説明

使用済みオイルのリサイクル方法および装置

【課題】使用済みオイルのリサイクル方法および装置を小型でかつ安価に製作する。
【解決手段】回収手段39から供給された使用済みオイルと、未使用の新鮮オイルとを主混合手段51により混合した後、該混合オイルを主濾過手段57により濾過するようにしたので、濾過直前の混合オイルは使用済みオイルを新鮮オイルにより希釈したものとなって、オイルに対する不純物の割合が低下する。この結果、混合オイルの粘度が低くなるとともに、不純物による主濾過手段57の目詰まりが遅延され、この結果、主濾過手段57の濾過面積を増大させることなく主濾過手段57の差圧寿命を容易に長くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、産業機械から流出した使用済みオイルをリサイクルして再び前記産業機械に供給するようにしたリサイクル方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の使用済みオイルのリサイクル方法および装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−013991号公報
【0004】
このものは、圧延機、工作機械等の産業機械から流出した使用済み潤滑オイルを回収タンクに回収した後、前記回収タンクから供給された使用済み潤滑オイルをプレフィルタ、メインフィルタからなる浄油手段により濾過し、その後、該濾過の終了した濾過済み潤滑オイルを潤滑オイルタンクに供給するとともに、未使用の新鮮潤滑オイルも該潤滑オイルタンクに供給して混合した後、該潤滑オイルタンクから混合オイルを再度前記産業機械に供給するようにしたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、前述した従来のリサイクル方法および装置にあっては、使用済み潤滑オイルを回収直後にプレフィルタ、メインフィルタからなる浄油手段によって濾過するようにしているが、該使用済み潤滑オイルはオイルに対する不純物の割合が高いため、粘度(動粘度)が高く、しかも、不純物によりフィルタが早期に目詰まりを起こし易い。これにより、フィルタにおける圧力損失が時間の経過と共に比較的急速に増大して差圧寿命が短くなり、フィルタを頻繁に交換しなければならないという課題があった。ここで、前述の差圧寿命を長くするためにフィルタの濾過面積を大きくして圧力損失の増大を抑制することも考えられるが、このようにすると、浄油手段を含むリサイクル装置が大型化するとともに、製作費も高価となってしまうという課題があった。
【0006】
この発明は、小型でかつ安価に製作することができる使用済みオイルのリサイクル方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、第1に、産業機械から流出した使用済みオイルを回収手段により回収する工程と、前記回収手段から供給された使用済みオイルと、未使用の新鮮オイルとを混合手段により混合する工程と、混合手段により混合された混合オイルを濾過手段により濾過する工程と、濾過手段によって濾過された濾過済みの混合オイルを供給手段により再び前記産業機械に供給する工程とを備えた使用済みオイルのリサイクル方法により、達成することができる。
第2に、産業機械から流出した使用済みオイルを回収する回収手段と、前記回収手段から供給された使用済みオイルと、未使用の新鮮オイルとを混合する混合手段と、該混合手段により混合された混合オイルを濾過する濾過手段と、濾過手段によって濾過された濾過済みの混合オイルを再び前記産業機械に供給する供給手段とを備えた使用済みオイルのリサイクル装置により、達成することができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明においては、回収手段から供給された使用済みオイルと、未使用の新鮮オイルとを混合手段により混合した後、該混合オイルを濾過手段により濾過するようにしたので、濾過直前の混合オイルは使用済みオイルを新鮮オイルにより希釈したものとなって、オイルに対する不純物の割合が低下する。この結果、混合オイルの粘度(動粘度)が低くなるとともに、不純物による濾過手段の目詰まりが遅延され、この結果、濾過面積を増大させることなく濾過手段の差圧寿命を容易に長くすることができ、これにより、装置の小型化および製作費の低廉化を容易に達成することができる。
【0009】
また、請求項2に記載のように構成すれば、使用済みオイルの再利用を容易に図ることができる。さらに、請求項4に記載のように構成すれば、使用済みオイルおよび新鮮オイルの温度が上昇して粘度が低下し、これにより、これら使用済みオイルと新鮮オイルとの混合がより均一となるとともに、混合オイルが濾過手段を通過する際の圧力損失が小さくなる。ここで、加熱により温度の上昇した混合オイルがそのまま再度産業機械に供給されると、供給箇所における温度が上昇して問題が生じる場合があるが、このような場合には、請求項5に記載の冷却手段を用いて混合オイルの温度を常温程度まで低下させればよい。
【0010】
また、請求項6に記載のように構成すれば、混合オイルがゴム混練に消費されるため、オイルの繰り返し使用回数が低下し、この結果、オイルの劣化を容易に防止することができる。さらに、請求項7に記載のように構成すれば、混練されたゴムの品質が許容範囲外となったときでも、混合オイルの供給先をロータ軸のシール機構とすることができるので、使用済みオイルの再利用を容易に図ることができるとともに、ゴム混練室、シール機構双方に混合オイルを供給する場合には、使用済みオイルの再利用率を容易に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施形態1を示すゴム混練機の一部正面断面図である。
【図2】リサイクル装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1、2において、11は産業機械としてのバンバリー式ゴム混練機であり、このゴム混練機11は内部に生ゴムの混練を行う空間、即ちゴム混練室12が形成された本体13を有する。また、この本体13の上端部には前記ゴム混練室12に連通する投入口14が形成され、この投入口14を通じて未混練の生ゴムがゴム混練室12に投入される。さらに、前記本体13の両側端にはそれぞれ端板15が固定されている。前述した本体13、端板15は全体として、ゴム混練機11の固定ハウジング16を構成する。
【0013】
19は互いに平行に延びる水平な一対のロータであり、これらのロータ19の中央部はゴム混練室12内に位置し、また、その両端部に設けられたロータ軸20は前記端板15に形成された貫通孔15aにそれぞれ挿入されるとともに、図示していない軸受により回転可能に支持されている。これらロータ19の中央部外周にはそれぞれ翼21が形成され、これらの翼21は、前記ロータ19が図示していない駆動手段により逆方向に駆動回転されると、ゴム混練室12内の生ゴムを混練する。24は前記端板15とロータ19のロータ軸20との間にそれぞれ介装されたメカニカルシール等のシール機構であり、これらのシール機構24はゴム混練室12から外部へのカーボン、ゴム等の漏洩および外部からゴム混練室12内への塵埃、異物等の侵入を防止する。各シール機構24はロータ軸20に嵌合された略円筒状の回転リング25を有し、この回転リング25のロータ19に近接した軸方向内側部には大径部25aが、ロータ19から離隔した軸方向外側部には大径部25aより小径の小径部25bが形成されている。
【0014】
27は前記回転リング25より軸方向外側のロータ軸20に装着され外端面に複数の支持穴27aが形成されたサポートリングであり、これらのサポートリング27の支持穴27aには内端部が回転リング25にねじ込み固定された複数のボルト28の外側部が挿入され、この結果、前記回転リング25とサポートリング27とは一体的に回転することができる。29は各支持穴27aに収納されたスプリングであり、これらのスプリング29は支持穴27aの底面とボルト28の頭部に形成されたフランジ28aとの間に介装され、回転リング25を軸方向外側に向かって付勢する。31は貫通孔15aの外端開口を囲むよう端板15の外側面に取り付けられたリング状の固定リングであり、これらの固定リング31の軸方向内側面31aは前記回転リング25の大径部25aと小径部25bとの境界に形成された段差面25cに当接している。
【0015】
このような状態で前記ロータ19が回転すると、回転リング25もロータ19と共に回転するため、回転リング25の段差面25cはスプリング29に押されながら固定リング31の内側面31aに摺接し、これにより、ロータ軸20と固定ハウジング16との間がシールされる。ここで、前記回転、固定リング25、31は共に金属から構成されているが、金属同士の摺接であると、早期に摩耗するおそれがある。このため、前記回転リング25と固定リング31との摺接部に、前記固定リング31内に形成された供給孔32を通じて相当量の鉱油からなる潤滑オイル(潤滑油)を供給し、該回転、固定リング25、31同士の摺接部を潤滑して摩耗を強力に抑制するとともに、冷却を行っている。前述した回転リング25、スプリング29、固定リング31は全体として前述したシール機構24を構成する。
【0016】
また、前記端板15にはゴム混練室12の内面でロータ軸20と翼21との境界部に内端が開口する複数の供給孔34が形成され、これらの供給孔34を通じてゴム混練室12内に相当量の鉱油からなるプロセスオイルが供給される。そして、ゴム混練室12に供給されたプロセスオイルは混練時における生ゴムを軟化させるとともに、その流動性を向上させる。ここで、前述のようにゴム混練機11に供給された潤滑オイルおよびプロセスオイルは、その一部、例えば合計供給量の25%程度がシール機構24から外部に漏洩流出するが、このように漏洩流出した使用済みオイルには混練中のゴムやカーボン等の不純物が混入している。なお、前述の実施形態においては、産業機械としてバンバリー式ゴム混練機11を用いたが、この発明においては、押出し式ゴム混練機を用いてもよい。また、産業機械として、研削、切削箇所に冷却オイルを用いる研削盤、切削装置や圧延機等を用いてもよく、この場合には、前記研削盤、切削装置、圧延機等から流出したオイルが使用済みオイルとなる。
【0017】
前記ゴム混練機11、詳しくはシール機構24の直下には前記シール機構24から漏洩流出した使用済みオイルを受け取る受け皿36が設置され、これら受け皿36に溜まった使用済みオイルはオイル通路37を通じて回収タンク38に回収される。前述した受け皿36、回収タンク38は全体として、ゴム混練機11から流出した使用済みオイルを回収する回収手段39を構成する。なお、この発明においては、受け皿をタンクとし、該タンクを回収手段としてもよい。40は主混合タンクであり、この主混合タンク40には一端が前記回収タンク38に接続されたオイル通路41の他端が接続されている。42は前記オイル通路41の途中に設けられた油圧ポンプであり、この油圧ポンプ42により回収タンク38内の使用済みオイルは主混合タンク40に供給される。また、前記油圧ポンプ42と主混合タンク40との間のオイル通路41には制御弁43が設けられ、この制御弁43により回収タンク38から主混合タンク40に供給される使用済みオイルの流量が制御される。
【0018】
46は未使用の新鮮オイルが貯留されている新鮮オイル源であり、この新鮮オイル源46に一端が接続されたオイル通路47の他端は前記主混合タンク40に接続され、この結果、前記新鮮オイル源46からオイル通路47を通じて主混合タンク40に新鮮オイルがプロセスオイルとして供給される。なお、48は前記オイル通路47の途中に設けられた制御弁であり、この制御弁48は新鮮オイル源46から主混合タンク40に供給される新鮮オイルの流量を制御する。49は主混合タンク40内に配置された攪拌羽根であり、この攪拌羽根49は駆動モータ50の出力軸に連結されており、この結果、前記駆動モータ50が作動して攪拌羽根49が回転すると、主混合タンク40に供給された使用済みオイルと、未使用の新鮮オイルとが攪拌されて均一に混合される。前述した主混合タンク40、攪拌羽根49、駆動モータ50は全体として、回収手段39から供給された使用済みオイルと、未使用の新鮮オイルとを混合する混合手段としての主混合手段51を構成する。なお、この発明においては、主混合タンク40内にエアを吹き込むことで使用済みオイルと新鮮オイルとを攪拌混合するようにしてもよい。
【0019】
52は後述の主濾過手段57と前記ゴム混練機11、詳しくは、主濾過手段57と後述の主高圧ポンプ59との間に設けられた冷却手段としての主供給タンクであり、この主供給タンク52に一端が接続されたオイル通路55の他端は前記主混合タンク40に接続されている。前記オイル通路55の途中には油圧ポンプ56が介装され、この油圧ポンプ56は主混合タンク40内において混合された使用済みオイルと新鮮オイルとの混合オイルを該主混合タンク40から主供給タンク52に供給する。このようにして主供給タンク52に供給された混合オイルは、該主供給タンク52内に設置された攪拌羽根53を駆動モータ54により回転させることで、攪拌されながら冷却される。
【0020】
前記油圧ポンプ56と主供給タンク52との間のオイル通路55には前記主混合手段51により混合された混合オイルを濾過する濾過手段としての主濾過手段57が設けられ、この主濾過手段57は、この実施形態では3段の第1、第2、第3フィルター57a、57b、57cから構成されている。ここで、前記第1、第2、第3フィルター57a、57b、57cは前記順序で濾過精度が高く(目が細かく)なっており、この結果、混合オイルに含まれる不純物は粒径の大きなものから前記第1、第2、第3フィルター57a、57b、57cによって順次濾過される。
【0021】
ここで、前述のように回収手段39から供給された使用済みオイルと、新鮮オイル源46から供給された未使用の新鮮オイルとを主混合手段51により混合した後、該混合オイルを主濾過手段57により濾過するようにしたので、濾過直前の混合オイルは使用済みオイルを新鮮オイルにより希釈したものとなって、オイルに対する不純物の割合が低下する。この結果、混合オイルの粘度(動粘度)が低くなるとともに、不純物による第1、第2、第3フィルター57a、57b、57c(主濾過手段57)の目詰まりが遅延され、この結果、主濾過手段57の濾過面積を増大させることなく主濾過手段57の差圧寿命を容易に長くすることができ、これにより、装置の小型化および製作費の低廉化を容易に達成することができる。
【0022】
前述のようにして濾過が施された混合オイルは、その後、前記主供給タンク52に供給され、該主供給タンク52内においてある程度の時間滞留する。59はピストン式ポンプ、歯車式ポンプ等の高圧オイルを吐出する供給手段としての主高圧ポンプ(高圧注油機)であり、この主高圧ポンプ59と前記主供給タンク52とはオイル通路60により接続され、また、前記主高圧ポンプ59と前述のゴム混練機11、詳しくは供給孔34とはオイル通路61により接続されている。この結果、前記主高圧ポンプ59が作動すると、主濾過手段57によって濾過された濾過済みの混合オイルは主供給タンク52から主高圧ポンプ59に流入した後、高圧に加圧されてオイル通路61に吐出され供給孔34を通じて再びゴム混練機11のゴム混練室12内にプロセスオイルとして供給され、再利用される。
【0023】
前述のように産業機械をゴムの混練を行うゴム混練機11から構成するとともに、新鮮オイルとしてプロセスオイルを用い、前記濾過済みの混合オイルを主高圧ポンプ59によりゴム混練機11のゴム混練室12にプロセスオイルとして供給するようにすれば、混合オイルがゴム混練に消費されるため、オイルの繰り返し使用回数が低下し、この結果、オイルの劣化を容易に防止することができる。なお、62はオイル通路60の途中に設けられ、主供給タンク52から主高圧ポンプ59に流入する使用済みオイルの流量を制御する制御弁である。
【0024】
63はスチームが貯留されているスチーム源であり、このスチーム源63に一端が接続されたスチーム通路64の他端には回収タンク65が接続されている。ここで、前記スチーム通路64の一部は主混合タンク40の周囲に巻き付けられており、この結果、主混合タンク40内の使用済みオイルおよび新鮮オイルは攪拌羽根49によって混合されているとき、前記スチーム通路64を通過するスチームにより加熱される。前述したスチーム源63、スチーム通路64は全体として、主混合手段51によって使用済みオイルと新鮮オイルとを混合しているとき、該使用済みオイルおよび新鮮オイルを加熱する加熱手段としての主加熱手段66を構成する。そして、このような主加熱手段66を設ければ、使用済みオイルおよび新鮮オイルの温度が上昇して粘度(動粘度)が低下し、これにより、これら使用済みオイルと新鮮オイルとの混合がより均一となるとともに、混合オイルが主濾過手段57を通過する際の圧力損失を小さくすることができる。
【0025】
ここで、前述のように主加熱手段66の加熱により温度の上昇した混合オイルがそのままゴム混練機11のゴム混練室12に供給されると、供給箇所における温度が上昇して問題が生じる、例えば混練中の生ゴムの一部に加硫が生じるおそれがある。しかしながら、このような事態は、前述の加熱された混合オイルが冷却手段として機能する前記主供給タンク52に一時貯留されている間に冷却されて常温程度まで温度が低下するため、効果的に阻止される。なお、この発明においては、冷却手段として、冷却水が通過する熱交換器を用いたり、オイル通路60または61に冷水を噴射する噴射機を用いてもよい。
【0026】
ここで、前述した主加熱手段66によるオイルの加熱温度は、50〜60度Cの範囲内が好ましい。その理由は、50度C未満であると、攪拌羽根49により攪拌を行っても使用済みオイルと新鮮オイルとを充分に均一に混合できないことがあり、一方、60度Cを超えると、主供給タンク52により混合オイルの冷却を行っても、ゴム混練室12の温度が上昇し過ぎる場合があるからである。なお、この発明においては、加熱手段として電熱ヒーター、誘導加熱装置等を用いることができる。なお、67は前記スチーム通路64の途中の介装され、スチーム源63から主混合タンク40に導かれるスチームの流量を制御する制御弁である。
【0027】
70は前記主混合タンク40と同様構成の副混合タンクであり、この副混合タンク70と前記オイル通路41の途中とは制御弁71が途中に介装されたオイル通路72により接続されている。この結果、前記副混合タンク70にはゴム混練機11から流出し回収手段39によって回収された使用済みオイルが該回収手段39から分配供給される。また、前記新鮮オイル源46と制御弁48との間のオイル通路47に一端が接続されたオイル通路73の他端は前記副混合タンク70に接続され、このオイル通路73の途中には前記制御弁48と同様の制御弁74が設けられている。この結果、前記新鮮オイル源46からオイル通路73を通じて副混合タンク70に新鮮オイルが潤滑オイルとして供給される。
【0028】
ここで、単一の新鮮オイル源46から同一種類の新鮮オイルが前記主混合タンク40にプロセルオイルとして、また、前記副混合タンク70に潤滑オイルとして供給されているが、この発明においては、異なった種類の新鮮オイルが貯留されている新鮮オイル源を2台設置し、一方の新鮮オイル源からプロセスオイルに最適の新鮮オイルを主混合タンク40に、他方の新鮮オイル源から潤滑オイルに最適の新鮮オイルを副混合タンク70にそれぞれ供給するようにしてもよい。前記副混合タンク70内に配置された攪拌羽根75は駆動モータ76の出力軸に連結されており、この結果、前記駆動モータ76が作動して攪拌羽根75が回転すると、副混合タンク70に供給された使用済みオイルおよび新鮮オイルは攪拌されて均一に混合される。前述した副混合タンク70、攪拌羽根75、駆動モータ76は全体として、回収手段39から供給された使用済みオイルと、新鮮オイル源46から供給された未使用である新鮮オイルとしての潤滑オイルとを混合する副混合手段77を構成する。
【0029】
79は前記主供給タンク52と同様構成である副冷却手段としての副供給タンクであり、この副供給タンク79と副混合タンク70とを接続するオイル通路80の途中には前記油圧ポンプ56と同様の油圧ポンプ81が設けられている。また、この油圧ポンプ81と副供給タンク79との間のオイル通路80には前記主濾過手段57と同様の3段の第1、第2、第3フィルター82a、82b、82cからなる副濾過手段82が設けられ、この副濾過手段82は前記副混合手段77により混合された混合オイルを濾過する。ここで、前述と同様に副濾過手段82によって濾過される直前の混合オイルは使用済みオイルを新鮮オイルにより希釈したものであるので、オイルに対する不純物の割合が低下し、この結果、混合オイルの粘度が低くなるとともに、不純物による副濾過手段82の目詰まりが遅延され、この結果、副濾過手段82の濾過面積を増大させることなく副濾過手段82の差圧寿命を容易に長くすることができ、装置の小型化および製作費の低廉化を容易に達成することができる。
【0030】
また、前記副供給タンク79には前記攪拌羽根53、駆動モータ54と同様の攪拌羽根84、駆動モータ85が設けられており、この結果、副供給タンク79に供給された混合オイルは回転する攪拌羽根84により攪拌されながら冷却される。86は副供給手段としての前記主高圧ポンプ59と同様構成の副高圧ポンプであり、この副高圧ポンプ86と前記副供給タンク79とは途中に制御弁87が設けられたオイル通路88により接続され、また、この副高圧ポンプ86と前記ゴム混練機11、詳しくは供給孔32とはオイル通路89により接続されている。この結果、前記副高圧ポンプ86が作動すると、副濾過手段82によって濾過された濾過済みの混合オイルは副供給タンク79から副高圧ポンプ86に流入した後、高圧に加圧されてオイル通路89に吐出され供給孔32を通じて再びゴム混練機11のロータ軸20のシール機構24に潤滑オイルとして供給され、再利用される。
【0031】
91は一端がスチーム源63と制御弁67との間のスチーム通路64に接続されたスチーム通路であり、このスチーム通路91の一部は前記副混合タンク70の周囲に巻き付けられ、その他端は前記回収タンク65に接続されている。これにより、副混合タンク70内の使用済みオイルおよび新鮮オイルは混合時にスチーム通路91内を通過するスチームにより加熱される。前述したスチーム源63、スチーム通路91は全体として、副混合手段77によって使用済みオイルと新鮮オイルとを混合しているとき、該使用済みオイルおよび新鮮オイルを加熱する副加熱手段92を構成する。
【0032】
ここで、この実施形態では、スチーム源63は主加熱手段66および副加熱手段92に共用であるが、スチーム源をこれら主加熱手段66、副加熱手段92で別々としてもよい。そして、このような副加熱手段92を設ければ、前記主加熱手段66と同様に、混合オイルの粘度が低下して、オイルの混合がより均一となるとともに、混合オイルが副濾過手段82を通過する際の圧力損失を小さくすることができる。また、このように副加熱手段92によって加熱された混合オイルがそのままゴム混練機11のシール機構24に供給されると、供給箇所における温度が上昇して問題が生じる、例えば、混合オイル(潤滑オイル)の粘度が低下し過ぎて潤滑性能が低下することがあるが、このような事態は前述した副冷却手段として機能する副供給タンク79において混合オイルを常温程度まで冷却することで対処することが可能である。なお、93は前記スチーム通路91の途中の介装されたスチームの流量を制御する制御弁である。
【0033】
95は一端が新鮮オイル源46と制御弁48との間のオイル通路47に、他端が主高圧ポンプ59と制御弁62との間のオイル通路60にそれぞれ接続されたオイル通路であり、該オイル通路95の途中には制御弁96が設けられている。また、97は一端が新鮮オイル源46と制御弁96との間のオイル通路95に、他端が副高圧ポンプ86と制御弁87との間のオイル通路88にそれぞれ接続されたオイル通路であり、これらのオイル通路95またはオイル通路97は、何らかの理由でリサイクルされた混合オイルをゴム混練機11のゴム混練室12またはシール機構24に供給することができなくなったとき、制御弁62を閉とする一方、制御弁96を開とすることで、新鮮オイルのみをプロセスオイルとしてゴム混練機11のゴム混練室12に、あるいは、制御弁87を閉とする一方、制御弁98を開とすることで、新鮮オイルのみを潤滑オイルとしてゴム混練機11のシール機構24に供給することができる。
【0034】
なお、99は油圧ポンプ42と制御弁43との間のオイル通路41にオイル通路 100を介して接続されたバッファータンクであり、このバッファータンク99は回収手段39により回収された使用済みオイルの量がリサイクル可能な量を超えたとき、制御弁 101を開とすることで該超えた量の使用済みオイルをオイル通路41から分岐流入させて貯留する。そして、このバッファータンク99に貯留された使用済みオイルは、必要に応じて別のリサイクル装置によりリサイクルを行ったり、燃料として使用することができ、また、廃棄処分とする場合もある。
【0035】
そして、前述のリサイクル装置においては、回収手段39により回収された使用済みオイルを、主混合手段51、主濾過手段57、主高圧ポンプ59を有し、混合オイルをプロセスオイルとしてゴム混練機11に供給する主系統ラインと、副混合手段77、副濾過手段82、副高圧ポンプ86を有し、混合オイルを潤滑オイルとしてゴム混練機11に供給する副系統ラインとの2系統ラインを設置したが、この発明においては、前述の副系統ラインを省略し、主系統ラインの1系統としてもよい。このような場合においても、使用済みオイルのかなりの量をリサイクルして有効に再使用することができる。
【0036】
また、この実施形態においては、使用済みオイルの再利用率の向上を容易とするため、通常、前述した主系統ライン、副系統ラインの両ラインを作動させているが、いずれか一方のラインを作動させる場合には、混合オイルがゴム混練機11に消費されるため、オイルの繰り返し使用回数が低下し、この結果、オイルの劣化を容易に防止することができることから、主系統ラインのみを作動させることが好ましい。ここで、主系統ラインから供給される混合オイルに含まれる使用済みオイルの量は、混練される生ゴムの品質に影響を与えない程度に制限しているが、主濾過手段57の故障等により、後工程での品質チェックで生ゴムの品質が許容範囲外であると判定されたときには、主系統ラインを停止させて副系統ラインのみを作動させ、混合オイルの供給先をロータ軸20のシール機構24のみとすることもできる。このように、この実施形態では、ゴム混練機11のゴム混練室12またはロータ軸20のシール機構24の少なくともいずれか一方に濾過済み混合オイルを切換えて供給することができ、使用済みオイルを有効にリサイクルすることができる。
【0037】
次に、前記実施形態1の作用について説明する。
今、投入口14からゴム混練機11内に投入された生ゴムが逆方向に回転している一対のロータ19(翼21)により混練されているとする。このとき、主、副高圧ポンプ59、86から供給孔34、32を通じてリサイクルされたプロセスオイル、潤滑オイルが次々とゴム混練機11に供給されているが、これらプロセスオイル、潤滑オイルの半分以上は通常、生ゴムに混入して消費されるものの、その一部はシール機構24から漏洩流出し、不純物を多く含んだ使用済みオイルとなるが、このような使用済みオイルは受け皿36によって受け取られた後、回収タンク38に回収される。このようにして回収タンク38に回収された使用済みオイルは、制御弁43、71により流量制御されながら主、副混合タンク40、70に分配供給されるが、このとき、新鮮オイル源46から未使用の新鮮オイルも制御弁48、74により流量制御されながら前記主、副混合タンク40、70に分配供給される。
【0038】
なお、このとき、主混合タンク40に供給される新鮮オイルの量は、主高圧ポンプ59からゴム混練機11に供給されるプロセスオイル量から、前記主混合タンク40に供給される使用済みオイルの量を減算した量と同量であり、また、副混合タンク70に供給される新鮮オイルの量は、副高圧ポンプ86からゴム混練機11に供給される潤滑オイル量から、前記副混合タンク70に供給される使用済みオイル量を減算した量と同量である。このようにして主混合タンク40に供給された使用済みオイル、新鮮オイルは主加熱手段66により加熱されながら攪拌羽根49の回転により攪拌されて均一に混合され、一方、副混合タンク70に供給された使用済みオイル、新鮮オイルは副加熱手段92により加熱されながら攪拌羽根75の回転により攪拌されて均一に混合され、混合オイルとなる。
【0039】
その後、前記混合オイルは油圧ポンプ56、81の作動により主、副混合タンク40、70から主、副濾過手段57、82にそれぞれ送られる。これにより、混合オイルに含まれる不純物は粒径の大きなものから前記主濾過手段57の第1、第2、第3フィルター57a、57b、57cによって順次濾過除去され、一方、混合オイルに含まれる不純物は粒径の大きなものから前記副濾過手段82の第1、第2、第3フィルター8282a、82b、82cによって順次濾過除去され、再使用に耐える程度まで不純物が除去される。
【0040】
ここで、主、副濾過手段57、82に供給される混合オイルは共に、前述のように使用済みオイルに新鮮オイルが注ぎ足されることで希釈化されたものであるため、オイルに対する不純物の割合が低下する一方、主、副加熱手段66、92により加熱されているため、温度が上昇している。このようなことからいずれの混合オイルも粘度が低くなるとともに、不純物による主、副濾過手段57、82の目詰まりが遅延され、この結果、主、副濾過手段57、82の濾過面積を増大させることなく主、副濾過手段57、82の寿命を容易に長くすることができる。
【0041】
このようにして濾過が施された混合オイルは、その後、主、副供給タンク52、79にそれぞれ供給されるとともに、該主、副供給タンク52、79内において攪拌羽根53、84により攪拌されながら一時貯留される。これにより、前記主、副加熱手段66、92により加熱されて温度が上昇していた混合オイルは、主、副供給タンク52、79内において温度が常温程度まで低下する。その後、主、副供給タンク52、79内の混合オイルは制御弁62、87により流量が制御されながら主、副高圧ポンプ59、86に供給されるが、このとき、主、副高圧ポンプ59、86は前記混合オイルを高圧に加圧し、供給孔34を通じてゴム混練機11のゴム混練室12に、また、供給孔32を通じてゴム混練機11のシール機構24にそれぞれ供給し、リサイクルされたプロセスオイル、潤滑オイルとして再使用する。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明は、産業機械から流出した使用済みオイルをリサイクルして再び前記産業機械に使用する産業分野に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
11…産業機械 20…ロータ軸
24…シール機構 39…回収手段
51…混合手段 52…冷却手段
57…濾過手段 59…供給手段
66…加熱手段 77…副混合手段
82…副濾過手段 86…副供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械から流出した使用済みオイルを回収手段により回収する工程と、前記回収手段から供給された使用済みオイルと、未使用の新鮮オイルとを混合手段により混合する工程と、混合手段により混合された混合オイルを濾過手段により濾過する工程と、濾過手段によって濾過された濾過済みの混合オイルを供給手段により再び前記産業機械に供給する工程とを備えたことを特徴とする使用済みオイルのリサイクル方法。
【請求項2】
前記使用済みオイルと新鮮オイルであるプロセスオイルとの混合オイルを前記産業機械としての混練機のゴム混練室に供給可能とするとともに、使用済みオイルと新鮮オイルである潤滑オイルとの混合オイルを前記混練機のロータ軸のシール機構に供給可能としたとき、混合オイルの供給先をゴム混練室またはシール機構の少なくともいずれか一方に切換えることができるようにした請求項1記載の使用済みオイルのリサイクル方法。
【請求項3】
産業機械から流出した使用済みオイルを回収する回収手段と、前記回収手段から供給された使用済みオイルと、未使用の新鮮オイルとを混合する混合手段と、該混合手段により混合された混合オイルを濾過する濾過手段と、濾過手段によって濾過された濾過済みの混合オイルを再び前記産業機械に供給する供給手段とを備えたことを特徴とする使用済みオイルのリサイクル装置。
【請求項4】
前記混合手段により使用済みオイルと新鮮オイルとを混合しているとき、該使用済みオイルおよび新鮮オイルを加熱する加熱手段をさらに設けた請求項3記載の使用済みオイルのリサイクル装置。
【請求項5】
前記濾過手段と産業機械との間に混合オイルを冷却する冷却手段をさらに設けた請求項4記載の使用済みオイルのリサイクル装置。
【請求項6】
前記産業機械をゴムの混練を行う混練機から構成するとともに、新鮮オイルとしてプロセスオイルを用い、前記濾過済みの混合オイルを供給手段により混練機のゴム混練室にプロセスオイルとして供給するようにした請求項3記載の使用済みオイルのリサイクル装置。
【請求項7】
前記回収手段から供給された使用済みオイルと、未使用の新鮮オイルとしての潤滑オイルとを混合する副混合手段と、前記副混合手段により混合された混合オイルを濾過する副濾過手段と、副濾過手段によって濾過された濾過済み混合オイルを再び混練機のロータ軸のシール機構に供給する副供給手段とをさらに備え、前記混練機のゴム混練室またはロータ軸のシール機構の少なくともいずれか一方に濾過済み混合オイルを切換えて供給できるようにした請求項6記載の使用済みオイルのリサイクル装置。

【図1】
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【図2】
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