説明

使い捨ておむつ

【課題】レッグギャザーを構成する伸縮性部材を着用者の脚周りに沿って配置して、脚周りにおけるフィット性を高めることができる使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】 使い捨ておむつ1は、吸収体の長手方向に沿って伸長された状態で吸収体よりも幅方向外側に配置された複数の伸縮性部材を有するおむつ本体10と、おむつ本体よりも幅方向外側に延出する背側サイドフラップ20と、背側サイドフラップ20とおむつ本体とを接合する接合部51と、を備える。複数の伸縮性部材のうち最も前記幅方向外側に位置する第1伸縮性部材123a及び第1伸縮性部材124aは、長手方向に沿って伸長された状態で、使い捨ておむつの厚さ方向Tにおいて接合部に重なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面シートと裏面シートとの間に設けられた吸収体を有するおむつ本体と、おむつ本体よりも幅方向外側に延出するサイドフラップと、を有する使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸収性物品としてオープン型の使い捨ておむつが提供されている(例えば、特許文献1参照)。オープン型の使い捨ておむつは、表面シートと裏面シートとの間に設けられた吸収体を有するおむつ本体と、おむつ本体の長手方向の外端部においておむつ本体よりも幅方向外側に延出する背側サイドフラップと、を備え、各部材が展開された状態で提供される。
【0003】
特許文献1に記載の使い捨ておむつの背側サイドフラップには、おむつ本体に対して背側サイドフラップを着脱可能に止着する止着部材が設けられている。おむつ本体の幅方向における両外端部には、レッグギャザーを構成する伸縮性部材が長手方向に伸縮可能な状態で設けられている。
【0004】
このように構成された使い捨ておむつを着用する際は、背側サイドフラップが着用者の背面側に位置する状態で、着用者の股間に吸収体を対向させて配置した後、背側サイドフラップを着用者の腹側に引き寄せ、着用者の腹側のおむつ本体に対して止着部材を止める。このように着用することにより、背側サイドフラップとおむつ本体とによって着用者の腰周りを覆い、かつおむつ本体の幅方向における外端部によって着用者の脚周りを覆うことができる。また、おむつ本体の幅方向における外端部には、レッグギャザーを構成する伸縮性部材が配置されており、着用者の脚周りに対しておむつ本体をフィットさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2000−513636号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された使い捨ておむつには、以下の問題点があった。
【0007】
使い捨ておむつの長手方向及び幅方向の略中央には、着用者の股間部と当接する股下領域が設けられている。この股下領域は、着用者の腰周りに装着される背側サイドフラップ等から離れている。よって、股下領域は、体液等が排出されて吸収体が重くなった際に、体液等の重みにより下がり、着用者から離間してしまうことがある。
【0008】
このとき、使い捨ておむつの長手方向の両外端部に位置する背側サイドフラップとおむつ本体とは、止着部材等によって接合されているため、吸収体の重みにより股下領域が下がった場合であっても、着用者の腰周りに装着された状態が維持され易い。
【0009】
しかし、脚周りに配置される伸縮性部材は、止着部材が設けられたサイドフラップと離間しており、股下領域が下がることによって引き下がることがある。伸縮性部材が下がると、着用者の脚周りに沿ってレッグギャザーが形成されず、脚周りにおけるフィット性が低下するおそれがある。脚周りにおけるフィット性が低下すると、着用者の脚周りと使い捨ておむつとの間に隙間が形成され、横漏れが発生するおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、レッグギャザーを構成する伸縮性部材を着用者の脚周りに沿って配置して脚周りにおけるフィット性を高め、横漏れの発生を抑制できる使い捨ておむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本開示に係る使い捨ておむつは、液透過性の表面シート(表面シート110)と、液不透過性の裏面シート(外装シート120)と、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体(吸収体130)と、前記吸収体の長手方向に沿って伸長された状態で前記吸収体よりも幅方向外側に配置された複数の伸縮性部材とを有するおむつ本体(おむつ本体10)と、前記おむつ本体の前記長手方向の外端部において、前記おむつ本体よりも前記幅方向外側に延出するサイドフラップ(背側サイドフラップ20、腹側サイドフラップ30)と、前記サイドフラップと前記おむつ本体とを接合する接合部(接合部51、53)と、を備える使い捨ておむつであって、前記複数の伸縮性部材(第1伸縮性部材123a、123b、124a、124b、第2伸縮性部材123c、124c)のうち最も前記幅方向外側に位置する伸縮性部材(第1伸縮性部材123a、124a)は、前記長手方向に沿って伸長された状態で、前記使い捨ておむつの厚さ方向(厚さ方向T)において前記接合部に重なっていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
複数の伸縮性部材のうち最も幅方向外側に位置する伸縮性部材は、着用者の脚周りに配置される。この幅方向外側の伸縮性部材は、おむつ本体とサイドフラップとを接合する接合部に対して伸長された状態で重なっている。よって、サイドフラップが引き上げられることにより、最も幅方向外側に位置する伸縮性部材は、サイドフラップと共に引き上げられる。
【0013】
体液の重み等によって伸縮性部材が下がった場合であっても、サイドフラップによって伸縮性部材全体をサイドフラップ側に引き上げ、着用者の脚周りに沿って伸縮性部材を配置することができる。よって、脚周りのフィット性を高め、着用者の脚周りと使い捨ておむつとの隙間を低減し、排泄物の横漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る使い捨ておむつの平面図である。
【図2】第2の実施形態に係る使い捨ておむつの組み立て図である。
【図3】図1のA−A’線における断面図である。
【図4】図1のB−B’線における断面図である。
【図5】図1のC−C’線における断面図である。
【図6】使い捨ておむつの展開状態を模式的に示した斜視図である。
【図7】使い捨ておむつの装着状態を模式的に示した斜視図である。
【図8】使い捨ておむつのサイドフラップの止着部材と伸縮性部材との位置関係を説明するための図である。
【図9】第2の実施形態に係る使い捨ておむつを説明する組み立て図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態に係る使い捨ておむつ)
第1の実施形態に係る使い捨ておむつについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0016】
具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また、以下の説明において、同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付けて詳細な説明は省略する。
【0017】
図1は、第1の実施形態に係る使い捨ておむつ1の平面図である。図2は、図1に示す使い捨ておむつ1の組み立て図である。図3は、使い捨ておむつ1のA−A’線における断面図である。図4は、使い捨ておむつ1のB−B’線における断面図である。図5は、使い捨ておむつ1のC−C’線における断面図である。
【0018】
使い捨ておむつ1は、おむつ本体10と、背側サイドフラップ20と、腹側サイドフラップ30とを備える。使い捨ておむつ1の背側サイドフラップ20は、着用者の胴周りの背中側に宛がわれる。また、腹側サイドフラップ30は、着用者の胴周りの腹側に宛がわれる。おむつ本体10は、着用者の股下に宛がわれる。
【0019】
おむつ本体10は、矩形状である。おむつ本体10は、着用者側に配置される液透過性を有する表面シート110と、衣服側に配置される不液透過性を有する裏面シートとしての外装シート120と、表面シート110と外装シート120との間に配置される吸収体130と、吸収体130の幅方向外側に設けられるサイドシート141,142を備える。
【0020】
表面シート110は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0021】
天然繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロースが挙げられる。化学繊維の例としては、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、又は親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維などが挙げられる。熱可塑性疎水性化学繊維の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単繊維、ポリエチレンとポリプロピレンをグラフト重合してなる繊維、芯鞘構造等の複合繊維が挙げられる。例えば、表面シート110は、目付23g/mのポイントボンド不織布である。
【0022】
不織布を作成する方法としては、乾式(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)及び湿式のいずれか一つの方法を用いることができる。乾式法と湿式法のうち、複数の方法を組み合わせてもよい。また、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディング等の方法が挙げられる。不織布を作成する方法は、上述の方法に限定されない。
【0023】
外装シート120は、衣服に当接するバック不織布121と、バック不織布121よりも肌側に位置する液不透過性のフィルム(以下、バックフィルムという)122とを有する。バックフィルム122は、透湿又は非透湿性のフィルムからなる。バック不織布121は、SMS不織布(スパンボンド不織布とメルトブロー不織布との複合不織布)、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布から構成された疎水性の不織布である。バック不織布121とバックフィルム122とは、ホットメルト型接着剤(以下、HMAとする)等で接合されている。例えば、バックフィルム122は、目付16g/mの非通気性フィルムであり、バック不織布121は、目付13g/mのSMS不織布である。
【0024】
吸収体130は、液体を吸収する吸収性コア131と、吸収性シート132とを有する。吸収性コア131は、親水性繊維、高吸収性ポリマーを含む。親水性繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロース、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、粒子状ポリマー、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維、又は、親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維等を単独又は混合して用いることができる。これらの中でも、低コストと吸収体の成形し易さとを考慮すると、粉砕パルプを使用することが好ましい。親水性繊維に高分子吸収体を混合したものを使用してもよい。
【0025】
吸収性コア131は、吸収性シート132によって包まれている。本実施形態では、吸収性シート132は、ティッシュである。吸収体130は、表面シート110に包まれた状態で、バックフィルム122の肌側の表面にHMA等で接合される。
【0026】
サイドシート141、142は、表面シート110の幅方向における両側に配設される。サイドシート141,142は、バックフィルム122よりも幅方向外側において、バック不織布121に接合されている。サイドシート141,142とバック不織布121との間には、後述する第1伸縮性部材が配置されている。
【0027】
サイドシート141,142は、例えば、外装シート120と同様の材料から選ぶことができる。但し、サイドシート141,142を乗り越えて使い捨ておむつ1の幅方向外側へ尿や便などの排泄物が流れることを防止するためには、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。
【0028】
おむつ本体10の長手方向における両端部には、背側サイドフラップ20と腹側サイドフラップ30とがそれぞれ接合されている。背側サイドフラップ20は、少なくともおむつ本体10の長手方向Lの端部領域10Aに取り付けられる。背側サイドフラップ20は、おむつ本体10の幅よりも長く、端部領域10Aを覆う。
【0029】
腹側サイドフラップ30は、おむつ本体10の長手方向における他方の端部領域10Bに取り付けられる。腹側サイドフラップ30は、おむつ本体10の幅よりも長く、端部領域10Bを覆う。
【0030】
背側サイドフラップ20及び腹側サイドフラップ30は、疎水性の不織布、透湿又は非透湿性のフィルム、若しくは疎水性の不織布と透湿又は非透湿性のフィルムとを貼り合わせた複合シートからなる。ポリエチレン、ポリプロピレン等を主体としたフィルム、通気性のある樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。
【0031】
本実施の形態に係る背側サイドフラップ20及び腹側サイドフラップ30は、目付15g/mのSMS不織布からなり、少なくとも背側サイドフラップ20の幅方向の自由端20A,20Bでは、幅方向外側端部を基点に幅方向内側に折り返されており、2枚に重ねられている。
【0032】
背側サイドフラップ20には、止着部材41,42が接合される。止着部材41,42は、背側サイドフラップ20における幅方向両端部に位置する自由端20A,20Bに取り付けられる。おむつ本体10の端部領域10Bの衣服当接面側には、止着部材41、42が係止される係止部43が設けられている。止着部材41,42は、いわゆる面ファスナーの雄部材であり、係止部43は雌部材である。
【0033】
止着部材41,42には、複数の鉤状の突起群(フックという)を有する係合面が形成される。止着部材の素材としては、例えば、PPSB(ポリプロピレンスパンボンド不織布)があげられ、例えば、目付80g/mのPPSBを用いることが好ましい。フックの目付は100g/mであることが好ましい。
【0034】
止着部材41,42が係止される係止部43は、フックが係合可能な不織布や編み物である。不織布を構成する繊維質材としては、芯鞘構造を有する複合繊維が用いられる。繊維質材としては、芯成分/鞘成分が、例えば、PP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)、PP/低融点PP、PET(ポリエチレンテレフタレート)/低融点PET、PET/PEの組み合わせを用いる。繊維質材に、レーヨン、PET、PP、ナイロン等のポリアミド、アクリル、ウレタン、コットン等の繊維を混合してもよい。例えば、雌部材の目付は38g/mである。
【0035】
おむつ本体10と背側サイドフラップ20とは、接合部51においてHMA等の接着材によって互いに接合される。接合部51を図1において斜線にて示す。接合部51は、幅方向中央側に比べて幅方向外側における長手方向の長さが長く構成されており、幅方向中央部分が幅方向外側に向かって凹む形状である。
【0036】
おむつ本体10には、吸収体130の長手方向Lに沿って伸長された状態で複数の伸縮性部材が配置されている。伸縮性部材は、着用者の脚周りに形成されるレッグギャザー13(図6参照)を構成する第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bと、着用者の股間部に配置される防漏壁15(図6参照)を構成する第2伸縮性部材123c、124cとを有する。なお、第2伸縮性部材は、サイドシート141、142の幅方向における内側端部に配置されており、サイド伸縮部材として機能する。
【0037】
複数の伸縮性部材は、使い捨ておむつの幅方向における中心を通り、かつ長手方向に延びる仮想線ELを中心軸として対称に配置される。仮想線ELを中心軸として一方側には、第1伸縮性部材123a、123bと、第2伸縮性部材123cとが配置され、他方側には、第1伸縮性部材124a、124bと、第2伸縮性部材124cとが配置される。
【0038】
第1伸縮性部材123a、123b(第1伸縮性部材124a、124b)は、それぞれ幅方向に隣接して配置されている。また、第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bのうち、幅方向外側に配置される第1伸縮性部材123a、124aは、複数の伸縮性部材のうち最も幅方向外側に配置されている。
【0039】
第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bの背側端部123ar、123br、124ar、124brを含む背側端部領域RAは、おむつ本体10と背側サイドフラップ20との接合部51に対して使い捨ておむつの厚さ方向Tにおいて(図1に示す平面視において)重なっている。
【0040】
なお、第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bと接合部51とが厚さ方向において重なっている状態とは、第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bと接合部51とが当接して重なっている状態のみならず、第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bと接合部51との間に他の部材を挟んで重なっている状態も含むものである。
【0041】
背側端部領域RAにおいて第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bは、長手方向Lに沿って伸長された状態でおむつ本体10に装着されている。よって、第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bの弾性力は、おむつ本体10と背側サイドフラップ20とを長手方向Lに収縮する方向に作用する。
【0042】
おむつ本体10と腹側サイドフラップ30とは、接合部53においてHMA等の接着材によって互いに接合される。同様に、接合部53には、第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bの腹側端部123af、123bf、124af、124bfを含む腹側端部領域FAが使い捨ておむつの厚さ方向Tにおいて(図1に示す平面視において)重なっている。
【0043】
腹側端部領域FAにおいて第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bは、長手方向Lに沿って伸長された状態でおむつ本体10に装着されている。よって、第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bの弾性力は、おむつ本体10と腹側サイドフラップ30とを長手方向Lに収縮する方向に作用する。
【0044】
第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bは、バックフィルム122よりも幅方向外側におけるバック不織布121の肌当接面側の表面とサイドシート141、142の非肌当接面側との間に、おむつ本体10の長手方向Lに沿って伸長された状態で、HMA等の接着材を介して接合されている。
【0045】
接合部51においては、背側サイドフラップ20、サイドシート141、142及びバック不織布121が、第1伸縮性部材によって長手方向Lにおいて収縮している。また、接合部53においては、腹側サイドフラップ30、サイドシート141、142及びバック不織布121が、第1伸縮性部材によって長手方向Lにおいて収縮している。そして、接合部51と接合部53との間においては、サイドシート141、142及びバック不織布121とが長手方向Lにおいて収縮している。
【0046】
第2伸縮性部材123c、124cは、背側サイドフラップ20及び腹側サイドフラップ30よりも長手方向内側に配置されており、防漏壁15、16を構成する。第2伸縮性部材123c、124cは、長手方向Lに伸長された状態でサイドシート141、142に装着されている。サイドシート141、142は、幅方向に内側端部において第2伸縮性部材を巻き込むようにして内側に折り返されている。防漏壁15、16を設けることにより、着用者から排出された排泄物がサイドシート141、142から幅方向外側に出ることを防止できる。
【0047】
また、サイドシートの長手方向における両端部は、サイドフラップと表面シートの間に配置され、厚さ方向において吸収体と重なる領域でサイドフラップと表面シートとにそれぞれ接合されている。体液等が排出されて吸収体が重くなった場合であっても、第2伸縮性部材の収縮力によって、サイドシートを介して吸収体を引き上げることができる。したがって、使い捨ておむつの股下領域が下がりにくくなり、使い捨て着用物品と着用者の脚周りの隙間が生じ難くなる。
【0048】
また、本実施の形態に係る第1伸縮性部材123a,123b,124a,124bは、620dtexの径のゴムである。このゴムを2.2倍に伸長した状態で配置する。また、本実施の形態に係る第2伸縮性部材123c,124cは、620dtexの径のゴムである。このゴムを2.5倍に伸長した状態で配置する。
【0049】
また、接合部51、53は、最も幅方向外側に位置する伸縮性部材(第1伸縮性部材123a、124a)よりも幅方向外側に3mmの位置まで設けられている。このように、接合部51、53を設けることにより、背側サイドフラップ20及び腹側サイドフラップ30をおむつ本体10に対して転写する際に位置ずれが生じた場合であっても、確実に伸縮性部材を接合部51、53に重ねて配置することができる。
【0050】
また、防漏壁を構成する第2伸縮性部材123c、124cよりも幅方向内側かつ吸収体130よりも幅方向外側に、長手方向に伸縮する第3伸縮性部材(図示せず)を設けてもよい。例えば、第3伸縮性部材は、バック不織布121とバックフィルム122との間において、長手方向に伸長された状態で設けることができる。第3伸縮性部材を配置することにより、排尿時等体液の排出時に吸収体が股下に垂れ下がることを抑制し、更に高い脚周りフィット性効果を得ることができる。
【0051】
なお、第3伸縮性部材の長手方向における伸縮範囲は、第1伸縮性部材よりも短く、かつ背側サイドフラップ20にかからないことが望ましい。例えば、第3伸縮性部材の伸縮範囲が背側サイドフラップ20にまで伸びていると、吸収体自体が大きく縮み、使い捨ておむつを装着し難くなるおそれがあるためである。また、着用者の股間部に対して縮んだ吸収体が当たり、吸収体のごわつきによって装着感が悪化するおそれがあるためである。
【0052】
図6は、使い捨ておむつ1の展開状態を模式的に示した図である。なお、展開状態とは、図1や図6に示すような背側サイドフラップ20と腹側サイドフラップ30とが非接合である状態をいう。図7は、使い捨ておむつを着用者に装着した状態を模式的に示した図である。
【0053】
図6に示すように、背側サイドフラップ20と腹側サイドフラップ30には、第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bが長手方向Lにおいて伸長した状態で配置されている。よって、背側サイドフラップ20及び腹側サイドフラップ30は、展開状態において、第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bによって長手方向Lに伸縮可能に構成されている。
【0054】
このように構成された使い捨ておむつ1を着用する場合には、図7に示すように、おむつ本体10の吸収体130を着用者の股間に当接させ、かつ腹側サイドフラップ30を着用者の腹に当接させた状態で、背側サイドフラップ20の幅方向両側部に装着された止着部材41,42を、腹側サイドフラップの係止部43に止着する。
【0055】
止着部材41,42を腹側サイドフラップの係止部43に止着した状態では、着用者の腰周りは、背側サイドフラップ20と腹側サイドフラップ30とによって覆われている。背側サイドフラップ20と腹側サイドフラップ30とは、止着部材等によって接合されており、吸収体の重みにより股下領域が下がった場合であっても、着用者の腰周りに装着された状態が維持される。
【0056】
また、背側サイドフラップ20とおむつ本体10との接合部51に、長手方向において伸長された状態で第1伸縮性部材が配置されているため、第1伸縮性部材をサイドフラップ側に引き上げることができる。
【0057】
具体的には、第1伸縮性部材の伸縮有効範囲が背側サイドフラップ20に到達しており、おむつ本体10とは別部材からなる背側サイドフラップ20が第1伸縮性部材と直接連結されている。よって、背側サイドフラップ20を腹側へ引き伸ばした際に、背側サイドフラップ30から第1伸縮性部材への力の連動性が高くなる。
【0058】
例えば、第1伸縮性部材の伸縮有効範囲が背側サイドフラップ20よりも長手方向内側に位置する場合には、背側サイドフラップ20と第1伸縮性部材とは直接連結されない。よって、背側サイドフラップ20を引き伸ばした際に、第1伸縮性部材の伸縮開始位置と背側サイドフラップ20の間で力が分断され、背側サイドフラップ20から第1伸縮性部材への力の連動性が低くなる。
【0059】
第1伸縮性部材の伸縮有効範囲を背側サイドフラップ20に重ねることにより、体液等の重みによっておむつ本体10の股下領域が下がる力が作用した場合であっても、第1伸縮性部材の伸縮力によって脚周りにおいておむつ本体が下がることを抑制し、着用者の脚周りに沿って第1伸縮性部材を配置することができる。よって、脚周りおけるフィット性を維持することができ、横漏れを防ぎつつ装着感を向上させることができる。
【0060】
更に好適には、背側サイドフラップの第1伸縮性部材が配置された領域は、展開状態において第1伸縮性部材によって収縮していることが望ましい。例えば、第1伸縮性部材の伸縮縮有効範囲が背側サイドフラップに配置されていても、背側サイドフラップが第1伸縮性部材によって収縮していない場合には、第1伸縮性部材の収縮力によって背側サイドフラップ20を肌に密着させる力が働きにくく、脚周りのフィット性を十分に高めることができないおそれがある。
【0061】
しかし、背側サイドフラップが第1伸縮性部材によって収縮している場合には、第1伸縮性部材の収縮力によって背側サイドフラップ20を肌に密着させる力が働き、おむつ本体10と背側サイドフラップ20の両方の脚周りにおけるフィット性を向上させることができる。
【0062】
また、おむつ装着中において第1伸縮性部材には、背側サイドフラップ20によって幅方向外側に引っ張られる力が作用し、常に体の外側に張り出す方向で第1伸縮性部材の位置を維持することができる。よって、着用者の足や臀部の動きによる第1伸縮性部材の位置ずれを低減し、安定した状態で体に対するフィット性を維持することができる。
【0063】
背側サイドフラップ20は、おむつ本体10とは別体で構成されているが、おむつ本体の幅方向全体を跨ぐ連続したシート形状であるため、幅方向において分割されたサイドフラップと比べて、幅方向における引張強度を高めることができる。よって、背側サイドフラップの強度を高めるために、背側サイドフラップ20自体を高目付資材や高剛性資材によって構成する必要がなく、背側サイドフラップ20の柔軟性を高めることができる。サイドフラップの柔軟性を高めることにより、肌に触れた際の感触を向上させ、かつ装着時において硬い皺が形成されることを防止できる。
【0064】
背側サイドフラップ20を幅方向に連続したシートにより形成する場合には、背側サイドフラップのうち、おむつ本体よりも幅方向外側に延出した部分をおむつ本体と重なる部分よりも高目付にすることが望ましい。おむつ本体よりも幅方向外側に延出した部分の間の中央部分は、着用者の臀部が当接する部分であり、当該部分の柔軟性を高めることができる。また、背側サイドフラップの中央部分の柔軟性を高めることにより、背側サイドフラップ20と、表面シート110との間にポケットが形成され易くなる。
【0065】
なお、第1伸縮性部材の伸縮範囲と背側サイドフラップ20と重なる長手方向の長さは、背側サイドフラップ20の長手方向の長さに対する3〜23%の範囲が好ましい。例えば、23%よりも長い場合には、背側サイドフラップ20が第1伸縮性部材によって縮み過ぎるおそれがある。背側サイドフラップ20が長手方向に縮み過ぎると、おむつ装着時に背側サイドフラップ20が紐状になり、腰周りでおむつを支えることができず、おむつがずれてしまうおそれがある。
【0066】
一方、第1伸縮性部材の伸縮範囲が3%よりも短い場合には、背側サイドフラップ20と第1伸縮性部材の重なる領域が狭く、背側サイドフラップ20と第1伸縮性部材との連動性が弱くなる。よって、脚周りのフィット性を十分に高めることができない。
【0067】
なお、本実施の形態では、第1伸縮性部材の伸縮範囲と背側サイドフラップ20と重なる長手方向の長さは、背側サイドフラップ20の長手方向の長さに対して約18%である。具体的には、背側サイドフラップ20の長手方向の長さが110mmであり、第1伸縮性部材の重なり長さが20mmである。
【0068】
また、最も幅方向外側に位置する伸縮性部材よりも幅方向外側には、サイドフラップとおむつ本体とが接合されていない非接合部52、54が設けられている。図8は、背側サイドフラップの止着部材部分を拡大した図である。図8(a)は、本実施の形態に係る背側サイドフラップを示しており、図8(b)は、変形例に係る背側サイドフラップを示している。変形例に係る背側サイドフラップは、接合部よりも幅方向外側に非接合部52、54が設けられていない。
【0069】
おむつ本体の幅方向外側に止着部材が配置されているため、止着部材からおむつ本体に伝達する力は、おむつ本体の幅方向外端部近傍に作用する。よって、最も幅方向外側に位置する伸縮性部材には、止着部材やサイドフラップからの力が伝達し易い。しかし、最も幅方向外側に位置する伸縮性部材よりも幅方向外側に接合部が設けられていると、止着部材からの力が接合部に作用し、伸縮性部材に作用しにくくなる。
【0070】
具体的には、おむつ装着時に背側サイドフラップ20の止着部材からおむつ本体に掛かる力は、接合部の止着部材側に位置する部分PAに掛かる。このとき、図8(a)に示すように、非接合部が設けられている場合には、接合部の止着部材側に位置する部分と第1伸縮性部材とが近く、第1伸縮性部材に止着部材からの力を効率的に作用させて、第1伸縮性部材を背側サイドフラップに連動させることができる。
【0071】
一方、図8(b)に示すように、非接合部が設けられていない場合には、接合部の止着部材側に位置する部分PAと第1伸縮性部材とが離れているため、止着部材から掛かる力が、接合部の止着部材側に位置する部分PAと、第1伸縮性部材とに分散し、効率的に第1伸縮性部材に対して掛からなくなる。
【0072】
よって、最も幅方向外側に位置する伸縮性部材よりも幅方向外側には、非接合部が設けられていることが望ましい。非接合部を設けることにより、サイドフラップからの力を伸縮性部材に効率よく伝達させて、サイドフラップの引き上げに伴い伸縮性部材を引き上げることができる。
【0073】
(使い捨ておむつの製造方法)
次に、使い捨ておむつ1の製造方法の一例を説明する。なお、本実施の形態において説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。また、以下に説明する製造方法は、一例であり、他の製造方法によって製造することもできる。使い捨ておむつ1の製造方法には、折り工程と、止着部材貼付工程と、第1切断工程と、フラップ貼付工程と、第2切断工程とが含まれる。
【0074】
第1折り工程では、背側サイドフラップ及び腹側サイドフラップを構成する連続したサイドフラップシートの両側端部を、幅方向中央側に折り畳む。これにより、サイドフラップシートの両側の端部には、サイドフラップシートが複数枚重ねられた重なり部分が形成される。重なり部分は、例えば、背側サイドフラップ20の自由端20A,20Bを構成する。
【0075】
止着部材貼付工程では、止着部材41,42を背側サイドフラップ20の自由端20A,20Bに対して貼り付ける。第1切断工程では、フラップシートを、搬送方向に直交する交差方向に沿って所定間隔おきに切断する。切断片は、背側サイドフラップ20と腹側サイドフラップ30とが一体化されたものである。
【0076】
フラップ貼付工程では、吸収性本体が連続する吸収性本体シート上に切断片を接合する。第2切断工程では、吸収性本体シートを交差方向に沿って切断する。切断片は、一の製品の腹側サイドフラップと、一の製品に続く製品の背側サイドフラップとに分離される。以上の工程によって、使い捨ておむつ1が完成する。
【0077】
このように、吸収性本体に対して背側サイドフラップと腹側サイドフラップとを接合して使い捨ておむつを製造することにより、おむつ製造時にトリムが排出されない。余分な資材を使用しないため製品を低コストで作成でき、かつ環境に対する負荷も少なくすることができる。また、上述のように、第1伸縮性部材を着用者の脚周りにフィットさせることができ、余分な資材の排出を抑制しつつ、パンツ型おむつのようなフィット性を維持することができる。
【0078】
(第2の実施形態)
次に、図9を用いて、第2の実施形態の変形例に係る使い捨ておむつ2を説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、第1の実施形態と異なる構成のみ説明し、第1の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
【0079】
使い捨ておむつ2は、サイドフラップが左右個別のパーツとして用意されており、端部領域10A,10Bは、背側サイドフラップ及び腹側サイドフラップによって完全に覆われていない。すなわち、使い捨ておむつ2は、背側サイドフラップ22,24を有する。また、腹側サイドフラップ32,34を有する。背側サイドフラップ22は、接合部55によりおむつ本体10に接合される。背側サイドフラップ24は、接合部56によりおむつ本体10に接合される。また、腹側サイドフラップ32は、接合部57によりおむつ本体10に接合される。腹側サイドフラップ34は、接合部58によりおむつ本体10に接合される。使い捨ておむつ2においても、使い捨ておむつ1と同様の効果が得られる。
【0080】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0081】
本実施形態では、おむつ本体10に背側サイドフラップ20と腹側サイドフラップ30とが取り付けられる使い捨ておむつ1について説明した。しかし、使い捨ておむつの形態は、本実施形態に限定されない。例えば、着用者の胴周りに対応する胴周り領域と、股下部に対応する股下領域とが一体化されており、着用者の脚部の開口が刳り抜かれることによって形成されるオープン型の使い捨ておむつであってもよいし、腹側サイドフラップを備えていなくてもよい。使い捨ておむつ1は、乳児用、幼児用、大人用の何れであってもよい。
【0082】
本実施の形態では、腹側サイドフラップとおむつ本体との接合部に第1伸縮性部材が伸長状態で配置されているが、第1伸縮性部材は、腹側サイドフラップとおむつ本体との接合部よりも長手方向内側に配置されていてもよいし、腹側サイドフラップとおむつ本体との接合部に非伸長状態で配置されていてもよい。
【0083】
本実施の形態に係る使い捨ておむつは、接合部よりも幅方向外側に非接合部が設けられているが、接合部よりも幅方向外側に非接合部が設けられていない構成であってもよい。
【0084】
本実施の形態に係る使い捨ておむつは、背側サイドフラップは、幅方向両端のみが中央部よりも高目付に形成されているが、背側サイドフラップの全領域において目付が均等であってもよいし、幅方向両端よりも中央部の目付が高くなるように構成されていてもよい。
【0085】
なお、本実施の形態では、複数の第1伸縮性部材123a、123b、124a、124bが接合部51と厚さ方向において重なるように構成されているが、この構成に限定されない。具体的には、複数の伸縮性部材のうち最も幅方向外側に配置される伸縮性部材(本実施の形態においては、第1伸縮性部材123a、124a)が接合部51に対して重なって配置されていればよく、第1伸縮性部材123a、124aのみが接合部51に対して重なっていてもよいし、第1伸縮性部材123a、124aを含む3本以上が接合部51に対して重なって配置されていてもよい。
【0086】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【実施例】
【0087】
実施例と比較例を挙げて、止着部材及びサイドフラップの曲げ特性を指標する曲げ剛性と曲げ回復性とを測定し、各資材の止着部材及びサイドフラップとしての適正を評価した。なお、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0088】
実施例1及び実施例2に係る資材と、比較例1及び比較例2に係る資材を用いて、曲げ特性を指標する曲げ剛性と曲げ回復性とを測定し、かつ各資材の止着部材としての適正を評価した。止着部材における適正の評価は、硬さとずれ難さによって評価した。
【0089】
着用者の肌に接して違和感のない硬さの場合には、「○」とし、違和感が生じる可能性がある場合には、「×」とした。止着部材として用いて、背側サイドフラップや腹側サイドフラップとのずれが生じない場合には、「○」として、ずれが生じる場合には、「×」とした。
【0090】
また、実施例3及び実施例4に係る資材と、比較例3及び比較例4に係る資材を用いて、曲げ特性を指標する曲げ剛性と曲げ回復性とを測定し、かつ各資材のサイドフラップとしての適正を評価した。サイドフラップとしての適正の評価は、硬さと破れ難さによって評価した。
【0091】
着用者の肌に接して違和感のない硬さの場合には、「○」とし、違和感が生じる可能性がある場合には、「×」とした。背側サイドフラップとして用いて破れない場合には、「○」として、破れる場合には、「×」とした。
【0092】
(曲げ剛性と曲げ回復性の測定方法)
曲げ剛性と曲げ回復性は、KES法によって測定した。測定機器は、KES FB−2を用いた。まず、各資材の縦100mm×横30mmのサンプルを採取する。縦は、資材の製造工程における搬送方向に沿い、横は、搬送方向と直交する交差方向に沿うように採取する。測定機器の零合わせを行った後、縦方向と垂直に曲がるようにサンプルをセットし、測定を開始する。測定機器の画面に表示されるB−2HBの値を記録する。次いで、横方向と垂直に曲がるようにサンプルをセットし、測定を開始する。測定機器の画面に表示されるB−2HBの値を記録する。
【0093】
曲げ剛性は、数1に示す式によって算出する。
【数1】

【0094】
曲げ回復性は、数2に示す式によって算出する。
【数2】

【0095】
(測定結果)
測定結果を表1に示す。なお、本実施例においては、測定値の小数点三位を四捨五入して、小数点以下二位で示している。
【表1】

【0096】
比較例1に係る資材は、目付80g/cmポリプロピレンスパンボンド不織布の両面をラミネート加工したものである。曲げ剛性及び曲げ回復性は、4つの資材の中で最も高い。資材が硬いため、止着部材として不適であると評価した。
【0097】
比較例2に係る資材は、目付30g/cmポリプロピレンスパンボンド不織布である。曲げ剛性及び曲げ回復性は、4つの資材の中で最も低い。資材が柔らかくズレが生じるため、止着部材として不適であると評価した。
【0098】
実施例1に係る資材は、目付80g/cmポリプロピレンスパンボンド不織布である。硬さ及びずれ難さにおいて、止着部材として適正であると評価した。
【0099】
実施例2に係る資材は、目付60g/cmポリプロピレンスパンボンド不織布である。硬さ及びずれ難さにおいて、止着部材として適正であると評価した。
【0100】
以上の結果より、止着部材の曲げ剛性は、0.56×10−4Nm/m〜0.68×10−4Nm/mの範囲であることが望ましく、止着部材の曲げ回復性は、0.52×10−2Nm/m〜0.74×10−2Nm/mの範囲であることが望ましい。
【0101】
比較例3に係る資材は、目付60g/cmポリプロピレンスパンドボンド不織布である。曲げ剛性及び曲げ回復性は、4つの資材の中で最も高い。資材が硬いため、背側サイドフラップとして不適であると評価した。
【0102】
比較例4に係る資材は、目付15g/cmのSMS不織布である。曲げ剛性及び曲げ回復性は、4つの資材の中で最も低い。資材が柔らかく破れるため、背側サイドフラップとして不適であると評価した。
【0103】
実施例3に係る資材は、目付30g/cmポリプロピレンスパンボンド不織布である。硬さ及び破れ難さにおいて、背側サイドフラップとして適正であると評価した。
【0104】
実施例4に係る資材は、目付15g/cmSMS不織布が2枚重ねられている。硬さ及びずれ難さにおいて、背側サイドフラップとして適正であると評価した。
【0105】
以上の結果より、背側サイドフラップの曲げ剛性は、0.07×10−4Nm/mであることが望ましく、背側サイドフラップの曲げ回復性は、0.07×10−2〜0.08×10−2Nm/mの範囲であることが望ましい。
【0106】
サイドフラップの曲げ剛性が0.07×10−4未満であったり、曲げ回復性が、0.07×10−2未満であったりすると、サイドフラップの強度が十分でなく、おむつの装着する際に破断したり、装着した状態でサイドフラップがめくれてしまったりするおそれがある。
【0107】
一方、サイドフラップの曲げ剛性が、0.07×10−4より大きかったり、曲げ回復性が、0.08×10−2より大きかったりすると、伸縮性部材によってサイドフラップが伸縮した際に皺が形成されて、肌に対する刺激が強くなるおそれがある。
【符号の説明】
【0108】
1…使い捨ておむつ、 10…おむつ本体、 10A,10B…端部領域、 13,14…レッグギャザー、 15、16…防漏壁、 20…背側サイドフラップ、 20A,20B…自由端、 30…腹側サイドフラップ、 41,42…止着部材、 51,53…接合部、 110…表面シート、 120…外装シート、 121…バック不織布、 122…バックフィルム、 123a、123b、124a、124b…第1伸縮性部材、 123c、124c…第2伸縮性部材、 130…吸収体、 131…吸収性コア、 132…吸収性シート、 141,142…サイドシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体と、前記吸収体の長手方向に沿って伸長された状態で前記吸収体よりも幅方向外側に配置された複数の伸縮性部材とを有するおむつ本体と、
前記おむつ本体の前記長手方向の外端部において、前記おむつ本体よりも前記幅方向外側に延出するサイドフラップと、
前記サイドフラップと前記おむつ本体とを接合する接合部と、を備える使い捨ておむつであって、
前記複数の伸縮性部材のうち最も前記幅方向外側に位置する伸縮性部材は、前記長手方向に沿って伸長された状態で、前記使い捨ておむつの厚さ方向において前記接合部に重なっている、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記最も幅方向外側に位置する伸縮性部材よりも前記幅方向外側には、前記サイドフラップと前記おむつ本体とが接合されていない非接合部が設けられている、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記サイドフラップは、前記おむつ本体の前記長手方向の一方の端部に連なり、かつ着用者の背側に配置される背側サイドフラップと、前記おむつ本体の前記長手方向の他方の端部に連なり、かつ着用者の腹側に配置される腹側サイドフラップと、のうち少なくとも前記背側サイドフラップを有しており、
前記背側サイドフラップには、前記背側サイドフラップの前記幅方向における両外端部に連なり、かつ着用者の腹側に配置される前記おむつ本体又は前記腹側サイドフラップに対して前記背側サイドフラップを着脱可能に止着する止着部材が設けられており、
前記伸縮性部材は、前記厚さ方向において前記背側サイドフラップと前記おむつ本体とを接合する接合部に重なって配置されている、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記サイドフラップのKES法による曲げ剛性は、0.07×10−4Nm/mであって、前記サイドフラップのKES法による曲げ回復性は、0.07×10−2〜0.08×10−2Nm/mである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記おむつ本体は、前記吸収体の幅方向両端部をそれぞれ覆い、かつ前記幅方向において離間して配置された一対のサイドシートを備えており、
前記サイドシートの前記長手方向における両端部は、前記表面シートと前記サイドフラップとの間に配置され、かつ前記厚さ方向において前記吸収体と重なる領域で前記表面シートと前記サイドフラップとにそれぞれ接合されており、
前記サイドシートの幅方向における内側端部には、前記長手方向に伸縮するサイド伸縮部材が設けられている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体と、前記吸収体の長手方向に沿って伸長された状態で前記吸収体よりも幅方向外側に配置された複数の伸縮性部材と、を有するおむつ本体と、
前記おむつ本体の前記長手方向端部において、前記おむつ本体よりも前記幅方向外側に延出するサイドフラップと、
前記サイドフラップと前記おむつ本体とを接合する接合部と、を備える使い捨ておむつであって、
前記複数の伸縮性部材のうち最も幅方向外側に位置する伸縮性部材は、前記使い捨ておむつの厚さ方向において前記接合部に重なって配置され、
前記サイドフラップは、前記使い捨ておむつの展開状態において、前記最も幅方向外側に位置する伸縮性部材によって前記長手方向に伸縮可能に構成されている、使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−52307(P2013−52307A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−279495(P2012−279495)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2011−189101(P2011−189101)の分割
【原出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】