説明

使い捨て着用物品

【課題】 前後ウエスト域の少なくともいずれか一方において、横方向に延びる折曲線に沿って容易に折曲可能な使い捨て着用物品を提供する。
【解決手段】 おむつ1は、前後外面シート11,12と内面シート13と前後開口シート21,22とを有する。前後開口シート21,22の第1シート部24,25の縦方向Yの長さ寸法が、第2シート部26,27のそれよりも大きくされている。端縁24a,25aは前後外面シート11,12の外側に接合され、端縁26a,27aは前後外面シート11,12から縦方向Yに離間して接合される。これら離間部分では、第1シート部24,25と内面シート13とが積層された低剛性領域が形成され、低剛性領域の縦方向Y内側では、内面シート13と、前後外面シート11,12と、第1シート部24,25とが積層された内側高剛性領域が形成され、外側では、内面シート13と前第2シート部26,27と、第1シート部24,25とが積層された外側高剛性領域が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨て着用物品に関し、さらに詳しくはウエスト域に複数本の弾性体が取り付けられた使い捨てのおむつ、排泄トレーニングパンツ、失禁ブリーフ等の使い捨て着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨て着用物品として前後ウエスト域に複数本の弾性体が取り付けられた使い捨ておむつが知られている。例えば、特許文献1によれば、おむつの前後ウエスト域には、横方向に延びる複数本の弾性体が取り付けられ、縦方向に離間して取り付けられている。おむつの前後ウエスト域には、弾性体の縦方向の間隔が隣接する弾性体の間隔よりも大きくされたズレ吸収緩衝帯が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245884号公報(JP 2008−245884 A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のおむつでは、前記前後ウエスト域は、それぞれ上層不織布と下層不織布とにより形成され、これら上下層不織布の間に弾性体が取り付けられている。ズレ吸収緩衝帯には、弾性体の収縮によって縦方向に延びる凹条および凸条が形成され、これら凹凸条によってギャザーが形成される。これらギャザーによって、ズレ吸収緩衝帯はその剛性が大きくなり、特に縦方向寸法を縮めるような、すなわち、横方向に延びる皺などが形成されにくい。
【0005】
この発明は、前後ウエスト域の少なくともいずれか一方において、横方向に延びる折曲線に沿って容易に折曲可能な使い捨て着用物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、縦方向および横方向と、身体側およびその反対側と、前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域を含むシャーシと、少なくとも前記クロッチ域に位置する吸収体と、前記シャーシの前後端縁によって形成されたウエスト開口と、前記シャーシの両側縁によって形成されたレッグ開口とを有し、前記前後ウエスト域には、前記横方向に延びるとともに前記縦方向に離間した複数のウエスト弾性体が伸長状態で収縮可能に取り付けられた使い捨て着用物品の改良に関わる。
【0007】
この発明は、前記着用物品において、前記シャーシは、積層される複数枚のシートによって形成され、前記前後ウエスト域の少なくともいずれか一方には、前記横方向に延びる低剛性領域と、前記低剛性領域の前記縦方向の両側に隣接する高剛性領域とを有する剛性変化域が形成され、前記剛性変化域は、前記縦方向に離間した一対のウエスト弾性体によって区画され、前記低剛性領域は、積層された前記シートの枚数が、前記高剛性領域のそれよりも少なくされることを特徴とする。
【0008】
この発明の実施態様のひとつとして、前記剛性変化域を区画する一対の前記ウエスト弾性体の離間寸法が、前記剛性変化域の前記縦方向外側に位置する他の前記ウエスト弾性体のそれよりも大きくされる。
【0009】
他の実施態様のひとつとして、前記剛性変化域を区画する前記ウエスト弾性体は、積層された前記シートの端縁に重なって位置する。
【0010】
他の実施態様のひとつとして、前記シャーシは、前記身体側に位置する内面シートと、前記反対側に位置する外面シートと、前記前後ウエスト域の少なくとも一方の前記ウエスト開口を形成する開口シートとを有し、前記開口シートは、前記反対側に位置する第1シート部と、前記身体側に位置する第2シート部と、前記第1および第2シート部の間に位置し前記ウエスト開口に一致する境界線とを有し、前記第1シート部は、前記内面シートおよび前記外面シートに重なり、前記第2シート部は、前記内面シートに重なり、前記第2シート部と前記外面シートとは、前記縦方向に離間して配置され、前記低剛性領域は、前記第2シート部と前記外面シートとの離間部分によって形成され、前記高剛性領域は、前記第1シート部と第2シート部と前記内面シートとが積層された部分、および、前記第2シート部と前記外面シートと前記内面シートとが積層された部分によってそれぞれ形成される。
【0011】
他の実施態様のひとつとして、前記低剛性領域の前記縦方向の長さ寸法は、1mm以上10mm以下である。
【0012】
他の実施態様のひとつとして、前記剛性変化域の前記縦方向の長さ寸法は、20mm以上35mm以下である。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、特にそのひとつ以上の実施態様によれば、前後ウエスト域の少なくともいずれか一方には、横方向に延びる低剛性領域と、低剛性領域の縦方向の両側に隣接する高剛性領域とを有する剛性変化域が形成され、剛性変化域が縦方向に離間する一対のウエスト弾性体によって区画されている。したがって、着用物品は、低剛性領域に沿って折れ曲がりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】使い捨て着用物品の一例であるおむつの斜視図。
【図2】おむつの展開平面図。
【図3】図2のIII−III線模式断面図。
【図4】図2の分解組立図。
【図5】(a)図3のVA部分拡大図。(b)図3のVB部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜5は、この発明の一実施態様を示すものであり、着用物品として使い捨ておむつを例に挙げて説明する。図1は、おむつ1のウエスト開口5およびレッグ開口6が環状に保たれた状態の斜視図であり、図2は、おむつ1の身体側から見た展開平面図であって、おむつの各弾性体をその収縮力に抗して伸長させ、おむつ1を平面に保った状態を示したものである。図3は、図2のIII−III線断面図であり、各シート間を離間して模式的に示している。図4は、図2の分解組立図であり、図5(a)は、図3のVA部分の拡大図、図5(b)は、図3のVB部分の拡大図である。
【0016】
おむつ1は、縦方向Yおよび横方向Xと、身体側およびその反対側である着衣側と、前ウエスト域2、後ウエスト域3、前後ウエスト域2,3の間に位置するクロッチ域4とを含む。おむつ1は、前後ウエスト域2,3の両側縁7を互いに接合することによって、横方向Xに延びる前後端縁8,9でウエスト開口5が形成され、クロッチ域4に位置する両側縁7でレッグ開口6が形成される。また、おむつ1は、横方向Xの長さ寸法を二等分する仮想縦中心線P−Pと、縦方向Yの長さ寸法を二等分する仮想横中心線Q−Qとを有し、仮想縦中心線P−Pに対してほぼ対称に形成されている。両側縁7は、クロッチ域4において、仮想縦中心線P−Pに向かって、その横方向Xの長さ寸法が小さくなるように湾曲されている。
【0017】
おむつ1は、前後ウエスト域2,3およびクロッチ域4を有するシャーシ10と、シャーシ10の身体側に位置するとともにクロッチ域4から前後ウエスト域2,3に延びる吸収体30と、漏れバリアカフ40とを有する。
【0018】
シャーシ10は、前後ウエスト域2,3の一部をそれぞれ形成し、着衣側に位置する前後外面シート11,12と、前後外面シート11,12の内側であってその一部に重なり、前後ウエスト域2,3の一部とクロッチ域4とを形成する内面シート13とを有する。前後外面シート11,12は縦方向Yに離間して配置され、これらシート11,12を連結するように内面シート13が配置されている。前後外面シート11,12および内面シート13として、疎水性のスパンボンド繊維不織布、SMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)繊維不織布等を用いることができる。
【0019】
前外面シート11は、横方向Xに延びる内外端縁11a,11bと、縦方向Yに延びる両側縁11cとを有し、全体的にほぼ矩形にされている。後外面シート12は、横方向Xに延びる内外端縁12a,12bと、縦方向Yに延びる両側縁12cとを有し、前後外面シート11,12の外端縁11b,12bを互いに重ね合わせたときに、後外面シート12の内端縁12aが前外面シート11の内端縁11aから延出する寸法関係を有している。この延出した領域はほぼ台形にされている。
【0020】
前後外面シート11,12および内面シート13の間には、前外面シート11に接合される前漏れ防止シート14と、後外面シート12に接合される後漏れ防止シート15と、これら前後漏れ防止シート14,15の縦方向Yの間に位置し内面シート13に接合されるクロッチ漏れ防止シート16とを有し、クロッチ漏れ防止シート16の着衣側には被覆シート17が接合されている。これら漏れ防止シート14,15,16として、疎水性かつ透湿性のプラスチックフィルム等を用いることができ、おむつ1から尿等が漏れるのを防止することができる。クロッチ漏れ防止シート16と被覆シート17とは、ほぼ同形同大とされ、被覆シート17として疎水性繊維不織布等を用いることができる。前後漏れ防止シート14,15の外面を前後外面シート11,12で覆い、クロッチ漏れ防止シート16の外面を被覆シート17で覆うことによって、おむつ1の着衣側の肌触りを向上させることができる。各シートを互いに接合する接合手段として、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。
【0021】
前外面シート11と内面シート13との間には、横方向Xに伸長状態で収縮可能に延びる複数本の前ウエスト弾性体18aと前レッグ弾性体18bが取り付けられている。前レッグ弾性体18bは、内端縁11aに沿って取り付けられ、前ウエスト弾性体18aは、前レッグ弾性体18bの縦方向Yに隣接してその外端縁11b側に取り付けられている。前ウエスト弾性体18aおよび前レッグ弾性体18bは、それぞれ縦方向Yに離間して配置され、前外面シート11および内面シート13の少なくともいずれか一方にホットメルト接着剤等の接合手段によって接合されている。
【0022】
後外面シート12と内面シート13との間には、後ウエスト弾性体19aと後レッグ弾性体19bとがそれぞれ複数本取り付けられている。後ウエスト弾性体19aは、横方向Xに伸長状態で収縮可能に取り付けられ、縦方向Yに離間して配置されている。後レッグ弾性体19bは、後外面シート12の内端縁12aに沿って伸長状態で収縮可能に取り付けられて、互いに離間して配置されている。後ウエスト弾性体19aおよび後レッグ弾性体19bは、後外面シート12および内面シート13の少なくともいずれか一方にホットメルト接着剤等の接合手段によって接合されている。
【0023】
前後外面シート11,12の縦方向Y外側には、それぞれ前後開口シート21,22が接合されている。前開口シート21は、前外面シート11の外端縁11bであってその外面に接合され、後開口シート22は、後外面シート12の外端縁12bであってその外面に接合される。前後開口シート21,22は、境界線23を介して外面に位置する第1シート部24,25と、内面に位置する第2シート部26,27とを有している。すなわち、前後開口シート21,22は、境界線23を介して折り畳まれ、第1シート部24,25と第2シート部26,27とがそれぞれ積層されている。境界線23によってウエスト開口5が形成され、シャーシ10の前後端縁8,9が形成される(図1参照)。
【0024】
内面シート13の内面側には、吸収体30が取り付けられている。吸収体30は、フラッフパルプや超吸収ポリマー粒子等、またはこれらの混合物によって構成された芯材と、芯材を覆うティッシュペーパ等を含み、芯材の吸収面側にはこれを覆う身体側ライナ31が取り付けられている。身体側ライナ31は、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等の透液性の繊維不織布を用いることができる。吸収体30には、縦方向Yに延びる複数条のスリット32が形成されている。スリット32が形成された部分では、芯材がほとんど存在せず、これらスリット32に沿って吸収体30が折れ曲がり、着用者の身体に密着しやすくすることができる。また、スリット32の形成によって、芯材の吸収面が増大し、速やかな尿等の吸収が可能となる。
【0025】
吸収体30と内面シート13との間には、一対の漏れバリアカフ40が取り付けられている。漏れバリアカフ40は、横方向Xに離間して取り付けられ、縦方向Yに延びている。漏れバリアカフ40は、横方向X内側に位置する内側縁41が吸収体30と内面シート13との間で接合され、横方向X外側に位置する外側縁42には、縦方向Yに延びるとともに、縦方向Yに伸長状態で収縮可能なカフ弾性体43が複数本取り付けられている。外側縁42は、内面シート13に接合されず、カフ弾性体43の収縮によって内面シート13から起立するように離間して、着用者の鼠蹊部近傍に密着し、尿等の漏れを防止することができる。
【0026】
図5(a)および(b)は、図3のVAおよびVB部分の拡大図である。前後開口シート21,22は、第1シート部24,25の縦方向Yの長さ寸法が、第2シート部26,27のそれよりも大きくなるようにされている。具体的には、前開口シート21の第1シート部24の端縁24aから境界線23までの長さ寸法L1は約60〜85mm、この実施形態では約64.5mmとされ、第2シート部26の端縁26aから境界線23までの長さ寸法L2は約40〜70mm、この実施形態では約42mmとされ、これら第1および第2シート部24,26の寸法差は、約15〜30mm、この実施形態では約22.5mmとされている。後開口シート22の第1シート部25の端縁25aから境界線23までの長さ寸法L3は約100〜125mm、この実施形態では約104.5mmとされ、第2シート部27の端縁27aから境界線23までの長さ寸法L4は約80〜100mm、この実施形態では約82mmとされ、これら第1および第2シート部25,27の寸法差は、約15〜30mm、この実施形態では約22.5mmとされている。
【0027】
第1シート部24,25および第2シート部26,27との間には、複数本の前後開口弾性体28,29が縦方向Yに離間して取り付けられている。前後開口弾性体28,29は、横方向Xに延びるとともに、伸長状態で収縮可能に取り付けられている。前開口弾性体28は、境界線23から縦方向Yの約32mmまでの間に取り付けられ、第1および第2シート部24,26の端縁24a,26aから離間されている。後開口弾性体29は、境界線23から縦方向Yの約72mmまでの間に取り付けられ、第1および第2シート部25,27の端縁25a,27aから離間されている。この実施形態では、前後開口弾性体28,29、前後ウエスト弾性体18a,19aおよび前後レッグ弾性体18b,19bによって、この発明のウエスト弾性体を構成している。
【0028】
前後開口シート21,22の第1シート部24,25の端縁24a,25aは、前後外面シート11,12の外面に重なって接合され、第2シート部26,27の端縁26a,27aは、前後外面シート11,12から縦方向Yに離間して積層される。すなわち、第1シート部26の端縁26aと、前外面シート11の外端縁11bとは、互いに接触することなく縦方向Yに離間されている。また、第1シート部27の端縁27aと、後外面シート12の外端縁12bとは、互いに接触することなく縦方向Yに離間されている。これら離間距離は、約1〜10mm、この実施形態では約8mmとされている。
【0029】
内面シート13は、その前端縁13aが端縁26aを超えて第1シート部26に重なり、後端縁13bが端縁27aを超えて第1シート部27に重なる大きさを有している。具体的には、内面シート13の縦方向Yの長さ寸法は約600〜650mm、この実施形態では約620mmとされている。
【0030】
第2シート部26,27の端縁26a,27aと前後外面シート11,12との離間部分では、第1シート部24,25と内面シート13との2枚のシートのみが積層された低剛性領域51,52が形成されている。低剛性領域51,52の縦方向Yの長さ寸法は、外端縁11b,12bと端縁26a,27aとの離間寸法と同じである。すなわち、低剛性領域51,52の縦方向Yの長さ寸法は約1〜10mm、この実施形態では約8mmとされている(段落0028参照)。低剛性領域51,52の縦方向Y内側では、内面シート13と、前外面シート11または後外面シート12と、第1シート部24または第1シート部25とが積層され、それぞれ3枚重ねにされた内側高剛性領域53,54が形成されている。内側高剛性領域53,54の縦方向Yの長さ寸法は、約10〜20mm、この実施形態では約15mmとされている。低剛性領域51,52の縦方向Y外側では、内面シート13と、第2シート部26または第2シート部27と、第1シート部24または第1シート部25とが積層され、それぞれ3枚重ねにされた外側高剛性領域55,56が形成されている。外側高剛性領域55,56の縦方向Yの長さ寸法は、約10〜20mm、この実施形態では約10mmとされている。
【0031】
上記のようなおむつ1の前後ウエスト域2,3の前後開口シート21,22が取り付けられた領域において、低剛性領域51,52のシートの積層枚数が他の隣接する内外側高剛性領域53〜56よりも少なくなり、その分、剛性が小さくされている。このような低剛性領域51,52および内外側高剛性領域53〜56は、前後ウエスト域2,3において横方向Xにそれぞれ延びて、これら領域で剛性変化域50を形成している。
【0032】
前後ウエスト弾性体18a,19aは、少なくとも低剛性領域51の縦方向Y外側に位置し、この実施形態では、前後ウエスト弾性体18a,19aのうち、最も縦方向Y外側に位置するものは、第1シート部24,25の端縁24a,25aとほぼ一致する位置に配置され、その他の弾性体は、それよりも縦方向Y内側に位置するように取り付けられている。これら前後ウエスト弾性体18a,19aと、前後開口弾性体28,29との縦方向Yの離間距離は、約20〜35mm、この実施形態では約33mmとされて、これら縦方向Yに対向する前後ウエスト弾性体18a,19aおよび前後開口弾性体28,29で、剛性変化域50が区画されている。換言すれば、剛性変化域50の縦方向Yの長さ寸法が約20〜35mm、この実施形態では約33mmとされる。
【0033】
前後ウエスト弾性体18a,19aにおける互いの縦方向Yにおけるピッチは、約5〜15mmとされ、剛性変化域50の縦方向Yの長さ寸法よりも小さくされている。同様に、前後開口弾性体28,29における互いの縦方向Yにおけるピッチは、約5〜10mmとされ、剛性変化域50の縦方向Yの長さ寸法よりも小さくされている。なお、「ピッチ」とは、隣接する一方の弾性体の中心から他方の弾性体の中心までの離間寸法である(以下同じ)。
【0034】
上記のようなおむつ1において、前後ウエスト域2,3には、剛性変化域50が形成されているから、おむつ1の着用時に、前後ウエスト域2,3がクロッチ域4側にずれた場合等には、前後ウエスト域2,3は、低剛性領域51,52に沿って折れ曲がりやすく、特に、おむつ1の着用状態においては、低剛性領域51,52が外側に突出するように折れ曲がる。すなわち、低剛性領域51,52に位置する仮想線Rに沿って前後ウエスト域2,3が折れ曲がる(図1参照)。また、低剛性領域51,52に隣接する領域では、高剛性領域53〜56が形成され、前後ウエスト弾性体18a,19aおよび前後開口弾性体28,29によって区画されている。したがって、弾性体に近接する高剛性領域53〜56では、各弾性体の収縮によって縦方向Yに延びる皺が形成され、この領域では横方向Xに延びる折曲線が形成されにくく、より一層低剛性領域51,52に沿ってのみ折れ曲がりやすい。
【0035】
前後ウエスト域が低剛性領域51,52に沿って折れ曲がると、折れ曲がった部分には着用者の身体との間で空隙が形成され、おむつ1が着用者の肌から部分的に離間されるから、おむつ1内の通気性が向上し、着用者の肌のかぶれや蒸れを防止することができる。また、おむつ1を着用者が引き上げようとした場合に、折れ曲がった低剛性領域51,52に着用者の指が引っかかりやすく、着用者は容易におむつ1を引き上げることができる。低剛性領域51,52には高剛性領域53〜56が隣接しているので、着用者がおむつ1を強く引き上げた場合でも、おむつ1が破れるのを防止することができる。
【0036】
剛性変化域50が、おむつ1の外側に突出することによって、この突出部分を摘んでおむつ1全体を引き上げたり、引き下げたりすることもできる。また、剛性変化域50には弾性体が取り付けられず、着用者に対する締め付け力を部分的に低下させることができるから、おむつ1を横方向Xに広げ易くすることができる。ただし、前後ウエスト域2,3全体の締め付け力は、おむつ1が着用者に密着する程度に維持する必要がある。この場合には、剛性変化域50以外の領域の締め付け力を調整することによって、着用者への密着性等を確保することが可能である。
【0037】
剛性変化域50の縦方向Yの長さ寸法を約20〜35mmとしているが、20mmよりも小さい場合には、折り曲げられる領域が小さくなり、十分な通気性が得られず、また、これを摘む際には摘み難くなる。また、35mmよりも大きい場合には、剛性変化域50の縦方向Y内外側に位置する前後ウエスト弾性体18a,19aおよび前後開口弾性体28,29が取り付けられた領域が狭くなり、おむつ1の着用者に対する十分な締め付け力を確保することができなくなる可能性がある。
【0038】
剛性変化域50の縦方向Yの長さ寸法、すなわち、剛性変化域50を区画する前後ウエスト弾性体18a,19aと前後開口弾性体28,29との離間寸法よりも、その縦方向Y内外側に位置する前後ウエスト弾性体18a,19aおよび前後開口弾性体28,29の縦方向Yの離間寸法(ピッチ)のほうが小さくなるようにしているので、他の領域比べて剛性変化域50において、横方向Xに延びる線に沿って前後ウエスト域2,3を折曲がりやすくすることができる。
【0039】
低剛性領域51,52の縦方向Yの長さ寸法が、約1〜10mmとされているが、1mmよりも小さくなると、これに沿って前後ウエスト域2,3が折れ曲がり難く、10mmよりも大きくなると、強度が不十分となり、破れてしまう可能性がある。
【0040】
前ウエスト域2における剛性変化域50は、ウエスト開口5すなわち前開口シート21の境界線23からクロッチ域4側に約32mm離間した部分に形成され、後ウエスト域3における剛性変化域50は、ウエスト開口5すなわち後開口シート22の境界線23からクロッチ域4側に約72mm離間した部分に形成されている。このように、前後ウエスト域2,3において剛性変化域50の形成される位置が異なることで、空隙が形成される位置をずらすことができ、それら両側からおむつ1内外の空気を換気することができるので、より一層おむつ1内の湿度を低下させることができる。
【0041】
おむつ1の前後外面シート11,12は、縦方向Yに離間されているが、これが離間されず、連続しているものでもよい。また、この実施形態では、前後ウエスト域2,3の両側縁7が互いに接合された、いわゆるプルオンパンツ型のおむつについて説明しているが、両側縁があらかじめ接合されていない、いわゆるオープン型のおむつに適用することも可能である。
【0042】
おむつ1を構成する各構成部材には、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。
本発明の明細書および特許請求の範囲において、用語「第1」および「第2」は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いられている。
【符号の説明】
【0043】
1 おむつ(使い捨て着用物品)
2 前ウエスト域
3 後ウエスト域
4 クロッチ域
5 ウエスト開口
6 レッグ開口
7 両側縁
8 前端縁
9 後端縁
10 シャーシ
11 前外面シート(外面シート)
12 後外面シート(外面シート)
13 内面シート
18a 前ウエスト弾性体(ウエスト弾性体)
18b 前レッグ弾性体(ウエスト弾性体)
19a 後ウエスト弾性体(ウエスト弾性体)
19b 後レッグ弾性体(ウエスト弾性体)
21 前開口シート(開口シート)
22 後開口シート(開口シート)
23 境界線
24,25 第1シート部
26,27 第2シート部
28 前開口弾性体(ウエスト弾性体)
29 後開口弾性体(ウエスト弾性体)
30 吸収体
50 剛性変化域
51,52 低剛性領域
53,54 内側高剛性領域(高剛性領域)
55,56 外側高剛性領域(高剛性領域)
X 横方向
Y 縦方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向および横方向と、身体側およびその反対側と、前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域を含むシャーシと、少なくとも前記クロッチ域に位置する吸収体と、前記シャーシの前後端縁によって形成されたウエスト開口と、前記シャーシの両側縁によって形成されたレッグ開口とを有し、前記前後ウエスト域には、前記横方向に延びるとともに前記縦方向に離間した複数のウエスト弾性体が伸長状態で収縮可能に取り付けられた使い捨て着用物品において、
前記シャーシは、積層される複数枚のシートによって形成され、
前記前後ウエスト域の少なくともいずれか一方には、前記横方向に延びる低剛性領域と、前記低剛性領域の前記縦方向の両側に隣接する高剛性領域とを有する剛性変化域が形成され、前記剛性変化域は、前記縦方向に離間した一対のウエスト弾性体によって区画され、
前記低剛性領域は、積層された前記シートの枚数が、前記高剛性領域のそれよりも少なくされることを特徴とする前記使い捨て着用物品。
【請求項2】
前記剛性変化域を区画する一対の前記ウエスト弾性体の離間寸法が、前記剛性変化域の前記縦方向外側に位置する他の前記ウエスト弾性体のそれよりも大きくされる請求項1記載の使い捨て着用物品。
【請求項3】
前記剛性変化域を区画する前記ウエスト弾性体は、積層された前記シートの端縁に重なって位置する請求項1または2記載の使い捨て着用物品。
【請求項4】
前記シャーシは、前記身体側に位置する内面シートと、前記反対側に位置する外面シートと、前記前後ウエスト域の少なくとも一方の前記ウエスト開口を形成する開口シートとを有し、
前記開口シートは、前記反対側に位置する第1シート部と、前記身体側に位置する第2シート部と、前記第1および第2シート部の間に位置し前記ウエスト開口に一致する境界線とを有し、
前記第1シート部は、前記内面シートおよび前記外面シートに重なり、前記第2シート部は、前記内面シートに重なり、前記第2シート部と前記外面シートとは、前記縦方向に離間して配置され、
前記低剛性領域は、前記第2シート部と前記外面シートとの離間部分によって形成され、前記高剛性領域は、前記第1シート部と第2シート部と前記内面シートとが積層された部分、および、前記第2シート部と前記外面シートと前記内面シートとが積層された部分によってそれぞれ形成される請求項1〜3のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項5】
前記低剛性領域の前記縦方向の長さ寸法は、1mm以上10mm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項6】
前記剛性変化域の前記縦方向の長さ寸法は、20mm以上35mm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨て着用物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate