使い捨てパンツ
【課題】別部材として形成された股部と前腹部とが接合されたパンツ構造において、前腹部の伸縮性を確保しつつ、股部と前腹部との接合をしっかりと行うことができる使い捨てパンツを提供する。
【解決手段】この使い捨てパンツ1は、パンツ及びおむつの両機能を併有するものであり、左右の破断部17a,17bを破断することにより、左前腹部2a及び右前腹部2bを左右に展開できる。左前腹部2a及び右前腹部2bには、中前腹部2cの付着部23a,23bに着脱される付着片22a,22bが設けられる。吸収体43が設けられた股部4は、弾性部材19cによる中前腹部2cの伸縮性を阻害しないように、シート材45a,45bを用いて中前腹部2cに連結されている。
【解決手段】この使い捨てパンツ1は、パンツ及びおむつの両機能を併有するものであり、左右の破断部17a,17bを破断することにより、左前腹部2a及び右前腹部2bを左右に展開できる。左前腹部2a及び右前腹部2bには、中前腹部2cの付着部23a,23bに着脱される付着片22a,22bが設けられる。吸収体43が設けられた股部4は、弾性部材19cによる中前腹部2cの伸縮性を阻害しないように、シート材45a,45bを用いて中前腹部2cに連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツとしてもおむつとしても利用可能な使い捨てパンツに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の使い捨てパンツとしては、特許文献1に記載の技術がある。この特許文献1に記載のパンツでは、前身頃の左右両側に切断線を設け、その切断線の部分で前身頃を切り離し可能とするとともに、前身頃及び後身頃の左右の接合部に接合された付着片を設けている。そして、切断線により前身頃を切り離した際に、左右の付着片により前身頃と後身頃との締結を行うようになっている。また、前身頃の腰回りの部分には、弾性伸縮部材が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−317356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のようにように、上記従来の使い捨てパンツにおいても、その前身頃の腰回りの部分に弾性伸縮部材が設けられているが、このパンツは、前腹部、股部、後背部にかけての部分が一体に形成された構造であり、股部と前腹部とを別部材として形成した後、接合する本発明に係る使い捨てパンツとは前提となる構造が相違している。
【0005】
すなわち、本発明のように、前腹部と股部とを別部材とした構造の場合、前腹部の収縮性を確保しつつ、吸収体を有する股部を前腹部に如何に接合するかが大きな課題となるのであるが、上記従来の使い捨てパンツにおいては前腹部と股部とが一体になった構造のため、このような問題は生じない。
【0006】
そこで、本発明の解決すべき課題は、別部材として形成された股部と前腹部とが接合されたパンツ構造において、前腹部の伸縮性を確保しつつ、股部と前腹部との接合をしっかりと行うことができる使い捨てパンツを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、略環状に連なる前腹部及び後背部と、前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、前記股部に設けられた吸収体と、前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に連結された左右の付着片と、前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、前記前腹部における前記左右の破断部の間に位置する中間領域に設けらた弾性伸縮部材と、その一端側が前記前腹部の前記中間領域に接合され、その他端側が前記股部の前記前側部分に接合されて、前記前腹部と前記股部とを連結するシート材とを備える。
【0008】
また、請求項2の発明では、略環状に連なる前腹部及び後背部と、前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、前記股部に設けられた吸収体と、前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に連結された左右の付着片と、前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、前記前腹部における前記左右の破断部の間に位置する中間領域に設けらた弾性伸縮部材と、前記股部の前記前側部分における前記前腹部の前記中間領域との対向面において、左右方向に間隔をあけて設けられ、前記股部の前記前側部分と前記中間領域とを連結する複数の連結部とを備える。
【0009】
また、請求項3の発明では、略環状に連なる前腹部及び後背部と、前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、前記股部に設けられた吸収体と、前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に接合された左右の付着片と、前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、前記前腹部の前記左右の破断部の間に位置する中間領域における上方側に部分的に設けられた第1の弾性伸縮部材とを備え、前記股部の前記前側部分の前記中間領域と対向する部分は、前記吸収体が前記中間領域内における前記第1の弾性伸縮部材が設けられた領域と重ならないようにその領域の下側に配置された状態で、肌面側から前記中間領域に接合されている。
【0010】
また、請求項4の発明では、請求項3の発明に係る使い捨てパンツにおいて、前記股部の前記前側部分における前記吸収体の端部よりも上側に位置する部分に設けられた第2の弾性伸縮部材をさらに備える。
【0011】
また、請求項5の発明では、前記第1の弾性伸縮部材は、前記中間領域の左右端から第1の所定寸法だけ左右方向内方側の領域に設けられ、前記第2の弾性伸縮部材は、前記前側部分の左右端から第2の所定寸法だけ左右方向内方側の領域に設けられる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、シート材を用いて股部を前腹部の中間領域に連結するため、シート材の余裕長の分だけ、股部に実質的に影響されずに前腹部の中間領域が自由に伸縮することができ、その結果、弾性伸縮部材による前腹部の中間領域の伸縮性を確保しつつ、股部と前腹部との連結をしっかりと行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、左右方向に間隔をあけて設けられた複数の連結部によって股部の前側部分と前腹部の中間領域とを連結するため、前腹部の中間領域の伸縮に応じて、前腹部と連結されていない股部の連結部の間に位置する部分が柔軟に変形し得る。このため、股部の中間領域の伸縮に対する影響を軽減することができ、その結果、弾性伸縮部材による前腹部の中間領域の伸縮性を確保しつつ、股部と前腹部との連結をしっかりと行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、前腹部の第1の弾性伸縮部材が設けられた領域から吸収体を下方にずらした状態で、股部の前側部分を前腹部の中間領域に接合するため、第1の弾性伸縮部材が設けられた中間領域の部分の伸縮性が、伸縮性に乏しい股部の吸収体によって阻害されるのを防止して、第1の弾性伸縮部材による中間領域の伸縮性を確保しつつ、股部を前腹部にしっかりと接合することができる。
【0015】
また、前腹部の第1の弾性伸縮部材が設けられた領域から吸収体が下方にずらされているため、股部と前腹部の中間領域との対向面の実質的に全面で接着剤等による接合を行っても、第1の弾性伸縮部材による中間領域の伸縮性を維持することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、股部の前記前側部分における吸収体の端部よりも上側に位置する部分に第2の弾性伸縮部材を設けることにより、前腹部の中間領域の伸縮性を維持又は増強することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前腹部の中間領域及び股部の前側部分の上側部分における左右縁部は弾性伸縮部材が設けられておらず、縮まないため、その部分を介護者がつまみやすい。その結果、例えば、介護者が前腹部の中間領域及び股部の前側部分の上側部分における左右縁部をつまんで中間領域及び股部の前側部分の弾性伸縮部材を引き伸ばしながら着用者の肌に添わせる等の作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1実施形態]
[概略説明]
図1ないし図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る使い捨てパンツ1について説明する。この使い捨てパンツ1は、図1ないし図4に示すように、略環状に連なる前腹部2及び後背部3と、その前腹部2及び後背部3間に連なって設けられる股部4とを備えて構成され、パンツとしてもおむつとしても利用可能となっている。なお、この使い捨てパンツ1の説明において、左及び右とは着用者から見て左手側及び右手側を指すものとする。
【0019】
前腹部2及び後背部3とは、この使い捨てパンツ1における主に着用者の前腹部及び後背部に面する部分を指す。前腹部2の左右の縁部と後背部3の左右の縁部とは互いに接合され、これによって前腹部2と後背部3とは略環状に連なっている。このため、使い捨てパンツ1の左右の縁部には、前腹部2の左右の縁部と後背部3の左右の縁部とを接合する左サイド接合部11a及び右サイド接合部11bが形成されている。このサイド接合部11a,11bでの接合は、接着剤、例えばホットメルト接着剤による接着と超音波溶着(あるいは、加熱溶着)とのいずれか一方、又はその両方の併用により行われる。
【0020】
股部4とは、この使い捨てパンツ1における主に着用者の股部に面する部分を指し、その前股部4a及び後股部4bがそれぞれ前腹部2及び後背部3にそれぞれ連なっている。本実施形態では、股部4の前股部(前側部分)4a及び後股部4bが前腹部2及び後背部3に接着剤、例えばホットメルト接着剤により接合されている。なお、変形例として、股部4を後背部3と連続した部材により一体に形成してもよい。
【0021】
このように略環状に連なった前腹部2及び後背部3の上縁部12,13によりウエスト開口部Qが形成されている。前腹部2の左前腹部2aの下縁部14a、後背部3の左斜め下の傾斜状の縁部15a、及び股部4の左縁部16aにより左脚開口部Raが形成されている。前腹部2の右前腹部2bの下縁部14b、後背部3の右斜め下の傾斜状の縁部15b、及び股部4の右縁部16bにより右脚開口部Rbが形成されている。
【0022】
[前腹部]
前腹部2は、図1に示す伸張させた状態では、全体形状としては平面視略横長矩形状であり、左前腹部2a、右前腹部2b、及びそれらの中間に位置する中前腹部2cを備えている。中前腹部2cは本発明の中間領域に相当している。左前腹部2aと中前腹部2cとの間には、前腹部2を上下に縦断する左破断部17aが形成され、右前腹部2bと中前腹部2cとの間には、前腹部2を上下に縦断する右破断部17bが形成されている。破断部17a,17bは、図2に示すように、ミシン目等により形成され、この破断部17a,17bを破断することにより、図3に示すように、前腹部2を破断部17a,17bの部分で切り離して展開できるようになっている。ここで、破断部17a,17bは、図2に示すように直線状に形成してもよいし、必要に応じて曲線状に形成してもよい。
【0023】
左前腹部2a、右前腹部2b及び中前腹部2cの上縁部12a,12b,12cには、ウエスト用弾性部材19a,19b,19cが左右方向に伸張された状態で取り付けられている。左前腹部2a、右前腹部2b及び中前腹部2cの下縁部14a,14b,14cには脚用弾性部材20a,20b及び前腹下部用弾性部材20cが左右方向に伸張された状態で取り付けられている。左前腹部2a、右前腹部2b及び中前腹部2cの上縁部12a,12b,12cと下縁部14a,14b,14cとの間の部分には、ボディ用弾性部材21a,21b,21cが左右方向に伸張された状態で取り付けられている。このうち、弾性部材19c,20c,21cが本発明に係る前腹部2の中間領域に設けられる弾性伸縮部材に相当している。
【0024】
これらの弾性部材19a〜19c,20a〜20c,21a〜21cの収縮・伸張により、前腹部2が着用者の腹部に沿うように柔らかくフィットすることができる。
【0025】
このような前腹部2は、図4に示すように、肌面側の内層シート57と、外側の外層シート58との間に弾性部材19a〜19c,20a〜20c,21a〜21cを挟み込んで構成されている。
【0026】
ここで、これらの弾性部材19a〜19c,20a〜20c,21a〜21cは、前腹部2の製造工程において、前腹部2の長手方向(着用時の左右方向)に沿って連続的に前腹部2に配設された後、破断部17a,17bの周辺に位置する部分(より具体的には、付着片22a,22bの接合部及び付着部23a,23bの配設部に対応する部分)について弱化処理が施されるようになっている。弱化処理とは、弾性部材19a〜19c,20a〜20c,21a〜21cを部分的に切断したり、収縮力を弱める処理を行う等により、ノーテンション状態とすることである。
【0027】
左前腹部2a及び右前腹部2bの外面側における中前腹部2c側の端部には、略シート状の左付着片22a及び右付着片22bが接着剤、例えばホットメルト接着剤により接合されている。この付着片22a,22bは、破断部17a,17bを破断した際に、このパンツ1の止着のために用いられるものであり、前腹部2の外面側において、左右の破断部17a,17bを跨ぐように設けられている。中前腹部2cの外面側における左右縁部には、付着片22a,22bを付着させるための左右の付着部23a,23bがそれぞれ設けられている。
【0028】
付着片22a,22bの付着部23a,23bに対向し得る側の面(肌面側)には、付着部24がそれぞれ設けられている。これらの付着部24は、中前腹部2cに設けられた付着部23a,23bに対して着脱自在に付着するようになっている。
【0029】
付着部23a,23bの具体例としては、表面に微細なループ構造が密に形成された不織布、織布、編み物等を有するループ材が考えられ、付着部24の具体例としては、そのループ材に着脱自在に係合する微細なフック構造が表面に密に形成されたフック材が考えられる。また、付着部23a,23bの他の具体例としては、粘着剤との繰り返し剥離性を有するように表面処理、例えばピーロイル加工されたプラスチックフィルム等が考えられ、付着部24の他の具体例としては、繰り返し利用可能な接着剤などが考えられる。なお、これらの付着部23a,23b及び付着部24についての2つの具体例において、付着部23a,23b側の構成と付着部24側の構成を入れ替えてもよい。
【0030】
このような構成により、左右の付着片22a,22bを付着部23a,23bから引き剥がし、左右方向外方に引っ張ると、図3に示すように、破断部17a,17bが破れて、左右の前腹部2a,2bが付着片22a,22bと一体となって左右両側に展開する。
【0031】
このように、この使い捨てパンツ1は、図1に示すように、破断部17a,17bを破断する前の製品出荷時の状態ではパンツとして機能し、付着片22a,22b等の開閉手段のない通常の使い捨てパンツと同様に容易に上げ下げできるようになっている。
【0032】
また、この使い捨てパンツ1がパンツ状態で着用させている場合において、後述する吸収体43が排泄物を吸収、保持した場合には、付着片22a,22bを付着部23a,23bから引き剥がし、破断部17a,17bを破断して展開して、パンツ1を着用者から容易に取り除くことができる。この場合、着用者の衣服を脱がさなくとも、パンツ1の取外しができる。
【0033】
また、付着片22a,22bの仮付部30を引き剥がして破断部17a,17bを破断し、前腹部2を展開して、パンツ1の内部の汚染状況を確認した後、付着片22a,22bを付着部23a,23bに係合させて、パンツ1を元のパンツ状態に戻すことができる。また、このパンツ1と尿取りパット等の補助パットとを併用しているときにも、付着片22a,22bを着脱して補助パットの交換等を容易に行うことができる。
【0034】
また、着用させる前に、パンツ1を図3に示す状態に展開しておいて着用者の臀部にあてがうことにより、このパンツ1を通常の使い捨ておむつのように利用することもできる。この場合、着用者の衣服を脱がさなくとも、パンツ1の着用及び取り外しができる。
【0035】
[股部]
股部4は、図3に示す伸張させた展開状態において、全体形状としては前後方向に延びる略帯状の形態を有し、前股部4a、後股部4b、及びそれらの中間に位置する中股部4cを備え、主に中股部4cを中心として着用者の股間部にあてがわれる。前股部4aは、図3に示すように、中前腹部2cの内面側に重ね合わされた状態で中前腹部2cと連結されている。後股部4bは、図3に示すように、後背部3の内面側に重ね合わされた状態で後背部3と接着固定されている。このような股部4の左縁部16a及び右縁部16bには、脚用弾性部材40a,40bが縁部16a,16bの延設方向に伸張された状態で取り付けられている。
【0036】
股部4は、図4に示すように、透液性のトップシート41と不透液性のバックシート42との間に、吸収体43を挟み込んで構成されている。吸収体43は、所定の横幅を有し、中股部4cを中心にして前後方向に帯状に広がっている。股部4の前股部4a及び後股部4bにおいて、トップシート41及びバックシート42の吸収体43から左右に張り出した部分44a,44bが、肌面側に折り返された状態で接合固定されている。この前後両端の肌面側への折り返し構造と、脚用弾性部材40a,40bの収縮力との働きにより、股部4の左右両側の縁部が肌面側に立ち上がり、着用者の脚にフィットするようになっている。脚用弾性部材40a,40bは、トップシート41とバックシート42との間に挟み込まれた状態で接着固定されている。
【0037】
例えば、トップシート41は透液性の不織布等により構成され、バックシート42は撥水性不織布等により構成される。また、吸収体43は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維集合層に粒状の高分子吸収体を混合した塊をティッシュペーパーなどの紙シート又は透液性不織布シート等の被覆シートで包み、所定形状に成形されたものである。
【0038】
なお、股部4の構成の変形例として、吸収体43をシート41,42の間に挟み込むのではなく、吸収体43をシート42の肌面側に貼着し、シート41を省略する構成としてもよい。あるいは、吸収体43の前後の端部にシートを接合したものを股部4として用いるようにしてもよく、大型の吸収体43を用いてその吸収体43自体を股部4として用い、シート41,42を省略するようにしてもよい。
【0039】
[股部と前腹部との連結構造]
前股部4aと中前腹部2cとの連結は、連結部として機能する複数(例えば、2つ)のシート材45a,45bを用いて行われている。シート材45a,45bは、柔軟に変形する材料により形成され、中前腹部2cの縦寸法とほぼ等しいか、若干小さい縦寸法を有している。そして、シート材45a,45bは、パンツ1の上方から見て略U字状に弛まされた状態で、その一端側46a,46bが中前腹部2cに接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等により接合され、他端側47a,47bが前股部4aに接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等により接合されている。このようなシート材45a,45bは、左右方向に所定の間隔をあけて左右対称に設けられている。
【0040】
このため、前股部4aに実質的に影響されずに、シート材45a,45bの余裕長さの分だけ、中前腹部2cが弾性部材19c,20c,21cによって自由に伸縮するようになっている。
【0041】
[後背部]
後背部3は、図3に示すように、展開すると略矩形の左右下側の角を略斜めに切り落としたような形態を有し、着用者の背面側の腰回り部から臀部にかけた部分にあてがわれる。このため、この後背部3は、着用者の背面側の腰回り部に主に位置する平面視略横長帯状の腰回り部3aと、その腰回り部3aの下側に連なり着用者の臀部に主に位置する平面視略台形状の臀部3bとを備えている。腰回り部3aの上縁部13には、ウエスト用弾性部材51が左右方向に伸張された状態で取り付けられており、腰回り部3aのそれ以外の領域における股部2の吸収体43と重ならない部分には、ボディ用弾性部材52が左右方向に伸張された状態で取り付けられている。
【0042】
ここで、ボディ用弾性部材52は、後背部3の製造工程において、後背部3の左右方向に沿って腰回り部3aの対応する部分に連続的に配設された後、股部4(又はその吸収体43)と重なり合う部分について弱化処理が施されるようになっている。
【0043】
後背部3の左斜め下の傾斜状の縁部15aには、脚用弾性部材53aが縁部15aに沿って伸張された状態で取り付けられており、後背部3の右斜め下の傾斜状の縁部15bには、脚用弾性部材53bが縁部15bに沿って伸張された状態で取り付けられている。これらの弾性部材51,52,53a,53bの収縮、伸張により後背部3が着用者の後背部及び臀部にフィットしやすくなっている。
【0044】
ここで、脚用弾性部材53a,53bは、臀部3bの左右の傾斜状の縁部15a,15b及び下縁部15cに沿って連続的に臀部3bに取り付けられた後、少なくとも股部4の吸収体43と重なる部分について、弱化処理が施されるようになっている。
【0045】
[その他の構成及び各部の材料等]
弾性部材19a〜19c,20a〜20c,21a〜21c,40a,40b,46,53a,53bとしては、通常使い捨てパンツに用いられる弾性伸縮材料(ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等)が用いられ、伸張状態でホットメルト接着剤、熱溶着、超音波溶着などの貼着手段によりパンツ1の所定部位に貼着される。
【0046】
[まとめ]
以上のように、本実施形態に係る使い捨てパンツ1では、シート材45a,45bを用いて前股部4aを中前腹部2cに連結するため、シート材45a,45bの余裕長の分だけ、股部4に実質的に影響されずに中前腹部2cが自由に伸縮することができ、その結果、弾性部材19c,20c,21cによる中前腹部2cの伸縮性を確保しつつ、股部4と前腹部2との連結をしっかりと行うことができる。
【0047】
[変形例]
前述の図4に示す股部4と前腹部2との連結構造の変形例として、例えば図5ないし図7に示す構成が考えられる。
【0048】
図5に示す第1の変形例では、左右のシート材45a,45bの間に位置する幅狭の縦長筋状の連結部61にて、前股部4aと中前腹部2cとが接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)を用いて直接的に連結されている。これによって、股部4が前腹部2に対して左右に位置ずれするのを防止することができるとともに、股部4の固定強度の向上が図れる。
【0049】
図6に示す第2の変形例では、中前腹部2cと前股部4aとが、左右方向に間隔をあけて設けられた複数(例えば、2つ)の連結部62a,62bにて、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)を用いて直接的に連結されている。図6の図示例では、縦長筋状の2つの連結部62a,62bが間隔をあけて左右対称に設けられている。より詳細には、中前腹部2cの伸縮に対する股部4の影響を少しでも軽減すべく、連結部62a,62bは破断部17a,17bに近接して形成され、互いの間隔を最大限に確保している。また、中前腹部2cの付着部23a,23bを設けた部分は、必ずしも伸縮性を必要とはしないため、連結部62a,62bはこの付着部23a,23bに対応してその反対面側(肌面側)に設けられている。
【0050】
このような図6に示す構成により、中前腹部2cの伸縮に応じて、中前腹部2cと連結されていない股部4の連結部62a,62bの間に位置する部分が柔軟に変形し得る。このため、股部4の中前腹部2cの伸縮に対する影響を軽減することができ、その結果、弾性部材19c,20c,21cによる中前腹部2cの伸縮性を確保しつつ、股部4と前腹部2との連結をしっかりと行うことができる。
【0051】
図7に示す第3の変形例では、前述の図4に示す構成と図6に示す構成とを組み合わせた構成を有している。すなわち、図6に示す構成を基本構成として、左右の連結部62a,62bの間の領域に、図4に示すシート材45a,45bを用いた連結構造を設けている。これによって、連結部62a,62bの間に位置する股部4の部分が肌面側に浮き上がってしまったり、変形するのを防止することができるとともに、股部4の固定強度の向上が図れる。
【0052】
[第2実施形態]
図8ないし図13を参照して、本発明の第2実施形態に係る使い捨てパンツ71について説明する。この使い捨てパンツ71は、付着片22a,22b等の止着構造、股部4の前腹部2への連結構造、及び弾性部材の配設形態等が異なるのみで、他の構成は前述の第1実施形態に係る使い捨てパンツ1とほぼ同様である。よって、パンツ71に構成において、前記パンツ1と共通する部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0053】
本実施形態に係る使い捨てパンツ71では、図8ないし図13に示すように、中前腹部2cには、上縁部12cのウエスト用弾性部材(第1の弾性伸縮部材)19cのみが設けられ、中前腹部2cに設けられる他の弾性部材20c,21cは弱化処理が施されている。
【0054】
また、図9及び図10に示すように、前股部4aにおける吸収体43の上端部よりも上方に位置する部分(例えば、前股部4aの上縁部72)にも、ウエスト用弾性部材(第2の弾性伸縮部材)73が設けられている。このウエスト用弾性部材73は、左右方向に伸張された状態で股部4のトップシート41とバックシート42との間に挟み込まれて取り付けられている。
【0055】
そして、前股部4aが中前腹部2cに肌面側からその対向面のほぼ全面で接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)74によって接合されている。この接合状態において、図10ないし図12に示すように、股部4の吸収体43は、ウエスト用弾性部材19c,73による中前腹部2c及び前股部4aの上側部分の伸縮を阻害しないように、中前腹部2cのウエスト用弾性部材19cが設けられた部分よりも下側に位置されている。また、前股部4aの上縁部72は中前腹部2cの上縁部12cとほぼ揃えられており、この状態で両ウエスト用弾性部材19c,73が互いに対向している。
【0056】
また、ウエスト用弾性部材19cは、図8に示すように中前腹部2cの左右端から第1の所定寸法D1だけ左右方向内方側の領域A1に設けられており、ウエスト用弾性部材73も、図9に示すように前股部4aの左右端から第2の所定寸法D2だけ左右方向内方側の領域A2に設けられている。領域A1,A2の左右幅寸法はほぼ等しく設定されている。これによって、中前腹部2c及び前股部4aの上側部分における左右縁部75a,75bは、弾性部材19a,73が設けられていないため、破断部17a,17bが破断されて破断してパンツ71が図9に示すように展開された際にも、縮まないようになっている。
【0057】
また、本実施形態では、工場出荷時は図8及び図11に示すように、左右の付着片22a,22bが前腹部2の肌面側に折り畳まれた状態で備えられている。
【0058】
また、中前腹部2cの外面側表面が付着部として機能するようになっており、前述の付着部23a,23bが省略されている。
【0059】
パンツ71をおむつとして使用する場合には、図9に示すように、左右の破断部17a,17bを破断してパンツ71をおむつ状に展開し、折り畳まれている左右の付着片22a,22bを展開させる。そして、パンツ71を着用者の股間部にあてがった状態で、図13に示すように、左右の付着片22a,22bの付着部24を中前腹部2cの外面側表面に付着させる。このとき、中前腹部2c及び前股部4aの上側部分における左右縁部75a,75bが縮まないようになっているため、その左右縁部75a,75bをつまんで中前腹部2c及び前股部4aを容易に引き伸ばして着用者の肌に添わせることができる。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、中前腹部2cのウエスト用弾性部材19cが設けられた領域から吸収体43を下方にずらした状態で、前股部4aを中前腹部2cに接合するため、弾性部材19cが設けられた中前腹部2cの部分の伸縮性が伸縮性に乏しい股部4の吸収体43によって阻害されるのを防止して、弾性部材19cによる中前腹部2cの伸縮性を確保しつつ、股部4を前腹部2にしっかりと接合することができる。
【0061】
また、中前腹部2cの弾性部材19cが設けられた領域から吸収体43が下方にずらされているため、本実施形態のように股部2と中前腹部2cとの対向面の実質的に全面で接着剤による接合を行っても、弾性部材19cによる中前腹部2cの伸縮性を維持することができる。
【0062】
また、前股部4aにおける吸収体43の上端部よりも上側に位置する部分にもウエスト用弾性部材73を設けることにより、中前腹部2cの伸縮性を維持又は増強することができる。
【0063】
また、中前腹部2c及び前股部4aの上側部分における左右縁部75a,75bが縮まないようになっているため、その左右縁部75a,75bをつまんで中前腹部2c及び前股部4aを引き伸ばして着用者の肌に添わせる等の作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態に係る使い捨てパンツの正面図である。
【図2】図1の使い捨てパンツの右付着片を破断した図である。
【図3】図1の使い捨てパンツの左右の破断部を破断して股部を展開した状態を示す図である。
【図4】図1の使い捨てパンツのC1−C1線に沿った部分の断面図である。
【図5】図4の構成の第1の変形例を示す断面図である。
【図6】図4の構成の第2の変形例を示す断面図である。
【図7】図4の構成の第3の変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る使い捨てパンツの正面図である。
【図9】図8の使い捨てパンツの左右の破断部を破断して股部を展開した状態を示す図である。
【図10】図8の使い捨てパンツのC2−C2線に沿った部分の断面図である。
【図11】図8の使い捨てパンツのC3−C3線に沿った部分の断面図である。
【図12】図8の使い捨てパンツのC4−C4線に沿った部分の断面図である。
【図13】図8の使い捨てパンツのおむつとしての使用状態を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 使い捨てパンツ、2 前腹部、2a 左前腹部、2b 右前腹部、2c 中前腹部、3 後背部、3a 腰回り部、3b 臀部、4 股部、4a 前股部、4b 後股部、4c 中股部、17a,17b 破断部、19a〜19c ウエスト用弾性部材、20a,20b 脚用弾性部材、20c 前腹下部用弾性部材、21a〜21c ボディ用弾性部材、22a,22b 付着片、23a,23b 付着部、24 付着部、40a,40b 脚用弾性部材、41 トップシート、42 バックシート、43 吸収体、44a,44b 折り返し部分、45a,45b シート材、51 ウエスト用弾性部材、52 ボディ用弾性部材、53a,53b 脚用弾性部材、57 内層シート、58 外層シート、71 使い捨てパンツ、73 ウエスト用弾性部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツとしてもおむつとしても利用可能な使い捨てパンツに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の使い捨てパンツとしては、特許文献1に記載の技術がある。この特許文献1に記載のパンツでは、前身頃の左右両側に切断線を設け、その切断線の部分で前身頃を切り離し可能とするとともに、前身頃及び後身頃の左右の接合部に接合された付着片を設けている。そして、切断線により前身頃を切り離した際に、左右の付着片により前身頃と後身頃との締結を行うようになっている。また、前身頃の腰回りの部分には、弾性伸縮部材が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−317356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のようにように、上記従来の使い捨てパンツにおいても、その前身頃の腰回りの部分に弾性伸縮部材が設けられているが、このパンツは、前腹部、股部、後背部にかけての部分が一体に形成された構造であり、股部と前腹部とを別部材として形成した後、接合する本発明に係る使い捨てパンツとは前提となる構造が相違している。
【0005】
すなわち、本発明のように、前腹部と股部とを別部材とした構造の場合、前腹部の収縮性を確保しつつ、吸収体を有する股部を前腹部に如何に接合するかが大きな課題となるのであるが、上記従来の使い捨てパンツにおいては前腹部と股部とが一体になった構造のため、このような問題は生じない。
【0006】
そこで、本発明の解決すべき課題は、別部材として形成された股部と前腹部とが接合されたパンツ構造において、前腹部の伸縮性を確保しつつ、股部と前腹部との接合をしっかりと行うことができる使い捨てパンツを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、略環状に連なる前腹部及び後背部と、前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、前記股部に設けられた吸収体と、前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に連結された左右の付着片と、前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、前記前腹部における前記左右の破断部の間に位置する中間領域に設けらた弾性伸縮部材と、その一端側が前記前腹部の前記中間領域に接合され、その他端側が前記股部の前記前側部分に接合されて、前記前腹部と前記股部とを連結するシート材とを備える。
【0008】
また、請求項2の発明では、略環状に連なる前腹部及び後背部と、前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、前記股部に設けられた吸収体と、前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に連結された左右の付着片と、前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、前記前腹部における前記左右の破断部の間に位置する中間領域に設けらた弾性伸縮部材と、前記股部の前記前側部分における前記前腹部の前記中間領域との対向面において、左右方向に間隔をあけて設けられ、前記股部の前記前側部分と前記中間領域とを連結する複数の連結部とを備える。
【0009】
また、請求項3の発明では、略環状に連なる前腹部及び後背部と、前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、前記股部に設けられた吸収体と、前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に接合された左右の付着片と、前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、前記前腹部の前記左右の破断部の間に位置する中間領域における上方側に部分的に設けられた第1の弾性伸縮部材とを備え、前記股部の前記前側部分の前記中間領域と対向する部分は、前記吸収体が前記中間領域内における前記第1の弾性伸縮部材が設けられた領域と重ならないようにその領域の下側に配置された状態で、肌面側から前記中間領域に接合されている。
【0010】
また、請求項4の発明では、請求項3の発明に係る使い捨てパンツにおいて、前記股部の前記前側部分における前記吸収体の端部よりも上側に位置する部分に設けられた第2の弾性伸縮部材をさらに備える。
【0011】
また、請求項5の発明では、前記第1の弾性伸縮部材は、前記中間領域の左右端から第1の所定寸法だけ左右方向内方側の領域に設けられ、前記第2の弾性伸縮部材は、前記前側部分の左右端から第2の所定寸法だけ左右方向内方側の領域に設けられる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、シート材を用いて股部を前腹部の中間領域に連結するため、シート材の余裕長の分だけ、股部に実質的に影響されずに前腹部の中間領域が自由に伸縮することができ、その結果、弾性伸縮部材による前腹部の中間領域の伸縮性を確保しつつ、股部と前腹部との連結をしっかりと行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、左右方向に間隔をあけて設けられた複数の連結部によって股部の前側部分と前腹部の中間領域とを連結するため、前腹部の中間領域の伸縮に応じて、前腹部と連結されていない股部の連結部の間に位置する部分が柔軟に変形し得る。このため、股部の中間領域の伸縮に対する影響を軽減することができ、その結果、弾性伸縮部材による前腹部の中間領域の伸縮性を確保しつつ、股部と前腹部との連結をしっかりと行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、前腹部の第1の弾性伸縮部材が設けられた領域から吸収体を下方にずらした状態で、股部の前側部分を前腹部の中間領域に接合するため、第1の弾性伸縮部材が設けられた中間領域の部分の伸縮性が、伸縮性に乏しい股部の吸収体によって阻害されるのを防止して、第1の弾性伸縮部材による中間領域の伸縮性を確保しつつ、股部を前腹部にしっかりと接合することができる。
【0015】
また、前腹部の第1の弾性伸縮部材が設けられた領域から吸収体が下方にずらされているため、股部と前腹部の中間領域との対向面の実質的に全面で接着剤等による接合を行っても、第1の弾性伸縮部材による中間領域の伸縮性を維持することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、股部の前記前側部分における吸収体の端部よりも上側に位置する部分に第2の弾性伸縮部材を設けることにより、前腹部の中間領域の伸縮性を維持又は増強することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前腹部の中間領域及び股部の前側部分の上側部分における左右縁部は弾性伸縮部材が設けられておらず、縮まないため、その部分を介護者がつまみやすい。その結果、例えば、介護者が前腹部の中間領域及び股部の前側部分の上側部分における左右縁部をつまんで中間領域及び股部の前側部分の弾性伸縮部材を引き伸ばしながら着用者の肌に添わせる等の作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1実施形態]
[概略説明]
図1ないし図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る使い捨てパンツ1について説明する。この使い捨てパンツ1は、図1ないし図4に示すように、略環状に連なる前腹部2及び後背部3と、その前腹部2及び後背部3間に連なって設けられる股部4とを備えて構成され、パンツとしてもおむつとしても利用可能となっている。なお、この使い捨てパンツ1の説明において、左及び右とは着用者から見て左手側及び右手側を指すものとする。
【0019】
前腹部2及び後背部3とは、この使い捨てパンツ1における主に着用者の前腹部及び後背部に面する部分を指す。前腹部2の左右の縁部と後背部3の左右の縁部とは互いに接合され、これによって前腹部2と後背部3とは略環状に連なっている。このため、使い捨てパンツ1の左右の縁部には、前腹部2の左右の縁部と後背部3の左右の縁部とを接合する左サイド接合部11a及び右サイド接合部11bが形成されている。このサイド接合部11a,11bでの接合は、接着剤、例えばホットメルト接着剤による接着と超音波溶着(あるいは、加熱溶着)とのいずれか一方、又はその両方の併用により行われる。
【0020】
股部4とは、この使い捨てパンツ1における主に着用者の股部に面する部分を指し、その前股部4a及び後股部4bがそれぞれ前腹部2及び後背部3にそれぞれ連なっている。本実施形態では、股部4の前股部(前側部分)4a及び後股部4bが前腹部2及び後背部3に接着剤、例えばホットメルト接着剤により接合されている。なお、変形例として、股部4を後背部3と連続した部材により一体に形成してもよい。
【0021】
このように略環状に連なった前腹部2及び後背部3の上縁部12,13によりウエスト開口部Qが形成されている。前腹部2の左前腹部2aの下縁部14a、後背部3の左斜め下の傾斜状の縁部15a、及び股部4の左縁部16aにより左脚開口部Raが形成されている。前腹部2の右前腹部2bの下縁部14b、後背部3の右斜め下の傾斜状の縁部15b、及び股部4の右縁部16bにより右脚開口部Rbが形成されている。
【0022】
[前腹部]
前腹部2は、図1に示す伸張させた状態では、全体形状としては平面視略横長矩形状であり、左前腹部2a、右前腹部2b、及びそれらの中間に位置する中前腹部2cを備えている。中前腹部2cは本発明の中間領域に相当している。左前腹部2aと中前腹部2cとの間には、前腹部2を上下に縦断する左破断部17aが形成され、右前腹部2bと中前腹部2cとの間には、前腹部2を上下に縦断する右破断部17bが形成されている。破断部17a,17bは、図2に示すように、ミシン目等により形成され、この破断部17a,17bを破断することにより、図3に示すように、前腹部2を破断部17a,17bの部分で切り離して展開できるようになっている。ここで、破断部17a,17bは、図2に示すように直線状に形成してもよいし、必要に応じて曲線状に形成してもよい。
【0023】
左前腹部2a、右前腹部2b及び中前腹部2cの上縁部12a,12b,12cには、ウエスト用弾性部材19a,19b,19cが左右方向に伸張された状態で取り付けられている。左前腹部2a、右前腹部2b及び中前腹部2cの下縁部14a,14b,14cには脚用弾性部材20a,20b及び前腹下部用弾性部材20cが左右方向に伸張された状態で取り付けられている。左前腹部2a、右前腹部2b及び中前腹部2cの上縁部12a,12b,12cと下縁部14a,14b,14cとの間の部分には、ボディ用弾性部材21a,21b,21cが左右方向に伸張された状態で取り付けられている。このうち、弾性部材19c,20c,21cが本発明に係る前腹部2の中間領域に設けられる弾性伸縮部材に相当している。
【0024】
これらの弾性部材19a〜19c,20a〜20c,21a〜21cの収縮・伸張により、前腹部2が着用者の腹部に沿うように柔らかくフィットすることができる。
【0025】
このような前腹部2は、図4に示すように、肌面側の内層シート57と、外側の外層シート58との間に弾性部材19a〜19c,20a〜20c,21a〜21cを挟み込んで構成されている。
【0026】
ここで、これらの弾性部材19a〜19c,20a〜20c,21a〜21cは、前腹部2の製造工程において、前腹部2の長手方向(着用時の左右方向)に沿って連続的に前腹部2に配設された後、破断部17a,17bの周辺に位置する部分(より具体的には、付着片22a,22bの接合部及び付着部23a,23bの配設部に対応する部分)について弱化処理が施されるようになっている。弱化処理とは、弾性部材19a〜19c,20a〜20c,21a〜21cを部分的に切断したり、収縮力を弱める処理を行う等により、ノーテンション状態とすることである。
【0027】
左前腹部2a及び右前腹部2bの外面側における中前腹部2c側の端部には、略シート状の左付着片22a及び右付着片22bが接着剤、例えばホットメルト接着剤により接合されている。この付着片22a,22bは、破断部17a,17bを破断した際に、このパンツ1の止着のために用いられるものであり、前腹部2の外面側において、左右の破断部17a,17bを跨ぐように設けられている。中前腹部2cの外面側における左右縁部には、付着片22a,22bを付着させるための左右の付着部23a,23bがそれぞれ設けられている。
【0028】
付着片22a,22bの付着部23a,23bに対向し得る側の面(肌面側)には、付着部24がそれぞれ設けられている。これらの付着部24は、中前腹部2cに設けられた付着部23a,23bに対して着脱自在に付着するようになっている。
【0029】
付着部23a,23bの具体例としては、表面に微細なループ構造が密に形成された不織布、織布、編み物等を有するループ材が考えられ、付着部24の具体例としては、そのループ材に着脱自在に係合する微細なフック構造が表面に密に形成されたフック材が考えられる。また、付着部23a,23bの他の具体例としては、粘着剤との繰り返し剥離性を有するように表面処理、例えばピーロイル加工されたプラスチックフィルム等が考えられ、付着部24の他の具体例としては、繰り返し利用可能な接着剤などが考えられる。なお、これらの付着部23a,23b及び付着部24についての2つの具体例において、付着部23a,23b側の構成と付着部24側の構成を入れ替えてもよい。
【0030】
このような構成により、左右の付着片22a,22bを付着部23a,23bから引き剥がし、左右方向外方に引っ張ると、図3に示すように、破断部17a,17bが破れて、左右の前腹部2a,2bが付着片22a,22bと一体となって左右両側に展開する。
【0031】
このように、この使い捨てパンツ1は、図1に示すように、破断部17a,17bを破断する前の製品出荷時の状態ではパンツとして機能し、付着片22a,22b等の開閉手段のない通常の使い捨てパンツと同様に容易に上げ下げできるようになっている。
【0032】
また、この使い捨てパンツ1がパンツ状態で着用させている場合において、後述する吸収体43が排泄物を吸収、保持した場合には、付着片22a,22bを付着部23a,23bから引き剥がし、破断部17a,17bを破断して展開して、パンツ1を着用者から容易に取り除くことができる。この場合、着用者の衣服を脱がさなくとも、パンツ1の取外しができる。
【0033】
また、付着片22a,22bの仮付部30を引き剥がして破断部17a,17bを破断し、前腹部2を展開して、パンツ1の内部の汚染状況を確認した後、付着片22a,22bを付着部23a,23bに係合させて、パンツ1を元のパンツ状態に戻すことができる。また、このパンツ1と尿取りパット等の補助パットとを併用しているときにも、付着片22a,22bを着脱して補助パットの交換等を容易に行うことができる。
【0034】
また、着用させる前に、パンツ1を図3に示す状態に展開しておいて着用者の臀部にあてがうことにより、このパンツ1を通常の使い捨ておむつのように利用することもできる。この場合、着用者の衣服を脱がさなくとも、パンツ1の着用及び取り外しができる。
【0035】
[股部]
股部4は、図3に示す伸張させた展開状態において、全体形状としては前後方向に延びる略帯状の形態を有し、前股部4a、後股部4b、及びそれらの中間に位置する中股部4cを備え、主に中股部4cを中心として着用者の股間部にあてがわれる。前股部4aは、図3に示すように、中前腹部2cの内面側に重ね合わされた状態で中前腹部2cと連結されている。後股部4bは、図3に示すように、後背部3の内面側に重ね合わされた状態で後背部3と接着固定されている。このような股部4の左縁部16a及び右縁部16bには、脚用弾性部材40a,40bが縁部16a,16bの延設方向に伸張された状態で取り付けられている。
【0036】
股部4は、図4に示すように、透液性のトップシート41と不透液性のバックシート42との間に、吸収体43を挟み込んで構成されている。吸収体43は、所定の横幅を有し、中股部4cを中心にして前後方向に帯状に広がっている。股部4の前股部4a及び後股部4bにおいて、トップシート41及びバックシート42の吸収体43から左右に張り出した部分44a,44bが、肌面側に折り返された状態で接合固定されている。この前後両端の肌面側への折り返し構造と、脚用弾性部材40a,40bの収縮力との働きにより、股部4の左右両側の縁部が肌面側に立ち上がり、着用者の脚にフィットするようになっている。脚用弾性部材40a,40bは、トップシート41とバックシート42との間に挟み込まれた状態で接着固定されている。
【0037】
例えば、トップシート41は透液性の不織布等により構成され、バックシート42は撥水性不織布等により構成される。また、吸収体43は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維集合層に粒状の高分子吸収体を混合した塊をティッシュペーパーなどの紙シート又は透液性不織布シート等の被覆シートで包み、所定形状に成形されたものである。
【0038】
なお、股部4の構成の変形例として、吸収体43をシート41,42の間に挟み込むのではなく、吸収体43をシート42の肌面側に貼着し、シート41を省略する構成としてもよい。あるいは、吸収体43の前後の端部にシートを接合したものを股部4として用いるようにしてもよく、大型の吸収体43を用いてその吸収体43自体を股部4として用い、シート41,42を省略するようにしてもよい。
【0039】
[股部と前腹部との連結構造]
前股部4aと中前腹部2cとの連結は、連結部として機能する複数(例えば、2つ)のシート材45a,45bを用いて行われている。シート材45a,45bは、柔軟に変形する材料により形成され、中前腹部2cの縦寸法とほぼ等しいか、若干小さい縦寸法を有している。そして、シート材45a,45bは、パンツ1の上方から見て略U字状に弛まされた状態で、その一端側46a,46bが中前腹部2cに接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等により接合され、他端側47a,47bが前股部4aに接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等により接合されている。このようなシート材45a,45bは、左右方向に所定の間隔をあけて左右対称に設けられている。
【0040】
このため、前股部4aに実質的に影響されずに、シート材45a,45bの余裕長さの分だけ、中前腹部2cが弾性部材19c,20c,21cによって自由に伸縮するようになっている。
【0041】
[後背部]
後背部3は、図3に示すように、展開すると略矩形の左右下側の角を略斜めに切り落としたような形態を有し、着用者の背面側の腰回り部から臀部にかけた部分にあてがわれる。このため、この後背部3は、着用者の背面側の腰回り部に主に位置する平面視略横長帯状の腰回り部3aと、その腰回り部3aの下側に連なり着用者の臀部に主に位置する平面視略台形状の臀部3bとを備えている。腰回り部3aの上縁部13には、ウエスト用弾性部材51が左右方向に伸張された状態で取り付けられており、腰回り部3aのそれ以外の領域における股部2の吸収体43と重ならない部分には、ボディ用弾性部材52が左右方向に伸張された状態で取り付けられている。
【0042】
ここで、ボディ用弾性部材52は、後背部3の製造工程において、後背部3の左右方向に沿って腰回り部3aの対応する部分に連続的に配設された後、股部4(又はその吸収体43)と重なり合う部分について弱化処理が施されるようになっている。
【0043】
後背部3の左斜め下の傾斜状の縁部15aには、脚用弾性部材53aが縁部15aに沿って伸張された状態で取り付けられており、後背部3の右斜め下の傾斜状の縁部15bには、脚用弾性部材53bが縁部15bに沿って伸張された状態で取り付けられている。これらの弾性部材51,52,53a,53bの収縮、伸張により後背部3が着用者の後背部及び臀部にフィットしやすくなっている。
【0044】
ここで、脚用弾性部材53a,53bは、臀部3bの左右の傾斜状の縁部15a,15b及び下縁部15cに沿って連続的に臀部3bに取り付けられた後、少なくとも股部4の吸収体43と重なる部分について、弱化処理が施されるようになっている。
【0045】
[その他の構成及び各部の材料等]
弾性部材19a〜19c,20a〜20c,21a〜21c,40a,40b,46,53a,53bとしては、通常使い捨てパンツに用いられる弾性伸縮材料(ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等)が用いられ、伸張状態でホットメルト接着剤、熱溶着、超音波溶着などの貼着手段によりパンツ1の所定部位に貼着される。
【0046】
[まとめ]
以上のように、本実施形態に係る使い捨てパンツ1では、シート材45a,45bを用いて前股部4aを中前腹部2cに連結するため、シート材45a,45bの余裕長の分だけ、股部4に実質的に影響されずに中前腹部2cが自由に伸縮することができ、その結果、弾性部材19c,20c,21cによる中前腹部2cの伸縮性を確保しつつ、股部4と前腹部2との連結をしっかりと行うことができる。
【0047】
[変形例]
前述の図4に示す股部4と前腹部2との連結構造の変形例として、例えば図5ないし図7に示す構成が考えられる。
【0048】
図5に示す第1の変形例では、左右のシート材45a,45bの間に位置する幅狭の縦長筋状の連結部61にて、前股部4aと中前腹部2cとが接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)を用いて直接的に連結されている。これによって、股部4が前腹部2に対して左右に位置ずれするのを防止することができるとともに、股部4の固定強度の向上が図れる。
【0049】
図6に示す第2の変形例では、中前腹部2cと前股部4aとが、左右方向に間隔をあけて設けられた複数(例えば、2つ)の連結部62a,62bにて、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)を用いて直接的に連結されている。図6の図示例では、縦長筋状の2つの連結部62a,62bが間隔をあけて左右対称に設けられている。より詳細には、中前腹部2cの伸縮に対する股部4の影響を少しでも軽減すべく、連結部62a,62bは破断部17a,17bに近接して形成され、互いの間隔を最大限に確保している。また、中前腹部2cの付着部23a,23bを設けた部分は、必ずしも伸縮性を必要とはしないため、連結部62a,62bはこの付着部23a,23bに対応してその反対面側(肌面側)に設けられている。
【0050】
このような図6に示す構成により、中前腹部2cの伸縮に応じて、中前腹部2cと連結されていない股部4の連結部62a,62bの間に位置する部分が柔軟に変形し得る。このため、股部4の中前腹部2cの伸縮に対する影響を軽減することができ、その結果、弾性部材19c,20c,21cによる中前腹部2cの伸縮性を確保しつつ、股部4と前腹部2との連結をしっかりと行うことができる。
【0051】
図7に示す第3の変形例では、前述の図4に示す構成と図6に示す構成とを組み合わせた構成を有している。すなわち、図6に示す構成を基本構成として、左右の連結部62a,62bの間の領域に、図4に示すシート材45a,45bを用いた連結構造を設けている。これによって、連結部62a,62bの間に位置する股部4の部分が肌面側に浮き上がってしまったり、変形するのを防止することができるとともに、股部4の固定強度の向上が図れる。
【0052】
[第2実施形態]
図8ないし図13を参照して、本発明の第2実施形態に係る使い捨てパンツ71について説明する。この使い捨てパンツ71は、付着片22a,22b等の止着構造、股部4の前腹部2への連結構造、及び弾性部材の配設形態等が異なるのみで、他の構成は前述の第1実施形態に係る使い捨てパンツ1とほぼ同様である。よって、パンツ71に構成において、前記パンツ1と共通する部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0053】
本実施形態に係る使い捨てパンツ71では、図8ないし図13に示すように、中前腹部2cには、上縁部12cのウエスト用弾性部材(第1の弾性伸縮部材)19cのみが設けられ、中前腹部2cに設けられる他の弾性部材20c,21cは弱化処理が施されている。
【0054】
また、図9及び図10に示すように、前股部4aにおける吸収体43の上端部よりも上方に位置する部分(例えば、前股部4aの上縁部72)にも、ウエスト用弾性部材(第2の弾性伸縮部材)73が設けられている。このウエスト用弾性部材73は、左右方向に伸張された状態で股部4のトップシート41とバックシート42との間に挟み込まれて取り付けられている。
【0055】
そして、前股部4aが中前腹部2cに肌面側からその対向面のほぼ全面で接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)74によって接合されている。この接合状態において、図10ないし図12に示すように、股部4の吸収体43は、ウエスト用弾性部材19c,73による中前腹部2c及び前股部4aの上側部分の伸縮を阻害しないように、中前腹部2cのウエスト用弾性部材19cが設けられた部分よりも下側に位置されている。また、前股部4aの上縁部72は中前腹部2cの上縁部12cとほぼ揃えられており、この状態で両ウエスト用弾性部材19c,73が互いに対向している。
【0056】
また、ウエスト用弾性部材19cは、図8に示すように中前腹部2cの左右端から第1の所定寸法D1だけ左右方向内方側の領域A1に設けられており、ウエスト用弾性部材73も、図9に示すように前股部4aの左右端から第2の所定寸法D2だけ左右方向内方側の領域A2に設けられている。領域A1,A2の左右幅寸法はほぼ等しく設定されている。これによって、中前腹部2c及び前股部4aの上側部分における左右縁部75a,75bは、弾性部材19a,73が設けられていないため、破断部17a,17bが破断されて破断してパンツ71が図9に示すように展開された際にも、縮まないようになっている。
【0057】
また、本実施形態では、工場出荷時は図8及び図11に示すように、左右の付着片22a,22bが前腹部2の肌面側に折り畳まれた状態で備えられている。
【0058】
また、中前腹部2cの外面側表面が付着部として機能するようになっており、前述の付着部23a,23bが省略されている。
【0059】
パンツ71をおむつとして使用する場合には、図9に示すように、左右の破断部17a,17bを破断してパンツ71をおむつ状に展開し、折り畳まれている左右の付着片22a,22bを展開させる。そして、パンツ71を着用者の股間部にあてがった状態で、図13に示すように、左右の付着片22a,22bの付着部24を中前腹部2cの外面側表面に付着させる。このとき、中前腹部2c及び前股部4aの上側部分における左右縁部75a,75bが縮まないようになっているため、その左右縁部75a,75bをつまんで中前腹部2c及び前股部4aを容易に引き伸ばして着用者の肌に添わせることができる。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、中前腹部2cのウエスト用弾性部材19cが設けられた領域から吸収体43を下方にずらした状態で、前股部4aを中前腹部2cに接合するため、弾性部材19cが設けられた中前腹部2cの部分の伸縮性が伸縮性に乏しい股部4の吸収体43によって阻害されるのを防止して、弾性部材19cによる中前腹部2cの伸縮性を確保しつつ、股部4を前腹部2にしっかりと接合することができる。
【0061】
また、中前腹部2cの弾性部材19cが設けられた領域から吸収体43が下方にずらされているため、本実施形態のように股部2と中前腹部2cとの対向面の実質的に全面で接着剤による接合を行っても、弾性部材19cによる中前腹部2cの伸縮性を維持することができる。
【0062】
また、前股部4aにおける吸収体43の上端部よりも上側に位置する部分にもウエスト用弾性部材73を設けることにより、中前腹部2cの伸縮性を維持又は増強することができる。
【0063】
また、中前腹部2c及び前股部4aの上側部分における左右縁部75a,75bが縮まないようになっているため、その左右縁部75a,75bをつまんで中前腹部2c及び前股部4aを引き伸ばして着用者の肌に添わせる等の作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態に係る使い捨てパンツの正面図である。
【図2】図1の使い捨てパンツの右付着片を破断した図である。
【図3】図1の使い捨てパンツの左右の破断部を破断して股部を展開した状態を示す図である。
【図4】図1の使い捨てパンツのC1−C1線に沿った部分の断面図である。
【図5】図4の構成の第1の変形例を示す断面図である。
【図6】図4の構成の第2の変形例を示す断面図である。
【図7】図4の構成の第3の変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る使い捨てパンツの正面図である。
【図9】図8の使い捨てパンツの左右の破断部を破断して股部を展開した状態を示す図である。
【図10】図8の使い捨てパンツのC2−C2線に沿った部分の断面図である。
【図11】図8の使い捨てパンツのC3−C3線に沿った部分の断面図である。
【図12】図8の使い捨てパンツのC4−C4線に沿った部分の断面図である。
【図13】図8の使い捨てパンツのおむつとしての使用状態を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 使い捨てパンツ、2 前腹部、2a 左前腹部、2b 右前腹部、2c 中前腹部、3 後背部、3a 腰回り部、3b 臀部、4 股部、4a 前股部、4b 後股部、4c 中股部、17a,17b 破断部、19a〜19c ウエスト用弾性部材、20a,20b 脚用弾性部材、20c 前腹下部用弾性部材、21a〜21c ボディ用弾性部材、22a,22b 付着片、23a,23b 付着部、24 付着部、40a,40b 脚用弾性部材、41 トップシート、42 バックシート、43 吸収体、44a,44b 折り返し部分、45a,45b シート材、51 ウエスト用弾性部材、52 ボディ用弾性部材、53a,53b 脚用弾性部材、57 内層シート、58 外層シート、71 使い捨てパンツ、73 ウエスト用弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略環状に連なる前腹部及び後背部と、
前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、
前記股部に設けられた吸収体と、
前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、
前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に連結された左右の付着片と、
前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、
前記前腹部における前記左右の破断部の間に位置する中間領域に設けらた弾性伸縮部材と、
その一端側が前記前腹部の前記中間領域に接合され、その他端側が前記股部の前記前側部分に接合されて、前記前腹部と前記股部とを連結するシート材と、
を備えることを特徴とする使い捨てパンツ。
【請求項2】
略環状に連なる前腹部及び後背部と、
前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、
前記股部に設けられた吸収体と、
前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、
前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に連結された左右の付着片と、
前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、
前記前腹部における前記左右の破断部の間に位置する中間領域に設けらた弾性伸縮部材と、
前記股部の前記前側部分における前記前腹部の前記中間領域との対向面において、左右方向に間隔をあけて設けられ、前記股部の前記前側部分と前記中間領域とを連結する複数の連結部と、
を備えることを特徴とする使い捨てパンツ。
【請求項3】
略環状に連なる前腹部及び後背部と、
前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、
前記股部に設けられた吸収体と、
前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、
前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に接合された左右の付着片と、
前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、
前記前腹部の前記左右の破断部の間に位置する中間領域における上方側に部分的に設けられた第1の弾性伸縮部材と、
を備え、
前記股部の前記前側部分の前記中間領域と対向する部分は、前記吸収体が前記中間領域内における前記第1の弾性伸縮部材が設けられた領域と重ならないようにその領域の下側に配置された状態で、肌面側から前記中間領域に接合されていることを特徴とする使い捨てパンツ。
【請求項4】
請求項3に記載の使い捨てパンツにおいて、
前記股部の前記前側部分における前記吸収体の端部よりも上側に位置する部分に設けられた第2の弾性伸縮部材をさらに備えることを特徴とする使い捨てパンツ。
【請求項5】
請求項4に記載の使い捨てパンツにおいて、
前記第1の弾性伸縮部材は、前記中間領域の左右端から第1の所定寸法だけ左右方向内方側の領域に設けられ、
前記第2の弾性伸縮部材は、前記前側部分の左右端から第2の所定寸法だけ左右方向内方側の領域に設けられることを特徴とする使い捨てパンツ。
【請求項1】
略環状に連なる前腹部及び後背部と、
前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、
前記股部に設けられた吸収体と、
前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、
前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に連結された左右の付着片と、
前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、
前記前腹部における前記左右の破断部の間に位置する中間領域に設けらた弾性伸縮部材と、
その一端側が前記前腹部の前記中間領域に接合され、その他端側が前記股部の前記前側部分に接合されて、前記前腹部と前記股部とを連結するシート材と、
を備えることを特徴とする使い捨てパンツ。
【請求項2】
略環状に連なる前腹部及び後背部と、
前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、
前記股部に設けられた吸収体と、
前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、
前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に連結された左右の付着片と、
前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、
前記前腹部における前記左右の破断部の間に位置する中間領域に設けらた弾性伸縮部材と、
前記股部の前記前側部分における前記前腹部の前記中間領域との対向面において、左右方向に間隔をあけて設けられ、前記股部の前記前側部分と前記中間領域とを連結する複数の連結部と、
を備えることを特徴とする使い捨てパンツ。
【請求項3】
略環状に連なる前腹部及び後背部と、
前記前腹部及び前記後背部間に連なって設けられる股部と、
前記股部に設けられた吸収体と、
前記前腹部における前記股部の前側部分が接合される部分の左右両側に設けられ、前記前腹部を破断するための左右の破断部と、
前記前腹部における前記左右の破断部よりも左右方向外方側の部分に接合された左右の付着片と、
前記前腹部の外面側における前記左右の破断部の間に設けられ、前記左右の付着片が着脱される付着部と、
前記前腹部の前記左右の破断部の間に位置する中間領域における上方側に部分的に設けられた第1の弾性伸縮部材と、
を備え、
前記股部の前記前側部分の前記中間領域と対向する部分は、前記吸収体が前記中間領域内における前記第1の弾性伸縮部材が設けられた領域と重ならないようにその領域の下側に配置された状態で、肌面側から前記中間領域に接合されていることを特徴とする使い捨てパンツ。
【請求項4】
請求項3に記載の使い捨てパンツにおいて、
前記股部の前記前側部分における前記吸収体の端部よりも上側に位置する部分に設けられた第2の弾性伸縮部材をさらに備えることを特徴とする使い捨てパンツ。
【請求項5】
請求項4に記載の使い捨てパンツにおいて、
前記第1の弾性伸縮部材は、前記中間領域の左右端から第1の所定寸法だけ左右方向内方側の領域に設けられ、
前記第2の弾性伸縮部材は、前記前側部分の左右端から第2の所定寸法だけ左右方向内方側の領域に設けられることを特徴とする使い捨てパンツ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−158607(P2006−158607A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353635(P2004−353635)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】
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