説明

作業用眼鏡

【課題】リム11に対してレンズ13を容易に着脱することが可能な作業用眼鏡を提供する。
【解決手段】2つのリム11の内周面に、内側の一部が切り欠き部とされた溝部18を設ける。そして、ブリッジ16に対して回動可能に設けられたストッパ部材12を下方に回動させることにより、該ストッパ部材12とリム11の内側領域P4との干渉を回避させて、リム11からレンズ13を取り外す。更に、新たなレンズ13を、この内側領域P4から挿入する。その後、ストッパ部材12を上方に回転させ、ブリッジ16に固定することにより、ストッパ部材12が各リム11の内側領域P4に干渉して、レンズ13をリム11内に堅固に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームのリムに取り付けられる2枚のレンズを簡易な方法で交換可能とする作業用眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、作業現場で用いられる眼部保護用の眼鏡は、使用中にレンズが傷付いたり汚れたり、または損傷することがあり、そのまま使用すると見づらいといった不具合が生じるので、レンズ部分のみを簡易な方法で交換可能とすることが望まれている。このようなレンズの交換を容易とした眼鏡の従来例として、例えば特開2002−214568号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
【0003】
図11は、特許文献1に開示された眼鏡を示す説明図であり、リム101の内側域及び上下域の厚みを大きくし、この部分にレンズ103装着用の溝部102を形成している。そして、リム101の外側域(符号Aで示す)側から溝部102に沿ってレンズ103を挿入することにより、リム101内にレンズを装着することができる。また、溝部102内に形成された係合突起104と、レンズ103に形成された切り欠き105が係合することにより、リム101に装着されたレンズ103の脱落を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−214568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例は、リム101に形成された溝部102内に装着したレンズ103を、溝部102内に形成された係合突起104と、レンズ103に形成された切り欠き105との係合でのみ固定される構成であるので、リム101に対してレンズ103を堅固に固定するためには、溝部102とレンズ103との間に、ある程度の摩擦力が必要となる。
【0006】
このため、レンズ103を溝部に装着する際には、ある程度強い力でレンズ103を押し付ける必要があり、レンズ103の着脱時に該レンズ103を傷つけたり、或いはリム101に無理な力を加えることにより該リム101が変形、損傷するという問題が発生していた。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、簡易な方法でレンズの着脱を可能とし、且つレンズをリム内に堅固に固定することが可能な作業用眼鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、2つのリム、及び前記各リムを接続するブリッジからなるフレーム本体を備えた作業用眼鏡において、前記各リムの内周面には、該リムに装着するレンズを固定し、且つ前記フレーム本体の中央側となる一部に切り欠き部が形成された溝部が設けられ、更に、前記ブリッジに対し、前記各リムを連結する方向を軸として回動可能に設けられ、前記切り欠き部にて前記溝部に装着されたレンズと干渉して該レンズを固定するストッパ部材を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記溝部に形成された切り欠き部は、前記フレーム本体の前面側(作業者の顔面の反対側となる面)が切り欠かれていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記各リムに形成された前記溝部の適所に段差部を形成し、且つ、前記各レンズの周囲部の前記段差部と係合する部位に欠切部を形成し、前記溝部に前記レンズを装着した後、前記レンズの欠切部を前記溝部に形成された段差部と係合させて前記レンズを前記リムに固定することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記ストッパ部材は、前記ブリッジに固定されるヒンジ部材により前記ブリッジに対して回動可能に取り付けられ、該ストッパ部材を前記ヒンジ部材により回動させることにより、前記レンズの固定、開放を切り替えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、一方の前記リムの前面側下方域に形成された第1の突起と、他方の前記リムの前面側下方領域に形成された第2の突起と、前記ストッパ部材の前面に形成された第3の突起と、を更に備え、前記フレーム本体の前面側を下方に向けて平面上に置いた場合、前記第1〜第3の突起が前記平面に接触して安定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、各リム11の内側(フレーム本体の中央側)に形成された切り欠き部から該リム内にレンズを挿入し、且つストッパ部材にてレンズを固定するので、リム内に装着されたレンズを堅固に固定することができる。この際、リムの内周面に形成された溝部とレンズとの間には大きな摩擦力は発生しないので、作業者は強い力を必要とせずに、レンズの着脱が可能となる。従って、レンズ装着時に該レンズを傷つけたり、或いはリムに無理な力を加えて変形、損傷するというトラブルの発生を軽減できる。また、レンズの一端を把持するだけでリム内に挿入できるので、新品レンズ(特にレンズの中央部)を手で汚すことなく挿入することができる。さらに、1つのストッパ部材により2枚のレンズを固定する構成としているので、各レンズを別個に固定する場合と比較して構成を簡素化することができる。
【0014】
請求項2の発明では、フレーム本体の前面側に切り欠き部が形成されているので、リム内に装着されたレンズが外部から強い衝撃を受けて外れたとしても、レンズが着用者の顔面側に脱落することを防止できる。
【0015】
請求項3の発明では、リム内にレンズを挿入した状態で該レンズに形成された欠切部と、溝部に形成された段差部が係合するので、リム内に装着されたレンズをストッパ部材にて固定する前の時点で、レンズが脱落することを防止することができる。
【0016】
請求項4の発明では、ヒンジ部材を用いてストッパ部材をブリッジに軸支するので、ストッパ部材がフレーム本体から離脱することがなく、該ストッパ部材を紛失する等のトラブルの発生を回避できる。
【0017】
請求項5の発明では、2つのリムの下側領域に第1の突起、第2の突起を設け、更に、ストッパ部材の前面に第3の突起を設けており、当該作業用眼鏡を平面上に置く場合には、上記の3つの突起が平面に接触して安定するので、レンズに傷や汚れが付くことなく、且つ安定して作業用眼鏡を置くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る作業用眼鏡の全体構成を示す斜視図であり、ストッパ部材によりレンズが固定されている状態を示す。
【図2】本発明の第1実施形態に係る作業用眼鏡の全体構成を示す斜視図であり、ストッパ部材が開放されている状態を示す。
【図3】本発明の第1実施形態に係る作業用眼鏡の全体構成を示す斜視図であり、レンズが取り外された状態を示す。
【図4】本発明の第1実施形態に係る作業用眼鏡の説明図であり、フレーム本体が下方を向けて平面上に置かれたときの側面図である
【図5】本発明の第1実施形態に係る作業用眼鏡の説明図であり、フレーム本体が下方を向けて平面上に置かれたときの上面図である
【図6】本発明の第2実施形態に係る作業用眼鏡の全体構成を示す斜視図であり、ストッパ部材によりレンズが固定されている状態を示す。
【図7】本発明の第2実施形態に係る作業用眼鏡の全体構成を示す斜視図であり、ストッパ部材が開放されている状態を示す。
【図8】本発明の第2実施形態に係る作業用眼鏡の全体構成を示す斜視図であり、レンズが取り外された状態を示す。
【図9】本発明の第1実施形態に係る作業用眼鏡のレンズ表面に付着した油滴が下方に落下する様子を示す説明図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る作業用眼鏡の説明図であり、リムを上下に2分割した場合の説明図である。
【図11】従来におけるレンズ交換式眼鏡の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係る作業用眼鏡20の構成を示す斜視図であり、図1はリム11内にレンズ13を装着した状態、図2はストッパ部材12を開放した状態、図3はリム11からレンズ13を外した状態を示している。
【0021】
各図に示すように、この作業用眼鏡20は、2つのリム11を備えており各リム11は、ブリッジ16(図2,図3参照)により連結されている。ここで、2つのリム11及びブリッジ16により、本発明に係る作業用眼鏡のフレーム本体が構成される。更に、各リム11の外側端部にはテンプル15(「つる」とも言う)が蝶番14により取り付けられている。
【0022】
テンプル15は、作業者が作業用眼鏡20を装着する際に、自身の耳に引っ掛けるためのものであり、蝶番14によりリム11に対して回動させて折り畳むことができる。
【0023】
また、図3に示すように、リム11内周面の上側領域P1、下側領域P2、及び外側領域P3には、レンズ13を装着するための溝部18が形成され、リム11内周面の内側領域P4はその前面側(作業者の顔面の反対側)が開放されている。即ち、リム11の内側領域P4は、前面側が切り欠かれており、この領域(切り欠き部)には溝部18は形成されていない。そして、この開放された領域よりレンズの着脱が行われるようになっている。
【0024】
更に、各リム11に形成された溝部18の下側領域P2、及び上側領域P1の中央側端部には、それぞれ段差部18a(図1,図3参照)が形成されている。また、各リム11内に装着するプラスチック製、またはガラス製のレンズ13の、下辺部及び上辺部には、それぞれ欠切部13a,13bが形成されており(図3参照)、レンズ13をリム11内に装着した場合に、この欠切部13a,13bが溝部18に形成された段差部18aと係合して、レンズ13のリム11内からの脱落を防止している。なお、欠切部13a、13bと段差部18aは設けない構成であっても構わない。
【0025】
一方、図2,図3に示すように、2つのリム11を連結するためのブリッジ16には、断面がフック形状をなすストッパ部材12が設けられ、該ストッパ部材12は、ヒンジ17(ヒンジ部材)によりブリッジ16の下方側に回転可能に軸支されている。従って、ストッパ部材12は、ヒンジ17を回転軸として上方向及び下方向に回転動が可能となっており、図2に示すように、ストッパ部材12を下方向に回動させると、ストッパ部材12は、リム11の内側領域P4に対して干渉せず、従って、レンズ13の着脱操作が可能となる。また、ストッパ部材12を上方に回転させると、ストッパ部材12の凹部12a(図2参照)がブリッジ16に嵌合して、該ストッパ部材12がブリッジ16に固定されることになる。この際、ストッパ部材12は、リム11の内側領域P4に対して干渉し、レンズ13の内側辺がストッパ部材12と接触して該レンズ13が固定される。
【0026】
更に、図1に示すように、各リム11の下側領域P2は外側から内側にかけて前面側に突出しており、その内側先端部は突起部11a(第1の突起)、及び突起部11b(第2の突起)とされている。また、ストッパ部材12の前面側(作業者の顔面に対して反対側)には突起部12c(第3の突起)が形成されている。そして、後述するように各突起部11a,11b,12cにより、作業用眼鏡20を安定して作業台等に置くことができる。
【0027】
次に、上述のように構成された第1実施形態に係る作業用眼鏡20において、レンズ13を着脱する手順について説明する。
【0028】
まず、図3に示すように、レンズ13が未装着のリム11に対して、レンズ13を装着する。この操作では、リム11の内側領域P4側からレンズ13の上辺部、下辺部がリム11に形成された溝部18に沿うように徐々に摺動させながら装着する。この際、レンズ13と溝部18との間における摺動摩擦は小さく、作業者は強い力を加えること無く容易にレンズ13をリム11内に装着することができる。
【0029】
そして、レンズ13がリム11内に装着されると、丁度、溝部18の段差部18aとレンズ13に形成された欠切部13a,13bが係合し、レンズ13がリム11内に固定される。この状態では、レンズ13はリム11に対して若干ガタが生じているが、欠切部13a,13bと段差部18aとの係合により、レンズ13がリム11内から脱落することが阻止される。つまり、この状態で作業用眼鏡20を上下、或いは左右に傾けたとしても、レンズ13はリム11内から脱落しない。
【0030】
その後、ストッパ部材12をヒンジ17を軸として回転させ、図2に示す先端部12bを若干弾性変形させてブリッジ16を超えると、ストッパ部材12の凹部12aがブリッジ16と嵌合して、ストッパ部材12がブリッジ16に固定される(図1参照)。この状態でストッパ部材12は、各リム11の内側領域P4と干渉して、各リム11内に装着されたレンズ13を堅固に固定するので、レンズ13の脱落を防止できる。
【0031】
また、レンズ13を取り外す場合には、上記と反対の操作を行えば良い。即ち、ストッパ部材12がブリッジ16に係合してレンズ13が固定された状態(図1の状態)から、ストッパ部材12を前方に回転させると、該ストッパ部材12によるリム11の内側領域P4の干渉が解除される(図2の状態)。
【0032】
ストッパ部材12をさらに回転させて図3に示すような位置までもってくると、レンズ13をフレーム本体の内側にスライドさせることにより、該レンズ13をリム11から容易に取り外すことができ、新たなレンズと交換することができる。
【0033】
このようにして、第1実施形態に係る作業用眼鏡20は、各リム11の内側領域P4を切り欠き部として、この内側領域P4からレンズ13をリム11内に挿入する構成とし、更に、ストッパ部材12をブリッジ16に嵌合させることによりリム11内に装着したレンズ13を堅固に固定することができる。
【0034】
また、従来のように、溝部18とレンズ13との間の摩擦力によりレンズ13をリム11に固定する構成としていないので、レンズ13を溝部18に沿ってスライドさせる際には強い力が不要となり、レンズ13に傷を付けたり、或いはリム11に無理な力を加えて変形、損傷するというトラブルの発生を軽減できる。また、レンズ13の一端を把持するだけでリム11内に挿入できるので、新品レンズ(特にレンズの中央部)を手で汚すことなく挿入することができる。
【0035】
このとき、リム11の中央部分(例えば、ブリッジ16の下部)を図11に示すように上下に2分割すると、レンズ11を交換することが更に容易になる。図11において、上部リム11cを上方(矢印Aの方向)へ引っ張り、下部リム11dを下方(矢印Bの方向)に引っ張ることで、上部リム11cと下部リム11dとが互いに離れるようにリム11を弾性変形させれば、リム11が上下に開くので、リム11内へのレンズ13の出し入れがよりスムーズになる。
【0036】
また、レンズ13を挿入した状態で、該レンズ13に形成された欠切部13a、13bと、溝部18に形成された段差部18aが係合するので、ストッパ部材12にて固定する前の時点で、レンズ13が脱落することを防止できる。
【0037】
更に、1つのストッパ部材12により2枚のレンズ13を固定する構成としているので、各レンズ13を別個に固定する場合と比較して構成を簡素化することができる。また、ストッパ部材12は、ヒンジ17によりブリッジ16に軸支される構成としているので、ストッパ部材12がフレーム本体から離脱することがなく、ストッパ部材12を紛失する等のトラブルの発生を回避できる。なお、ストッパ部材12は、ヒンジ17によりブリッジ16に軸支される構成でなくとも、ストッパ部材12が回転可能に支持される構成となっていれば構わない。
【0038】
また、リム11内周面の内側領域P4の前面側が開放されて、レンズ13を挿入する構成としているので、外部から強い衝撃を受けてリム11に装着されたレンズ13が外れたとしても、レンズが着用者の顔面側に脱落することや、作業者に違和感を与えることを防止できる。
【0039】
更に、図1に示したように、リム11の下側領域P2に突起部11a,11bを形成し、且つ、ストッパ部材12に突起部12cを形成しているので、この作業用眼鏡20の前面を下側として作業台などの平面上に置く場合には、各突起部11a,11b,12cの3点が平面と接触して安定し、レンズ13に傷や汚れがつくことなく、且つ安定した状態で作業台等に置くことができる。即ち、図4は第1実施形態に係る作業用眼鏡20の前面側を下方として平面F上に置いたときの側面図、図5は同上面図であり、図4、図5に示すように、各突起部11a,11b,12cの3点のみが平面Fに接触するので、レンズ13と平面Fが接触することなく、且つ安定して作業用眼鏡20を平面F上に置くことができる。
【0040】
また、図9に示すように、各リム11の下側領域P2が前面側に沿って突出するとともにその前面112が前方(顔面から離れる方向)へ下降傾斜した構成とされているので、例えば作業用眼鏡20を作業者が着用していて、レンズ13の表面に油滴(または塵埃)110が付着して下方に垂れ落ちる場合に、この油滴110がこの突出部分111に落ちて前方に向けて流下するので、作業者の顔面に直接油滴が垂れ落ちることを防止でき、作業性を向上させることができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る作業用眼鏡について説明する。図6〜図8は、本発明の第2実施形態に係る作業用眼鏡40の構成を示す斜視図であり、図6はリム31内にレンズ33を装着した状態、図7はストッパ部材32を開放した状態、図8はリム31からレンズ33を外した状態を示している。
【0042】
各図に示すように、この作業用眼鏡40は、2つのリム31を備えており各リム31は、ブリッジ36により連結されている。ここで、2つのリム31及びブリッジ36により、本発明に係る作業用眼鏡のフレーム本体が構成される。更に、各リム31の外側端部にはテンプル35が蝶番34により取り付けられている。テンプル35は、作業者が作業用眼鏡40を装着する際に、自身の耳に引っ掛けるためのものであり、蝶番34によりリム31に対して回動させて折り畳むことができる。
【0043】
また、図8に示すように、リム31内周面の内側領域P11を除く領域には、レンズ33を装着するための溝部38が形成され、リム31内周面の内側領域P11はその前面側(作業者の顔面の反対側)が開放されている。即ち、リム31の内側領域P11は、リム31の前面側が切り欠かれており、この領域(切り欠き部)には溝部38は形成されていない。そして、この開放された内側領域P11よりレンズ33の着脱が行われるようになっている。
【0044】
一方、ブリッジ36にはストッパ部材32の揺動を支持するための支持部材51が設けられ、該支持部材51には、操作部材37が回動可能に軸支されている。即ち、操作部材37の軸部37aが支持部材51に軸支されることにより、操作部材37を上下に回動させることができる。
【0045】
また、操作部材37は、リンク機構(詳細説明は省略)によりストッパ部材32に結合されており、操作部材37の上下動に連動して、ストッパ部材32が回動する。即ち、操作部材37を下方に回動させると、これに連動してストッパ部材32が上方に回転し(図7の状態)、作業者が操作部材37を上方に回動させて、所定のデッドポイントを通過するとストッパ部材32が下方に回転する(図6の状態)。
【0046】
次に、上述のように構成された第2実施形態に係る作業用眼鏡40において、レンズ33を着脱する手順について説明する。
【0047】
図8に示すように、レンズ33が未装着の場合には、操作部材37は下方に倒されており、これに連動して作動するストッパ部材32は上方に持ち上げられている。従って、該ストッパ部材32は、各リム31の内側領域P11に干渉しない。
【0048】
この状態で、作業者は図8に示すように、レンズ33が未装着のリム31に対して、レンズ33を装着する。この操作では、リム31の内側領域P11側から、レンズ33の上辺部及び下辺部がリム31に形成された溝部38に沿うように徐々に摺動させながら装着する。この際、レンズ33と溝部18との間における摺動摩擦は小さく、作業者は強い力を加えること無く容易にレンズ33をリム31内に装着することができる。
【0049】
そして、レンズ33の装着が終了した後、操作部材37を上方に回動させ、所定のデッドポイントを超えると、図6に示すように該操作部材37が直立する状態となり、更にこれと連動してストッパ部材32は下方に回動し、各リム31の内側領域P11に干渉するので、各リム31内に装着された各レンズ33がストッパ部材32により堅固に固定される。従って、リム31内からレンズ33が脱落することを防止できる。
【0050】
一方、リム31からレンズ33を取り外す場合には、上記と反対の操作を行えば良い。即ち、操作部材37を下方に回動させ、デッドポイントを超えると、これに連動してストッパ部材32が上方に回動し、リム31の内側領域P4を開放する。この状態でレンズ33をフレーム本体の内側にスライドさせることにより、該レンズ33をリム31から容易に取り外すことができ、新たなレンズと交換することができる。
【0051】
このようにして、第2実施形態に係る作業用眼鏡40においても、前述した第1実施形態に係る作業用眼鏡20と同様に、各リム31の内側領域P11を開放することにより、この内側領域P11からレンズ33をリム11内に挿入する構成としている。そして、ストッパ部材32を下方に回動させて、該ストッパ部材32を内側領域P11に干渉させるので、リム31内に装着したレンズ33を堅固に固定することができる。
【0052】
また、レンズ33をリム31の内周面に形成された溝部38に沿ってスライドさせる際には強い力を必要としないので、レンズ33の着脱時に該レンズ33に傷を付けたり、或いはリム31に無理な力を加えて変形、損傷するというトラブルの発生を低減できる。
【0053】
更に、1つのストッパ部材32により2枚のレンズ33を固定する構成としているので、各レンズ33を別個に固定する場合と比較して構成を簡素化することができる。また、ストッパ部材32は、支持部材51に軸支されて上下方向に揺動する構成としているので、ストッパ部材32がフレーム本体から離脱することがなく、該ストッパ部材32を紛失するなどのトラブルの発生を回避できる。
【0054】
以上、本発明の作業用眼鏡を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、簡単な操作でフレーム本体に取り付けられたレンズを交換する場合に極めて有用である。
【符号の説明】
【0056】
11 リム
11a,11b 突起部
11c 上側リム
11d 下側リム
12 ストッパ部材
12a 凹部
12b 先端部
12c 突起部
13 レンズ
13a,13b 欠切部
14 蝶番
15 テンプル
16 ブリッジ
17 ヒンジ
18 溝部
20 作業用眼鏡
31 リム
32 ストッパ部材
33 レンズ
34 蝶番
35 テンプル
36 ブリッジ
37 操作部材
38 溝部
40 作業用眼鏡
101 リム
102 溝部
103 レンズ
104 係合突起
105 切り欠き
110 油滴
111 突出部分
P1 上側領域
P2 下側領域
P3 外側領域
P4,P11 内側領域(切り欠き部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのリム、及び前記各リムを接続するブリッジからなるフレーム本体を備えた作業用眼鏡において、
前記各リムの内周面には、該リムに装着するレンズを固定するための溝部が設けられ、且つ前記フレーム本体の中央側となる一部には切り欠き部が設けられ、
更に、前記ブリッジに対し、前記各リムを連結する方向を軸として回動可能に設けられ、前記切り欠き部にて前記溝部に装着されたレンズと干渉して該レンズを固定するストッパ部材を備えたことを特徴とする作業用眼鏡。
【請求項2】
前記切り欠き部は、前記フレーム本体の前面側が切り欠かれて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業用眼鏡。
【請求項3】
前記各リムに形成された前記溝部の適所に段差部を形成し、且つ、前記各レンズの周囲部の前記段差部と係合する部位に欠切部を形成し、
前記溝部に前記レンズを装着した後、前記レンズの欠切部を前記溝部に形成された段差部と係合させて前記レンズを前記リムに固定することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の作業用眼鏡。
【請求項4】
前記ストッパ部材は、前記ブリッジに固定されるヒンジ部材により前記ブリッジに対して回動可能に取り付けられ、該ストッパ部材を前記ヒンジ部材により回動させることにより、前記レンズの固定、開放を切り替えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の作業用眼鏡。
【請求項5】
一方の前記リムの前面側下方域に形成された第1の突起と、他方の前記リムの前面側下方領域に形成された第2の突起と、前記ストッパ部材の前面に形成された第3の突起と、を更に備え、前記フレーム本体の前面側を下方に向けて平面上に置いた場合、前記第1〜第3の突起が前記平面に接触して安定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の作業用眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−186207(P2011−186207A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51704(P2010−51704)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)