説明

使い易い組織修復パッチ

二つの面、外側の周囲部を有する組織修復材料、及びその組織修復材料の面上に重なり合うように外側の周囲部から形成されるカフを有する、埋め込み式の医療デバイスを開示する。そのデバイスは、取り外し可能なサポ−ト部材とともに利用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
外科的に埋め込むパッチは、壁欠陥、たとえば、ヘルニア、臍の修復、及びその他のそのような欠陥を処理するために使われる。パッチは、基本的には、埋め込められ、患者の体内に残る。ヘルニアパッチを埋め込むことを促進するために、外科医の指、トロカ−ル、又は、他の固定及び/若しくは位置取りする道具のいずれかの挿入のために、一つ以上の袋、ポケット、又はスリットを有する、2層の生体親和性のあるメッシュを含むヘルニアパッチについて、幾つかの特許及び/又は公開特許出願が、開示されている。
【0002】
Kugelによる、US特許5634931号、5769864号、及び5916225号は、ヘルニアの全域及び後方まで拡げるために、選択的にサイズ化されて型を取られた不活性メッシュ材料の第一層、その第一層を覆う、不活性な合成メッシュ材料の第二層を含むヘルニアパッチであって、その第一層と第二層が、その二つの層の間に袋の周辺部を画定するように接合されており、かつ、パッチが平らな形状に適応することを促すために弾力のあるモノフィラメントが、ル−プ部を袋の中に配置された、そのような、ヘルニアパッチを開示している。挿入を容易にする目的で、アクセススリットが、袋の中に外科医の指を挿入するために、層の一つに形成される。Kugelらによる、US特許6176863号及び6280453号は、外科医の指を挿入するための単一のスリットを備える、同様なヘルニアメッシュパッチを開示している。
【0003】
Kugelらによる、US特許6174320号は、両層のメッシュ材料を通り抜き、患者のコ−ド構造の周辺に配置するために拡大した開口部を終端部に備える、追加的なスリットを有するヘルニアパッチを開示している。このヘルニアパッチは、股(もも)の付け根のヘルニアの修復に使われる。
【0004】
Eldridgeらによる、US公開特許2004/0215219号は、組織又は筋肉の付着の形成を許容する材料の二つの層、並びに、外科医の指を挿入するために、第一及び第二の層の間に形成される少なくとも一つのポケット、さらに好ましくは二つのポケット、並びに、第二の層のばらばらの位置に、組織又は筋肉が付着しないようにするバリア材料の層、を含むヘルニア修復のための埋め込み式のプロテ−ゼを、開示している。
【0005】
さらに、Chinによる、US特許5922026号は、各々の端部にポケットを備えるプロテ−ゼのストリップ又はパッチであって、そのポケットの中に、ファスナ−のツールが挿入され、位置取りに使用され、そして、体内の組織及び、じん帯にパッチを確実に固定することが可能である、ストリップ又はパッチを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当該技術分野では、外科医が、正確かつ容易に運搬し、配置できるような柔軟性のある組織修復パッチに対し、強い要求がある。また、手術、例えばヘルニア修復の間に、包囲された組織を保護することを改善できるパッチも、望まれている。
【0007】
本発明は、上記のヘルニアパッチで記載されたスリット及び指にフィットするポケットとは異なる点で、上記要求を満たす。そのうえ、本発明は、埋め込まれたパッチの最も外側の周囲でパッチの固定を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
二つの面と、外側の周囲部を有し、少なくとも一つの面が細胞の内部成長に適応する、組織修復材料、その組織修復材料の一つの面上に重なり合うように、外側の周囲部に形成されるカフを含む、埋め込み可能な医療デバイスを提供する。取り外しが可能なサポ−ト部材は、埋め込み手術での操作の利用のし易さのためにカフの下部に取り外し可能な状態で位置決めされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の斜視図を示す。
【図2】取り外し可能なサポ−ト部材を含む本発明の分解図を示す。
【図3A】本発明の上面図を示す。
【図3B】カフが、取り外し可能なサポ−ト部材をどのように保持するかを表す、本発明の断面図を示す。
【図3C】形成されたカフが、取り外し可能なサポ−ト部材を保持しているところを表す、メッシュ材料の詳細な断面図を示す。
【図4A】複数の連続した層を有する、複合材料から構成されるメッシュ材料を示す。
【図4B】複数の層を有し、不連続な複合材料から構成される、メッシュ材料を示す。
【図4C】複数の材料から構成されるメッシュ材料を示す。
【図5A】折り返し線と、粗面化された底部の表面域の断面を表し、カフが形成される前のメッシュの底面図を示す。
【図5B】粗面化された上部及び底部の表面域を表し、カフが形成される前のメッシュの断面図を示す。
【図5C】粗面化された表面の位置を表し、カフが形成された後のデバイスの断面図を示す。
【図5D】粗面化された表面の位置を表し、カフが形成された後のデバイスの断面図を示す。
【図6A】本発明の上面図を示す。
【図6B】代替のカフ形状を表す、本発明の上面図を示す。
【図6C】連続するカフを表す、メッシュの断面図を示す。
【図6D】不連続なカフを表す、メッシュの断面図を示す。
【図7】異なるアクセスホ−ル形状並びに、連続する境界部、スリット境界部、及びレリーフカットを備える境界部を有するサポート部材を表す、数種の取り外し可能なサポ−ト部材デザインの上面図を示す。
【図8A】端部の補強材を表す、取り外し可能なサポ−ト部材の断面図を示す。
【図8B】平面ではない形状を表す、取り外し可能なサポ−ト部材の断面図を示す。
【図8C】内部の補強材を表す、取り外し可能なサポ−ト部材の断面図を示す。
【図8D】不連続な形状を表す、取り外し可能なサポ−ト部材の断面図を示す。
【図8E】周辺の環の形状のみを表す、取り外し可能なサポ−ト部材の断面図を示す。
【図9A】ひだが付いたカフの形状を表す、製作途中のメッシュの上面図を示す。
【図9B】ひだの構成を表す、製作途中のメッシュの断面図を示す。
【図10】本発明のいろいろな形状及び形態の上面図を示す。
【図11A】代替の取り外し可能なサポ−ト部材の上面図を示す。
【図11B】代替の取り外し可能なサポ−ト部材及び取り外しの方向の断面図を示す。
【図12】二つのセグメントを表す、不連続なカフの上面図を示す。
【図13A】四つのセグメントを表す、不連続なカフの上面図である。
【図13B】セグメントが、どのように取り外し可能なサポ−ト部材を保持するかを表す、不連続なカフの断面図である。
【図14】カフの後方に広がる底部層を有する、二層のメッシュ材料の断面図である。
【図15】第一のカフと、第一のカフの上部に第一のカフを折りたたむことによって形成される第二のカフを有する、デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、損傷した組織、たとえば、軽度の組織欠陥、壁欠陥、ヘルニア、臍の修復、及び他のそのような欠陥を修復するために設計された埋め込み可能なデバイスである。そのようなデバイスは、二つの面、外側の周囲部、及び組織修復材料の面上に重ね合わせるために組織修復材料の外側の周囲部から構成されるカフ、を有する平面状の組織修復材料から、形成される。本発明は、組織修復材料に重なり合わせる取り外し可能なサポ−ト部材をさらに含み、組織修復材料がその取り外し可能なサポ−ト部材の少なくとも一部を覆う。
【0011】
図1に示されるように、埋め込み可能な医療デバイスは、組織修復材料3を有する平面状のシ−トから形成される。組織修復材料3は、上部側3、底部側7で示されるように、二つの面と、及び外側の周囲部9を有する。カフ10は、組織修復材料3の面上に重ね合わせるために、組織修復材料3から構成されていることを示している。そのカフ10は、固着部18が、カフ10の上部、特に、埋め込み可能な医療デバイス1の外側のエッジ部に、形成されることを可能とする。取り外したサポ−ト部材12は、容易に埋め込むためにカフの下部にはめ込む。
【0012】
組織修復材料3は、医療用途に適合するどのような材料でもよく、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン及び延伸されたポリテトラフルオロエチレンを含む重合材料でよい。
【0013】
組織修復材料3が、滑らかな外側の周囲部を有するように示されているが、本発明はこの形態に制限されるものではない。組織修復材料3の外側の周囲部9が、滑らかな形状であるか、不規則な形状であるか、パタ−ン化された形状であるか、ノッチが入った形状であるか、又はその他バリエ−ションの形状であるかは、容易に予期されることである。組織修復材料3は、意図する用途次第で、本発明の態様の範囲に一致するバリエ−ションを含んでもよいことは、さらに予期されることである。たとえば、組織修復材料3が、図3Aから3Cに示されているように、単一の材料の構成物を含んでよく、又は複数の連続層を備える構成物として、図4Aで示されているように、二つ以上の材料を含んでもよい。図4Bは、組織修復材料3が、複数の層を有し、不連続な構成物から構成されていることを示している。組織修復材料は、単一片の材料の形態が好ましく、その単一片の材料によって、面上に組織修復材料3の外側の周囲部9のエッジを折りたたむことによって、カフ10を構成する重複部を形成することが可能となる。ところで、図4Cで示されるように、複数片の組織修復材料3が、デバイスで使われることは、容易に想像がされることである。図4Cは、単一片の材料の使用によって、カフ10を形成する少なくとも一片の材料に接合される底面が形成されることを示す。それらの片は、縫合、超音波ウェルディング、ボンディング、又はその他適当な方法によって、周囲部で接合され、結果として、二つの面と外側の周囲部を有するデイバイスを形成する。
【0014】
組織修復材料3は、シ−ト、メッシュ、ウェブ、織布、不織布、ニット、又はその他いかなる材料の形態であってよい。一つの形態として、本発明の埋め込み式デバイスは、感染耐性のあるメッシュ材料である組織修復材料3を有する。この態様において、組織修復材料3は、一つ以上のマトリックス形成ポリマ−、たとえば、バイオメディカルポリウレタン、バイオメディカルシリコ−ン、生分解性のポリマ−、及び抗菌剤を含むか、治療薬、たとえば、銀塩及び/又はクロルヘキシジン若しくはその塩と、マトリックス形成ポリマ−との化合物を含む。マトリックスに溶液状態の抗菌剤を塗ることにより、そのコ−ティング材料を、隙間の中に入り込ませて、乾燥させ、よって、感染耐性のあるマトリックスを得ることができる。
【0015】
組織修復材料3は、細胞の内部成長を可能ならしめるように適合された、片面又は両面を有することができる。他の実施態様において、組織修復材料3は、少なくとも一つのバイオ吸収材料を含んでもよい。バイオ吸収材料は、組織修復材料3のいたる所に存在してもよいし、指定した所にのみに存在してもよい。
【0016】
デバイスに形成されたカフ10は、組織修復材料3に対して連続的であって、一体的である。カフ10及び組織修復材料3は、実質的に同一の材料で形成されてもよいし、結果物としてのデバイスが望まれている用途次第で、実質的に異なる材料であってもよい。カフ10は、デバイスの外側のエッジ20の周り又は個々のセグメントに分けられた仕切り部の中に、一つの連続したチャンネルとして形成されてもよい。
【0017】
ある実施態様として、カフ10は、細胞の内部成長を防ぐために改良されてもよいし、代替として、指定された所に細胞の内部成長を促進するために改良されてもよい。
【0018】
図2で示されるように、取り外し可能なサポ−ト部材12は、埋め込み可能な医療デバイス1に挿入されるように適切な形態を有し、その結果、組織修復材料3の上面とカフ10の間に配置される。埋め込み時にデバイスの充分適切な配置を保証するために、デバイスの外側のエッジの方向に、取り外し可能なサポ−ト部材が拡がることが望ましい。取り外し可能なサポ−ト部材により、パッチが、埋め込み時に容易に位置決めすることを可能とする。さらに、取り外し可能なサポ−ト部材によって、パッチが、操作時に開放状態を維持することが可能となり、誘導された容易な仮縫い固定及び改良された縫合した配置を促進する。取り外し可能なサポ−ト部材は、上面とカフ10の間に向かって配置される。カフ10は、固定をした仮縫い部を覆い、囲まれた組織が露出しないように防ぎ、保護をする。発明のある態様において、取り外し可能なサポ−ト部材12は、患者の組織に連結し、結びつけるためにデバイス1の外側のエッジ20へのアクセスを提供する。取り外し可能なサポ−ト部材は、適当な所でのデバイスの仮縫い又固定をする時に、下部の組織の刺傷を防ぐ耐性のあるシ−ルドを提供する。
【0019】
図3A、3B、及び3Cは、カフ10によって、取り外し可能なサポ−ト部材12が保持された状態を示す。グリップ13は、埋め込み処置時に、取り外し可能なサポ−ト部材の操作のために、切り抜き、ハンドル、又は他の適当な補助物の形態で、取り外し可能サポ−ト部材にあってもよい。図7に示されるように、本発明は、いろいろな取り外し可能なサポ−ト部材12のデザインを意図している。取り外し可能なサポ−ト部材12は、多様なグリップ13の形態を有することは勿論のこと、連続する境界部、スリットの境界部、及びレリ−フカットを備える境界部を有することができる。
【0020】
図5Aは、重なり合うカフを作り出す折りたたみ線22を表し、カフ形成前の組織修復材料3の底面7の底面図である。底表面域の少なくとも一部を粗面化し、規則性のない細胞の内部成長を促進するために、組織修復材料3の他の部分を滑らかにしておくことが望ましいこともある。図5Bは、カフ形成前のメッシュの横断面図である。この態様においては、上面5及び底面7の両方の表面が粗面化されている。組織修復材料3の底面上の終端部のみが、この図では粗面化されている。結果として、図5Cで示されるように、折りたたみ線22によってカフ10が形成されたとき、粗面域が全て、デバイスの同じ側に現れる。デバイスは、望まれる利用及び挿入方法次第で、粗面域とは異なる側に向けられることを注意されたい。デバイスの底面全体が、ここに示されているように、充分に連続性のある滑らかな表面の利点の一つは、連続的なバリア性をデバイスの底面全体に渡って得ることができる点である。バリア性は、付着を防ぐのに役立つ。特に、有用なバリアは、ePTFE及びPTFEを含む。
【0021】
本発明のデバイスは、特に開放された修復に対して特に好都合である。図5Dは、腹腔鏡挿入に対してもまた、特に好都合である一つの形態を示す。
【0022】
図6A及び6Bは、代替のカフ10の形態を有する、本発明の上面図である。図6Aは、組織修復材料3の外側の縁部9に位置するカフ10に対して開口部を有する連続したチャンネルとして形成されるカフ10を備える。図6Bは、個々にセグメントされた仕切り部16として形成される、セグメントされたカフ10を示す。個々にセグメントされた仕切り部に対する開口部は、およそ組織修復材料3の外側の周囲部9である。図6Cは、連続するカフ10を表す、メッシュの断面図である。図6Dは、個々のセグメントされた仕切り部16を備える、不連続なカフ10を表す、メッシュの断面図である。図6C及び6Dの両方において、取り外し可能なサポ−ト部材12は、デバイスを容易に利用できるように、カフ10に適合するように形成される。
【0023】
本発明の多くの利点の中の一つは、取り外し可能なサポ−ト12が、容易に及び精巧に固定されているが、一旦埋め込みが所定の場所で施されると、取り除かれることである。図6、7、10、及び12に示されるように、外科医は、彼ら自身の指又はピンセットのような外科用の道具のどちらか一方を使用して、開口部80又はホ−ルを通して、取り外し可能なサポ−ト部材12を握る。一旦、埋め込みが所定の場所で施されると、他のデバイスが必要としているように、適合したポケットの中に、指又は道具で挿入することは、そのポケットから指又は道具を細心の注意を払って取り外す必要はない。さらに、適合したポケットの中に、外科医の指又は道具の挿入を必要としている他のデバイスでは、一旦埋め込みが所定の場所で施されると、そのポケットから指又は道具を、細心の注意を払って取り外すことは困難である。
【0024】
図8Aから8Eは、取り外し可能なサポ−ト部材の、意図するバリエ−ションの断面図である。取り外し可能なサポ−ト部材12は、エッジの補強30、非平面な形態(図8B)、補強環84のような内部補強(図8C)、不連続な補強の形態32(図8D)、図8Eに表されている外周環85のように中心が開口した形態には制限されないが、それらを含有する、一つ以上のバリエ−ションを含む。図11Aは、サポ−ト部材と同方向の力の適用によって、素早く取り除くことが可能である、代替の取り外し可能なサポ−ト部材12の上面図である。図11Bは、カフ10から取り外すことに対して必要とする上向きの力がかかっている取り外し可能なサポ−ト部材12の断面図である。
【0025】
その他のバリエ−ションも意図しているが、図には図示していない。
【0026】
図9Aは、個々のひだ(折り目)11が、プリ−ツされ、要求される取り外し可能なサポ−ト12の形状に適応して取り付けられるように、組織修復材料3の平面のシ−トを寄せ集めることによって形成されるカフ10を示す。図9Bは、取り外し可能なサポ−ト部材12の保持が可能となるように付けられた、プリ−ツされたひだ(折り目)11を示す。図10は、本発明のいろいろな形状及び形態であって、組織修復材料3のシ−トが、連続して重なり合っているカフ10によって覆われていることを示す、上面図である。連続するカフ10は、デバイスの配置の間に取り外しが可能であるサポ−トを固定するために、必要な大きさになってさえいればよい。組織修復材料3の一つの面上に重なり合っている外側の周囲部9によって形づくられている重なり合う連続的なカフ10に、覆われていなく、接触していない状態の組織修復材料3のシ−トの割合は、カフ10及びデバイスの形態次第で、5パ−セントから95パ−セントの範囲であるが、シ−トの半分超が曝されているのが典型的なデバイスである。図10に示されているように、一つの実施態様において、組織修復材料3のシ−トの60パ−セント超が、曝せており、連続するカフ10から分離した状態になっている。この例において、組織修復材料3のシ−トの約40パ−セントが、連続的な重なり合うカフ10によって覆われている。埋め込み可能な医療デバイス1は、細胞の内部成長に適合する少なくとも一つの面を備える二つの面及び外側の周囲部9を有する組織修復材料3のシ−トを含んでもよい。カフ10は、材料シ−トの細胞の内部成長に適合させる面の望まれる大きさ(量)が曝されることを可能としながら、組織修復材料3の一つの面上に重なり合うように、外側の周囲部9から形成される。組織修復材料3のシ−トの半分超が、曝され、連続的な重なり合うカフ10の外側にあることが、図6、7、10及び12に示されるような形態で確かに理解できるとおり、望ましい。
【0027】
不連続的なカフ10が、組織修復材料3の一つの面上に形成されるように、埋め込み可能な医療デバイスは、二つの面及び外側の周囲部9を有し、少なくも一つの面が細胞の内部成長に適合する組織修復材料3、並びに組織修復材料3の一つの面上に重なり合う外側の周囲部9の部分から形成されるカフ10を含む。取り外し可能なサポ−ト部材であって、そのサポ−ト部材の少なくとも一部分上に、組織修復材料3が折りたたまれている。
【0028】
図12は、二つのセグメントを含む、不連続的なカフ10の上面図である。図13Aは、4つのセグメントを含む、不連続的なカフ10の上面図である。図13Bは、セグメントが、取り外し可能なサポ−ト部材をどのように保持しているかを表す、不連続なカフ10の断面図である。図12及び13Aによって明確なように、サポ−ト部材は、隙間のない平面の取り外し可能なサポ−ト部材を含んでもよいし、固定するところが、不連続的なカフ10のセグメントのある部分又は全部で起こるような比較的開口した織目を有する、サポ−ト部材を含んでもよい。
【0029】
図14により示されているが、底面層がカフ10の後方へと拡がる、二つの層のメッシュ材料の断面図で示されるように、カフ10が、一つ以上の層から構成されることを可能とするために、デバイスは、多くの平面層から構成されてもよい。このタイプの利用は、対称及び非対称両方の切り込み部の上又は周りにおいて、パッチを確実に固定するために有効となり得る。
【0030】
他の実施態様として、図15で示されるように、埋め込み可能な医療デバイス1は、二つの側面と外側の周囲部を有する組織修復材料3を含み、組織修復材料3の外側の周囲部9の第一のカフ10は、組織修復材料3の片面上で重なり合い、第一のカフ10の内側の周囲部からもう一つのカフ(以下に、本発明の明確化のために第二のカフ50と呼ぶ。)を形成するそれ自身を後方に折りたたむようにして、形成される。第二のカフ50は、第一のカフの片面上で重なり合う。この実施態様の一つの観点において、切開の部位に隣接する組織は、第一のカフと第2のカフの重なり合う折り返した部分との間に封入され得る。この形態は、第二のカフ、封入された組織及び第一のカフを介して確実に留めることを可能とする。その場合、取り外し可能なサポ−ト部材12が取り除かれ後、パッチを確実に固定しておくことができる。
【0031】
埋め込み可能な医療デバイス1は、デバイスの周囲部に一つ以上の縫合糸を結びつけ、患者の切開部を通して、外科的に埋め込み可能なデバイスを挿入し、デバイスが、欠陥の周囲部の後方に拡がるように、外科的に埋め込み可能なデバイスを開口し、位置決めし、さらに、一以上の縫合糸を介して組織の周囲にデバイスを貼付し、患者に外科的に埋め込み可能なデバイスを取り付けるために、デバイスの外側の周囲部9の辺りでデバイスを確実に固定することによって、容易に配置されることができる。デバイスは、外科用の仮縫い、外科用のステープル、及び外科用の縫合を使用して、外側の周囲部9の周辺を確実に固定することができる。外科的に埋め込み可能なデバイスは、手術中又は腹腔鏡時に、挿入されることができる。
【0032】
埋め込み可能な医療デバイス1は、一つ以上の縫合糸をデバイスの周囲部に結び付け、患者の切開部を通して外科的に埋め込むデバイスを挿入し、デバイスが欠陥の周囲部の後方に拡がるように、外科的に埋め込み可能なデバイスを開口し、位置取りし、一つ以上の縫合糸を介して組織の周囲にデバイスを貼り付け、患者に、外科的に埋め込むデバイスを貼り付けるためにデバイスの外側の周囲部9の周辺部においてデバイスを確実に固定し、そしてサポ−ト部材を取り除く、ことを含む確実に固定するいろいろな方法によって、配置されてもよい。
【0033】
次の実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。これらの実施例は、本発明のある実施態様を示すために提供され、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0034】
実施例1
この実施例は、本発明の好ましい実施態様の構成を説明する。サポ−ト部材の形成及びカフされた埋め込み式のシ−ト材料の形成に続いて、サポート部材は、図1に示されるように、形成されたカフがサポ−ト部材を保持するように埋め込み可能なシ−ト材料に適合される。
【0035】
埋め込み可能なシ−トは、連続的な埋め込み可能なシ−トから形成される周囲部のカフを有し、その連続的な埋め込み可能なシ−トは、10.0mmから12.0mmの間で、全体の周囲部に沿って、それ自身の上に、折り返される。埋め込み可能なシ−トは、the Medical Products Division of W.L.Gore & Associates,Inc(Flagstaff,アリゾナ州)から提供される、GORE−TEX DUALMESH Biomaterialという商品名であって、延伸したポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)であった。GORE−TEX DUALMESH Biomaterialの生産品は、シ−トの各々の面において、異なる構造を有する。一つの面は、組織の接着又は他の組織との接着を、防ぎ、抑えるために設計され、もう一方の面は、組織の接着、細胞又は細胞突起の内部成長を促進するために、粗面化する。GORE−TEX DUALMESH Biomaterialは、粗面化された「組織の内部成長」面がサポ−ト部材に面して配置されるようにする。
【0036】
図5Aで示されるように、カフは、平らな埋め込み可能なシ−トを使用し、埋め込み可能なシ−トの均質な組織接着のバリア面上に、10cm×15cmの楕円形の折りたたみのテンプレ−トを配置し、折りたたみのプレ−トのエッジ上に埋め込み可能なシ−トの残りの材料部を折りたたみ、形成される。折りたたみのプレ−トは、ジョージア州,AtlantaのMcMaster Carrから入手可能であり、パ−ツナンバ−85585K17で、0.030インチのポリカ−ボネ−トのシ−トから、作製された。図9Aで示されるように、折りたたまれたカフの弛みは、楕円の各々の終端部上に均等に分けられた16個のプリ−ツに吸収され、ジョージア州,Atlantaにある、McMaster Carrから入手可能であり、パ−ツナンバ−5157A42の表面仕上げをした滑らかなペンチを使用して、プリ−ツを圧縮することによって、一時的に固定された。折りたたんでいるプレ−トは取り除かれた。それから、図9Bで示されるように、これらのプリ−ツは、日本の東京にある、Juki社から入手可能であって、Series LK−1850 バ−タッキングのミシンを使用し、the Medical Products Division of W.L.Gore & Associates会社(Flagstaff,アリゾナ州)から提供される、CV−5縫糸を使用して、これらのプリ−ツは、縫い付けられた。それから、形成された、カフ付きの埋め込み可能なシ−トを、反対にして、カフは、均質な組織接着のバリア側の反対側に位置するようにした。
【0037】
サポ−ト部材は、0.015インチで、硬くて、曲げやすく、及び弾力的な材料の連続的なシ−トから作製されるので、曲げられる時、変形することなく、平らな形状に戻ろうとする。図7に示されるように、サポ−ト部材は、縦方向にシ−トの真ん中にスリットのカット、及び各々の四分円の1/4インチの略円形のレリ−フカットアウトを有する。スリットは、使用中に、位置取りを容易にすることを可能とし、略円形のレリ−フカットアウトは、サポ−ト部材に影響を与えず、縫合を配置することを可能とする。
【0038】
サポ−ト部材は、カンザス州、Lenexaにある、Preco社から入手可能であって、モデルSL4200レ−ザ−のCO2レ−ザ−を使用して、ジョ−ジア州、アトランタにある、McMaster Carrから入手可能である、パ−ツナンバ−85585K14のポリカ−ボネ−トフィルムの平面シ−トから切断される。
【0039】
それから、サポ−ト部材は、カフされた埋め込み可能なシ−トに適合する。その結果、図3Bに示されるように、サポ−ト部材は、カフによって、抑えられる。その結合された構成は、サポ−ト部材に、カフされた埋め込み可能なシ−トを平坦にし、適合させるために、30秒間、100℃、30psiの条件で、熱がかかった圧盤プレス機に置かれた。
【0040】
本発明の好ましい実施態様が、ここに示されて記載されたが、本発明はそのような、例示及び記載に制限されるものではない。次の特許請求の範囲内で、本発明の一部として、変更例及び変形例は受け入れられ、具体化されてもよいことは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能な医療デバイスであって、
a)二つの面と外側の周囲部を有し、少なくとも一つの面が細胞の内部成長に適応する 、組織修復材料、及び
b)当該組織修復材料の面上に重なり合うように、当該外側の周囲部から形成された、カフ、
を含む埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項2】
取り外し可能なサポ−ト部材をさらに含み、当該組織修復材料が、当該取り外し可能なサポ−ト部材の少なくとも一部上に折りたたまれている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
サポ−ト部材の周囲部の周りに拡がる連続的な境界部を形成するために、当該組織修復材料が、サポ−ト部材上に折りたたまれている、請求項2に記載の埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項4】
前記連続的な境界部が、個々のポケットを含む、請求項3に記載の埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項5】
前記サポ−ト部材が、固定デバイスからの穿刺に対して耐性がある、請求項2に記載の埋め込み式の医療デバイス。
【請求項6】
前記組織修復材料が、コンフォマーブルである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記カフが、当該組織修復材料と連続的であって一体をなす、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記カフ及び前記組織修復材料が、実質的に同一材料から形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記カフ及び前記組織修復材料が、実質的に異なる材料から形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記組織修復材料が、単一の材料の組成物である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記組織修復材料が、延伸したポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記組織修復材料が、二つ以上の材料の組成である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記組織修復材料が、延伸したポリテトラフルオロエチレンである、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記組織修復材料が、少なくとも一つの生体吸収性材料を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記カフが、セグメントされた個々の仕切り部分を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記組織修復材料が、内部成長に適応する一つ以上の面を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
埋め込み可能な医療デバイスであって、
a)二つの面と外側の周囲部を有し、少なくとも一つの面が細胞の内部成長に適応する 、組織修復材料、及び
b)当該組織修復材料の面上に重なり合って、当該外側の周囲部に形成される、カフで あって、当該デバイスの外側の周囲部においての固定を提供する、カフ、
を含む埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項18】
埋め込み可能な医療デバイスであって、
a)二つの面と外側の周囲部を有する、組織修復材料、
b)当該組織修復材料の面上に重なり合って、当該外側の周囲部に形成される、第一の カフ、及び
c)当該第一のカフの面上に重なり合って、当該第一のカフの内側の周囲部に形成され る、第二のカフ、
を含む埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項19】
前記組織修復材料が、取り外し可能なサポ−ト部材の少なくとも一部に感圧性の接着剤を介して固定される、請求項2に記載の埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項20】
埋め込み可能な医療デバイスであって、
a)上面及び底面を有する、組織修復材料、及び
b)上面、底面、外側の周囲部を有する取り外し可能なサポ−ト部材であって、当該サ ポ−ト部材の周囲部の周りに拡がって囲む連続的なカフを形成するために、当該組織修復材料が、当該サポ−ト部材の底面に接触し、また、当該サポ−ト部材の上面の少なくとも一部に接触するように配置される、取り外し可能なサポ−ト部材、
を含む埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項21】
埋め込み可能な医療デバイスであって、
a)二つの面と外側の周囲部を有し、少なくとも一つの面が細胞の内部成長に適応する 、組織修復材料、及び
b)当該組織修復材料の面上に重なり合って、当該外側の周囲部に形成され、細胞の内部成長に適応する、カフ、
を含む埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項22】
埋め込み可能な医療デバイスであって、
a)二つの面と外側の周囲部を有し、少なくとも一つの面が細胞の内部成長に適応する 、組織修復材料、及び
b)当該組織修復材料の面上に重なり合って、当該外側の周囲部に形成され、細胞の内部成長を防止することに適応する、カフ、
を含む埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項23】
埋め込み可能な医療デバイスであって、
a)二つの面と外側の周囲部を有し、少なくとも一つの面が細胞内部の成長に適応する 、組織修復材料、及び
b)当該組織修復材料の面上に重なり合って、当該外側の周囲部に形成され、指定される範囲において細胞の内部成長を促進することに適応する、カフ、
を含む埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項24】
請求項1に記載の埋め込み可能な医療デバイスの配置の方法であって、
a)当該デバイスの当該周囲部に一つ以上の縫合糸を結びつける工程、
b)患者の切開部に外科的に埋め込み可能なデバイスを挿入する工程、
c)デバイスが欠陥の周囲部の範囲を越えて拡がるように、当該外科的に埋め込み可能なデバイスを開き、位置取りをする工程、
d)一つ以上の縫合糸を介して周囲の組織に当該デバイスを貼付する工程、及び
e)患者に、外科的に埋め込み可能なデバイスを取り付けておくために、当該デバイスの外側の周囲部の周辺にデバイスを固定する工程、
を含む当該埋め込み可能な医療デバイスの配置の方法。
【請求項25】
前記デバイスが、外科的な仮縫いを使用して、外側の周囲部の周辺に固定される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記デバイスが、外科的なステ−プルを使用して、外側の周囲部の周辺に固定される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記デバイスが、外科的な縫合を使用して、外側の周囲部の周辺に固定される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記外科的に埋め込み可能なデバイスが、腹腔鏡で挿入される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
請求項2に記載の埋め込み可能な医療デバイスの配置の方法であって、
a)当該デバイスの当該周囲部に一つ以上の縫合糸を結びつける工程、
b)患者の切開部に外科的に埋め込み可能なデバイスを挿入する工程、
c)デバイスが欠陥の周囲部の範囲を越えて拡がるように、当該外科的に埋め込み可能なデバイスを開き、位置取りをする工程、
d)一つ以上の縫合糸を介して周囲の組織に当該デバイスを貼付する工程、
e)患者に、外科的に埋め込み可能なデバイスを取り付けておくために、当該デバイスの外側の周囲部の周辺にデバイスを固定する工程、及び
f)サポ−ト部材を取り除く工程
を含む当該埋め込み可能な医療デバイスの配置の方法。
【請求項30】
埋め込み可能な医療デバイスであって、
a)二つの面と外側の周囲部を有し、少なくとも一つの面が細胞の内部成長に適応する 、組織修復材料、及び
b)当該組織修復材料シ−トの40%未満が、重なり合う連続的なカフによって覆われ るように、当該組織修復材料の面上に重なり合って、当該外側の周囲部に形成される、 カフ、
を含む埋め込み可能な医療デバイス。
【請求項31】
埋め込み可能な医療デバイスであって、
a)二つの面と外側の周囲部を有し、少なくとも一つの面が細胞の内部成長に適応する 、組織修復材料、及び
b)不連続なカフが、当該組織修復材料の一つの面上に形成されるように、当該組織修 復材料の面上に重なり合って、当該外側の周囲部の部分から形成される、カフ、
を含む埋め込み可能な医療デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−541011(P2009−541011A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518212(P2009−518212)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/014776
【国際公開番号】WO2008/002549
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】