説明

使い捨ておむつ

【課題】尿等の排泄があったことを視覚的に認識しやすい使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】本発明の使い捨ておむつ1は、吸収体4及び吸収体4の非肌対向面側に配された裏面シート3を具備し、吸収体4が、吸収性コア40と吸収性コア40の少なくとも非肌対向面40bを被覆するコアラップシート41とを含んで構成されている。裏面シート3の肌対向面3aにおける、おむつ1の平面視において吸収性コア40と重なる部位に、水分との接触によって変色するインジケータ10が配されている。コアラップシート41における、吸収性コア40の非肌対向面40bとの対向面41aに、インジケータ10に対応して白色粉体11が散布されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開型やパンツ型の使い捨ておむつに関し、詳しくは、水分との接触によって変色するインジケータを備え、排尿等があったことを視覚的に知らせる機能を有する使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつとして、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する液不透過性の裏面シート及びこれら両シート間に配置された吸収体を具備するものが知られている。また、該吸収体として、パルプ等の親水性繊維及び/又は吸水性ポリマーを含む吸収性コアと、該吸収性コアを被覆するコアラップシートとを含んで構成されているものが知られている。また、使い捨ておむつには、水分との接触によって変色するインジケータを備え、着用時に尿等の排泄があったことを着用者やその保護者等に視覚的に知らせる機能を有するものがある。インジケータとしては、水分との接触の前後で色が変化するpH指示薬等が用いられる。
【0003】
インジケータを備えた使い捨ておむつに関し、例えば特許文献1には、吸収体及び該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートを具備し、該吸収体と該裏面シートとの間にインジケータが配された吸収性物品において、該裏面シートを、該吸収体側の透湿シートとその外側の外装シートとから構成し、該透湿シートに有色の無機粉体(例えば黄色の炭酸カルシウム)を含有させて、該透湿シートを黄色系に着色することが記載されている。特許文献1の〔0015〕には、吸収体とインジケータとの間に台紙等を設けても良いことも記載されている。特許文献1によれば、特許文献1に記載の吸収性物品は、インジケータの変色前の色とその周辺の透湿シートないしは裏面シートとが共に黄色いため、変色前のインジケータが目立たず見た目に違和感がなく外観がすっきりしており、インジケータが尿等と接触して青緑色に変わると、黄色を帯びた裏面シートの中にこの青緑色の線が映えるように浮きだし、着用者や保護者がその色の変化を明確に目視により認識することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−254597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インジケータによって排尿等があったことを視覚的に知らせる機能を有する使い捨ておむつにおいては、変色後のインジケータの視認性の更なる向上が要望されている。特許文献1に記載の吸収性物品においては、裏面シート(透湿シート)を黄色系に着色することで変色後のインジケータの視認性の向上を図っているが、一般に、この種の吸収性物品(衛生用品)には清潔感のある白色が好まれる傾向があり、黄色系の構成部材を具備する特許文献1に記載の吸収性物品は、清潔感の点で改善の余地がある。また、特にインジケータとしてpH指示薬を用いた場合には、インジケータとしてのpH指示薬が、少量の水分(尿)によって応答性良く鮮やかに変色することが要望されるが、特許文献1に記載の吸収性物品は、インジケータの応答性や変色性の点でも改良の余地がある。
【0006】
従って本発明の課題は、尿等の排泄があったことを視覚的に認識しやすい使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸収体及び該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートを具備し、該吸収体が、吸収性コアと該吸収性コアの少なくとも非肌対向面を被覆するコアラップシートとを含んで構成されている使い捨ておむつであって、前記裏面シートの肌対向面における、前記使い捨ておむつの平面視において前記吸収性コアと重なる部位に、水分との接触によって変色するインジケータが配されており、前記コアラップシートにおける、前記吸収性コアの非肌対向面との対向面に、前記インジケータに対応して白色粉体が散布されている使い捨ておむつを提供することにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の使い捨ておむつによれば、尿等の排泄液に含まれる水分との接触によって変色したインジケータを外部から容易に目視確認することができ、尿等の排泄があったことを視覚的に容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつの一実施形態を示す図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた状態を示す肌対向面側(表面シート側)の模式平面図である。
【図2】図2は、図1のI−I線断面(幅方向の断面)を示す模式断面図である。
【図3】図3は、図1に示す使い捨ておむつにおけるコアラップシートの、吸収性コアの非肌対向面との対向面(吸収性コア対向面)の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の使い捨ておむつについて、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態のおむつ1は、図1及び図2に示すように、吸収体4及び吸収体4の非肌対向面側に配された裏面シート3を具備し、吸収体4が、吸収性コア40と吸収性コア40の少なくとも非肌対向面40bを被覆するコアラップシート41とを含んで構成されている。
【0011】
更に説明すると、本実施形態のおむつ1は、いわゆる展開型の使い捨ておむつであり、図1及び図2に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する液不透過性ないし撥水性(以下、これらを総称して液不透過性という)の裏面シート3、及び両シート2,3間に配置された吸収体4を具備し、実質的に縦長に形成されている。表面シート2、裏面シート3及び吸収体4は、何れも、一方向Xに長い縦長の形状を有している。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、吸収体4よりも大きな寸法を有し、吸収体4の周縁から外方に延出している。表面シート2は、図2に示すように、その幅方向Yの寸法が、裏面シート3の幅方向Yの寸法よりも小さくなっている。
【0012】
おむつ1は、図1に示すように、長手方向Xに、着用時に着用者の背側に配される背側部Aと、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Bと、着用時に着用者の股下の配される股下部Cとを有している。股下部Cは、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部を含んでおり、おむつ1の長手方向Xの中央部に位置している。おむつ1は、股下部Cの両側縁が内向きの円弧状に湾曲しており、図1に示す如き平面視において、長手方向Xの中央部が内方に括れた砂時計状の形状となっている。
【0013】
本明細書において、肌対向面は、使い捨ておむつ又はその構成部材(例えば吸収体4)における、使い捨ておむつの着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、使い捨ておむつ又はその構成部材における、使い捨ておむつの着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。また、長手方向は、使い捨ておむつ又はその構成部材の長辺に沿う方向であり、幅方向は、該長手方向と直交する方向である。図中、符号Xで示す方向は、おむつ1(吸収体4、吸収性コア40)の長手方向であり、符号Yで示す方向は、おむつ1(吸収体4、吸収性コア40)の幅方向である。
【0014】
吸収体4を構成する吸収性コア40は、股下部Cの両側縁が内向きの円弧状に湾曲しており、図1に示す如き平面視において、長手方向Xの中央部が内方に括れた砂時計状の形状となっている。また、吸収体4を構成するコアラップシート41は、1枚の連続したシートであり、図2に示すように、吸収性コア40の肌対向面40aの全域を被覆し、且つ吸収性コア40の長手方向Xに沿う両側縁部から幅方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収性コア40の下方に巻き下げられて、吸収性コア40の非肌対向面40bの全域を被覆している。
【0015】
図1及び図2に示すように、おむつ1の長手方向Xに沿う両側部それぞれには、一側縁部に糸状の弾性部材61が伸張状態で固定されているサイドシート62が配されており、着用時における股下部Cには、一対の立体ギャザーが形成される。また、着用者の脚周りに配される左右のレッグ部における表面シート2と裏面シート3との間には、糸状の弾性部材63が長手方向Xに沿って伸張状態で配されており、着用時におけるレッグ部には、弾性部材63の収縮により、一対のレッグギャザーが形成される。また、背側部A及び腹側部Bそれぞれのウエスト部(長手方向Xの端部)における表面シート2と裏面シート3との間には、帯状の弾性部材64が幅方向Yに沿って伸張状態で配されてウエストギャザーが形成されている。一対のサイドシート62,62、表面シート2、吸収体4、弾性部材63,64及び裏面シート3は、ホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
【0016】
また、図1に示すように、おむつ1の背側部Aの長手方向Xに沿う両側縁部には、一対のファスニングテープ8,8が設けられている。より具体的には、背側部A及び腹側部Bそれぞれの長手方向Xに沿う両側部には、吸収体4の長手方向Xに沿う両側縁部から幅方向Yの外方に延出するサイドフラップ7,7が形成されており、各サイドフラップ7に、ファスニングテープ8が幅方向Yの外方に延出して取り付けられている。ファスニングテープ8には、機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部81が取り付けられている。
【0017】
また、おむつ1の腹側部Bの非肌対向面には、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域9が形成されている。被止着領域9は、裏面シート3の非肌対向面に、機械的面ファスナーのメス部材を公知の接合手段(例えば、接着剤やヒートシール等)で接合固定して形成されており、ファスニングテープ8の止着部81を着脱自在に止着可能である。
【0018】
図2に示すように、裏面シート3の肌対向面3a(吸収体対向面)における、図1に示す如きおむつ1の平面視において吸収性コア40と重なる部位には、水分との接触によって変色するインジケータ10が配されている。インジケータ10は、pH指示薬等を含むインジケータ組成物を、裏面シート3の肌対向面3aの所定部位に公知の塗布手段により塗布することにより形成されている。
【0019】
インジケータ10は、少なくとも前記排泄部対向部に配されることが好ましい。本実施形態におけるインジケータ10は、図3に示すように、吸収性コア40(おむつ1)の幅方向Yの中央部において、前記排泄部対向部を含む股下部Cの長手方向Xの全長に亘って配され且つ背側部A及び腹側部Bそれぞれの股下部C寄りの部分にも配されており、平面視して吸収性コア40(おむつ1)の長手方向Xに延びる連続直線状に形成されている。本実施形態では、複数本(3本)の直線状のインジケータ10が、幅方向Yに所定間隔を置いて配されている。尚、図3は、コアラップシート41の、吸収性コア40の非肌対向面40bとの対向面(吸収性コア対向面)41aの模式平面図であり、符号41abは、該吸収性コア対向面41aのインジケータ10に対応する部位(インジケータ10の上方に位置する部位。以下、インジケータ対応部位ともいう。)を示すものであるが、インジケータ10の配置位置及び平面視形状を示すものでもある。また、図3には、説明容易の観点から、吸収性コア40を図示している。
【0020】
インジケータ10の寸法は特に制限されないが、図3に示す如き直線状の場合、例えば、長手方向Xの長さを50〜300mm、幅方向Yの長さを0.5〜10.0mmとすることができる。また、幅方向Yに隣接する2本の直線状のインジケータ10の間隔は、好ましくは0.5〜5.0mmである。また、直線状のインジケータ10の本数は、好ましくは1〜3本である。
【0021】
インジケータ10としては、尿等の排泄液に含まれる水分との接触によって変色する、変色物質を含むものが用いられる。そのような変色物質としては、pH指示薬が挙げられる。pH指示薬としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品において通常用いられているものを特に制限無く用いることができ、例えば、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、アリザンS、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、メリルクレゾールパープル、レザズリン等を用いることができる。インジケータ10における変色物質(pH指示薬)の含有量は、好ましくは0.1〜5.0質量%である。
【0022】
インジケータ10には、前記変色物質(pH指示薬)に加えて更に、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、尿酸、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の酸性物質(顕色剤);アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性等の界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミノキサド等を含有させることができる。
【0023】
本実施形態のおむつ1の主たる特長の一つとして、図2及び図3に示すように、コアラップシート41における、吸収性コア40の非肌対向面40bとの対向面(以下、吸収性コア対向面ともいう)41aに、インジケータ10に対応して白色粉体11が散布されている点が挙げられる。白色粉体11は、吸収性コア対向面41a上に塗布されたホットメルト型接着剤等の接着剤(図示せず)によって吸収性コア対向面41a上に固定されているが、白色粉体11の一部が、意図せずに、吸収性コア対向面41a上から離脱して吸収性コア40内に入り込んでいる場合もある。白色粉体11を吸収性コア対向面41a上に固定する接着剤は、吸収性コア40とコアラップシート41とを接合するための接着剤でもあり、吸収性コア対向面41aの全域に所定の塗布パターン(例えば、長手方向Xに延びる直線状の接着剤塗布部が幅方向Yに所定間隔を置いて複数本形成されてなる、ストライプ状)で塗布されている。
【0024】
白色粉体11は、図3に示すように、コアラップシート41の吸収性コア対向面41a上における、吸収性コア40の幅方向Yの中央部に対応する部位の全長に亘って連続帯状に散布されており、その白色粉体11の連続帯状の散布部11aは、平面視して、裏面シート3の肌対向面3a上に配された全てのインジケータ10(3本の直線状のインジケータ10)と重なるように形成されている。即ち、白色粉体11は、吸収性コア対向面41aにおけるインジケータ10対応部位41abの全域を包含するように散布されている。
【0025】
このように、コアラップシート41の吸収性コア対向面41aに、裏面シート3上に配されたインジケータ10に対応して(平面視してインジケータ10と重なるように)白色粉体11を散布することにより、おむつ1の着用時に第三者(おむつ1の着用者の保護者等)がおむつ1を外部から見たときに、インジケータ10が、白色粉体11の散布によって白色が強調された部分を背景に存在するようになり、インジケータ10が尿等の排泄液に含まれる水分との接触によって変色した場合には、その変色したインジケータ10の色が、白色粉体11の白をバックにコントラスト良く鮮明になるため、変色したインジケータ10を外部から容易に目視確認することができる。
【0026】
これに対し、白色粉体11を、本実施形態のようにコアラップシート41上に散布せずに、特許文献1に記載されているように裏面シート3(樹脂製フィルム)に含有させた場合には、外部からおむつ1を見たときにインジケータ10の前面に白色粉体11が位置することになるため、前述した白色粉体11によるコントラスト効果が得られず、変色したインジケータ10の視認性は向上しない。また、白色粉体11を裏面シート3に含有させるとなると、裏面シート3の成形性や品質安定性等の観点から、白色粉体11の粒径その他の特性をある程度揃える必要があり、白色粉体11の選択の幅がある程度制限されるところ、本実施形態のようにコアラップシート41上に散布する場合には、白色粉体11の粒径等を揃える必要は特に無く、白色粉体11の選択の幅が広がり、製造コスト等の面で有利である。
【0027】
白色粉体11としては、白色で水に不溶又は難溶の(水吸収性に乏しい)無機物が好ましく用いられ、例えば、タルク、炭酸カルシウム、石膏、クレー、カオリン、シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラック、アルミニウム粉、鉄粉等の粉粒体が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。白色粉体11のJIS-P8123に従って測定される白色度は、好ましくは80%以上、更に好ましくは85〜95%である。
【0028】
白色粉体11としては、インジケータ10の応答性や変色したインジケータ10の鮮明性の向上の観点から、白色粉体11に接触した水分のpHを変化させるものを用いることもできる。白色粉体11をこのようなpH変化を伴うものにすると、尿等に含まれる水分が該白色粉体11に接触した場合に、該水分のpHが、該白色粉体11の下方に位置するインジケータ10(pH指示薬)を変色させるpH域に入るようになる。こうして白色粉体11との接触によってpHが変化した水分が、おむつ1内を下方に移行してインジケータ10に接触することで、インジケータ10は速やかに且つ鮮明に変色するようになり、前述した白色粉体11によるコントラスト効果と相俟って、尿等の排泄があったことが視覚的に一層容易に認識できるようになる。
【0029】
前述したpH変化を伴う白色粉体11としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の粉粒体が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの粉粒体(白色粉体)は、何れも、中性(pH7)の水分を該粉粒体との接触によってアルカリ性側(pH7超)にシフトさせるものである。
【0030】
本発明で好ましく用いられる、インジケータ10及び白色粉体11の組み合わせとしては、例えば、インジケータ10として下記組成のインジケータ10A用い且つ白色粉体11としてタルクを用いる組み合わせが挙げられる。インジケータ10Aは、水分と接触する前は黄色で、水分と接触すると青色に変色する。インジケータ10Aの組成は、主成分(インジケータの全質量の50質量%以上を占める成分)が重合トール油ロジンであり、主成分以外の他の成分がジプロピレングリコールジベンゾエート、ポエチレンレングリコールコンパウンド、酸化防止剤、ブロモクレゾールグリーン及びレザズリンである。
【0031】
白色粉体11の散布量は、変色後のインジケータ10の視認性の向上、発色の鮮やかさ等の観点から、好ましくは10〜300g/m2、更に好ましくは50〜100g/m2である。
【0032】
尚、本実施形態においては、白色粉体11の散布量は、図3に示す連続帯状の白色粉体11の散布部11aの全域において均一であり、従って、コアラップシート41(吸収性コア対向面41a)のインジケータ対応部位41abの全域においても均一であるが、本発明においては、白色粉体11の散布量は、コアラップシート41のインジケータ対応部位41abにおいて、部分的に異なっていても良い。例えば、吸収性コア40の長手方向Xに延びる連続直線状のインジケータ対応部位41ab(あるいは連続帯状の白色粉体11の散布部11a)において、長手方向Xの一端側から他端側に向かって白色粉体11の散布量を漸次減少又は増加させても良く、あるいは、該散布量が相対的に多い部分と相対的に少ない部分とを長手方向Xに交互に配しても良い。インジケータ対応部位41abにおける、白色粉体11の散布量が相対的に少ない部分には、該散布量が0g/m2の場合も含まれる。つまり、本発明においては、コアラップシート41のインジケータ対応部位41abの一部に、白色粉体11が意図的に散布されていなくても良い。
【0033】
おむつ1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2及び裏面シート3としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができる。表面シート2としては、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができる。裏面シート3としては、液不透過性で且つ透湿性を有するシートを用いることができ、例えば、シートを厚み方向に貫通する微細孔を備えることで透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等を用いることができる。また、サイドシート62としては、裏面シート3と同様のものを用いることができる。
【0034】
吸収性コア40としては、例えば、木材パルプ、合繊繊維等の親水性繊維からなる繊維集合体、又は該繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持させたもの等を用いることができる。吸収性コア40の坪量は、好ましくは350〜500g/m2である。また、吸収性コア40を被覆するコアラップシート41としては、例えば、ティッシュペーパー等の紙や各種不織布、開孔フィルム等を用いることができる。コアラップシート41の無荷重下における厚みは好ましくは0.1〜0.3mm、坪量は好ましくは10〜20g/m2である。
【0035】
本実施形態のおむつ1は、公知の展開型の使い捨ておむつと同様に使用される。本実施形態のおむつ1は、コアラップシート41の吸収性コア対向面41aにおけるインジケータ対応部4abに白色粉体11が散布されているため、おむつ1の着用時におむつ1を外部から見たときに、尿等に排泄液に含まれる水分によって変色したインジケータ10の色が、白色粉体11の白をバックにコントラスト良く鮮明になるため、インジケータ10の変色を容易に目視確認することができ、おむつ1の交換時期の判断材料を的確に提供することができる。特に、白色粉体11として、白色粉体11に接触した水分のpH変化を伴うものを用いた場合には、インジケータ10が応答性良くより鮮明に変色するようになるため、前記のコントラスト効果と相俟ってインジケータ10の視認性が一層向上する。
【0036】
本発明は、前記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、前記実施形態では、コアラップシート41は1枚の連続したシートであり、該シートを吸収性コア40に沿って折り曲げて、吸収性コア40の長手方向Xの両端面を除く、吸収性コア40の表面の全域を被覆していたが、これに代えて、2枚のコアラップシート41を用い、一方で吸収性コア40の肌対向面40aを被覆し、他方で非肌対向面40bを被覆しても良い。また、本発明の使い捨ておむつは、前記実施形態の如きファスニングテープを有する展開型の使い捨ておむつの他、予めパンツ型に形成されたパンツ型の使い捨ておむつであっても良い。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
【0038】
〔実施例1〕
図1及び図2に示すおむつ1と同様の基本構成を有する展開型の使い捨ておむつを作製し、これを実施例1のサンプルとした。表面シートとしては、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンを芯鞘成分とする芯鞘構造の合成繊維から構成される坪量36g/m2の液透過性の開孔不織布を用い、裏面シートとしては、坪量20g/m2の液不透過性且つ透湿性のポリエチレン製樹脂フィルム(炭酸カルシウム配合)を用いた。吸収性コアとしては、繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持させたものとして、フラッフパルプ200g/m2と吸水性ポリマー186g/m2との均一混合物からなる総坪量386g/m2の吸収性コアを用いた。コアラップシートとしては、厚み0.2mm(坪量16g/m2)の親水性の台紙を用いた。吸収体は、コアラップシートの一面の所定部位にホットメルト型接着剤を塗布し、その接着剤塗布面に、白色粉体を所定の散布パターンで散布した後、更に吸収性コアを重ね合わせ、該コアラップシートを適宜折り曲げて作製した。吸収体の長手方向の全長は360mm、幅方向の全長(最大長さ)は110mm、無荷重下での厚みは5.0mmであった。インジケータ及び白色粉体は、それぞれ、図3に示すように配置し、白色粉体の散布量は、図3に示す連続帯状の散布部11aの全域において均一(インジケータ対応部位41abの全域において均一)とした。インジケータとしては、重合トール油ロジンを主成分とする前記インジケータ10Aを用い、白色粉体としてはタルクを用いた。
【0039】
〔実施例2〜4〕
白色粉体の散布量を適宜変更した以外は、実施例1と同様にして展開型の使い捨ておむつを作製し、実施例1〜4のサンプルとした。
【0040】
〔比較例1〕
白色粉体を散布しなかった以外は、実施例1と同様にして展開型の使い捨ておむつを作製し、比較例1のサンプルとした。
【0041】
〔評価〕
実施例及び比較例の各サンプル(使い捨ておむつ)について、下記方法に従ってインジケータの視認性を評価した。その結果を下記表1に示す。
【0042】
<インジケータ視認性>
測定対象の使い捨ておむつを図1に示す如く平面状に拡げ、肌対向面(表面シート)を上に向けて水平面上に固定した状態で、インジケータ配置部の表面シート上に、円筒状の注入部の付いたアクリル板をのせ、更にそのアクリル板上に錘をのせ、該インジケータ配置部に対して5g/cm2の荷重を加える。アクリル板に設けられた注入部は、内径10mmの円筒状をなし、アクリル板には、長手方向及び幅方向の中心軸に、該円筒状注入部の中心軸線が一致し、該円筒状注入部の内部とアクリル板の表面シート対向面との間を連通する内径10mmの貫通孔が形成されている。次いで、円筒状注入部の中心軸が吸収体の平面視における中心部(インジケータの中心部)と一致するようにアクリル板を配置し、10gの水道水(pH7.0)を、円筒状注入部から注入しおむつに吸収させる。水道水が全ておむつに吸収されたら、速やかにアクリル板と錘を取り除き、水道水の注入から30分経過後に、色差計(日本電色工業株式会社製、NF333)を用いて、インジケータ配置部の非肌対向面のb値を測定する。水道水の注入前におけるインジケータ配置部の非肌対向面の色合いは黄色であり、そのb値は13.5である。b値が小さくなるほど、被測定部(インジケータ配置部)の色合いは青味が強くなり、青色が鮮明となる。
【0043】
また、インジケータ視認性の評価として、前記の色差計によるb値の測定に加えて、インジケータ配置部の非肌対向面の色合いの目視判定を行った。具体的には、白色粉体を散布しなかった比較例1のインジケータ配置部の非肌対向面の色合いを基準として、他のサンプルのインジケータ配置部の非肌対向面の色合い(青色)が該基準よりも鮮明であるか否かを目視で官能評価した。その結果、実施例は全て、比較例1よりもインジケータ配置部の非肌対向面の色合いが鮮明であった。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示す結果から明らかなように、インジケータと共に白色粉体(タルク)を併用した各実施例の使い捨ておむつは、白色粉体を併用しなかった比較例1の使い捨ておむつに比して、水注入後30分経過後のb値が小さく、インジケータ配置部の非肌対向面の青色がより鮮明であった。この結果から、本発明で提案する、「コアラップシートにおける、吸収性コアの非肌対向面との対向面に、インジケータに対応して白色粉体を散布する技術」は、排尿があったことを視覚的に認識しやすくする上で有効であることが分かる。
【符号の説明】
【0046】
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
3a 裏面シートの肌対向面
4 吸収体
10 インジケータ
11 白色粉体
11a 白色粉体の散布部
40 吸収性コア
40b 吸収性コアの非肌対向面
41 コアラップシート
41a コアラップシートの吸収性コア対向面
41ab コアラップシートのインジケータ対応部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体及び該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートを具備し、該吸収体が、吸収性コアと該吸収性コアの少なくとも非肌対向面を被覆するコアラップシートとを含んで構成されている使い捨ておむつであって、
前記裏面シートの肌対向面における、前記使い捨ておむつの平面視において前記吸収性コアと重なる部位に、水分との接触によって変色するインジケータが配されており、
前記コアラップシートにおける、前記吸収性コアの非肌対向面との対向面に、前記インジケータに対応して白色粉体が散布されている使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記白色粉体は、該白色粉体に接触した水分のpHを変化させるものである請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記白色粉体の散布量は、前記コアラップシートの前記インジケータに対応する部位において、部分的に異なっている請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−120667(P2012−120667A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273348(P2010−273348)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】