説明

作業用下着

【課題】山林作業用の下着として、蜂刺され乃被害をなくし快適に作業ができるものを提供する。
【解決手段】汗水を吸収しない弾力性のある素材を図1に示すように網状にし、裏には肌への接触面積を少なく15mm程度の厚みを保つための突起物1bを設け、流れた汗は収集できるように水路3aに導き水路の端にニップル3bを設け、袋3cに収集することによりべとつきがなく快適となる。更には作業用下着の上に作業服を着用することにより、15mm程度の厚みを持つ弾力性のある素材が身体を保護する、また蚊・虻・すずめ蜂等の針が届かない防護服となる作業用下着を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に山林作業や農作業、建築・土木作業、道路の管理保全作業などの野外作業時における蜂刺され対策及び作業者の身体から溢れる流れ汗を収集し快適な状態を保つことのできる安全性の高い作業用下着の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は野外作業時の蜂刺されに対して、頭、顔、手は、防護用のヘルメット、ネット、皮手袋等で保護していたが、作業者の胴体などの他の部分については比較的薄手の作業服程度で無防備であった。また、作業者の身体から溢れる流れ汗に対しては作業服、ズボン、下着等全てが汗を吸い込んでビショビショに濡れた状態での作業となるものであった。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平11−225657号公報
【特許文献2】 特開2003−113501号公報
【特許文献3】 実開昭59−185204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される、蚊・蜂刺され予防布地については、網状にした厚み8mm程度の発泡ポリエチレンの両面にネットを張り合わせた布地で構成されたもので、網状にした発泡ポリエチレンの表側部には目の細いネット、内側部には目の粗いネットを張り合わせているので、そのネット全体が直接体に接触するものであり不快である。また、特許文献2に示される、汗取り下着ネット具についても、ゴム又は合成繊維の下着ネットを形成し流れた汗をスポンジ又は吸い取り紙で吸収、溢れた汗はゴムレールを通じて排泄できる汗取り下着ネット具に関するもので、ゴム又は合成繊維の下着ネット全体が直接体に接触するものであり不快である。
【0005】
さらに、特許文献3に示される通気用中着についても、メッシュ地からなる着衣の少なくとも上半部分に合成発泡体からなる小片を点在固定ならしめるものであり、上記特許文献1と同様にそのメッシュ地全体が直接体に接触するものであり不快である。これら特許文献1、2、3に示される三者共に体に接触する面積が多く汗が流れにくくネットが体にべとつき勝ちとなり、汗を吸い込んでビショビショに濡れた状態となる従来の綿、ポリエステル等の下着と大差はなく、作業時に不快さを免れないものである。
【0006】
上記に説明した特許文献2に示される汗取り下着ネット具については、流れた汗を吸収するのにスポンジ、又は吸い取り紙を使用している。このようにした場合、吸い取り紙については頻繁に取替える必要があり、スポンジについてはその都度洗濯の必要があり煩わしく、これらの管理を怠れば不衛生になるといった問題がある。ここに本発明が解決しようとする課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みて、涼しさと快適さを確保しながら素材の厚みを利用して、蚊・虻・蜂刺され防止、更には衝撃緩衝性の向上を目的とし、それを達成するための手段として次のような構成を採用する。
【0008】
汗、水を吸収しない弾力性のある素材としてゴム又は発泡ゴム等を図1に示すように網状生地にし、身体側に対面する網状生地の裏には肌への接触面積を少なく、空間形成用の厚みを保つための突起物1bを設け、全体を図3に示すように体形にフィットするように長袖シャツ状の上半身用下着とステテコ状の下半身用下着に成型する。
【0009】
流れた汗は、図4、図5に示すように上半身用下着に設けた汗収集ベルト3の水路3aに導き、水路の端にニップル3bを設け、汗袋3cに収集し必要に応じてキャップ3fを外して汗を排泄する。
【0010】
汗収集ベルト3は体の部位に応じたサイズのものを3種5本作り、上半身用下着と下半身用下着の適所に設けるべく、概ね図5の位置、臍4a、膝下4d、4e、肘先辺り4b、4cに取り付ける。
【0011】
汗収集ベルト3が常に体に密着するように、バンド3d、スプリング3e、フック3g、3hを使って取り付ける。
【発明の効果】
【0012】
従来の下着、又は作業着は、下着素材そのものが汗を吸収するので、特に真夏など重労働に加え水分補給すると下着はもとより作業着、それに汗拭きタオルまでが、絞れば汗水がポタポタと落ちる状態になり、一日中不快な思いをする。本発明で提案する下着は、作業用上着の下に着こなすことにより、汗を吸収することなく流れた汗を収集し、更に作業用上着の間に空間も形成して風の通りも良くて涼しく快適になり作業能率も向上する。
【0013】
特に森林作業中、本発明の作業着を着ることにより、突然すずめ蜂の巣に遭遇し大群に襲われた場合に、頭、顔、手、足先、はヘルメット、防護網、皮手袋、長靴等で防護できるが、本発明の作業着で肩、背中、胸、腹、腕、足、なども防護されて、これらの箇所を複数刺されて死にいたる悲劇を防止できる。
【0014】
作業用下着の厚み(空間形成部分)が15mm程度あり、すずめ蜂の針が肌に届かず、更に素材に弾力性があるため、あらゆる衝撃を和らげ安全性の高い作業用下着となる。
【0015】
作業用下着の素材が汗水を吸収しない材質なので汗がしみ込まず、水で簡単に洗い流せ、洗浄後に直ぐにでも使用することができる、また 耐久性に富み、比較的安価な、衛生的な作業用下着である。
【0016】
着脱を容易にするためファスナーを、首から腹2aへはもとより、脇下から手首2b、2c.股下から裾2e、2f、更に上半身の作業用下着と下半身の作業用下着を繋ぐ2dに取り付けるため手軽な作業用下着となる。ただし2gはファスナーを使用しない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】作業用下着、素材の拡大斜視図である。
【図2】作業用下着を体に着用した場合の断面図である。
【図3】上半身の作業用下着、下半身の作業用下着、全体斜視図である。
【図4】汗の収集ベルトの斜視図と断面図である。
【図5】汗の収集ベルトの取り付け位置図、装着全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の実施の形態を図1から図5に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る作業用下着の素材の拡大図で、ゴム又は発泡ゴム等を網状1aにし網の直径Q6mm、その間隔R40mm、身体側に対面する網状生地の各交差部の裏側には突起物1bを設けるようにし、図2に示すように、該突起物1bの先端側直径P10mm、表側(基端側)直径S15mm、肌との空間形成用の厚みT15mmとする。
【0020】
全体的には、図3に示すような形になるように長袖シャツ状の上半身用下着とステテコ状の下半身用下着になるように型を作り、そこに素材を注入して成型する。その際、端の部分とファスナー部分2a、2b、2c、2d、2e、2fの強度が増すように、それらの対応部分は太く作るようにする。
【0021】
汗の収集ベルトは、図4に示すように合成ゴムを成型し、その際正面付近では断面図Y−Yで示すようにベルトの元付近を大きくしベルトの端付近が中に入り、バンド3dとスプリング3eにより身体に密着し自由にスライド出来るように仕上げる。
【0022】
汗の収集ベルトの正面付近で水路に窪みを設け、そこにニップル3bと汗収集ビニール袋3cとそのキャップ3fをセットする。
【0023】
汗の収集ベルトは図5に示すように体の部位に応じたサイズのものを3種類5本作り、概ね臍下4a、膝下4d、4e、肘先辺り4b、4c、に身体に密着するようにバンド3d、スプリング3e、フック3g、3hを使って取り付ける。
汗の収集ベルトはフック3g、3hを使って、作業用下着本体の網状生地に引っ掛けることができるので、フック3g、3hが汗の収集ベルトの下方へのずれ落ち防止具となるものである。
【実施例】
【0024】
本発明の長袖シャツ状の上半身用下着とステテコ状の下半身用下着を装着する場合には、まず、汗の収集ベルトは、図5に示すように、臍下4a、膝下4d、4e、肘先辺り4b、4c、に身体に密着するようにバンド3d、スプリング3e、フック3g、3hを使って取り付ける。そして、図3に示す、上半身用下着を被り、下半身用下着を履いて、突起物1bで作業者の身体と網状生地との間に15mm程度の空間が形成されるようにして、本発明用の作業用下着を身体に装着する。その後で作業用の上着と作業用のズボンを装着し、さらに従来と同様に防護用のヘルメット、ネット、皮手袋等で保護し、足回りは長靴等で保護する。
このように完全装備して作業を遂行するものであり、気温の高い日に重労働し、更に水分補給すると、1時間も経たないうちに着用している物全てが汗でビショビショになり極めて不快を感じる。また、比較的薄いものを着用しているために転倒したり物に当ったときなど怪我の確率が高い。また、特に山林作業では蚊、虻には常に悩まされ、すずめ蜂の巣には2日に1回程度の確立で遭遇する、大変悪条件の中での作業となるものであるが、本発明の下着を装着することにより、上記に説明の如く流れる汗は網状下着に吸収されることなく肌を伝って下部へ流れ落ちて汗収集ビニール袋3cに収集され、作業者の肌へは肌当たりを少なくした先端側が丸みを帯びた壺押し状の突起のみの接触により空間が形成されて網状下着並びに作業用の上着、ズボンがべとつくことなくて快適に作業ができる。
また、身体側に対面する網状生地の各交差部の箇所に空間形成用の突起が一体的に設けてあるので、上記の壺押し効果の上に身体側の肌に対する網状生地の張りが的確に保たれて空間形成を確実にして、すずめ蜂からの針刺し防護を確実にして且つ着心地よくできるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の実施形態では、特に山林作業用の下着として説明したが、農作業や、建築・土木作業、道路の管理保全作業などの野外作業時における下着としても着用できるものであり、蜂刺され対策及び作業者の身体から溢れる流れ汗を収集し快適な状態を保つことのできる安全性の高い作業用下着として利用できるものである。
【符号の説明】
【0026】
1 網状素材
2 ファスナー
3 汗の収集ベルト
4 汗の収集ベルト取り付け位置
A 人体
B 汗
X,Y,Z 断面図
P,Q,R,S,T 寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汗水を吸収しないで、弾力性に富んだゴム又は発泡ゴム等の素材を網状生地1aに形成し、身体側に対面する網状生地の裏面には肌への接触面積を少なくし、空間形成用の厚みを保つための突起物1bを適宜間隙置きに複数個設け、長袖シャツ状の上半身用下着とステテコ状の下半身用下着として全体を体形にフィットするように成型したことを特徴とする作業用下着。
【請求項2】
請求項1に記載される作業用下着の裾に近い部分で流れた汗を、体に密着させた汗の収集ベルト3を設け、その水路3aに導き、水路の端にニップル3bを設け、汗収集ビニール袋3cに収集することができる作業用下着。
【請求項3】
請求項1に記載される作業用下着の空間形成用の厚みは、作業性、衝撃緩衝性、すずめ蜂の針が届かない等の観点から、肌から15mm程度に保つことを特徴とする作業用下着。
【請求項4】
請求項1に記載される作業用下着の着脱が容易にできるように、ファスナーを首から腹2aへは元より脇下から手首2b,2c、股下から裾2e、2f、上半身の作業用下着と下半身の作業用下着を繋ぐためにもファスナー2dを取り付けることを特徴とする作業用下着。
【請求項5】
請求項2に記載される汗の収集ベルトは、バンド3dスプリング3eにより常時体に密着する機能を備えることを特徴とする作業用下着。
【請求項6】
請求項5に記載される汗の収集ベルトはフック3g、3h等により作業用下着本体に引っ掛ける、ずれ防止具を備えることを特徴とする作業用下着。
【請求項7】
請求項2に記載される汗収集袋ビニールはネジキャップにより、脱着ができることを特徴とする作業用下着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−97392(P2012−97392A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257278(P2010−257278)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(510305181)
【Fターム(参考)】