説明

使い捨ておむつ

【課題】排泄物が吸収体から漏出した場合でも、脚周りから外部に漏出することを防止する。
【解決手段】パンツタイプの使い捨ておむつ1の外装シート4は、着用者の前側を覆う前方部401および後側を覆う後方部403、並びに、両者の間の中間部402を有する。外装シート4上には吸収体20が取り付けられ、着用者からの排泄物が吸収される。また、中間部402の側端の縁に沿って脚周り弾性部材43が設けられ、脚周りギャザーが形成される。外装シート4上には、中間部402の各側端から吸収体20側、かつ、おむつの上端側に向かうように補助弾性部材45が伸張状態にて接合され、吸収体20の各側方においてポケット部47が形成される。ポケット部47内には補助吸収部61が配置され、これにより、排泄物が吸収体20から漏出した場合でも、脚周りから外部に漏出することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツタイプの使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品の1つとして、上端に胴部開口を有するとともに下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつが利用されている。このような使い捨ておむつでは、着用者の前側を覆う前方部と後側を覆う後方部とが中間部を介して連続する外装シートにおいて、前方部の両側端を後方部の両側端にそれぞれ接合することにより、胴部開口および一対の脚部開口が形成される。また、着用者からの排泄物を吸収する吸収体が、前方部から後方部に亘って外装シート上に取り付けられる。さらに、中間部の両側端の縁に沿って一対の脚周り弾性部材が外装シート上に接合され、脚周り弾性部材が収縮することにより脚周りギャザーが形成される。
【0003】
特許文献1では、パンツタイプの使い捨ておむつの前身頃(前方部)において、両端部が前身頃の両側端に位置する弾性伸縮部材を、中央部が股下側に膨らみ、かつ、その中央部が吸収体の配設位置と交差するように配置することにより、吸収体を前身頃縁(胴部開口の縁)側に持ち上げて、腹側からの尿または便漏れを防止する手法が開示されている。また、特許文献2では、前身頃および後身頃のそれぞれにおいて、ウエスト開口部縁(胴部開口の縁)を始端とし、両側端の接合縁部を終端として配置された装着用第1弾性部材と、ウエスト開口部縁を始端とし、レッグ開口部縁(脚部開口の縁)を終端として配置された装着用第2弾性部材とを設けることにより、着用者がウエスト開口部を掴んで上方側におむつを引き上げる際に、装着用弾性部材の弾性力によっておむつを簡単に引き上げることが可能な使い捨ておむつが開示されている。
【0004】
なお、特許文献3では、前方部と後方部とを腰回りで止着して装着するオープンタイプの使い捨ておむつにおいて、ウエスト部弾性部材と吸収体の端部との間に配置される胴部ギャザー形成用の複数の胴部弾性部材を、これらの長さ方向の略中央部において各胴部弾性部材間の間隔が最も狭くなるように、それぞれ湾曲して配置し、最も吸収体よりに設けられた胴部弾性部材の両端部を吸収体の側方に位置させたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−127687号公報
【特許文献2】特開2006−263346号公報
【特許文献3】特開平10−179634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、排泄物を吸収体にて適切に吸収するには、吸収体が着用者の股間部に密着していることが好ましい。しかしながら、パンツタイプの使い捨ておむつの装着では、吸収体を着用者の股間部に密着させることは容易ではなく、排泄物が吸収体から漏出した場合、脚周りギャザーを設けていても、排泄物が脚周りから外部に漏出することがある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、排泄物が吸収体から漏出した場合でも、脚周りから外部に漏出することを防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上端に胴部開口を有し、下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつであって、着用者の前側を覆う前方部および後側を覆う後方部の間の中間部で折り曲げられ、前記前方部の両側端が、前記後方部の両側端にそれぞれ接合されることにより、前記前方部および前記後方部の上端に胴部開口が形成され、前記前方部および前記後方部の下側において前記中間部の両側方に一対の脚部開口が形成される外装シートと、前記外装シート上に取り付けられて着用者からの排泄物を吸収する吸収体と、前記中間部の両側端の縁に沿って伸張状態にて前記外装シート上に接合され、収縮することにより脚周りギャザーを形成する一対の脚周り弾性部材と、前記中間部の前記前方部側または前記後方部側の部位において、前記両側端から前記吸収体側かつ前記上端側に向かうように前記外装シート上に伸張状態にて接合される一対の補助弾性部材と、前記吸収体の両側方において、前記一対の補助弾性部材、前記一対の脚周り弾性部材および前記吸収体により囲まれる前記外装シートの内面の領域に一対のポケット部が形成され、前記一対のポケット部内に配置される一対の補助吸収部とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の使い捨ておむつであって、前記一対の補助吸収部が、前記一対のポケット部に両端部が位置するとともに、中央部が前記吸収体と前記外装シートとの間に配置される1つの部材の前記両端部である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の使い捨ておむつであって、前記一対の補助弾性部材が、前記上端側に凸となるように湾曲して前記外装シート上に接合される。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、前記一対の補助弾性部材の前記吸収体側の端部が、前記吸収体と重なる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、前記一対の補助弾性部材と同様の他の一対の補助弾性部材と、前記一対の補助吸収部と同様の他の一対の補助吸収部とをさらに備え、前記吸収体の前記前方部側の部位の両側方に前記一対のポケット部が形成され、前記吸収体の前記後方部側の部位の両側方に他の一対のポケット部が形成され、前記他の一対の補助吸収部が前記他の一対のポケット部内に配置される。
【0013】
請求項6に記載の発明は、上端に胴部開口を有し、下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつであって、着用者の前側を覆う前方部および後側を覆う後方部の間の中間部で折り曲げられ、前記前方部の両側端が、前記後方部の両側端にそれぞれ接合されることにより、前記前方部および前記後方部の上端に胴部開口が形成され、前記前方部および前記後方部の下側において前記中間部の両側方に一対の脚部開口が形成される外装シートと、前記外装シート上に取り付けられて着用者からの排泄物を吸収する吸収体と、前記中間部の両側端の縁に沿って伸張状態にて前記外装シート上に接合され、収縮することにより脚周りギャザーを形成する一対の脚周り弾性部材と、前記中間部の前記前方部側または前記後方部側の部位において、前記両側端から前記吸収体側かつ前記上端側に向かうように前記外装シート上に伸張状態にて接合される一対の補助弾性部材とを備え、前記一対の脚周り弾性部材が、前記前方部側の部位である一対の前方弾性部と、前記後方部側の部位である一対の後方弾性部とを備え、前記中間部の両側部において、前記一対の前方弾性部と前記一対の後方弾性部との間に、脚周り弾性部材の不存在領域が設けられ、前記吸収体の両側方において、前記一対の補助弾性部材、前記一対の補助弾性部材と近接または接する前記一対の前方弾性部または前記一対の後方弾性部、および、前記吸収体により囲まれる前記外装シートの内面の領域に一対のポケット部が形成される。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の使い捨ておむつであって、前記一対の補助弾性部材が、前記上端側に凸となるように湾曲して前記外装シート上に接合される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、排泄物が吸収体から漏出した場合でも、脚周りから外部に漏出することを防止することができる。
【0016】
また、請求項2の発明では、使い捨ておむつの部品点数を少なくすることができ、請求項3および7の発明では、大きなポケット部を形成することができ、請求項5の発明では、排泄物が脚周りから外部に漏出することをさらに防止することができる。
【0017】
また、請求項6の発明では、ポケット部の配置を制限することにより、排泄物がポケット部にて捕捉された状態で、ポケット部の存在により着用者の歩行動作が過度に妨げられることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】使い捨ておむつの外観を示す斜視図である。
【図2】展開した状態の使い捨ておむつの平面図である。
【図3】使い捨ておむつの断面図である。
【図4】使い捨ておむつの他の例の平面図である。
【図5】使い捨ておむつのさらに他の例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る使い捨ておむつ1の外観を示す斜視図である。図1に示すように、使い捨ておむつ1は、図1中の上側の端部である上端に胴部開口11を有し、下部に一対の脚部開口12を有するパンツタイプであり、着用者からの排泄物を受ける。なお、図1の上下方向は重力方向であるとは限らない。
【0020】
図2は、使い捨ておむつ1を展開した状態で着用者側から見た平面図である。図2に示すように、使い捨ておむつ1は、外装シート4、外装シート4の内面(すなわち、着用者側の面)上に取り付けられて着用者からの排泄物を吸収する略シート状の吸収体20、および、吸収体20の長手方向(すなわち、図2中における上下方向)の両端部を覆うように外装シート4上に接合される2つのシート部材5(エンドシートまたはエンド押さえシートとも呼ばれる。)を備える。各シート部材5は、図2の横方向に関して外装シート4の幅のおよそ全体に亘って設けられる。以下、図2の横方向を「おむつの幅方向」と呼ぶ。
【0021】
使い捨ておむつ1では、図2中の上側の部位が着用者の前側(腹側の肌)を覆い、図2中の下側の部位が着用者の後側(背側の肌)を覆う。以下の説明では、着用者の前側および後側を覆う部位をそれぞれ、「前方部401」および「後方部403」と呼び、前方部401と後方部403との間で双方から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位を「中間部402」と呼ぶ。
【0022】
使い捨ておむつ1が製造される際には、外装シート4が吸収体20と共に中間部402にて折り曲げられ、中間部402を下側に配置した際の前方部401の左右両側の端部と、後方部403の左右両側の端部とが、加熱および押圧による熱融着により接合される。このように、前方部401の両側端と後方部403の両側端とをそれぞれ接合することにより、図1に示すように、前方部401および後方部403の上端に胴部開口11が形成され、前方部401および後方部403の下側において中間部402の両側方に一対の脚部開口12が形成される。
【0023】
図3は、使い捨ておむつ1を図2中に示すA−Aの位置(すなわち、中間部402)で切断した断面図である。図3では、図示の都合上、使い捨ておむつ1の構成を互いに離して描いている。
【0024】
図2および図3に示すように、吸収体20は、略シート状の本体部2、および、本体部2の両側部上(すなわち、おむつの幅方向の両端部)に配置されて本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。本体部2は、図3に示すように、トップシート21、バックシート23、および、トップシート21とバックシート23との間に配置された吸収コア22を備える。図2では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太い破線にて描いている。図2に示すように、吸収コア22の長手方向の両端部における幅は、吸収コア22の長手方向の中央部における幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22は、いわゆる砂時計型である。
【0025】
また、図3のバックシート23はホットメルト接着剤等により外装シート4上に接合され、吸収体20が外装シート4に固定される。図2の使い捨ておむつ1では、吸収体20は前方部401から後方部403に亘って配置されており、吸収体20の各端部は、シート部材5と外装シート4との間に挟まれ、吸収体20が外装シート4上に強固に固定される。
【0026】
図3に示すように、各サイドシート3は、長手方向の全長に亘って設けられた折り曲げ線39を境界として、本体部2側の部位である帯状の接合部33、および、他方の部位である側壁部34を備える。接合部33は、本体部2の側方エッジ近傍において長手方向のおよそ全長に亘って本体部2の上側(すなわち、着用者側)にホットメルト接着剤を用いて接合される。
【0027】
接合部33から折り曲げ線39を介して連続する側壁部34は、長手方向における両端部において接合部33上に重ねられ、熱融着接合または超音波接合により接合部33上に固定される。図2では、図の理解を容易にするために、接合部33上に固定される側壁部34の部位341に平行斜線を付している。また、側壁部34は、図2および図3に示すように、長手方向における中央において本体部2から上側へと起立する起立部342を備える。図3に示すように、側壁部34では、起立部342の自由端に弾性部材35が接合されており、弾性部材35が収縮することにより起立部342にギャザーが形成される。
【0028】
トップシート21は、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。トップシート21として利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、トップシート21として、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が利用されてもよい。
【0029】
吸収コア22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および吸水性材料とホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性材料の脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。本実施の形態では、吸収コア22はパルプ繊維およびSAPを含む。
【0030】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用され、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側に染み出すのを防止する。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、使い捨ておむつ1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0031】
サイドシート3のシート本体としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布)が利用される。弾性部材35としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、本実施の形態では、ポリウレタン糸が弾性部材35として用いられる。また、シート部材5としては、トップシート21と同様の素材、または、撥水性もしくは親水処理された不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布)が利用される。
【0032】
外装シート4は、内側シート41、および、内側シート41の下側(すなわち、着用者とは反対側)にて内側シート41に積層される外側シート42を備える。内側シート41と外側シート42との間には、図2に示すように、複数の脚周り弾性要素430、複数の胴周り弾性要素440、および、複数の補助弾性要素450がホットメルト接着剤等により接合される。
【0033】
詳細には、それぞれがおむつの幅方向に伸びる複数の胴周り弾性要素440が、前方部401および後方部403上にて、おむつの幅方向に垂直な方向に配列される。実際には、複数の胴周り弾性要素440は伸張状態にて外装シート4上に接合され、収縮することにより外装シート4が収縮されて胴部ギャザーが形成される。なお、複数の胴周り弾性要素440うち、胴部開口11(図1参照)の縁近傍に配置される一部の胴周り弾性要素440は密に並べられており、これらの胴周り弾性要素440により、使い捨ておむつ1が着用者の腰周りにて強くフィットする。
【0034】
図2の中間部402の各側部における前方部401側の部位には、3本の脚周り弾性要素430が前方弾性部431として当該側部の縁に沿って接合される。各脚周り弾性要素430の一端は吸収体20の長手方向の中央近傍にて吸収体20と重なり(正確には、外装シート4に垂直な方向から見た場合に重なり)、他端は前方部401の中間部402側の部位にてその側端に位置する。中間部402の当該側部における後方部403側の部位にも同様に、3本の脚周り弾性要素430が後方弾性部432として当該側部の縁に沿って接合されており、各脚周り弾性要素430の一端は吸収体20と重なり、他端は後方部403の側端に位置する。胴周り弾性要素440と同様に、各脚周り弾性要素430は伸張状態にて外装シート4上に接合される。
【0035】
使い捨ておむつ1では、中間部402の各側部における前方弾性部431および後方弾性部432の集合(すなわち、6本の脚周り弾性要素430の集合)が脚周り弾性部材43として機能し、脚周り弾性部材43が収縮することにより、当該側部における外装シート4が収縮する。このように、中間部402の両側端の縁に沿って一対の脚周り弾性部材43が設けられることにより、一対の脚周りギャザー(レッグギャザー)が形成される。
【0036】
また、中間部402の各側部では、脚周り弾性部材43の前方部401側の部位である前方弾性部431と、後方部403側の部位である後方弾性部432との間に、脚周り弾性部材43の不存在領域439が設けられる。換言すると、前方弾性部431と後方弾性部432とが、吸収体20の長手方向に離間して配置される。なお、吸収体20の長手方向に関して、不存在領域439の幅は、中間部402の全長の0.1倍以上0.4倍以下であることが好ましい(より好ましくは、0.2倍以上0.3倍以下)。
【0037】
また、前方部401において吸収体20の各側方には、3本の補助弾性要素450が、中間部402とは反対側(図2中の上側)に膨らんだ凸状に配置される。各補助弾性要素450の一端は吸収体20の前方部401側の端部と重なり、他端は中間部402の側端に位置し、当該他端近傍にて補助弾性要素450が脚周り弾性要素430と交差する。後方部403においても同様に、吸収体20の各側方には、3本の補助弾性要素450が、中間部402とは反対側(図2中の下側)に膨らんだ凸状に配置される。各補助弾性要素450の一端は吸収体20の後方部403側の端部と重なり、他端は中間部402の側端に位置し、当該他端近傍にて補助弾性要素450が脚周り弾性要素430と交差する。実際には、前方部401および後方部403における複数の(全ての)補助弾性要素450は、伸張状態にて外装シート4上に接合されており、前方部401および後方部403のそれぞれにおいて、吸収体20の各側方に位置する3本の補助弾性要素450の集合が1つの補助弾性部材45として収縮する。
【0038】
このように、使い捨ておむつ1の前方部401および後方部403のそれぞれでは、吸収体20の両側方の位置において、一対の補助弾性部材45が伸張状態にて外装シート4に接合され、一対の補助弾性部材45の収縮により外装シート4の対応する部位が収縮する。これにより、前方部401の両側端を後方部403の両側端にそれぞれ接合した状態の使い捨ておむつ1(図1参照)では、吸収体20の端部近傍から使い捨ておむつ1の上端側、かつ、おむつの幅方向外側(吸収体20から離れる方向)に向かって伸びる補助弾性部材45の部位(図2中にて符号451を付す部位であり、以下、「第1傾斜部位451」という。)により、吸収体20の端部が上端側に引き上げられる。また、中間部402の側端から上端側、かつ、おむつの幅方向内側(吸収体20に近づく方向)に向かって伸びる補助弾性部材45の部位(図2中にて符号452を付す部位であり、以下、「第2傾斜部位452」という。)により、脚周りギャザー(の前方部401または後方部403近傍の部位)が、上端側に引き上げられる。
【0039】
吸収体20の前方部401側の端部における両側方において、一対の補助弾性部材45、一対の前方弾性部431および吸収体20により囲まれる外装シート4の内面の領域(図2中にて符号47を付す領域)には、一対の補助弾性部材45および一対の前方弾性部431の収縮により、着用者とは反対側に窪む一対のポケット部(以下、領域47と同様に符号47を付す。)が形成される。吸収体20の後方部403側の端部における両側方にも同様に、一対の補助弾性部材45、一対の後方弾性部432および吸収体20により囲まれる外装シート4の内面の領域に一対のポケット部47が形成される。
【0040】
図2に示すように、外装シート4上には、おむつの幅方向に伸びるシート状の2つの吸収性部材6が、吸収体20の両端部とそれぞれ重なるように設けられる。各吸収性部材6はホットメルト接着剤等により外装シート4上に接合されて固定される。実際には、吸収性部材6の中央部(おむつの幅方向の中央部)は、吸収体20の端部と外装シート4との間に配置されて両者に接合されており、吸収性部材6が外装シート4上に強固に固定される。また、吸収性部材6の両端部61は吸収体20の両側方に突出しており、補助弾性部材45と脚周り弾性部材43との交差位置と、吸収体20の側端との間に位置する。これにより、吸収性部材6の両端部61は、一対のポケット部47内に配置される。使い捨ておむつ1では、排泄物が吸収体20から漏出した場合でも、当該排泄物がポケット部47にて捕捉されるとともに、その水分が吸収性部材6の端部61により吸収される。このように、吸収性部材6の両端部61は、二次的に排泄物を吸収する一対の補助吸収部(以下、端部61と同様に符号61を付す。)となっている。なお、吸収体20では、接合部33上に固定される側壁部34の部位341から排泄物が漏出する可能性が高いが、使い捨ておむつ1では、当該部位341の側方にポケット部47が配置され、当該部位341から漏出する排泄物の捕捉が可能となっている。
【0041】
図3の外装シート4の内側シート41および外側シート42としては、バックシート23と同様に、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布やプラスチックフィルムが利用され、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。プラスチックフィルムとしては、透湿性(通気性)を有するものが好ましい。また、内側シート41または外側シート42として、トップシート21と同様に、親水性繊維により形成された不織布や親水処理した疎水性繊維にて形成された透液性の不織布が利用されてもよい。
【0042】
脚周り弾性要素430、胴周り弾性要素440および補助弾性要素450としては、サイドシート3の弾性部材35と同様に、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、本実施の形態では、ポリウレタン糸が脚周り弾性要素430、胴周り弾性要素440および補助弾性要素450として利用される。なお、脚周り弾性部材43および補助弾性部材45を構成する弾性要素の個数は任意に変更されてよく、1つの弾性要素により、各弾性部材が構成されてもよい。
【0043】
吸収性部材6としては、例えば、親水性繊維により形成された不織布や、高吸収性ポリマー(SAP)や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を不織布間に挟んで、両者を熱圧着したものが用いられる。
【0044】
図1に示す使い捨ておむつ1が着用される際には、着用者の両脚が胴部開口11を介して一対の脚部開口12に挿入された後、使い捨ておむつ1が着用者の腰周りまで引き上げられる。このとき、図2の補助弾性部材45の第1傾斜部位451により、吸収体20の各端部が上方(着用者の頭部側)に引き上げられ、吸収体20が着用者の股間部に密着する。また、補助弾性部材45の第2傾斜部位452により、脚周りギャザーが上方に引き上げられ、脚周りギャザーが着用者の鼠径部に密着する。
【0045】
以上に説明したように、図2の使い捨ておむつ1では、中間部402の前方部401側および後方部403側のそれぞれの部位において、中間部402の両側端から吸収体20側かつ使い捨ておむつ1の上端側に向かうように、一対の補助弾性部材45が外装シート4上に伸張状態にて接合される。これにより、吸収体20の両側方において、一対の補助弾性部材45、一対の脚周り弾性部材43および吸収体20により囲まれる外装シート4の内面の領域に一対のポケット部47が形成される。その結果、使い捨ておむつ1では、排泄物が吸収体20から漏出した場合でも、当該排泄物がポケット部47にて捕捉され、脚周りから外部に漏出することを防止することができる。また、一対のポケット部47内に一対の補助吸収部61が配置されることにより、当該排泄物が補助吸収部61により吸収され、脚周りから外部に漏出することをさらに防止することができる。
【0046】
使い捨ておむつ1では、中間部402の各側部において、脚周り弾性部材43の前方弾性部431と後方弾性部432との間に脚周り弾性部材43の不存在領域439が設けられることにより、補助弾性部材45および脚周り弾性部材43の収縮により形成されるポケット部47の配置を、吸収体20の両端部(すなわち、前方部401側および後方部403側の端部)の側方近傍に制限することができる。これにより、吸収体20の中央部の側方近傍にもポケット部の一部が形成されることを防止して、軟便等の排泄物がポケット部にて捕捉された状態で、ポケット部の存在により着用者の歩行動作が過度に妨げられることを防止することができる。
【0047】
また、図2の使い捨ておむつ1では、前方部401および後方部403における吸収体20の各側方の位置において、補助弾性部材45が、使い捨ておむつ1の上端側(すなわち、長手方向における外装シート4の両端部側)に凸となるように湾曲して伸張状態にて外装シート4上に接合される。これにより、装着時に補助弾性部材45により吸収体20の両端部を上端側に引き上げて、吸収体20を着用者の股間部に容易に密着させることができ、排泄物を吸収体20にて適切に吸収することが可能となる。また、補助弾性部材45により脚周りギャザーも上端側に引き上げて、脚周りギャザーを着用者の鼠径部に容易に密着させることができ、吸収体20に吸収されなかった排泄物が脚周りから外部に漏出するのを抑制することが可能となる。その結果、ポケット部47による排泄物の捕捉と相まって、排泄物が脚周りから外部に漏出することをさらに防止することが実現される。
【0048】
さらに、前方部401および後方部403のそれぞれにおいて、一対の補助弾性部材45により、吸収体20の端部および脚周りギャザーの引き上げが実現されるため、吸収体20の端部を上端側に引き上げる弾性部材と、脚周りギャザーを上端側に引き上げる弾性部材とを個別に設ける場合に比べて、使い捨ておむつの製造コストを削減することができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0050】
図2の使い捨ておむつ1では、上端側に凸となるように湾曲した補助弾性部材45が設けられることにより、補助弾性部材45、脚周り弾性部材43および吸収体20により囲まれる外装シート4の内面の領域を広くして、大きなポケット部47を形成することが可能となるが、使い捨ておむつの設計によっては、図4に示す使い捨ておむつ1aのように、中間部402の側端から上端側、かつ、おむつの幅方向内側(吸収体20に近づく方向)に向かって伸びる部位(図2の第2傾斜部位452に対応する部位)のみを有する補助弾性部材45a(の補助弾性要素450a)が設けられてもよい。
【0051】
使い捨ておむつ1,1aでは、中間部402の前方部401側および後方部403側の部位の一方のみに一対の補助弾性部材45,45aおよび吸収性部材6が設けられてもよく、この場合でも、吸収体20から漏出した排泄物が脚周りから外部に漏出することをある程度防止することができる。通常、吸収体から漏出した排泄物は脚周りの後方部側から漏出することが多いため、中間部402の前方部401側および後方部403側の部位の一方のみに一対の補助弾性部材45,45aおよび吸収性部材6を設ける場合、一対の補助弾性部材45,45aおよび吸収性部材6は中間部402の後方部403側の部位に設けられることが好ましい。
【0052】
一方、排泄物が脚周りから外部に漏出することをさらに防止するには、図2および図4のように、同様の二対の補助弾性部材が、中間部402の前方部401側および後方部403側の部位にそれぞれ設けられることが好ましい。この場合、既述のように、吸収体20の前方部401側の部位の両側方に一対のポケット部47が形成され、吸収体20の後方部403側の部位の両側方に他の一対のポケット部47が形成され、同様の二対の補助吸収部61(ただし、ポケット部47の大きさに合わせて形状が僅かに相違している。)が、当該一対のポケット部47内と当該他の一対のポケット部47内とに配置される。
【0053】
また、使い捨ておむつ1,1aでは、吸収性部材6の両端部が一対の補助吸収部61とされることにより、使い捨ておむつの部品点数を少なくすることが可能となるが、折り畳まれた状態の使い捨ておむつが嵩高になるのを防止する際には、互いに孤立した一対の補助吸収部(すなわち、吸収性部材6において吸収体20と重なる部分が省略されたもの)が一対のポケット部47内にそれぞれ設けられてもよい。
【0054】
使い捨ておむつの一の製造手法では、連続するポリウレタン糸を外装シート上に接合した後、外装シートと共にポリウレタン糸が切断されて弾性要素が形成されるため、外装シートに微小な孔が形成されることがある。したがって、上記製造手法によって使い捨ておむつが製造される場合には、図2および図4に示すように、脚周り弾性部材43および補助弾性部材45,45aのそれぞれにおける吸収体20側の端部(弾性要素の一端であり、切断位置でもある。)が吸収体20と重なって、外装シートの上記孔が吸収体20により覆われることが好ましい。他の製造手法により使い捨ておむつが製造される場合や、外装シートの上記孔が問題とはならない場合には、脚周り弾性部材43および補助弾性部材45,45aの吸収体20側の端部は、必ずしも吸収体20と重なる必要はない(後述の図5の補助弾性部材45b参照)。ただし、補助弾性部材45,45aの吸収体20側の端部は吸収体20の近傍に設けられることが好ましい。
【0055】
また、補助弾性部材45,45a、脚周り弾性部材43および吸収体20により囲まれる外装シート4の内面の領域にポケット部47が形成されるのであるならば、補助弾性部材45,45aは必ずしも脚周り弾性部材43と接する必要はなく、図5に示すように、補助弾性部材45b(の補助弾性要素450b)の脚周り弾性部材43側の端部が、中間部402の側端から僅かに離れた位置(すなわち、側端近傍)に配置され、補助弾性部材45bと脚周り弾性部材43とが非接触とされてもよい。このように、使い捨ておむつ1,1a,1bでは、補助弾性部材45,45a,45b、当該補助弾性部材45,45a,45bと近接または接する脚周り弾性部材43の前方弾性部431または後方弾性部432、および、吸収体20によりおよそ囲まれる外装シート4の内面の領域に、ポケット部47が形成される。なお、図5の使い捨ておむつ1bにおいても、補助弾性部材45bが中間部402の側端から吸収体20側、かつ、使い捨ておむつ1bの上端側に向かうように配置されていると捉えられる。
【0056】
使い捨ておむつの設計によっては、脚周り弾性部材43の前方弾性部431と後方弾性部432とがおよそ連結した状態とされ、脚周り弾性部材43の不存在領域439が省略されてもよい。また、補助吸収部61が省略され、ポケット部47の存在のみにより、吸収体20から漏出した排泄物が、脚周りから外部に漏出することが防止されてもよい。
【0057】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせられてよい。
【符号の説明】
【0058】
1,1a,1b 使い捨ておむつ
4 外装シート
6 吸収性部材
11 胴部開口
12 脚部開口
20 吸収体
43 脚周り弾性部材
45,45a,45b 補助弾性部材
47 ポケット部
61 補助吸収部
401 前方部
402 中間部
403 後方部
431 前方弾性部
432 後方弾性部
439 (脚周り弾性部材の)不存在領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に胴部開口を有し、下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつであって、
着用者の前側を覆う前方部および後側を覆う後方部の間の中間部で折り曲げられ、前記前方部の両側端が、前記後方部の両側端にそれぞれ接合されることにより、前記前方部および前記後方部の上端に胴部開口が形成され、前記前方部および前記後方部の下側において前記中間部の両側方に一対の脚部開口が形成される外装シートと、
前記外装シート上に取り付けられて着用者からの排泄物を吸収する吸収体と、
前記中間部の両側端の縁に沿って伸張状態にて前記外装シート上に接合され、収縮することにより脚周りギャザーを形成する一対の脚周り弾性部材と、
前記中間部の前記前方部側または前記後方部側の部位において、前記両側端から前記吸収体側かつ前記上端側に向かうように前記外装シート上に伸張状態にて接合される一対の補助弾性部材と、
前記吸収体の両側方において、前記一対の補助弾性部材、前記一対の脚周り弾性部材および前記吸収体により囲まれる前記外装シートの内面の領域に一対のポケット部が形成され、前記一対のポケット部内に配置される一対の補助吸収部と、
を備えることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
請求項1に記載の使い捨ておむつであって、
前記一対の補助吸収部が、前記一対のポケット部に両端部が位置するとともに、中央部が前記吸収体と前記外装シートとの間に配置される1つの部材の前記両端部であることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の使い捨ておむつであって、
前記一対の補助弾性部材が、前記上端側に凸となるように湾曲して前記外装シート上に接合されることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、
前記一対の補助弾性部材の前記吸収体側の端部が、前記吸収体と重なることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の使い捨ておむつであって、
前記一対の補助弾性部材と同様の他の一対の補助弾性部材と、
前記一対の補助吸収部と同様の他の一対の補助吸収部と、
をさらに備え、
前記吸収体の前記前方部側の部位の両側方に前記一対のポケット部が形成され、
前記吸収体の前記後方部側の部位の両側方に他の一対のポケット部が形成され、
前記他の一対の補助吸収部が前記他の一対のポケット部内に配置されることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項6】
上端に胴部開口を有し、下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつであって、
着用者の前側を覆う前方部および後側を覆う後方部の間の中間部で折り曲げられ、前記前方部の両側端が、前記後方部の両側端にそれぞれ接合されることにより、前記前方部および前記後方部の上端に胴部開口が形成され、前記前方部および前記後方部の下側において前記中間部の両側方に一対の脚部開口が形成される外装シートと、
前記外装シート上に取り付けられて着用者からの排泄物を吸収する吸収体と、
前記中間部の両側端の縁に沿って伸張状態にて前記外装シート上に接合され、収縮することにより脚周りギャザーを形成する一対の脚周り弾性部材と、
前記中間部の前記前方部側または前記後方部側の部位において、前記両側端から前記吸収体側かつ前記上端側に向かうように前記外装シート上に伸張状態にて接合される一対の補助弾性部材と、
を備え、
前記一対の脚周り弾性部材が、
前記前方部側の部位である一対の前方弾性部と、
前記後方部側の部位である一対の後方弾性部と、
を備え、
前記中間部の両側部において、前記一対の前方弾性部と前記一対の後方弾性部との間に、脚周り弾性部材の不存在領域が設けられ、
前記吸収体の両側方において、前記一対の補助弾性部材、前記一対の補助弾性部材と近接または接する前記一対の前方弾性部または前記一対の後方弾性部、および、前記吸収体により囲まれる前記外装シートの内面の領域に一対のポケット部が形成されることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項7】
請求項6に記載の使い捨ておむつであって、
前記一対の補助弾性部材が、前記上端側に凸となるように湾曲して前記外装シート上に接合されることを特徴とする使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−251045(P2011−251045A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127781(P2010−127781)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】