説明

作業用サポーター

【課題】親指の関節における疾患の発生を防止するとともに作業性に優れた作業用手袋を提供する。
【解決手段】作業用サポーター10は、手1の親指2の付け根部分2Aから指節間関節2Bを覆う筒状の筒部12及び親指2の付け根部分2Aから手首8までの領域9に配される非伸縮性の本体部13を有するサポーター本体11と、親指2の付け根部分2Aを側面側から挟持する挟持部22、及び挟持部22から連なり挟持部22により挟持された親指2を掌1B側に寄せた状態で保持する保持部23を有する非伸縮性の保持部材20と、親指2の人差し指3側の付け根部分2Aから母指球7を交差して親指2の手首8側の付け根部分2Aにわたって取り付けられ、親指2の関節の過伸展を規制する非伸縮性の規制部材30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用サポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
車両などの物を組み立てる製造ラインにおいては、人の手により部品を押し込んだり、部品を打ち込むなどの作業が行われている。このような作業を素手で行うと、手を痛めることがあるため、従来から作業用の手袋を装着して作業が行われている。
【0003】
しかしながら、親指で部品を押し込む作業(以下、「押込み作業」という)を繰返し行うと、作業用の手袋を装着していても、拇指中手指節間関節(拇指MP関節ともいう)や、拇指手根中手関節(拇指CM関節ともいう)に疼痛が生じる等、親指の関節部位における疾患を発生する場合があった。
【0004】
このような親指の関節における疾患の発生を防止する方法としては、親指を保持固定するサポーターを装着して作業を行うことが考えられる(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−74078号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に提案されているサポーターは、可撓性材料をサポーター生地に挟んで縫い合わせたものであり、伸縮性のある生地のみで作製したサポーターよりは、保持固定機能が優れているが、上述したような押込み作業により生じる疾患の発生を防止できる程度の保持固定機能を有するものではなかった。また、上記サポーターは、特許文献1の図6に示すように、装着ベルトにより手首に固定されるので、手首の動きが制限され、種々の動きが要求される作業の際に装着するには不向きである。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、親指の関節における疾患の発生を防止するとともに作業性に優れた作業用サポーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するものとして本発明は、手の親指の付け根部分から指節間関節を覆う筒状の筒部、及び前記筒部から連なり、前記親指の付け根部分から手首までの第1の領域に配される非伸縮性の本体部を有するサポーター本体と、前記サポーター本体を装着した親指の付け根部分を当該親指の側面側から挟持する挟持部、及び前記挟持部から連なり前記挟持部により挟持された親指を掌側に寄せた状態で保持する保持部を有する非伸縮性の保持部材と、前記サポーター本体を装着した親指の人差し指側の付け根部分から母指球を交差して前記親指の手首側の付け根部分にわたって配され、前記親指の付け根部分から手首に至る部分の動きを規制する非伸縮性の規制部材と、を備えることを特徴とする作業用サポーターである。
【0009】
本発明の作業用サポーターは、例えば以下のようにして、手に装着される。
まず、サポーター本体を手に装着すると、親指の付け根部分から指節間関節が筒部に配され、親指の付け根部分から手首までの領域が非伸縮性の材料から構成される本体部に配される。本発明においては、サポーター本体を手に装着することで、親指の2つの関節(拇指MP関節、拇指CM関節)が保持・固定される。
【0010】
次に、保持部材を取り付けると、親指は、付け根部分の側面側から挟持部に挟持されつつ掌側に寄せられた状態で保持・固定される。
次に、規制部材を取り付けると、非伸縮性材料から構成された規制部材が親指の人差し指側の付け根部分から母指球を交差して親指の手首側の付け根部分に配されることにより、親指の付け根部分から手首に至る部分の動きがさらに規制される。
【0011】
したがって、本発明の作業用サポーターを装着すると、親指は、サポーター本体により保持・固定された状態で掌側に寄せられて保持固定され、かつ、規制部材により、親指の付け根部分から手首に至る部分の動きがさらに規制されるので、親指による押込み作業を繰返し行ったとしても、親指の関節の過伸展が起こりにくい。
【0012】
ここで、上記押込み作業の繰返しにより発生する親指の関節部位の疾患は、親指の拇指MP関節の過伸展や拇指CM関節の過度の運動が一因となって発生すると考えられ、本発明によれば、親指の関節の過伸展が発生し難くなるので、親指の関節部位における疾患の発生および関節部位の疼痛の発生を抑制することができる。
さらに、本発明によれば、本体部は親指の付け根部分から手首までの第1の領域に配されるので、手首の動きは妨げられず、作業性に優れている。
【0013】
以上より、本発明によれば、親指の関節における疾患の発生を防止するとともに作業性に優れた作業用サポーターを提供することができる。
【0014】
本発明は以下の構成であってもよい。
前記挟持部はV字状の一対の挟持片を有していてもよい。
保持部材は非伸縮性であるため、保持部材の形状が取り付けられる部位に沿っていないと、保持部材との接触により手に痛みが生じたり、作業に必要な手の動きが阻害されて作業効率を低下させることがある。そこで、上記のような構成とすると、挟持部を親指の付け根部分に沿わせ易くなるので、取り付けた部位に痛みが発生し難く、作業に必要な動きを阻害しない。
【0015】
前記規制部材には、前記親指の付け根部分に沿って凹んだ凹み部が形成されていてもよい。
規制部材は保持部材と同様に非伸縮性であるため、規制部材が、取り付けられる部位に沿って配されていない場合には、規制部材との接触により手に痛みが生じたり、作業に必要な手の動きを阻害して作業効率を低下させることがある。そこで、上記のような構成とすると、規制部材を、取り付けられる部位(親指の付け根部分)に沿って配することが可能となるので、規制部材が取り付けた部位における痛みが発生し難く、作業に必要な手の動きを阻害しない。
【0016】
前記筒部は、衝撃吸収材料からなる衝撃吸収層を備えていてもよい。このような構成とすると、親指の付け根部分から指節間関節を保持部材から受ける外力から保護することができる。
【0017】
前記本体部は、掌側に配される掌部と手の甲側に配される甲部とを有し、前記掌部の小指側の端部に前記サポーター本体を手に固定するベルトを備え、かつ、前記甲部の小指側の端部に前記ベルトを挿通させるベルト通しを備えていてもよい。このような構成とすると、非伸縮材料から構成される本体部を有していても、ベルトにより装着感の調整やサイズの調整が可能となるので、手の大きさごとに種々の規格のものを用意する必要がなくなり、低コストである。
【0018】
上記構成において、前記ベルトの外側面には、同一面にループとフックを混在して備える第1の面ファスナー部が設けられていてもよい。このような構成とすると、ベルト通しに通したベルトを外側面を内側となるように折り返して、折り返した部分を手側に配されるベルトの外側面に重ねるだけで、折り返した部分とベルトの外側面とが接合され、サポーター本体が手にしっかりと固定される。その結果、このような構成によれば、サポーター本体を手に固定する作業を簡易なものとすることができる。
【0019】
前記サポーター本体の、前記保持部材および前記規制部材が取り付けられる部分には、第2の面ファスナー部が形成され、前記保持部材の一方の面には前記第2の面ファスナー部と係合可能な第3の面ファスナー部が形成され、かつ前記規制部材の一方の面には前記第2の面ファスナー部と係合可能な第4の面ファスナー部が形成されていてもよい。このような構成とすると、保持部材および規制部材をサポーター本体の所定位置に配置することによりワンタッチで取り付けることができ、保持部材および規制部材の取り付け作業を簡易なものとすることができる。
【0020】
前記本体部はメッシュ材料からなる構成としてもよい。このような構成とすると、サポーター本体を通気性の良いものとすることができ、むれにくくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、親指の関節における疾患の発生を防止するとともに作業性に優れた作業用サポーターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1の作業用サポーターを装着した状態を掌側から見た斜視図
【図2】作業用サポーターを装着した状態を手の甲側から見た斜視図
【図3】サポーター本体を装着した状態を示す斜視図
【図4】保持部材の裏面図
【図5】規制部材の裏面図
【図6】図3に示すサポーター本体に保持部材を取り付けた状態を示す斜視図
【図7】サポーター本体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図7によって説明する。
本実施形態の作業用サポーター10(以下、「サポーター10」ともいう)は、図1に示すように、手1に装着されるサポーター本体11と、サポーター本体11に取り付けられる保持部材20と規制部材30とを備える。
【0024】
サポーター本体11は、手1に装着した際に、親指2が配される筒状の筒部12および、筒部12から連なり親指2の付け根部分2Aから手首8までの領域9が配される非伸縮性の本体部13を有する。サポーター本体11を手1に装着すると親指2が筒部12に配され、他の指3,4,5,6は露出状態に配されるようになっている。
【0025】
サポーター本体11の外側面には、図1〜図3に示すように、保持部材20および規制部材30が取り付けられる部分に対応して面ファスナー14が縫い付けられている(第2の面ファスナー部14)。詳しくは、第2の面ファスナー部14は、サポーター本体11が装着された親指2の人差し指3側の付け根部分2Aから母指球7を交差して親指2の手首8側の付け根部分2Aに至る位置、ならびに、本体部13の掌部16の上縁部に沿って親指2の付け根部分2Aから小指6側に至る位置に形成されている。第2の面ファスナー部14には、保持部材20に形成された第3の面ファスナー部21と、規制部材30に成された第4の面ファスナー部31が係合可能とされる。
【0026】
筒部12は、肌に接する側の面に発泡クロロプレンゴムなどの衝撃吸収材料からなる衝撃吸収層12Bを備え、外側に配される側の面に面ファスナー層12Aを備えている。筒部12の面ファスナー層12Aには保持部材20に形成した面ファスナー21(第3の面ファスナー部21)と規制部材30に形成した面ファスナー31(第4の面ファスナー部31)が係合可能とされ、第2の面ファスナー部14として機能する。
【0027】
本体部13は、図1および図2に示すように、全体としてナイロン製のメッシュ布から構成され、その周縁は縁取り加工により補強されている。この本体部13を構成するメッシュ布の上には上述した第2の面ファスナー部14が縫い付けられている。
【0028】
本体部13は、掌1B側に配される掌部16と手の甲1A側に配される甲部15とを備え、掌部16の小指6側の端部には、サポーター本体11を手1に固定するベルト17が取り付けられ、甲部15の小指6側の端部にはプラスチック製のベルト通し18が取り付けられている(図1、図2および図7を参照)。
【0029】
ベルト17の外側面には、同一面にループとフック(図示せず)を混在して備えるタイプの面ファスナー17Aが取り付けられており(第1の面ファスナー部17A)、ベルト17を、外側面を内側に配して折り曲げると、折り曲げ状態で接合可能とされる(図2を参照)。
【0030】
サポーター本体11に取り付けられる保持部材20は、非伸縮性の材料からなり、図4に示す裏側面(サポーター本体11に取り付けられる側の面)が、サポーター本体11に形成された第2の面ファスナー部14と係合可能な第3の面ファスナー部21である。保持部材20は、図4に示すように、全体としてY字状をなしている。Y字状の保持部材20のうち、V字状の部分は、サポーター本体11が装着された親指2の付け根部分2Aを、親指2の側面側から挟持するように配される一対の挟持片22,22である(挟持部22)。挟持部22から連なるI字状の部分23は、挟持部22により挟持された親指2を掌1B側に寄せた状態で保持する保持部23に相当する。
【0031】
サポーター本体11に取り付けられる規制部材30は、非伸縮性の材料からなり、図5に示す裏側面(サポーター本体11に取り付けられる側の面)が、サポーター本体11に形成された第2の面ファスナー部14と係合可能な第4の面ファスナー部31である。規制部材30は、図5に示すように、全体として、I字状をなし、長手方向の一方の辺には凹み部32が形成されている。規制部材30は、凹み部32をサポーター本体11が装着された親指2の付け根部分2Aに沿うように配されて、親指2の人差し指3側の付け根部分2Aから母指球7を交差して親指2の手首8側の付け根部分2Aにわたって取り付けられる。
【0032】
次に、本実施形態の作業用サポーター10の着脱方法について説明する。
まず、サポーター本体11を手1に装着する。サポーター本体11の筒部12に親指2を挿通させると掌部16の小指6側の端部にベルト17が配され、甲部15の小指6側の端部にベルト通し18が配される。このとき、親指2の付け根部分2Aから指節間関節2Bが筒部12に覆われ、親指2の付け根部分2Aから手首8までの領域9が本体部13に配される。
【0033】
次に、本体部13のベルト17をベルト通し18に挿通させて所望の位置で折り返し、折り返した部分17Bをベルト17の外側面に重ねる(図2を参照)。すると、ベルト17の外側面に設けた第1の面ファスナー部17Aは、同一面にループとフックを混在して備えるタイプの面ファスナーであるから、ベルト17の外側面を内側に配して折り返した部分17Bを手1側に配されるベルト17の外側面に重ねることで、折り返した部分17Bと、手1側に配されたベルト17の外側面(17A)とが接合され、サポーター本体11の装着が完了する。サポーター本体11を手1に装着することで、親指2の2つの関節2C,2E(拇指MP関節2C、拇指CM関節2E)が保持・固定される(図3を参照)。
【0034】
次に、図4に示す保持部材20を、図3に示すサポーター本体11を装着した手1に取り付ける。まず、保持部材20の一対の挟持片22,22を筒部12の親指2の付け根部分2Aに沿って配すると、挟持片22,22に形成された第3の面ファスナー部21が、サポーター本体11に形成された第2の面ファスナー部14と係合することにより一対の挟持片22,22が筒部12の所定位置に取り付けられる。次に、挟持部22の取り付けられた親指2を掌1B側に寄せるように保持部23を引っ張ってサポーター本体11の掌1B側に配する。すると、保持部23に形成された第3の面ファスナー部21がサポーター本体11に形成された第2の面ファスナー部14と係合して、これにより、親指2が付け根部分2Aの側面側から挟持されつつ掌1B側に寄せられた状態で保持・固定される(図6を参照)。ここで、挟持部22はV字状の一対の挟持片22,22を有しているから、挟持部22を親指2の付け根部分2Aに沿わせ易い。
【0035】
次に、規制部材30を取り付ける。規制部材30の凹み部32をサポーター本体11を装着した親指2の付け根部分2A側に配し、親指2の人差し指3側の付け根部分2Aから母指球7を交差して親指2の手首8側の付け根部分2Aに至る位置に配する。すると、規制部材30に形成された第4の面ファスナー部31がサポーター本体11に形成された第2の面ファスナー部14と係合して、これにより、親指2の付け根部分2Aから手首8に至る部分の動きがさらに規制される(図1を参照)。ここで、規制部材30には親指2の付け根部分2Aに沿って凹んだ凹み部32が形成されているから規制部材30を親指2の付け根部分2Aに沿って沿わせやすい。
【0036】
上述のようにして、本実施形態のサポーター10を装着すると、サポーター10が装着された手1の親指2は、サポーター本体11により保持・固定された状態で掌1B側に寄せられて保持固定され、かつ、親指2の付け根部分2Aから手首8に至る部分の動きが規制される状態となる。
【0037】
手1に装着された本実施形態のサポーター10は、ベルト17の接合状態を解除して、ベルト17をベルト通し18から外すことにより容易に取りはずすことができる。
【0038】
次に本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態のサポーター10を着用して、例えば、親指2による部品の押し込み作業を行う。本実施形態のサポーター10の装着により、親指2は、サポーター本体11により保持・固定された状態で掌1B側に寄せられて保持固定され、かつ、親指2の付け根部分2Aから手首8に至る部分の動きが規制されるが、親指2以外の指3,4,5,6や手首8は、自在に動かすことが可能である。
【0039】
したがって、本実施形態の作業用サポーター10を装着すると、親指2による押込み作業を繰返し行ったとしても、親指2の関節2C,2Eのうち、特に拇指MP関節2Cの過伸展が発生し難くなる。押込み作業の繰り返しにより発生する親指2の関節部位の疾患は親指2の拇指MP関節2Cの過伸展と拇指CM関節2Eの過度の運動が一因となって発生していると考えられるので、本実施形態のサポーター10の装着により、親指2の関節部位における疾患の発生および関節部位の疼痛の発生を抑制することができる。
【0040】
本実施形態のサポーター10の装着により、親指2の動きは上述したように規制されるが、親指2以外の指3,4,5,6や手首8には、動きを制限するものが取り付けられておらず、自在に動かすことが可能であるので、作業性に優れている。
その結果、本実施形態によれば、親指2の関節における疾患の発生を防止するとともに作業性に優れた作業用サポーター10を提供することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、挟持部22はV字状の一対の挟持片22,22を有しているから、挟持部22を親指2の付け根部分2Aに沿わせ易くなり、取り付けた部位に痛みが発生し難く、作業に必要な動きを阻害しない。
【0042】
また、本実施形態によれば、規制部材30には、親指2の付け根部分2Aに沿って凹んだ凹み部32が形成されているから、規制部材30を、親指2の付け根部分2Aに沿って配することが可能となるので、規制部材30が取り付けた部位における痛みが発生し難く、作業に必要な手1の動きを阻害しない。
【0043】
また、本実施形態によれば、筒部12は、肌に接する側の面に柔らかい発泡性の衝撃吸収材料からなる衝撃吸収層12Bを備えるから、肌触りがよく、親指2の付け根部分2Aから指節間関節2Bを、保持部材20から受ける外力から保護することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、本体部13は、サポーター本体11を手1に固定するベルト17とベルト通し18を備えているから、非伸縮材料から構成される本体部13を有していても、ベルト17により装着感の調整やサイズの調整が可能となるので、手1の大きさごとに種々の規格のものを用意する必要がなくなり、低コストである。
【0045】
特に、本実施形態では、ベルト17の外側面には、同一面にループとフックを混在して備える第1の面ファスナー部17Aが設けられているから、ベルト通し18に通したベルト17を外側面を内側となるように折り返して、折り返した部分17Bを手1側に配されるベルト17の外側面に重ねるだけで、折り返した部分17Bとベルト17の外側面(第1の面ファスナー部17A)とが接合され、サポーター本体11が手1にしっかりと固定される。その結果、本実施形態によれば、サポーター本体11を手1に固定する作業を簡易なものとすることができる。
【0046】
さらに、本実施形態によれば、サポーター本体11の、保持部材20および規制部材30が取り付けられる部分には、第2の面ファスナー部14が形成され、保持部材20の一方の面には第2の面ファスナー部14と係合可能な第3の面ファスナー部21が形成され、かつ規制部材30の一方の面には第2の面ファスナー部14と係合可能な第4の面ファスナー部31が形成されているから、保持部材20および規制部材30をサポーター本体11の所定位置に配置することによりワンタッチで取り付けることができ、保持部材20および規制部材30の取り付け作業を簡易なものとすることができる。
【0047】
加えて本実施形態によれば、本体部13はメッシュ材料からなるので、サポーター本体11を通気性の良いものとすることができ、むれにくい。
【0048】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態においては、V字状の一対の挟持片を有する挟持部を有する保持部材を示したが、I字状の保持部材の一部に親指を挿通させるスリットを入れて、当該スリットに親指を挿通させて掌部で保持するような構成としてもよい。
【0049】
(2)上記実施形態においては、親指の付け根部分に沿って凹んだ凹み部が形成されているI字状の規制部材を示したが、凹み部のないものであってもかまわない。また規制部材は親指の付け根部分に沿った弧状の形状のものなどであってもよい。
【0050】
(3)上記実施形態においては、筒部に、発泡クロロプレンゴムからなる衝撃吸収層を備えるものを示したが、衝撃吸収層を構成する材料はこれに限定されない。また、衝撃吸収層は2層構造以上であっても良い。
【0051】
(4)上記実施形態においては、ベルトとベルト通しを備える本体部を備えるサポーター本体を示したが、サポーター本体を手に固定する手段はベルトに限定されない。例えば本体部にファスナーを取り付けて、ファスナーを閉めることにより手に固定されるようにしてもよい。
【0052】
(5)上記実施形態においては、外側面に、同一面にループとフックを混在して備える第1の面ファスナー部が設けられているベルトを有するものを示したが、面ファスナーのないベルトをベルト通しにはめ込んで固定されるようにしてもよい。
【0053】
(6)上記実施形態において、筒部の外側面には全域にわたり面ファスナー部を設けたが、保持部材や規制部材の取り付けられる部分のみに面ファスナー部を設けてもよい。
【0054】
(7)上記実施形態において、ナイロンメッシュ生地からなる本体部を示したが、本体部の材料はこれに限定されない。本体部の材料は、合成皮革などの材料に通気孔を形成したようなものなどであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…手
1A…手の甲
1B…掌
2…親指
2A…付け根部分
2B…指節間関節
2C…拇指MP関節(拇指中手指節間関節)
2E…拇指CM関節(拇指手根中手関節)
7…母指球
8…手首
9…領域(付け根部分から手首までの領域)
10…サポーター
11…サポーター本体
12…筒部
12A…面ファスナー層(第2の面ファスナー部)
12B…衝撃吸収層
13…本体部
14…第2の面ファスナー部
15…甲部
16…掌部
17…ベルト
17A…第1の面ファスナー部
18…ベルト通し
20…保持部材
21…第3の面ファスナー部
22…挟持部(挟持片)
23…保持部
30…規制部材
31…第4の面ファスナー部
32…凹み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の親指の付け根部分から指節間関節を覆う筒状の筒部、及び前記筒部から連なり、前記親指の付け根部分から手首までの領域に配される非伸縮性の本体部を有するサポーター本体と、
前記サポーター本体を装着した親指の付け根部分を当該親指の側面側から挟持する挟持部、及び前記挟持部から連なり前記挟持部により挟持された親指を掌側に寄せた状態で保持する保持部を有する非伸縮性の保持部材と、
前記サポーター本体を装着した親指の人差し指側の付け根部分から母指球を交差して前記親指の手首側の付け根部分にわたって取り付けられ、前記親指の付け根部分から手首に至る部分の動きを規制する非伸縮性の規制部材と、を備えることを特徴とする作業用サポーター。
【請求項2】
前記挟持部はV字状の一対の挟持片を有することを特徴とする請求項1に記載の作業用サポーター。
【請求項3】
前記規制部材には、前記親指の付け根部分に沿って凹んだ凹み部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業用サポーター。
【請求項4】
前記筒部は、衝撃吸収材料からなる衝撃吸収層を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の作業用サポーター。
【請求項5】
前記本体部は、掌側に配される掌部と手の甲側に配される甲部とを有し、
前記掌部の小指側の端部に前記サポーター本体を手に固定するベルトを備え、かつ、前記甲部の小指側の端部に前記ベルトを挿通させるベルト通しを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の作業用サポーター。
【請求項6】
前記ベルトの外側面には、同一面にループとフックを混在して備える第1の面ファスナー部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の作業用サポーター。
【請求項7】
前記サポーター本体の、前記保持部材および前記規制部材が取り付けられる部分には、第2の面ファスナー部が形成され、
前記保持部材の一方の面には前記第2の面ファスナー部と係合可能な第3の面ファスナー部が形成され、かつ前記規制部材の一方の面には前記第2の面ファスナー部と係合可能な第4の面ファスナー部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の作業用サポーター。
【請求項8】
前記本体部はメッシュ材料からなることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の作業用サポーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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