使用後毎に洗浄、殺菌、消毒、乾燥等の全てを、自動的に行う装置を内蔵した便器

【目的】常に、洗浄、殺菌等が施され、衛生的であり、かつ、病原菌等の拡散を防止した便器を得る。
【構成】便器蓋の内部に、便座や便器を洗浄、殺菌するための洗浄ブラシや各種装置を内蔵し、使用後毎に全自動で、洗浄、殺菌、消毒、乾燥等を行うよう構成している。

【考案の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】
衛生などに関する環境技術の発展に伴い、各種衛生機器の普及には目覚ましいものがある。本考案は洋式便器に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の洋式便器は、排泄時、便座に直接肌を触れる事から、衛生上、嫌悪感を招いている。又、さらに、汚水や、汚物が、直接便座に付着している場合があり、その時は最悪で、使用する者にとっては大変不愉快なものであった。
【０００３】
そのため、便座専用の紙シート等が普及しているが、面倒で使用しにくい事と、又、不経済な事から、設置しているところが非常に少ないのが現状である。
【０００４】
特に大衆が集まり易い公共施設や、劇場、ホテル、レストラン、諸々の展示会場、又、スポーツセンター等、いちいち列挙すれば限りがないが、特に神経質な人や、衛生観念に厳しい潔癖症の人々にとっては、他人事ではなく、諸々の問題が提起される事も多い。
【０００５】
近年、大規模な展示会場や、催事会場等に於ては、急遽、仮設トイレなどを設置することも多い。これら一般大衆を対称とした仮設トイレ等にあっては、特に公衆衛生上、熟慮しなければならない。震災等、災害時にあっては、尚更の事で、仮設トイレの種類、衛生上の諸問題等が山積みされている。一つ間違えば、二次災害、三次災害の根源とも成り得るからである。
【０００６】
老齢化社会の到来により、和式便器に代わって、洋式便器の普及が著しく、そのため、直接肌を触れる機会が多くなってきている。そのため、皮膚病等の感染が起こらないとも限らないが、ともあれ、精神衛生上好ましくない事は、衆知のことであろう。とにかく、種々の面で優れた洋式便器等も、その手入れ、管理上、一つ間違えば、非常に不衛生であると言わざるを得ない。
【０００７】
【考案が解決しようとする課題】
従来の技術で述べた諸々の問題、特に衛生上の観点から、それらの欠点を取り除き、使用しやすく、衛生上すぐれた便器を提供しようというものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案の便器は、使用直後毎に、その便器や便座の洗浄、殺菌、消毒、乾燥等が自動的に行われるようになっていて、それら全ての装置や機能が便器蓋（便座蓋）の内部に内蔵された構造となっている。
【０００９】
使用後の便座の洗浄方法は、洗浄水（洗浄液）が，飛散しない様、便器本体の一部に収納される構造となっている。そのため、便座を収納する部分は、サイズに於て便座より大きいものでなくてはならない。故に、本便器本体の形状は、上部から見て、便座全体が、すっぽりと、はいる形状であり、便座が収納され、洗浄される様になっている。便座は洗浄後、自動的に取り出され、わずかの移動で便器本体上の前部にセットされる。
【００１０】
【作用】
排泄行為が、食文化に直結した行為である事は、衆知の通りであり、故に、近年、それらの環境整備、排泄文化の向上等に注がれる力は、増大している。このような状況下にあって、本考案の役目は多大となる。即ち、環境衛生、公衆衛生、大衆衛生等の環境整備に役立ち、病原菌の活動、拡散を、制限するばかりでなく、ありとあらゆる面で、健康上、又、精神衛生上に、大いに貢献し得る。
【００１１】
【実施例】
実施例について、図１の平面模式図を参照し、説明する。図１において便座１は、便器本体２の上に乗り、使用直前の状態を示している。使用後、排泄物は当然流され、その後、便座継ぎ手３が作動し、便座は、便器本体内部に収納される。収納位置は、便器本体に、ほんの数センチ沈んだ位置である。
【００１２】
次に、メイン継ぎ手４の働きで、便器蓋５が閉まり、丸形ブラシ６や、棒型ブラシ７が、それぞれ回転し、便座を洗浄する。洗浄剤や消毒剤を含んだ洗浄液は、洗浄液噴出口８より噴出される。９は乾燥用のための熱風吹き出し口である。
同時に殺菌灯１０が作動し、一連の作業を完了する。１１は、便器本体用伸縮式洗浄ブラシである。
【００１３】
一連の洗浄、殺菌等の作業を完了すると、便器蓋が開き、収納されていた便座は、便座継ぎ手３の働きで、便器本体から取り出され、送り出されるようにして、便器本体上の前部に乗りかかり、使用可能な状態にセットされる。反転ローラー１２は便器蓋５を１８０度回転させることが出来る。回転後の便器蓋は、使用時１３のクッション部と相俟って、背もたれの役目を果たすようになっている。
【００１４】
【考案の効果】
本考案は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。
【００１５】
公衆衛生、環境衛生上大いに、清潔さを保つことができる。
【００１６】
使用毎に、洗浄、殺菌処理を行う事から、病原菌の拡散を防止できる。
【００１７】
常に清潔であることから、精神衛生上、大いに喜ばれ、ありとあらゆる公共施設や、民間施設に容易に利用出来る。
【００１８】
緊急時や、災害時にも最大限に、衛生面上貢献し得る。
【００１９】
常に、洗浄され、清潔度を保っている事から、無駄なペーパー等の使用を押さえ、清掃等の作業を簡略出来る。そのため、大いに経済的と言える。
【図面の簡単な説明】
【図１】本考案の平面の模式図であり、便器蓋を大きく開けた状態を示している。
【図２】本考案の側面の模式図であり、便器蓋を大きく開けた状態を示している。
【図３】本考案の側面の模式図であり、便器蓋が閉まり、洗浄、殺菌等、本来の目的に従って作動している状態を示している。
【図４】本考案の側面の模式図であり、便器蓋が設定通り１８０度回転して、背もたれの役目をし、使用時の状態を示している。
【符号の説明】
１．便座
２．便器本体
３．便座継ぎ手
４．メイン継ぎ手
５．便器蓋
６．丸型ブラシ
７．棒型ブラシ
８．洗浄液噴出口
９．熱風吹き出し口
１０．殺菌灯
１１．便器本体用伸縮式洗浄ブラシ
１２．反転ローラー
１３．クッション

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項１】使用後、自動的に便器の蓋が閉まり、内蔵された円形ブラシ（又はロータリーブラシ）等で、便器や便座が洗浄される構造の便器。
【請求項２】請求項１の便器を洗浄後、殺菌、消毒する装置を内蔵した便器。
【請求項３】請求項１の便器を洗浄、殺菌、消毒、乾燥する装置等を単独又は、複数で有する便器。
【請求項４】洗浄方法で棒型、平型、丸型ブラシ等を用い、回転式、往復運動式、払拭式、振動式等の各方式。
【請求項５】便座を完全に洗浄するため、便座が洗浄室に適時移動する様構成された、移動式便座。
【請求項６】便器本体を、便座の洗浄室として使用できるように構成された便器本体。
【請求項７】本考案の主幹たる洗浄、殺菌、消毒、乾燥等を行う各種装置等を有するか又、それらの装置を、便器本体の蓋部に内蔵した、請求項１の便器。
【請求項８】便器本体の蓋（便器蓋）が、使用中に於て、背もたれの役目を果たす様構成された、請求項１の便器。
【請求項９】便器本体を洗浄できる様にするため、伸縮式ブラシを装備するか、又、それらを便器本体の蓋部に内蔵した、請求項１の便器。
【請求項１０】便器本体の開口部が小さくても、必要に応じて拡がり、便座を洗浄のため収納できるようにした、請求項１の便器。

【図１】