説明

作業台什器

【課題】コンセント口に差し込んだ差込プラグにより作業者の作業を妨げることなく、使い勝手を良好なものとした作業台什器を提供すること。
【解決手段】電気器具を用いて作業する作業面2aを上面に設けた箱型の作業台什器1であって、作業面2aを除く側面に凹入部6が形成されており、凹入部6の奥面6aに、電気器具が備えた電源用の差込プラグ7,8を差込可能なコンセント口9を設け、コンセント口9に差込プラグ7,8を差し込んだ電気器具を用いた作業時でも、差込プラグ7,8が作業台什器1の側面から突出することを抑えることができるため、作業者の作業を妨げることなく、作業台什器1の使い勝手を良好なものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気器具を用いて作業する作業面を上面に設けた作業台什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業台什器は、什器前面に電源用のコンセント口が設けられ、このコンセント口に差し込んだ差し込みプラグを介し電源供給された電気器具を利用して、作業台什器に於いて各種の作業を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、作業台什器には、隣合った各々の什器の側壁に個別に設けられたコンセント口に、導電ケーブルの両端部に設けられた差し込みプラグを差し込み、隣合った什器同士を導電ケーブルで接続することで、複数の什器に渡って電源を供給しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−40369号公報(第4頁、第1図)
【特許文献2】実開昭61−75746号公報(第1頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっては、什器前面のコンセント口に差し込んだ差込プラグが手前側に突出してしまうため、作業者の作業を妨げる原因となるばかりか、什器の作業面から落下した物体と衝突し、差込プラグが破損してしまう虞があるという問題がある。
【0006】
また、特許文献2にあっては、隣合った什器の側壁間に導電ケーブルが常時架設されているため、作業者が什器の側壁間を利用する際には常に導電ケーブルとの干渉が生じるという虞がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、コンセント口に差し込んだ差込プラグにより作業者の作業を妨げることなく、使い勝手を良好なものとした作業台什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の作業台什器は、
電気器具を用いて作業する作業面を上面に設けた箱型の作業台什器であって、
前記作業面を除く側面に凹入部が形成されており、該凹入部の奥面に、前記電気器具が備えた電源用の差込プラグを差込可能なコンセント口が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、作業台什器の作業面を除く側面に形成された凹入部の奥面に、コンセント口が設けられていることで、このコンセント口に差込プラグを差し込んだ電気器具を用いた作業時でも、差込プラグが作業台什器の側面から突出することを抑えることができるため、作業者の作業を妨げることなく、作業台什器の使い勝手を良好なものとすることができる。
【0009】
本発明の作業台什器は、
前記凹入部は、前記コンセント口に差し込んだ前記差込プラグの突出寸法よりも長寸に凹入していることを特徴としている。
この特徴によれば、凹入部のコンセント口に差し込んだ差込プラグが、凹入部から外方に突出せずに納まるため、差込プラグと干渉せずに作業面で快適に作業できるばかりか、作業面上の液体等の異物が差込プラグに触れて漏電する等の不具合を回避できる。
【0010】
本発明の作業台什器は、
前記コンセント口は、前記凹入部の奥面の上部に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、コンセント口が、作業面により近傍の箇所である凹入部の上部に設けられていることで、電気器具を用いた作業時における差込プラグの抜差しを容易に行うことができるばかりか、コンセント口の配設箇所が作業面により近傍の上部であればあるほど、水などの液体がかかり難い。
【0011】
本発明の作業台什器は、
前記凹入部における前記コンセント口よりも下方に、前記差込プラグと前記電気器具とに架けて延びた電気ケーブルを載置可能な底板が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、コンセント口に差し込んだ差込プラグから延びた電気ケーブルの余長分を、凹入部の底板に載置することで、電気ケーブルの重量負荷を差込プラグに与えることなく電気ケーブルを整えて配線できる。
【0012】
本発明の作業台什器は、
前記凹入部に、前記底板に載置した前記電気ケーブルの落下を防止する落下防止部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、凹入部に設けた落下防止部により、電気ケーブルを底板から落下させることなく安定的に配線できるばかりか、電気ケーブルの余長分が足元に延びて、作業者の足が引っ掛かってしまう虞を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例における作業台を示す正面図である。
【図2】凹入部を示す側断面図である。
【図3】凹入部を示す正面図である。
【図4】変形例における凹入部を示す一部拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る作業台什器を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0015】
実施例に係る作業台什器につき、図1から図4を参照して説明する。以下、図1及び図3の紙面手前側、図2及び図4の紙面左方側を作業台の正面(前方)側として説明する。先ず図1の符号1は、本発明の適用された作業台什器としての箱型作業台である。この作業台1は、例えば、学校の理科室等で教師等の使用者が化学実験を行うために使用される作業台である。作業台1は、上端部にガスバーナーや試験管等の実験器具、オシロスコープやビーカー攪拌機等の電気器具や化学薬品を載置するための、作業台1の左右幅寸法と略同一の左右幅寸法を有する天板2を備えている。この天板2は、上面が化学実験の作業を行うための作業面2aとなっており、天板2は作業台1の本体を構成する筐体11上に配設されている。
【0016】
また図1に示されるように、作業台1の右端部には、実験器具を洗浄するための給水蛇口、及び実験で使用した薬品等を廃棄するための図示しない排水口を備えたシンク3が設けられている。このシンク3の左側に配置された筐体11には、教師が着席する際に天板2の下方に下肢を伸ばす若しくは図示しないワゴンを配置するなどのための開口部4が形成されている。この開口部4の左側には、作業台1内に実験器具や電気器具、化学薬品等を収納するための収納部5が設けられている。
【0017】
更に、作業台1の左端部である収納部5の左側には、正面側に向けて開口するように、作業台1の正面から背面側に向けて凹入した凹入部6が筐体11の前側面に凹設されている。図2及び図3に示すように、この凹入部6の一部を構成する奥面としての閉塞板6aの上部には、オシロスコープやビーカー攪拌機等の電気を用いる電気器具の電源用の差込プラグ7,8を差込可能なコンセント口9が、作業台1の左右幅方向に並んで複数(本実施例では2つ)設けられている。図2に示されるように、凹入部6の奥面である閉塞板6aは、その取付部6bと上部取付金具12及び下部取付金具13とに各々挿通したビス14,14で、筐体11に取り外し可能な構造であり、閉塞板6aを取り外すと、コンセント口9に電気的に接続された電気ケーブル9aを通す内部空間16が形成されている。また、筐体11の底面若しくは外側面に開口した配線口15を通して電気ケーブル9aを外に出す構造になっている。このような構造の閉塞板6aを取り外すことで、電気ケーブル9aの配線作業をし易くできる。
【0018】
尚、凹入部6の作業台1の正面から背面側への凹設寸法L1は、コンセント口9に差し込んだ差込プラグ7,8の作業台1の正面側への突出寸法L2よりも長寸となるように形成されている。つまり、コンセント口9に差し込んだ差込プラグ7,8は、凹入部6の外方に突出することなく全体が凹入部6内に配置されるようになっており、シンク3での水など液体を使用した際に差込プラグ7,8に液体が付着してしまうことが無いようになっている。
【0019】
凹入部6内におけるコンセント口9よりも下方で且つ凹入部6の下端面よりも上方箇所には、閉塞板6aから作業台1の正面側に向けて底板10が延設されている。この底板10の閉塞板6aから作業台1の正面側に向けての延設寸法は、凹入部6の凹設寸法L1と略同寸となっている。
【0020】
また、この底板10は、凹入部6の左右幅寸法と略同一の左右幅寸法を有しており、底板10の前端部は、上方に向けて屈曲形成された落下防止部10aに形成されている。このため、差込プラグ7,8と電気器具とに架けて伸びた電気ケーブル7a,8aのうち、長寸に形成された電気ケーブル7aは、電気ケーブル7aの余長分を底板10上に載置することができる。
【0021】
更に、この底板10上に載置された電気ケーブル7aは、底板10の前端部に形成された落下防止部10aによって作業台1の正面側に向けての落下が防止されるようになっているので、作業台1で作業を行う使用者が底板10から落下してきた電気ケーブル7aに足を絡めて転倒してしまうような事故を未然に防ぐことができる。
【0022】
尚、本実施例では、前述したように凹入部6にコンセント口9を設けることで、差込プラグ7,8が作業台1の側面から突出することを抑えたが、変形例として図4に示すように、作業台1’の筐体21における凹入部6内の上端面の前端部を構成する箇所に、下方に向けて突出する突出部21aを形成しても良い。この突出部21aは、特に図示しないが凹入部6の左右幅方向の略全長に沿って形成されており、且つ下方の落下防止部10aよりも作業者の手前側に突出している。このように凹入部6内の上端面の前端部を構成する箇所に突出部21aが形成されていることで、作業面2aにて水等の液体がこぼれた際に、こぼれた液体が凹入部6内の上端面そして閉塞板6aを伝って差込プラグ7,8に接触することなく、凹入部6の前端部にて突出部21aの下端部から直下方、すなわちに落下防止部10aよりも作業者の手前側に落下するようになっている。
【0023】
つまり、作業面にて液体がこぼれた場合であっても、本実施例においては、液体が凹入部6内の差込プラグ7,8に付着することで漏電事故等が発生することがなく、安全に電気器具を使用することができる。
【0024】
以上,本実施例における作業台1にあっては、電気器具を用いて作業する作業面2aを上面に設けた箱型の作業台1であって、作業面2aを除く側面に凹入部6が形成されており、凹入部6の奥面である閉塞板6aに、電気器具が備えた電源用の差込プラグ7,8を差込可能なコンセント口9が設けられているので、作業台1の作業面2aを除く側面に形成された凹入部6の閉塞板6aに、コンセント口9が設けられていることで、このコンセント口9に差込プラグ7,8を差し込んだ電気器具を用いた作業時でも、差込プラグ7,8が作業台1の側面から突出することを抑えることができるため、作業者の作業を妨げることなく、作業台1の使い勝手を良好なものとすることができる。
【0025】
また、凹入部6は、コンセント口9に差し込んだ差込プラグ7,8の突出寸法よりも長寸に凹入しているので、凹入部6のコンセント口9に差し込んだ差込プラグ7,8が、凹入部6から外方に突出せずに納まるため、差込プラグ7,8と干渉せずに作業面2aで快適に作業できるばかりか、作業面2a上の液体等の異物が差込プラグ7,8に触れて漏電する等の不具合を回避できる。
【0026】
また、コンセント口9は、凹入部6の閉塞板6aの上部に設けられているので、コンセント口9が、作業面2aにより近傍の箇所である凹入部6の閉塞板6aの上部に設けられていることで、電気器具を用いた作業時における差込プラグ7,8の抜差しを容易に行うことができるばかりか、コンセント口9の配設箇所が作業面2aにより近傍の上部であればあるほど、水などの液体がかかり難い。尚、凹入部6の上部に設けられているコンセント口9は、凹入部6の上下方向の中央高さ位置よりも上方位置に設けられていればよい。
【0027】
また、凹入部6におけるコンセント口9よりも下方に、差込プラグ7,8と電気器具とに架けて延びた電気ケーブル7a,8aを載置可能な底板10が設けられているので、コンセント口9に差し込んだ差込プラグ7,8から延びた電気ケーブル7a,8aの余長分を、凹入部6の底板10に載置することで、電気ケーブル7a,8aの重量負荷を差込プラグ7,8に与えることなく電気ケーブル7a,8aを整えて配線できる。
【0028】
また、凹入部6に、底板10に載置した電気ケーブル7a,8aの落下を防止する落下防止部10aが設けられているので、凹入部6に設けた落下防止部10aにより、電気ケーブル7a,8aを底板10から落下させることなく安定的に配線できるばかりか、電気ケーブル7a,8aの余長分が足元に延びて、作業者の足が引っ掛かってしまう虞を回避できる。尚、落下防止部は、凹入部に設けられ電気ケーブルの落下を防止するものであれば、必ずしも本実施例のように底板10の一部を屈曲形成した落下防止部10aに限られず、例えば落下防止部は、底板とは別個に該底板の前上方に設けられた板状部材若しくは柵状部材であってもよい。
【0029】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0030】
例えば、前記実施例では、作業台1の正面側に開口するように凹入部6を凹設したが、凹入部は、使用者が使用し易いように作業台1の右側面や左側面に凹設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1,1 作業台(作業台什器)
2 天板
2a 作業面
3 シンク
4 開口部
5 収納部
6 凹入部
6a 閉塞板(奥面)
6b 取付部
7,8 差込プラグ
7a,8a 電気ケーブル
9 コンセント口
9a 電気ケーブル
10 底板
10a 落下防止部
11,21 筐体
12 上部取付金具
13 下部取付金具
14 ビス
15 配線口
16 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気器具を用いて作業する作業面を上面に設けた箱型の作業台什器であって、
前記作業面を除く側面に凹入部が形成されており、該凹入部の奥面に、前記電気器具が備えた電源用の差込プラグを差込可能なコンセント口が設けられていることを特徴とする作業台什器。
【請求項2】
前記凹入部は、前記コンセント口に差し込んだ前記差込プラグの突出寸法よりも長寸に凹入していることを特徴とする請求項1に記載の作業台什器。
【請求項3】
前記コンセント口は、前記凹入部の奥面の上部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の作業台什器。
【請求項4】
前記凹入部における前記コンセント口よりも下方に、前記差込プラグと前記電気器具とに架けて延びた電気ケーブルを載置可能な底板が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の作業台什器。
【請求項5】
前記凹入部に、前記底板に載置した前記電気ケーブルの落下を防止する落下防止部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の作業台什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−101300(P2012−101300A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250172(P2010−250172)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】