説明

使い捨て着用物品

【課題】クロッチ本体をウエストパネルの外面に安定的に固定することができるとともに、クロッチ本体の吸液性構造体の吸収性能を低下させることなく、比較的に多量の排泄物を吸収、保持可能な使い捨て着用物品の提供。
【解決手段】クロッチ本体12の前後端部35,36のうちの少なくともいずれか一方が、クロッチ本体12の横方向Xにおける中央部に非接合領域68,69を有する接合域60,61を介して弾性ウエストパネル11の非肌対向面に取り付けられており、着用物品10の着用状態において、クロッチ本体12の一方端部36が取り付けられたウエスト域14の中央部に縦方向Yへ延びる分離部位19が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て着用物品に関し、より詳しくは、吸液性構造体が環状のウエストパネルの外面に取り付けられている使い捨ておむつ、使い捨てのトイレット・トレーニングパンツ、使い捨て失禁パンツ、使い捨ての生理用パンツ等の使い捨て着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸液性構造体が弾性ウエストパネルの外面に取り付けられてなる着用物品は公知である。例えば、特許文献1には、弾性ウエストパネルの外面に、吸液性を有するクロッチ本体の前後端部が、ウエスト回り方向に間欠的に配置された、着脱可能な係止部を介して取り付けられている使い捨ての着用物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−51240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の着用物品によれば、ウエストパネルに対してクロッチ本体が着脱可能に取り付けられているので、使用後に、排泄物で汚れたクロッチ本体のみを廃棄して新しいものに交換することができる。したがって、ウエストパネルについては交換不要であるので、経済的に優れており、また、着用者の体型および股間部の形状の影響を受けることなく安定的な装着ができる。
【0005】
しかし、ウエスト回りに間欠的に配置された係止部のみでクロッチ本体をウエストパネルの外面に取り付けるので、クロッチ本体が多量の排泄物を受容した場合には、クロッチ本体の自重及び移動によって、着用中に係止部の係止が解かれるおそれがある。かかる事態を避けるために、クロッチ本体のウエストパネルに対する係止部の面積を大きくすることも考えられるが、その場合には、クロッチ本体における吸収性コアを含んだ部位がウエストパネルの外面側に位置することになるので、クロッチ本体の吸液性能が低下するおそれがある。また、体液がウエストパネル全体の外側に位置する吸収性コアにも拡散し、体液が外部に漏れ出るおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、クロッチ本体をウエストパネルの外面に安定的に固定することができるとともに、クロッチ本体の吸液性構造体の吸収性能を低下させることなく、比較的に多量の排泄物を吸収、保持可能な使い捨て着用物品の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明が対象とするのは、縦方向及びそれに直交する横方向と、肌対向面及び非肌対向面と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記前後ウエスト域を画成する弾性ウエストパネルと、前記弾性ウエストパネルに取り付けられた、前後ウエスト域の一部および前記クロッチ域を画成するクロッチ本体とを含む使い捨て着用物品である。
【0008】
本発明の特徴とするところは、前記クロッチ本体が、前記前ウエスト域に位置する前端部と、前記後ウエスト域に位置する後端部と、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へ延びる吸液性構造体とを有し、前記前後端部のうちの少なくともいずれか一方が、前記クロッチ本体の前記横方向における中央部に非接合領域を有する接合域を介して前記弾性ウエストパネルの前記非肌対向面に取り付けられており、前記一方の端部が取り付けられた前記弾性ウエストパネルにおける、前記非接合領域と対向する位置に前記縦方向へ延びる分離部位が形成されていることにある。
【0009】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記クロッチ本体が前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へ延びる一対のサイド弾性部を有し、前記着用物品の着用状態において、前記弾性ウエストパネルがウエスト回り方向に伸長されることによって、前記一対のサイド弾性部どうしの離間寸法が大きくなる。
【0010】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記クロッチ本体の前記一方の端部が取り付けられた前記弾性ウエストパネルにおける、前記非接合領域と対向する位置に、前記横方向に並ぶ複数の前記分離部位が形成されている。
【0011】
本発明の他の実施態様に一つとして、前記分離部位が、前記縦方向へ延びるスリットである。
【0012】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記分離部位が、前記縦方向へ延びるミシン目である
【0013】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記分離部位が切欠である。
【0014】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記分離部位が所要の形状を有するくり抜きである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る着用物品によれば、クロッチ本体の前後端部のうちの少なくとも一方の端部が取り付けられた弾性ウエストパネルにおける、非接合領域と対向する位置におむつの縦方向へ延びる分離部位が形成されていることから、おむつの着用状態において、分離部位がおむつの横方向へ広がり、その下方に位置する排泄物保持スペースへの開口が形成され、該ウエスト域に流れ込んだ排泄物を該スペースに速やかに移動させることができる。また、該中央部においてクロッチ本体が接合されていないので、所要の吸液性構造体の吸収面積を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る使い捨て着用物品の一例として示す、使い捨ておむつの斜視図。
【図2】おむつのサイドシーム部を剥離して前後方向に伸展した状態をその内面から見た一部破断展開平面図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】前後接合域の態様を示すおむつの展開平面図。
【図5】(a)おむつを前後方向へ伸展した状態の前ウエスト域及びクロッチ域の一部を示す平面図。(b)おむつの着用状態における前ウエスト域及びクロッチ域の一部を示す平面図。
【図6】(a)本発明の第2実施形態におけるおむつの図5(a)と同様の平面図。(b)本発明の第2実施形態におけるおむつの図5(b)と同様の平面図。
【図7】(a)本発明の第3実施形態におけるおむつの図5(a)と同様の平面図。(b)本発明の第3実施形態におけるおむつの図5(b)と同様の平面図。
【図8】(a)本発明の第4実施形態におけるおむつの図5(a)と同様の平面図。(b)本発明の第4実施形態におけるおむつの図5(b)と同様の平面図。
【図9】図8(b)のIX−IX線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る使い捨て着用物品の一例として示す、使い捨ておむつ10の斜視図、図2は、おむつ10のサイドシーム部20を剥離して前後方向に伸展した状態をその内面から見た一部破断展開平面図、図3は、図1のIII−III線断面図、図4は、前後接合域の態様を示すおむつの展開平面図である。図4では、説明の便宜上、弾性ウエストパネル及びクロッチ本体を仮想線で示している。
【0018】
図1及び2に示すとおり、使い捨ておむつ10は、縦方向Y及びそれに直交する横方向Xと、横方向Xの幅寸法を二等分する仮想中心線P−Pと、肌対向面及びそれに対向する非肌対向面と、環状の弾性ウエストパネル11と、弾性ウエストパネル11の非肌対向面に取り付けられたクロッチ本体12と、前ウエスト域13と、後ウエスト域14と、前後ウエスト域13,14間を縦方向Yに延びるクロッチ域15とを含む。おむつ10は、仮想中心線P−Pに関して対称に形成されており、弾性ウエストパネル11は、前ウエスト域13を形成する前ウエストパネル16と、後ウエスト域14を形成する後ウエストパネル17とから構成されている。
【0019】
前ウエストパネル16は、クロッチ本体12と交差し、横方向Xに延びる内端縁16aと、縦方向Yにおいて内端縁16aと離間対向して横方向Xに延びる外端縁16bと、内外端縁16a,16b間において縦方向Yに延びる両側縁16c,16dとによって横長矩形状に画成されている。前ウエストパネル16の仮想中心線P−P上には、縦方向Yに延びるスリットからなる分離部位18が形成されている。
【0020】
後ウエストパネル17は、前ウエストパネル16とほぼ同形同大であって、クロッチ本体12と交差し、横方向Xに延びる内端縁17aと、縦方向Yにおいて内端縁17aと離間対向して横方向Xへ延びる外端縁17bと、内外端縁17a,17b間において縦方向Yに延びる両側縁17c,17dとによって、横長矩形状に画成されている。後ウエストパネル17の仮想中心線P−P上には、縦方向Yへ延びるスリットからなる分離部位19が形成されている。なお、本実施形態では、前後ウエストパネル16,17のいずれにおいても分離部位18,19が形成されているが、分離部位18,19及びそれによる効果を奏するための構成は、前後ウエスト域13,14のうちのいずれか一方のウエスト域のみが有するものであってもよい。また、後記するように、分離部位18,19が形成されていることによって、吸液性構造体40の所要の吸収面積を確保することができるので、後ウエストパネル17に分離部位19が形成されている場合には、着用者が仰向けや座位の状態において排泄しても、体液が後ウエスト域14から漏れ出るおそれはない。さらに、前ウエストパネル16に分離部位18が形成されている場合には、着用者が男性であれば、分離部位18にペニスを挿入し、前ウエストパネル16の外面に位置する吸液性構造体40に直接尿を排泄することができ、前ウエストパネル16を介して尿が伝い漏れるのを防止することができる。
【0021】
前ウエストパネル16の両側縁16c,16dと後ウエストパネル17の両側縁17c,17dとは、互いに重ね合わせられて、縦方向Yに間欠的に接合されるサイドシーム部20によって連結され、ウエスト開口21及び一対のレッグ開口22とが画成されている(図1参照)。サイドシーム部20は、公知の接合手段、例えば、熱エンボス加工、ソニック加工などの各種熱溶着手段によってなされる。
【0022】
前ウエストパネル16は、肌対向面に位置する第1内面シート25と、非肌対向面に位置する第1外面シート26とを有する。第1内面シート25と第1外面シート26とは、質量が15〜30g/mの不透液性のSMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)繊維不織布またはスパンボンド繊維不織布、若しくは、プラスチックシートやそれらのラミネートシートから形成されている。両シート25,26は、少なくともいずれか一方のシートの内面に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合されている。また、第1内面シート25と第1外面シート26との間には、横方向Xに延びる複数条ストランド状又はストリング状からなる前ウエスト弾性要素27が、ホットメルト接着剤(図示せず)を介して横方向Xにおいて収縮可能に配設されており、前ウエストパネル16は、少なくとも横方向Xにおいて弾性化されている。なお、第1内面シート25と第1外面シート26とは、前ウエスト弾性要素27を構成する各弾性要素に塗布したホットメルト接着剤を介してのみ互いに接合されていてもよい。
【0023】
後ウエストパネル17は、肌対向面に位置する第2内面シート29と、非肌対向面に位置する第2外面シート30とを有する。第2内面シート29と第2外面シート30とは、質量が10〜30g/mの不透液性のSMS繊維不織布またはスパンボンド繊維不織布、若しくは、プラスチックシートやそれらのラミネートシートから形成されている。両シート29,30は、少なくともいずれか一方のシートの内面に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合されている。また、第2内面シート29と第2外面シート30との間には、横方向Xに延びる複数条ストランド状又はストリング状からなる後ウエスト弾性要素31が、ホットメルト接着剤(図示せず)を介して横方向Xにおいて収縮可能に配設されており、後ウエストパネル17は、少なくとも横方向Xにおいて弾性化されている。なお、第2内面シート29と第2外面シート30とは、後ウエスト弾性要素31を構成する各弾性要素に塗布したホットメルト接着剤を介してのみ互いに接合されていてもよい。
【0024】
クロッチ本体12は、略矩形状であって、前ウエストパネル16の非肌対向面に取り付けられた前端部35と、後ウエストパネル17の非肌対向面に取り付けられた後端部36と、前後端部35,36間において縦方向Yへ延びる中間部37と、不透液性の内外面クロッチシート38,39と、内面クロッチシート38の肌対向面に配置された吸液性構造体40とを有する。内外面クロッチシート38,39は、両シート38,39のうちのいずれか一方のシートの内面に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介して互いに接合されており、それらの両側部は、内方へ折り曲げられ、吸液性構造体40の内面において縦方向Yへ延びる一対のサイド弾性部41が形成されている。吸液性構造体40は、高吸収性ポリマー粒子とフラップパルプとの混合または高吸収性ポリマー粒子のみから形成された、前記各シートに比して剛性が高い半剛性の吸収性コアを透液性シートで被包することによって形成されている。
【0025】
各サイド弾性部41には、縦方向Yへ延びる複数条のストランド状又はストリング状からなる第1レッグ弾性要素50と第2レッグ弾性要素51とが配設されており、少なくとも縦方向Yにおいて弾性化している。サイド弾性部41はその内側縁に沿って縦方向へ延びる3条の第1レッグ弾性要素50とクロッチ域の中央部において内方へ凹曲し、前後ウエスト域13,14に向かって直状に延びる5本の第2レッグ弾性要素51とから形成されている。第1及び第2レッグ弾性要素50,51は、内外面クロッチシート38,39の少なくともいずれか一方の内面に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介して両シート38,39間に縦方向Yに伸長された状態で固定されている。
【0026】
第1及び第2レッグ弾性要素50,51がサイド弾性部41に配設されていることによって、サイド弾性部41は、おむつ10の着用状態において、吸液性構造体40から離間して着用者の鼠蹊部に当接し、クロッチ本体12は弾性ウエストパネル11に吊持された袋状の形態を呈する(図1,3参照)。かかる着用状態において、排泄物が吸液性構造体40上に排泄された場合には、自重によって吸液性構造体40が着用者の臀部から離間し、着用者と吸液性構造体40との間に排泄物を保持するための、通常の使い捨ておむつに比べて大容量の排泄物収容スペースSが形成される。おむつ10は、この種の他の物品に比して大容量の排泄物収容スペースSを有するので、比較的に多量の排泄物を保持することができるとともに、着用者の臀部から離間した状態で吸液性構造体40が吊持されるので、排泄物によって着用者の臀部が汚れるのを抑えることができる。
【0027】
図3及び4に示すとおり、クロッチ本体12は、前端部35及び後端部36の肌対向面にホットメルト接着剤を塗布してなる前接合域60と後接合域61とにおいて前後ウエストパネル16,17の外面に取り付けられている。このように、クロッチ本体12の前後端部35,36を前後ウエストパネル16,17の非肌対向面に取り付けることによって、排泄物収容スペースSをより大きく形成することができる。なお、排泄物収容スペースSの所要の収容量を確保できる限りにおいて、前後端部35,36のうちのいずれか一方のみが前後ウエストパネル16,17の非肌対向面に取り付けられていればよい。
【0028】
前後接合域60,61は、クロッチ域15に向かって開口した凹状の形状を有し、それぞれ、サイド弾性部41にホットメルト接着剤を塗布してなる両側域64,65と、両側域64,65間において、横方向Xへ延びる中央域66,67とを有する。中央域66,67は、吸液性構造体40の存在域よりも縦方向Yの外方に位置しており、両側域64,65と中央域66,67との間には、ホットメルト接着剤が塗布されていない非接合域68,69がそれぞれ画成されている。なお、前後接合域60,61は、全体として曲状を有するものであってもよいし、両側域64,65及び/又は中央域66,67が段差状、三角状などの各種形状を有していてもよい。
【0029】
図5(a)は、おむつ10を前後方向に伸展した状態における後ウエスト域14及びクロッチ域15の一部を示す平面図、図5(b)は、おむつ10の着用状態における後ウエスト域14及びクロッチ域15の一部を示す平面図である。また、以降は後ウエストパネル17の構成態様についてのみ説明するものであるが、前ウエストパネル16が後ウエストパネル17と同様の構成態様を有する限りにおいて同一の説明となるので、その説明は省略する。
【0030】
図5(a)に示すとおり、後ウエストパネル17は、横方向Xへ延びる複数条の後ウエスト弾性要素31が収縮可能に配設されているので、横方向Xに弾性化されている。図5(b)に示すとおり、おむつ10の着用状態において、弾性ウエストパネル11がウエスト回り方向に伸長されたとき、すなわち、後ウエストパネル17が横方向Xに伸長された状態では、後ウエストパネル17の両側縁はサイドシール部20によって固定されているので、サイドシール部20と分離部位19との間に位置する後ウエスト弾性要素31が伸長されることによって、分離部位19が横方向Xへ広がって略三角形状の開口が形成される。なお、図示してないが、分離部位19の両側において横方向Xに延びる複数条の後ウエスト弾性要素31は、分離部位19近傍において固定せず、該非固定部位を切断してカットバックさせることによって配設してもよい。
【0031】
分離部位19が、吸液性構造体40の存在域に形成されているので、後ウエスト域14に流れ込んだ体液が分離部位19による開口を介してその下方(外面)に位置する吸液性構造体40に吸収される。これにより、後接合域61を介してクロッチ本体12の後端部36を後ウエストパネル17に安定的に固定することができるとともに、吸液性構造体40の所要の吸収面積を確保することができ、吸液性能を向上させることができる。また、後ウエスト域14に流れ込んだ排泄物がその自重によって分離部位19の開口を介して排泄物収容スペースSに移動するので、後ウエストパネル17の肌対向面に付着した排泄物によって着用者の肌が汚れるのを抑制することができる。
【0032】
さらに、おむつ10の着用状態において、後ウエストパネル17の後ウエスト弾性要素31とクロッチ本体12のサイド弾性部41における第1及び第2レッグ弾性要素50,51とは、着用者の鼠蹊部を囲繞する仮想の弾性帯を形成しているが、分離部位19が広がって開口が形成されることによって、各サイド弾性部41は横方向Xの外方へ引っ張られる。各サイド弾性部41がそれぞれ横方向Xの外方へ引っ張られることによって、各サイド弾性部41間の離間寸法Rが大きくなり、排泄物収容スペースSの間口をより大きく形成することができるとともに、サイド弾性部41の臀部への食い込みを抑制することができる。
【0033】
分離部位19は、おむつ10の着用前においてミシン目によって形成されていてもよい。その場合には、おむつ10の製造時において、予めスリットが形成されている場合に比して後ウエストパネル17を形成するシート材料の搬送が容易となる。
【0034】
分離部位19は、吸液性構造体40の存在域を越えて縦方向Y外側に延びている場合には、排泄物が吸液性構造体40の吸収性コアに吸収されず、外部に漏れ出るおそれがあるので、クロッチ本体12が後ウエストパネル17に固定されていない非接合域69における吸液性構造体40の存在域にのみ形成されていればよい。具体的には、後ウエストパネル17の側縁17c,17dの長さ、すなわち、後ウエスト域14の縦方向Yにおける長さ寸法lが150〜200mmの場合において、分離部位19の縦方向Yにおける長さ寸法lは、15〜150mmであることが好ましい。吸液性構造体40を後ウエストパネル17に対してさらに縦方向Yの外方へ延在させることによって分離部位19の長さ寸法lを大きくすることもできるが、例えば、後ウエスト域14の縦方向Yにおける長さ寸法lが170mmの場合において、分離部位19の縦方向Yにおける長さ寸法lが115mm以上の場合には、後ウエストパネル17全体の横方向Xに対する伸長力が低下し、着用者の身体に対するフィット性を損なうおそれがある。なお、かかる寸法は、おむつ10全体の大きさによって適宜設計変更されうるものであって、それらの比率、すなわち、分離部位19の縦方向Yにおける長さ寸法l/後ウエスト域14の縦方向Yにおける長さ寸法lが、約0.1〜0.7であることが好ましい。
【0035】
<第2実施形態>
図6(a),(b)は、それぞれ、本発明の第2実施形態におけるおむつ10の図5(a),(b)と同様の平面図である。
【0036】
本実施形態では、後ウエストパネル17の分離部位19が、直状のスリットではなく円弧状の切欠によって形成されており、切欠の開口端は、後ウエストパネル17の内端縁17aに接がっている。円弧状の切欠が形成されている場合には、予め排泄物を吸液性構造体40に吸収させるための開口が形成されているので、第1実施形態よりも後ウエスト弾性要素31の伸長力を抑えることができ、おむつ10を装着する際に後ウエストパネル17の外端縁17b近傍を指で摘んで横方向Xへ伸長させ易く、装着作業が容易となる。なお、切欠は、円形の他に三角形状、四角形状などの各種公知の形状であってもよい。
【0037】
<第3実施形態>
図7(a),(b)は、それぞれ本発明の第3実施形態におけるおむつ10の図5(a),(b)と同様の平面図である。
【0038】
本実施形態では、後ウエストパネル17の分離部位19が、縦長のくり抜き(スロット)によって形成されている。分離部位19が縦長のくり抜きであるので、おむつ10が着用されて後ウエスト域14がウエスト回り方向へ伸長された場合には、図7(b)に示すとおり、縦長のくり抜きが円形状となり、かかるくり抜きを介して体液がその外側に位置する吸液性構造体40に吸収される。なお、くり抜きは、縦方向Yに長い形状であれば、円形の他に三角形、四角形等の各種公知の形状であってもよい。
【0039】
<第4実施形態>
図8(a),(b)は、それぞれ、本発明の第4実施形態におけるおむつ10の図5(a),(b)と同様の平面図、図9は、図8(b)のIX−IX線断面図である。本実施形態のおむつ10の基本的構成は、第1実施形態と同様であるので、以下、相違する点についてのみ説明する。
【0040】
本実施形態では、後ウエストパネル17の中央部に複数の分離部位19が形成されている。このように、複数の分離部位19が形成されている場合には、各分離部位19間に位置する中央部位72は横方向Xへ伸長されず、下方へ垂れ下がり、排泄物収容スペースSの開口面積がより広くなるので、より多くの排泄物を速やかに排泄物収容スペースSに移動させることができる。なお、本実施形態では、中央部位72に後ウエスト弾性要素31を配設していないが、配設してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 使い捨ておむつ
11 弾性ウエストパネル
12 クロッチ本体
13 前ウエスト域
14 後ウエスト域
15 クロッチ域
18,19 分離部位
35 クロッチ本体の前端部
36 クロッチ本体の後端部
40 吸液性構造体
41 サイド弾性部
60 前接合域
61 後接合域
後ウエスト域の側縁の縦方向の長さ寸法
分離部位の縦方向の長さ寸法
X 横方向
Y 縦方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向及びそれに直交する横方向と、肌対向面及び非肌対向面と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記前後ウエスト域を画成する弾性ウエストパネルと、前記弾性ウエストパネルに取り付けられた、前後ウエスト域の一部および前記クロッチ域を画成するクロッチ本体とを含む使い捨て着用物品において、
前記クロッチ本体が、前記前ウエスト域に位置する前端部と、前記後ウエスト域に位置する後端部と、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へ延びる吸液性構造体とを有し、
前記前後端部のうちの少なくともいずれか一方が、前記クロッチ本体の前記横方向における中央部に非接合領域を有する接合域を介して前記弾性ウエストパネルの前記非肌対向面に取り付けられており、
前記一方の端部が取り付けられた前記弾性ウエストパネルにおける、前記非接合領域と対向する位置に前記縦方向へ延びる分離部位が形成されていることを特徴とする前記着用物品。
【請求項2】
前記クロッチ本体が前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へ延びる一対のサイド弾性部を有し、前記着用物品の着用状態において、前記弾性ウエストパネルがウエスト回り方向に伸長されることによって、前記一対のサイド弾性部どうしの離間寸法が大きくなる請求項1記載の着用物品。
【請求項3】
前記クロッチ本体の前記一方の端部が取り付けられた前記弾性ウエストパネルにおける、前記非接合領域と対向する位置に、前記横方向に並ぶ複数の前記分離部位が形成されている請求項1又は2記載の着用物品。
【請求項4】
前記分離部位が、前記縦方向へ延びるスリットである請求項1〜3のいずれかに記載の着用物品。
【請求項5】
前記分離部位が、前記縦方向へ延びるミシン目である請求項1〜3のいずれかに記載の着用物品。
【請求項6】
前記分離部位が切欠である請求項1〜3のいずれかに記載の着用物品。
【請求項7】
前記分離部位が所要の形状を有するくり抜きである請求項1〜3のいずれかに記載の着用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−212289(P2011−212289A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84215(P2010−84215)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】