説明

使い捨て吸収性失禁パッドのための固定・装着装置

本発明は、使い捨て吸収性失禁パッド(4)のための次のような固定・装着装置(2)に関する。すなわち固定・装着装置は、1つの腰ベルト(6)を持ち、腰ベルトは、ベルト繋止部材(22)を用いて再分離可能な状態でそれ自体を閉じることができると共に腰の周方向(8)に延びる腰回りを形成するものである。この腰ベルトに失禁パッド(4)を再分離可能な状態で固定できることで、失禁パッドは、使用者の腰領域に装着され、使用後はふたたび腰ベルト(6)から取り外されて廃棄できる。腰ベルト(6)は、前側の腹部領域(14)と、後ろ側の背面領域(16)と、左側および右側の側面領域(18、20)とを含む。本発明は、次の構成を提案する。すなわち、腰ベルト(6)は、背面領域(16)おおび腹部領域(14)を出発点として、長手方向に使用者の股領域に向かって(38)延びるフラップ片(32、34)を1つずつ有する。フラップ片は、その人体側に好ましくは機械的に作用する繋止部材(40、42)を持ち、繋止部材は、失禁パッド(4)の人体側にある相補的で好ましくは機械的に作用する繋止部材と、再分離可能な状態で粘着しながら協働する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て吸収性失禁パッドのための、次のような腰ベルトを持つ固定・装着装置に関する。すなわちこの腰ベルトは腰回りを形成し、この腰回りは、ベルト繋止部材によりそれ自体を再分離可能に閉じることができて、かつ腰の周方向に延びる。このベルトに失禁パッドを再分離可能に固定できるので、このパッドは、使用者の股領域に装着され、使用後はふたたび腰ベルトから取り外され、廃棄することができる。また、腰ベルトは、前側の腹部領域、後ろ側の背面領域、そして左側および右側の側面領域を含む。
【背景技術】
【0002】
この種の固定・装着装置は、たとえばWO2004/069122A1から公知である。この公知の固定・装着装置の場合、腰ベルトは、腹部領域でそれ自体が閉じられる。腹部領域と背面領域の間の左側および右側の側面領域では、腰ベルトが下方に広くなって、フラップ状の継ぎ足し部を1つずつ形成し、比較的幅広に張り出した吸収性オムツユニットを、この継ぎ足し部に固定することができる。その際、前側と後ろ側の両方で、吸収性オムツユニットの人体と反対側に、そのための繋止部材が設けられて、固定される。
【0003】
EP0700278B1もまた、いわゆるベルトつきオムツを示し、このオムツには、それ自体を閉じることができる比較的細い腰ベルトがついていて、このベルトの人体側に、オムツ状の吸収性ユニットを固定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭に挙げた種類の固定・装着装置であって、比較的小型の失禁パッドと組み合わせても使用できるにもかかわらず、使用者に装着された状態では、パンツを思わせる構造を形成するものを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの課題を、上記の種類の固定・装着装置から出発して、次のように解決する。すなわち、この腰ベルトは、背面領域と腹部領域から出発するフラップ片を1つずつ有するが、このフラップ片は、好ましくは長手中心軸に対称形に設けられ、そして長手方向に使用者の股領域に向かって延びるものとし、またこのフラップ片は、その人体側に、好ましくは機械的に作用する複数の繋止部材を有し、これら繋止部材は、失禁パッドの繋止部材、すなわち人体と反対側にあってかつ相補的で好ましくは機械的に作用する同繋止部材と協働して、再分離可能な状態で互いに粘着する。
【0006】
使用者の股領域に向かって延びるフラップ片によって、この腰ベルトは同時に、パンツの基本的な構造を形成する。これに股領域を補足すれば、それだけでパンツの形状が完成される。この股領域は、本発明による固定・装着装置の場合、吸収性失禁パッドによって形成される。この場合、当該後ろ側および前側のフラップ片は、失禁パッドの人体と反対側と協働して、再分離可能に粘着する。しかもその際、好ましくは機械的に作用するか、または粘着によって作用する繋止部材を使用する。
【0007】
フィット性を改善し、取り扱いを簡単にするためには、当該フラップ片を股領域に向かって先細とすれば有利である。
【0008】
さらにはフラップ片の繋止部材を、そのフラップ片の股側末端に設ければ有利である。それだけでなく、後ろ側および/または前側のフラップ片に、1つ以上のさらなる繋止部材を設ければ有利である。これら繋止部材は、股側末端と腰ベルトの間に位置決めされ、失禁パッドの追加的な固定に用いられる。
【0009】
さらには、この好ましくは機械的に作用するフラップ片繋止部材が、とくにフラップ片の股側末端で、長手方向を横切って延びる帯状の材料片に設けられていれば有利である。この材料片は、フラップ片に接合されているものとする。このような方法で、フラップ片の平面的広がり全体を、横方向においては意図された目的に従って使用者に対称形の状態で、失禁パッドの外側に再分離可能に固定することができる。フラップ片を、こうして広範囲に折り目なしで、前記のように脚や股領域に対し、または使用者を考慮に入れた長手中心軸に対して、正確に広げて固定することができる。
【0010】
失禁パッドの外側はこの場合、フラップ片の繋止部材に呼応するものに形成されている。すなわち、機械的繋止部材がフックの形状である場合、失禁パッドの外側は、好ましくはループを形成する部材によって、好ましくは不織布によって、とくには不織布‐フィルム‐ラミネートの不織布層によって形成される。他方、繋止手段が粘着性である場合、失禁パッドの外側は、好ましくはフィルム層によって形成され、このフィルム層に粘着性の繋止手段が付着できるものとする。
【0011】
本発明のもう1つの考案によれば、フラップ片の繋止部材、とくに股側末端にある繋止部材は、使用前はフラップ片の人体側の上に折り畳まれ、この構造で容易に再分離可能な状態で、フラップ片の人体側に粘着しているものとすれば有利である。このようにして、フラップ片に設けられたとくに機械的に作用する繋止部材は、腰ベルトに装着されている間、とくに介護必要な人の場合、失禁パッドの固定に必要とならない間は、使用されていない状態にある。繋止部材はこの場合、腰ベルトまたはそのほかの部材、たとえばシーツ、ベッドパッドなどに引っ掛かって、腰ベルトの装着を妨げることはない。すなわち実際の使用では、前側および/または後ろ側のフラップ片が、それ自体折り畳まれ、そして/または腰ベルトの上に折り畳まれていて、腰ベルトおよび失禁パッドが装着された後に初めて、この折り畳みがパッドを固定するために開かれることが有利な場合がある。
【0012】
実際に使用する際の取り扱い性の点では、腰ベルトは、閉じたり開いたりできるのはただ1領域においてのみとし、ベルト繋止部材はこの領域で、腰ベルトの自由な末端部分に設けられている場合も有利である。すなわち腰ベルトは長く延びていて、2つの末端部分を持つ。これら末端部分は、ベルト繋止部材によって相互間に閉じられ、腰ベルトを使用者の身体周囲に取り回して装着できるようにすることができる。
【0013】
本発明の上記考え方の発展形として、他方の側面領域、すなわちベルトを開いたり閉じたりできない方の側面領域に第2の繋止部材を設け、この繋止部材を用いて腰ベルトの円周長さを調整でき、少なくとも前側のフラップ片を使用者の股に関して対称形に位置決め可能とすれば、有利である。好ましくは、第2の繋止部材を形成するに当たっては、この繋止部材が、固定・装着装置が装着状態にあるとき、外見および/または手触りの点では、ベルト繋止部材と区別がつかないように形成する。しかし、繋止部材の機能が異なることを示すため、第2の繋止部材がベルト繋止部材と、外見および/または手触りで区別できるものとすれば有利な場合もある。これはたとえば、色、形状、組織構造を異なるものとするか、あるいはまた別な方法によって行うことができる。ベルト繋止部材と第2の繋止部材とは、この場合、腰ベルトの腹部領域の両側および/または側面領域に設ければ有利である。腰ベルト装着のとき、介護担当者は、広げられて長く延ばされた腰ベルトを、横たわる患者の身体の下で腰回りに沿って通す。次にベルトは、閉じられた腰部開口を形成するため、ベルト繋止部材によってそれ自体が閉じられる。この状態で、ベルトはたしかに装着されているが、まだ第2の繋止部材の活動化による最良のフィット形態になっていない。たとえば、この状態で、腹部側のフラップ片は、ベルト繋止部材を閉じることによって加えられる腰回り周方向の引張力により、該当する側の方に引っ張られる。この引張力には、最適な腰回り長さと、腰回り周方向の適切な張力とを調節することによって、対処できる。そのためには、第2の繋止部材を相応の最適さに調整する。したがってこれらの第2の繋止部材によって、すでに述べたように、2つの開かれた自由な末端が相互に閉じられるのではなく、必要があれば腰ベルトの円周長さを調節する。
【0014】
第2の繋止部材は、さまざまな方法で実現できる。本発明の1つの好ましい実施形態が提案するのは、第2の繋止部材の一方の部材を、腰ベルトに接合された材料片上に設け、他方の部材は、腰ベルト自体の外側に設けることである。したがってこのような場合、腰ベルトそのものは変更を加えられず、腰ベルトに追加的な部材が設けられる。この追加的な部材は、第2の繋止部材を支持する材料片、かつそれ自体任意の方法で腰ベルトの材料の上に取り付けできる材料片という形である。この取り付けは、縫いつけ、接着、シーリング接着、超音波溶接、または同様な一般的接合方法による。
【0015】
ベルト繋止部材および/または第2の繋止部材が、長手方向における腰ベルトのほぼ全長にわたって、つまり腰ベルトの幅全体にわたって延びる場合も有利である。この場合、第2の繋止部材を調整する際、ベルトの全幅にわたって均一な力を、ベルトに加えることができる。
【0016】
ベルト繋止部材および/または第2の繋止部材を、それらの自由な末端に向かって先細とし、または幅を次第に狭めることも考えられる。これら繋止部材の角部と使用者の皮膚とのこすれを最小限にするためである。
【0017】
第2の繋止部材を使用してベルトの円周長さを短縮するためには、好ましくは、第2の繋止部材を閉じることによって、ベルトにZ字型の折り目をつける。この折り目は、使用者の身体表面に対してそのとき生じる腰ベルトの圧力によって、そして/またはZ字型折り目で相互に密着する各部分の摩擦によって保持される。
【0018】
良好なフィット性と高い装着快適性を得るという点では、腰ベルトが、少なくとも1つの弾性部分を、好ましくはいずれの側面領域でも1つの弾性部分を含むものとして、腰ベルトが腰回り円周方向に弾性伸長できるようにすれば、有利である。
【0019】
さらには、腰ベルトを、腹部領域および/または背面領域では、ほとんど伸長できないものに形成すれば、有利である。
【0020】
しかし上記と異なる実施形態として、1つ以上の弾性部分を、腹部領域および/または背面領域に設け、この場合好ましくは、楔形、台形、または四角形の弾性部分として設けるならば、有利である。
【0021】
腰ベルトの寸法の点では、腰ベルトを、好ましくはいずれの箇所でも、長手方向における寸法が少なくとも5cm、特には少なくとも6cm、さらに特には少なくとも7cmさらに特には少なくとも8cm、さらに特には少なくとも9cm、さらにとくには少なくとも10cmとすれば有利である。この場合、長手方向における固定ベルトの寸法とは、固定ベルトが円周方向に延びるのを横切るベルト幅、しかも前側および後ろ側のフラップ片より上のベルト幅をいう。長手方向におけるこの寸法は、好ましくは最高でも20cmとする。特に好ましくは、この寸法は、腹部領域における方が背面領域におけるよりも小さい。そして腰ベルトの上縁は、好ましくは、製品のフィット性が改善されるように腹部部分を形成するのが容易な輪郭とする。
【0022】
フラップ片の寸法に関しては、フラップ片の長手方向における寸法を、腰ベルトの股側円周周縁にわたって少なくとも5cm、特には少なくとも6cm、さらに特には少なくとも7cm、さらに特には少なくとも8cm、さらに特には少なくとも9cm、さらに特には少なくとも10cm、しかし、特には多くとも20cm、そして、特には10〜18cm、さらに特には10〜15cmとする。この場合、前側および後ろ側のフラップ片は、寸法を同じとすることも、異なるものとすることもできる。
【0023】
本発明の1つの好ましい実施形態では、当該フラップ片が、腰ベルトの腹部領域および/または背面領域と一体型に形成されている。しかし、腰ベルトと同じ材料のものを、または腰ベルトと異なる材料のものを、別付け接合したフラップ片も考えられる。
【0024】
この腰ベルトの腹部領域および/または背面領域は、好ましくは、不織布材料または不織布複合材料、特にはほとんど伸長不可能な不織布材料または不織布複合材料から形成されている。
【0025】
そのほか、腰ベルトの弾性伸長可能な側面領域が、ほとんど伸長不可能な腹部領域およびほとんど伸長不可能な背面領域と、再分離不可能に結合されたものとすれば、特に有利である。好ましくは、いずれの側面領域も弾性伸長可能な部分を含むものとする。
【0026】
それだけでなく、前側および/または後ろ側のフラップ片を色彩あるものに形成し、その際、これらの部分を好ましくは異なる色として、視覚的な装着補助手段として用いれば、有利である。
【0027】
前側および/または後ろ側のフラップ片に1つのマーキングを取り付けて、このマーキングを失禁パッドの位置決め補助手段として用い、またこの取り付けに当たっては、失禁パッドと固定・装着装置が正しく装着されると、前側および/または後ろ側フラップ片上のマーキングが、失禁パッドの外側位置に視認されるマーキング、たとえば濡れ標識としてのマーキングと一致するようにすれば、有利である。
【0028】
本発明のそのほかの諸特徴、詳細、利点を、添付の特許請求の範囲、使い捨て吸収性失禁パッドのための本発明による固定・装着装置の1つの好ましい実施形態の図面と下記の説明に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による固定・装着装置の1つの実施形態であって装着状態にあるものを、使い捨て吸収性失禁パッドとともに示す。
【図2】本発明による固定・装着装置の1つの実施形態であって装着状態にあるものを、使い捨て吸収性失禁パッドとともに示す。
【図3】固定・装着装置が開かれて平坦な基盤上に広げられた状態にあるときの模式的上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1および2は、番号4を付した吸収性失禁パッドのための固定・装着装置の全体に番号2を付して、その斜視図を示す。しかもこれは使用者に装着された状態にある。固定・装着装置2は、それ自体を再分離可能に閉じることができる腰ベルト6を含み、この腰ベルトは、腰回り周方向8に沿って延び、2つの自由な末端部分10、12を有する(図3参照)。これら末端部分は、閉じられた腰回り形状を形成する際には、それら自体を閉じることができる。
【0031】
この固定・装着装置2またはその腰ベルト6は、前側の腹部領域14、後ろ側の背面領域16、それに左側の側面領域18、右側の側面領域20を含む。
【0032】
腰ベルト6を閉じるために、その自由な末端部分10、12にベルト繋止部材22を設けていて、この繋止部材は、好ましいケースを例示すると、機械的に作用しかつフック/ループシステムの形を取る繋止部材によって形成されている。このフック状の繋止部材を図では番号24を付して示した。この繋止部材は、腹部領域14の外側表面の形を取るループを形成する部材25に、再分離可能に付着して協働する。たとえば、腹部領域14の外側は不織布材料を含み、この不織布材料が繋止システムのループ状部材25を形成する。
【0033】
さらには、ただ末端部分10、12だけ、すなわちただ1箇所だけで開くことができる腰ベルト6は、第2の繋止部材26を備え、この繋止部材を用いて、腰ベルト6の周長さを調整できる。この第2の繋止部材26は、側方で腹部領域14または左側側面領域18に接して設けられる。これは、第2の繋止部材は、ベルト繋止部材と機能を異にするにもかかわらず、固定・装着装置が装着された状態のとき(図1参照)、形状および配置の点では、ベルト繋止部材22と同じ外見上の印象をあたえるための構成である。すなわち、第2の繋止部材26は、腰ベルト6を開くことができて、たがいに分離できる末端部分を結合するものではない。この第2の繋止部材26は単に、腰ベルト6の周長さを装着条件に適合させるためだけのものである。このため、第2の繋止部材26は腰ベルト6の外側に取り付けられた材料片28を含み、この材料片に第2の繋止部材自体が設けられている。この材料片28は、好ましくは、ベルトの長手方向寸法全体にわたって(長手方向中心軸30に沿って)、すなわちベルト幅全体にわたって延び、これにより同時に引張力を腰ベルトに導くことができる。この第2の繋止部材26は、これもまた好ましくは機械的に作用する繋止部材、とくにはフック/ループ型材料である。好ましい例を例示すると、第2の繋止部材26は、形成されるに当たって、材料片28に繋止システムのフック形成部材が設けられ、このフック形成部材は腹部領域14のループ形成型の外面と協働するように形成されている。これについては先に、ベルト繋止部材22の項で説明した。
【0034】
その他の重要な部材として、腰ベルト6は、腹部領域14および背面領域16から、長手中心軸30に対称形に形成された前側および後ろ側のフラップ片32、34を1つずつ持つ。これらフラップ片32、34は、好ましいケースを例示すると、腰ベルト6と一体型に形成されている。これらフラップ片は、腰ベルトの股側または下側の長手周縁36から、長手中心軸30に沿って、股領域の方向38に延びる。これらフラップ片は、側方を円弧形の輪郭に形成されるものとすることができる。これらフラップ片32、34は、その下側、股側の末端領域に、しかも人体側に、機械的に作用する繋止部材40、42を持つ。これら機械的に作用する繋止部材40、42は、失禁パッド4の人体と反対側にある機械的に作用する相補的な繋止部材と、再分離可能に粘着しながら協働する。これにより失禁パッド4は、再分離可能な状態で、しかし係留されて、固定・装着装置2に固定される。好ましくは、繋止部材40,42は、機械的に作用する繋止システムのフック形成部材とし、このフック形成部材が、失禁パッド4の人体側にあるループ形成部材と協働する。ループ形成部材は、この場合有利な方法として、不織布コーティングによって、好ましくは失禁パッド4の不織布‐フィルム‐ラミネートの不織布層によって形成されるものとすることができる。
【0035】
腰ベルト6は、好ましくは、不織布材料または不織布複合材料から製造されている。しかし好ましい例を例示すると、腹部領域14および背面領域16は、ほとんど伸長不可能な不織布材料または不織布複合材料から形成されていて、これら領域の外側は、ベルト繋止部材22または第2の繋止部材26のループ形成部材として用いられる。しかし2つの側面領域18、20は、弾性伸長可能なものとして形成され、弾性伸長可能な材料片44を有す。この材料片は、意図された目的に従って、腹部領域14および背面領域16の伸長不可能な材料と、再分離不可能に結合されている。
【0036】
固定・装着装置2と吸収性失禁パッド4と一緒に装着するには、次のように行う。寝たきりで介護を必要とする患者の場合、介護担当者は、まず腰ベルト6を、患者の身体の下で腰回りに沿って通す。腰ベルト6はこのとき、その背面領域16がお尻の下に、そして腹部領域14がほぼ全面中央に来るよう位置決めされる。次に腰ベルト6の自由な末端部分10,12をたがいに重なり合う位置に置き、ベルト繋止部材22を用いて相互に閉じ合わせる。つづいて材料片28と第2の繋止部材26とを位置決めして閉じることにより、腰ベルト6の円周方向8における長さと張力が最適化され、その結果、均一な引張力が腹部領域14の左右に加えられる。そして腹部領域14も背面領域16も、好ましくは、患者に対して対称形となる位置に、かつできるだけ折り目のない位置に来るものとする。この場合、快適な装着感も目標となる。次には、機械的に作用する繋止部材40、42を用いて、前側および後ろ側のフラップ片32、34を、前もって、またはこのとき初めて患者の股領域で位置決めされた失禁パッド4と、再分離可能に粘着させながら結合する。この場合も、前側および後ろ側のフラップ片32、34が、均一かつ程よい引張力または保持力の使用の下で固定されるよう注意する。これは、失禁パッド4が、規定に従った対称形配置で、患者の股領域に保持されるようにするためである。
【0037】
衛生用品または失禁用品の装着までの前記各ステップの順序の点では、介護担当者は比較的自由である。たとえばある特定の介護条件下では、最初に失禁パッドを、患者の股領域に前もって位置決めしておき、その後初めて、腰ベルト6をそれ自体閉じることが有利な場合がある。フラップ片32、34を失禁パッド4と結合した後初めて、第2の繋止部材26を用いて、腰回り円周方向8に最適の張力を決めることが有利な場合がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て吸収性失禁パッド(4)のための固定・装着装置(2)であって、前記固定・装着装置は、1つの腰ベルト(6)を有し、前記腰ベルトは、ベルト繋止部材(22)を用いて再分離可能な状態でそれ自体を閉じることができる腰回りであって、かつ腰の円周方向(8)に延びる腰回りを形成するものであり、前記腰ベルトに失禁パッド(4)を再分離可能な状態で固定できることで、前記失禁パッドは、使用者の腰領域に装着され、使用後はふたたび腰ベルト(6)から取り外されて廃棄でき、腰ベルト(6)が、前側の腹部領域(14)と、後ろ側の背面領域(16)と、左側および右側の側面領域(18、20)とを含む、固定・装着装置であって、
腰ベルト(6)が、背面領域(16)おおび腹部領域(14)を出発点として、長手方向に使用者の股領域に向かって(38)延びるフラップ片(32、34)を1つずつ有し、前記フラップ片は、その人体側に好ましくは機械的に作用する繋止部材(40、42)を有し、前記繋止部材は、失禁パッド(4)の人体側にある相補的で好ましくは機械的に作用する繋止部材と、再分離可能な状態で粘着しながら協働することを特徴とする、固定・装着装置。
【請求項2】
前記フラップ片(32、34)が、股領域に向かって(38)先細となることを特徴とする、請求項1に記載の固定・装着装置。
【請求項3】
前記フラップ片(32、34)の繋止部材(40、42)が、フラップ片の少なくとも1つの股側末端に設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の固定・装着装置。
【請求項4】
前記フラップ片(32、34)の繋止部材(40、42)が、長手方向に亘って延びるループ状の材料片上に設けられ、前記材料片がフラップ片(32、34)に接合されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項5】
前記フラップ片(32、34)の繋止部材(40、42)が、使用開始前は、フラップ片(32、34)の人体側、または腰ベルト(6)の上に折り畳まれていて、この構造で、容易に再分離可能な状態で、フラップ片(32、34)または腰ベルト(6)の人体側に粘着していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項6】
前記腰ベルト(6)が、ただ1つの領域だけで開閉でき、前記1つの領域において、ベルト繋止部材(22)が、腰ベルト(6)の自由な末端部分(10、12)に設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項7】
第2の繋止部材(26)が設けられ、前記第2の繋止部材を用いて、腰ベルト(6)の円周長さを調整できると共に、少なくとも前側フラップ片(32)を、使用者の股に関して対称形に位置決めできることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項8】
前記ベルト繋止部材(22)と第2の繋止部材(26)とが、腰ベルト(6)の腹部領域(14)の両側、または側面領域(18、20)に設けられていることを特徴とする、請求項7に記載の固定・装着装置。
【請求項9】
前記第2の繋止部材(26)が、固定・装着装置の装着状態では、外見および手触りの少なくとも一方の点では、ベルト繋止部材(22)と区別できないことを特徴とする、請求項7または8に記載の固定・装着装置。
【請求項10】
前記第2の繋止部材(26)が、固定・装着装置の装着状態では、外見および手触りの少なくとも一方の点では、ベルト繋止部材(22)と区別できることを特徴とする、請求項7または8に記載の固定・装着装置。
【請求項11】
前記第2の繋止部材(26)の一方の部材が、腰ベルトに接合された材料片(28)に設けられ、他方の部材が、腰ベルト(6)の外側に設けられていることを特徴とする、請求項7、8、9、または10に記載の固定・装着装置。
【請求項12】
前記ベルト繋止部材(22)および第2の繋止部材(26)の少なくとも一方が、長手方向(30)における腰ベルト(6)のほぼ全長にわたって延びることを特徴とする、請求項7〜11のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項13】
前記腰ベルト(6)が、少なくとも1つの弾性部分(44)を、好ましくはいずれの側面領域(18、20)にも1つずつ弾性部分(44)を含むことで、腰ベルト(6)が腰回り円周方向(8)に弾性伸長可能であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項14】
前記腰ベルト(6)の腹部領域(14)および背面領域(16)の少なくとも一方が、ほとんど伸長不可能に形成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項15】
前記腰ベルト(6)は、好ましくはいずれの箇所でも、長手方向(30)におけるその長さが、少なくとも5cm、特には少なくとも6cm、さらに特には少なくとも7cm、さらに特には少なくとも8cm、さらに特には少なくとも9cm、さらに特には少なくとも10cmであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項16】
前記フラップ片(32,34)は、腰ベルトの股側周縁にわたって、その長手方向(30)における長さが、少なくとも5cm、特には少なくとも6cm、さらに特には少なくとも7cm、さらに特には少なくとも8cm、さらに特には少なくとも9cm、さらに特には少なくとも10cm、しかし、特には多くとも20cm、そして、特には10〜18cm、さらに特には10〜15cmであることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項17】
前記フラップ片(32、34)が、腰ベルト(6)の腹部領域(14)および背面領域(16)の少なくとも一方と一体型に形成されていることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項18】
前記腰ベルト(6)の腹部領域(14)および背面領域(16)の少なくとも一方が、不織布材料または不織布複合材量から形成されていることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の固定・装着装置。
【請求項19】
前記腰ベルト(6)の弾性伸長可能な側面領域(18、20)が、ほとんど伸長不可能な腹部領域(14)と、ほとんど伸長不可能な背面領域(16)とに、再分離不可能に結合されていることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の固定・装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−507207(P2013−507207A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533510(P2012−533510)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006066
【国際公開番号】WO2011/044995
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(500038020)パウル ハルトマン アクチェンゲゼルシャフト (64)
【Fターム(参考)】