説明

体液吸収体及びその製造方法

【課題】コアラップシートが吸液性コアを包被した状態で安定的に固定されるとともに、製造工程の作業性にも優れた体液吸収体の提供。
【解決手段】体液吸収体15が第1面21及び第2面22を有し、第1面21側において、コアラップシート23と吸液性コア24とが互いに対向する面のほぼ全域に間欠的に塗布されたホットメルト接着剤からなる接着部49を介して互いに接合されている。また、第2面22側において、コアラップシート23の両側縁部36,37が互いに重ね合わされており、コアラップシート23と吸液性コア24とが、第1及び第2端部域に形成された両端圧搾部と、中央域の横軸の方向における中央部46を除く両側部に形成された中央圧搾部44とにおいて互いに固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液吸収体及びその製造方法に関し、より詳しくは、比較的に多量の体液を吸収及び保持することが可能であって、尿取りパッド、パンティライナー、生理用パッド又は生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の着用物品に使用可能な体液吸収体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品に関して、体液を吸収保持するための吸液性コアと、それを被覆して体液を拡散するためのティッシュペーパ等からなるコアラップシートとから構成された体液吸収体は公知である。例えば、特許文献1には、高吸収性ポリマー粒子とフラッフパルプとの混合からなる吸液性コアと、その上面に位置する繊維集合層と、それらを被覆するコアラップシートとを含む体液吸収体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−196559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の体液吸収体では、吸液性コア、繊維集合層、コアラップシートがそれぞれ互いに当接する面に間欠的に塗布されたホットメルト接着剤を介して接合されている。また、体液吸収体は、吸液性コアの上面に繊維集合層が配置されていることから中高状を有しており、比較的に多量の体液を吸収することができる。
【0005】
しかし、この体液吸収体は、中高状であることから製造工程においてコアラップシートの両側縁部どうしを互いに重ね合わせ難く、中高状の中央部に位置するコアラップシートの側縁部どうしが重なり合う部位の一部が捲れて製造装置にホットメルト接着剤が付着して高速生産化の妨げとなるおそれがある。
【0006】
かかる問題を解消するために、コアラップシート全体を加圧圧搾処理によって吸液性コアに固定することも考えられるが、その場合には、吸液性コアが体液を吸収して膨張したときに、圧搾部による固定が解除されてコアラップシートが吸液性コアから離間してしまうおそれがある。また、そのような事態を避けるために、圧搾面積を広くしたり比較的に高圧搾処理をする場合には、体液吸収体全体の剛性が高くなり、柔軟性が損なわれて着用感が低下する。
【0007】
本発明の課題は、従来の発明の改良であって、コアラップシートが吸液性コアを包被した状態で安定的に固定されるとともに、製造工程の作業性に優れた着用物品に使用可能な体液吸収体及びその製造方法の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の第1発明が対象とするのは、縦軸及びそれに直交する横軸を有し、第1面及びその反対側の第2面と、少なくとも吸水性繊維を含む吸液性コアと、前記吸液性コア全体を被包するコアラップシートとを含む体液吸収体である。
【0009】
第1発明の特徴とするところは、互いに前記縦軸の方向において離間対向する第1及び第2端部域と、前記第1及び第2端部域間において前記縦軸の方向に延びる中央域とを有し、前記第1面側において、前記コアラップシートと前記吸液性コアとが互いに対向する面のほぼ全域に間欠的に塗布されたホットメルト接着剤からなる接着部を介して互いに接合されており、前記第2面側において、前記コアラップシートの両側縁部が互いに重ね合わされており、前記コアラップシートと前記吸液性コアとが前記第1及び第2端部域に形成された両端圧搾部と、前記中央域の前記横軸の方向における中央部を除く両側部に形成された中央圧搾部とにおいて互いに固定されていることにある。
【0010】
また、本発明の第2発明が対象とするのは、前記コアラップシートの素材である連続ウエブを機械方向へ搬送し、前記連続ウエブの所与位置に接着剤を塗布する工程と、前記接着剤の塗布領域に前記吸液性コアを配置する工程と、前記連続ウエブの前記機械方向に延びる両側部を互いに重ね合わせた後に、加圧圧搾処理によって前記機械方向と交差する方向に延びる前記両端圧搾部を形成する工程と、前記両端圧搾部を形成した後に、加圧圧搾処理によって、前記両端圧搾部間において前記機械方向へ延びる前記中央圧搾部を形成する工程と含む体液吸収体の製造法である。
【0011】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記中央域における前記吸液性コアの前記吸水性繊維の質量が、前記中央域を除く他の領域の質量よりも大きく、前記吸液性コアが中高形状を有する。
【0012】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記第1及び第2端部域全体に対する前記両端圧搾部を形成する圧搾パターンの圧搾面積率が30〜50%、前記中央域全体に対する前記中央圧搾部を形成する圧搾パターンの圧搾面積率が5〜25%である。
【0013】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記第1面側又は前記第2面側に透液性のトップシートが配置され、前記トップシートから前記吸液性コアに向かって凸となるヒンジラインが形成されている。
【0014】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記コアラップシートの両側縁部どうしの重ね合わせ部位が、前記中央域の側部に位置している。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る一つ以上の実施形態における体液吸収体及びその製造方法によれば、第1面側においてコアラップシートが吸液性コアにホットメルト接着剤を介して接合されており、かつ、第2面側において両端圧搾部及び中央圧搾部を介してコアラップシートと吸液性コアとが固定されているので、吸液性コア全体を被包した状態でコアラップシートを安定的に吸液性コアに固定することでき、着用中にコアラップシートが吸液性コアから離間するおそれはない。また、製造工程において、コアラップシートの両側縁部どうしが重ね合せ部位が位置する第2面側に接着剤が塗布されていないので、該両側縁部どうしの重なり合い部位から接着剤が外部にはみ出て、製造装置に付着するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】体液吸収体が使用される着用物品の一例としての尿取りパッドの平面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】体液吸収体の第1面側の平面図。
【図4】体液吸収体の第2面側の平面図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】図4のVI−VI線断面図。
【図7】体液吸収体の製造工程を示す概略図。
【図8】本液吸収体の他の実施の形態を示す図4と同様の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この実施形態では、体液吸収体15が使用される着用物品の一例として尿取りパッド10を用いて説明する。図1は、尿取りパッド10の平面図、図2は、図1のII−II線断面図、図3は、体液吸収体15の第1面側の平面図、図4は、体液吸収体15の第2面22側の平面図である。なお、図3では、説明の便宜上、ヒンジライン18を仮想線で示している。
【0018】
図1及び2に示すとおり、尿取りパッド10は、縦長の矩形状を有し、縦方向Y及び横方向Xと、上面11及び下面12と、透液性のトップシート13と、不透液性のバックシート14と、トップシート13とバックシート14との間に介在された体液吸収体15と、トップシート13の上面11の両側部において、縦方向Yに延びる一対の液バリヤカフ16,17とを含む。トップシート13の上面11には、横方向Xにおいて離間対向して縦方向Yに延びる圧搾条溝の形態を有する一対のヒンジライン18が形成されており、ヒンジライン18は体液吸収体15の内部にまで達している。また、トップシート13と体液吸収体15との間には、クッションシート20が配置されている。
【0019】
トップシート13は、透液性の繊維不織布、多孔プラスチックフィルム、それらのラミネートシート等から形成されており、バックシート14は、不透液性及び透湿性のプラスチックフィルム、不透液性の繊維不織布、それらのラミネートシート等から形成されている。クッションシート20は、通気性かつ液透過性の繊維不織布等から形成されており、着用者の肌に対するクッション性を向上させるとともに、体液を妄りに拡散させることなく、尿取りパッド10の中央部において体液を吸収することができ、また、トップシート13と体液吸収体15とを離隔して体液が妄りにトップシート13へ逆流するのを防止している。なお、図示していないが、トップシート13とクッションシート20とに熱可塑性のシート部材を用いることによって、それらを加熱圧搾処理により熱溶着して一体化してもよい。また、本実施形態において、互いに重なり合う各シート部材は、ホットメルト接着剤等の公知の接着手段によって接合されている。
【0020】
図2〜4に示すとおり、体液吸収体15は、縦軸P及びそれに直交する横軸Qと、第1面21及びそれに対向する第2面22とを有し、第1及び第2端縁15a,15bと、第1及び第2端縁15a,15b間において縦軸Pの方向へ延びる両側縁15c,15dとによって画成された略矩形のパッド形態をなしている。また、体液吸収体15は、透液性及び拡散性のティッシュペーパ等から形成されたコアラップシート23と、コアラップシート23に全体が被包された吸液性コア24とを含む。
【0021】
吸液性コア24は、所要の形状に賦型されたトップシート13,バックシート14、コアラップシート23等のシート部材に比して高い剛性を有する、すなわち、半剛性のパネルであって、高吸収性ポリマー粒子とフラッフパルプ等の吸水性繊維、オプションとして熱可塑性短繊維との混合物から形成されている。高吸収性ポリマー粒子と吸水性繊維との混合比率は、吸液性コア24に求められる体液の吸収速度、吸収容量に応じて適宜変更することができるが、具体的には、吸液性コア24全体に対する高吸収性ポリマー粒子の混合比率は、35〜65%であることが好ましい。その混合比率が35%以下の場合には、リウエットの防止機能が低下するおそれがあり、また、その混合比率が65%以上の場合には、体液の吸収スピードが低下するおそれがあるからである。
【0022】
コアラップシート23は、ティッシュペーパ、親水性繊維不織布、親水処理された疎水性繊維不織布、多孔性プラスチックフィルム、またはこれらを積層してなるラミネートシートから形成することができる。コアラップシート23は、体液の拡散性を向上させるほか、吸液性コア24の形状保持及び高吸収性ポリマー粒子の脱落を防止する機能を有している。また、後述するように、体液吸収体15の製造工程において、キャリアーシートとしての役割を果たす。
【0023】
高吸収性ポリマー粒子としては、質量が100〜600g/mであって、例えば、澱粉のグラフト重合体、セルロース変性物、自己架橋型アクリル酸金属塩等、従来、この種の物品、すなわち、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収材料として知られている、公知の水不溶性の高分子ヒドロゲル粒子を用いることができる。
【0024】
なお、オプションとして、吸液性コア24には、熱可塑性の枝分かれたステープル繊維(いわゆるスプリットヤーン又はファイバ)の15質量%以下を混合すると、このステープル繊維がフラッフパルプ及び高吸収性ポリマー粒子と絡み、吸液性コア24の形態保持性が向上するとともに、ステープル繊維とフラッフパルプ繊維との間に毛細管作用経路が形成され、体液の吸液性をも向上する。
【0025】
再び、図1及び2を参照すれば、液バリヤカフ16,17は、不透液性又は難透液性の繊維不織布又はプラスチックフィルムからなるシート部材と、そのシート部材を折り返してなるスリーブに配置された、複数条のストランド状の弾性要素25とから形成されている。また、バックシート14の中央部には、尿取りパッド10の縦軸Pの方向に延びる、下着に対する一対の止着域26a,26bが形成されており、止着域26a,26bは、プラスチックフィルム、クラフト紙、繊維不織布等から形成されたセパレータ27a,27bで被覆されている。
【0026】
図3に示すとおり、体液吸収体15は、説明の便宜上、第1及び第2端部域31,32と、縦軸Pの方向における中央部に位置する中央域33と、第1端部域31と中央域33との間及び第2端部域32と中央域33との間に位置する中間域34とに区分されている。
【0027】
体液吸収体15は、中央域33における吸液性コア24の吸水性繊維の質量が、他の領域に比して大きい中高形態を有している。具体的には、中央域33における吸液性コア24の吸水性繊維の質量が400〜700g/mであるのに対し、他の領域、すなわち、第1及び第2端部域31,32並びに中間域34における吸水性繊維の質量は200〜400g/mである。このように、体液吸収体15が中高形態を有していることから、クッション性に富み、中央域33において比較的に多量の体液を速やかに吸収することができる。なお、後記するとおり、第1及び第2端部域31,32に対して比較的容易に加圧圧搾処理をするために、第1及び第2端部域31,32の吸水性繊維の質量を中間域33のそれよりも低く、例えば、100〜300g/mにしてもよい。
【0028】
図4に示すとおり、コアラップシート22の縦軸Pの方向に延びる両側縁部36,37及びその近傍部分は、体液吸収体15の第2面22側に折り返され、両側縁部36,37は、体液吸収体15の縦軸Pの近傍において互いに重ね合わされており、重ね合わせ部位40が縦軸Pの方向に延びている。重ね合わせ部位40は、吸液性コア24を確実に被包するために、横軸Qの方向における長さ寸法lが、約20.0〜30.0mmであることが好ましい。
【0029】
体液吸収体15の第2面22側には、第1及び第2端部域31,32と中央域33の両側部とに加圧圧搾処理が施され、それぞれ、両端圧搾部42,43と中央圧搾部44とが形成されている。両端圧搾部42,43及び中央圧搾部44において、コアラップシート23と吸液性コア24とが互いに固定されており、また、該圧搾部42,43,44によって吸液性コア24が圧縮されていることから、吸液性コア24が体液を吸収しても型崩れするおそれはない。また、第1及び第2端部31,32に両端圧搾部42,43が形成されていることから、第1及び第2端部域31,32から縦軸Pの方向の外方に吸液性コア24の一部、特に、高吸収性ポリマー粒子が外部に漏れ出るのを防止することができる。さらに、中央圧搾部44が中央域33の両側部に形成されており、中央域33の横軸Qの方向の中央部46には形成されていないことから、中央域33の中央部46は、他の領域に比して嵩高であって柔軟性に富み、クッション性に優れている。
【0030】
具体的には、両端圧搾部42,43は、第1及び第2端部域31,32全体に対する面積率が30〜50%である格子状の圧搾パターンによって形成されている。また、中央圧搾部44は両端圧搾部42,43よりも高圧搾処理がされており、中央域33全体に対する面積率が5〜25%であって、千鳥状に配置された複数のドット47からなる圧搾パターンによって形成されている。なお、両端圧搾部42,43及び中央圧搾部43ともに、上記の他に多様の公知形状、寸法を有する圧搾パターンを採用することができるが、本実施例のごとく、中央圧搾部44がドット状の圧搾パターンからなる場合には、圧搾領域が必要以上に硬化することを防止するために、各ドット47の直径が約0.5〜5.0mm、ドット47間の離間距離が約2.0〜10.0mmであることが好ましい。また、各ドット47は局所的に独立した高圧搾部を形成していて、吸液性コア24の厚さ方向へテーパー状を有している。
【0031】
図示されているとおり、中央域33において中央圧搾部44は、体液吸収体15の両側縁15c,15dから内方へ延びており、各ドット47が両側縁15c,15dと重なるように形成されている。このように、両側縁15c,15dを含む中央域33の両側部全体に加圧圧縮処理がなされているので、コアラップシート23と吸液性コア24とが隙間なく密接した状態で固定されているので、体液吸収体15の厚さ方向へ体液をスムーズに導くことができる。
【0032】
図5は、図4のV−V線断面図、図6は、図4のVI−VI線断面図である。
【0033】
図5及び図6に示すとおり、コアラップシート23と吸液性コア24とは、第1面21側において、コアラップシート23の内面全域にわたって吸液性を妨げない塗布量で間欠的に塗布されたホットメルト接着剤からなる接着部49を介して互いに接合されている。また、コアラップシート23と吸液性コア24とは、第2面22側において、前記のとおり、両端圧搾部42,43及び中央圧搾部44を介して互いに固定されていることから、尿取りパッド10の着用中に、尿取りパッド10が折れ曲がったり捩れたりしても、吸液性コア24からコアラップシート23が離間したり、吸液性コア24が型崩れしたりするおそれはない。
【0034】
また、第1面21側において接着部49を介してコアラップシート23の内面全体と吸液性コア24とがほぼ均一に接合されていることから体液吸収体15全体のよれを抑えることができ、トップシート13の上方からヒンジライン18を形成する場合には、比較的容易に所与形状のヒンジライン18を形成することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、体液吸収体15の第1面21が尿取りパッド10の上面11側に位置し、第2面21が尿取りパッド10の下面12側に位置しているが、第1面21が尿取りパッド10の下面12側、第2面22が上面11側に位置するように配置してもよい。
【0036】
接着部49に使用するホットメルト接着剤は、コーター、コントロールシーム、スパイラル、サミット式等の各種の塗工方法により、SIS系ホットメルト接着剤、SBS系ホットメルト接着剤、SEBS系ホットメルト接着剤などこの種の物品で一般的に使用されているものを制限なく使用することができる。ただし、第1面21が尿取りパッド10の上面11側に位置する場合には、体液の吸液性能と接着強度とを考慮して、スパイラル塗工等によって間欠的に塗布することが好ましく、第1面21が下面12側に位置する場合には、所要の接着強度を確保するためにコーター塗工が好ましい。
【0037】
図7は、体液吸収体15の製造工程の一例を示す概略図である。図7において、機械方向をMD、機械方向に直交する交差方向をCDで示している。
【0038】
図7で示すとおり、体液吸収体15の製造工程では、まず、コアラップシート23の素材である連続ウエブ60が搬送ベルト61上において機械方向MDに搬送され、接着剤塗工部62において連続ウエブ60の所与領域(第1面21の内面全域に相当)にホットメルト接着剤が機械方向MDに連続して塗布される。次に、サクション機構を有する回転ドラムからなるコア供給部64において、連続ウエブ60の接着剤塗布領域63にパッド状に賦型された吸液性コア24を配置する。吸液性コア24が転写された後、連続ウエブ60の機械方向MDに延びる両側縁部65,66(コアラップシート23の両側縁部36,37に相当)がセーラー67を介して内方に向かって折り曲げられて互いに重ね合わされる。
【0039】
さらに、両側縁部65,66を互いに重ね合わせた状態のまま連続ウエブ60を機械方向MDに搬送し、その周面に複数の突起70aを有する回転ロールからなる第1加圧圧搾部70において連続ウエブ60の所与部位に加圧圧搾処理をして交差方向CDに延びる両端圧搾部42,43が形成されている。各両端圧搾部42,43は、機械方向MDにおいて所与寸法離間しており、両端圧搾部42,43が形成されることによって、連続ウエブ60の搬送中における両側縁部65,66の捲れを防止することができるとともに、各セクション(体液吸収体15に相当)に転写された吸液性コア24の一部が、隣り合うセクションに移動するおそれはない。次に、連続ウエブ60はその表面に複数のドット状のエンボスパターン71aを有する回転ロールからなる第2加圧圧搾部71において、その両側縁部65,66の両側に上方から加圧圧搾処理がなされ、中央圧搾部44が形成される。中央圧搾部44が形成された後、連続ウエブ60を所与部位においてカットすることによって、体液吸収体15が成形される。
【0040】
本製造工程では、連続ウエブ60の両側縁部65,66どうしが重ね合わされる側において、連続ウエブ60と吸液性コア24とがホットメルト接着剤ではなく、両端圧搾部42及び中央圧搾部44を介して固定されているので、両側縁部65,66どうしの重ね合わせ部位からホットメルト接着剤がはみ出て、製造装置の一部に付着するおそれはない。
【0041】
図8は、本発明に係る体液吸収体15の他の実施形態を示す図4と同様の平面図である。本実施形態における体液吸収体15の基本的構成は、第1実施形態と同様であるので、相違する点について以下に述べる。
【0042】
本実施形態では、体液吸収体15の第2面22側において、コアラップシート23の両側縁部36,37の重なり合い部位40が、体液吸収体15の横軸Q方向の中央部46ではなく側部に位置しており、中央圧搾部44が重なり合い部位40に形成されている。中央圧搾部44が重なり合い部位40に形成されていることによって、該部位をシールすることができ、高吸収性ポリマー粒子の脱落などを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0043】
13 トップシート
15 体液吸収体
18 ヒンジライン
21 第1面
22 第2面
23 コアラップシート
24 吸液性コア
31 第1端部域
32 第2端部域
33 中央域
36,37 コアラップシートの両側縁部
40 コアラップシートの両側縁部どうしの重ね合わせ部位
42,43 両端圧搾部
44 中央圧搾部
46 中央域の中央部
49 接着部
60 連続ウエブ
65,66 連続ウエブの両側部
MD 機械方向
CD 交差方向
P 縦軸
Q 横軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸及びそれに直交する横軸を有し、第1面及びその反対側の第2面と、少なくとも吸水性繊維を含む吸液性コアと、前記吸液性コア全体を被包するコアラップシートとを含む体液吸収体において、
互いに前記縦軸の方向において離間対向する第1及び第2端部域と、前記第1及び第2端部域間において前記縦軸の方向に延びる中央域とを有し、
前記第1面側において、前記コアラップシートと前記吸液性コアとが互いに対向する面のほぼ全域に間欠的に塗布されたホットメルト接着剤からなる接着部を介して互いに接合されており、
前記第2面側において、前記コアラップシートの両側縁部が互いに重ね合わされており、前記コアラップシートと前記吸液性コアとが前記第1及び第2端部域に形成された両端圧搾部と、前記中央域の前記横軸の方向における中央部を除く両側部に形成された中央圧搾部とにおいて互いに固定されていることを特徴とする前記体液吸収体。
【請求項2】
前記中央域における前記吸液性コアの前記吸水性繊維の質量が、前記中央域を除く他の領域の質量よりも大きく、前記吸液性コアが中高形状を有する請求項1に記載の体液吸収体。
【請求項3】
前記第1及び第2端部域全体に対する前記両端圧搾部を形成する圧搾パターンの圧搾面積率が30〜50%、前記中央域全体に対する前記中央圧搾部を形成する圧搾パターンの圧搾面積率が5〜25%である請求項1又は2記載の体液吸収体。
【請求項4】
前記第1面側又は前記第2面側に透液性のトップシートが配置され、前記トップシートから前記吸液性コアに向かって凸となるヒンジラインが形成されている請求項1〜3いずれかに記載の体液吸収体。
【請求項5】
前記コアラップシートの両側縁部どうしの重ね合わせ部位が、前記中央域の側部に位置している請求項1〜4いずれかに記載の体液吸収体。
【請求項6】
前記コアラップシートの素材である連続ウエブを機械方向へ搬送し、前記連続ウエブの所与位置に接着剤を塗布する工程と、前記接着剤の塗布領域に前記吸液性コアを配置する工程と、前記連続ウエブの前記機械方向に延びる両側部を互いに重ね合わせた後に、加圧圧搾処理によって前記機械方向と交差する方向に延びる前記両端圧搾部を形成する工程と、前記両端圧搾部を形成した後に、加圧圧搾処理によって、前記両端圧搾部間において前記機械方向へ延びる前記中央圧搾部を形成する工程とを含む請求項1〜5いずれかに記載の体液吸収体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−240055(P2011−240055A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116782(P2010−116782)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】