説明

作業支援装置

【課題】例えばカゴ移動のような作業の作業性を低下させることなく、作業台で作業を行う作業者に安楽な姿勢を提供する。
【解決手段】上端部分201dが作業台101の上面部の前縁部103dよりも高く突出した近接位置で、作業台101に対して寄りかかる姿勢の身体を支持面201aで支える支え具201を設け、支え具201を近接位置とこの近接位置よりも前縁部103dから離反する離反位置とに位置させ、身体が支持面201aを押圧する力を受けることで支え具201を離反位置から近接位置へと移動可能にして、また、支え具201に近接位置から離反位置に向かう力を付与するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばチェックアウトカウンタ等のような作業台で作業を行う作業者に安楽な姿勢を提供する作業支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等の店舗に設置され、チェックアウト作業に伴い商品が収納されたカゴを移動させるためのチェックアウトカウンタがある。このようなチェックアウトカウンタ等のような作業台での作業に際して、作業者は、無意識に安楽な姿勢を求めて作業台に寄りかかる姿勢をとることがある。作業者は、商品コードのスキャニング操作等に際して、作業台に寄りかかった方が安楽であることを経験上良く知っているからである。
【0003】
特許文献1には、作業台に寄りかかる姿勢を意識的に作り出すようにした商品データ読取装置が記載されている。つまり、特許文献1に記載された発明では、バーコードリーダの筐体に作業者の腹部付近を支える支え部を設けている。したがって、特許文献1によれば、作業者は、支え部に寄りかかって身体を預け、これによって身体を休めながら長時間の労働に耐えることができる、とされている(第4頁左上欄第1〜第8行目)。
【0004】
【特許文献1】特開平02−91782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業台に寄りかかる場合、どうしても作業台の角部で身体を支えることになるため、身体が圧迫されてしまう。特許文献1に記載されたような支え部の場合、支え部は断熱性を有する軟質材により形成され、身体との接触部に曲面が形成されているが(第3頁左上欄第1行〜第3行目、第1図及び第2図)、それでも身体に圧迫感を与えることは否めない。しかも、特許文献1に記載された支え部は、腹部付近を支えるものであるので(第2頁右下欄第18行目〜第3頁左上欄第1行)、支え部に身体を預けた場合には腹部に圧迫感を感じさせることが予想され、作業者にどの程度安楽な姿勢を提供し得るものなのか疑問が残る。支え部が作業者に安楽な姿勢を提供し得ないとするならば、結局のところ、作業負担の軽減を図り得ない。
【0006】
そこで、作業台に作業者の身体の腿の部位を柔軟性のある支持面で支える支え具を取り付けることによって、作業者への安楽な姿勢の提供を図ることが考えられる。このような支え具を作業台としてのチェックアウトカウンタに取り付けた場合について図11に基づき説明する。
【0007】
図11は、チェックアウトカウンタ11を示す斜視図である。チェックアウトカウンタ11には定置式のバーコードスキャナ12が支え具13と反対側の位置に設けられている。また、チェックアウトカウンタ11の上面部は商品が収納されたカゴ14の載置台15となっている。バーコードスキャナ12の右側の載置台15は商品導入部15a、左側の載置台15は商品提供部15bとなっている。
【0008】
チェックアウトの際、作業者(図示せず)は、商品導入部15aのカゴ14から商品を取り出し、取り出した商品をバーコードスキャナ12の前にかざして商品コードの読み取りを行う。商品コードを読み取った商品は、予め商品提供部15bに載置した別のカゴ14に収納する。この際、作業者は、腿の部位が支えられて支え具13に寄りかかることができるため、チェックアウトカウンタ11の角部に圧迫されず、安楽な姿勢で作業することができる。
【0009】
しかし、支え具13は、図11に示すように、その上端部分13dが載置台15の前縁部15dよりも高く突出してしまう。そのため、チェックアウトカウンタ11で行う作業の内容によっては、支え具13が障害となり、その作業性が低下してしまうことがある。
【0010】
作業性が低下する作業の一例としては、カゴ14の移動作業である。つまり、決済後に、商品提供部15bの商品が収納されたカゴ14を顧客が持ち去るため、作業者は、次のチェックアウトに備えて、商品導入部15aにあるカゴ14を商品提供部15bへと移動させる作業を行う。作業者は、一般的に、カゴ14を90度回転させてバーコードスキャナ12の前を滑らせて移動させる。しかし、90度回転させたカゴ14であっても、支え具13の上端部分13dが邪魔となり、バーコードスキャナ12の前を通しづらかったり、まったく通過させることができなかったりする。その場合、作業者は、カゴ14を持ち上げて移動させることになり、作業負担が増大してしまう。
【0011】
なお、チェックアウトカウンタ11から離れた位置に支え具13を設けることで、上述した問題は解消する。しかし、支え具13に寄りかかる作業者とチェックアウトカウンタ11との距離が遠くなってしまい不便である。
【0012】
本発明の目的は、例えばカゴ移動のような作業の作業性を低下させることなく、作業台で作業を行う作業者に安楽な姿勢を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の作業支援装置は、作業台と、上端部分が前記作業台の上面部の前縁部よりも高く突出した近接位置で、当該作業台に対して寄りかかる姿勢の身体を支持面で支える支え具と、前記支え具を前記近接位置と当該近接位置よりも前記作業台の前縁部から離反する離反位置とに位置させ、前記寄りかかる姿勢の身体が前記支持面を押圧する力を受けることで当該支え具を前記離反位置から当該近接位置へと移動可能にする保持機構と、前記支え具に前記近接位置から前記離反位置に向かう力を付与する力付与機構と、を備える作業支援装置。
【0014】
別の面から見た本発明の作業支援装置は、作業台と、上端部分が前記作業台の上面部の前縁部よりも高く突出した近接位置で、当該作業台に対して寄りかかる姿勢の身体を支持面で支える支え具と、前記支え具を前記近接位置と当該近接位置よりも前記作業台の前縁部から離反する離反位置とに位置させ、前記寄りかかる姿勢の身体が前記支持面を押圧する力を受けることで当該支え具を前記離反位置から当該近接位置へと移動可能にし、自重によって当該支え具を当該近接位置から当該離反位置へと移動可能にする保持機構と、備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、支え具の支持面で寄りかかる姿勢の身体の腿の部位を圧迫することなく支えるため、作業者に安楽な姿勢を提供することができる。また、身体を支え具から離すだけで、支え具は作業台の前縁部から離反するため、例えば作業台でのカゴ移動のような支え具の存在が障害となる作業についても作業性を低下させずに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の作業支援装置の実施の一形態として、チェックアウトカウンタへの適用例を示す正面図である。本実施の形態では、作業台として、スーパーマーケット等の店舗に設置され、チェックアウト作業に伴い商品が収納されたカゴ104を移動させるためのチェックアウトカウンタ101を設けた。チェックアウトカウンタ101には、その正面に定置式のバーコードスキャナ102が設けられている。図1は、バーコードスキャナ102の操作を行なう作業者301(図2参照)から見た正面図である。
【0018】
チェックアウトカウンタ101の上面部は商品の載置台103となっている。図1中、バーコードスキャナ102の右側の載置台103は商品導入部103a、左側の載置台103は商品提供部103bとなっている。
【0019】
そして、チェックアウトカウンタ101には、バーコードスキャナ102とは反対側であって、作業者301と対面する位置に、支え具201が取り付けられている。
【0020】
チェックアウトに際して、店員である作業者301は、顧客(図示せず)が商品導入部103aに載せたカゴ104から商品を取り出し、取り出した商品をバーコードスキャナ102の前にかざして商品コードの読み取りを行い、商品コードを読み取った商品を予め商品提供部103bに載置した別のカゴ104に収納する。そして、全ての商品の商品コードの読み取りが終了したならば、図示しない決済端末(例えばPOS端末)で決済を行う。決済後、顧客は、商品が収納された商品提供部103bのカゴ104を図示しない袋詰め台へと持ち去る。
【0021】
チェックアウトの後、作業者301は、次のチェックアウトに際して商品コードを読み取った商品を収納するため、商品が取り出されて空になっている商品導入部103aのカゴ104を商品提供部103bへと移動させる。
【0022】
図2は、作業者301が商品コードの読み取り操作をしている状態を示すチェックアウトカウンタ101の側面図である。図2を参照することで、支え具201の使い方が分かる。
【0023】
作業者301は、商品導入部103aに載せたカゴ104から商品を取り出し、取り出した商品をバーコードスキャナ102の前にかざして商品コードの読み取りを行い、商品コードを読み取った商品を予め商品提供部103bに載置した別のカゴ104に収納するに際して、支え具201に身体302を預ける。つまり、支え具201に寄りかかる。寄りかかるのは、腿の部位303である。そして、支え具201は、操作を行う作業者301側に形成された支持面201aで身体302を支える。
【0024】
このとき、図2に示すように、支え具201は、上端部分201dがチェックアウトカウンタ101の上面部である載置台103の前縁部103dよりも高く突出した位置(以下、近接位置)で、身体302を支持面201aで支えている。ここで、前縁部103dとは、図2中、載置台103の支え具201側の部位であって、本実施の形態のチェックアウトカウンタ101においては、フロントパネル105よりも支え具201側に突出した部位である。
【0025】
そして、支え具201は、図2で示す支持面201aで身体302を支える近接位置と、この近接位置よりも前縁部103dから離反した位置(以下、離反位置)とに位置するようになっている。また、支え具201は、チェックアウトカウンタ101に対して寄りかかる姿勢の身体302の腿の部位303が支持面201aを押圧する力を受けることで、離反位置から近接位置へと移動するものである。このような移動を可能にするのは、後述する保持機構401(501、601)である。
【0026】
なお、作業者301が上記作業を行なうに際しては、図2に示すように、チェックアウトカウンタ101の近傍に踏み台251を設けておいても良い。踏み台251は、中央部が高くなった山形をしており、中央部からチェックアウトカウンタ101に向けてなだらかに下る前スロープ252と、中央部からチェックアウトカウンタ101とは反対側に向けてなだらかに下る後スロープ253とを有している。前スロープ252は、作業者301が乗った場合に作業者301の姿勢を自ずと前傾させ、支え具201に寄りかかる姿勢を自然と維持させる。また、別の役割として、作業者301の姿勢を自ずと前傾させることから、心理的に、作業者301を支え具201の利用に誘う。後スロープ253は、作業者301の後退移動を円滑に案内するものであり、後退移動に伴い踏み台251を踏み外して足を挫いたり転倒したりすることを回避させる役割を担う。
【0027】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図3及び図4に基づいて説明する。
【0028】
図3(a)は、第1の実施の形態に係る支え具201が近接位置にある状態を示す側面図、図3(b)は、その状態の保持機構401を拡大して示す側面図である。
【0029】
図4(a)は、第1の実施の形態に係る支え具201が離反位置にある状態を示す側面図、図4(b)は、その状態の保持機構401を拡大して示す側面図である。
【0030】
まず、昇降機構202について説明する。支え具201は、図1に矢視するように昇降可能となっている。支え具201の昇降を可能にするのは、昇降機構202である。
【0031】
図3(a)及び図4(a)に示すように、支え具201は、ガススプリング203を主体として構成されている。つまり、昇降機構202用のハウジング204が設けられ、このハウジング204にはガススプリング203が垂直に設けられている。ガススプリング203は、シリンダチューブ205の内部にオイルと高圧ガスとを封じ込み、一端から突出するピストンロッド206を伸長及び圧縮させる構造のものである。ピストンロッド206の伸長速度及び圧縮速度は、ピストンロッド206に接続させてシリンダチューブ205の内部に設けたピストンボディ(図示せず)に形成したオリフィスの直径及び数等に依存する。このようなガススプリング203は、ピストンロッド206を押し込むことにより荷重を発生させる。そして、本実施の形態では、ガススプリング203として、プッシュロックタイプのものが用いられている。プッシュロックタイプのガススプリング203は、シリンダチューブ205の内部に設けられた図示しないピストンボディに前述したオリフィスの開閉を制御するバルブを有し、このバルブを開閉することによってピストンロッド206を任意の位置で停止させることができる。このようなバルブの開閉は、ハウジング204に設けられている操作レバー207(図1参照)を上下方向に回動させることによってなされる。一例として、操作レバー207の上方への回動に応じてバルブがオリフィスを開放させ、操作レバー207の下方への回動に応じてバルブがオリフィスを閉鎖するように構成されている。
【0032】
このような昇降機構202を備えることにより、作業者301は、支え具201を昇降させて、支え具201の位置を自分の身体302に最適な位置に合わせることができる。その際、操作レバー207を上方に回動させるとオリフィスが開かれ、ピストンロッド206を昇降させることができる状態となる。そこで、作業者301は、支え具201を最適な位置に合わせ、その後、操作レバー207を下方に回動させる。これにより、オリフィスが閉じられ、ピストンロッド206がその位置に位置保持され、支え具201の上下方向位置が設定される。
【0033】
支え具201は、昇降機構202の基部208が連結固定部212を介してチェックアウトカウンタ101のフロントパネル105(図1参照)に取り付けられる。もっとも、チェックアウトカウンタ101は、フロントパネル105の奥側に強固な図示しないフレーム構造体を備え、このフレーム構造体に連結固定部212が固定されることで、支え具201がチェックアウトカウンタ101に取り付けられる。
【0034】
次に、支え具201について説明する。
【0035】
図3(a)及び図4(a)に示すように、支え具201は、硬質部材から形成された基部208を有し、この基部208に柔軟性を有するクッション209が固着されて形成されている。基部208の材料としては、例えば金属や樹脂、木等を用いることができる。クッション209は、樹脂発泡技術を用いて形成された柔軟性を有する部材であり、一例として、基部208と共にモールド成形されることで、基部208に固着される。このような構造の支え具201には、必要に応じてカバー(図示せず)を被せても良い。
【0036】
支え具201は、チェックアウトカウンタ101に対して寄りかかる姿勢の作業者301の身体302の腿の部位303を支持面201aで支えるように構成されている。この場合の当該部位303を支える支持面201aは、ある程度広く形成されており、上下方向に120mm以上確保されていることが望ましい。
【0037】
また、支え具201は、身体302に対面する上端部分がチェックアウトカウンタ101の方向に向けて湾曲した曲面形状を有している。これにより、支え具201は、当該湾曲した部分に湾曲部201bを形成しており、支え具201に寄りかかる作業者301の特に腹部に対する圧迫を弱めている。
【0038】
そして、基部208は、その中央下部に裏面と連通する抉り部210を有し、この抉り部210には取付孔211が直線的に形成されている。ピストンロッド206を取付孔211に圧入嵌合させることで、昇降機構202に支え具201が固定されている。なお、抉り部210は、支え具201の昇降動作に際して基部208が昇降機構202の構成部材に干渉しない形状及び大きさに形成されている。
【0039】
次に、保持機構401について説明する。ここで、本実施の形態では、支え具201は、近接位置では支持面201aがほぼ垂直であり(図3参照)、また、離反位置では、支持面201aがチェックアウトカウンタ101から離反する方向に傾斜している(図4参照)。
【0040】
本実施の形態の保持機構401は、回動機構411を備えている。つまり、図3及び図4に示すように、ピストンロッド206は、ガススプリング203から突出した下部ピストンロッド421と、取付孔211に圧入嵌合した上部ピストンロッド422とから構成されている。そして、上部ピストンロッド422は、支え具201の下方部の回動中心としての回動軸412によって回動自在に下部ピストンロッド421に取り付けられている。下部ピストンロッド421、上部ピストンロッド422、及び回動軸412は、回動機構411を構成する。支え具201は、回動機構411によって回動軸412を中心に回動自在となっている。
【0041】
また、上部ピストンロッド422の回動軸412側の端部には、クッション209と反対側(チェックアウトカウンタ101側)の位置に、軸方向に突出した突出片413が設けられている。突出片413は、下部ピストンロッド421のクッション209と反対側の部分である第1の接触部414と接触する。そして、この第1の接触部414には、回動軸412を中心に上昇するように回動する突出片413の先端の軌跡に沿った円弧部416が下部ピストンロッド421と一体に設けられ、円弧部416の端部には、クッション209側に向けて屈曲して突出片413と接触する第2の接触部415が円弧部416と一体に設けられている。突出片413、第1の接触部414、及び第2の接触部415も、保持機構401を構成する。
【0042】
突出片413は、第1の接触部414又は第2の接触部415と接触するため、回動が規制され、上部ピストンロッド422は、所定の角度内の回動のみが許容される。つまり、支え具201は、突出片413が第1の接触部414と接触した場合に、近接位置(図3参照)に位置した状態となり、また、突出片413が第2の接触部415と接触した場合に、離反位置(図4参照)に位置した状態となる。このように、回動機構411によって支え具201は回動軸412を中心にして、近接位置では支持面201aがほぼ垂直となり、離反位置では支持面201aがチェックアウトカウンタ101から離反する方向に傾斜するように、移動可能となっている。
【0043】
そして、このような保持機構401により、支え具201は、身体302が支持面201aを押圧する力を受けることで、離反位置(図4参照)から近接位置(図3参照)へと位置移動可能となっている。支え具201は、身体302が押圧する力を受けている限り近接位置に位置付けられ、また、支え具201は、近接位置に位置付けられて身体302を支える。
【0044】
次に、力付与機構451について説明する。力付与機構451は、支え具201に近接位置から離反位置に向かう力を付与するものである。
【0045】
図3(b)及び図4(b)に示すように、下部ピストンロッド421の第1の接触部414には、突出片413が接触して覆う位置に凹部452が形成されている。さらに、凹部452には力付与機構451を構成する第1の押圧部材として圧縮バネ453がその弾性力で突出片413を第2の接触部415の方向に押圧するように設けられている。
【0046】
圧縮バネ453の力は、チェックアウトカウンタ101に対して寄りかかる姿勢の身体302の腿の部位303が支持面201aを押圧する力よりも弱いものである。そのため、身体302が支持面201aを押圧する力を受けて、圧縮バネ453は圧縮し、離反位置に位置付けられていた支え具201は近接位置に向けて位置移動する。そして、寄りかかる姿勢の身体302が支持面201aから離れて、支持面201aへ押圧する力がなくなった場合、圧縮状態の圧縮バネ453は復元して伸長し、身体302による押圧を受けて近接位置に位置付けられていた支え具201は、支持面201aがチェックアウトカウンタ101から離反する方向に傾斜するように離反位置へ向かって位置移動する。
【0047】
図5は、チェックアウトカウンタ101を示す平面図である。図1に基づき説明したように、チェックアウトの後、作業者301(図2参照)は、次のチェックアウトに備えて、商品導入部103aに載せられたカゴ104を商品提供部103bへと図5に矢視するように移動させる必要がある。この際、作業者301は、商品導入部103aのカゴ104を90度回転してバーコードスキャナ102の前を滑らせて商品提供部103bへと移動させたい。
【0048】
そこで、作業者301は、チェックアウトカウンタ101に対して寄りかかる姿勢の身体302(図2参照)を支え具201の支持面201aから離す。すると、身体302が支持面201aを押圧する力が無くなり、支え具201は、図5中点線で示す近接位置から図5中実線で示す離反位置へと位置移動する。
【0049】
支え具201が図5中実線で示す離反位置に位置付けられている場合には、図5中点線で示す近接位置よりも上端部分201dと前縁部103dとの間の距離が遠くなるため、90度回転させたカゴ104については、支え具201と接触することもなく、バーコードスキャナ102の前を滑らせて容易に商品導入部103aから商品提供部103bへと移動させることができる。
【0050】
なお、作業者301は、支え具201の支持面201aから身体302を離す際、踏み台251(図2参照)から降りる必要は無く、前スロープ252の上で身体302を起こすか、または、踏み台251の中央部の方向に後退すればよい。
【0051】
次に、本発明の第2の実施の形態について、以下に示す図6及び図7に基づいて説明する。
【0052】
図6(a)は、第2の実施の形態に係る支え具201が近接位置にある状態を示す側面図、図6(b)は、その状態の保持機構501を拡大して示す側面図である。
【0053】
図7(a)は、第2の実施の形態に係る支え具201が離反位置にある状態を示す側面図、図7(b)は、その状態の保持機構501を拡大して示す側面図である。
【0054】
なお、図1ないし図5において示した部分と同じ機能を奏する部分は同一符号で示し、説明も省略する(以下、同じ)。
【0055】
本発明の第2の実施の形態は、本発明の第1の実施の形態と異なり、力付与機構451(圧縮バネ453)を備えず、支え具201は、その自重によって傾斜して離反位置に向けて移動する。したがって、本実施の形態の保持機構501は、支え具201を、その重心を回動軸412に対してチェックアウトカウンタ101とは反対側(作業者301側)に寄せた位置で保持し、支え具201を自重によって近接位置から離反位置に移動するようにしている。
【0056】
第2の実施の形態の保持機構501は回動機構511を備え、この回動機構511は、第1の実施の形態の回動機構411と同様に、下部ピストンロッド521、上部ピストンロッド522、回動軸512、突出片513、第1の接触部514、第2の接触部515、円弧部516等から構成されている。このとき、本実施の形態の上部ピストンロッド522は、第1の実施の形態の上部ピストンロッド422よりも長く、また、基部208の取付孔211に圧入嵌合される側の長尺部分が、下部ピストンロッド521に回動自在に取り付けられる側の長尺部分に対して、互いに平行な状態で、より前側(作業者301側)の位置となるように、直角に2回屈曲している。
【0057】
支え具201は、このような形状とした上部ピストンロッド522によって、その重心を回動軸412に対してチェックアウトカウンタ101とは反対側(作業者301側)に寄せた位置で保持されている。そのため、支え具201は、その自重(基部208やクッション209の重量等を含む)によって、近接位置(図6参照)から離反位置(図7参照)に向けて位置移動しようとする。
【0058】
つまり、本実施の形態の支え具201は、寄りかかる姿勢の身体302の腿の部位303が支持面201aを押圧していない場合には、その自重によって回動軸412を中心に離反位置方向に傾斜して、離反位置(図7参照)に位置付けられる。そして、寄りかかる姿勢の身体302が支持面201aを押圧する力を受けることによって、離反位置から近接位置(図6参照)へと位置移動する。
【0059】
本実施の形態でも、支え具201が離反位置に位置付けられている場合、近接位置よりも上端部分201dと前縁部103dとの距離が遠くなるため、カゴ104と支え具201とを接触させずに、バーコードスキャナ102の前を滑らせてカゴ104を商品導入部103aから商品提供部103bへと容易に移動させることができる。
【0060】
次に、本発明の第3の実施の形態について、以下に示す図8ないし図10に基づいて説明する。
【0061】
図8は、第3の実施の形態に係る支え具201が近接位置にある状態を示す側面図である。
【0062】
図9は、第3の実施の形態に係る支え具201が離反位置にある状態を示す側面図である。
【0063】
図10は、第3の実施の形態に係る支え具201を示す斜視図である。
【0064】
本発明の第3の実施の形態の保持機構601は、前述した実施の形態と大きく異なる。また、第3の実施の形態の離反位置(図9参照)では、支え具201は、近接位置よりもチェックアウトカウンタ101から水平方向に離反している。
【0065】
つまり、本実施の形態では、連結固定部212を介してハウジング204が固定されるフロントパネル105が、フロントパネル105の他の部分から独立した独立フロントパネル105aとなっており、この独立フロントパネル105aが引出し部611に固定されている。引出し部611は、チェックアウトカウンタ101(図1及び図2参照)の内部で、その両側に設けられた本実施の形態の保持機構601が備えるスライド機構としての一対のスライドレール612に保持されて、図10で矢視するように、引出し/収納方向に滑らかにスライド移動可能となっている。
【0066】
このとき、引出し部611の奥側(収納方向側)には、後述する固定板613が設けられており、引出し部611は、固定板613よりも奥側に移動できないようになっている。また、スライドレール612には、図示しないストッパが設けられており、引出し部611の引出方向の移動が規制されている。つまり、引出し部611は、所定の範囲内のスライド移動のみが許容される。つまり、支え具201は、引出し部611が固定板613に接近して移動が規制された場合に、近接位置(図8参照)に位置した状態となり、また、引出し部611がストッパによって移動が規制された場合に、離反位置(図9参照)に位置した状態となる。つまり、本実施の形態の保持機構601は、引出し部611、スライドレール612、固定板613等から構成されている。保持機構601がスライドレール612を備えることにより、支え具201は、離反位置では近接位置よりもチェックアウトカウンタ101から水平方向に離反するように、近接位置と離反位置との間で位置移動可能となっている。
【0067】
そして、支え具201は、寄りかかる姿勢の身体302が支持面201aを押圧する力を受けることで、離反位置(図9参照)から近接位置(図8参照)へと位置移動できるようになっている。
【0068】
また、第2の押圧部材としての圧縮バネ652が、チェックアウトカウンタ101内部の固定板613にその一端側が固定されて設けられている。圧縮バネ652は、引出し部611を引出し方向に弾性的に押圧するものであり、その押圧力は、寄りかかる姿勢の身体302が支持面201aを押圧する力よりも弱いものである。
【0069】
したがって、作業者301が寄りかかることによって支持面201aが押圧されている状態では、圧縮バネ652は圧縮して、引出し部611が収納されて、支え具201は近接位置(図8参照)に位置付けられる。一方で、作業者301の寄りかかりがなく支持面201aが押圧されていない状態では、圧縮バネ652は引出し部611を引出し方向に押圧し、支え具201は離反位置(図9参照)に向けて移動する。つまり、本実施の形態の力付与機構651は、圧縮バネ652、固定板613、引出し部611等から構成されている。
【0070】
そして、本実施の形態でも、支え具201が離反位置(図9参照)に位置付けられている場合、近接位置(図8参照)よりもチェックアウトカウンタ101の前縁部103dから離反しており、上端部分201dと前縁部103dとの距離がより遠い。したがって、カゴ104と支え具201とを接触させずに、バーコードスキャナ102の前を滑らせてカゴ104を商品導入部103aから商品提供部103bへと容易に移動させることができる。
【0071】
以上説明したように、いずれの実施の形態においても、支え具201の支持面201aでチェックアウトカウンタ101に寄りかかる姿勢の身体302の腿の部位303を圧迫することなく支え、作業者301に安楽な姿勢を提供することができる。また、寄りかかる姿勢の身体302を支え具201から離すだけで、支え具201はチェックアウトカウンタ101の前縁部103dから離反するため、例えばカゴ104の移動のような支え具201の存在が障害となる作業についても作業性を低下させずに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の作業支援装置の実施の一形態として、チェックアウトカウンタへの適用例を示す正面図である。
【図2】作業者が商品コードの読み取り操作をしている状態を示すチェックアウトカウンタの側面図である。
【図3】(a)は、第1の実施の形態に係る支え具が近接位置にある状態を示す側面図、(b)は、その状態の保持機構を拡大して示す側面図である。
【図4】(a)は、第1の実施の形態に係る支え具が離反位置にある状態を示す側面図、(b)は、その状態の保持機構を拡大して示す側面図である。
【図5】チェックアウトカウンタを示す平面図である。
【図6】(a)は、第2の実施の形態に係る支え具が近接位置にある状態を示す側面図、(b)は、その状態の保持機構を拡大して示す側面図である。
【図7】(a)は、第2の実施の形態に係る支え具が離反位置にある状態を示す側面図、(b)は、その状態の保持機構を拡大して示す側面図である。
【図8】第3の実施の形態に係る支え具が近接位置にある状態を示す側面図である。
【図9】第3の実施の形態に係る支え具が離反位置にある状態を示す側面図である。
【図10】第3の実施の形態に係る支え具を示す斜視図である。
【図11】チェックアウトカウンタを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
101…チェックアウトカウンタ(作業台)、102…バーコードスキャナ、103…載置台、103d…前縁部、104…カゴ、201…支え具、201a…支持面、201d…上端部分、302…身体、401…保持機構、411…回動機構、412…回動軸(回動中心)、451…力付与機構、453…圧縮バネ(第1の押圧部材)、501…保持機構、601…保持機構、612…スライドレール(スライド機構)、651…力付与機構、652…圧縮バネ(第2の押圧部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業台と、
上端部分が前記作業台の上面部の前縁部よりも高く突出した近接位置で、当該作業台に対して寄りかかる姿勢の身体を支持面で支える支え具と、
前記支え具を前記近接位置と当該近接位置よりも前記作業台の前縁部から離反する離反位置とに位置させ、前記寄りかかる姿勢の身体が前記支持面を押圧する力を受けることで当該支え具を前記離反位置から当該近接位置へと移動可能にする保持機構と、
前記支え具に前記近接位置から前記離反位置に向かう力を付与する力付与機構と、
を備える作業支援装置。
【請求項2】
前記保持機構は、
前記支え具を当該支え具の下方部の回動中心を中心にして前記近接位置では前記支持面がほぼ垂直となり前記離反位置では当該支持面が前記作業台から離反する方向に傾斜するように位置移動可能にする回動機構を備える、
請求項1記載の作業支援装置。
【請求項3】
前記力付与機構は、
前記支え具を前記近接位置から前記離反位置に向けて押圧するための第1の押圧部材を備える、
請求項2記載の作業支援装置。
【請求項4】
前記保持機構は、
前記支え具を前記離反位置では前記近接位置よりも前記作業台から水平方向に離反するように当該近接位置と当該離反位置との間で位置移動可能にするスライド機構を備え、
前記力付与機構は、
前記支え具を前記近接位置から前記離反位置に向けて押圧するための第2の押圧部材を備える、
請求項1記載の作業支援装置。
【請求項5】
作業台と、
上端部分が前記作業台の上面部の前縁部よりも高く突出した近接位置で、当該作業台に対して寄りかかる姿勢の身体を支持面で支える支え具と、
前記支え具を前記近接位置と当該近接位置よりも前記作業台の前縁部から離反する離反位置とに位置させ、前記寄りかかる姿勢の身体が前記支持面を押圧する力を受けることで当該支え具を前記離反位置から当該近接位置へと移動可能にし、自重によって当該支え具を当該近接位置から当該離反位置へと移動可能にする保持機構と、
を備える作業支援装置。
【請求項6】
前記作業台は、その上面部を商品を収納するカゴを載置する載置台とし、前記支え具とは反対側にバーコードスキャナを有するチェックアウトカウンタである、請求項1ないし5のいずれか一記載の作業支援装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−23221(P2008−23221A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201629(P2006−201629)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】