体積ホログラムの製造方法、及び体積ホログラム
【課題】製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラムを製造可能とする体積ホログラムの製造方法、及びその製造方法を用いて製造された体積ホログラムを提供すること。
【解決手段】第1入射光L1、及び第1入射光L1とは異なる方向からの第2入射光L2を用いた露光によって生じる干渉縞が記録材料20に記録された体積ホログラムの製造方法であって、第1入射光L1及び第2入射光L2の少なくとも一方を二以上の光束に分離させる光分離工程と、光分離工程により分離された光束を用いた露光により、複数種類の間隔の干渉縞を記録材料20に記録する露光工程と、を含む。
【解決手段】第1入射光L1、及び第1入射光L1とは異なる方向からの第2入射光L2を用いた露光によって生じる干渉縞が記録材料20に記録された体積ホログラムの製造方法であって、第1入射光L1及び第2入射光L2の少なくとも一方を二以上の光束に分離させる光分離工程と、光分離工程により分離された光束を用いた露光により、複数種類の間隔の干渉縞を記録材料20に記録する露光工程と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体積ホログラムの製造方法、及び体積ホログラム、特に、レーザ光を供給する光源装置に用いられる体積ホログラムの製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
体積ホログラムは、入射光を狭帯域化させる光学素子として知られている。体積ホログラムには、二方向から入射させた入射光によって生じた干渉縞が記録されている。体積ホログラムは、かかる干渉縞とブラッグ条件が合う光のみを、回折により選択的に反射させる。体積ホログラムは、複数の異なる間隔で干渉縞を記録することで、複数の波長の光を選択的に射出させることが可能となる。従来、複数の異なる間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムを製造するための技術は、例えば、特許文献1及び2に提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−274086号公報
【特許文献2】特開2002−156542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術によると、複数の異なる間隔の干渉縞を記録するためには、入射光の角度を変化させながら複数回露光を行う多重露光が必要である。複数回の露光が必要であると、製造に長時間を要する上、製造工程が複雑化するという問題を生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラムを製造可能とする体積ホログラムの製造方法、及びその製造方法を用いて製造された体積ホログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の体積ホログラムの製造方法は、第1入射光、及び第1入射光とは異なる方向からの第2入射光を用いた露光によって生じる干渉縞が記録材料に記録された体積ホログラムの製造方法であって、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を二以上の光束に分離させる光分離工程と、光分離工程により分離された光束を用いた露光により、複数種類の間隔の干渉縞を記録材料に記録する露光工程と、を含むことを特徴とする。
【0006】
光分離工程により、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることで、1回の露光によって複数回の露光による多重露光と同じことを行うことが可能となる。互いに異なる傾きをなす光束を用いた露光により、複数種類の間隔の干渉縞を記録材料に記録することができる。1回の露光によって複数の干渉縞の記録を行うことで、複数回の露光を行う場合よりも製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラムを製造することが可能となる。これにより、製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラムを製造することができる。
【0007】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、回折格子を用いて、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を分離させることが望ましい。これにより、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。また、機械的な駆動を不要とすることで、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、プリズム素子を用いて、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を分離させることが望ましい。これにより、
互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。また、機械的な駆動を不要とすることで、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、複数の波長の光を分離させることが望ましい。これにより、光の波長差を用いて効果的に光を分離させることができる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、音響光学素子を用いて、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を分離させることが望ましい。これにより、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。また、機械的な駆動を不要とすることで、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。音響光学素子を用いることで電気的な制御によって光束の向き等を容易に制御でき、干渉縞の間隔を容易に調整できる。よって、正確な間隔で干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、光を反射させながら傾きを変化させる反射型光学素子を用いて、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を分離させることが望ましい。これにより、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。反射型光学素子の傾きの電気的な制御によって光束の向き等を容易に制御でき、干渉縞の間隔を容易に調整できる。よって、正確な間隔で干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、記録材料上に配置された分散素子を用いて、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を分離させることが望ましい。これにより、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。また、小型な構成によって記録材料の露光を行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、露光工程において、記録材料の特定の面に向けて第1入射光及び第2入射光を入射させることが望ましい。これにより、第1入射光及び第2入射光を用いた記録材料の露光を行うことができる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、露光工程において、記録材料の第1面に向けて第1入射光を入射させ、記録材料の第1面とは反対側の第2面に向けて第2入射光を入射させることが望ましい。これにより、第1入射光及び第2入射光を用いた記録材料の露光を行うことができる。
【0015】
さらに、本発明の体積ホログラムは、上記の体積ホログラムの製造方法を用いて製造されることを特徴とする。上記の製造方法を用いることで、製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラムを製造することができる。これにより、製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって製造可能な体積ホログラムを得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る製造方法によって製造された体積ホログラム7を備える光源装置10の概略構成を示す。光源装置10は、半導体レーザ11を有する。半導体レーザ11は、コヒーレント光であるレーザ光を供給する光源部であって、面発光型の半導体レーザである。半導体レーザ11は、互いに並列させて設けられた4つの発光部12を備える。
【0018】
体積ホログラム7は、半導体レーザ11からのレーザ光の光路中に配置されている。体積ホログラム7は、半導体レーザ11からのレーザ光を共振させる外部共振器である。体積ホログラム7には、二方向から入射させた入射光によって生じた干渉縞が記録されている。かかる干渉縞は、高屈折率部分と低屈折率部分とが周期的に配列された周期構造として記録される。体積ホログラム7は、かかる干渉縞とブラッグ条件が合う光のみを、回折により選択的に反射させる。体積ホログラム7で反射したレーザ光は、半導体レーザ11の方向へ進行する。
【0019】
体積ホログラム7から半導体レーザ11の方向へ進行したレーザ光は、半導体レーザ11のミラー層(不図示)で反射する。ミラー層及び体積ホログラム7により反射されたレーザ光は、発光部12から新たに射出されるレーザ光と共振して増幅される。体積ホログラム7は、半導体レーザ11及び体積ホログラム7間で増幅されたレーザ光の一部を透過させ、光源装置10外部へ射出させる。かかる構成により、レーザ光の高出力化及び狭帯域化が可能となる。体積ホログラム7としては、ニオブ酸リチウム等の結晶により形成された結晶型の体積ホログラムや、フォトポリマからなるフォトポリマ体積ホログラムを用いることができる。
【0020】
半導体レーザ11は、各発光部12により、それぞれ異なる波長λ1、λ2、λ3、λ4(但し、λ1<λ2<λ3<λ4)のレーザ光を射出させる。各波長λ1、λ2、λ3、λ4は、例えば10nm程度の範囲内において分布している(λ4−λ1≦10nm)。各波長の間隔λ2−λ1、λ3−λ2、λ4−λ3は任意であって、いずれも数nm程度とすることができる。このような波長のずれは、意図的に構成することにより、或いは製造誤差によって生じさせることが可能である。効果的なスペックルノイズの低減のために、各波長の間隔λ2−λ1、λ3−λ2、λ4−λ3を不規則なものとしても良い。体積ホログラム7は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させる。
【0021】
体積ホログラム7は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させる素子である。図2は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させるための構成について説明するものである。図2に示す干渉縞15は、説明のために簡略化して表したものである。干渉縞15のうち、図中実線で表す干渉縞15aは、間隔d1で周期的に記録されている。間隔d1は、波長λ1についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d1で記録された干渉縞15aは、波長λ1の光を選択的に反射させる。また、干渉縞15のうち図中一点鎖線で表す干渉縞15bは、間隔d1とは異なる間隔d2で周期的に記録されている。間隔d2は、波長λ2についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d2で記録された干渉縞15bは、波長λ2の光を選択的に反射させる。また、干渉縞15のうち図中破線で表す干渉縞15cは、間隔d2とは異なる間隔d3で周期的に記録されている。間隔d3は、波長λ3についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d3で記録された干渉縞15cは、波長λ3の光を選択的に反射させる。
【0022】
干渉縞15には、波長λ4についても、それぞれブラッグ条件を満足する間隔の部分が存在する。干渉縞15は、各波長λ1〜λ4に対応する間隔の縞を重畳させて構成されている。このように、体積ホログラム7は、半導体レーザ11からのレーザ光の各波長λ1〜λ4に対応させて複数種類の異なる間隔で記録された干渉縞15により、各波長λ1〜λ4のレーザ光を選択的に反射させる。なお、干渉縞15のうち間隔d1で記録された干渉縞15aは、波長λ1の光のみを反射させる機能を果たし、波長λ2の光に対しては機能を果たさない。このように、各レーザ光に対して、干渉縞15のうちレーザ光の波長に対応する間隔の部分のみが機能する。複数種類の異なる間隔の干渉縞15が記録された体積ホログラム7は、複数の波長に対して波長選択性を持つ共振ミラーとして機能させることができる。各波長λ1〜λ4のレーザ光を共振させることで、光源装置10は、各波長λ1〜λ4のレーザ光を射出させる。
【0023】
光源装置10の半導体レーザ11は、複数の発光部12により複数の波長のレーザ光を供給可能であれば良く、4つの発光部12を備える構成に限られない。また、光源部は、面発光型の半導体レーザ11に代えて、端面発光型の半導体レーザとしても良い。光源装
置10は、レーザ光の波長を変換する波長変換素子、例えば、第二高調波発生(Second−Harmonic Generation、SHG)素子を用いる構成としても良い。
【0024】
図3は、体積ホログラム7の製造手順について説明するものである。体積ホログラム7は、感光体である記録材料20に干渉縞を記録することによって形成される。干渉縞15は、二方向から入射させた第1入射光L1及び第2入射光L2を干渉させることで生じる。露光工程において、第1入射光L1及び第2入射光L2は、いずれも記録材料20の特定の面である第1面S1へ向けて入射させる。第1入射光L1及び第2入射光L2は、いずれも単一波長の紫外レーザ光であって、同一の光源から射出されたレーザ光である。
【0025】
光分離工程において、回折格子21は、第1入射光L1を回折させ、0次光、±1次光、±2次光の各光束L11、L12、L13、L14、L15に分離する。回折格子21は、ガラス等の透明部材を用いた構成とすることができる。回折格子21からの5つの光束L11〜L15は、互いに異なる傾きをなす。5つの光束L11〜L15に分離された第1入射光L1は、記録材料20の第1面S1へ入射する。第2入射光L2は、1本の光束のまま第1面S1へ入射する。露光工程では、第2入射光L2に対して互いに異なる角度で入射する各光束L11〜L15、及び第2入射光L2による露光を行う。なお、回折格子21は、入射光を透過させる構成とする他、入射光を反射させる構成としても良い。
【0026】
記録材料20における干渉縞15の間隔は、二方向からの入射光間の角度に依存する。光束L11は、第2入射光L2との干渉により、波長λ1についてブラッグ条件を満足する間隔の干渉縞15を生じさせる。光束L12は、第2入射光L2との干渉により、波長λ2についてブラッグ条件を満足する間隔の干渉縞15を生じさせる。光束L13は、第2入射光L2との干渉により、波長λ3についてブラッグ条件を満足する間隔の干渉縞15を生じさせる。光束L14は、第2入射光L2との干渉により、波長λ4についてブラッグ条件を満足する間隔の干渉縞15を生じさせる。このように、露光工程において、記録材料20には、複数種類の間隔の干渉縞15が記録される。以上により、複数種類の間隔の干渉縞15が記録された体積ホログラム7が形成される。
【0027】
1回の露光によって複数の干渉縞15の記録を行うことで、複数回の露光を行う場合よりも製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラム7を製造することが可能となる。これにより、製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラム7を製造できるという効果を奏する。回折格子21を用いる場合、機械的な駆動を不要とし、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。
【0028】
回折格子21の格子間隔δは、体積ホログラム7に記録する干渉縞15の間隔dの範囲に基づいて決定することができる。例えば、波長範囲(λ4−λ1)0.5〜10nmに対応可能な体積ホログラム7については干渉縞15の間隔dを0.25〜5nmとすることができる。これに対して、回折格子21の格子間隔δは、例えば169μm〜3.4mmと設定することができる。記録材料20の特定面に向けて入射された入射光L1、L2による露光を経て形成された体積ホログラム7は、透過型ホログラムと呼ばれる。
【0029】
光分離工程は、第1入射光L1を5つの光束L11〜L15に分離させる場合に限られない。光分離工程では、第1入射光L1及び第2入射光L2の少なくとも一方を二以上の光束に分離させれば良い。光分離工程での分離により生じさせる光束は例えば5つ以上であっても良く、また第1入射光L1及び第2入射光L2をいずれも二以上の光束に分離させても良い。光分離工程における分離の態様は、体積ホログラム7に記録する干渉縞15に応じて適宜決定することができる。
【0030】
また、本発明の体積ホログラムの製造方法により製造される体積ホログラムは、図2に示す体積ホログラム7に限らない。すなわち、以下に示す体積ホログラム2〜6のいずれを製造することも可能である。
まず、体積ホログラム2には、図4に示すように、間隔d1で記録された干渉縞14aと、間隔d2で記録された干渉縞14bと、間隔d3で記録された干渉縞14cとが記録されている。また、干渉縞14a〜14cの間隔d1〜d3はすべて等しい。また、干渉縞14aと干渉縞14bとのなす角をθ1とし、干渉縞14bと干渉縞14cとのなす角をθ2とすると、角θ1と角θ2とが同じ角度である。
なお、角θ1と角θ2とは同じ角度としたが、必ずしも同じ角度でなくても良い。
【0031】
また、複数の干渉縞群を有する体積ホログラム3を製造することも可能である。体積ホログラム3は、図5に示すように、干渉縞群Aと干渉縞群Bとを有している。干渉縞群Aには、干渉縞14aを基準に角度θ1をなして干渉縞14bが記録され、干渉縞14bと角度θ2をなして干渉縞14cが一方向に記録されている。また、干渉縞群Bには、干渉縞14Aを基準に角度θ1をなして干渉縞14Bが記録され、干渉縞14Bと角度θ2をなして干渉縞14Cが一方向と交差する他方向に記録されている。角θ1と角θ2とが同じ角度である。
また、干渉縞群A及び干渉縞群Bのそれぞれの干渉縞14a〜14c、14A〜14Cの間隔はすべて同じである。
【0032】
なお、干渉縞群Aと干渉縞群Bとの干渉縞同士のなす角は同じであるとしたが、異なっていても良い。すなわち、干渉縞群Bにおけるなす角θ1,角θ2を角θ3,角θ4とし、干渉縞群Aのなす角θ1,θ2と異なるように干渉縞14A〜14Cを記録しても良い。なお、角θ1と角θ2とは同じ角度としたが、必ずしも同じ角度でなくても良く、間隔d1〜d3がすべて等しくなくても良い。
【0033】
また、図6に示すように、第1面S1に干渉縞が形成されていない体積ホログラム4を製造することも可能である。
また、図7に示すように、入射する光Lの中心軸に対して略垂直な方向に干渉縞14a,14b,14cが記録されている体積ホログラム5であっても良い。この構成の場合、入射端面5aから光を入射させることにより、ブラック条件を満足する特定の波長の光が回折(反射)し、それ以外の光が透過する。
また、図8に示すように、入射する光Lの中心軸に対して略平行な方向、すなわち、厚み方向に干渉縞14a,14b,14cが記録されているホログラム素子6であっても良い。この構成の場合、入射端面6aから光を入射させることにより、ブラック条件を満足する特定の波長の光が回折し、それ以外の光が透過する。
以上より、体積ホログラム5では反射型ホログラムとして使用し、体積ホログラム6では透過型ホログラムとして使用することが可能とである。
【0034】
以上説明した体積ホログラム2〜6を光源装置10が備えていても良い。この構成では、外部共振器が、入射した光の光路と同一の光路を進行するように入射した光を反射させる反射ミラーを備えれば良い。
【0035】
図9は、本実施例の変形例1に係る製造方法について説明するものである。本変形例で
は、光分離工程において、プリズム素子23を用いて第1入射光L1を分離させる。プリズム素子23は、ガラス等の透明部材を用いて構成された三角プリズムである。第1入射光L3は、それぞれ異なる5つの波長Λ1、Λ2、Λ3、Λ4、Λ5の光束よりなる。複数の波長の光は、比較的広いスペクトル幅を持つ光源により供給することができる。
【0036】
第1入射光L3は、プリズム素子23の界面において屈折する。プリズム素子23における屈折率は波長に依存することから、第1入射光L3は、波長ごとの屈折率差により5つの光束L31〜L35に分離される。光束L31、L32、L33、L34、L35は、それぞれ波長Λ1、Λ2、Λ3、Λ4、Λ5の光である。プリズム素子23により、互いに異なる傾きをなす二以上の光束L31〜L35を生じさせることができる。本変形例においても、複数種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムが形成される。プリズム素子23を用いる場合も、機械的な駆動を不要とし、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。なお、プリズム素子23は、屈折率差を利用して入射光を分離可能であれば良く、三角プリズムである場合に限られない。
【0037】
光分離工程において複数の波長の光を分離させることで、光の波長差を用いて効果的に光を分離させることができる。図3を用いて説明した回折格子21を用いた光分離工程においても、複数の波長の光を分離させることとしても良い。回折格子21の構成に応じて、単一波長の光、又は複数の波長の光を分離可能とすることができる。複数の波長の光を分離させる場合、各波長差に応じて各光束L31〜L35間の角度は変化する。例えば波長間隔が5nmである場合、干渉縞の間隔dを0.25〜5nmとするのに対して、回折格子21の格子間隔δは、例えば100μm〜5mmと設定することができる。
【0038】
図10は、本実施例の変形例2に係る製造方法について説明するものである。本変形例では、光分離工程において、音響光学素子25を用いて第1入射光L1を分離させる。音響光学素子25は、音響波を用いて光を分離させる。音響光学素子25により、互いに異なる傾きをなす二以上の光束L11〜L15を生じさせることができる。本変形例においても、複数種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムが形成される。音響光学素子25を用いる場合も、機械的な駆動を不要とし、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。音響光学素子25を用いることで電気的な制御によって光束の向き等を容易に制御でき、干渉縞の間隔を容易に調整できる。よって、正確な間隔で干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。
【0039】
音響光学素子25の音響波の周波数は、体積ホログラムに記録する干渉縞の間隔dの範囲に基づいて決定することができる。光分離工程において回折格子21(図3参照)を用いる場合の例と同様に、干渉縞の間隔dを0.25〜5nmとするのに対して、音響波の周波数は、およそ1〜20MHz、例えば10〜20MHzと設定することができる。
【0040】
図11は、本実施例の変形例3に係る製造方法について説明するものである。本変形例では、光分離工程において、MEMSミラー30を用いて第1入射光L1を分離させる。MEMSミラー30は、光を反射させながら傾きを高速に変化させる反射型光学素子である。マイクロコンピュータ等を備える制御装置32は、露光用光源31及びミラー駆動部33を制御する。露光用光源31は、制御装置32の制御に応じたパルス発光により、第1入射光L1及び第2入射光L2を供給する。ミラー駆動部33は、制御装置32の制御により、露光用光源31のパルス発光に同期させてMEMSミラー30を駆動させる。
【0041】
MEMSミラー30及び露光用光源31の制御により、互いに異なる傾きをなす二以上の光束L11〜L15を生じさせることができる。本変形例においても、複数種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムが形成される。MEMSミラー30の傾きの電気的
な制御によって光束の向き等を容易に制御でき、干渉縞の間隔を容易に調整できる。よって、正確な間隔で干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。反射型光学素子は、傾きを高速に変化させることが可能であれば良く、MEMSミラー30の他に、ピエゾ素子、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等を適用しても良い。
【0042】
図12は、本実施例の変形例4に係る製造方法について説明するものである。本変形例では、光分離工程において、記録材料20上に配置された分散素子35を用いて第1入射光L1及び第2入射光L2を分離させる。第1入射光L1及び第2入射光L2の照射に先立ち、記録材料20の第1面S1上に分散素子35を積層させる。分散素子35としては、例えばフィルム状の回折格子、プリズム素子等を用いることができる。分散素子35として回折格子を用いる場合、単一波長の第1入射光L1及び第2入射光L2の他、複数の波長の第1入射光、第2入射光を用いても良い。分散素子35としてプリズム素子を用いる場合、複数の波長の第1入射光、第2入射光を用いる。
【0043】
分散素子35により、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。本変形例においても、複数種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムが形成される。記録材料20上に配置された分散素子35を用いることで、小型な構成によって記録材料20の露光を行うことが可能となる。
特に、図6に示す体積ホログラム4を製造する場合、第1面S1上に分散素子35を積層させることにより、第1面S1に干渉縞14a〜14cを記録させず、内部にのみ干渉縞14a〜14cを記録することができる。
【0044】
図13は、本実施例の変形例5に係る製造方法について説明するものである。本変形例では、露光工程において、記録材料20の第1面S1に向けて第1入射光L1を入射させ、記録材料20の第1面S1とは反対側の第2面S2に向けて第2入射光L2を入射させる。光分離工程では、回折格子21を用いて第1入射光L1を分離させる。本変形例の場合も、第1入射光L1及び第2入射光L2を用いた記録材料20の露光により、複数の種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。
【0045】
図14は、本実施例の変形例6に係る製造方法について説明するものである。本変形例6では、第2入射光L2も回折素子22を用いて分離させ、第2面S2から第2入射光L2を入射させる点において、上述した変形例5と異なる。本変形例6も変形例5と同様に、複数の種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。
なお、回折素子22に変えてプリズム素子、音響光学素子、分散素子を用いることも可能である。
【0046】
図15は、本実施例の変形例7に係る製造方法について説明するものである。本変形例では、露光工程において、記録材料20の第1面S1上方に第1回折素子41及び第2回折素子42が設けられている。まず、第1回折素子41を用いて第1入射光L1を分離させ、第2回折素子42を用いて第2入射光L2を分離させる。そして、記録材料20の第1面S1に向けて第1入射光L1及び第2入射光L2を入射させることにより、複数の種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムを形成することができる。
なお、第1,第2回折素子41,42に変えてプリズム素子、音響光学素子、分散素子を用いることも可能である。
【0047】
本変形例により製造される体積ホログラムは、リップマンホログラムと呼ばれる。リップマンホログラムは、上述の透過型ホログラムと比較して高い波長選択性を備える。例えば、厚さ6μmの体積ホログラムについて、波長632nmのレーザ光に対する波長選択幅は、透過型ホログラムであれば数百nmであるのに対して、リップマンホログラムであれば数十nmにまで狭めることが可能である。なお、本変形例において、光分離工程では回折格子21を用いる他、上記のプリズム素子23(図9参照)、音響光学素子25(図10参照)、反射型光学素子(図11参照)、分散素子35(図12参照)のいずれかを用いることとしても良い。
【0048】
本発明により製造された体積ホログラムは、プロジェクタ等の画像表示装置、モニタ装置、露光装置等の光源装置の外部共振器に適用することができる。この他、体積ホログラムは、記録媒体、計測機器、計算機等に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明に係る体積ホログラムの製造方法は、複数の波長の光を選択的に射出可能な体積ホログラムを製造する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】体積ホログラムを備える光源装置の概略構成を示す図。
【図2】各波長のレーザ光を選択的に反射させるための構成について説明する図。
【図3】体積ホログラムの製造手順について説明する図。
【図4】体積ホログラムの変形例を示す図。
【図5】体積ホログラムの変形例を示す図。
【図6】体積ホログラムの変形例を示す図。
【図7】体積ホログラムの変形例を示す図。
【図8】体積ホログラムの変形例を示す図。
【図9】実施例の変形例1に係る製造方法について説明する図。
【図10】実施例の変形例2に係る製造方法について説明する図。
【図11】実施例の変形例3に係る製造方法について説明する図。
【図12】実施例の変形例4に係る製造方法について説明する図。
【図13】実施例の変形例5に係る製造方法について説明する図。
【図14】実施例の変形例6に係る製造方法について説明する図。
【図15】実施例の変形例7に係る製造方法について説明する図。
【符号の説明】
【0051】
10…光源装置、11…半導体レーザ、12…発光部、2,3,4,5,6,7…体積ホログラム、14a,14b,14c,14A,14B,14C,15a,15b,15c…干渉縞、20…記録材料、21…回折格子、L1…第1入射光、L2…第2入射光、L11〜L15…光束、S1…第1面、23…プリズム素子、L3…第1入射光、L31〜L35…光束、25…音響光学素子、30…MEMSミラー、31…露光用光源、32…制御装置、33…ミラー駆動部、35…分散素子、S2…第2面
【技術分野】
【0001】
本発明は、体積ホログラムの製造方法、及び体積ホログラム、特に、レーザ光を供給する光源装置に用いられる体積ホログラムの製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
体積ホログラムは、入射光を狭帯域化させる光学素子として知られている。体積ホログラムには、二方向から入射させた入射光によって生じた干渉縞が記録されている。体積ホログラムは、かかる干渉縞とブラッグ条件が合う光のみを、回折により選択的に反射させる。体積ホログラムは、複数の異なる間隔で干渉縞を記録することで、複数の波長の光を選択的に射出させることが可能となる。従来、複数の異なる間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムを製造するための技術は、例えば、特許文献1及び2に提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−274086号公報
【特許文献2】特開2002−156542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術によると、複数の異なる間隔の干渉縞を記録するためには、入射光の角度を変化させながら複数回露光を行う多重露光が必要である。複数回の露光が必要であると、製造に長時間を要する上、製造工程が複雑化するという問題を生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラムを製造可能とする体積ホログラムの製造方法、及びその製造方法を用いて製造された体積ホログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の体積ホログラムの製造方法は、第1入射光、及び第1入射光とは異なる方向からの第2入射光を用いた露光によって生じる干渉縞が記録材料に記録された体積ホログラムの製造方法であって、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を二以上の光束に分離させる光分離工程と、光分離工程により分離された光束を用いた露光により、複数種類の間隔の干渉縞を記録材料に記録する露光工程と、を含むことを特徴とする。
【0006】
光分離工程により、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることで、1回の露光によって複数回の露光による多重露光と同じことを行うことが可能となる。互いに異なる傾きをなす光束を用いた露光により、複数種類の間隔の干渉縞を記録材料に記録することができる。1回の露光によって複数の干渉縞の記録を行うことで、複数回の露光を行う場合よりも製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラムを製造することが可能となる。これにより、製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラムを製造することができる。
【0007】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、回折格子を用いて、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を分離させることが望ましい。これにより、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。また、機械的な駆動を不要とすることで、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、プリズム素子を用いて、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を分離させることが望ましい。これにより、
互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。また、機械的な駆動を不要とすることで、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、複数の波長の光を分離させることが望ましい。これにより、光の波長差を用いて効果的に光を分離させることができる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、音響光学素子を用いて、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を分離させることが望ましい。これにより、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。また、機械的な駆動を不要とすることで、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。音響光学素子を用いることで電気的な制御によって光束の向き等を容易に制御でき、干渉縞の間隔を容易に調整できる。よって、正確な間隔で干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、光を反射させながら傾きを変化させる反射型光学素子を用いて、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を分離させることが望ましい。これにより、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。反射型光学素子の傾きの電気的な制御によって光束の向き等を容易に制御でき、干渉縞の間隔を容易に調整できる。よって、正確な間隔で干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、光分離工程において、記録材料上に配置された分散素子を用いて、第1入射光及び第2入射光の少なくとも一方を分離させることが望ましい。これにより、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。また、小型な構成によって記録材料の露光を行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、露光工程において、記録材料の特定の面に向けて第1入射光及び第2入射光を入射させることが望ましい。これにより、第1入射光及び第2入射光を用いた記録材料の露光を行うことができる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、露光工程において、記録材料の第1面に向けて第1入射光を入射させ、記録材料の第1面とは反対側の第2面に向けて第2入射光を入射させることが望ましい。これにより、第1入射光及び第2入射光を用いた記録材料の露光を行うことができる。
【0015】
さらに、本発明の体積ホログラムは、上記の体積ホログラムの製造方法を用いて製造されることを特徴とする。上記の製造方法を用いることで、製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラムを製造することができる。これにより、製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって製造可能な体積ホログラムを得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る製造方法によって製造された体積ホログラム7を備える光源装置10の概略構成を示す。光源装置10は、半導体レーザ11を有する。半導体レーザ11は、コヒーレント光であるレーザ光を供給する光源部であって、面発光型の半導体レーザである。半導体レーザ11は、互いに並列させて設けられた4つの発光部12を備える。
【0018】
体積ホログラム7は、半導体レーザ11からのレーザ光の光路中に配置されている。体積ホログラム7は、半導体レーザ11からのレーザ光を共振させる外部共振器である。体積ホログラム7には、二方向から入射させた入射光によって生じた干渉縞が記録されている。かかる干渉縞は、高屈折率部分と低屈折率部分とが周期的に配列された周期構造として記録される。体積ホログラム7は、かかる干渉縞とブラッグ条件が合う光のみを、回折により選択的に反射させる。体積ホログラム7で反射したレーザ光は、半導体レーザ11の方向へ進行する。
【0019】
体積ホログラム7から半導体レーザ11の方向へ進行したレーザ光は、半導体レーザ11のミラー層(不図示)で反射する。ミラー層及び体積ホログラム7により反射されたレーザ光は、発光部12から新たに射出されるレーザ光と共振して増幅される。体積ホログラム7は、半導体レーザ11及び体積ホログラム7間で増幅されたレーザ光の一部を透過させ、光源装置10外部へ射出させる。かかる構成により、レーザ光の高出力化及び狭帯域化が可能となる。体積ホログラム7としては、ニオブ酸リチウム等の結晶により形成された結晶型の体積ホログラムや、フォトポリマからなるフォトポリマ体積ホログラムを用いることができる。
【0020】
半導体レーザ11は、各発光部12により、それぞれ異なる波長λ1、λ2、λ3、λ4(但し、λ1<λ2<λ3<λ4)のレーザ光を射出させる。各波長λ1、λ2、λ3、λ4は、例えば10nm程度の範囲内において分布している(λ4−λ1≦10nm)。各波長の間隔λ2−λ1、λ3−λ2、λ4−λ3は任意であって、いずれも数nm程度とすることができる。このような波長のずれは、意図的に構成することにより、或いは製造誤差によって生じさせることが可能である。効果的なスペックルノイズの低減のために、各波長の間隔λ2−λ1、λ3−λ2、λ4−λ3を不規則なものとしても良い。体積ホログラム7は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させる。
【0021】
体積ホログラム7は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させる素子である。図2は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させるための構成について説明するものである。図2に示す干渉縞15は、説明のために簡略化して表したものである。干渉縞15のうち、図中実線で表す干渉縞15aは、間隔d1で周期的に記録されている。間隔d1は、波長λ1についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d1で記録された干渉縞15aは、波長λ1の光を選択的に反射させる。また、干渉縞15のうち図中一点鎖線で表す干渉縞15bは、間隔d1とは異なる間隔d2で周期的に記録されている。間隔d2は、波長λ2についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d2で記録された干渉縞15bは、波長λ2の光を選択的に反射させる。また、干渉縞15のうち図中破線で表す干渉縞15cは、間隔d2とは異なる間隔d3で周期的に記録されている。間隔d3は、波長λ3についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d3で記録された干渉縞15cは、波長λ3の光を選択的に反射させる。
【0022】
干渉縞15には、波長λ4についても、それぞれブラッグ条件を満足する間隔の部分が存在する。干渉縞15は、各波長λ1〜λ4に対応する間隔の縞を重畳させて構成されている。このように、体積ホログラム7は、半導体レーザ11からのレーザ光の各波長λ1〜λ4に対応させて複数種類の異なる間隔で記録された干渉縞15により、各波長λ1〜λ4のレーザ光を選択的に反射させる。なお、干渉縞15のうち間隔d1で記録された干渉縞15aは、波長λ1の光のみを反射させる機能を果たし、波長λ2の光に対しては機能を果たさない。このように、各レーザ光に対して、干渉縞15のうちレーザ光の波長に対応する間隔の部分のみが機能する。複数種類の異なる間隔の干渉縞15が記録された体積ホログラム7は、複数の波長に対して波長選択性を持つ共振ミラーとして機能させることができる。各波長λ1〜λ4のレーザ光を共振させることで、光源装置10は、各波長λ1〜λ4のレーザ光を射出させる。
【0023】
光源装置10の半導体レーザ11は、複数の発光部12により複数の波長のレーザ光を供給可能であれば良く、4つの発光部12を備える構成に限られない。また、光源部は、面発光型の半導体レーザ11に代えて、端面発光型の半導体レーザとしても良い。光源装
置10は、レーザ光の波長を変換する波長変換素子、例えば、第二高調波発生(Second−Harmonic Generation、SHG)素子を用いる構成としても良い。
【0024】
図3は、体積ホログラム7の製造手順について説明するものである。体積ホログラム7は、感光体である記録材料20に干渉縞を記録することによって形成される。干渉縞15は、二方向から入射させた第1入射光L1及び第2入射光L2を干渉させることで生じる。露光工程において、第1入射光L1及び第2入射光L2は、いずれも記録材料20の特定の面である第1面S1へ向けて入射させる。第1入射光L1及び第2入射光L2は、いずれも単一波長の紫外レーザ光であって、同一の光源から射出されたレーザ光である。
【0025】
光分離工程において、回折格子21は、第1入射光L1を回折させ、0次光、±1次光、±2次光の各光束L11、L12、L13、L14、L15に分離する。回折格子21は、ガラス等の透明部材を用いた構成とすることができる。回折格子21からの5つの光束L11〜L15は、互いに異なる傾きをなす。5つの光束L11〜L15に分離された第1入射光L1は、記録材料20の第1面S1へ入射する。第2入射光L2は、1本の光束のまま第1面S1へ入射する。露光工程では、第2入射光L2に対して互いに異なる角度で入射する各光束L11〜L15、及び第2入射光L2による露光を行う。なお、回折格子21は、入射光を透過させる構成とする他、入射光を反射させる構成としても良い。
【0026】
記録材料20における干渉縞15の間隔は、二方向からの入射光間の角度に依存する。光束L11は、第2入射光L2との干渉により、波長λ1についてブラッグ条件を満足する間隔の干渉縞15を生じさせる。光束L12は、第2入射光L2との干渉により、波長λ2についてブラッグ条件を満足する間隔の干渉縞15を生じさせる。光束L13は、第2入射光L2との干渉により、波長λ3についてブラッグ条件を満足する間隔の干渉縞15を生じさせる。光束L14は、第2入射光L2との干渉により、波長λ4についてブラッグ条件を満足する間隔の干渉縞15を生じさせる。このように、露光工程において、記録材料20には、複数種類の間隔の干渉縞15が記録される。以上により、複数種類の間隔の干渉縞15が記録された体積ホログラム7が形成される。
【0027】
1回の露光によって複数の干渉縞15の記録を行うことで、複数回の露光を行う場合よりも製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラム7を製造することが可能となる。これにより、製造に要する時間を短くでき、簡易な製造工程によって体積ホログラム7を製造できるという効果を奏する。回折格子21を用いる場合、機械的な駆動を不要とし、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。
【0028】
回折格子21の格子間隔δは、体積ホログラム7に記録する干渉縞15の間隔dの範囲に基づいて決定することができる。例えば、波長範囲(λ4−λ1)0.5〜10nmに対応可能な体積ホログラム7については干渉縞15の間隔dを0.25〜5nmとすることができる。これに対して、回折格子21の格子間隔δは、例えば169μm〜3.4mmと設定することができる。記録材料20の特定面に向けて入射された入射光L1、L2による露光を経て形成された体積ホログラム7は、透過型ホログラムと呼ばれる。
【0029】
光分離工程は、第1入射光L1を5つの光束L11〜L15に分離させる場合に限られない。光分離工程では、第1入射光L1及び第2入射光L2の少なくとも一方を二以上の光束に分離させれば良い。光分離工程での分離により生じさせる光束は例えば5つ以上であっても良く、また第1入射光L1及び第2入射光L2をいずれも二以上の光束に分離させても良い。光分離工程における分離の態様は、体積ホログラム7に記録する干渉縞15に応じて適宜決定することができる。
【0030】
また、本発明の体積ホログラムの製造方法により製造される体積ホログラムは、図2に示す体積ホログラム7に限らない。すなわち、以下に示す体積ホログラム2〜6のいずれを製造することも可能である。
まず、体積ホログラム2には、図4に示すように、間隔d1で記録された干渉縞14aと、間隔d2で記録された干渉縞14bと、間隔d3で記録された干渉縞14cとが記録されている。また、干渉縞14a〜14cの間隔d1〜d3はすべて等しい。また、干渉縞14aと干渉縞14bとのなす角をθ1とし、干渉縞14bと干渉縞14cとのなす角をθ2とすると、角θ1と角θ2とが同じ角度である。
なお、角θ1と角θ2とは同じ角度としたが、必ずしも同じ角度でなくても良い。
【0031】
また、複数の干渉縞群を有する体積ホログラム3を製造することも可能である。体積ホログラム3は、図5に示すように、干渉縞群Aと干渉縞群Bとを有している。干渉縞群Aには、干渉縞14aを基準に角度θ1をなして干渉縞14bが記録され、干渉縞14bと角度θ2をなして干渉縞14cが一方向に記録されている。また、干渉縞群Bには、干渉縞14Aを基準に角度θ1をなして干渉縞14Bが記録され、干渉縞14Bと角度θ2をなして干渉縞14Cが一方向と交差する他方向に記録されている。角θ1と角θ2とが同じ角度である。
また、干渉縞群A及び干渉縞群Bのそれぞれの干渉縞14a〜14c、14A〜14Cの間隔はすべて同じである。
【0032】
なお、干渉縞群Aと干渉縞群Bとの干渉縞同士のなす角は同じであるとしたが、異なっていても良い。すなわち、干渉縞群Bにおけるなす角θ1,角θ2を角θ3,角θ4とし、干渉縞群Aのなす角θ1,θ2と異なるように干渉縞14A〜14Cを記録しても良い。なお、角θ1と角θ2とは同じ角度としたが、必ずしも同じ角度でなくても良く、間隔d1〜d3がすべて等しくなくても良い。
【0033】
また、図6に示すように、第1面S1に干渉縞が形成されていない体積ホログラム4を製造することも可能である。
また、図7に示すように、入射する光Lの中心軸に対して略垂直な方向に干渉縞14a,14b,14cが記録されている体積ホログラム5であっても良い。この構成の場合、入射端面5aから光を入射させることにより、ブラック条件を満足する特定の波長の光が回折(反射)し、それ以外の光が透過する。
また、図8に示すように、入射する光Lの中心軸に対して略平行な方向、すなわち、厚み方向に干渉縞14a,14b,14cが記録されているホログラム素子6であっても良い。この構成の場合、入射端面6aから光を入射させることにより、ブラック条件を満足する特定の波長の光が回折し、それ以外の光が透過する。
以上より、体積ホログラム5では反射型ホログラムとして使用し、体積ホログラム6では透過型ホログラムとして使用することが可能とである。
【0034】
以上説明した体積ホログラム2〜6を光源装置10が備えていても良い。この構成では、外部共振器が、入射した光の光路と同一の光路を進行するように入射した光を反射させる反射ミラーを備えれば良い。
【0035】
図9は、本実施例の変形例1に係る製造方法について説明するものである。本変形例で
は、光分離工程において、プリズム素子23を用いて第1入射光L1を分離させる。プリズム素子23は、ガラス等の透明部材を用いて構成された三角プリズムである。第1入射光L3は、それぞれ異なる5つの波長Λ1、Λ2、Λ3、Λ4、Λ5の光束よりなる。複数の波長の光は、比較的広いスペクトル幅を持つ光源により供給することができる。
【0036】
第1入射光L3は、プリズム素子23の界面において屈折する。プリズム素子23における屈折率は波長に依存することから、第1入射光L3は、波長ごとの屈折率差により5つの光束L31〜L35に分離される。光束L31、L32、L33、L34、L35は、それぞれ波長Λ1、Λ2、Λ3、Λ4、Λ5の光である。プリズム素子23により、互いに異なる傾きをなす二以上の光束L31〜L35を生じさせることができる。本変形例においても、複数種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムが形成される。プリズム素子23を用いる場合も、機械的な駆動を不要とし、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。なお、プリズム素子23は、屈折率差を利用して入射光を分離可能であれば良く、三角プリズムである場合に限られない。
【0037】
光分離工程において複数の波長の光を分離させることで、光の波長差を用いて効果的に光を分離させることができる。図3を用いて説明した回折格子21を用いた光分離工程においても、複数の波長の光を分離させることとしても良い。回折格子21の構成に応じて、単一波長の光、又は複数の波長の光を分離可能とすることができる。複数の波長の光を分離させる場合、各波長差に応じて各光束L31〜L35間の角度は変化する。例えば波長間隔が5nmである場合、干渉縞の間隔dを0.25〜5nmとするのに対して、回折格子21の格子間隔δは、例えば100μm〜5mmと設定することができる。
【0038】
図10は、本実施例の変形例2に係る製造方法について説明するものである。本変形例では、光分離工程において、音響光学素子25を用いて第1入射光L1を分離させる。音響光学素子25は、音響波を用いて光を分離させる。音響光学素子25により、互いに異なる傾きをなす二以上の光束L11〜L15を生じさせることができる。本変形例においても、複数種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムが形成される。音響光学素子25を用いる場合も、機械的な駆動を不要とし、簡易な構成を用いて光を分離させることができる。音響光学素子25を用いることで電気的な制御によって光束の向き等を容易に制御でき、干渉縞の間隔を容易に調整できる。よって、正確な間隔で干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。
【0039】
音響光学素子25の音響波の周波数は、体積ホログラムに記録する干渉縞の間隔dの範囲に基づいて決定することができる。光分離工程において回折格子21(図3参照)を用いる場合の例と同様に、干渉縞の間隔dを0.25〜5nmとするのに対して、音響波の周波数は、およそ1〜20MHz、例えば10〜20MHzと設定することができる。
【0040】
図11は、本実施例の変形例3に係る製造方法について説明するものである。本変形例では、光分離工程において、MEMSミラー30を用いて第1入射光L1を分離させる。MEMSミラー30は、光を反射させながら傾きを高速に変化させる反射型光学素子である。マイクロコンピュータ等を備える制御装置32は、露光用光源31及びミラー駆動部33を制御する。露光用光源31は、制御装置32の制御に応じたパルス発光により、第1入射光L1及び第2入射光L2を供給する。ミラー駆動部33は、制御装置32の制御により、露光用光源31のパルス発光に同期させてMEMSミラー30を駆動させる。
【0041】
MEMSミラー30及び露光用光源31の制御により、互いに異なる傾きをなす二以上の光束L11〜L15を生じさせることができる。本変形例においても、複数種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムが形成される。MEMSミラー30の傾きの電気的
な制御によって光束の向き等を容易に制御でき、干渉縞の間隔を容易に調整できる。よって、正確な間隔で干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。反射型光学素子は、傾きを高速に変化させることが可能であれば良く、MEMSミラー30の他に、ピエゾ素子、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等を適用しても良い。
【0042】
図12は、本実施例の変形例4に係る製造方法について説明するものである。本変形例では、光分離工程において、記録材料20上に配置された分散素子35を用いて第1入射光L1及び第2入射光L2を分離させる。第1入射光L1及び第2入射光L2の照射に先立ち、記録材料20の第1面S1上に分散素子35を積層させる。分散素子35としては、例えばフィルム状の回折格子、プリズム素子等を用いることができる。分散素子35として回折格子を用いる場合、単一波長の第1入射光L1及び第2入射光L2の他、複数の波長の第1入射光、第2入射光を用いても良い。分散素子35としてプリズム素子を用いる場合、複数の波長の第1入射光、第2入射光を用いる。
【0043】
分散素子35により、互いに異なる傾きをなす二以上の光束を生じさせることができる。本変形例においても、複数種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムが形成される。記録材料20上に配置された分散素子35を用いることで、小型な構成によって記録材料20の露光を行うことが可能となる。
特に、図6に示す体積ホログラム4を製造する場合、第1面S1上に分散素子35を積層させることにより、第1面S1に干渉縞14a〜14cを記録させず、内部にのみ干渉縞14a〜14cを記録することができる。
【0044】
図13は、本実施例の変形例5に係る製造方法について説明するものである。本変形例では、露光工程において、記録材料20の第1面S1に向けて第1入射光L1を入射させ、記録材料20の第1面S1とは反対側の第2面S2に向けて第2入射光L2を入射させる。光分離工程では、回折格子21を用いて第1入射光L1を分離させる。本変形例の場合も、第1入射光L1及び第2入射光L2を用いた記録材料20の露光により、複数の種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。
【0045】
図14は、本実施例の変形例6に係る製造方法について説明するものである。本変形例6では、第2入射光L2も回折素子22を用いて分離させ、第2面S2から第2入射光L2を入射させる点において、上述した変形例5と異なる。本変形例6も変形例5と同様に、複数の種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムを形成できる。
なお、回折素子22に変えてプリズム素子、音響光学素子、分散素子を用いることも可能である。
【0046】
図15は、本実施例の変形例7に係る製造方法について説明するものである。本変形例では、露光工程において、記録材料20の第1面S1上方に第1回折素子41及び第2回折素子42が設けられている。まず、第1回折素子41を用いて第1入射光L1を分離させ、第2回折素子42を用いて第2入射光L2を分離させる。そして、記録材料20の第1面S1に向けて第1入射光L1及び第2入射光L2を入射させることにより、複数の種類の間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムを形成することができる。
なお、第1,第2回折素子41,42に変えてプリズム素子、音響光学素子、分散素子を用いることも可能である。
【0047】
本変形例により製造される体積ホログラムは、リップマンホログラムと呼ばれる。リップマンホログラムは、上述の透過型ホログラムと比較して高い波長選択性を備える。例えば、厚さ6μmの体積ホログラムについて、波長632nmのレーザ光に対する波長選択幅は、透過型ホログラムであれば数百nmであるのに対して、リップマンホログラムであれば数十nmにまで狭めることが可能である。なお、本変形例において、光分離工程では回折格子21を用いる他、上記のプリズム素子23(図9参照)、音響光学素子25(図10参照)、反射型光学素子(図11参照)、分散素子35(図12参照)のいずれかを用いることとしても良い。
【0048】
本発明により製造された体積ホログラムは、プロジェクタ等の画像表示装置、モニタ装置、露光装置等の光源装置の外部共振器に適用することができる。この他、体積ホログラムは、記録媒体、計測機器、計算機等に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明に係る体積ホログラムの製造方法は、複数の波長の光を選択的に射出可能な体積ホログラムを製造する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】体積ホログラムを備える光源装置の概略構成を示す図。
【図2】各波長のレーザ光を選択的に反射させるための構成について説明する図。
【図3】体積ホログラムの製造手順について説明する図。
【図4】体積ホログラムの変形例を示す図。
【図5】体積ホログラムの変形例を示す図。
【図6】体積ホログラムの変形例を示す図。
【図7】体積ホログラムの変形例を示す図。
【図8】体積ホログラムの変形例を示す図。
【図9】実施例の変形例1に係る製造方法について説明する図。
【図10】実施例の変形例2に係る製造方法について説明する図。
【図11】実施例の変形例3に係る製造方法について説明する図。
【図12】実施例の変形例4に係る製造方法について説明する図。
【図13】実施例の変形例5に係る製造方法について説明する図。
【図14】実施例の変形例6に係る製造方法について説明する図。
【図15】実施例の変形例7に係る製造方法について説明する図。
【符号の説明】
【0051】
10…光源装置、11…半導体レーザ、12…発光部、2,3,4,5,6,7…体積ホログラム、14a,14b,14c,14A,14B,14C,15a,15b,15c…干渉縞、20…記録材料、21…回折格子、L1…第1入射光、L2…第2入射光、L11〜L15…光束、S1…第1面、23…プリズム素子、L3…第1入射光、L31〜L35…光束、25…音響光学素子、30…MEMSミラー、31…露光用光源、32…制御装置、33…ミラー駆動部、35…分散素子、S2…第2面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入射光、及び前記第1入射光とは異なる方向からの第2入射光を用いた露光によって生じる干渉縞が記録材料に記録された体積ホログラムの製造方法であって、
前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を二以上の光束に分離させる光分離工程と、
前記光分離工程により分離された前記光束を用いた露光により、複数種類の間隔の前記干渉縞を前記記録材料に記録する露光工程と、を含むことを特徴とする体積ホログラムの製造方法。
【請求項2】
前記光分離工程において、回折格子を用いて、前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を分離させることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項3】
前記光分離工程において、プリズム素子を用いて、前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を分離させることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項4】
前記光分離工程において、複数の波長の光を分離させることを特徴とする請求項2又は3に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項5】
前記光分離工程において、音響光学素子を用いて、前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を分離させることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項6】
前記光分離工程において、光を反射させながら傾きを変化させる反射型光学素子を用いて、前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を分離させることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項7】
前記光分離工程において、前記記録材料上に配置された分散素子を用いて、前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を分離させることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項8】
前記露光工程において、前記記録材料の特定の面に向けて前記第1入射光及び前記第2入射光を入射させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項9】
前記露光工程において、前記記録材料の第1面に向けて前記第1入射光を入射させ、前記記録材料の前記第1面とは反対側の第2面に向けて前記第2入射光を入射させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の体積ホログラムの製造方法を用いて製造されることを特徴とする体積ホログラム。
【請求項1】
第1入射光、及び前記第1入射光とは異なる方向からの第2入射光を用いた露光によって生じる干渉縞が記録材料に記録された体積ホログラムの製造方法であって、
前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を二以上の光束に分離させる光分離工程と、
前記光分離工程により分離された前記光束を用いた露光により、複数種類の間隔の前記干渉縞を前記記録材料に記録する露光工程と、を含むことを特徴とする体積ホログラムの製造方法。
【請求項2】
前記光分離工程において、回折格子を用いて、前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を分離させることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項3】
前記光分離工程において、プリズム素子を用いて、前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を分離させることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項4】
前記光分離工程において、複数の波長の光を分離させることを特徴とする請求項2又は3に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項5】
前記光分離工程において、音響光学素子を用いて、前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を分離させることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項6】
前記光分離工程において、光を反射させながら傾きを変化させる反射型光学素子を用いて、前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を分離させることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項7】
前記光分離工程において、前記記録材料上に配置された分散素子を用いて、前記第1入射光及び前記第2入射光の少なくとも一方を分離させることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項8】
前記露光工程において、前記記録材料の特定の面に向けて前記第1入射光及び前記第2入射光を入射させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項9】
前記露光工程において、前記記録材料の第1面に向けて前記第1入射光を入射させ、前記記録材料の前記第1面とは反対側の第2面に向けて前記第2入射光を入射させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の体積ホログラムの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の体積ホログラムの製造方法を用いて製造されることを特徴とする体積ホログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−225447(P2008−225447A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334299(P2007−334299)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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