説明

作業用滑り止め手袋

【課題】作業用滑り止め手袋で、洗濯時に洗濯屑が発生せず、使用時に静電気で埃が付着することを防ぎ、また静電気の放電が、身体へショックを与えることや、静電気の放電が、可燃物へ引火することによる、火災の発生を防止する。
【解決手段】作業用滑り止め手袋の洗濯時の屑の発生を防ぐため、長繊維のポリエステル糸を使用する。使用中に摩擦により静電気が発生するため、カーボン糸を一部使用し、静電気の帯電を防止する。さらに、手袋の掌部にプリントする滑り止め用アクリル樹脂に、帯電防止剤を入れ、静電気の帯電を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋の掌の部分に滑り止めの樹脂を設けた滑り止め手袋で、滑り止めの樹脂は帯電防止機能を有し、編み糸は長繊維のポリエステルと一部にカーボン糸を使用した、静電防止機能を有する作業用滑り止め手袋を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
手袋の掌の部分に滑り止め樹脂を設けた作業用滑り止め手袋は、綿または混紡(綿とポリエステル)にて作られた手袋の掌の部分に、アクリル等の滑り止め用樹脂をプリントまたはコーテングすることにより構成される。綿または混紡(綿とポリエステル)の作業用滑り止め手袋は、使い捨てで使用されている。
廃棄物を少なくする必要のある、例えば原子力発電所のようなところでは洗濯して再使用している。洗濯すると綿屑(綿カス)が発生し、一緒に洗った衣類(特に合成繊維)に綿屑が付着する、また多量に洗濯すると、洗濯機の排水口を詰まらせる問題が生じる。
【0003】
この対策として、洗濯時に屑が発生しない長繊維のポリエステル糸を使用した、作業用滑り止め手袋が使用される。しかし、綿または混紡(綿とポリエステル)の作業用滑り止め手袋は、綿は吸湿性があり静電気を帯電しないが、ポリエステルの作業用滑り止め手袋は、摩擦が原因で静電気が帯電し、作業時に埃が付着する。さらに作業時に、静電気の帯電量が多くなると、放電で身体にショックを受け、近くに可燃物があると引火して火災を起こすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−298808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、作業中に摩擦により静電気の帯電しない作業用滑り止め手袋で、使用後、洗濯する時に屑が発生しない作業用滑り止め手袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作業用滑り止め手袋の洗濯時の屑の発生を防ぐため、長繊維のポリエステル糸を使用する。
ポリエステル糸は電気の絶縁体であるため、使用中に摩擦により静電気が発生するため電気の導体であるカーボン糸を一部使用し、静電気の帯電を防止する。
さらに、手袋の掌部にプリントする滑り止め用アクリル樹脂は、ポリエステルと同じく電気の絶縁体であり、静電気が帯電するためアクリル樹脂に帯電防止剤を入れ、静電気の帯電を防止する。
【発明の効果】
【0007】
手袋にポリエステル糸を使用することにより、綿または混紡の作業用滑り止め手袋と違い洗濯時に屑が発生しない。またポリエステルの手袋に一部カーボン糸を入れ、滑り止め樹脂に帯電防止剤を入れることにより静電気の発生を防止し、手袋に埃が付着するのを防ぎ、また静電気の放電が身体へショックを与えることや、可燃物への引火による火災の発生を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の滑り止め手袋
【図2】編み部の詳細
【発明を実施するための形態】
【0009】
作業用滑り止め手袋は編み糸をポリエステル糸と一部導電性のカーボン糸を使用する。また滑り止め樹脂は、カチオン系界面活性剤を練り込んだアクリル樹脂を使用する。
【実施例】
【0010】
作業用滑り止め手袋は編み糸をポリエステル糸と一部導電性のカーボン糸を使用する。
試験方法はJISL1094で半減期測定法、摩擦帯電測定法で帯電性の試験結果は表1に示す。
【表1】


半減測定法によりカーボン入りの帯電圧が1/2になる時間が早く、摩擦帯電圧測定法ではカーボン糸入りは帯電圧が小さく静電気の帯電が小さい。
【0011】
手袋の掌部にプリントする滑り止め樹脂は静電防止としてアクリル樹脂にカチオン系界面活性剤の帯電防止剤を混ぜ合わせる。JISK6911の測定にて抵抗率を測定する。
【表2】


帯電防止剤入りは抵抗率が低く静電気の帯電が小さい。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明の作業用滑り止め手袋は、洗濯時、屑の発生がなく洗濯して再使用でき、手袋の廃棄を少なくできる。また静電気の帯電がなく、放電による火災も防ぐことができる。廃棄物を少なくする必要の高い、また静電気の放電による可燃物の引火の危険性の高い、例えば原子力発電所のようなところで使用される。
【符号の説明】
【0013】
1 作業用滑り止め手袋
2 スベリ止め樹脂
3 編み部
4 カーボン糸
5 ポリエステル糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長繊維の糸と一部にカーボン糸を使用した手袋に、帯電防止剤を入れた滑り止め用樹脂の滑り止め部を手の掌部に設けたことを特徴とした作業用滑り止め手袋

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−281001(P2010−281001A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133833(P2009−133833)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(304048584)丸和ケミカル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】