説明

作業機

【課題】表示装置の制御部の構成を簡素化できて、表示装置の機種や仕様が変化した場合であっても容易に検出情報の表示を行うことができるようにする。
【解決手段】作業機は、検出器40で検出した状態を表示可能な表示部41と、表示部41に接続された従制御部31と従制御部31とは別に配置されて従制御部31及び検出器40が接続された主制御部30とを備えている。主制御部30は、検出器40で検出した状態を示す検出情報を従制御部31に出力する検出情報出力手段50と、検出情報出力手段50で出力する検出情報の表示部41に対する表示形態を指定する制御情報を従制御部31に出力する制御情報出力手段51とを備え、従制御部31は、検出情報出力手段50によって出力された検出情報が制御情報によって指定された表示形態となるように表示部41を制御する表示制御手段55を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー、トラクタ、コンバイン等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、作業機の表示装置としては様々なものが開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の表示装置では、エンジン回転数、アワーメータ、燃料計、水温計等の各種情報を制御装置に具備された表示制御手段によって表示部に表示させている。
さて、作業機には表示装置はもちろんのこと、表示装置とは別に作業機を制御する制御装置が設けられているのが一般的である(特許文献2)。
【0003】
特許文献2に示すように、表示装置と制御装置とは、CANなどの車両用通信ネットワークでデータの送受信が可能となっており、表示装置は、制御装置からの情報を受信して制御装置における情報も表示するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−220433号公報
【特許文献2】特開2010−174507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2に示すように、表示装置の制御部にはセンサなどの検出器が接続されていて検出器で検出した情報が入力されるようになっている。表示装置の制御部は、検出器から入力された情報を制御プログラム等で処理して、表示部に様々な表示形態で表示している。
さて、表示装置の表示部には様々な種類のものがあり、情報の表示部への表示形態や表示部の仕様などを変更しようとすると、表示装置の制御部内にある制御プログラムを書き換えたり、これに対応して制御装置のプログラムも一部変更しなければならないことがある。即ち、表示装置の仕様などが少しでも変わる度に、表示装置の制御部の様々な変更を強いられ、変更作業が非常に大変であるのが実態である。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、表示装置の種類(機種)や仕様が変化した場合であっても容易に検出情報の表示を行うことができる作業機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
請求項1に係る発明では、検出器で検出した状態を表示可能な表示部と前記表示部に接続された従制御部とを有する表示装置と、前記表示装置とは別に配置されて前記従制御部及び検出器が接続された主制御部とを備え、前記主制御部と前記従制御部とは車両用通信ネットワークを介して接続されており、前記主制御部は、前記検出器で検出した状態を示す検出情報を前記車両用通信ネットワークを介して従制御部に出力する検出情報出力手段と、前記検出情報出力手段で出力する検出情報の表示部に対する表示形態を指定する制御情報を車両用通信ネットワークを介して従制御部に出力する制御情報出力手段とを備え、前記従制御部は、前記検出情報出力手段によって出力された検出情報が制御情報によって指定された表示形態となるように表示部を制御する表示制御手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記表示部は、複数のセグメントからなるセグメント式表示部と、少なくとも1つの単一式LED表示部とを備え、前記制御情報出力手段は、前記制御情報として、前記検出情報を表示させるセグメントを指定するための第1制御情報と、前記検出情報を表示させる単一式LED表示部を指定するための第2制御情報とを従制御部に出力するように構成され、前記表示制御手段は、第1制御情報に基づいて指定されたセグメントが検出情報を表示できるようにセグメント式表示部を制御し、第2制御情報に基づいて指定された単一式LED表示部が検出情報を表示できるよう指定された単一式LED表示部を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記表示部は、複数のセグメントからなる少なくとも1つのセグメント式表示部と、少なくとも1つの単一式LED表示部と、少なくとも1つの指針式表示部とを備え、前記制御情報出力手段は、前記制御情報として、前記検出情報を表示させるセグメントを指定するための第1制御情報と、前記検出情報を表示させる単一式LED表示部を指定するための第2制御情報と、前記検出情報を表示させる指針式表示部を指定するための第3制御情報とを従制御部に出力するように構成され、前記表示制御手段は、第1制御情報に基づいて指定されたセグメントが検出情報を表示できるようにセグメント式表示部を制御し、第2制御情報に基づいて指定された単一式LED表示部が検出情報を表示できるように指定された単一式LED表示部を制御し、第3制御情報に基づいて指定された指針式表示部が検出情報を表示できるよう指定された指針式表示部を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、表示装置とは別に配置された主制御部によって表示部に対する検出情報の表示形態を制御することができるため、表示装置の種類や仕様が変化した場合であっても容易に検出情報の表示を行うことができる。
請求項2に係る発明によれば、セグメント式表示部と単一式LED表示部とを簡単に制御することができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、セグメント式表示部と単一式LED表示部と指針式表示部とを簡単に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】作業機における制御システムのブロック図である。
【図2】表示装置の正面全体図を示したものである。
【図3】主制御部から従制御部へエンジン回転数を出力する流れを示したものである。
【図4】エンジン回転数を表示する一例を示した図である。
【図5】主制御部から従制御部へ燃料の警告や水温の警告を出力する流れを示したものである。
【図6】主制御部から従制御部へ燃料や水温を出力する流れを示したものである。
【図7】表示部の表示形態をまとめたものである。
【図8】作業機の全体側面図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図8は本発明の作業機の全体図を示している。図8に示すように、本発明において作業機はバックホーとしているが、トラクタであってもコンバインであっても、その他の作業
を行うものであってもよい。
まず、作業機の全体構成から説明する。
【0014】
図8に示すように、作業機1は、下部の走行装置2と、上部の旋回体3とを備えている。
走行装置2は、ゴム製覆帯を有する左右一対の走行体4を備え、両走行体4を走行モータMで動作するようにしたクローラ式走行装置が採用されている。また、該走行装置2の前部にはドーザ5が設けられている。
【0015】
旋回体3は、走行装置2上に旋回ベアリング11を介して上下方向の旋回軸回りに左右旋回自在に支持された旋回台12と、該旋回台12の前部に備えられた作業装置13(掘削装置)とを有している。旋回台12上には、エンジン,ラジエータ,運転席9,燃料タンク,作動油タンク,作動油タンクからの作動油を制御する制御弁等が設けられている。運転席9の周囲には、作業機1に関する様々な情報を表示する表示装置15が設けられている。運転席9は、旋回台12上に設けられたキャビン14により囲まれている。
【0016】
作業装置13は、旋回台12の前部に左右方向の中央部よりやや右寄りにオフセットして設けられた支持ブラケット16に上下方向の軸心回りに左右揺動自在に支持されたスイングブラケット17と、該スイングブラケット17に基部側を左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて上下揺動自在に支持されたブーム18と、該ブーム18の先端側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて前後揺動自在に支持されたアーム19と、該アーム19の先端側にスクイ・ダンプ動作可能に設けられたバケット20とを備えている。
【0017】
スイングブラケット17は、旋回台12内に備えられたスイングシリンダの伸縮によって揺動され、ブーム18は、該ブーム18とスイングブラケット17との間に介装されたブームシリンダ22の伸縮によって揺動され、アーム19は、該アーム19とブーム18との間に介装されたアームシリンダ23の伸縮によって揺動され、バケット20は、該バケット20とアーム19との間に介装されたバケットシリンダ21の伸縮によってスクイ・ダンプ動作される。
【0018】
各シリンダ(スイングシリンダ、ブームシリンダ22、アームシリンダ23バケットシリンダ21)は、制御弁によって流量が制御された作動油によって動作するようになっている。
図1は、作業機における制御システムのブロック図を示したものである。
図1に示すように、作業機における制御システムは、複数の制御部を備えていて、例えば、第1制御部(主制御部という)30と、この主制御部30とは別に配置された第2制御部(従制御部という)31とが備えられている。
【0019】
主制御部30と従制御部31とは、Controller Area Network(CAN通信)などの車両用通信ネットワークNを介してデータの送受信が行えるようになっている。なお、車両用通信ネットワークは、主制御部30と従制御部31とがデータの送受信が行えるものであれば何でもよく、FlexRay(フレックスレイ)であっても、その他のネットワークであってもよい。
【0020】
主制御部30は、CPU等から構成されていて、作業機1に備えられた各種装置(走行装置、作業装置、表示装置15など)を制御することが可能である。
例えば、主制御部30は、走行2速制御、アンロード切換制御、スタータ切換制御、盗難防止制御、表示制御などを行うものである。
走行2速制御は、走行装置2を高速と低速とに切り換える走行2速スイッチ32からのオン又はオフの入力信号に基づいて、走行装置2を高速と低速とに切り換える制御である
。アンロード切換制御は、運転席9の側方に設けられたレバーロックスイッチ33からのオン又はオフの入力信号に基づいて、ポンプから吐出された作動油を制御弁に供給可能と供給不能とに切り換える制御である。スタータ切換制御は、スタータスイッチ34からのオン又はオフの入力信号に基づいてスタータリレー35を切り換える制御である。盗難防止制御は、エンジンを始動するエンジンキーに内蔵されたIDコードと、当該主制御部30に内蔵されたIDコードとの照合が成立したときにスタータリレー35をオフからオンにすることを許可し、照合が不成立であるときにスタータリレー35をオフからオンにすることを許可しない制御である。盗難防止手段は、新しいエンジンキーのIDコードを当該主制御部30に登録する登録機能が設けられている。表示制御は、後述するように検出器40で検出された様々な検出情報が表示装置15にて表示できるように、表示装置15に対する検出情報の表示形態などを設定する制御である。なお、主制御部30は、少なくとも表示制御を行うものであればよく、その他の制御は、例示したものに限定されない。
【0021】
主制御部30には、作業機の様々な状態をセンサ等により検出する複数の検出器40が接続されている。
具体的には、この主制御部30には、エンジン回転数を検出するエンジン回転センサ(エンジン回転検出器)40aと、水温を検出する水温センサ(水温検出器)40bと、燃料(残量)を検出する燃料センサ(燃料検出器)40cとが接続されている。即ち、主制御部30には、エンジン回転センサ40a、水温センサ40b、燃料センサ40cなどの検出器40で検出した状態が入力されるようになっている。なお、主制御部30には、エンジンを始動するエンジンキーのIDコード、バッテリーの電圧なども入力されるようになっている。
【0022】
上述したように、検出器40が検出した状態が入力されると、主制御部30は、検出した状態を検出情報として車両用通信ネットワークNに出力するようになっている。
そして、主制御部30は、エンジン回転数、燃料、水温などの様々な検出情報を検出器40から取得して、検出情報を適正に表示装置15によって適正に表示することができるように、検出情報と共に制御情報も出力する。表示装置15は、主制御部30からの検出情報と制御情報に基づき、検出情報を表示するようになっている。
【0023】
図1に示すように、表示装置15は、表示部41と従制御部31とを備えている。表示部41は、検出器40で検出した状態、即ち、主制御部30から出力された検出情報を表示するものである。従制御部31は、主に、主制御部30から出力された検出情報を表示部41の仕様に対応させて表示するものである。
例えば、表示部41が後述する指針式表示部41Cである場合、燃料が20L残っているという検出情報(残量)が燃料センサ40cで検出され、この検出情報(残量)を主制御部30がCAN通信のデータフレームDFに乗せて従制御部31に送信したとする。従制御部31は、残量(燃料が20L残っている)を示す信号(データフレームDFの信号)を、指針式表示部41Cの仕様、即ち、指針式表示部41Cに対応する電圧に変換する。
【0024】
以下、表示装置15(表示部41、従制御部31)、主制御部30について詳しく説明する。まず、表示部41について説明する。
図2に示すように、表示部41は、複数の単一式LED表示部41Aと、セグメント式表示部41Bと、複数の指針式表示部41Cとを備えている。
具体的には、表示装置15を正面視すると、当該表示装置15の左側には12個の単一式LED表示部41Aが設けられ、下側にはセグメント式表示部41Bが設けられ、右側には上下に並ぶ2つの指針式表示部41Cが設けられている。
【0025】
各単一式LED表示部41A(LED表示部41Aということがある)は、LED素子
の点灯、消灯、点滅によって検出器40で検出された検出情報を表示するものである。
詳しくは、表示装置15には、走行用LED表示部41A1、登録用LED表示部41A2、抜き忘れLED表示部41A3、燃料用LED表示部41A4、水温用LED表示部41A5、警告用LED表示部41A6などが設けられている。
【0026】
走行用LED表示部41A1は、作業機1が高速の走行状態となると点灯する。登録用LED表示部41A2は、登録機能でIDコードを登録する際にエンジンキーのシリンダへの挿入時に点灯する(挿入のタイミングを知らせるために点灯する)。抜き忘れLED表示部41A3は、IDコードの登録時にシリンダーに挿入したエンジンキーが長時間にわたり挿入されている状況下においてエンジンキーの抜き忘れを知らせるときに点灯する。燃料用LED表示部41A4は、燃料不足の状態になったときに点滅する。水温用LED表示部41A5は、水温が所定以上に上昇したり、水温センサ40bが異常状態となったときに点滅する。警告用LED表示部41A6は、作業機に何らかの異常が発生したときに点滅する。その他に、表示装置15には、AUX用LED表示部41A7、時間合わせ用LED表示部41A8、ブロー用LED表示部41A9等が設けられているが説明を省略する。
【0027】
セグメント式表示部41Bは、複数のセグメント42を点灯又は消灯させることによって様々な情報を表示するものである。セグメント式表示部41Bは48個のセグメント42(セグメント素子)により構成されたものである。
詳しくは、このセグメント式表示部41Bは、7つのセグメント42により構成されたセグメント群43(7セグメントという)が左右方向に5個配置され、7セグメント43の周りに、文字(Y、M、D、AM、PM)や記号(△)で構成された9つのセグメントが配置され、7セグメント43の間にドット(:、.)から構成された4つのセグメントが配置されることにより構成されている。
【0028】
セグメント式表示部41Bでは、例えば、7セグメント43によって数字、文字、記号等を表示することができ、7セグメント43の周りに配置された文字や記号のセグメントによって画面操作を指示したり、どのような画面であるか分かるようになっている。
指針式表示部41Cは、回転中心部を中心として所定角度で回動する針部45と、針部45と重なるようにゲージ表示部46とを備えていて、針部45の回動し、ゲージ表示部46に対する針部45の先端部の位置によって様々な情報を表示するものである。
【0029】
例えば、表示装置15を正面視して上側には、燃料用指針式表示部41C1が設けられ、燃料用指針式表示部41C1の下側には、水温用指針式表示部41C2が設けられている。
燃料用指針式表示部41C1は、針部45の先端がゲージ表示部46の上端を指し示したときは燃料が満タンであることを示し、ゲージ表示部46の下端を示したときは燃料が不足(無くなっている)であることを示す。
【0030】
水温用指針式表示部41C2は、針部45の先端がゲージ表示部46の上端を指し示したときは水温が高いことを示し、ゲージ表示部46の下端を示したときは水温が低いことを示す。
主制御部30は、検出情報出力手段50と、制御情報出力手段51とを備えている。この検出情報出力手段50と制御情報出力手段51とは、主制御部30に格納されたプログラム等から構成されていて、検出情報出力手段50や制御情報出力手段51は、例えば、外部から接続したパーソナルコンピュータ等によって書き換えることが可能となっている。
【0031】
検出情報出力手段50は、検出器40で検出した状態を示す検出情報をCAN通信を介
して従制御部31に出力するものである。
具体的には、検出情報出力手段50は、上述したように、エンジン回転センサ40a、水温センサ40b、燃料センサ40cなどの検出器40によって様々な情報(検出情報)が検出されると、まず、これを取得し、取得した検出情報をCAN通信の規格に応じて電気信号に置き換えて、CAN通信を介して従制御部31に出力する。
【0032】
さらに詳しくは、検出情報出力手段50は、エンジン回転数、燃料、水温などの検出情報を、それぞれ8bitの信号に置き換えて、CAN通信のデータフレームDFに乗せてCAN通信に出力する。
また、検出情報出力手段50は、検出器40で検出した実測値だけでなく、検出器40によって検出した実測値が異常な状態であるという情報も検出情報として出力する。例えば、燃料の実測値が異常な値である場合は、検出情報出力手段50は、燃料不足であることを示す検出情報(警告)を信号に置き換えて、CAN通信のデータフレームDFに乗せてCAN通信に出力する。また、水温の実測値が異常な値である場合は、検出情報出力手段50は、水温が異常であることを示す検出情報(警告)を信号に置き換えて、CAN通信のデータフレームDFに乗せてCAN通信に出力する。当然の如く、このように検出情報には様々なものがあるため、それぞれの検出情報が区別できるように、主制御部30と従制御部31との間でデータの配列などの通信プロトコルを定めておく。
【0033】
さて、検出情報には、上述したようにエンジン回転数、燃料、水温など数多くあり、これらを表示部41で表示する方法(表示形態)は色々なパターンがある。
例えば、エンジン回転数をセグメント式表示部41Bで数値で表示することもできるし、指針式表示部41Cで表示することもできる。水温や燃料も、セグメント式表示部41Bや指針式表示部41Cで表示することも可能である。また、水温が異常であったり、燃料が不足であるという検出情報(警告)を、LED表示部41Aやセグメント式表示部41で表示することができる。
【0034】
本発明では、検出情報の表示形態をどのようにするかという制御(前記表示制御)を従制御部31(表示装置15)に行わせるのではなく、表示装置15とは別に設けた主制御部30に行わせることとしている。即ち、主制御部30は、検出情報出力手段50で出力する検出情報の表示部41に対する表示形態を指定する制御情報を、CAN通信を介して従制御部31に出力する制御情報出力手段51が具備されている。
【0035】
ここで、制御情報出力手段51によって出力される制御情報は、セグメント式表示部41Bに対するものと、LED表示部41Aに対するものと、指針式表示部41Cに対するものの3つに分けられる。制御情報について、セグメント式表示部41B、LED表示部41A、指針式表示部41Cに順番に説明する。
[セグメント式表示部41Bに対する制御情報について]
セグメント式表示部41Bによってエンジン回転数が表示できるように、制御情報出力手段51は、エンジン回転数を表示させるセグメント42を指定するための第1制御情報を、検出情報とは別にデータフレームDFに乗せて従制御部31に出力する。
【0036】
図3に示すように、主制御部30がエンジン回転数を取得すると、エンジン回転数が検出情報出力手段50によって8bitの信号に置き換えられデータフレームDF上に乗せられる。また、図3に示すように、制御情報出力手段51によってエンジン回転数を表示させるセグメント42を指定するための第1制御情報とエンジン回転数とを関連させて、第1制御情報をデータフレームDF上に乗せて、制御情報及び検出情報を従制御部31に出力する。
【0037】
例えば、図4(a)に示すように、右側から左側へ並ぶ4つの7セグメント43でエン
ジン回転数を表示させることを第1制御情報によって指定すると、右詰めでエンジン回転数を表示することができ、図4(b)に示すように、左側から右側へ並ぶ4つの7セグメント43でエンジン回転数を表示させることを第1制御情報によって指定すると、左詰めでエンジン回転数を表示させることができる。即ち、第1制御情報によって、エンジン回転数をどのセグメント43、即ち、どの7セグメント43で表示するか(セグメント式表示部41Bのどの位置に表示するか)を指定することができる。
【0038】
[LED表示部41Aに対する制御情報について]
複数のLED表示部41Aのうち燃料用LED表示部41A4によって、燃料が不足していることを示す検出情報(警告)を表示することができるように、制御情報出力手段51は、燃料用LED表示部41A4を指定するための第2制御情報を、検出情報とは別にデータフレームDFに乗せて従制御部31に出力する。
【0039】
また、複数のLED表示部41Aのうち水温用LED表示部41A5によって、水温が異常であることを示す検出情報(警告)を表示することができるように、制御情報出力手段51は、水温用LED表示部41A5を指定するための第2制御情報を、検出情報とは別にデータフレームDFに乗せて従制御部31に出力する。
図5に示すように、主制御部30が燃料や水温を取得すると、主制御部30内で燃料や水温が異常であるか否かが判断され、制御情報出力手段51は、異常であると燃料や水温の異常を知らせるために、データフレームDF上に燃料や水温の異常を知らせるための警告をデータフレームDF上に乗せる。また、図5に示すように、制御情報出力手段51によって燃料の警告は燃料用LED表示部41A4で表示できるようにデータフレームDFに燃料の警告と燃料用LED表示部41A4とを関連させて、LED表示部41Aを指定する第2制御情報をデータフレームDF上に乗せて、当該第2制御情報及び検出情報を従制御部31に出力する。
【0040】
さらに、図5に示すように、制御情報出力手段51によって水温の警告は水温用LED表示部41A5で表示できるようにデータフレームDFに水温の警告と水温用LED表示部41A5とを関連させて、LED表示部41Aを指定する第2制御情報をデータフレームDF上に乗せて、当該第2制御情報及び検出情報を従制御部31に出力する。
なお、データフレームDFに第2制御情報を乗せて送る場合、当該第2制御情報(データフレームDF)に、燃料が異常であることを点滅によって知らせるという点灯パターン制御情報を含ませたり、水温が異常であることを点滅によって知らせるという点灯パターン制御情報も含ませることが好ましい。即ち、第2制御情報によって、異常(警告)を複数のLED表示部41Aのうち、どのLED表示部41Aで表示するという制御やLED表示部41Aにおいてどのように警告を知らせるか(点滅なのか点灯なのか)ということを行うことができる。
[指針式表示部41Cに対する制御情報ついて]
複数の指針式表示部41Cのうち燃料用指針式表示部41C1によって、燃料を表示させることができるように、制御情報出力手段51は、燃料用指針式表示部41C1を指定するための第3制御情報を、検出情報とは別にデータフレームDFに乗せて従制御部31に出力する。
【0041】
複数の指針式表示部41Cのうち水温用指針式表示部41Cによって、水温を表示させることができるように、制御情報出力手段51は、水温用指針式表示部41Cを指定するための第3制御情報を、検出情報とは別にデータフレームDFに乗せて従制御部31に出力する。
図6に示すように、主制御部30が燃料や水温を取得すると、燃料や水温がそれぞれ検出情報出力手段50によって8bitの信号に置き換えられデータフレームDF上に乗せられる。また、図6に示すように、制御情報出力手段51によって燃料を表示させる指針
式表示部41Cを指定するための第3制御情報と燃料とを関連させて、第3制御情報をデータフレームDF上に乗せて、制御情報及び検出情報を従制御部31に出力する。
【0042】
さらに、図6に示すように、制御情報出力手段51によって水温を表示させる指針式表示部41Cを指定するための第3制御情報と水温とを関連させて、第3制御情報をデータフレームDF上に乗せて、制御情報及び検出情報を従制御部31に出力する。
なお、データフレームDFに第3制御情報を乗せて送る場合、当該第3制御情報(データフレームDF)に、実測値に対して針部45をどの程度回動させるかという回動制御情報(例えば、単位当たりの角度比率)を加えて出力することが好ましい。第3制御情報によって、燃料や水温を、複数の指針式表示部41Cのうち、どの指針式表示部41Cで表示するという制御や指針式表示部41Cにおいてどのような割合で針部45を回動させるかということを行うことができる。
【0043】
従制御部31は、表示制御手段55を備えている。
表示制御手段55は、主制御部30(検出情報出力手段50)によって出力された検出情報が制御情報によって指定された表示形態となるように表示部41を制御するものである。
表示制御手段55について、セグメント式表示部41B、LED表示部41A、指針式表示部41Cに順番に説明する。
[セグメント式表示部41Bの表示について]
図3に示すように、従制御部31に、検出情報(エンジン回転数)と第1制御情報とが入力されると、表示制御手段55は、エンジン回転数を示すデータフレームDF内の信号を、セグメント式表示部41Bで表示させるための信号(セグメント式表示部41Bの仕様)に置き換える(復元する)。
【0044】
また、第1制御情報によって信号(エンジン回転数)の出力先がセグメント式表示部41Bとなっているため、表示制御手段55は、置き換えた信号を当該セグメント式表示部41Bの表示形態に合わせてセグメント式表示部41Bに出力する。
即ち、表示制御手段55は、検出情報と、第1制御情報とに基づき、エンジン回転数を従制御部31に接続されたセグメント式表示部41Bの仕様に変換すると共に、変換したエンジン回転数(変換後の検出情報)がセグメント式表示部41B上で所定の位置、即ち、第1制御情報によって指定された表示形態となるようにセグメント式表示部41Bへの出力を制御する。さらに言い換えるならば、表示制御手段55は、エンジン回転数を示すデータフレームDF内の信号をセグメント式表示部41Bで表示させる変換器として動作すると共に、第1制御情報によって指定された表示形態となるように表示部41を制御する。
[LED表示部41Aの表示について]
図5に示すように、従制御部31に、検出情報(燃料の警告、水温の警告)と第2制御情報とが入力されると、表示制御手段55は、まず、燃料の警告や水温の警告を示すデータフレームDF内の信号を、燃料用LED表示部41A4や水温用LED表示部41A5を点滅させるための信号に置き換える。
【0045】
また、第2制御情報によって燃料の警告に対応する信号の出力先が燃料用LED表示部41A4となり、水温の警告に対応する信号の出力先が水温用LED表示部41A5となっているため、表示制御手段55は、燃料の警告を燃料用LED表示部41A4の表示形態に合わせて当該燃料用LED表示部41A4に出力すると共に、水温の警告を水温用LED表示部41A5の表示形態に合わせて当該水温用LED表示部41A5に出力する。
【0046】
即ち、表示制御手段55は、主制御部30から送られた燃料や水温の警告がLED表示部41Aにて表示できるように、燃料や水温の警告を従制御部31に接続されたLED表
示部41Aの仕様に変換すると共に、変換した警告(変換後の検出情報)がLED表示部41Aによって適正に表示できるようにLED表示部41Aへの出力を制御する。さらに言い換えるならば、表示制御手段55は、燃料や水温の警告を示すデータフレームDF内の信号をLED表示部41Aで表示させる変換器として動作すると共に、第2制御情報によって指定された表示形態となるように表示部41への制御を行う。
[指針式表示部41Cの表示について]
図6に示すように、従制御部31に、検出情報(燃料、水温)と第3制御情報とが入力されると、表示制御手段55は、まず、燃料や水温を示すデータフレームDF内の信号を、燃料用指針式表示部41C1の針部45や水温用指針式表示部41Cの針部45を回動させるための信号(例えば、電圧)に置き換える。
【0047】
また、第3制御情報によって燃料に対応する信号の出力先が燃料用指針式表示部41C1となり、水温の警告に対応する信号の出力先が水温用指針式表示部41C2となっているため、表示制御手段55は、燃料を燃料用指針式表示部41C1の表示形態に合わせて当該燃料用指針式表示部41C1に出力すると共に、水温を水温用指針式表示部41C2の表示形態に合わせて当該水温用指針式表示部41C2に出力する。
【0048】
即ち、表示制御手段55は、主制御部30から送られた燃料や水温が指針式表示部41Cにて表示できるように、従制御部31に接続された指針式表示部41Cの仕様に変換すると共に、変換した燃料や水温(変換後の検出情報)が指針式表示部41Cによって適正に表示できるように指針式表示部41Cへの出力を制御する。さらに言い換えるならば、表示制御手段55は、燃料や水温を示すデータフレームDF内の信号を指針式表示部41Cで表示させる変換器として動作すると共に、第3制御情報によって指定された表示形態となるように表示部41を制御する。
【0049】
つまり、表示制御手段55は、主制御部30から出力された様々な検出情報を従制御部31に接続された様々な表示部41にて表示できるように変換する変換器として動作すると共に、制御情報に基づいて検出情報を適正な表示形態にて表示させる。
まとめると、上述した実施形態では、図7(a)に示すように、セグメント式表示部41Bによってエンジン回転数を表示し(図中「○」)、LED表示部41Aによって燃料の警告や水温の警告を表示し、指針式表示部41Cによって燃料や水温を表示するものとなっている。
【0050】
以上、作業機1によれば、検出器40で検出した状態を表示可能な表示部41と、表示部41に接続された従制御部31とを有する表示装置15を備えている。そして、作業機は、表示装置15とは別に配置されて従制御部31及び検出器40が接続された主制御部30とを備え、主制御部30は、検出情報出力手段50と制御情報出力手段51とを備え、従制御部31は表示制御手段55を備えている。
【0051】
これによれば、主制御部30によって検出情報と制御情報とによって主制御部30にて表示装置15(表示部41)を制御することが可能となり、表示装置15の従制御部31の構成を簡素化できて、表示装置15の種類や仕様が変化した場合であっても容易に表示部41にて検出情報の表示を行うことができる。
また、例えば、複数の表示部41と複数の検出器40とが従制御部31に接続され、主制御部30が従制御部31とCAN通信などの車両用通信ネットワークNで接続されている場合、主制御部30からの情報と検出器40からの検出情報との両方を表示部41に表示させるための制御プログラムや回路が従制御部31には必要である。
【0052】
ここで、表示部41(表示装置15)の仕様や種別などが別のものに変わると、従制御部31の制御プログラムと主制御部30の制御プログラムとの両方を変更しなければなら
ない場合もあり、非常に大掛かりなシステムとなる。
一方、本発明では、主制御部30に検出器40を集約して接続すると共に検出情報を表示部41にて表示させるための制御情報を出力する機能(制御情報出力手段51)をも主制御部30の中に組み込み、さらには、従制御部31は主制御部30からの制御情報に応じて検出情報を表示部41に表示する制御のみ(表示制御手段55)としている。
【0053】
それ故、表示部41の仕様(表示装置15)が変更されたとしても、主制御部30における制御情報出力手段51を変更するだけで、検出情報を表示部41にて容易に表示することができる。
上述した実施形態では、複数のセグメント42からなるセグメント式表示部41Bと、単一式LED表示部41Aと、指針式表示部41Cとの3つの表示部41を備えている。そして、主制御部30の制御情報出力手段51は、制御情報として、第1制御情報と第2制御情報と第3制御情報とをそれぞれ従制御部31に出力する。さらに、従制御部31の表示制御手段55は、第1制御情報に基づいて指定されたセグメント式表示部41Cを制御し、第2制御情報に基づいて指定された単一式LED表示部41Aを制御し、第3制御情報に基づいて指定された指針式表示部41Bを制御する。
【0054】
エンジン回転数、燃料の警告、水温の警告、燃料、水温の表示形態を図7(a)に示す状態から、図7(b)に示す状態に変更する場合、本発明では、制御情報出力手段51を構成する主制御部30の制御プログラムのみを変えることによって容易に対応することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0055】
上述した実施形態では、表示部41を、少なくとも1つ以上のセグメント式表示部41Bと、少なくとも1つ以上の単一式LED表示部41Aと少なくとも1つ以上の指針式表示部41Cとの3種類にしているが、これに代えて、セグメント式表示部41Bと単一式LED表示部41Aとの2種類であってもよい。この場合は、制御情報出力手段51は、制御情報として、第1制御情報と第2制御情報とを従制御部31に出力するようになり、表示制御手段55は、第1制御情報に基づいて指定されたセグメント42が検出情報を表示できるよう指定されたセグメント式表示部41Cを制御し、第2制御情報に基づいて指定された単一式LED表示部41Aが検出情報を表示できるよう指定された単一式LED表示部41Aを制御することとなる。
【0056】
また、上述した実施形態では、主に、検出情報は、エンジン回転数、燃料、水温であったが、当然の如く、これに限定されず、作業機1に設けた検出器40で検出したものであれば何でもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 作業機
40 検出器
40a エンジン回転センサ
40b 水温センサ
40c 燃料センサ
41 表示部
41A 単一式LED表示部
41B セグメント式表示部
41C 指針式表示部
41A1 走行用LED表示部
41A2 登録用LED表示部
41A3 抜き忘れLED表示部
41A4 燃料用LED表示部
41A5 水温用LED表示部
41A6 警告用LED表示部
41A7 AUX用LED表示部
41A8 時間合わせ用LED表示部
41A9 ブロー用LED表示部
41C1 燃料用指針式表示部
41C2 水温用指針式表示部
42 セグメント
45 針部
46 ゲージ表示部
50 検出情報出力手段
51 制御情報出力手段
55 表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出器で検出した状態を表示可能な表示部と前記表示部に接続された従制御部とを有する表示装置と、前記表示装置とは別に配置されて前記従制御部及び検出器が接続された主制御部とを備え、前記主制御部と前記従制御部とは車両用通信ネットワークを介して接続されており、
前記主制御部は、
前記検出器で検出した状態を示す検出情報を前記車両用通信ネットワークを介して従制御部に出力する検出情報出力手段と、
前記検出情報出力手段で出力する検出情報の表示部に対する表示形態を指定する制御情報を車両用通信ネットワークを介して従制御部に出力する制御情報出力手段とを備え、
前記従制御部は、
前記検出情報出力手段によって出力された検出情報が制御情報によって指定された表示形態となるように表示部を制御する表示制御手段を備えていることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記表示部は、複数のセグメントからなるセグメント式表示部と、少なくとも1つの単一式LED表示部とを備え、
前記制御情報出力手段は、前記制御情報として、前記検出情報を表示させるセグメントを指定するための第1制御情報と、前記検出情報を表示させる単一式LED表示部を指定するための第2制御情報とを従制御部に出力するように構成され、
前記表示制御手段は、第1制御情報に基づいて指定されたセグメントが検出情報を表示できるようにセグメント式表示部を制御し、第2制御情報に基づいて指定された単一式LED表示部が検出情報を表示できるように指定された単一式LED表示部を制御することを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記表示部は、複数のセグメントからなる少なくとも1つのセグメント式表示部と、少なくとも1つの単一式LED表示部と、少なくとも1つの指針式表示部とを備え、
前記制御情報出力手段は、前記制御情報として、前記検出情報を表示させるセグメントを指定するための第1制御情報と、前記検出情報を表示させる単一式LED表示部を指定するための第2制御情報と、前記検出情報を表示させる指針式表示部を指定するための第3制御情報とを従制御部に出力するように構成され、
前記表示制御手段は、第1制御情報に基づいて指定されたセグメントが検出情報を表示できるようにセグメント式表示部を制御し、第2制御情報に基づいて指定された単一式LED表示部が検出情報を表示できるように指定された単一式LED表示部を制御し、第3制御情報に基づいて指定された指針式表示部が検出情報を表示できるよう指定された指針式表示部を制御することを特徴とする請求項1に記載の作業機。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−167516(P2012−167516A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30979(P2011−30979)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】