説明

体液循環路確保寝具用シーツ

【課題】従来技術により制作されたシーツまたは布団カバーには全身的な血流を確保することに特化した構造を持つものが無く、睡眠中の血流の低下が原因の不快感や睡眠不足や疲労回復の低下に悩む人達が改善策として所望するシーツまたは布団カバーには構造的に配慮のなされたものが無かった。
【解決手段】波型または凹凸の構造を持つシーツまたは布団カバーを作り、非加重空間で血流を確保して新陳代謝を活性化させることにより睡眠中の血流の低下が原因の不快感や睡眠不足や疲労回復の低下を改善するシーツまたは布団カバーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、就寝時に人体の体液循環の促進をさせることで新陳代謝の活性化を図り新陳代謝の不活性に起因する身体への悪影響を防ぐことを目的とした構造を持つ寝具用シーツの形状に関するものである。
更に詳細には、敷き布団、ベッド用マットの素材に本発明である寝具用シーツを備えることで、自己体重の負荷が原因で起こる体液循環の阻害因子を軽減して新陳代謝を活性化させることにより、疲労回復の増進を代表とするような人体に対する好影響を得ることを可能とする寝具用シーツの製作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術により作成された寝具用シーツは図8の55に示すように、人が仰臥位で寝た時に敷き布団またはベッド用マットに敷かれたシーツと体の接触面が平面的であることからその接触面に対して人の体重が全面的にかかることになる。
図8の62に示す部分を拡大した模式図を図9の63に示したのでこれに沿って従来技術の問題点を説明する。
【0003】
人の自重は図9の80の矢印に示される方向への圧力となって作用し、従来技術の布団または布団の上に置かれたシーツに押し付けられるような状態を起こす。
このことによってシーツまたは布団との接触面においては血管、リンパ管が圧力を受けて扁平化して体液循環の低下、静脈、動脈の血行不良などが人体への影響として起こる。
【0004】
他に考えられる悪影響には接触面の汗腺が塞がれて起こる局部発汗不全もあるが、これについては寝具材の素材に通気性の良いものや科学的に工夫された形状の寝具材を使用することによって従来技術で補えるものと考えるので本発明には包括しない。
【0005】
図9の63に示す図は、人が仰臥位で寝た際の静脈、動脈の血行不良を起こす原因の一つを物理的に説明するために図8の62の部分を拡大して模式図として表したものである。
【0006】
寝ている人の自重が図9の80に示す矢印方向に作用すると、図9の55に示す敷き布団またはマットまたはベットの敷きマットまたはシーツに対して直接接触する皮膚70を境界としたところに圧力がかかり図9の50に示される血管が図9の51のように圧迫されて扁平化を起こし血流が低下させられる。
このように圧迫により静脈並びに動脈の血流が低下することが疲労回復の阻害因子となることや人体の健康に関して好ましいことでは無いということは医学的な説明を待つまでも無く一般社会通念上広く知られている。
【0007】
従来このことを解決するための技術としては、スポンジ性の柔らかい素材を加工して点状の凹凸を付けた敷き布団や網目状の素材が人の体との接触部分にあたるようにしたもの等がある。
しかし何れの場合も人体の血流の確保を明確な目的とする考えに基づく技術により作られた構造を持つ寝具用シーツまたは布団カバーは無かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の実施例である図8の就寝方法では、体重を支えるために接触した人体の部分には必ず自重がかかり図9の51に示すように血管への圧力となって血行が阻害される箇所が発生し、そのことに起因する疲労回復の低下や他の人体に対する悪影響を明確に解決できないという課題があった。
【0009】
点状に人体の体重を支える形状や素材の反発力を低下させるなどの加工を施した寝具用敷き布団で血行の改善を図ろうとしたものもあるが、何れも局所的な効果はあるものの全身的に血流確保をするという概念で製作されたものではないので所望の効果は得られなかった。
その理由としてスポンジのような柔らかい素材で作られた点または線状の加工が施されたものは素材の反発力に対して体重の方が上回り、素材を体重で押しつぶしてしまうこととなり血流を確保するだけの空間は作られず平面的シーツまたは布団で就寝したのと同じ結果となる。
【0010】
無圧布団と言われるような柔らかい素材で作られたものも、自重による圧迫感を感じさせないということが主な目的で、本発明のように血流の確保を明確に意図して作られるものとはその性格が全く異なるものである。
加えて敷布団では無くシーツにまたは布団カバー対して加工を施したものは従来技術には無い。
従来技術にはいずれも全身的な血流の確保を目的とした構造に特化したものが無く、結果的に材質または弾力性または形状の改良だけに限られていて全身的な血流の確保という観点からみると、十分な効果を得ることができないことが課題であった。
【0011】
そこで本発明は従来技術には無い、就寝時の人体の全身的血流を最大限に確保する構造を持つ寝具用シーツまたは布団カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するための手段として本発明は、寝具材に対して図4、図5、図6、図7のような凹凸を等間隔に平行に連続して持つ形状を特徴とする寝具用シーツであり図1のような実施形態を持つ。
凹凸を形成する素材は人体に危害を与えず就寝時の体重を支えるのに十分な強度と弾力を備えていることが必要である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば図2の皮膚の状態60に示すように、凹凸で形成された寝具用シーツでは凸の部分に接触する皮膚には体重が強くかかり、その結果凹の部分の皮膚にかかる体重は極端に弱なくなる。
図3の61では皮膚70が変形している様子を示しているが、これは凸の部分にかかる圧力を受けている皮膚以外は図2の4と図3の4に示す空間に押しよけられて入り込む。
就寝者の自重のほとんどは図2の3の凸部分で受ける構造になっているので図2の4の凹部分内にかかる自重はほとんど無くなる。
血管またはリンパ管は凸の部分で押されるように凹の空間図3の4に移動して行くことになるが凹の部分、図3の4は自重の影響をほとんど受けていないため移動した血管は図3の50に示すように本来の形状と血流を維持できることと、図1に示すように凹部4と凸部3が寝具用シーツの上端から下端まで連続している構造の効果で就寝者2は頭部から足先まで静脈並びに動脈並びにリンパ管の連続した通り道を得ることができる。
同一姿勢から寝返りをうった場合のように体位変換した時でも本発明の寝具用シーツに次に接した体の部分に同じ作用が働き、元々凸部にあたっていた体の部分が凸部の圧迫から開放されると同時に凹部に追い出されていた血管がもとの位置に復帰して血流が戻り新たな循環路ができるなどして血流並びにリンパ管が更に循環促進されるという相乗効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0014】
この発明の実施形態を、図1に示す。
図1の5は本発明による構造を持つシーツで、図1の3の黒い帯状の線が凸部を示し、図1の4は図1の3の凸部と凸部の狭間となって作られる凹部を示している。
7の枕にも本発明によるシーツと同じ構造の枕カバーが取り付けてある。
図1の3の凸部と凸部の間隔は5ミリメートルから10センチメートルの範囲の中で形成される凹部4が十分な血流の確保ができる間隔を持つように配置する。
図1の3の凸部の高さは人体が不快感や痛みを覚えない高さと硬度であって十分な血流の確保ができる高さを持つように6ミリメートルから5センチメートルの範囲の中で設定する。
【0015】
製作実施例としては図4に示すように適度の硬さを持つ素材11を成形して10のように凸部を持たせた一体型の形状を有するもの、図5に示すように素材13を波型に変形加工して凸部12を作り所望の凹凸を持たせたもの、図6に示すように基底材料15に対して適切な間隔で素材14を並べて装着したものがある。
【0015】
図4に示す素材での製作例は図7に示すような形状を持ち、素材17を人体皮膚に適した素材16で覆うなどして実用化を図る。
図5の13に示す基材は加熱することにより任意の強度と形状を設定できる素材を使用して任意の大きさの波型に成型ができて凸部12の形成が容易な素材である。
【実施形態の効果】
【0016】
この実施形態によれば図3の61に示すように、図3の80に示す自重に対して凸の部分が加重を受けることによって凹の部分図3の4の空間が静脈、動脈、リンパ管の退避空間を形成して血流を確保することから、従来技術によって作られた寝具用シーツに比べて血流が大きく向上する。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の寝具用シーツで就寝すると持続した血流が確保されるため従来技術では得られなかった疲労回復の増進や爽快感を得ることが期待でき、この効果を求める人達に広く利用されることが期待できる。
製造に際しては構造が単純なために低コストでの製作が可能であり製品として販売する時の価格が、従来技術のものに比較して大きな差がつかないことも一般の人が簡単に購入できる要素となって社会で広く利用されることが期待できる。
【本発明の説明で使用した語句の定義】
【0018】
[新陳代謝]身体の古い細胞が新しい細胞へと生まれ変わること。
[血流]血液が心臓のポンプ機能によって押し出され、体内各所の細胞や臓器を回って、心臓に戻ってくる一連の血液循環のこと。
[体循環]血液が体内を巡り人体の各組織に酸素や栄養を補給し、組織から排泄された炭酸ガスや老廃物を運び去る役割をなすこと。
[血管]生体内で血液を運搬するための管で動脈、静脈、毛細血管の3種類をいう。
[体液]人体に含まれる水分の総称をさし、血液の中の赤血球などの細胞成分を除いた血漿と細胞内の水分。
[リンパ管]毛細血管からしみでた血漿がリンパ管に入り込んだもので、古い細胞や血球のかけらなどの老廃物や腸管で吸収された脂肪などを運ぶ役割をもつもの。
[シーツ]布団に被せて使用する布で、チャックが付いていないもの。
[布団]2枚の布地の端を縫い合わせて袋状にしてその中にわたなどのクッション材を入れたもの。
[布団カバー]チャックが付いていて、布団を中に入れてしまうような構造のもの。
[非加重空間]図3の4に示す凸部と凸部の間にできる凹形の空間。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の横臥位での実施形態を示す平面図である。
【図2】仰臥位で寝た人の姿を頭部方向から図1の1に示す矢印方向に見た模式図である。
【図3】図2の点線で囲まれた四角形60の部分の拡大図である。
【図4】形成用基材を利用しての製作例を示す図である。
【図5】基材そのものを変形させての製作例を示す図である。
【図6】2種類の材料を使用しての製作例である。
【図7】完成例である。
【図8】従来技術による仰臥位で寝た人の頭部方向から見た模式図である。
【図9】図8の点線で囲まれた四角形62の部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0020】
1 図2並びに図8を作成する時の視覚方向を示す矢印。
2 人体。
3 本発明により作られた寝具材の凸部。
4 本発明により作られた寝具材の凹部。
5 本発明による構造を持つシーツ。
6 本発明の説明用敷布団。
7 枕。
50 人体内の正常な血管。
51 人体内の圧力を受けて変形した血管。
55 従来技術のシーツまたは敷き布団を示す図。
60 本発明例実施した状況を拡大して説明する部分を示す点線枠。
61 詳細な説明をするために60を拡大した詳細図。
62 従来技術での就寝状況を拡大して説明する部分を示す点線枠。
63 詳細な説明をするために62を拡大した詳細図。
80 人体にかかる自重の方向を示す矢印。

【特許請求の範囲】
寝具用シーツの形状に人間が痛みや不快感を覚えない高さと幅を持つ凸型を5ミリメートルから10センチメートルの間隔に同一方向へ等間隔に凹凸をつけ、または同様の形状を有する素材を寝具用シーツに接着することにより就寝者の加重を凸面で受けて凹面に非加重の空間を作って体液や血液の循環路を確保することを目的とした寝具用シーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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