説明

体脂肪測定装置

【課題】測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能な体脂肪測定装置を提供する。
【解決手段】体脂肪測定装置1は、被験者300の背部に接触させるための余剰の背部用電極43を含む背部用電極群支持ユニット100Aと、被験者300の胴部301の横幅および縦幅を検出するための胴部幅計測ユニット200Aと、背部用電極群支持ユニット100Aと胴部幅計測ユニット200Aとの相対的な位置関係を検出する位置検出部と、位置検出部によって検出された位置情報に基づいて背部用電極群に含まれる複数の背部用電極43のうちから、被験者300の臍位置に対応する部分の背部に接触配置された背部用電極を選択する電極選択部と、選択した背部用電極を用いて被験者300の生体インピーダンスを測定する生体インピーダンス測定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体インピーダンスを測定することによって被験者の体脂肪量を算出することが可能に構成された体脂肪測定装置に関し、より特定的には、容易に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能に構成された体脂肪測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被験者の健康状態を知る一つの指標として、体脂肪量が注目されている。特に、内臓脂肪量は、内臓脂肪型肥満であるか否かの判断を行なうための指標として注目されている。この内臓脂肪型肥満は、糖尿病、高血圧症、高脂血症といった動脈硬化を引き起こし易い生活習慣病を誘発すると言われており、これら疾病の予防の観点から上記指標の活用が期待されている。ここで、内臓脂肪とは、腹筋および背筋の内側において内臓の周囲に蓄積した脂肪のことであり、胴部の表層に位置する皮下脂肪と区別されるものである。なお、内臓脂肪量を示す指標としては、臍位置に対応する部分の胴部断面において内臓脂肪が占める面積(以下、内臓脂肪断面積と称する)を採用することが一般的である。
【0003】
通常、内臓脂肪量の測定には、X線CT(Computed Tomography)あるいはMRI(Magnetic Resonance Imaging)等を用いた画像解析法が利用されている。この画像解析法においては、X線CTあるいはMRI等を用いることで取得した胴部の断層画像から内臓脂肪断面積が幾何学的に算出される。しかしながら、このような測定方法を用いるためには、X線CTやMRI等、医療施設に設置される如くの大型の設備を使用することが必要であり、そのため当該測定方法を用いて日常的に内臓脂肪量を測定することは非常に困難である。また、X線CTを利用した場合には、被曝の問題もあり、好ましい測定方法とは必ずしも言えない。
【0004】
これに代わる測定方法として、生体インピーダンス法を応用することが検討されている。生体インピーダンス法は、家庭用の体脂肪測定装置において広く利用されている体脂肪量の測定方法であり、四肢に電極を接触配置させ、これら電極を用いて生体インピーダンスを測定することにより、測定された生体インピーダンスから体脂肪量を算出するものである。上記家庭用の体脂肪測定装置は、全身または四肢、胴部といった身体の部位別の体脂肪の蓄積度合いを正確に測定できるものである。
【0005】
しかしながら、生体インピーダンス法を利用した従来の体脂肪測定装置は、上述したように全身または四肢あるいは胴部といった身体の部位別の体脂肪の蓄積度合いを測定するためのものであり、内臓脂肪の蓄積度合いや皮下脂肪の蓄積度合いを個別に抽出して正確に測定できるものではない。これは、上述したように、従来の体脂肪測定装置にあっては、四肢のみに電極が取付けられる構成であるため、内臓脂肪と皮下脂肪とを区別して個別に精度よく測定が行なえないためである。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために、直接胴部に電極を接触させ、当該電極を用いて生体インピーダンスを測定し、これに基づいて内臓脂肪量や皮下脂肪量を個別に精度よく算出することが検討されている。
【0007】
たとえば、特開2002−369806号公報(特許文献1)には、ベルト部材の内周面上に電極を設け、当該ベルト部材を被験者の胴部に巻き付けて固定することにより、電極が胴部に対して接触配置されるように構成された体脂肪測定装置が開示されている。
【0008】
また、特開2005−288023号公報(特許文献2)や特開2008−23232号公報(特許文献3)には、被験者の腹部に装着する装着ユニットの表面に電極を設け、当該装着ユニットを腹部に押し当てることで電極が腹部に対して接触配置されるように構成された体脂肪測定装置が開示されている。
【0009】
さらに、特開2008−295881号公報(特許文献4)には、ベルト部材の内周面上に電極を設け、当該ベルト部材を被験者の胴部に巻き付けて固定するとともに、クリップ状の部材に電極を設け、当該クリップ状の部材を被験者の手および足に装着することにより、仰臥位にある被験者の腹部および手足に電極が接触配置されるように構成された体脂肪測定装置が開示されている。
【0010】
また、具体的な装置構成についての言及はないものの、特開2008−228890号公報(特許文献5)には、被験者の腹部に電極を接触配置させることなく胴部の背部(すなわち背中)に電極を接触配置させるとともに、手および足に電極を接触配置させて生体インピーダンスを測定し、当該測定した生体インピーダンスに基づいて内臓脂肪量および皮下脂肪量を算出することにより、高精度にこれら内臓脂肪量および皮下脂肪量が測定できることが記載されている。これは、腹部側に蓄積する皮下脂肪の厚みが、背部側に蓄積する皮下脂肪の厚みに比べて相対的に薄いため、腹部に電極を接触配置させた場合には、印加した電流が除脂肪部分を流れるために誤差が生じ易くなってしまうことがその要因の一つとして挙げられる。
【0011】
一方、上述した生体インピーダンス法を応用して高精度に内臓脂肪量や皮下脂肪量を測定可能にするためには、胴部周囲長や胴部横幅および胴部縦幅といった被験者の胴部の体格を実測してこれを体脂肪量算出のための演算処理に使用することが要求される。
【0012】
たとえば、上記特許文献2に開示の体脂肪測定装置にあっては、被験者の腹部に装着する装着ユニットに被験者の胴部の両側部(すなわち両脇腹)に接触させる一対のアーム部を移動可能に設け、当該アーム部を両脇腹に接触させることで胴部横幅を実測し、当該実測結果を体脂肪量算出のための演算処理に使用することとしている。
【0013】
また、上記特許文献3に開示の体脂肪測定装置にあっては、被験者の腹部に装着する装着ユニットに被験者の背中に接触させるアーム部を移動可能に設け、当該アーム部を背中に接触させることで胴部縦幅を実測し、当該実測結果を体脂肪量算出のための演算処理に使用することとしている。
【0014】
さらには、上記特許文献4に開示の体脂肪測定装置にあっては、被験者の胴部に装着するベルト部材の巻き付け長さを検出することで胴部周囲長を実測し、当該実測結果を体脂肪量算出のための演算処理に使用することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−369806号公報
【特許文献2】特開2005−288023号公報
【特許文献3】特開2008−23232号公報
【特許文献4】特開2008−295881号公報
【特許文献5】特開2008−228890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、生体インピーダンス法を応用して高精度に内臓脂肪量等を測定するためには、被験者の胴部に電極を接触配置するとともに、胴部周囲長や胴部横幅および胴部縦幅といった被験者の胴部の体格を実測することが必要になる。その際、より高精度に内臓脂肪量等を測定するためには、被験者の胴部に接触配置する電極の胴部に対する正確な位置決めと、被験者の体格を実測するための測距手段の胴部に対する正確な位置決めが必須となってくる。
【0017】
仮に、被験者の胴部に対する電極の位置決めが正しくなされていない場合には、測定された生体インピーダンスに大きな誤差が含まれることになり、算出される内臓脂肪量等に大きな誤差が生じてしまう結果となる。また、仮に、被験者の胴部に対する測距手段の位置決めが正しくなされていない場合には、測定された被験者の胴部の体格情報に大きな誤差が含まれることになり、算出される内臓脂肪量等に大きな誤差が生じてしまう結果となる。そのため、通常は、電極の位置決めや測距手段の位置決めが被験者の臍を基準に行なわれるように体脂肪測定装置が構成されており、当該位置決めのための各種のインジケータ等が体脂肪測定装置に具備される構成が採用されている。
【0018】
ここで、上述した特許文献2ないし4に開示の如く、胴部に接触配置する電極と測距手段とを単一のユニットに一体化させて設けた場合には、一回の位置決めで両者が胴部に対して正確に位置決めされることになる。
【0019】
しかしながら、上述した特許文献2および3に開示された体脂肪測定装置の如く、移動可能に設けられたアーム部を胴部に接触させて胴部横幅および胴部縦幅を実測するように構成した場合には、胴部の前後方向および左右方向の2方向に沿ってアーム部を個別に移動させるように被験者等にその操作を強いることとなってしまい、必ずしも使い勝手のよい体脂肪測定装置とすることができない問題が生じてしまう。特に、補助者等の協力を得なくとも被験者自らが1人で測定できるように体脂肪測定装置を構成することを想定した場合には、上述した操作は非常に煩雑なものとなってしまい、簡単かつ簡便に内臓脂肪量等を測定することの大きな妨げとなってしまう。
【0020】
また、上述した特許文献4に開示された体脂肪測定装置の如く、電極が設けられたベルト部材を用いて胴部周囲長を実測するように構成した場合には、当該ベルト部材を胴部に適度な巻き付け強さでぴったりと巻き付ける作業を被験者等に強いることとなってしまい、必ずしも使い勝手のよい体脂肪測定装置とすることができない問題が生じてしまう。なお、実測すべき被験者の体格情報としては、より高精度に被験者の胴部断面積を推定することが可能な胴部横幅および胴部縦幅とされることが好ましく、当該観点からも上記特許文献4に開示された体脂肪測定装置は、改善の余地があるものである。
【0021】
このように、従来の体脂肪測定装置は、必ずしもその使い勝手がよいものとは言えず、再現性よく高精度に体脂肪測定が行なえない問題があった。
【0022】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたものであり、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能な体脂肪測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に基づく体脂肪測定装置は、胴部用電極群と、胴部用電極群支持ユニットと、胴部幅検出部と、胴部幅計測ユニットと、位置検出部と、電極選択部と、生体インピーダンス測定部と、体脂肪量算出部とを備えている。上記胴部用電極群は、被験者の胴部の表面に接触させるための複数の電極を含んでいる。上記胴部用電極群支持ユニットは、上記胴部用電極群に含まれる複数の電極の少なくとも一部を被験者の胴部に接触させるためのものであり、上記胴部用電極群支持ユニットには、上記胴部用電極群が設けられている。上記胴部幅検出部は、被験者の胴部幅を検出するための部位である。上記胴部幅計測ユニットには、上記胴部幅検出部が設けられている。上記位置検出部は、上記胴部用電極群支持ユニットと上記胴部幅計測ユニットとの相対的な位置関係を検出する部位であり、上記電極選択部は、上記位置検出部によって検出された位置情報に基づいて上記胴部用電極群に含まれる複数の電極のうちから特定の電極を選択する部位である。生体インピーダンス測定部は、上記電極選択部にて選択された電極を用いて被験者の身体の生体インピーダンスを測定する部位であり、上記体脂肪量算出部は、上記生体インピーダンス測定部にて測定された生体インピーダンスおよび上記胴部幅検出部にて検出された胴部幅に基づいて体脂肪量を算出する部位である。
【0024】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置は、上記胴部幅計測ユニットを被験者の胴部の体軸方向に沿って移動可能に案内する案内機構をさらに備えていることが好ましい。
【0025】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置にあっては、上記胴部用電極群支持ユニットが、被験者が寝転んだ姿勢において被験者の胴部の下に配置が可能なマットにて構成されていることが好ましく、その場合には、上記胴部幅計測ユニットが、被験者が寝転んだ姿勢において被験者の胴部を取り囲むように配置が可能な枠状の部材にて構成されていることが好ましい。
【0026】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置において、上記胴部用電極群支持ユニットが上記マットにて構成されている場合には、上記胴部用電極群に含まれる複数の電極が上記マットの主表面上に整列して配設されていることが好ましい。
【0027】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置において、上記胴部幅計測ユニットが上記枠状の部材にて構成されている場合には、上記胴部幅検出部が上記枠状の部材に配設された非接触式の測距センサにて構成されていることが好ましい。
【0028】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置において、上記胴部幅計測ユニットが上記枠状の部材にて構成されている場合には、上記胴部幅計測ユニットが、測定に際して被験者の臍位置に位置決めして配置されることが好ましい。
【0029】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置にあっては、上記電極選択部が、上記胴部用電極群に含まれる複数の電極のうち、上記胴部幅計測ユニットを用いて胴部幅が検出された部分の被験者の胴部位置に対応する部分に配置された電極を上記特定の電極として選択するように構成されていることが好ましい。
【0030】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置にあっては、上記胴部用電極群に含まれる複数の電極が、被験者の胴部の背中側の部分である背部の表面に接触させるための電極であることが好ましい。
【0031】
上記本発明に基づく体脂肪測定装置にあっては、上記体脂肪量算出部が、被験者の内臓脂肪量を算出する内臓脂肪量算出部および被験者の皮下脂肪量を算出する皮下脂肪量算出部の少なくともいずれかを含んでいることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することが可能な体脂肪測定装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の測定原理を説明するための概念図である。
【図2】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の機能ブロックの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の構成および測定姿勢を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置において、胴部幅計測ユニットの位置決めを行なった後の状態の一例を示す模式平面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置において、胴部幅計測ユニットの位置決めを行なった後の状態の他の例を示す模式平面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の制御部の処理を示すフロー図である。
【図8】本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す各実施の形態においては、同一または対応する部分に図中同一の符号を付し、その説明は個々には繰り返さない。
【0035】
まず、本発明の各実施の形態について説明するに先立ち、身体の部位を表わす用語の定義を行なう。「胴部」は、身体の頭部、頸部および四肢を除く部位であり、いわゆる体幹に相当する。「背部」は、上記胴部のうちの背中側に位置する部分を意味し、上記胴部のうちの腹部側の部分および胸部側の部分を除く部分に相当する。「背部表面」は、上記背部の体表面全体を意味しており、被験者を背中側から観察した場合に視認可能な部分の胴部表面の全体を言う。また、「体軸」は、胴部の延在方向に沿って位置する軸、すなわち被験者の胴部の横断面に対して略垂直な方向に延びる軸を言う。「胴部横幅」は、体軸と直交する胴部の横断面における左右の端部間の寸法であり、「胴部縦幅」は、体軸と直交する胴部の横断面における前後の端部間の寸法である。また、「胴部幅」は、上述した「胴部横幅」および「胴部縦幅」のいずれか一方または両方を意味している。なお、上述した「胴部横幅」および「胴部縦幅」を決定する際の上記横断面は、好適には臍位置に対応する部分の胴部の横断面とされる。
【0036】
(実施の形態1)
図1(A)および図1(B)は、本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置の測定原理を説明するための概念図である。ここで、図1(A)は、胴部全体の生体インピーダンスを得る場合の電極配置を示した図であり、図1(B)は、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスを得る場合の電極配置を示した図である。まず、これら図1(A)および図1(B)を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の測定原理について説明する。なお、図1(A)および図1(B)においては、被験者をいずれも背中側から見た様子を示している。
【0037】
図1(A)に示すように、胴部全体の生体インピーダンスを得るためには、被験者の左手の表面および右手の表面にそれぞれ電極EIaA1,EIaA2が取付けられる。また、被験者の左足の表面および右足の表面にもそれぞれ電極EIbA1,EIbA2が取付けられる。そして、被験者の背部表面には、体軸方向に沿って並ぶように配置された一対の電極が、胴部の横幅方向に沿って4組取付けられる。すなわち、被験者の背部表面には、図示するように、電極EVaA1,EVbA1,EVaA2,EVbA2,EVaA3,EVbA3,EVaA4,EVbA4の合計8個の電極が取付けられる。
【0038】
この状態において、両手および両足のそれぞれに取付けられた電極EIaA1,EIaA2,EIbA1,EIbA2を用いて、胴部を通る定電流IAが被験者に印加される。そして、この定電流IAが印加された状態において、背部表面に取付けられた一対の電極EVaA1,EVbA1を用いて電位差VA1が検出され、背部表面に取付けられた一対の電極EVaA2,EVbA2を用いて電位差VA2が検出され、背部表面に取付けられた一対の電極EVaA3,EVbA3を用いて電位差VA3が検出され、背部表面に取付けられた一対の電極EVaA4,EVbA4を用いて電位差VA4が検出される。
【0039】
このようにして検出された電位差VA1,VA2,VA3,VA4から、胴部全体の生体インピーダンスZtが算出される。なお、その際、検出された上記4つの電位差VA1,VA2,VA3,VA4の平均値を算出することで生体インピーダンスZtを求めることとすれば、胴部の内部における脂肪分布のばらつきの影響が低減できることになる。
【0040】
ここで、上記状態においては、胴部から離れた位置にある両手および両足間において定電流IAが流されているため、印加された定電流IAは、その殆どが電気抵抗の低い部分、すなわち脂肪以外の部分を通ることになる。そのため、このような定電流IAを用いて測定された電位差VA1,VA2,VA3,VA4から算出される上記生体インピーダンスZtは、胴部内部における除脂肪(内臓、筋肉および骨格)の量の影響を受けるところが大きくなる。したがって、上記生体インピーダンスZtに基づいて臍位置に対応する部分の胴部断面において除脂肪が占める面積(以下、除脂肪断面積と称する)Saが推定できることになる。
【0041】
一方、図1(B)に示すように、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスを得るためには、被験者の背部表面に、体軸方向に沿って並ぶように配置された一対の電極が、胴部の横幅方向に沿って4組取付けられる。すなわち、被験者の背部表面には、図示するように、電極EIaB1,EIbB1,EVaB1,EVbB1,EVaB2,EVbB2,EIaB2,EIbB2の合計8個の電極が取付けられる。
【0042】
この状態において、一対の電極EIaB1,EIbB1を用いて、背部を局所的に通る定電流IB1が被験者に印加され、一対の電極EIaB2,EIbB2を用いて、背部を局所的に通る定電流IB2が被験者に印加される。そして、この定電流IB1,IB2が印加された状態において、背部表面に取付けられた一対の電極EVaB1,EVbB1を用いて電位差VB1が検出され、背部表面に取付けられた一対の電極EVaB2,EVbB2を用いて電位差VB2が検出される。ここで、被験者に印加される2つの定電流IB1,IB2の電流値は、同じ値とされる。
【0043】
このようにして検出された電位差VB1,VB2から、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsが算出される。なお、その際、検出された上記2つの電位差VB1,VB2の平均値を算出することで生体インピーダンスZsを求めることとすれば、胴部の背部の表層部分における脂肪分布のばらつき等の影響が低減できることになる。なお、電流が印加されていた電極を電位差を検出するための電極とし、かつ電位差を検出していた電極を電流を印加するための電極とするように回路を切り替えることにより、4箇所で電位差を測定することも可能になる。このようにすることにより、皮下脂肪のばらつき等の影響をより一層低減させることができる。
【0044】
ここで、上記状態においては、胴部の背部において局所的に定電流IB1,IB2が印加されているため、印加された定電流IB1,IB2は、いずれもその殆どが背部の表層部分を通ることになる。そのため、このような定電流IB1,IB2を用いて測定された電位差VB1,VB2から算出される上記生体インピーダンスZsは、皮下脂肪量の影響を受けるところが大きくなる。したがって、上記生体インピーダンスZsに基づいて胴部の臍位置を含む断面における皮下脂肪断面積(以下、皮下脂肪断面積と称する)Sbが推定できることになる。
【0045】
次に、このようにして得られた上記生体インピーダンスZtおよびZsを用いて内臓脂肪量を算出する演算処理の一例について説明する。
【0046】
臍位置に対応する部分の胴部断面の全体の面積(以下、胴部断面積と称する)をStとすれば、内臓脂肪断面積Sxは、胴部断面積Stと、上述した除脂肪断面積Saおよび皮下脂肪断面積Sbとを用いて、以下の式(1)より算出することができる。
【0047】
Sx=St−Sa−Sb ・・・式(1)
【0048】
ここで、胴部断面積Stは、胴部周囲長(いわゆるウエスト長)や、胴部の横幅および縦幅を用いて算出することが可能である。たとえば、胴部の横幅および縦幅から胴部断面積Stを算出する場合には、胴部の横幅を2×a、胴部の縦幅を2×bとすれば、胴部の断面形状はおおよそ楕円形であるため、胴部断面積Stは、以下の式(2)で近似できる。
【0049】
St=π×a×b ・・・式(2)
【0050】
ただし、上記式(2)で近似される胴部断面積Stは、誤差が多く含まれている可能性が高いため、誤差を低減するための係数αをこれに乗ずることによって、より正確な胴部断面積Stを求めることが好ましい。この係数αとしては、たとえば多数のX線CTによる画像サンプルに基づいて、当該画像サンプルから得られる胴部断面積St′と、上記aおよびbとの関係から、St′=α×π×a×bを充足するαの最適値を求めることで得られる。
【0051】
したがって、上記式(2)は、係数αを用いることで、以下の式(3)によってより誤差を低減した状態で近似できることになる。
【0052】
St=α×π×a×b ・・・式(3)
【0053】
なお、上記補正のために乗ずる係数αに関しては、被験者の性別、年齢、身長、体重等の情報(以下、これらを総称して被験者情報と称する)に応じて適宜最適化することが好ましい。すなわち、当該被験者情報に応じて上記係数αの値を変更することにより、より高精度に胴部断面積Stが近似できることになる。
【0054】
また、上記のとおり、除脂肪断面積Saは、胴部全体の生体インピーダンスZtに基づいて算出することができる。ただし、この胴部全体の生体インピーダンスZtのみでは、除脂肪断面積Saを正確に算出することはできない。すなわち、除脂肪断面積Saは、胴部の大きさに比例する傾向があり、除脂肪断面積Saを算出するためには、生体インピーダンスZtから得られる値をさらに換算することが必要である。したがって、除脂肪断面積Saは、たとえば以下の式(4)で表わされることになる。
【0055】
Sa=β×a×(1/Zt) ・・・式(4)
【0056】
ここで、上記aは、上述のとおり胴部の横幅の半分の値であり、胴部の大きさに関係する値である。この胴部の大きさに関係する値としては、上記aに限られず、たとえば胴部の横幅および縦幅が反映されるようにa×bを使用してもよいし、胴部断面積Stを使用してもよいし、胴部周囲長を使用してもよい。
【0057】
一方、上記βは、胴部全体の生体インピーダンスZtを除脂肪断面積Saに換算するための係数であり、上記係数αを求めた場合と同様に、たとえば多数のX線CTによる画像サンプルに基づいて最適値を求めることができる。すなわち、多数のX線CTによる画像サンプルから得られる除脂肪断面積Sa′と、当該X線CTの撮影対象となった被験者の胴部全体の生体インピーダンスZtと、上記aとの関係から、Sa′=β×a×(1/Zt)を充足するβの最適値を求めることで得られる。
【0058】
なお、上述した係数βは、上記係数αの場合と同様に、被験者情報に応じて適宜最適化されることが好ましい。すなわち、当該被験者情報に応じて上記係数βの値を変更することにより、より高精度に除脂肪断面積Saを近似できることになる。
【0059】
さらに、上記のとおり、皮下脂肪断面積Sbは、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsに基づいて算出することができる。ただし、この胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsのみでは、皮下脂肪断面積Sbを正確に算出することはできない。すなわち、皮下脂肪断面積Sbは、胴部の大きさに比例する傾向があり、皮下脂肪断面積Sbを算出するためには、生体インピーダンスZsから得られる値をさらに換算することが必要である。したがって、皮下脂肪断面積Sbは、たとえば以下の式(5)で表わされることになる。
【0060】
Sb=γ×a×Zs ・・・式(5)
【0061】
ここで、上記aは、上述のとおり胴部の横幅の半分の値であり、胴部の大きさに関係する値である。この胴部の大きさに関係する値としては、上記aに限られず、たとえば胴部の横幅および縦幅が反映されるようにa×bを使用してもよいし、胴部断面積Stを使用してもよいし、胴部周囲長を使用してもよい。
【0062】
一方、上記γは、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsを皮下脂肪断面積Sbに換算するための係数であり、上記係数αまたは係数βを求めた場合と同様に、たとえば多数のX線CTによる画像サンプルに基づいて最適値を求めることができる。すなわち、多数のX線CTによる画像サンプルから得られる皮下脂肪断面積Sb′と、当該X線CTの撮影対象となった被験者の胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsと、上記aとの関係から、Sb′=γ×a×Zsを充足するγの最適値を求めることで得られる。
【0063】
なお、上述した係数γは、上記係数αおよび係数βの場合と同様に、被験者情報に応じて適宜最適化されることが好ましい。すなわち、当該被験者情報に応じて上記係数γの値を変更することにより、より高精度に皮下脂肪断面積Sbを近似できることになる。
【0064】
以上のように、本実施の形態における体脂肪測定装置においては、胴部断面積Stと、胴部全体の生体インピーダンスZtに基づいて算出される除脂肪断面積Saと、胴部のうちの背部側の表層部分の生体インピーダンスZsに基づいて算出される皮下脂肪断面積Sbとから、上記式(1)に基づいて内臓脂肪断面積Sxが算出され、より詳細には、上記式(1)に上記式(3)ないし式(5)を代入した以下の式(6)に基づいて内臓脂肪断面積Sxが算出されることになる。
【0065】
Sx=α×π×a×b−β×a×(1/Zt)−γ×a×Zs ・・・式(6)
【0066】
図2は、本実施の形態における体脂肪測定装置の機能ブロックの構成を示すブロック図である。次に、この図2を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の機能ブロックの構成について説明する。
【0067】
図2に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1は、制御部10と、定電流生成部21と、端子切替部22と、電位差検出部23と、胴部横幅検出部24Aと、胴部縦幅検出部24Bと、被験者情報入力部25と、表示部26と、操作部27と、電源部28と、メモリ部29と、位置検出部30と、被験者の身体に装着される複数の電極41,42,43とを有している。制御部10は、演算処理部11と、電極選択部15とを含んでおり、演算処理部11は、生体インピーダンス測定部12と、体形情報測定部13と、体組成情報取得部14とを含んでいる。
【0068】
制御部10は、たとえばCPU(Central Processor Unit)によって構成され、体脂肪測定装置1の全体を制御するための部位である。具体的には、制御部10は、上述した各機能ブロックに対して指令を出力したり、上述した各機能ブロックから各種情報の入力を受け付けたり、受け付けた各種情報に基づいて各種演算処理を行なったりする。このうちの各種演算処理については、上述した制御部10に設けられた演算処理部11によって行なわれる。
【0069】
上述した複数の電極は、被験者の上肢の表面に接触配置される上肢用電極としての手用電極41と、被験者の下肢の表面に接触配置される下肢用電極としての足用電極42と、被験者の背部表面に接触配置される背部用電極43とを含んでいる。このうち、手用電極41は、被験者の手首に接触配置され、足用電極42は、被験者の足首に接触配置される。また、背部用電極43は、図1(A)および図1(B)に示したように、被験者の背部表面に整列した状態で接触配置される。なお、これら手用電極41、足用電極42および背部用電極43は、いずれも上述した端子切替部22に電気的に接続されている。
【0070】
端子切替部22は、たとえばリレー回路によって構成され、制御部10の電極選択部15から入力される指令に基づき、上述した複数の電極のうちから選択された特定の電極と定電流生成部21とを電気的に接続するとともに、上述した複数の電極のうちから選択された特定の電極と電位差検出部23とを電気的に接続する。これにより、端子切替部22によって定電流生成部21に電気的に接続された電極が定電流印加電極として機能することになり、また端子切替部22によって電位差検出部23に電気的に接続された電極が電位差検出電極として機能することになる。すなわち、端子切替部22が制御部10の電極選択部15から入力される指令に基づいて動作することにより、上述した複数の電極41,42,43のうちのいずれかが、図1(A)に示した各電極EIaA1,EIaA2,EIbA1,EIbA2,EVaA1,EVbA1,EVaA2,EVbA2,EVaA3,EVbA3,EVaA4,EVbA4、および図1(B)に示した電極EIaB1,EIbB1,EVaB1,EVbB1,EVaB2,EVbB2,EIaB2,EIbB2として機能することになる。
【0071】
定電流生成部21は、制御部10から入力される指令に基づいて定電流を生成し、生成した定電流を端子切替部22を介して上述の定電流印加電極に供給する。定電流生成部21において生成される定電流としては、体組成情報を測定するために好適に使用される高周波電流(たとえば、50kHz,500μA)が選択される。これにより、定電流印加電極を介して定電流が被験者に印加されることになる。
【0072】
電位差検出部23は、端子切替部22によって電位差検出部23に電気的に接続された電極(すなわち電位差検出電極)間における電位差を検出し、検出した電位差を制御部10の生体インピーダンス測定部12に対して出力する。これにより、上述した定電流が被験者に印加された状態における電位差検出電極間の電位差が検出されることになる。
【0073】
胴部横幅検出部24Aおよび胴部縦幅検出部24Bは、被験者の胴部横幅および胴部縦幅をそれぞれ非接触で測定するための検出部位であり、たとえば光電センサ等の測距センサにて構成される。これら胴部横幅検出部24Aおよび胴部縦幅検出部24Bは、検出値に応じた信号を体形情報測定部13に対して出力する。なお、上述した測距センサとしては、光電センサの他にも、超音波や電磁波(レーザ光、可視光等を含む各種波長帯の光、電波、磁気、電界等)を利用する各種の非接触式測距センサや、各種エンコーダ等を利用した移動量検出センサ等を利用することができる。
【0074】
被験者情報入力部25は、演算処理部11で行なわれる演算処理に利用される被験者に関する情報を得るための部位であり、たとえば被験者が押下可能なキー等によって構成される。ここで、被験者情報には、上述したように被験者の性別、年齢、身長、体重等の情報のうちの少なくとも1つが含まれる。被験者情報入力部25は、被験者情報の入力を受け付け、受け付けた被験者情報を制御部10に対して出力する。なお、被験者情報入力部25は、本発明に照らした場合には必ずしも必須の構成ではなく、演算処理部11で行なう演算処理において当該被験者情報を利用することが必要であるか否かに応じてその有無が決定されるものである。
【0075】
位置検出部30は、後述する胴部幅計測ユニット100A(図3等参照)と、同じく後述する背部用電極群支持ユニット200A(図3等参照)との相対的な位置関係を検出する部位であり、たとえば各種エンコーダ等を利用した移動量検出センサにて構成される。この位置検出部30は、検出値に応じた信号を電極選択部15に対して出力する。なお、位置検出部30としては、上述した各種エンコーダ等を利用した移動量検出センサの他にも、超音波や電磁波(レーザ光、可視光等を含む各種波長帯の光、電波、磁気、電界等)を利用する各種の非接触式測距センサ等を利用することができる。
【0076】
演算処理部11は、上述したように生体インピーダンス測定部12と、体形情報測定部13と、体組成情報取得部14とを含んでいる。また、体組成情報取得部14は、内臓脂肪量算出部14aと、皮下脂肪量算出部14bとを含んでいる。生体インピーダンス測定部12は、電位差検出部23から入力された信号に基づいて生体インピーダンスを算出し、これを体組成情報取得部14に出力する。体形情報測定部13は、胴部横幅検出部24Aおよび胴部縦幅検出部24Bから入力された信号に基づいて被験者の胴部の横幅および縦幅を算出し、これを体組成情報取得部14に出力する。体組成情報取得部14は、生体インピーダンス測定部12から入力された生体インピーダンスと、体形情報測定部13から入力された胴部の横幅および縦幅と、場合によってはさらにこれに加えて被験者情報入力部25から入力された被験者情報とに基づいて体組成情報を算出して取得する。より詳細には、内臓脂肪量算出部14aにおいて内臓脂肪量が算出され、皮下脂肪量算出部14bにおいて皮下脂肪量が算出される。
【0077】
電極選択部15は、背部用電極群に含まれる複数の電極43のうちから特定の電極を選択する部位であり、上述した位置検出部30から入力された位置情報に基づいて上記特定の電極を選択し、選択した電極がそれぞれ上述した定電流印加電極または電位差検出電極として機能するように端子切替部22の動作を制御する。
【0078】
表示部26は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)等によって構成され、上述の体組成情報取得部14において算出された体組成情報を表示する。より具体的には、内臓脂肪量算出部14aにおいて算出された内臓脂肪量および皮下脂肪量算出部14bにおいて算出された皮下脂肪量が、制御部10から出力される信号に基づいて当該表示部26にて表示される。ここで、本実施の形態における体脂肪測定装置1においては、内臓脂肪量がたとえば内臓脂肪断面積で表示され、皮下脂肪量がたとえば皮下脂肪断面積で表示される。
【0079】
操作部27は、体脂肪測定装置1に対して被験者が命令を入力するための部位であり、たとえば被験者が押下可能なボタン等によって構成される。なお、操作部27には、たとえば電源ボタンや測定ボタン等の各種操作ボタンを含んでいる。
【0080】
電源部28は、制御部10に電力を供給するための部位であり、バッテリ等の内部電源や商用電源等の外部電源等が利用される。
【0081】
メモリ部29は、たとえばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等によって構成され、体脂肪測定装置1に関する各種のデータやプログラム等を記憶するための部位である。メモリ部29は、たとえば上述した被験者情報や算出された体組成情報、後述する体組成情報の測定処理を実行するための体組成情報測定プログラム等を記憶している。
【0082】
図3は、本実施の形態における体脂肪測定装置の構成および測定姿勢を示す概略斜視図である。図4は、本実施の形態における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットの構成およびこれを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法を説明するための模式図である。次に、これら図3および図4を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の構成、測定姿勢、胴部幅計測ユニットの構成、これを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法等について説明する。
【0083】
まず、図3および図4を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の構成および胴部幅計測ユニットの構成について説明する。
【0084】
図3に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置1は、主として、胴部幅計測ユニット100Aと、背部用電極群支持ユニット200Aと、右手装着ユニット122Aと、左手装着ユニット122Bと、右足装着ユニット123Aと、左足装着ユニット123Bと、本体ユニット130とを備えている。これらユニット100A,200A,122A,122B,123A,123B,130には、上述した各種機能ブロックが設けられている。本体ユニット130と、残る他のユニット100A,200A,122A,122B,123A,123Bのそれぞれとは、接続ケーブル132によって電気的に接続されており、当該接続ケーブル132を介して上述した各種機能ブロック間の信号の授受等が行なわれる。
【0085】
本体ユニット130は、その上面に被験者情報入力部25、操作部27および表示部26等が設けられてなる箱状のユニットからなり、上述した制御部10、定電流生成部21、端子切替部22、電位差検出部23、電源部28およびメモリ部29等を含んでいる。
【0086】
背部用電極群支持ユニット200Aは、ベッド面401上に展開した状態で載置が可能なシート状のユニットからなり、絶縁性のマット210と、マット210の主表面上に配設された複数の背部用電極43と、マット210の主表面上に設けられた案内機構としての一対のガイドレール220A,220Bとを含んでいる。背部用電極43は、マット210上において行列状に整列して設けられており、当該背部用電極43が設けられた領域は、マット210上に仰臥位にて寝転んだ被験者300の体軸方向に沿って延在するように構成されている。また、ガイドレール220A,220Bは、背部用電極43が設けられた領域を挟み込むように被験者300の上記体軸方向と直交する方向に設けられており、それぞれのガイドレール220A,220Bは、被験者300の上記体軸方向に沿って延在している。
【0087】
ここで、マット210に設けられる背部用電極43の数は、特に限定されるものではないが、少なくとも1回の体脂肪測定において必要となる背部用電極43の数よりも多い数とされる。すなわち、たとえば1回の体脂肪測定において図1に示す如く合計8個(2行×4列)の背部用電極43が必要である場合には、少なくともマット210上に設けられる背部用電極43の数としては、合計12個(3行×4列)以上とされる。
【0088】
背部用電極43は、マット210上に被験者300が仰臥位にて寝転んだ姿勢において被験者300の胴部301の背部表面に確実に接触するように、上記マット210の主表面から僅かに突出して設けられている。なお、背部用電極群支持ユニット200Aに設けられた背部用電極43は、いずれも上記接続ケーブル132を介して本体ユニット130に設けられた端子切替部22に接続されている。
【0089】
右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bは、いずれもクリップ状のユニットからなり、測定時においてそれぞれ被験者300の右手302Aおよび左手302Bに装着される。右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bには、それぞれ手用電極41が配設されている。手用電極41は、右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bをそれぞれ右手302Aおよび左手302Bに装着した状態において、当該被験者300の右手表面および左手表面に接触するように、右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bにそれぞれ露出して設けられている。なお、右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bに設けられた手用電極41は、いずれも上記接続ケーブル132を介して本体ユニット130に設けられた端子切替部22に接続されている。
【0090】
右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bは、いずれもクリップ状のユニットからなり、測定時においてそれぞれ被験者300の右足303Aおよび左足303Bに装着される。右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bには、それぞれ足用電極42が配設されている。足用電極42は、右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bをそれぞれ右足303Aおよび左足303Bに装着した状態において、当該被験者300の右足表面および左足表面に接触するように、右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bにそれぞれ露出して設けられている。なお、右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bに設けられた足用電極42は、いずれも上記接続ケーブル132を介して本体ユニット130に設けられた端子切替部22に接続されている。
【0091】
図3および図4に示すように、胴部幅計測ユニット100Aは、ベッド面401上に仰臥位にて寝転んだ姿勢にある被験者300の胴部301を取り囲むように配置が可能な枠形状を有する門型のユニットからなる。より詳細には、胴部幅計測ユニット100Aは、棒状の上部枠状部111、棒状の右側部枠状部112および棒状の左側部枠状部113を含む枠体110によって構成されており、右側部枠状部112および左側部枠状部113の下端にそれぞれ案内機構としてのキャスタ112a,113aを有している。これらキャスタ112a,113aは、上述した背部用電極群支持ユニット200Aに設けられたガイドレール220A,220Bにそれぞれ係合可能とされており、これにより胴部幅計測ユニット100Aは、背部用電極群支持ユニット200A上において、被験者300の体軸方向(図3に示す矢印X方向)に沿って移動可能に構成されている。
【0092】
図4に示すように、胴部幅計測ユニット100Aの右側部枠状部112および左側部枠状部113の内側表面(すなわち、胴部幅計測ユニット100Aが被験者300の胴部301を取り囲むように配置された状態において、被験者300の胴部301に面する側の胴部幅計測ユニット100Aの表面)には、上述した胴部横幅検出部24Aとしての測距センサ24A1,24A2がそれぞれ取付けられている。測距センサ24A1,24A2は、いずれも胴部幅計測ユニット100Aの内側に向けて水平方向に光を照射し、その反射光を受光することによって測距センサ24A1,24A2から検出体である被験者300の胴部301までの距離を測定するものである。なお、胴部幅計測ユニット100Aに設けられた測距センサ24A1,24A2は、いずれも上記接続ケーブル132を介して本体ユニット130に設けられた制御部10に接続されている。
【0093】
また、胴部幅計測ユニット100Aの上部枠状部111の内側表面(すなわち、胴部幅計測ユニット100Aが被験者300の胴部301を取り囲むように配置された状態において、被験者300の胴部301に面する側の胴部幅計測ユニット100Aの表面)には、上述した胴部縦幅検出部24Bとしての測距センサ24B1が取付けられている。測距センサ24B1は、胴部幅計測ユニット100Aの内側に向けて鉛直方向に光を照射し、その反射光を受光することによって測距センサ24B1から検出体である被験者300の胴部301までの距離を測定するものである。なお、胴部幅計測ユニット100Aに設けられた測距センサ24B1は、上記接続ケーブル132を介して本体ユニット130に設けられた制御部10に接続されている。
【0094】
次に、図3を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置を用いて内臓脂肪量等の体脂肪量を測定する場合に被験者がとるべき測定姿勢について説明する。
【0095】
図3に示すように、測定に際しては、被験者300は、ベッド面401上に展開して載置された背部用電極群支持ユニット200A上に仰臥位で寝転ぶ。その際、背部用電極群支持ユニット200Aに設けられた背部用電極43に背部表面が接触するように寝転ぶ位置を調節する。ただし、その際、厳密な意味において寝転ぶ位置を調節する必要はなく、背部用電極43が設けられた位置に概ね背部が合致するように寝転ぶことで足りる。また、被験者300は、右手302Aの手首および左手302Bの手首に右手装着ユニット122Aおよび左手装着ユニット122Bを装着するとともに、右足303Aの足首および左足303Bの足首に右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bを装着する。
【0096】
この状態において、胴部幅計測ユニット100Aは、体軸方向に沿ってその位置が調節され、臍位置を含む部分の胴部301周りに位置決めして配置される。これにより、当該胴部幅計測ユニット100Aを用いて胴部横幅および胴部縦幅が測定されることになる。なお、当該胴部幅計測ユニット100Aの位置決めの際の移動には、上述した案内機構としてのガイドレール220A,220Bおよびこれに係合するキャスタ112a,113aが利用され、その操作は、補助者が行なってもよいし、被験者自らが行なってもよい。
【0097】
そして、その後に、背部用電極群支持ユニット200A、右手装着ユニット122A、左手装着ユニット122B、右足装着ユニット123Aおよび左足装着ユニット123Bに設けられた電極41,42,43を用いて生体インピーダンスが測定されることになる。以上により、内臓脂肪量等の体脂肪測定が実施されることになる。
【0098】
次に、図4を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置に具備された胴部幅計測ユニットを用いた胴部横幅および胴部縦幅の計測方法について説明する。
【0099】
図4に示すように、胴部横幅2×aの算出には、胴部横幅検出部24Aとしての一対の測距センサ24A1,24A2が使用される。すなわち、一対の測距センサ24A1,24A2にて検出された距離A1(すなわち、右側部枠状部112に設けられた測距センサ24A1と被験者300の胴部301の右側面との間の距離)および距離A2(すなわち、左側部枠状部113に設けられた測距センサ24A2と被験者300の胴部301の左側面との間の距離)と、予め定められている距離A(すなわち、右側部枠状部112に設けられた測距センサ24A1と左側部枠状部113に設けられた測距センサ24A2との間の距離)とを用いれば、被験者300の胴部横幅2×aが、以下の式(7)に基づいて算出されることになる。
【0100】
2×a=A−A1−A2 ・・・式(7)
【0101】
また、図4に示すように、胴部縦幅2×bの算出には、胴部縦幅検出部24Bとしての測距センサ24B1が使用される。すなわち、測距センサ24B1にて検出された距離B1(すなわち、上部枠状部111に設けられた測距センサ24B1と被験者300の胴部301の前面との間の距離)と、予め定められている距離B(すなわち、上部枠状部111に設けられた測距センサ24B1とマット210との間の距離)とを用いれば、被験者300の胴部縦幅2×bが、以下の式(8)に基づいて算出されることになる。
【0102】
2×b=B−B1 ・・・式(8)
【0103】
図5および図6は、本実施の形態における体脂肪測定装置において、胴部幅計測ユニットの位置決めを行なった後の状態の一例および他の例を示す模式平面図である。次に、これら図5および図6を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置における背部用電極の選択方法について説明する。
【0104】
図3に示すように、被験者300が背部用電極群支持ユニット200A上において仰臥位にて寝転んだ測定姿勢をとった状態においては、背部用電極群が設けられた領域上に被験者300の胴部301が位置している。上述したように、当該状態においては、厳密な意味においてその体軸方向に沿っての寝転ぶ位置の調節はなされていないため、たとえば図5および図6に示すように、背部用電極群と被験者300の背部との体軸方向に沿った位置関係は、体脂肪測定の都度毎に異なることになる。
【0105】
ここで、本実施の形態における体脂肪測定装置1にあっては、上述したように、胴部幅計測ユニット100Aが背部用電極群支持ユニット200A上において仰臥位にある被験者300の体軸方向に沿って移動可能に構成されており、体脂肪測定に際して、胴部幅計測ユニット100Aが臍位置に対応した位置に配置されることとなるようにその体軸方向の位置が調節される。したがって、当該位置調節後においては、胴部幅計測ユニット100Aが存する位置が、被験者300の臍位置に対応した位置ということになる。
【0106】
そのため、本実施の形態における体脂肪測定装置1にあっては、上述した位置検出部30を用いることにより、胴部幅計測ユニット100Aの背部用電極群支持ユニット200Aに対する相対的な位置を検出し、検出された位置情報に基づいて、余剰に設けられている背部用電極43のうちから、被験者300の臍位置に対応する部分の背部に接触配置されている背部用電極(図5および図6において斜線が付されている背部用電極)を選択し、当該選択した背部用電極を用いての生体インピーダンス測定が行なわれる。
【0107】
より詳細には、電極選択部15は、位置検出部30から入力された胴部幅計測ユニット100Aの背部用電極群支持ユニット200Aに対する相対的な位置の情報を参照し、これに基づいて端子切替部22を駆動することで当該胴部幅計測ユニット100Aが存する位置に対応する背部用電極を選択的に定電流生成部21または電位差検出部23に接続し、残る非選択の背部用電極を定電流生成部21および電位差検出部23に非接続にする。これにより、背部用電極群に含まれる複数の背部用電極43のうち、被験者300の臍位置に対応する部分に接触配置されている背部用電極のみが定電流印加電極または電位差検出電極として機能することになり、高精度の生体インピーダンス測定が可能になる。
【0108】
なお、具体的な背部用電極の選択条件としては、様々な条件が考えられ、たとえば胴部幅計測ユニット100Aの下方に位置する背部用電極のみを選択することとしてもよいし、胴部幅計測ユニット100Aの直下に背部用電極が位置していない場合には、体軸方向に沿って胴部幅計測ユニット100Aを挟みこむ位置にある直近の背部用電極のみを選択することとしてもよい。また、背部用電極がより密に配置されている場合等には、胴部幅計測ユニット100Aの直下に位置する背部用電極を選択せずにこれを体軸方向に挟み込む位置の背部用電極のみを選択することとしてもよい。このように、具体的な背部用電極の選択条件は、特に制限されるものではなく、胴部幅計測ユニット100Aを用いて胴部幅が検出された部分の被験者の胴部位置に対応する部分に配置された電極(すなわち、胴部幅計測ユニット100Aを用いて胴部幅が検出された部分の被験者の胴部位置の近傍にある電極)が選択されるのであれば、どのような条件であってもよい。
【0109】
以上により、たとえば図5および図6に示すように、背部用電極群と被験者300の背部との体軸方向に沿った位置関係がどのような状態にある場合にも、被験者300の臍位置に対応する部分の胴部301が背部用電極群上にある限りにおいては、当該臍位置に対応する部分の背部に接触配置されている背部用電極を使用しての高精度の生体インピーダンス測定が可能になる。
【0110】
図7は、本実施の形態における体脂肪測定装置の制御部の処理を示すフロー図である。次に、この図7を参照して、本実施の形態における体脂肪測定装置の制御部において実行される一連の処理について説明する。なお、図7のフローチャートに示す処理は、予めプログラムとしてメモリ部29に格納されており、演算処理部11を含む制御部10がこのプログラムを読み出して実行することにより、内臓脂肪断面積の測定処理、皮下脂肪断面積の測定処理が制御部10によって実現される。
【0111】
図7に示すように、制御部10は、まず被験者情報の入力を受け付ける(ステップS1)。ここで受け付けた被験者情報は、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。
【0112】
次に、制御部10は、測定開始の指示があったか否かを判断する(ステップS2)。制御部10は、測定開始の指示があるまで待機し(ステップS2においてNO)、測定開始の指示を検知した場合に(ステップS2においてYES)、次の処理に移行する。
【0113】
次に、制御部10は、胴部の横幅および縦幅を計測する(ステップS3)。具体的には、制御部10は、胴部横幅検出部24Aおよび胴部縦幅検出部24Bから入力された信号に基づいて体形情報測定部13において被験者の胴部の横幅2×aおよび縦幅2×bを取得する。取得した被験者の胴部の横幅2×aおよび縦幅2×bは、一時的にメモリ部29に保存される。
【0114】
次に、制御部10は、電極の設定を行なう(ステップS4)。具体的には、制御部10は、電極選択部15において、入力された位置検出部30からの位置情報に基づいて背部用電極群のうちから特定の背部用電極を選択し、これに基づいて端子切替部22に対して電極の切替えを行なうように指令を出力し、これに基づいて端子切替部22は、複数の電極41,42,43のそれぞれを、図1(A)に示した各電極の如くに設定する。
【0115】
次に、制御部10は、定電流印加電極間に定電流を印加する(ステップS5)。具体的には、制御部10は、定電流生成部21に対して定電流を生成するように指令を出力し、これに基づいて定電流生成部21は、図1(A)に示した定電流印加電極間に生成した定電流IAを印加する。
【0116】
次に、制御部10は、電位差検出電極間の電位差を検出する(ステップS6)。具体的には、制御部10は、電位差検出部23に対して電位差を検出するように指令を出力し、これに基づいて電位差検出部23は、図1(A)に示した電位差検出電極間の電位差VA1,VA2,VA3,VA4を検出し、これを生体インピーダンス測定部12に対して出力する。
【0117】
次に、制御部10は、生体インピーダンスZtを算出する(ステップS7)。具体的には、制御部10は、電位差検出部23から入力された信号に基づいて生体インピーダンス測定部12において生体インピーダンスZtを算出する。算出された生体インピーダンスZtは、メモリ部29に一時的に保存される。
【0118】
次に、制御部10は、改めて電極の設定を行なう(ステップS8)。具体的には、制御部10は、電極選択部15において、入力された位置検出部30からの位置情報に基づいて背部用電極群のうちから特定の背部用電極を選択し、これに基づいて端子切替部22に対して電極の切替えを行なうように指令を出力し、これに基づいて端子切替部22は、複数の電極41,42,43のそれぞれを、図1(B)に示した各電極の如くに設定する。
【0119】
次に、制御部10は、定電流印加電極間に定電流を印加する(ステップS9)。具体的には、制御部10は、定電流生成部21に対して定電流を生成するように指令を出力し、これに基づいて定電流生成部21は、図1(B)に示した定電流印加電極間に生成した定電流IB1,IB2をそれぞれ印加する。
【0120】
次に、制御部10は、電位差検出電極間の電位差を検出する(ステップS10)。具体的には、制御部10は、電位差検出部23に対して電位差を検出するように指令を出力し、これに基づいて電位差検出部23は、図1(B)に示した電位差検出電極間の電位差VB1,VB2を検出し、これを生体インピーダンス測定部12に対して出力する。
【0121】
次に、制御部10は、生体インピーダンスZsを算出する(ステップS11)。具体的には、制御部10は、電位差検出部23から入力された信号に基づいて生体インピーダンス測定部12において生体インピーダンスZsを算出する。算出された生体インピーダンスZsは、メモリ部29に一時的に保存される。
【0122】
次に、制御部10は、内臓脂肪断面積および皮下脂肪断面積をそれぞれ算出する(ステップS12)。具体的には、制御部10は、ステップS3で検出された胴部の横幅2×aおよび縦幅2×bと、ステップS7で算出された生体インピーダンスZtと、ステップS11で算出された生体インピーダンスZsとに基づいて、内臓脂肪量算出部14aにおいて内臓脂肪量としての内臓脂肪断面積Sxを、皮下脂肪量算出部14bにおいて皮下脂肪量としての皮下脂肪断面積Sbとをそれぞれ算出する。なお、算出した内臓脂肪断面積Sxおよび皮下脂肪断面積Sbは、メモリ部29に一時的に保存される。
【0123】
そして、制御部10は、測定結果の表示を行なう(ステップS13)。具体的には、制御部10は、表示部26に対してステップS12において算出した内臓脂肪断面積Sxおよび皮下脂肪断面積Sbを表示するように指令を出力し、これに基づいて表示部26は、当該測定結果を表示する。
【0124】
以上により、体脂肪測定装置1は、内臓脂肪断面積の測定処理および皮下脂肪断面積の測定処理を終了する。
【0125】
以上において説明したように、本実施の形態における体脂肪測定装置1とすることにより、背部用電極を厳密に位置決めして被験者300の背部に接触させずとも、胴部幅計測ユニット100Aを位置決めすることによって自動的に最適な背部用電極が選択されて体脂肪測定が行なえることになる。したがって、上記構成を採用することにより、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することができる体脂肪測定装置とすることができる。しかも、上記構成を採用すれば、補助者等の協力を得なくとも被験者自らが1人で測定を行なうことも可能になるため、日常的に内臓脂肪量等を測定するのに適した体脂肪測定装置とすることができる。
【0126】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニットおよび背部用電極群支持ユニットの構成を説明するための模式図である。本実施の形態における体脂肪測定装置は、上述した本発明の実施の形態1における体脂肪測定装置と基本的に同様の構成を有しており、胴部幅計測ユニットおよび背部用電極群支持ユニットの具体的な構成においてのみ相違するものである。
【0127】
図8に示すように、本実施の形態における体脂肪測定装置の胴部幅計測ユニット100Bは、上部枠状部111、右側部枠状部112および左側部枠状部113を含む枠形状を有する門型のユニットにて構成されている点において上記実施の形態1における胴部幅計測ユニット100Aと同様であり、右側部枠状部112および左側部枠状部113の下端にキャスタが設けられていない点において上記胴部幅計測ユニット100Aと相違している。このキャスタに代え、胴部幅計測ユニット100Bの右側部枠状部112および左側部枠状部113の下端の所定位置には、内側に向けて突出する案内機構としての係合部112b,113bが設けられている。
【0128】
一方、本実施の形態における体脂肪測定装置の背部用電極群支持ユニット200Bは、マット210およびこれに設けられた複数の背部用電極43に加え、ベッド230を有しており、マット210は、ベッド230のベッド面231上に展開されて載置されている。また、本実施の形態における体脂肪測定装置の背部用電極群支持ユニット200Bは、マット210にガイドレールが設けられていない点において上記実施の形態1における背部用電極群支持ユニット200Aと相違しており、ベッド230の側面に胴部幅計測ユニット100Bに設けられた係合部112b,113bに係合する案内機構としてのガイドレール240A,240Bを有している。
【0129】
これら胴部幅計測ユニット100Bに設けられた係合部112b,113bおよび背部用電極群支持ユニット200Bに設けられたガイドレール240A,240Bからなる案内機構は、胴部幅計測ユニット100Aを体軸方向に沿って移動可能に案内するためのものである。
【0130】
ここで、本実施の形態における体脂肪測定装置にあっては、背部用電極群支持ユニット200Bのマット210に立設部212が設けられており、当該立設部212に位置を示す指標31(たとえばバーコード等のエンコーダストリップ)が貼り付けられている。また、胴部幅計測ユニット100Bの上記立設部212に対面する部分には、上記指標を読み取ることが可能な読み取りセンサ32(たとえばフォトインタラプタ等)が設置されている。
【0131】
これら指標31および読み取りセンサ32は、胴部幅計測ユニット100Bの背部用電極群支持ユニット200Bに対する相対的な位置関係を検出する位置検出部30(図2参照)に相当し、当該位置検出部30によって検出された位置情報に基づいて、電極選択部15における背部用電極の選択が行なわれる。
【0132】
このように構成した場合にも、上述した本発明の本実施の形態1における体脂肪測定装置とした場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施の形態における体脂肪測定装置とすることにより、測定の際の操作が容易で使い勝手がよく、高精度に内臓脂肪量等の体脂肪量を測定することができる体脂肪測定装置とすることができる。
【0133】
なお、以上において説明した本発明の実施の形態1および2においては、胴部横幅および胴部縦幅のいずれをも実測することが可能になるように体脂肪測定装置を構成した場合を例示して説明を行なったが、他の測定手段を具備させて胴部周囲長(ウエスト長)を実測可能に構成した場合や、被験者情報として胴部周囲長を入力するように装置を構成した場合等には、胴部横幅および胴部縦幅のうちのいずれか一方のみを実測し、これと胴部周囲長とに基づいて胴部横幅および胴部縦幅のうちの残る他方を算出して、これらに基づいて体脂肪量を算出するように構成することも可能である。
【0134】
また、上述した本発明の実施の形態1および2においては、内臓脂肪量として内臓脂肪断面積が算出されるとともに、皮下脂肪量として皮下脂肪断面積が算出されるように演算処理部を構成した場合を例示して説明したが、内臓脂肪量が、内臓脂肪断面積以外の指標である内臓脂肪体積、内臓脂肪重量、内臓脂肪レベル等にて算出されるとともに、皮下脂肪量が、皮下脂肪断面積以外の指標である皮下脂肪体積、皮下脂肪重量、皮下脂肪レベル等にて算出されるように演算処理部を構成してもよい。
【0135】
また、上述した本発明の実施の形態1および2においては、内臓脂肪断面積および皮下脂肪断面積のいずれもが算出されて表示されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、これらのいずれかのみが表示されるように構成してもよいし、皮下脂肪断面積のみが算出されて表示されるように構成してもよい。さらには、内臓脂肪断面積および皮下脂肪断面積以外の各種体組成情報(たとえば体脂肪量や部位別脂肪量、除脂肪量等)を算出してこれを表示するように構成してもよい。
【0136】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0137】
1 体脂肪測定装置、10 制御部、11 演算処理部、12 生体インピーダンス測定部、13 体形情報測定部、14 体組成情報取得部、14a 内臓脂肪量算出部、14b 皮下脂肪量算出部、15 電極選択部、21 定電流生成部、22 端子切替部、23 電位差検出部、24A 胴部横幅検出部、24A1,24A2 測距センサ、24B 胴部縦幅検出部、24B1 測距センサ、25 被験者情報入力部、26 表示部、27 操作部、28 電源部、29 メモリ部、30 位置検出部、31 指標、32 読み取りセンサ、41 手用電極、42 足用電極、43 背部用電極、100A,100B 胴部幅計測ユニット、110 枠体、111 上部枠状部、112a キャスタ、112b 係合部、113 左側部枠状部、113a キャスタ、113b 係合部、122A 右手装着ユニット、122B 左手装着ユニット、123A 右足装着ユニット、123B 左足装着ユニット、130 本体ユニット、132 接続ケーブル、200A,200B 背部用電極群支持ユニット、210 マット、212 立設部、220A,220B ガイドレール、230 ベッド、231 ベッド面、240A,240B ガイドレール、300 被験者、301 胴部、302A 右手、302B 左手、303A 右足、303B 左足、401 ベッド面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の胴部の表面に接触させるための複数の電極を含む胴部用電極群と、
前記胴部用電極群が設けられ、前記胴部用電極群に含まれる複数の電極の少なくとも一部を被験者の胴部に接触させるための胴部用電極群支持ユニットと、
被験者の胴部幅を検出するための胴部幅検出部と、
前記胴部幅検出部が設けられた胴部幅計測ユニットと、
前記胴部用電極群支持ユニットと前記胴部幅計測ユニットとの相対的な位置関係を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された位置情報に基づいて前記胴部用電極群に含まれる複数の電極のうちから特定の電極を選択する電極選択部と、
前記電極選択部にて選択された電極を用いて被験者の身体の生体インピーダンスを測定する生体インピーダンス測定部と、
前記生体インピーダンス測定部にて測定された生体インピーダンスおよび前記胴部幅検出部にて検出された胴部幅に基づいて体脂肪量を算出する体脂肪量算出部とを備えた、体脂肪測定装置。
【請求項2】
前記胴部幅計測ユニットを被験者の胴部の体軸方向に沿って移動可能に案内する案内機構をさらに備えた、請求項1に記載の体脂肪測定装置。
【請求項3】
前記胴部用電極群支持ユニットが、被験者が寝転んだ姿勢において被験者の胴部の下に配置が可能なマットにて構成され、
前記胴部幅計測ユニットが、被験者が寝転んだ姿勢において被験者の胴部を取り囲むように配置が可能な枠状の部材にて構成されている、請求項1または2に記載の体脂肪測定装置。
【請求項4】
前記胴部用電極群に含まれる複数の電極が、前記マットの主表面上に整列して配設されている、請求項3に記載の体脂肪測定装置。
【請求項5】
前記胴部幅検出部が、前記枠状の部材に配設された非接触式の測距センサにて構成されている、請求項3または4に記載の体脂肪測定装置。
【請求項6】
前記胴部幅計測ユニットが、測定に際して被験者の臍位置に位置決めして配置される、請求項3から5のいずれかに記載の体脂肪測定装置。
【請求項7】
前記電極選択部が、前記胴部用電極群に含まれる複数の電極のうち、前記胴部幅計測ユニットを用いて胴部幅が検出された部分の被験者の胴部位置に対応する部分に配置された電極を前記特定の電極として選択する、請求項3から6のいずれかに記載の体脂肪測定装置。
【請求項8】
前記胴部用電極群に含まれる複数の電極が、被験者の胴部の背中側の部分である背部の表面に接触させるための電極である、請求項1から7のいずれかに記載の体脂肪測定装置。
【請求項9】
前記体脂肪量算出部は、被験者の内臓脂肪量を算出する内臓脂肪量算出部および被験者の皮下脂肪量を算出する皮下脂肪量算出部の少なくともいずれかを含んでいる、請求項1から8のいずれかに記載の体脂肪測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−40093(P2012−40093A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182358(P2010−182358)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】