説明

使い捨て着用物品

【課題】吸収体の縦方向外側に位置する前後フラップにおける破断を防止可能な使い捨て着用物品を提供する。
【解決手段】おむつ1のシャーシ10は、非伸縮性の前後ウエストシート21,22と、非伸縮性のクロッチシート23と、前ウエスト域11に配置された第1伸縮性シート31と、後ウエスト域12に配置された第2伸縮性シート32とを含む。第1伸縮性シートは、吸液構造体40の前端縁40aに重なり、吸液構造体と前ウエストシートとの間に配置され、第2伸縮性シートは、吸液構造体の後端縁40bを覆うように重なり、吸液構造体の肌対向面に配置される。クロッチシートと前後ウエストシートの間には、防漏シート50が配置され、防漏シートは、吸液構造体の後端縁40bから縦方向Y外側に延出部51が形成されている。後ウエストシートの折曲領域27は、第2伸縮性シートに重なり、防漏シートの延出部にも重なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て着用物品に関し、より詳しくは、ウエスト域に伸縮性シートを用いた使い捨ておむつ、使い捨てのトイレット・トレーニングパンツ、使い捨て失禁パンツ、使い捨ての生理用パンツ等の使い捨て着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前後ウエスト域に伸縮性シートを用い、前後ウエスト域を横方向へ弾性化した使い捨ておむつは公知である。例えば、特許文献1には、使い捨ておむつの裏面シートが、伸縮性の内側シートと非伸縮性の外側シートとによって構成されていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−99373号公報(JP 10−99373 A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような特許文献1では、表面シートと裏面シートの間に吸収体が配置され、吸収体の縦方向外側では、表裏面シートが直接接合されている。このようなおむつにおいて、これを着用させる際に、表裏面シートが直接接合された端部を引っ張ると、これら表裏面シートが吸収体に重なる部分との境界から破断してしまうという問題があった。
【0005】
この発明では、前後ウエスト域に積層された伸縮性シートと非伸縮性シートとを用い、吸収体の縦方向外側に位置する前後フラップにおける破断を防止可能な使い捨て着用物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、縦方向および横方向を有し、肌対向面およびその反対側である非肌対向面と、前後ウエスト域のいずれか一方である第1ウエスト域と、前記前後ウエスト域のいずれか他方である第2ウエスト域と、前記第1および第2ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するシャーシと、前記クロッチ域から少なくとも前記第2ウエスト域に延びる吸液構造体とを含み、前記シャーシは、非伸縮性シートと、前記非伸縮性シートに積層され前記横方向へ伸縮可能な伸縮性シートとを有する使い捨て着用物品の改良にかかわる。
【0007】
この発明は、前記使い捨て着用物品において、前記吸液構造体は、前記横方向へ延びる第1および第2端縁を有するとともに、前記吸液構造体と前記シャーシとの間には、防漏シートが配置され、前記防漏シートが前記吸液構造体の第2端縁から前記縦方向外側へと延出された延出部を有し、前記非伸縮性シートおよび前記伸縮性シートは、少なくとも前記第2ウエスト域に位置するとともに、前記伸縮性シートは、前記非伸縮性シートと、前記吸液構造体の第2端縁と、前記延出部とに重なって配置され、前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとは、少なくともその一部において、前記防漏シートを介して互いに接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の特にそのひとつ以上の実施態様によれば、吸液構造体の縦方向外側に防漏シートの延出部を形成することとしたので、着用物品の端部を挟持して引っ張った際には、その引張力が防漏シートの延出部と、吸液構造体の端縁とに分散される。したがって、吸液構造体の端縁に沿ってシャーシが破れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明に係る使い捨て着用物品の一例としてのおむつの斜視図。
【図2】おむつの一部破断展開図。
【図3】おむつの分解斜視図。
【図4】図2のIV−IV線模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜図3を参照すると、おむつ1は、着用者の肌対向面およびその反対側である非肌対向面を有し、おむつ1の外形を形成するシャーシ10と、シャーシ10の肌対向面に位置する吸液構造体40と、防漏シート50とを含む。
図2および3において、各弾性体は、その収縮力に抗して伸長させた状態で示している。おむつ1は、横方向Xの長さ寸法を二等分した仮想縦中心線P−P、横方向Yの長さ寸法を二等分した仮想横中心線Q−Qを有し、仮想縦中心線P−Pに関してほぼ対称とされている。
【0011】
おむつ1は前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前後ウエスト域11,12間に位置するクロッチ域13と、横方向Xへ延びる前後端縁14,15および縦方向Yへ延びる両側縁16とを有する。両側縁16には、縦方向Yへ断続的に延びるシーム部17が形成され、シーム部17で前後ウエスト域11,12が連結されることによって、前後端縁14,15でウエスト開口が形成され、クロッチ域13における両側縁16でレッグ開口が形成される。
【0012】
シャーシ10は、非肌対向面に位置するとともに、前後ウエスト域11,12およびクロッチ域13の一部を画定する非伸縮性の前後ウエストシート21,22と、これら前後ウエストシート21,22を連結するとともにクロッチ域13を画定する非伸縮性のクロッチシート23と、前ウエスト域11に配置された第1伸縮性シート31と、後ウエスト域12に配置された第2伸縮性シート32とを含む。前後ウエストシート21,22は、その横方向Xにおける寸法が等しくされ、これら寸法が前後ウエスト域11,12の横方向Xにおける寸法とされている。
【0013】
前後ウエストシート21,22およびクロッチシート23としては、例えば、質量が約10〜40g/m、好ましくは約13〜20g/m、繊維密度が約0.03〜0.10g/cm、好ましくは約0.04〜0.09g/cmである熱融着性のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。前後ウエストシート21,22およびクロッチシート23は、少なくとも弾性的に収縮することはなく、この発明における非伸縮性シートを形成している。
【0014】
第1および第2伸縮性シート31,32は、ほぼ矩形とされ、第1および第2ウエスト域11,12の側縁16間において横方向Xへ延びている。第1および第2伸縮性シート31,32は、例えば、質量が約20〜50g/m、好ましくは約30〜40g/m、繊維密度が約0.01〜0.04g/cm、好ましくは約0.025〜0.035g/cmの範囲である熱融着性のエラストマー繊維からなる伸縮性繊維不織布を用いることができる。具体的には、熱可塑性ポリウレタンポリマーと、熱可塑性ポリウレタンポリマー以外の熱可塑性ポリマー、例えば、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、アミド系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類のポリマーとの混合からなる繊維を含む混合繊維から形成することができる。これら第1および第2伸縮性シート31,32は、少なくとも横方向Xにおいて弾性的に伸縮可能とされている。
【0015】
吸液構造体40は、横方向Xに延びる前後端縁40a,40bと、縦方向Yへ延びる両側縁40cとによって画定された縦長方形状である。吸液構造体40は、クロッチ域13から前後ウエスト域11,12に延在して、前端縁40aが前ウエスト域11に位置し、後端縁40bが後ウエスト域12に位置している。後ウエスト域12に重なる吸液構造体40の縦方向Yにおける寸法は、前ウエスト域11に重なる吸液構造体40の縦方向Yにおける寸法よりも大きくされている。すなわち、吸液構造体40は前ウエスト域11側に偏在している。おむつ1の着用状態において、尿の排泄位置が仮想横中心線Q−Qよりも前ウエスト域11側に位置するからである。
【0016】
吸液構造体40は、フラッフパルプと超吸収性ポリマー粒子等との混合からなる吸液性コアを液拡散性シート(図示せず)で覆うことによって形成された吸収体41と、吸収体41の吸収面を覆う身体側ライナ42と、吸収体41の底面から両側縁を覆い、吸収面へと折り曲げられる被覆シート43とを含む。被覆シート43は、吸収面へと折り曲げられることによって一対のスリーブ状のサイドフラップ44が形成される。サイドフラップ44には、縦方向Yへ延びるストランド状またはストリング状のサイド弾性体45がホットメルト接着剤等の公知の接合手段を介して伸長状態で収縮可能に取り付けられている。被覆シート43は、吸収体41の底面において図示しないホットメルト接着剤等の公知の接合手段によって互いに接合されているが、サイドフラップ44においては、その前後端部のみが図示しない接合手段によって身体側ライナ42に接合されているのであって、その縦方向Yの中央部分は身体側ライナ42から離間可能にされている。したがって、サイド弾性体45の収縮作用によって、サイドフラップ44が身体側ライナ42から離間してバリアまたはガスケットカフを形成し、排泄物の横漏れを防止することができる。吸液構造体40は、被覆シート43の外面が、ホットメルト接着剤(図示せず)を介してクロッチシート23に固定されている。
【0017】
第1伸縮性シート31は、吸液構造体40の前端縁40aに重なるとともに、吸液構造体40と前ウエストシート21との間に配置され、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられている。前ウエストシート21は横方向Xへ延びる折曲線24に沿って縦方向Y内側へ折り畳まれ、折曲領域25が形成されている。折曲領域25は、吸液構造体40の前端縁40aを覆うように重なるとともに、第1伸縮性シート31にも重なっている。折曲線24がおむつ1の前端縁14を形成している。
【0018】
前ウエストシート21と折曲領域25との間には、前端縁14に沿って、ストランド状またはストリング状の複数本の前ウエスト弾性体61が、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられている。第1伸縮性シート31および前ウエスト弾性体61によって、前ウエスト域11が横方向Xへ弾性化され、着用者に密着可能とされている。特に、第1伸縮性シート31が着用者の腹部に対する密着性に関与し、前ウエスト弾性体61がウエスト開口からの漏れ防止に関与している。
【0019】
第2伸縮性シート32は、吸液構造体40の後端縁40bを覆うように重なるとともに、吸液構造体40の肌対向面に配置され、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられている。後ウエストシート22は、横方向Xへ延びる折曲線26に沿って縦方向Y内側へ折り畳まれ、折曲領域27が形成されている。折曲領域27は、第2伸縮性シート32に重なるとともに、後述する防漏シート50の延出部51にも重なっている。折曲線26がおむつ1の後端縁15を形成している。
【0020】
後ウエストシート22と折曲領域27との間には、後端縁15に沿って、ストランド状またはストリング状の複数本の後ウエスト弾性体62が、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられている。第2伸縮性シート32および後ウエスト弾性体62によって、後ウエスト域12が横方向Xへ弾性化され、着用者に密着可能とされている。特に、第2伸縮性シート32が着用者の腹部に対する密着性に関与し、後ウエスト弾性体62がウエスト開口からの漏れ防止に関与している。
【0021】
前後ウエストシート21,22のレッグ開口を形成する領域には、前後レッグ弾性体63,64が伸長状態で収縮可能に取り付けられている。前後レッグ弾性体63,64は、質量が20〜50g/m、好ましくは、30〜40g/m、繊維密度が0.01〜0.04g/cm、好ましくは0.025〜0.035g/cmの範囲である熱融着性のエラストマー繊維からなる伸縮性繊維不織布から形成されていることが好ましい。具体的には、熱可塑性ポリウレタンポリマーと、熱可塑性ポリウレタンポリマー以外の熱可塑性ポリマー、例えば、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、アミド系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類のポリマーとの混合からなる繊維を含む混合繊維から形成することができる。さらに、このような伸縮性繊維不織布を延伸処理することによって、伸縮性を向上させることができる。延伸処理としては、伸縮性繊維不織布を一対のギア間に通過させることによって、さらに延伸される部分と延伸されない部分とを形成することによって実施することができる。前後レッグ弾性体63,64は、延伸処理を施すことによって、凹曲状にされたクロッチ域13における側縁16に沿って湾曲させることができる。すなわち、延伸処理によって伸縮性が向上されているので、湾曲した部分での内側と外側との円弧の差によってたわみが生じるのを防止することができる。したがって、前後レッグ弾性体63,64は、前後ウエストシート21,22から離間することなく、かつ、着用者の身体に密着することができる。
【0022】
クロッチシート23と前後ウエストシート21,22の間には、防漏シート50が配置されている。防漏シート50として、透湿性かつ不透液性のプラスチックフィルムまたはこのフィルムと繊維不織布とのラミネートを用いることができる。防漏シート50は、吸液構造体40に重なるように配置されるとともに、その縦方向Yにおける寸法は、吸液構造体40のそれよりも大きくされている。このような防漏シート50は、吸液構造体40の後端縁40bから縦方向Y外側に延出され、延出部51が形成されている。延出部51は、縦方向Yにおける長さ寸法が約10〜40mm、望ましくは約15〜30mmとされている。
【0023】
図4を図3と併せて参照すると、後ウエストシート22の非肌対向面には、おむつ1の廃棄時に使用するテープ70が接合部71を介して取り付けられている。接合部71は、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段によって形成される。テープ70は、接合部71によって取り付けられた固定部70aと、固定部70aに図示しない接着剤を介して接着されるとともに、これを介護者または着用者が手で挟持して引っ張ると固定部70aから離間可能な剥離部70bとを有している。テープ70は、おむつ1の使用後、これを廃棄する際に、おむつ1を丸めて固定するために用いられるもので、剥離部70bに残った接着剤によっておむつ1を丸めた状態に固定することができる。
【0024】
後ウエスト域12において、第2伸縮性シート32は、吸液構造体40の後端縁40bを覆うように重なるとともに、その一部が防漏シート50の延出部51を介して後ウエストシート22に重なり、図示しないホットメルト接着剤等の公知の手段によって互いに接合されている。このようなおむつ1において、着用時に引っ張り上げようとすると、後ウエスト域12の後端縁15近傍を挟持して図面右側、すなわち後端縁15側に引っ張ることになる。このときの引張力は、吸液構造体40の後端縁40cと第2伸縮性シート32との接合部分、第2伸縮性シート32と延出部51の接合部分、延出部51と後ウエストシート22との接合部分に分散される。したがって、引張力が集中することによるシートの破断を予防することができる。
【0025】
着用者が乳幼児の場合には、おむつの着用を嫌がって逃げ回ることがある。特に這い這いをして逃げる乳幼児におむつ1をはかせようとすると、乳幼児の後から追いかけながらおむつ1をはかせることになるから、後ウエスト域12を挟持してより一層強く引っ張ることになる。したがって、シートの破断がより一層生じやすいが、この発明では、これを防止することができる。また、後ウエスト域12は、前ウエスト域11に比較して吸液構造体40が重なる領域が小さくされているから、挟持し易く引っ張り力も大きくなり、シートも破断し易くなるが、少なくとも、後ウエスト域12において、防漏シート50の延出部51が形成され、これに第2伸縮性シート32が重なるようにされているから、この破断を予防することができる。
【0026】
防漏シート50の延出部51を介して後ウエストシート22と第2伸縮性シート32とが互いに接合されている。これらシート22,32は、互いに繊維不織布によって形成されるから接着面積が小さくなり、剥離しやすい。特に第2伸縮性シート32が弾性的に伸縮するのに対して、後ウエストシート22が伸縮しないから、これらの伸度が大きく異なり、これを挟持して引っ張ったときには、特に剥離し易くなる。このように第2伸縮性シート32と後ウエストシート22とが剥離すると、これらが接合されていた場合に比べて、強度が低下し破断し易くなる。しかし、この実施形態では、後ウエストシート22と第2伸縮性シート32は、プラスチックフィルム等で形成された防漏シート50に接合されるから、これらシートが直接接合された場合よりも強固に接合され、剥離しにくくすることができる。
【0027】
第2伸縮性シート32には、後ウエストシート22の折曲領域27が積層され、これらが図示しないホットメルト接着剤等の接合手段によって互いに接合されている。すなわち、第2伸縮性シート32はその肌対向面および非肌対向面を非伸縮性の後ウエストシート22によって挟まれる。したがって、折曲領域27を挟持して引っ張った際には、第2伸縮性シート32が弾性的に伸長することがなく、より一層これらシートの剥離を防止することができる。
【0028】
後ウエストシート22には、テープ70が取り付けられている。テープ70を接合する接合部71は、防漏シート50の延出部51に重なるように位置している。後ウエスト域11を挟持して後端縁15側に引っ張ったときには、接合部71の端部にその引張力が集中するが、接合部71が延出部51に重なるように位置されていることによって、後ウエストシート22を破断しにくくすることができる。また、接合部71は吸液構造体40の後端縁40cよりも縦方向Y外側、すなわち後端縁15側に位置している。接合部71の端部が後端縁40cと一致する場合には、これら一致した部分に引張力が集中する可能性があるが、これを分散することによって、より一層、後ウエストシート22および第2伸縮性シート32の破断を予防することができる。
【0029】
第1および第2伸縮性シート31,32は、伸長状態で前後ウエスト域11,12に取り付けられるので、非伸縮性シートである前後ウエストシート21,22および防漏シート50にその伸縮性が阻害されることがない。また、前後ウエストシート21,22は、繊維不織布によって形成され、これら繊維の交絡が僅かに解けることによって、多少の伸長が可能である。これに対して防漏シート50はプラスチックフィルムを用いているので、若干の塑性変形することがある。しかし、いずれにしても、防漏シート50は、シャーシ10の横方向Xにおける寸法、すなわち、前後ウエストシート21,22の横方向Xにおける寸法よりも小さくされるとともに、仮想縦中心線P−Pに沿って中央部のみに配置されているので、第1および第2伸縮性シート31,32の弾性的な伸縮を阻害することはない。
【0030】
防漏シート50は、折曲線26から離間して配置されているが、これが折曲線26にまで延びるようにされていてもよい。この場合には、より広範囲において第2伸縮性シート32と後ウエストシート22とが、防漏シート50を介して接合されることとなるので、より広範囲でこれらシートの破断を防止することができる。また、後ウエスト域12は、繊維不織布によって形成され、防漏シート50はプラスチックフィルム等で形成されているところ、防漏シート50の破断強度の方が強くされているので、防漏シート50で形成された延出部51ではおむつ1が破断されにくい。
【0031】
この実施形態において、第2伸縮性シート32と後ウエストシート22の折曲領域27とが互いに重なる位置関係とされているが、これに限ったものではなく、これらが縦方向Yにおいて離間し、互いに重ならないようにされていてもよい。その場合には、折曲領域27は、防漏シート50の延出部51に直接接合されることとなる。また、テープ70は必須の構成ではなく、これが取り付けられないものであってもよい。
【0032】
延出部51の縦方向Yにおける寸法は、約10〜40mmとしているが、10mmよりも小さいと、これを介して接合される第2伸縮性シート32と後ウエストシート22との面積が小さくなって、これらシートが剥離されやすくなる。寸法が40mmよりも大きいと、おむつ1の通気性が低下したり、ウエスト域が硬くなりその収縮を妨げたりする可能性がある。
【0033】
おむつ1を着用者に着用させる際、後ウエスト域12を挟持して引っ張ることが多いから、後ウエスト域12における破断を防止するために、後ウエスト域12において伸縮性シートを配置する場合について、この実施形態では説明した。しかし、同様の構成は前ウエスト域11に形成することができることはいうまでもない。
【0034】
第1および第2伸縮性シート31,32は、エラストマー繊維と非エラストマー繊維との混合繊維から形成してもよい。この混合繊維を用いると、エラストマー繊維による着用者の肌に対する摩擦を軽減することができる。換言すると、非エラストマー繊維を混合することによって、着用者の肌に対するすべりを向上させ、第1および第2伸縮性シート31,32の柔軟性および肌触りを向上させることができる。
【0035】
以上に記載したこの発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
使い捨て着用物品1は、縦方向Yおよび横方向Xを有し、肌対向面およびその反対側である非肌対向面と、前後ウエスト域11,12のいずれか一方である第1ウエスト域と、前記前後ウエスト域11,12のいずれか他方である第2ウエスト域と、前記第1および第2ウエスト域間に位置するクロッチ域13とを有するシャーシ10と、前記クロッチ域13から少なくとも前記第2ウエスト域に延びる吸液構造体40とを含み、前記シャーシ10は、非伸縮性シート21,22,23と、前記非伸縮性シートに積層され前記横方向Xへ伸縮可能な伸縮性シート31,32とを有する。
【0036】
この発明は、上記使い捨て着用物品1において、以下の点を特徴とする。
前記吸液構造体40は、前記横方向Xへ延びる第1および第2端縁40a,40bを有するとともに、前記吸液構造体40と前記シャーシ10との間には、防漏シート50が配置され、前記防漏シート50が前記吸液構造体40の第2端縁40bから前記縦方向Y外側へと延出された延出部51を有している。
前記非伸縮性シート21,22,23および前記伸縮性シート31,32は、少なくとも前記第2ウエスト域に位置されるとともに、前記伸縮性シート31,32は、前記非伸縮性シート21,22,23と、前記吸液構造体40の第2端縁40bと、前記延出部51とに重なって配置され、前記伸縮性シート31,32と前記非伸縮性シート21,22,23とは、少なくともその一部において、前記防漏シート50を介して互いに接合される。
【0037】
上記の発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)前記吸液構造体40は、前記クロッチ域13から前記第1および第2ウエスト域に延在し、前記第2ウエスト域に重なった前記吸液構造体40の前記縦方向Yにおける寸法は、前記第1ウエスト域に重なった前記吸液構造体40の前記縦方向Yにおける寸法よりも大きくされる。
(2)前記シャーシ10の前記非肌対向面には、接合部71を介して廃棄用のテープ70が取り付けられ、前記接合部71は、前記防漏シート50の前記延出部51に重なって形成される。
(3)前記非伸縮性シート21,22は、前記横方向Xへ延びる折曲線24,26によって前記縦方向Y内側に折り曲げられた折曲領域25,27を有し、前記折曲領域25,27が、前記防漏シート50の前記延出部51に重ねられる。
(4)前記非伸縮性シート21,22の前記折曲領域25,27は、前記吸液構造体40の端縁を覆う。
(5)前記伸縮性シートは、前記第1ウエスト域に位置する第1伸縮性シート31と、前記第2ウエスト域に位置する第2伸縮性シート32とを含む。
(6)前記防漏シート50の前記横方向Xにおける寸法は、前記第2ウエスト域の前記横方向Xにおける寸法よりも小さくされる。
(7)前記第1ウエスト域は前記前ウエスト域11であり、前記第2ウエスト域は前記後ウエスト域12である。
(8)前記第1および第2ウエスト域は、少なくとも繊維不織布から形成され、かつ、前記防漏シート50は、少なくともプラスチックフィルム、および、プラスチックフィルムと繊維不織布とのラミネートのひとつから形成されている。
【0038】
使い捨て着用物品1を構成する各構成部材には、この発明の明細書に開示されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、使い捨て着用物品1は、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、クロッチ域13とが一連に形成された態様であってもよい。
【0039】
この発明の明細書および特許請求の範囲において、用語「第1」および「第2」は、同称の要素、位置等を単に区別するために用いられている。さらに、この発明の明細書および特許請求の範囲において、用語「第1ウエスト域」は、前後ウエスト域の一方を意味し、「第2ウエスト域」はその他方を意味する。
【符号の説明】
【0040】
1 おむつ(使い捨ての着用物品)
10 シャーシ
11 前ウエスト域(第1又は第2ウエスト域)
12 後ウエスト域(第1又は第2ウエスト域)
13 クロッチ域
21 前ウエストシート(非伸縮性シート)
22 後ウエストシート(非伸縮性シート)
23 クロッチシート(非伸縮性シート)
24 折曲線
25 折曲領域
26 折曲線
27 折曲領域
31 第1伸縮性シート
32 第2伸縮性シート
40 吸液構造体
40a 前端縁(第1または第2端縁)
40b 後端縁(第1または第2端縁)
50 防漏シート
51 延出部
70 テープ
71 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向および横方向を有し、肌対向面およびその反対側である非肌対向面と、前後ウエスト域のいずれか一方である第1ウエスト域と、前記前後ウエスト域のいずれか他方である第2ウエスト域と、前記第1および第2ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するシャーシと、前記クロッチ域から少なくとも前記第2ウエスト域に延びる吸液構造体とを含み、前記シャーシは、非伸縮性シートと、前記非伸縮性シートに積層され前記横方向へ伸縮可能な伸縮性シートとを有する使い捨て着用物品において、
前記吸液構造体は、前記横方向へ延びる第1および第2端縁を有するとともに、前記吸液構造体と前記シャーシとの間には、防漏シートが配置され、前記防漏シートが前記吸液構造体の第2端縁から前記縦方向外側へと延出された延出部を有し、
前記非伸縮性シートおよび前記伸縮性シートは、少なくとも前記第2ウエスト域に位置するとともに、前記伸縮性シートは、前記非伸縮性シートと、前記吸液構造体の第2端縁と、前記延出部とに重なって配置され、前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとは、少なくともその一部において、前記防漏シートを介して互いに接合されることを特徴とする前記使い捨て着用物品。
【請求項2】
前記吸液構造体は、前記クロッチ域から前記第1および第2ウエスト域に延在し、前記第2ウエスト域に重なった前記吸液構造体の前記縦方向における寸法は、前記第1ウエスト域に重なった前記吸液構造体の前記縦方向における寸法よりも大きくされる請求項1記載の使い捨て着用物品。
【請求項3】
前記シャーシの前記非肌対向面には、接合部を介して廃棄用のテープが取り付けられ、前記接合部は、前記防漏シートの前記延出部に重なって形成される請求項1または2記載の使い捨て着用物品。
【請求項4】
前記非伸縮性シートは、前記横方向へ延びる折曲線によって前記縦方向内側に折り曲げられた折曲領域を有し、前記折曲領域が、前記防漏シートの前記延出部に重ねられる請求項1〜3のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項5】
前記非伸縮性シートの前記折曲領域は、前記吸液構造体の端縁を覆う請求項4記載の使い捨て着用物品。
【請求項6】
前記伸縮性シートは、前記第1ウエスト域に位置する第1伸縮性シートと、前記第2ウエスト域に位置する第2伸縮性シートとを含む請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項7】
前記防漏シートの前記横方向における寸法は、前記第2ウエスト域の前記横方向における寸法よりも小さくされる請求項1〜6のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項8】
前記第1ウエスト域は前記前ウエスト域であり、前記第2ウエスト域は前記後ウエスト域である請求項1〜7のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項9】
前記第1および第2ウエスト域は、少なくとも繊維不織布から形成され、かつ、前記防漏シートは、少なくともプラスチックフィルム、および、プラスチックフィルムと繊維不織布とのラミネートのひとつから形成されている請求項1〜8のいずれかに記載の使い捨て着用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−70883(P2013−70883A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213421(P2011−213421)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】