説明

作業時間計測システム

【課題】 作業開始時刻を実作業開始時刻に近似させ、また作業終了時刻を実作業終了時刻に近似させることができる作業時間計測システムを提供すること。
【解決手段】 情報端末が、OSの起動・終了に連動して起動・終了し、起動時及び終了時に時間管理サーバから現在時刻を取得し、起動時に取得した現在時刻を作業開始時刻、終了時に取得した現在時刻を作業終了時刻として作業時間管理サーバに送信し、時間管理サーバとの通信障害により現在時刻を取得できなかった場合は、自端末内の時計部から現在時刻を取得し、起動時に時計部から取得した現在時刻を作業開始時刻、終了時に取得した現在時刻を作業終了時刻として自端末内の記憶手段に格納した後、作業時間管理サーバに送信する手段とを備え、時間管理サーバが、情報端末から受信した作業開始時刻、作業終了時刻を当該利用者の作業時間として作業者情報と共に記憶手段に格納する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータに代表される情報端末の使用時間を利用者の作業時間あるいは勤務時間として管理する作業時間計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ等の情報端末の作業時間を計測する技術として、出退勤の時刻をカードに格納する方法、あるいは下記の特許文献1に記載されるネットワークを介して接続される複数の情報端末がログインしているか否かを問い合わせ、問い合わせを受け取った場合に、管理手段から利用者を検索し、当該利用者がサーバにログインしている場合に利用者が出勤していると見做し、通知する勤怠通知手段とを備えることを特徴としている。
【特許文献1】特開2003−308422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は勤怠サーバ側から利用者が出勤(ログイン)しているか否かを問い合わせる形態であり、実出勤時刻と出勤時刻と見做される勤怠サーバからの問い合わせ時刻とに差違が生じる。また、勤怠サーバとの通信に不都合が生じた場合は勤怠管理(作業時間管理)が不可能になるという問題がある。
【0004】
本発明の目的は、作業開始時刻を実作業開始時刻に近似させ、また作業終了時刻を実作業終了時刻に近似させることができ、またネットワーク通信が不能となった場合に耐えうる作業時間計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、利用者が使用するパーソナルコンピュータ等の情報端末と、ネットワークで接続された作業時間管理サーバおよび時間管理サーバから成り、前記情報端末の使用時間を利用者の作業時間として計測する作業時間計測システムであって、
前記情報端末が、
オペレーティングシステムの起動及び終了に連動して起動および終了し、起動時及び終了時に前記時間管理サーバから現在時刻を取得し、起動時に取得した現在時刻を作業開始時刻、終了時に取得した現在時刻を作業終了時刻として利用者情報と共に前記作業時間管理サーバに送信し、前記時間管理サーバとの通信障害により現在時刻を取得できなかった場合は、自端末内の時計部から現在時刻を取得し、起動時に前記時計部から取得した現在時刻を作業開始時刻、終了時に取得した現在時刻を作業終了時刻として利用者情報と共に自端末内の記憶手段に格納した後、前記作業時間管理サーバに送信する手段とを備え、
前記時間管理サーバが、
前記情報端末から受信した作業開始時刻、作業終了時刻を当該利用者の作業時間として作業者情報と共に記憶手段に格納する手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、端末操作を主とする作業の作業時間をオペレーティングシステムが稼働している間の時間帯を作業時間として見做すことが可能である。すなわち、端末の利用に当たってはオペレーティングシステムの稼働が前提であり、より実作業時間に近似させることができる。また、ネットワークが通信不能となった場合でも一時的に情報端末側の時刻を作業開始あるいは作業終了とし格納、これを時間管理サーバが管理している時刻との差で補正して格納することにより、ネットワークが通信不通となった場合でもより正確な作業開始時刻、あるいは作業終了時刻の管理が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施する場合の一形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の一形態の作業時間管理システムの構成図である。
この実施形態の作業時間管理システムは、情報端末1、作業時間管理サーバ2、時間管理サーバ3が相互に通信可能なネットワークで接続された構成になっている。
情報端末1には、端末側作業時間管理機能10が搭載されている。なお、作業時間管理サーバ2と時間管理サーバ3は一体の装置として構成されていてもよい。
【0008】
図2は、端末側作業時間管理機能10の詳細構成を示す機能ブロック図であり、情報端末1のオペレーティングシステムの起動により自ら起動していることを検知する起動検知部101、オペレーティングシステムの終了により自ら終了していることを検知する終了検知部102、時間管理サーバ3から作業開始時刻あるいは作業終了時刻を取得する時間管理サーバ通信部103、時間管理サーバ3から取得した時刻および利用者情報格納部107に格納されている利用者情報を作業時間管理サーバ2へ送信するための書式生成、送信、通信エラーを検知する作業時間管理サーバ通信部104、時間管理サーバ3との通信が不能となった場合に端末内時計部106より取得した一時的な作業開始時刻あるいは作業終了時刻を生成あるいは作業時間管理サーバ3との通信が不能となった場合に端末内のハードディスク装置に代表される格納媒体部109へ格納するエラーファイル生成部105、エラーファイル生成部105で生成されたファイルの有無を定期的に監視し、ファイルの存在を確認したなら作業時間管理サーバ通信部104より送信を行うエラーファイル送信部108から構成される。
【0009】
図3は、作業時間管理サーバ2に搭載される作業時間管理機能20の詳細構成を示す機能ブロック図であり、情報端末1から送信される作業時間情報を受信部201で受信し、作業時間管理サーバ内2のハードディスク装置に代表される格納媒体部204に格納する作業時間格納部202と、時間管理サーバ3との通信部203及び端末内時計部106の時刻と時間管理サーバ3の時刻との差異を計算する差異計算部205で構成されている。
【0010】
図4は、通信が平常に可能な場合の情報端末1、作業時間管理サーバ2および時間管理サーバ3相互の通信シーケンスを示したものである。
利用者が情報端末1のOSを起動させる指示を行うと(ステップ501)、情報端末1のOSが起動される。
起動された情報端末1のOSは端末側作業時間管理機能10に対して起動指示を送り(ステップ502)、端末側作業時間管理機能10を起動させる。
起動された端末側作業時間管理機能10は、時間管理サーバ2へ現在時刻(作業開始時刻)を問い合わせ(ステップ503)、結果を得る(ステップ504)。
情報端末1の作業時間管理機能10は、得られた結果(作業開始時刻)と情報端末1の格納媒体部109に格納されている利用者情報を作業時間管理サーバ2へ送信する(ステップ505)。
その後、作業終了時に、利用者がOS終了指示を行うと(ステップ506)、OSが現在稼働中の作業時間管理機能10を含むプログラムに対して終了指示を送り、処理を終了させる(ステップ507)。
終了指示を受けた作業時間管理機能10は、時間管理サーバ3へ現在時間(作業終了時間)を問い合わせ(ステップ508)、結果を得る(ステップ509)。
情報端末1の作業時間管理機能10は、得られた結果と情報端末1内に格納されている利用者情報を作業時間管理サーバ2へ送信する(ステップ510)。
作業時間管理サーバ2は、ステップ505で受信した作業開始時刻とステップ510で受信した作業終了時刻を情報端末1の利用者の作業時間として当該利用者情報と共に格納媒体部204に格納する。
【0011】
図5は、情報端末1と作業時間管理サーバ2および時間管理サーバ3との通信が不能になった場合の時間管理サーバ通信部103の処理を示すフローチャートである。
時間管理サーバ通信部103は、前述のように、OSの起動時および終了時に時間管理サーバ3へ現在時刻を問い合わせる処理を行うが(ステップ601)、この際に、通信不能を検知した場合(ステップ602)、時間管理サーバ通信部103は自端末の時計部106の現在時刻を作業開始(または終了)時刻として取得する(ステップ603)。
そして取得した作業開始(または終了)時刻と利用者情報621を図6(B)に示す書式に編集し(ステップ604)、作業時間管理サーバ2へ送信する(ステップ605)。また、未送信のエラーデータがエラーファイル622に残っている場合には(ステップ606)、同時に作業時間管理サーバ2へ送信する(ステップ607)。
このとき、作業時間管理サーバ2との通信不能を検知した場合(ステップ608)、エラーファイル生成部105にてステップ604で作成した図6(B)の書式データを図6(D)に示す書式(エラーデータ)に編集し、格納媒体部109にあるエラーファイル622に出力する。エラーファイル622に出力されたエラーデータは、ステップ607、608に示すように、情報端末1が作業時間管理サーバ2との通信に次に成功したタイミングで作業時間管理サーバ2に送信される。
【0012】
図6は、本発明で用いられる利用者情報(図6(A))、送信ファイル書式(図6(B))、情報端末1内に格納されるエラーファイル書式(図6(C))、エラーファイルの送信用ファイル書式(図6(D))および作業時間管理サーバ2に格納される作業時間管理データベースの書式(図6(E))のそれぞれ例を示したものである。
エラーファイル608の送信用ファイル書式(図6(D))の送信時刻714は、送信時の情報端末1内の時計に基づく時刻である。
情報端末1において、作業開始(終了)時刻を時間管理サーバ3より時刻を取得できなかった場合、図6(D)の書式で作業時間管理サーバ2へ送信される。このファイルを受信した作業時間管理サーバ2は、時間管理サーバ通信ERRの場合のみ、即座に現在時刻を時間管理サーバ3に問い合わせる。
そして、受信した送信時刻(Ts)と時間管理サーバ3に問い合わせた結果の時刻(Tp)の差違ΔT(=Ts−Tp)を受信した作業開始(終了)時刻(T)から減じる差異計算(T−ΔT)を差異計算部205で行い、情報端末1と時間管理サーバ3との差違を補正し、格納媒体部204に格納する。
作業時間格納部202においては、複数の翌日始業時までの作業終了情報が受信された場合、すなわち情報端末1においてOSが何らかの理由により終了し、端末側作業時間管理機能10が作業終了と誤認識した場合、同一日(翌日0:00から始業開始時刻)の作業終了時刻は図6(E)に示す作業時間管理データベースの作業終了時刻を上書き、すなわち同一日における最大の作業終了時刻を作業終了日とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態の作業時間管理システムの構成図である。
【図2】情報端末の詳細構成を示す機能ブロック図である。
【図3】作業時間管理サーバの詳細構成を示す機能ブロック図である。
【図4】情報端末、作業時間管理サーバおよび時間管理サーバ相互の通信手順を示すシーケンス図である。
【図5】情報端末側の処理手順を示すフロ−チャ−トである。
【図6】本発明で用いられるファイル書式例を示す図である。
【符号の説明】
【0014】
1 情報端末
2 作業時間管理サーバ
3 時間管理サーバ
10 端末側作業時間管理機能
20 サーバ側の作業時間管理機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が使用するパーソナルコンピュータ等の情報端末と、ネットワークで接続された作業時間管理サーバおよび時間管理サーバから成り、前記情報端末の使用時間を利用者の作業時間として計測する作業時間計測システムであって、
前記情報端末が、
オペレーティングシステムの起動及び終了に連動して起動および終了し、起動時及び終了時に前記時間管理サーバから現在時刻を取得し、起動時に取得した現在時刻を作業開始時刻、終了時に取得した現在時刻を作業終了時刻として利用者情報と共に前記作業時間管理サーバに送信し、前記時間管理サーバとの通信障害により現在時刻を取得できなかった場合は、自端末内の時計部から現在時刻を取得し、起動時に前記時計部から取得した現在時刻を作業開始時刻、終了時に取得した現在時刻を作業終了時刻として利用者情報と共に自端末内の記憶手段に格納した後、前記作業時間管理サーバに送信する手段とを備え、
前記時間管理サーバが、
前記情報端末から受信した作業開始時刻、作業終了時刻を当該利用者の作業時間として作業者情報と共に記憶手段に格納する手段を備えることを特徴とする作業時間計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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