説明

作業口蓋の取付構造

【課題】エプロンの作業口の開口面積を大きくすることができ、しかも確実に作業口を止水し、すっきりとした状態に覆蓋できる作業口蓋の取付構造を提供する。
【解決手段】浴槽エプロン7の略垂直な平面部に設けられた浴槽側へ凹状に形成された垂直平面部7eには作業口12が形成され、該作業口12には、該作業口12を止水する内蓋15が取り付けられ、該内蓋15の外側には、下部側にエプロン7側へ屈曲した下側面部16cを有する外蓋16が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽エプロンに形成される作業口に取り付けられる作業口蓋の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、浴槽のカウンターの略L型のコーナー部エプロンに点検口を設け、この点検口に二重蓋を取り付ける構造が存在する。
【特許文献1】特開平9−56623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の構造では、コーナー部に二重蓋を取り付けるものであり、コーナー部の曲がった部分であるため、点検口を良好に止水することが困難であるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、作業口を大きく開口させることができ、しかも良好に作業口を止水して蓋することのできる作業口蓋の取付構造を提供するものであり、その請求項1は、浴槽エプロンの略垂直な平面部に設けられた浴槽側へ凹状に形成された垂直平面部には作業口が形成され、該作業口には、該作業口を止水する内蓋が取り付けられ、該内蓋の外側には、下部側にエプロン側へ屈曲した下側面部を有する外蓋が取り付けられていることである。
【0005】
また、請求項2は、前記エプロン垂直平面部の下端には浴槽側へ屈曲した下側面部が形成され、前記外蓋の下側面部の屈曲のラインより下方に、前記エプロン垂直平面部の下側面部の屈曲のラインがあることである。
【0006】
また、請求項3は、前記内蓋の下部側に、前記エプロン垂直平面部の下側面部の下側に回り込む回り込み部が形成され、該回り込み部に、前記外蓋を取り付けるための取付片が設けられていることである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の作業口蓋の取付構造は、浴槽エプロンの略垂直な平面部に設けられた浴槽側へ凹状に形成された垂直平面部には作業口が形成され、該作業口には、該作業口を止水する内蓋が取り付けられ、該内蓋の外側には、下部側にエプロン側へ屈曲した下側面部を有する外蓋が取り付けられていることにより、作業口の下方側まで良好に外蓋の下側面部で覆蓋することができ、作業口を下方側まで大きく開口させることができるものとなる。
【0008】
また、前記エプロン垂直平面部の下端には浴槽側へ屈曲した下側面部が形成され、前記外蓋の下側面部の屈曲のラインより下方に、前記エプロン垂直平面部の下側面部の屈曲のラインがあることにより、垂直平面部を下に広げることができ、作業口を更に大きく開口させることができるものとなる。
【0009】
また、前記内蓋の下部側に、前記エプロン垂直平面部の下側面部の下側に回り込む回り込み部が形成され、該回り込み部に、前記外蓋を取り付けるための取付片が設けられていることにより、外蓋の固定が確実なものとなり、がたつくことなく外蓋を取り付けることができるものとなる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴室の概略構成図であり、浴室1内には、浴槽2と、洗い場を形成する洗い場防水パン3が設けられており、この浴槽2は、高さ調節ボルト5を垂下させたフレーム4a上に設けられており、また、洗い場防水パン3は、高さ調節ボルト5を垂下させたフレーム4b上に設けられている。
【0011】
洗い場防水パン3の浴槽2側には排水枡3aが形成されており、排水枡3aの下部には排水トラップ6が取り付けられている。この排水枡3a側から立ち上げて浴槽2のエプロン7が立設されており、このエプロン7から横方向にカウンター8が壁面に設けられており、カウンター8上には、ハンドシャワー10を備えた水栓9が設けられ、またカウンター8上方の壁面には鏡11が設けられている。
【0012】
浴槽のエプロン7には、図2の概略縦断面構成図で示すように、作業用の作業口12が開口されており、この作業口12には、洗い場防水パン3側から止水材Cを介在させて内蓋15が取り付けられて止水され、更に内蓋15の外側には外蓋16が取り付けられている。
本例では、エプロン7は、図3の平面構成図で示すように、洗い場防水パン3側へ湾曲状に出っ張った湾曲部Pを有しており、この湾曲部Pに、図4の表側からの斜視図で、また図5に裏側からの斜視図で示すように、前記作業口12が開口されている。
【0013】
先ず、エプロン7の構造を説明すると、エプロン7の上端には、上方へ立ち上げて引っ掛け立片7aが形成されており、引っ掛け立片7aの下端から洗い場側へ略水平に突出して上水平片7bが形成され、上水平片7bの前端から垂下状に前面片7cが形成され、前面片7cの下端で浴槽2側へ略水平に延びる下水平片7dが形成され、下水平片7dの後端で略垂直な垂直平面部7eが一体形成されており、この垂直で且つ平面状をなす垂直平面部7eに前記作業口12が開口されており、垂直平面部7eの下端で傾斜状に浴槽2側へ屈曲して下側面部7fが一体形成され、下側面部7fの後端から垂下状に垂下片7gが形成され、垂下片7gの下端に略水平に接合部7hが形成されたものとなっており、この接合部7hが洗い場防水パン3にシリコンを塗布した状態で接合されるものである。
【0014】
なお、図2において、浴槽2の上端には、外側へ突出してフランジ部2aが一体形成され、フランジ部2aの先端で垂下部2bが垂設されており、この垂下部2bの裏側へエプロン7の引っ掛け立片7aを引っ掛けて、エプロン7の上端を浴槽のフランジ部2aの裏側に掛止して、エプロン7を取り付けできるものである。
【0015】
エプロン7の下水平片7dと垂直平面部7eで浴槽2側へ凹んだ凹部13が形成されており、この凹部13内に内蓋15と外蓋16が取り付けられて、外蓋16とエプロン7の前面片7cがほぼ面一状にすっきりとした状態となるように構成されている。この凹部13の前記垂直平面部7eに開口されている作業口12の外周には、複数のナット部材取付用の取付部14,14,14が形成されている。
【0016】
なお、垂直平面部7eは、湾曲部Pに形成されたものであるため、なだらかな平面をなして浴槽2側へ傾斜し、その下端側の下側面部7fは、湾曲部P以外の部分に形成されている下側面部7fの上端の屈曲ライン7fuよりも左端側へ下傾状に上端の屈曲ライン7fuが形成されており、作業口12の図4における図示左端側の下端コーナー部12aは下方側に位置して、作業口12は四角形状よりも下端コーナー部12aの部分が下方側へ落ち込んだ広い開口面積に形成されている。
【0017】
なお、このエプロン7の凹部13の底側の前記垂直平面部7eに取り付けられて作業口12を止水する内蓋15は、略垂直で平面状をなす垂直平面部15aの下端に浴槽2側へ屈曲して回り込み部15bが一体形成されており、この回り込み部15bは、エプロン7の下側面部7fの下面に整合する傾斜角度に形成されている。
内蓋15の垂直平面部15aの外周側には、複数のビス孔15d,15dが形成されており、このビス孔15dは、エプロン7側の取付部14,14,14と整合する位置に形成されたものである。また、内蓋15の左右側の外周には、突出状に爪部15c,15cが形成されており、上端には外蓋受け部15eが突出形成されている。
また、回り込み部15bには外蓋取付片15fが突出形成されており、ビス孔15gが形成されている。
なお、この内蓋15の爪部15c及びビス孔15dの部分は、図6の平面拡大図で示すような形状となっている。
【0018】
また、外蓋16は、図4の表側からの斜視図で、また図5の裏面側からの斜視図で示すような構造となっており、略垂直で平面状をなす垂直平面部16aの上端には、エプロン7側へ略水平に折り曲げて水平片16bが一体形成され、垂直平面部16aの下端には、エプロン7側へ屈曲して下傾状に下側面部16cが形成されている。
【0019】
この外蓋16の左右端側には、図6の平面図で示すように、エプロン7側へ突出して係合爪片16d,16dが形成され、この係合爪片16dの内側には、背の低いリブ16e,16eが突出形成されている。
なお、エプロン7はプレス成形品であり、内蓋15と外蓋16は射出成形品で構成されている。
【0020】
なお、図6及び図7の要部拡大図で示すように、エプロン7の作業口12の外周の取付部14には、ナット部材Nをそれぞれ取り付けておき、このナット部材Nに対し内蓋15のビス孔15dを整合させて凹部13内に内蓋15を嵌め込み、ビスBをワッシャWを介してビス孔15d内に通してナット部材Nに締め付けることで、内蓋15を作業口12に水密状に取り付けて作業口12を止水することができるものである。
なお、図7に示すように、エプロン7に内蓋15を取り付ける際に、内蓋15に止水材Cを貼着等しておき、この止水材Cを内蓋15でエプロン7の垂直平面部7eに押し付けて、確実に作業口12を止水することができるものである。
【0021】
即ち、この内蓋15で止水しないと、洗い場防水パン3側からの水が作業口12を通して浴槽2の底側へ流れ込み、浴槽2の底側には防水パンが存在しないために、スラブ面Sに水が流出してしまうからである。
このように、内蓋15で作業口12を止水させ、その状態で内蓋15に対し洗い場防水パン3側から外蓋16をエプロン7の凹部13内に取り付けるのであるが、この時は図6及び図7の平面図で示すように、内蓋15の爪部15cを外蓋16の係合爪片16dとリブ16e間に挟み込んで、内蓋15に外蓋16を嵌め込むことができるものである。
また、内蓋15の外蓋受け部15eに外蓋16の上端の水平片16bを掛止させて落下を防ぐことができ、更には、内蓋15の回り込み部15bに形成されている外蓋取付片15fに外蓋16の下側面部16cを係合させて、がたつくことなく確実に外蓋16を取り付けることができるものである。
【0022】
なお、取付状態では、図2の縦断面構成図で示すように、エプロン7の下側面部7fの下側へ回り込んで内蓋15の回り込み部15bが当接されて、この内蓋の回り込み部15bの下方側へ外蓋16の下側面部16cが回り込んで、外蓋の下側面部16cにより、内蓋の回り込み部15b及びエプロンの下側面部7fを隠蔽させることができ、すっきりとした設置状態が得られるものであり、取付状態では、エプロン7の下側面部7fの上端の屈曲ラインよりも上方に外蓋16の下側面部16cの上端の屈曲ライン16cuが配置されるものである。
【0023】
図2では、外蓋16の下側面部16cの上端の屈曲ライン16cuは、作業口12の下端よりも上方に位置しており、これは作業口12の下端コーナー部12aが下方側へ向かって広く開口されているため、この作業口の下端コーナー部12aの部分をも完全にこの外蓋16の下側面部16cで隠蔽させるように構成したものである。
従って、エプロンの作業口12は、下端コーナー部12aの部分が下方側へ相当広い開口で延びていても良好に外蓋16の下側面部16cで覆い隠すことができ、エプロン外観のデザインが下側面部7fが上方にあっても、そのデザインを維持したままで作業口12を極めて広い開口面積に設定することができ、作業等を良好に行うことができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】浴室内の全体構成図である。
【図2】浴槽にエプロンと内蓋と外蓋を取り付けた状態の縦断面構成図である。
【図3】エプロンの平面概略構成図である。
【図4】エプロンと内蓋と外蓋を表面側から見た分解斜視構成図である。
【図5】エプロンと内蓋と外蓋を裏面側から見た分解斜視構成図である。
【図6】エプロンと内蓋と外蓋の係合状態を示す取り付け前の分解平面構成図である。
【図7】図6の取付状態の要部拡大平面構成図である。
【符号の説明】
【0025】
1 浴室
2 浴槽
2a フランジ部
2b 垂下部
3 洗い場防水パン
4a,4b フレーム
7 エプロン
7a 引っ掛け立片
7b 上水平片
7c 前面片
7d 下水平片
7e 垂直平面部
7f 下側面部
7g 垂下片
7h 接合部
12 作業口
12a 下端コーナー部
13 凹部
14 ナット部材取付部
15 内蓋
15a 垂直平面部
15b 回り込み部
15c 爪部
15e 外蓋受け部
15f 外蓋取付片
15d,15g ビス孔
16 外蓋
16a 垂直平面部
16c 下側面部
16cu 下側面部の上端の屈曲ライン
16d 係合爪片
16e リブ
P 湾曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽エプロンの略垂直な平面部に設けられた浴槽側へ凹状に形成された垂直平面部には作業口が形成され、該作業口には、該作業口を止水する内蓋が取り付けられ、該内蓋の外側には、下部側にエプロン側へ屈曲した下側面部を有する外蓋が取り付けられていることを特徴とする作業口蓋の取付構造。
【請求項2】
前記エプロン垂直平面部の下端には浴槽側へ屈曲した下側面部が形成され、前記外蓋の下側面部の屈曲のラインより下方に、前記エプロン垂直平面部の下側面部の屈曲のラインがあることを特徴とする請求項1に記載の作業口蓋の取付構造。
【請求項3】
前記内蓋の下部側に、前記エプロン垂直平面部の下側面部の下側に回り込む回り込み部が形成され、該回り込み部に、前記外蓋を取り付けるための取付片が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の作業口蓋の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−190100(P2007−190100A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9290(P2006−9290)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】