説明

余長収納トレイ

【課題】余長収納トレイを上面開放状態で起こした時に、保持リブ間の間隙から光接続部が脱落する恐れのない余長収納トレイを提供する。
【解決手段】光ファイバどうしの光接続部を、間隔をあけて設けた保持リブ31間の間隙に嵌合させて保持する光接続部保持部8をトレイ底板2上に備え、トレイ底板2の一辺側に設けたヒンジ部により、上下に積層した当該余長収納トレイどうしが開閉可能にヒンジ結合される樹脂成形品の余長収納トレイにおいて、隣接する保持リブ31の対向面の上部に、内向きに突出する突起32a、32bを設けたことを特徴とする。余長収納トレイを開放状態で起こした時、保持リブ31間の間隙に緩く嵌合している光接続部は保持リブ間の間隙から脱落し易いが、上部の突起32a、32bが脱落を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の保持リブを間隔をあけて設けた光接続部保持部をトレイ底板上に備え、トレイ底板の一辺側に設けたヒンジ部により、上下に積層した当該余長収納トレイどうしが開閉可能にヒンジ結合される樹脂成形品の余長収納トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
光線路における光ファイバケーブルの直線接続部や分岐接続部やドロップケーブル導入部等に設置される光クロージャ内には通常、従来の余長収納トレイ41を示す図15のように、光ファイバ心線20の余長を収納する樹脂成形品の余長収納トレイ41が配置される。
この余長収納トレイ41の内部には、光ファイバどうしの光接続部43を、図16にも拡大断面図で示すように間隔をあけて設けた保持リブ44間の間隙に嵌合させて保持する光接続部保持部45をトレイ底板46上に備えている。光接続部43は、光ファイバを融着接続し補強部材で補強した融着接続部、あるいは光ファイバどうしを突き合わせ接続したメカニカルスプライスなどである。47は光ファイバ心線出入部、48は心線押さえ用舌片である。
この余長収納トレイ41は一般に、図17のように複数個を積層して使用されるが、積層したそれぞれの余長収納トレイ41内の光ファイバ心線に対する処理を個別に行えるように、上下に隣接する余長収納トレイ41どうしは一辺側の側壁49に設けたヒンジ部50にて回転可能に連結されて、積層したいずれの余長収納トレイも開閉可能にされている(特許文献1)。
【0003】
前記光接続部保持部45の保持リブ44間の間隙を光接続部43の外径に対して緊密にし過ぎると、光接続部43の安定した保持はできても、この光接続部43を保持リブ44間の間隙に対して着脱する際の作業性が悪くなるので、保持リブ44間の間隙は、通常、図16に示すように光接続部43の外径に対して若干の余裕を持たせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−42158
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように従来の余長収納トレイ41における光接続部保持部45は、保持リブ44間の間隙は光接続部43を緊密に嵌合させるものでなく、緩く嵌合させるものなので、例えばトレイ内の光ファイバ心線に対する処理のために、積層した余長収納トレイ41のうちの一部の余長収納トレイ41を開放する際に、その上の余長収納トレイ41を図17のように起こした時、余長収納トレイ41内の光接続部43が保持リブ44間の間隙から脱落する場合がある。光接続部43が保持リブ44間から脱落すると、それを元に戻す作業が煩雑であり、作業能率が悪くなる。
なお、心線押さえ用舌片48は、トレイ内に導入した光ファイバ心線20がトレイから飛び出すのを防ぐものであるが、一般にはさらに、図15、図16に示すように、心線押さえ用の透明な薄いフィルム51を概ねトレイ内部全体を覆うように被せている。
しかし、この心線押さえ用のフィルム51は、薄く剛性が殆んどないので、光接続部43が脱落するのを防ぐ作用は果たし得ない。
【0006】
特許文献1の発明は、光接続部保持部45の構造自体は特に変えずに、光接続部43に弾性材料からなるチューブを被せて、このチューブ被覆光接続部を保持リブ44間に嵌合させるというものであり、保持リブ44間に被覆のチューブが弾性的に嵌合して、光接続部43がみだりに動かないようにしている。
しかし、光接続部43に弾性チューブを被せる対策は、部品点数が増すことになり、また、弾性チューブを被せる作業が余分に加わるので、別部品を必要としない対策が望ましい。
【0007】
本発明は上記従来の欠点を解消するためになされたもので、積層した余長収納トレイの一部の余長収納トレイを開放するためにその上の余長収納トレイを起こした時などの場合に、光接続部が光接続部保持部の保持リブ間の間隙から脱落する恐れのない余長収納トレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する請求項1の発明は、光ファイバどうしの光接続部を、間隔をあけて設けた保持リブ間の間隙に嵌合させて保持する光接続部保持部をトレイ底板上に備え、トレイ底板の一辺側に設けたヒンジ部により、上下に積層した当該余長収納トレイどうしが開閉可能にヒンジ結合される樹脂成形品の余長収納トレイにおいて、
隣接する保持リブの対向面の上部に、内向きに突出する突起を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2は、請求項1記載の余長収納トレイにおいて、保持リブ間のトレイ底板に、上面から見て前記突起のある部分を含むような形状寸法の底板貫通穴を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3は、請求項1又は2記載の余長収納トレイにおいて、突起の断面形状が略正三角形又は二等辺三角形をなしていることを特徴とする。
【0011】
請求項4は、請求項1〜3のいずれかに記載の余長収納トレイにおいて、突起が保持リブ長手方向両側の2箇所に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5は、請求項1〜4のいずれかに記載の余長収納トレイにおいて、保持リブは、長さ方向の両側に厚肉部を有し中間部に薄肉部を有して、前記薄肉部間に形成される幅の広い間隙で短く大径の光接続部を保持し、両側の厚肉部間に形成される幅の狭い間隙で長く小径の光接続部の両側を保持する構成であり、前記突起が前記厚肉部及び薄肉部にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項6は、請求項5記載の余長収納トレイにおいて、厚肉部及び薄肉部にそれぞれ設けられる突起、及び当該突起に対応して設けられる底板貫通穴が、保持リブ長手方向両側における厚肉部と薄肉部との境界近傍にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、隣接する保持リブの対向面の上部に、内向きに突出する突起を設けているので、積層した余長収納トレイの一部の余長収納トレイを開放するためにその上の余長収納トレイを起こした時には、前記突起により、光接続部が保持リブ間の間隙から脱落することを防止される。
【0015】
請求項2によれば、保持リブ間のトレイ底板に突起に対応させて底板貫通穴を設けているので、余長収納トレイの樹脂成形の際に、突起を一体に形成することが容易になる。
すなわち、従来のように単にトレイ底板上に保持リブを形成したものでは、周囲の形状との関係から、隣接する保持リブの対向面に突起を形成するために金型に必要となるコアピンを設けることが困難になる。
しかし、底板貫通穴があいていれば、突起を形成するために金型に必要となるコアピンを底板貫通穴を利用して設けることが可能となる。
また、底板貫通穴には、保持リブ間に保持した光接続部を取り出す際に、底板貫通穴の下方から光接続部の下面を棒などで突き上げることで、光接続部の取り出しが容易になるという効果もある。
【0016】
請求項3のように、突起の断面形状を略正三角形又は二等辺三角形とすれば、光接続部を保持リブ間の間隙に押し込む時、及び、保持リブ間の間隙から取り出す時のいずれの場合にも困難さのない操作が可能である。
【0017】
請求項4のように、突起を保持リブ長手方向両側の2箇所に設けることが、光接続部の着脱を円滑にするために適切である。
【0018】
請求項5によれば、光接続部保持部の保持リブが短く大径の光接続部と長く小径の光接続部とに兼用の構造である場合に、それぞれの光接続部に対して脱落防止を有効に果たすことができる。
【0019】
請求項6のように、光接続部保持部の保持リブが短く大径の光接続部と長く小径の光接続部とに兼用の構造である場合に、突起及び底板貫通穴を厚肉部と薄肉部との境界近傍に設けることは、2種の光接続部に対する脱落防止を図る構造として適切であり、また、底板貫通穴を無用に広くあけないためにも適切である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例の余長収納トレイの平面図である。
【図2】上記余長収納トレイの正面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1の右側面図である。
【図5】図1のB−B断面図である。
【図6】図1における光接続部保持部部分を示した拡大図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】図1における光接続部保持部部分を示した斜視図である。
【図9】図6において保持リブ間の間隙に光接続部を配置(図示例は単心用の光接続部と多心用の光接続部とをそれぞれ配置)した状態で示した図である。
【図10】図9のD−D断面図である。
【図11】図9のE−E断面図である。
【図12】図1の余長収納トレイ内の光ファイバ心線収納態様の一例を示した図で、(a)は光接続部が同図で上側の光接続部保持部で保持される場合、(b)は光接続部が同図で下側の光接続部保持部で保持される場合である。図1の余長収納トレイにおいて光ファイバ心線の導入状態を付加して示した図である。
【図13】図1の余長収納トレイを4段に積層し蓋を取り付けた状態の右側面図である。
【図14】図13において、一部の余長収納トレイを上面開放状態で起こした図である。
【図15】従来の余長収納トレイを示す平面図である。
【図16】図15のF−F断面の一部省略の拡大図である。
【図17】上記従来の余長収納トレイを積層して最上段の余長収納トレイを起こした状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施した余長収納トレイについて、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の一実施例の余長収納トレイ1の平面図、図2は正面図、図3は図1のA−A断面図、図4は図1の右側面図、図5は図1のB−B断面図である。
この余長収納トレイ1は、樹脂一体成形品であり、概ね長円状のトレイ底板2の周縁に側壁3、4を備え、トレイ長手方向(図1の左右方向)の両側にそれぞれ光ファイバ心線出入部5、6を備え、内部に光ファイバ心線の余長を収納する余長収納部7、及び、光接続部30(図9参照)を保持する光接続部保持部8を備え、トレイ底板2のトレイ長手方向と直交する一辺側(光ファイバ心線出入部5、6側)の直線状の側壁4のトレイ長手方向の2箇所にヒンジ構造10を備えている。このヒンジ構造10により、上下に重ねた余長収納トレイ1どうしをヒンジ結合可能である。
光接続部30は、光ファイバを融着接続し補強部材で補強した融着接続部、あるいは光ファイバどうしを突き合わせ接続したメカニカルスプライスなどである。融着接続部の補強部材は、光ファイバを融着接続した部分に内部スリーブを被せ、これに抗張力材を添わせて補強スリーブを被せた構造などである。
また、9は積層した上側の余長収納トレイ1の係合凹所(図示略)に係合して余長収納トレイ1どうしをロックする係合爪である。31は詳細は後述する光接続部保持部8の保持リブである。側壁3の上端縁の複数箇所から心線押さえ用舌片11a、11b、11dが内向きに延出し、ヒンジ構造10側の側壁4からも心線押さえ用舌片11cが内向きに延出している。光接続部保持部8の中央側の保持リブ31からも心線押さえ用舌片11eが中央向きに延出している。底板2における各心線押さえ用舌片11a、11b、11c、11d、11eの下方部分はそれぞれ穴2aとなっている。
側壁3の直線部の左右両側の心線押さえ用舌片11aに突起12が設けられている。この突起12は上側の余長収納トレイ1の底板2の穴2a’(図1参照)に入りその縁に係合することで、トレイ長手方向のズレ(移動)を防ぐ。
余長収納トレイの材質は特に限定されないが、例えばABS樹脂やPS(ポリスチレン)樹脂等を用いることができる。
この余長収納トレイ1は、例えば、光線路における光ファイバケーブルの直線接続部や分岐接続部やドロップケーブル導入部等に設置される光クロージャ等の内部に配置される。
【0023】
この余長収納トレイ1は、例えば図13のように積層される。
積層したいずれの余長収納トレイ1についても、図14に示すように、ヒンジ構造10のピン16を中心として回転可能であり、その下側の余長収納トレイ1を開放状態として、各余長収納トレイ1内の光ファイバ心線に対する処理を個別に行うことを可能にする。
図13、図14において、13は蓋である。
前記ヒンジ構造10は、図1、図2に示すように、ピン16を持つ突片部15とピン穴18を持つピン受け部17との一対を備えており、2つの余長収納トレイ1を上下に重ねた時に一方のピン16が他方のピン穴18に嵌合して、ヒンジとして機能する。19は抜け止め用の突起である。
【0024】
図6〜図8は上記余長収納トレイ1における光接続部保持部8の詳細を説明する図である。
図6は図1における光接続部保持部8の部分を示した拡大図、図7は図6のC−C断面図、図8は図1における光接続部保持部8の部分を示した斜視図である。
この光接続部保持部8は、トレイ底板2にこれと一体成形で複数の保持リブ31を間隔をあけて設けた構成である。
単心光ファイバ心線の補強部材で補強された融着接続部と多心光ファイバ心線(光ファイバテープ心線)の補強部材で補強された融着接続部とを比較すると、一般に、単心線の融着接続部は長く小径であり、多心線の融着接続部は短く大径である。図示例の光接続部保持部8は、主としてその2種の光接続部を保持するものである。
すなわち、この保持リブ31は、一つの余長収納トレイで、単心光ファイバ心線の光接続部(融着接続部)および多心光ファイバ心線の光接続部(融着接続部)のいずれにも対応できるようにしたものであり、長さ方向両側に厚肉部31aを有し、中間部に薄肉部31bを有し、両端に膨大部31cを有する構造である。厚肉部31aと薄肉部31bとの境界は、上面から見て段差となっている。
これにより、薄肉部31b間に形成される幅の広いスペースのみで多心線の光接続部を保持することができ、両側の厚肉部31a間に形成される幅の狭いスペースで単心線の光接続部を保持することができ、かつ両端の膨大部31cで単心線の光接続部が長さ方向に抜けることを防止する。また、図示例では図7にも示すように、中間の薄肉部31bの中央近傍をコ字形に切り欠いている。このコ字形の切欠き31b’において光接続部の中間部を掴むことができるので、光接続部の着脱が容易である。
そして、隣接する保持リブ31の対向面の上部にそれぞれ、内向きに突出する突起32を設けている。
図示の突起32の断面形状は略正三角形であるが二等辺三角形でもよい。正三角形又はこれに近い二等辺三角形であると、光接続部を保持リブ間の間隙に押し込む時、及び、保持リブ間の間隙から取り出す時のいずれの場合にも困難さのない操作が可能である。三角形の頂点には当然若干のアールを持たせる。しかし、必ずしも三角形に限らず、光接続部の抜け止め作用を果たしかつ着脱がともに円滑に行なえる断面形状であればよい。
前記突起32は、両側の厚肉部31aにそれぞれ設けられ、かつ中間の薄肉部31bの両側位置に設けられている。厚肉部31aの突起32を32a、薄肉部31bの突起32を32bで示す。厚肉部31aの突起32a及び薄肉部31bの突起32bは、保持リブ長手方向両側における厚肉部31aと薄肉部31bとの境界近傍、すなわち上面から見て段差部の近傍に設けられている。
実施例における各部の寸法の一例を記載すると、保持リブ31間の間隙は厚肉部31a及び薄肉部31bのいずれも上端が広く下端が狭いテーパ状をなしており、保持リブ31間の間隙は厚肉部31aの上端で3.5mm程度、薄肉部31bの上端で4.5程度mmである。また、突起32の突出高さは0.5mm程度である。
【0025】
また、保持リブ31間のトレイ底板2に、上面から見て突起32のある部分を含むような形状寸法の底板貫通穴33を設けている。図示例では、保持リブ長手方向両側における厚肉部31aと薄肉部31bとの境界近傍にそれぞれ底板貫通穴33を設けている。それぞれの底板貫通穴33は、厚肉部31aと薄肉部31bとの境界近傍の突起32a、32bを含む形状寸法である。
したがって、余長収納トレイ1の樹脂成形の際に、突起32を一体に形成することが容易になる。
すなわち、従来のように単にトレイ底板上に保持リブを形成したものでは、周囲の形状との関係から、隣接する保持リブの対向面に突起を形成するために金型に必要となるコアピンを設けることが困難になる。しかし、底板貫通穴33があいているので、突起32を形成するために金型に必要となるコアピンを底板貫通穴を利用して設けることが可能となる。
また、底板貫通穴33には、保持リブ31間に保持した光接続部30を取り出す際に、底板貫通穴33の下方から光接続部30の下面を棒などで突き上げることで、光接続部30の取り出しが容易になるという効果もある。
なお、光接続部保持部8における図示例では5つの保持リブ31のうち、最外側の保持リブ31は、中間部の保持リブ31と厚肉部31aの厚さなどが異なるが、同じ符号を付している。
【0026】
図12に示すように、余長収納トレイ1内に左右の光ファイバ心線出入部5、6から導入された光ファイバ心線20の光接続部30は光接続部保持部8に配置され、光ファイバ心線20の余長は、例えば、光接続部30が同図で上側の光接続部保持部8で保持される場合は同図(a)のように、光接続部30が同図で下側の光接続部保持部8で保持される場合は同図(b)のように収納される。
図9は図6において光接続部保持部8に光ファイバの光接続部30(30a、30b)を配置した状態を示す。
図示例は5列の保持リブ31で4箇所の光接続部配置スペースを設けており、その2箇所に単心光ファイバ心線の光接続部(長く小径の光接続部)30a、2箇所に多心光ファイバ心線の光接続部(短く大径の光接続部)30bを配置している。
長く小径の光接続部30aは、その両端近傍を保持リブ31の厚肉部31aの間隙に余裕のある嵌合にて嵌合させる。短く大径の光接続部30bは保持リブ31の薄肉部31bの間隙に余裕のある嵌合にて嵌合させる。
図13のように積層された余長収納トレイ1の一部を、図14に示すようにその上面が開放された状態でヒンジ部16を中心として回転させて起こした時、図15〜図17の従来構造と同様であれば、光接続部30a、30bが保持リブ31の間隙から脱落する恐れがある。
しかし、隣接する保持リブ31の対向面の上部に突起32a、32bを設けているので、この突起32a、32bにより光接続部30a、30bの脱落は防止される。すなわち、小径で長い光接続部30aに対しては、厚肉部31aの突起32aが抜け止めとなり(図10、図11)、大径で短い光接続部30bに対しては、薄肉部31bの突起32bが抜け止めとなり(図10)、いずれの光接続部に対しても抜け止めが図られる。
【0027】
また、この実施例のように、突起32a、32b及び底板貫通穴33を厚肉部31aと薄肉部31bとの境界近傍に設けることは、2種の光接続部30a、30bに対する脱落防止を図る構造として適切であり、また、底板貫通穴を無用に広くあけないためにも適切である。
【0028】
底板貫通穴33は、前述の通り、保持リブに突起を形成するために金型に必要となるコアピンを設けることを可能にするが、それだけでなく、光接続部30を取り出す操作を容易にする。
すなわち、光接続部30を保持リブ31間の間隙から取り出す際、薄肉部31bの中央のコ字形の切欠き31b’において光接続部30を掴んで取り出すが、取り出しにくい場合もある。しかし、トレイ底板2に底板貫通穴33があいているので、底板貫通穴33の下から棒等で光接続部30を突き上げることができ、光接続部30の取り出しが容易になる。
【符号の説明】
【0029】
1 余長収納トレイ
2 トレイ底板
2a 穴
3、4 側壁
5、6 光ファイバ心線出入部
7 余長収納部
8 光接続部保持部
10 ヒンジ構造
11a、11b、11c、11d、11e 心線押さえ用舌片
16 ピン
18 ピン穴
30 光接続部
30a 単心光ファイバ心線の光接続部(長く小径の光接続部)
30b 多心光ファイバ心線の光接続部(短く大径の光接続部)
31 保持リブ
31a 厚肉部
31b 薄肉部
31b’ 切欠き
31c 膨大部
32 突起
32a 厚肉部の突起
32b 薄肉部の突起
33 底板貫通穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバどうしの光接続部を、間隔をあけて設けた保持リブ間の間隙に嵌合させて保持する光接続部保持部をトレイ底板上に備え、トレイ底板の一辺側に設けたヒンジ部により、上下に積層した当該余長収納トレイどうしが開閉可能にヒンジ結合される樹脂成形品の余長収納トレイにおいて、
隣接する保持リブの対向面の上部に、内向きに突出する突起を設けたことを特徴とする余長収納トレイ。
【請求項2】
前記保持リブ間のトレイ底板に、上面から見て前記突起のある部分を含むような形状寸法の底板貫通穴を設けたことを特徴とする請求項1記載の余長収納トレイ。
【請求項3】
前記突起の断面形状が略正三角形又は二等辺三角形をなしていることを特徴とする請求項1又は2記載の余長収納トレイ。
【請求項4】
前記突起が保持リブ長手方向両側の2箇所に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の余長収納トレイ。
【請求項5】
前記保持リブは、長さ方向の両側に厚肉部を有し中間部に薄肉部を有して、前記薄肉部間に形成される幅の広い間隙で短く大径の光接続部を保持し、両側の厚肉部間に形成される幅の狭い間隙で長く小径の光接続部の両側を保持する構成であり、前記突起が前記厚肉部及び薄肉部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の余長収納トレイ。
【請求項6】
前記厚肉部及び薄肉部にそれぞれ設けられる突起、及び当該突起に対応して設けられる底板貫通穴が、保持リブ長手方向両側における厚肉部と薄肉部との境界近傍にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項5記載の光接続部保持構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−48091(P2011−48091A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195798(P2009−195798)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】