説明

使い捨て着用物品

【課題】外観の低下を防ぐことができる使い捨て着用物品を提供する。
【解決手段】使い捨て着用物品20Aでは、裏面シート22が内外側シート36,37から形成され、裏面シート22のうちの内外側シート36,37の重なり合う部分における光線透過率が20〜50%の範囲にある。物品20Aでは、脚周り用弾性部材33を形成する第1および第2弾性部材55,56が内外側シート36,37と実質的に同一の白色または乳白色を呈し、それら弾性部材55,56の中央部58,60が吸液層23と内側シート36との間に位置している。物品20Aは、内外側シート36,37がそれら弾性部材55,56の中央部58,60を隠蔽し、股下域25において弾性部材55,56の中央部58,60が目立つことはなく、物品20Aの外観の低下を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物を吸収保持する使い捨て着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
肌当接側に位置する透液性表面シートと、肌非当接側に位置する不透液性裏面シートと、表裏面シートの間に介在する吸液層とから構成され、前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域と、横方向へ延びる両端縁部および縦方向へ延びる両側縁部とを有し、複数条の胴周り用弾性部材が両端縁部に伸縮可能に取り付けられ、複数条の脚周り用弾性部材が股下域の両側縁部に伸縮可能に取り付けられた使い捨て着用物品がある(特許文献1参照)。物品では、前胴周り域の両側縁部と後胴周り域の両側縁部とが合掌状に重なり合い、それら胴周り域の両側縁部が縦方向へ間欠的に並ぶ熱融着線を介して固着されている。この物品は、胴周り開口と一対の脚周り開口とを有するパンツ型である。
【0003】
胴周り用弾性部材は、表面シートと裏面シートとの間に位置し、所定の倍率に伸長させた状態でそれらシートに固着されている。脚周り用弾性部材は、前胴周り域の側から股下域の中央に向かって凸となる第1弾性部材と、後胴周り域の側から股下域の中央に向かって凸となる第2弾性部材とから形成されている。第1弾性部材は、両側縁部に位置する両側部と、両側部の間に位置して股下域の中央を横切る中央部とを有する。第2弾性部材は、両側縁部に位置する両側部と、両側部の間に位置して股下域の中央を横切る中央部とを有する。第1および第2弾性部材の両側部は、表面シートと裏面シートとの間に位置してそれらシートに固着されている。第1および第2弾性部材の中央部は、吸液層の側縁の外側近傍に位置して互いに交差する交差部分と、交差部分の間に延びていて吸液層を横切る横断部分とを有する。交差部分は、表面シートと裏面シートとの間に位置してそれらシートに固着されている。横断部分は、裏面シートと吸液層との間に位置してそれらに固着されている。両側部および中央部の固着時には、第1および第2弾性部材が所定の倍率に伸長された状態にある。両側部および中央部の固着後には、第1および第2弾性部材の伸長が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−57410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の着用物品では、裏面シートの光線透過率が高いと、第1および第2弾性部材の中央部の色が裏面シートを透過し、中央部が裏面シートの外側から透けて見える場合がある。また、第1および第2弾性部材の中央部の伸長倍率が高いと、中央部の収縮力によって裏面シートや吸液層が横方向へ縮み、股下域に延びる裏面シートや吸液層に不規則な多数の皺が生じる場合がある。第1および第2弾性部材の中央部が透けて見えたり、中央部の収縮力によって裏面シートに皺が生じると、股下域において弾性部材の中央部が目立つとともに、裏面シートの皺が目立ち、物品の外観が低下する。
【0006】
本発明の目的は、股下域において第1および第2弾性部材の中央部が目立つことはなく、股下域において裏面シートに皺が生じ難く、外観の低下を防ぐことができる使い捨て着用物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の前提は、前記前提における本発明の特徴は、縦方向及び横方向を有し、肌当接側に位置する表面シートと、肌非当接側に位置する裏面シートと、前記表裏面シートの間に介在する吸液層と、前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域と、前記横方向へ延びる両端縁部および前記縦方向へ延びる両側縁部とを含み、前記股下域の両側縁部に脚周り用弾性部材が伸縮可能に取り付けられ、前記脚周り用弾性部材が、前記前胴周り域の側から前記股下域の中央に向かって凸となる第1弾性部材と、前記後胴周り域の側から前記股下域の中央に向かって凸となる第2弾性部材とから形成され、前記第1弾性部材が、前記両側縁部に位置する両側部と、前記両側部の間に位置して前記股下域を横切る中央部とを有し、前記第2弾性部材が、前記両側縁部に位置する両側部と、前記両側部の間に位置して前記股下域を横切る中央部とを有する使い捨て着用物品である。
【0008】
前記前提における本発明の特徴は、前記第1及び第2弾性部材の中央部は、それらが互いに交差して形成された交差部分と、前記交差部分間において前記横方向へ略直状に延びる横断部分とを有し、前記裏面シートが、前記吸液層に対向配置されて前記前後胴周り域と前記股下域との少なくとも該股下域に延びる内側シートと、前記内側シートの外側に位置して前記前後胴周り域間に延びる外側シートとから形成されており、前記裏面シートのうちの前記内外側シートの重なり合う部分における光線透過率が、20〜50%の範囲にあり、前記股下域において、前記吸液層と前記内側シートとの間には、前記第1及び第2弾性部材の前記中央部が位置しており、前記吸液層と前記第1及び第2弾性部材の前記中央部との間には、補助シートが配置されていることにある。
【0009】
本発明の実施態様の一例は、前記第1及び第2弾性部材の前記中央部の前記交差部分は前記補助シートに固着されており、前記中央部の前記横断部分は前記補助シートと前記内側シートとに固着されておらず、かつ、前記補助シートの前後端縁に沿って前記横方向へ略直状に延びている。
【0010】
本発明の実施態様の他の一例は、前記補助シートは前記内側シートに固着されており、前記吸液層に固着されていない。
【0011】
本発明の実施態様の他の一例は、前記第1及び第2弾性部材の前記中央部は、前記股下域の中央において前記前胴周り域の側に偏倚して位置している。
【0012】
本発明の実施態様の他の一例は、前記第1および第2弾性部材の色が、前記内外側シートのそれと実質的に同一であり、前記内側シートと前記第1および第2弾性部材との色差が、10〜30の範囲にある。
【0013】
本発明の実施態様の他の一例は、前記第1および第2弾性部材の中央部の伸長倍率が、1.1〜1.3倍の範囲にある。
【0014】
本発明の実施態様の他の一例は、前記内外側シートが、透湿かつ不透液性プラスチックフィルムと疎水性繊維不織布とのいずれかである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る使い捨て着用物品によれば、裏面シートのうちの内外側シートの重なり合う部分における光線透過率が20〜50%の範囲にあり、第1および第2弾性部材の中央部が吸液層と内側シートとの間に位置しているから、第1および第2弾性部材の中央部の色が裏面シートを透過し難く、中央部が裏面シートの外側から透けて見え難い。この物品は、股下域において第1および第2弾性部材の中央部が目立つことはなく、物品の外観の低下を防ぐことができる。
【0016】
第1および第2弾性部材の色が内外側シートのそれと実質的に同一であり、内側シートと第1および第2弾性部材との色差が10〜30の範囲にある着用物品は、内側シートが第1および第2弾性部材の中央部を隠蔽するから、股下域において第1および第2弾性部材の中央部が視認し難く、第1および第2弾性部材の色が内外側シートのそれと異なる場合と比較し、股下域において第1および第2弾性部材の中央部が目立つことはなく、物品の外観の低下を確実に防ぐことができる。
【0017】
第1および第2弾性部材の中央部の伸長倍率が1.1〜1.3倍の範囲にある着用物品は、第1および第2弾性部材の収縮力が吸液層に作用したとしても、吸液層の剛性に支えられて裏面シートや吸液層が横方向へ縮むことはなく、股下域に延びる裏面シートに皺が生じ難いから、股下域において裏面シートに不規則な多数の皺が生じる場合と比較し、物品の外観の低下を防ぐことができる。
【0018】
第1および第2弾性部材の中央部が吸液層に非固着であって該吸液層に対して自由である着用物品は、第1および第2弾性部材の中央部と吸液層とが固着されている場合と比較し、第1および第2弾性部材の中央部の収縮力が吸液層に直接作用することはなく、股下域に延びる吸液層に皺が生じ難い。この物品は、股下域において、吸液層に不規則な多数の皺が生じる場合と比較し、吸液層における吸液機能の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一例として示す使い捨て着用物品の部分破断斜視図。
【図2】図1の物品の部分破断展開平面図。
【図3】図2の3−3線矢視断面図。
【図4】図2の4−4線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面を参照し、本発明に係る使い捨て着用物品の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0021】
図1,2は、一例として示す使い捨て着用物品20Aの部分破断斜視図と、前後胴周り域24,26の連結を解除した状態で示す図1の物品20Aの部分破断展開平面図とである。図3,4は、図2の3−3線矢視断面図と、図2の4−4線端面図とである。図1,2では、縦方向を矢印Lで示し、横方向を矢印Mで示す。なお、表面シート21や裏面シート22、防漏シート34の内面とは、吸液層23に対向する面をいい、それらシート21,22,34の外面とは、吸液層23に非対向の面をいう。
【0022】
物品20Aは、肌当接側に位置する透液性表面シート21と、肌非当接側に位置する不透液性裏面シート22と、それらシート21,22の間に介在する吸液層23とから構成されている。物品20Aは、互いに対向する前胴周り域24および後胴周り域26と、それら胴周り域24,26の間に位置する股下域25とを有し、前後胴周り域24,26に横方向へ延びる両端縁部27と、前後胴周り域24,26間に縦方向へ延びる両側縁部28とを有する。吸液層23は、両端縁部27と両側縁部28とを除く前後胴周り域24,26間に延びている。
【0023】
物品20Aの平面形状は、図2に示すように、股下域25の両側縁部28が横方向内方へ向かって弧を画く砂時計型である。物品20Aでは、前胴周り域24の両側縁部28と後胴周り域26の両側縁部28とが合掌状に重なり合い、それら胴周り域24,26の両側縁部28が縦方向へ間欠的に並ぶ多数の熱融着線29を介して固着されている。物品20Aは、図1に示すように、胴周り開口30と一対の脚周り開口31とを有するパンツ型である。両端縁部27には、横方向へ延びる複数条の胴周り用弾性部材32が伸縮可能に取り付けられている。股下域25の両側縁部28には、縦方向へ延びる複数条の脚周り用弾性部材33が伸縮可能に取り付けられている。両側縁部28には、前後胴周り域24,26間に配置されて縦方向へ延びる一対の液抵抗性防漏シート34が取り付けられている。
【0024】
表面シート21には、親水性繊維不織布35が使用されている。表面シート21の色は、白色または乳白色である。裏面シート22は、吸液層23に対向配置された内側シート36と、内側シート36の外側に配置されて前後胴周り域24.26間に延びる外側シート37とから形成されている。内側シート36と外側シート37とは、互いに重なり合った状態でそれらの対向面が接着剤(図示せず)を介して接合されている。内側シート36と外側シート37との色は、白色または乳白色であり、それらシート36,37から形成された裏面シート22の色も白色または乳白色である。内側シート36は、両端縁部27と両側縁部26とを除く前後胴周り域24,26間に延びており、吸液層23の下面全域を覆っている。内側シート36には、炭酸カルシウムや硫酸バリウム等の無機物微細粒子を含有する合成樹脂を一軸または二軸延伸した透湿かつ不透液性の非伸縮性プラスチックフィルム38が使用されている。外側シート37には、疎水性繊維不織布39が使用されている。
【0025】
吸液層23は、吸液性心材40と、心材40全体を包被するティッシュペーパー41とから形成されている。心材40は、粒子状や繊維状の高吸収性ポリマーとフラッフパルプとの混合物、または、粒子状や繊維状の高吸収性ポリマーとフラッフパルプと熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所定の厚みに圧縮されている。ゆえに、吸液層23は、その剛性が表裏面シート21,22のそれよりも高い。吸液層23は、ティッシュペーパー41を介して表裏面シート21,22の内面に接合されている。ポリマーには、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のそれが使用されている。
【0026】
防漏シート34には、疎水性繊維不織布42が使用されている。防漏シート34は、両側縁部28に位置して縦方向へ延びる固定側部43と、固定側部34に並行して縦方向へ延びていて表面シート21の外面から上方へ起立性向を有する可動部44と、両端縁部27に位置して物品20Aの横方向内方へ倒伏した固定両端部45とから形成されている。可動部44の頂点近傍には、縦方向へ延びる伸縮性弾性部材46が伸縮可能に取り付けられている。弾性部材46は、所定の倍率に伸長された状態で可動部44に固着されている。防漏シート34では、弾性部材46の収縮力によって可動部44が収縮し、可動部44が表面シート21の外面から上方へ起立する。可動部44は、排泄物の横方向への流動を阻止する障壁を形成する。
【0027】
両端縁部27は、吸液層23の端縁47から縦方向外方へ延びる表裏面シート21,22の端部48,49と防漏シート34の固定端部45とから形成されている。両端縁部27では、内側シート36が吸液層23の端縁47から縦方向外方へわずかに延び、内側シート36からさらに縦方向外方へ表面シート21と外側シート37とが延びている。両端縁部27では、表裏面シート21,22の端部48,49と防漏シート34の端部45とが重なり合った状態で接合されている。胴周り用弾性部材32は、横方向中央部50が表面シート21の端部48と裏面シート22(外側シート37)の端部49との間に位置してそれらシート21,22の内面に固着され、横方向両端部51が裏面シート22(外側シート37)の端部49と防漏シート34の側部43との間に位置してそれらシート22,34の内面に固着されている。弾性部材32は、所定の倍率に伸長された状態でそれらシート21,22,34に固着されている。
【0028】
両側縁部28は、吸液層23の側縁52から横方向外方へ延びる表裏面シート21,22の側部53,54と防漏シート34の固定側部43とから形成されている。両側縁部28では、表面シート21と内側シート36とが吸液層23の側縁52から横方向外方へわずかに延び、それらシート21,36からさらに横方向外方へ防漏シート34と外側シート37とが延びている。両側縁部28では、表裏面シート21,22の側部53,54と防漏シート34の側部43とが重なり合った状態で接合されている。
【0029】
脚周り用弾性部材33は、前胴周り域24の側から股下域25の中央に向かって凸となる第1弾性部材55と、後胴周り域26の側から股下域25の中央に向かって凸となる第2弾性部材56とから形成されている。第1弾性部材55は、股下域25の中央に向かって縦方向へ実質的に弧を画いている。第1弾性部材55は、両側縁部28に位置して縦方向へ延びる両側部57と、両側部57の間に位置して股下域25の中央を横切る中央部58とを有する。第2弾性部材56は、股下域25の中央に向かって縦方向へ実質的に弧を画いている。第2弾性部材56は、両側縁部28に位置して縦方向へ延びる両側部59と、両側部59の間に位置して股下域25の中央を横切る中央部60とを有する。それら弾性部材55,56の両側部57,59は、裏面シート22(内側シート36または外側シート37)の側部54と防漏シート34の固定側部43との間に位置し、所定の倍率に伸長された状態でそれらシート22,34の内面に固着されている。
【0030】
それら弾性部材55,56の中央部58,60は、股下域25の中央のうちの前胴周り域24の側に偏倚した箇所に位置している。中央部58,60が位置する箇所には、中央部58,60のうちの後記する交差部分63を内側シート36に押し当てる横方向へ長い矩形の補助シート61が配置されている。補助シート61には、半透明の非伸縮性プラスチックフィルム62が使用されている。中央部58,60は、補助シート61を挟んで内側シート36(フィルム38)と吸液層23との間に位置している。中央部58は、交差部分63と、交差部分63の間に位置して横方向へ略直状に延びる横断部分64とを有する。中央部60は、交差部分65と、交差部分65の間に位置して横方向へ略直状に延びる横断部分66とを有する。それら交差部分63,65は、吸液層23の側縁52の外側近傍において互いに交差している。具体的には、図2に示すとおり、交差部分63とは、第1及び第2弾性部材55,56が互いに交差する交差点Pから内方へ僅かに湾曲して延びて略直状に変わる端点Qまでの部分を意味し、横断部分64とは交差部分63の端点Q間において横方向Mへ略直線状に延びる部分を意味する。交差部分63,65は、内側シート36と補助シート61との間に位置し、接着剤(図示せず)を介してそれらシート36,61に固着されている。横断部分64,66は、内側シート36と補助シート61との間に位置して吸液層23を横切っている。横断部分64,66は、内側シート36と補助シート61とに固着されておらず、それらシート36,61に対して自由である。このように、横断部分64がこれらシート36,61に固着されておらず自由であるので、端点Q間において横断部分64は伸長された状態にあり、補助シートの前後端縁61a,61bに沿って横方向Mに略直線状延びている。補助シート61は、内側シート36と吸液層23(ティッシュペーパー41)との間に位置して股下域25を横切っている。補助シート61は、接着剤(図示せず)を介して内側シート36に固着され、吸液層23に固着されていない。ゆえに、それら弾性部材55,56の中央部58,60は、吸液層23に対して自由である。交差部分63,65の固着時では、中央部58,60が横方向へ伸長状態にあるか、または、中央部58,60が横方向へ実質的に非伸長状態にある。
【0031】
第1弾性部材55と第2弾性部材56とは、それらの色が白色または乳白色であり、色が内側シート36(フィルム38)や外側シート37(不織布39)の色と実質的に同一である。ゆえに、内外側シート36,37から形成された裏面シート22がそれら弾性部材55,56の中央部58,60を隠蔽する。
【0032】
内外側シート36,37や第1および第2弾性部材55,56は、それらの色が白色または乳白色であるが、わずかに赤色や緑色、青色、黄色を帯びる場合がある。ここで、第1および第2弾性部材55,56は、その明るさをL1,明るさの標準をL0、弾性部材55,56が赤色および緑色を帯びた程度をA1,赤色および緑色を帯びた程度の標準をA0、弾性部材55,56が青色および黄色を帯びた程度をB1,青色および黄色を帯びた程度の標準をB0としたとき、以下の式で求められる数値E1が70〜90の範囲にある。E1は、標準白色板に対する弾性部材55,56の色差を表す。なお、L0の値は、97.5、A0の値は、−0.35であり、B0の値は、0.25である。
【数1】

【0033】
内側シート36は、その明るさをL2,明るさの標準をL0、シート36が赤色および緑色を帯びた程度をA2,赤色および緑色を帯びた程度の標準をA0、シート36が青色および黄色を帯びた程度をB2,青色および黄色を帯びた程度の標準をB0としたとき、以下の式で求められる数値E2が85〜115の範囲にある。E2は、標準白色板に対するシート36の色差を表す。
【数2】

【0034】
外側シート37は、その明るさをL3,明るさの標準をL0、シート37が赤色および緑色を帯びた程度をA3,赤色および緑色を帯びた程度の標準をA0、シート37が青色および黄色を帯びた程度をB3,青色および黄色を帯びた程度の標準をB0としたとき、以下の式で求められる数値E3が85〜115の範囲にある。E3は、標準白色板に対するシート37の色差を表す。
【数3】

【0035】
物品20Aでは、内側シート36の前記数値E2が弾性部材55,56の前記数値E1よりも高く、以下の式4で求められる内側シート36と第1および第2弾性部材55,56との色差ΔE1が10〜30の範囲にある。内側シート36と弾性部材55,56との色差ΔE1が10未満の場合は、弾性部材55,56に対する内側シート36の隠蔽効果が小さく、弾性部材55,56の中央部58,60の色が裏面シート22を透過し、中央部58,60が裏面シート22の外側から透けて見える場合があり、股下域25において弾性部材55,56の中央部58,60が目立ち、物品20Aの外観が低下する。
【数4】

【0036】
なお、物品20Aでは、外側シート37の前記数値E3が弾性部材55,56の前記数値E1よりも高く、以下の式5で求められる内側シート36と第1および第2弾性部材55,56との色差ΔE2が10〜30の範囲にあることが好ましい。また、内側シート36の前記数値E2が外側シート37の数値E3よりも高いことが好ましい。
【数5】

【0037】
シート36,37や弾性部材55,56の明るさL1〜L3、シート36,37や弾性部材55,56が赤色および緑色を帯びた程度A1〜A3、シート36,37や弾性部材55,56が青色および黄色を帯びた程度B1〜B3は、測色色差計 ZE2000(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。測定条件は、準拠規格:JIS Z 8722、測定方法:反射モード、測定面積:30mmφである。
【0038】
物品20Aでは、裏面シート22のうちの内側シート36(フィルム38)と外側シート37(不織布39)との重なり合う部分における光線透過率が20〜50%の範囲にある。内外側シート36,37の重なり合う部分における光線透過率が50%を超過すると、弾性部材55,56の中央部58,60の色が裏面シート22を容易に透過し、中央部58,60が裏面シート22の外側から透けて見え易く、股下域25において弾性部材55,56の中央部58,60が目立ち、物品20Aの外観が低下する。なお、内外側シート36,37の重なり合う部分における光線透過率は、以下の方法で測定した。
【0039】
物品20Aから裏面シート22のうちの内外側シート36,37の重なり合う部分を切り取って光線透過率測定用サンプルを作成し、サンプルの光線透過率を測定した。光線透過率の測定には、濁度計 NDH300A(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。測定条件は、準拠規格:JIS K 7105、測定方法:積分球式光電光度法、測定面積:透過12mmφである。
【0040】
物品20Aでは、弾性部材55,56の中央部58,60の伸長倍率が1.1〜1.3倍の範囲にあり、中央部58,60の伸長応力が両側部57,59のそれよりも小さい。中央部58,60の伸長倍率が1.3倍を超過すると、第1および第2弾性部材55,56の中央部分58,60の収縮力が裏面シート22や吸液層23を横方向へ縮ませるので、股下域25に延びる裏面シート22や吸液層23に不規則な多数の皺が生じる。中央部58,60の収縮力によって裏面シート22に皺が生じると、股下域25において裏面シート22の皺が目立ち、物品20Aの外観が低下する。なお、中央部58,60の伸長倍率は、以下の方法で測定した。
(1)物品20Aから股下域25の中央(シート21,22,61、弾性部材55,56の中央部58,60を含む)を切り取り、5つの伸長倍率測定用サンプルを作成した。サンプルにおいて中央部58,60の交差部分63,65に印を付けた。中央部58,60に延びる弾性部材55,56の軌跡に沿って、中央部58,60の間の弾性部材55,56の巻き尺で該弾性部材の長さを測定し、測定したそれら長さの平均値Z1を算出した。
(2)次に、トルエンを用いて接着剤を溶解させてシート21,22,61と弾性部材55,56とを分離し、巻き尺で弾性部材55,56単体における中央部58,60の間の長さを測定し、測定したそれら長さの平均値Z2を算出した。伸長倍率はZ1÷Z2で算出し、算出したサンプルの伸長倍率をこの物品20Aの中央部58,60における伸長倍率とした。
【0041】
物品20Aでは、吸液層23の剛軟度が0.08〜0.15N・cmの範囲にある。吸液層23の剛軟度が0.08N・cm未満では、中央部58,60の収縮力によって吸液層23が横方向へ縮み、裏面シート22や吸液層23に不規則な多数の皺が生じ、股下域25において裏面シート22の皺が目立って物品20Aの外観が低下するとともに、吸液層23の吸液機能が低下する。吸液層23の剛軟度が0.15N・cmを超過すると、吸液層23の柔軟性が低下し、吸液層23が着用者の肌に不快な刺激を与える場合があり、物品20Aの着用感が悪化する。なお、吸液層23の剛軟度は、テーバー法(JIS P 8125)に準拠して測定した。剛軟度の測定方法は、以下のとおりである。
(1)吸液層を所定の寸法に裁断し、縦寸法70mm×横寸法38.1mmの剛軟度測定用サンプルを作成した。剛軟度の測定には、厚さ測定器(PEACOCK DIAL THICKNESS GAUGE No.C11352 径50mm・荷重3g/cm)と(株)安田精機製作所製のテーバースティフネステスター(テーバー試験機)とを使用した。
(2)次に、剛軟度の測定の手順を説明する。(a)厚さ測定器を介してサンプルの厚さ寸法Wを測定する。(b)サンプルをテーバー試験機のサンプル曲げ機構のローラ間に入れ、サンプル掴みとサンプルとが同一直線状かつ中心刻線が荷重目盛りの0となるようにサンプルを取り付ける(サンプル掴みの間隔はサンプルの厚さと合わせる)。(c)ローラとサンプルとの左右隙間の合計をW×0.80(mm)に調節し、ローラからサンプルまでの距離を0.5mm程度にする。(d)サンプル曲げ機構を時計回り方向へ回転させ、曲げ機構の15度を示す刻線と荷重振り子の指針とが一致した点で曲げ機構の回転を停止し、このときの振り子の指針が指示する荷重目盛りの数値Xを読み取る。(e)直ちにサンプル曲げ機構を反時計回り方向へ回転させ、曲げ機構の15度を示す刻線と荷重振り子の指針とが一致した点で曲げ機構の回転を停止し、このときの振り子の指針が指示する荷重目盛りの数値Yを読み取る。なお、荷重目盛りが最大目盛りの15〜85%の範囲に入るように補助おもりを選択し、選択した補助おもりをサンプルに取り付ける。
(3)時計回り方向と反時計回り方向とにおいて読み取った荷重目盛りの数値X,Yを使用し、以下の式によってサンプルの剛軟度を求める。剛軟度(N・cm)={(X+Y)/2}×{(補助おもり数値)/1000×9.807}、算出したサンプルの剛軟度をこの物品20Aにおける吸液層23の剛軟度とした。
【0042】
物品20Aは、裏面シート22のうちの内外側シート36,37の重なり合う部分における光線透過率が20〜50%の範囲にあり、第1および第2弾性部材55,56の中央部58,60が吸液層23と内側シート36との間に位置しているから、それら弾性部材55,56の中央部58,60の色が裏面シート22を透過し難く、中央部58,60が裏面シート22の外側から透けて見え難い。物品20Aは、第1および第2弾性部材55,56の色が内外側シート36,37のそれと実質的に同一であるから、内外側シート36,37から形成された裏面シート22がそれら弾性部材55,56の中央部58,60を隠蔽し、第1および第2弾性部材55,56の色が内外側シート36,37のそれと異なる場合と比較し、それら弾性部材55,56の中央部58,60が裏面シート22の外側から視認し難い。また、物品20Aは、内側シート36の数値E2が弾性部材55,56の数値E1よりも高く、内側シート36と弾性部材55,56との色差ΔE1が10〜30の範囲にあるから、弾性部材55,56に対する内側シート36の隠蔽効果が大きく、色差ΔEが10未満の場合に比較し、それら弾性部材55,56の中央部58,60が裏面シート22の外側から視認し難い。さらに、物品20Aは、第1および第2弾性部材55,56の中央部58,60の伸長倍率が1.1〜1.3倍の範囲にあるから、中央部58,60の収縮力が吸液層23に作用したとしても、吸液層23の剛性に支えられて裏面シート22や吸液層23が横方向へ縮むことはなく、股下域25に延びる裏面シート25に皺が生じ難い。この物品20Aは、股下域25において第1および第2弾性部材55,56の中央部58,60が目立つことはなく、股下域25に延びる裏面シート22に皺が生じ難いので、股下域25において弾性部材55,56の中央部58,60が目立つ場合や裏面シート22に不規則な多数の皺が生じる場合と比較し、物品20Aの見た目がよく、物品20Aの外観の低下を確実に防ぐことができる。
【0043】
物品20Aは、第1および第2弾性部材55,56の中央部58,60が吸液層23に非固着であって該吸液層23に対して自由であるから、弾性部材55,56の中央部58,60の収縮力が吸液層23に直接作用することはなく、中央部58,60が収縮したとしても、股下域25に延びる吸液層23に皺が生じ難い。この物品20Aは、股下域25において吸液層23に不規則な多数の皺が生じる場合と比較し、吸液層23における吸液機能の低下を防ぐことができる。なお、物品20Aの着用中に排泄された排泄物は、表面シート21を透過して吸液層23に吸収保持される。
【符号の説明】
【0044】
20A 使い捨て着用物品
20B 使い捨て着用物品
21 透液性表面シート
22 不透液性裏面シート
23 吸液層
24 前胴周り域
25 股下域
26 後胴周り域
27 両端縁部
28 両側縁部
33 脚周り用弾性部材
36 内側シート
37 外側シート
38 透湿かつ不透液性プラスチックフィルム
39 疎水性繊維不織布
55 第1弾性部材
56 第2弾性部材
57 両側部
58 中央部
59 両側部
60 中央部
61 補助シート
61a,61b 補助シートの前後端縁
63 交差部分
64 横断部分
65 交差部分
66 横断部分
67 透湿かつ不透液性プラスチックフィルム
ΔE1 色差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向及び横方向を有し、肌当接側に位置する表面シートと、肌非当接側に位置する裏面シートと、前記表裏面シートの間に介在する吸液層と、前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域と、前記横方向へ延びる両端縁部および前記縦方向へ延びる両側縁部とを含み、前記股下域の両側縁部に脚周り用弾性部材が伸縮可能に取り付けられ、前記脚周り用弾性部材が、前記前胴周り域の側から前記股下域の中央に向かって凸となる第1弾性部材と、前記後胴周り域の側から前記股下域の中央に向かって凸となる第2弾性部材とから形成され、前記第1弾性部材が、前記両側縁部に位置する両側部と、前記両側部の間に位置して前記股下域を横切る中央部とを有し、前記第2弾性部材が、前記両側縁部に位置する両側部と、前記両側部の間に位置して前記股下域を横切る中央部とを有する使い捨て着用物品において、
前記第1及び第2弾性部材の中央部は、それらが互いに交差して形成された交差部分と、前記交差部分間において前記横方向へ略直状に延びる横断部分とを有し、
前記裏面シートが、前記吸液層に対向配置されて前記前後胴周り域と前記股下域との少なくとも該股下域に延びる内側シートと、前記内側シートの外側に位置して前記前後胴周り域間に延びる外側シートとから形成されており、
前記裏面シートのうちの前記内外側シートの重なり合う部分における光線透過率が、20〜50%の範囲にあり、
前記股下域において、前記吸液層と前記内側シートとの間には、前記第1及び第2弾性部材の前記中央部が位置しており、
前記吸液層と前記第1及び第2弾性部材の前記中央部との間には、補助シートが配置されていることを特徴とする前記着用物品。
【請求項2】
前記第1及び第2弾性部材の前記中央部の前記交差部分は前記補助シートに固着されており、前記中央部の前記横断部分は前記補助シートと前記内側シートとに固着されておらず、かつ、前記補助シートの前後端縁に沿って前記横方向へ略直状に延びている請求項1に記載の着用物品。
【請求項3】
前記補助シートは前記内側シートに固着されており、前記吸液層に固着されていない請求項1又は2記載の着用物品。
【請求項4】
前記第1及び第2弾性部材の前記中央部は、前記股下域の中央において前記前胴周り域の側に偏倚して位置している請求項1〜3のいずれかに記載の着用物品。
【請求項5】
前記第1および第2弾性部材の色が、前記内外側シートのそれと実質的に同一であり、前記内側シートと前記第1および第2弾性部材との色差が、10〜30の範囲にある請求項1〜4のいずれかに記載の着用物品。
【請求項6】
前記第1および第2弾性部材の中央部の伸長倍率が、1.1〜1.3倍の範囲にある請求項1〜5のいずれかに記載の着用物品。
【請求項7】
前記内外側シートが、透湿かつ不透液性プラスチックフィルムと疎水性繊維不織布とのいずれかである請求項1〜6のいずれかに記載の着用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−224404(P2011−224404A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178596(P2011−178596)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【分割の表示】特願2005−12079(P2005−12079)の分割
【原出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】