26 前収容領域
27 後収容領域
28 接合部
31 外側非接合領域
32 逆流防止シート
33 前方通路
34 後方通路
36 内側非接合領域
37 吸液構造体
42 第2内面シート
51 中央収容領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体前方から後方に延びる縦方向および前記縦方向に直交する横方向と、身体側に位置する不透液性の内面シートおよびその反対側に位置する不透液性の外面シートとを含み、前記内外面シートによって袋体が形成され、前記内面シートには、前記袋体内部に体液の流入を可能とする開口が形成され、前記内外面シートが互いに離間することによって前記内外面シートの間に体液の収容領域が形成される体液処理用品において、
前記内外面シートの間には、前記開口を覆う逆流防止シートが形成され、
前記逆流防止シートは、接合部を介して前記内面シートに間欠的に接合され、前記逆流防止シートと前記外面シートとの間にも前記収容領域が形成されることを特徴とする前記体液処理用品。
【請求項2】
前記接合部は、複数形成され、少なくとも前記横方向に隣り合う二つの前記接合部の間において、前記開口と前記収容領域とを通液可能に連通する前後方通路が形成される請求項1記載の体液処理用品。
【請求項3】
前記逆流防止シートは、前記縦方向に延びる防止シート両側縁と、前記横方向に延びる防止シート前後端縁とを含み、前記接合部と、前記防止シート両側縁または前記防止シート前後端縁との少なくともいずれかの間において、前記逆流防止シートと前記内面シートとが実質的に互いに接合されることのない外側非接合領域が形成される請求項1または2記載の体液処理用品。
【請求項4】
前記接合部は、少なくとも線条の接合線によって形成される請求項1〜3のいずれかに記載の体液処理用品。
【請求項5】
隣り合う前記接合線は、前記開口から前記収容領域に向かって互いの離間距離が小さくなる請求項4記載の体液処理用品。
【請求項6】
少なくとも前記内外面シートの間に形成された前記収容領域には、前記体液を吸収し保持することが可能な吸液構造体が形成される請求項1〜5のいずれかに記載の体液処理用品。
【請求項7】
前記吸液構造体は、前記内外面シートの間に形成された前記収容領域および前記逆流防止シートと前記外面シートとの間に形成された前記収容領域に形成される請求項6記載の体液処理用品。
【請求項8】
前記開口と前記接合部との間には、前記内面シートと前記逆流防止シートとが実質的に互いに接合されることがない内側非接合領域が形成される請求項1〜7のいずれかに記載の体液処理用品。
【請求項9】
前記内面シートは、前記身体側に位置する第1内面シートと、前記反対側に位置する第2内面シートとを含み、
前記逆流防止シートは、前記接合部を介して前記第2内面シートに接合される請求項1〜8のいずれかに記載の体液処理用品。
【請求項10】
縦方向および横方向と、身体側およびその反対側と、前記縦方向に連なる前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するシャーシを含む着用物品において、
少なくとも前記クロッチ域に位置する請求項1記載の体液処理用品を含み、
前記体液処理用品の開口が、前記クロッチ域に位置することを特徴とする前記着用物品。
【請求項11】
前記体液処理用品は、前記シャーシの前記身体側とは反対側に形成され、
前記シャーシは、少なくとも前記クロッチ域において前記体液処理用品の前記開口に対して体液の流入が可能に形成される請求項10記載の着用物品。
【請求項12】
前記シャーシは、前記クロッチ域に孔が形成され、
前記孔を介して前記体液処理用品の前記開口に対して体液の流入が可能とされ、前記孔と前記開口とが重なる請求項11記載の着用物品。
【請求項13】
前記孔は、前記体液処理用品の前記開口よりもその開口面積が小さく設定されている請求項12記載の着用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−82255(P2010−82255A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255493(P2008−255493)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】