説明

例えば経皮送達デバイスなどのデバイスを駆動する、および/または制御するためのシステム、デバイス、および方法

能動型または電気駆動型経皮送達デバイスを駆動および/または制御するためのシステム、デバイス、および方法が、磁気カプラ要素と電池との間において鉄ディスクなどの磁場ブロッカを使用して、磁気カプラ要素による電池に対する悪影響を阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、例えば経皮送達デバイス(transdermal delivery device)などの医療デバイスなどのデバイスの駆動および/または制御に関する。
【背景技術】
【0002】
起電力を利用する医療デバイスが当技術分野においてよく知られている。例えば、イオントフォレーシス薬物送達デバイスは、起電力および/または電流を利用して、帯電した活性作用物質および/またはその賦形剤を収容するイオントフォレーシスチャンバに対して活性作用物質および/またはその賦形剤と同様の小さな電荷を印加することによって、生体界面(例えば皮膚および粘膜等々)に活性薬物(例えば帯電物質、イオン化化合物、イオン性薬物、治療物質、および生物活性作用物質等々)を移送する。
【0003】
イオントフォレーシスデバイスは、典型的には、作用電極アセンブリおよび対電極アセンブリを備え、これらはそれぞれ、反対の極に、または例えばリード線を介してイオントフォレーシスデバイスに接続された化学電池もしくは外部発電所などの電源の反対の端子に連結される。各電極アセンブリは、典型的には、起電力および/または電流を印加するために、それぞれの電極要素を備える。かかる電極要素は、しばしば、例えば銀または塩化銀などの犠牲成分または犠牲化合物を含む。活性作用物質は、陽イオン性または陰イオン性のものであってよく、電源は、活性作用物質の極性に基づいて適切な電圧極性を印加するように構成されてよい。イオントフォレーシスは、有利には、活性作用物質の送達速度を向上させるまたは制御するために利用されてよい。活性作用物質は、空洞部などの貯留槽内に収容されてよい。あるいは、活性作用物質は、多孔性構造体またはゲルなどの貯留槽内に収容されてよい。イオン交換膜が、活性作用物質貯留槽と生体界面との間において極性選択障壁としての役割を果たすように位置決めされてよい。典型的には特定の1つのタイプのイオン(例えば帯電した活性作用物質)に対してのみ透過性を有する膜が、皮膚または粘膜からの逆に帯電したイオンの逆流を防止する。
【0004】
イオントフォレーシスデバイスが商業的に受け入れられるか否かは、製造コスト、保管寿命、保管の間の安定性、活性作用物質送達の効率性および/または適時性、生物学的性能、および/または処分の問題などの、様々な要因によって決まる。さらに、イオントフォレーシスデバイスの商業的な受入れは、その多用性および使用の容易性によっても左右される。したがって、イオントフォレーシスデバイスを駆動するための新規のアプローチを取ることが望ましい場合がある。
【0005】
本開示は、上述の短所の中の1つまたは複数を克服し、さらに関連する利点をもたらすことを対象とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2004/317317号
【特許文献2】米国特許出願第10/488970号明細書
【特許文献3】米国特許仮出願第60/627,952号明細書
【特許文献4】米国特許出願第11/947667号明細書
【特許文献5】米国特許仮出願第60/868,317号明細書
【特許文献6】米国特許仮出願第60/949,810号明細書
【発明の概要】
【0007】
少なくとも1つの実施形態が、電位を生じさせるように選択的に作動可能な少なくとも1つの電極を備え、かつ磁気カプラの少なくとも第1の要素を備える、第1の部分と、少なくとも1つの電池を備え、かつ磁気カプラの少なくとも第2の要素を備える、第2の部分であって、磁気カプラの第2の要素は、磁気カプラの第1の要素と相補的であり、医療デバイスの第2の部分は、磁気カプラの第1の要素と第2の要素との間における磁気相互作用により、医療デバイスの第1の部分に、選択的に取外し可能な態様で磁気により連結可能である、第2の部分と、第1の部分または第2の部分の一方により物理的に担持される鉄要素とを備え、第1の要素または第2の要素の少なくとも一方が、磁石であり、鉄要素は、電池と磁石との間に物理的に位置決めされて、電池から離れる方向に磁石の磁束を配向する、医療デバイスとして約言され得る。磁気カプラの第2の要素は、磁石であってよく、磁気カプラの第1の要素は、鉄金属であってよい。磁気カプラの第2の要素は、磁石であってよく、磁気カプラの第1の要素は、別の磁石であってよく、医療デバイスの第2の部分が、医療デバイスの第1の部分に磁気により連結される場合には、2つの磁石の相反する磁極が、互いに向き合う。磁気カプラの第1の要素は、磁石であってよく、磁気カプラの第2の要素は、鉄金属または別の磁石の一方であってよい。
【0008】
第2の部分は、第1の部分の少なくとも1つの電極にて生成される電位を制御するように構成された制御回路をさらに備えてよい。
【0009】
第1の部分は、活性作用物質貯留槽をさらに備えてよく、この活性作用物質貯留槽は、第1の部分の少なくとも1つの電極にて生成される電位が活性物質貯留槽から活性作用物質を追いやるように位置決めされる。電池は、ディスク形状であってよく、鉄要素は、ディスク形状であってよい。鉄要素の直径は、少なくとも電池の直径にほぼ等しくてよい。磁石は、ディスク形状であってよく、鉄要素の直径は、磁石の直径よりも大きくてよい。医療デバイスの第1の部分または第2の部分の少なくとも一方が、非鉄スペーサを備えてよく、この非鉄スペーサは、鉄要素と電池との間に位置決めされる。磁石は、少なくとも1つの永久磁石の形態をとってよい。この少なくとも1つの永久磁石は、高エネルギー可撓性磁石、ネオジム磁石、セラミック磁石、サマリウムコバルト磁石、またはアルニコ磁石の中の少なくとも1つであってよい。
【0010】
第1の部分は、第1の電気接触子および第2の電気接触子をさらに備えてよく、第2の部分は、相補的な第1の電気接触子および相補的な第2の電気接触子を備えてよく、医療デバイスの第2の部分が医療デバイスの第1の部分に磁気により連結される場合に、第1の相補的な電気接触子が第1の電気接触子と導電接続状態となり、第2の相補的な電気接触子が第2の電気接触子と導電接続状態となるように、第1の電気接触子および第2の電気接触子は、磁気カプラの第1の要素に対して位置決めされ、相補的な第1の電気接触子および相補的な第2の電気接触子は、磁気カプラの第2の要素に対して位置決めされる。
【0011】
少なくとも1つの実施形態が、電池を保持するように構成された電池ホルダと、電池ホルダに物理的に連結され、電池ホルダの近位に位置決めされる、第1の連結磁石と、電池ホルダと第1の連結磁石との間に位置決めされて、電池ホルダから離れる方向に第1の連結磁石の磁束を配向する、鉄要素とを備える装置として、約言され得る。
【0012】
この装置は、鉄要素と電池ホルダとの間に位置決めされる非鉄スペーサをさらに備えてよい。
【0013】
この装置は、電池から送達される電流または電圧の少なくとも一方を制御するために連結された制御回路をさらに備えてよい。
【0014】
この装置は、電池ホルダ内に受けられた電池をさらに備えてよい。この装置は、第1の連結磁石により別のデバイスに磁気により連結可能な着脱式電源であってよい。
【0015】
この装置は、医療デバイスであってよく、電池に連結された場合に電位を生じさせるように作動可能な少なくとも1つの電極をさらに備えてよい。
【0016】
この医療デバイスは、経皮的活性作用物質送達デバイスであってよく、活性作用物質を収容する少なくとも1つの活性作用物質貯留槽をさらに備えてよい。活性作用物質を収容する少なくとも1つの活性作用物質貯留槽は、電池ホルダを担持する第2の部分に着脱自在に装着可能であってよい第1の部分によって担持されてよい。
【0017】
この装置は、装置の外部からアクセス可能な少なくとも2つの電気接触子であって、電池が電池ホルダにより保持される場合に電池と電気接続状態となる少なくとも2つの電気接触子をさらに備えてよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面においては、同一の参照番号が、同様の要素または行為を指す。図面における要素のサイズおよび相対位置は、必ずしも縮尺どおりではない。例えば、種々の要素の形状および角度は、縮尺どおりではなく、これらの要素の中のいくつかは、図の明瞭化を高めるために任意に拡大および位置決めされる。さらに、図示されるようなこれらの要素の特定の形状は、その特定の要素の実際の形状に関する情報を伝えるように意図されるものではなく、もっぱら図面中における認識の容易化のために選択されたものである。
【図1】1つの例示的な実施形態による、活性作用物質送達構成要素および別個の可搬式電力供給システムを備える、電気的に駆動または活性化される経皮送達デバイス(以下、電気駆動型または能動型経皮送達デバイス)の等角図である。
【図2】可搬式電力供給システムが活性作用物質送達構成要素から離間された状態の、図1の電気駆動型または能動型経皮送達デバイスの断面図である。
【図3】1つの例示的な実施形態による、可搬式電力供給システムの分解図である。
【図4】3つのプロトタイプ可搬式電力供給システムに関する電池放電特性を示すグラフである。
【図5】磁束ブロック要素およびスペーサの様々な厚さに関する磁束の配向性を示すグラフである。
【図6】1つの例示的な実施形態による、電気駆動型または能動型経皮送達デバイスの機能的ブロック図である。
【図7】1つの例示的な実施形態による、可搬式電力供給システムのための回路の電気的概略図である。
【図8】1つの例示的な実施形態による、可搬式電力供給システムのための回路の電気的概略図である。
【図9】1つの例示的な実施形態による、作用電極アセンブリおよび対電極アセンブリを備える経皮送達デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明には、種々の開示される実施形態の十分な理解を促すために、いくつかの特定的な詳細が含まれる。しかし、これらの特定の詳細の中の1つまたは複数を伴わずに、または他の方法、構成要素、材料等々を用いて、実施形態を実施し得ることが、当業者には理解されよう。他の例においては、実施形態の説明を不要に曖昧なものにするのを避けるために、電圧調整器および/または電流調整器を含む(しかしそれらに限定されない)電気駆動型経皮送達デバイスに付随するよく知られている構造体は、詳細には示しておらず、または説明していない。
【0020】
コンテクストにより他の解釈が必要とならない限り、以下の明細書および特許請求の範囲全体を通じて、「備える」という語および「備えている」などのその変異語は、「含むがそれに限定されない」のように、オープンで包括的な意味において解釈されるべきである。
【0021】
「一実施形態」または「1つの実施形態」または「別の実施形態において」という言及は、本明細書全体を通じて、その実施形態に関連して説明されるある特定の参照構成体、構造体、または特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて様々な箇所に現れる「一実施形態において」または「1つの実施形態において」または「別の実施形態において」という語句は、全てが同一の実施形態を必ずしも指すわけではない。さらに、それらの特定の参照構成体、構造体、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な態様にて組み合わされてもよい。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される際に、「1つの(a、an)」および「その(the)」という単数形は、コンテクストにおいて別様に明示されない限り、複数の参照を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、「1つの電源」を備える電気駆動型デバイスという言及は、1つの電源、または2つ以上の電源を含む。また、「または」という語は、コンテクストにおいて別様に明示されない限り、「および/または」を含む意味において概して使用されることにも留意すべきである。
【0023】
本明細書において使用される際に、「膜(membrane)」という用語は、透過性であってもまたはなくてもよい、境界、層、障壁、または材料を意味する。さらに、「膜」という用語は、界面を指す場合がある。別様に明示されない限り、膜は、固体、液体、またはゲルの形態をとってよく、明確な格子、非架橋構造、または架橋構造を有してもまたは有さなくてもよい。
【0024】
本明細書において使用される際に、「イオン選択膜」という用語は、あるイオンを通す一方で他のイオンの通過を妨げる、イオンに対して実質的に選択性を有する膜を意味する。例えば、あるイオン選択膜が、電荷選択膜の形態をとってもよく、または半透過膜の形態をとってもよい。
【0025】
本明細書において使用される際に、「電荷選択膜」という用語は、イオンが帯びる極性または電荷に主に基づいて、イオンを実質的に通過させるおよび/または実質的に阻止する膜を意味する。電荷選択膜は、典型的には、イオン交換膜を指し、これらの用語は、本明細書および特許請求の範囲において互換的に使用される。電荷選択膜またはイオン交換膜は、カチオン交換膜、アニオン交換膜、および/または両極性膜の形態をとってよい。カチオン交換膜は、陽イオンの通過を実質的に許容し、そして陰イオンを実質的に阻止する。市販のカチオン交換膜の例には、NEOSEPTA、CM−1、CM−2、CMX、CMS、およびCMBの識別名で株式会社トクヤマから入手可能なものが含まれる。それに対して、アニオン交換膜は、陰イオンの通過を実質的に許容し、そして陽イオンを実質的に阻止する。市販のアニオン交換膜の例には、NEOSEPTA、AM−1、AM−3、AMX、AHA、ACH、およびACSの識別名でやはり株式会社トクヤマから入手可能なものが含まれる。
【0026】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「両極性膜」という用語は、2つの異なる電荷または極性に対して選択性を有する膜を意味する。別様に明示しない限り、両極性膜は、一体膜構造体、複数膜構造体、または積層体の形態をとってよい。一体膜構造体は、カチオンイオン交換材料またはカチオンイオン交換基を含む第1の部分と、アニオンイオン交換材料またはアニオンイオン交換基を含む、第1の部分の対向側の第2の部分とを備えてよい。複数膜構造体(例えば2フィルム構造体)は、アニオン交換膜に積層されるかまたは別様に連結されるカチオン交換膜を備えてよい。カチオン交換膜およびアニオン交換膜は、初めは異なる構造体として出発し、結果的に得られる両極性膜の構造体においてはそれらの識別性を保持してもまたは保持しなくてもよい。
【0027】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「半透過性膜」という用語は、イオンのサイズまたは分子量に基づき実質的に選択性を有する膜を意味する。したがって、半透過性膜は、第1の分子量またはサイズのイオンを実質的に通す一方で、第1の分子量またはサイズよりも大きな第2の分子量またはサイズのイオンの通過を実質的に阻止する。いくつかの実施形態においては、半透過性膜は、第1の速度でのある分子の通過を許容し、第1の速度とは異なる第2の速度での他のある分子の通過を許容してよい。さらに他の実施形態においては、「半透過性膜」は、いくつかの選択された分子のみの通過を許容する選択的透過性膜の形態をとってよい。
【0028】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「多孔性膜」という用語は、当該のイオンに対して実質的に選択性を有さない膜を意味する。例えば、ある多孔性膜は、極性に基づく選択性を実質的に有さず、対象となる成分または化合物の分子量またはサイズに基づく選択性を実質的に有さないものである。
【0029】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「ゲルマトリクス」という用語は、三次元網状構造体、固体中の液体のコロイド懸濁液、半固体、架橋ゲル、非架橋ゲル、およびゼリー様状態等々の形態をとる、あるタイプの貯留槽を意味する。いくつかの実施形態においては、ゲルマトリクスは、絡み合った巨大分子(例えば円柱状ミセル)の三次元網状構造体から得られるものであってよい。いくつかの実施形態においては、ゲルマトリクスは、ヒドロゲルおよびオルガノゲル等々を含んでよい。ヒドロゲルは、例えばゲルの形態をとり水から実質的に構成される架橋親水性ポリマーなどの三次元網状構造体を指す。ヒドロゲルは、正味の正電荷または負電荷を有してよく、または中性であってもよい。
【0030】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「貯留槽」という用語は、液体状態、固体状態、気体状態、混合状態、および/または遷移状態において、成分、化合物、医薬組成物、および活性作用物質等々を保持するための、任意の形態の機構を意味する。例えば、別様に明示しない限り、貯留槽は、ある構造体により形成される1つまたは複数の空洞部を備えてよく、少なくとも一時的に成分または化合物を保持することが可能なものである限りにおいて、1つまたは複数のイオン交換膜、半透過性膜、多孔性膜、および/またはゲルを含んでよい。典型的には、貯留槽は、起電力および/または電流によって生体界面内に放出するまで、生物学的活性作用物質を保持する役割を果たす。さらに、貯留槽は、電解質溶液を保持してもよい。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「活性作用物質」という用語は、例えば魚類、哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類、およびヒトなどを含む、任意の宿主、動物、脊椎動物、または無脊椎動物からの生物学的反応を引き出す、化合物、分子、または治療物質を指す。活性作用物質の例には、治療作用物質、医薬作用物質、薬剤(例えば薬物、治療用化合物、および医薬用塩等々)、非薬剤(例えば美容物質等々)、ワクチン、免疫作用物質、局所麻酔剤または全身麻酔剤または鎮痛剤、インスリンなどの抗原またはタンパクまたはペプチド、化学療法作用物質、抗腫瘍作用物質が含まれる。
【0032】
いくつかの実施形態においては、「活性作用物質」という用語は、活性作用物質、ならびにその薬理学的活性塩、薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、および類縁体等々を指す。いくつかの他の実施形態においては、活性作用物質には、少なくとも1つのイオン性、陽イオン性、イオン化性、および/または中性の薬物、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が含まれる。さらに他の実施形態においては、活性作用物質は、水性媒質中で正帯電するおよび/または正電荷を生じさせることが可能な、1つまたは複数の「陽イオン活性作用物質」を含んでよい。例えば、多数の生物学的活性作用物質が、陽イオンに容易に転換可能であるか、または水性媒質中で正帯電イオンおよび対イオンに解離することが可能な、官能基を有する。他の活性作用物質が、分極されるかまたは分極可能であってよく、すなわちある部分が別の部分に対してある極性を帯びてよい。例えば、アミノ基を有する活性作用物質が、典型的には、固体状態においてはアンモニウム塩の形態をとり、適切なpHの水性媒質中において遊離アンモニウムイオン(NH4+)へと解離することが可能である。
【0033】
さらに、「活性作用物質」という用語は、電気浸透流により送達され得る電気的に中性の作用物質、分子、または化合物を指す。この電気的に中性の作用物質は、典型的には、例えば電気泳動の際の溶媒などの流れにより運ばれる。したがって、適切な活性作用物質の選択は、当業者の知識の範囲内のものである。
【0034】
いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の活性作用物質は、鎮痛薬、麻酔剤、麻酔剤ワクチン、抗生剤、アジュバント、免疫学的アジュバント、免疫原、寛容原、アレルゲン、トール様受容体アゴニスト、トール様受容体アンタゴニスト、免疫アジュバント、免疫調節薬、免疫反応作用物質、免疫刺激物質、特異的免疫刺激物質、非特異的免疫刺激物質、および免疫抑制薬、またはそれらの組合せから選択されてよい。
【0035】
かかる活性作用物質の非限定的な例には、リドカイン、アルチカイン、および−カイン類の他のもの;モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニル、オキシコドン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、メタドン、および同様のオピオイドアゴニスト;コハク酸スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタンHCl、安息香酸リザトリプタン、リンゴ酸アルモトリプタン、コハク酸フロバトリプタン、および他の5−ヒドロキシトリプタミン1受容体サブタイプアゴニスト;レシキモド、イミキモド、ならびに同様のTLR7およびTLR8のアゴニストおよびアンタゴニスト;ドンペリドン、塩酸グラニセトロン、オンダンセトロン、およびかかる鎮吐剤;酒石酸ゾルピデム、および同様の睡眠剤;L−ドーパ、および他の抗パーキンソン病薬;アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、クロザピン、およびジプラシドン、ならびに他の精神安定剤;エクセナチドなどの糖尿病薬物;ならびに肥満および他の疾患を治療するためのペプチドおよびタンパクが含まれる。
【0036】
活性作用物質の他の非限定的な例には、アンブカイン、アメトカイン、p−アミノ安息香酸イソブチル、アモラノン、アモキセカイン、アミロカイン、アプトカイン、アザカイン、ベンカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、N,N−ジメチルアラニルベンゾカイン、N,N−ジメチルグリシルベンゾカイン、グリシルベンゾカイン、β−アドレナリン受容体アンタゴニストベトキシカイン、ブメカイン、ブピバカイン、レボブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、メタブトキシカイン、カルビゾカイン、カルチカイン、セントブクリジン、セパカイン、セタカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、プソイドコカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジクロニン、エコグニン、エコゴニジン、アミノ安息香酸エチル、エチドカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォモカイン、ヘプタカイン、ヘキサカイン、ヘキソカイン、ヘキシルカイン、ケトカイン、ロイシノカイン、レボキサドロール、リグノカイン、ロツカイン、マーカイン、メピバカイン、メタカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ネパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセタゼイン、パレントキシカイン、ペンタカイン、フェナシン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、ポリカイン、プリロカイン、プラモキシン、プロカイン(NOVOCAINE(登録商標))、ヒドロキシプロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、カタカイン、リノカイン、リソカイン、ロドカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、ヒドロキシテトラカイン、トリカイン、トラペンカイン、トリカイン、トリメカイントロパコカイン、ゾラミン、それらの薬学的に許容可能な塩、およびそれらの混合物が含まれる。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「被術対象」という用語は、概して、任意の宿主、動物、脊椎動物、または無脊椎動物を指し、魚類、哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類、および特にヒトを含む。
【0038】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「アゴニスト」という用語は、受容体(例えばオピオイド受容体およびトール様受容体等々)と結合して細胞性応答を生じさせることが可能な化合物を指す。アゴニストは、受容体と直接的に結合するリガンドであってよい。あるいは、アゴニストは、受容体と直接的に結合する、または受容体に直接的に結合するように化合物の修飾をもたらす別の分子と共に複合体を形成することによって、受容体と間接的に結合してよい。
【0039】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「アンタゴニスト」という用語は、受容体(例えば、オピオイド受容体およびトール様受容体等々)と結合して細胞性応答を抑制することが可能な化合物を指す。アンタゴニストは、受容体と直接的に結合するリガンドであってよい。あるいは、アンタゴニストは、受容体と直接的に結合する、または受容体に直接的に結合するように化合物の修飾をもたらす別の分子と共に複合体を形成することによって、受容体と間接的に結合してよい。
【0040】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「有効量」または「治療的有効量」という用語は、所望の成果を達成するために必要な投与量および期間において有効である量を含む。医薬作用物質を含有する組成物の有効量は、被術対象の病状、年齢、性別、および体重などの要因により様々であってよい。
【0041】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「鎮痛薬」という用用語は、被術対象の身体のある部位における神経感覚を減少、緩和、低減、軽減、または消滅させる作用物質を指す。いくつかの実施形態においては、この神経感覚は、疼痛に関し、他の態様においては、この神経感覚は、不快感、掻痒感、灼熱、過敏、刺痛、「爬行感」、引っ張り感、温度変動(例えば発熱)、炎症、疼き、またはその他の神経感覚に関する。
【0042】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「麻酔剤」という用語は、被術対象の身体のある部位における感覚の可逆的喪失をもたらす作用物質を指す。いくつかの実施形態においては、この麻酔剤は、被術対象の身体の一特定部位のみにおいて感覚の喪失をもたらす点において「局所麻酔剤」とみなされる。
【0043】
当業者には理解されるであろうが、いくつかの作用物質は、周囲環境およびその他の変数(投与量、送達方法、病状または医学的処置、および個々の被術対象の遺伝的素質を含むがこれらに限定されない)に応じて、鎮痛薬および麻酔剤の両方として作用してよい。さらに、典型的には他の目的のために用いられる作用物質が、ある周囲環境またはある条件の下では、局所麻酔特性または膜安定化特性を有してよい。
【0044】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「免疫原」という用語は、免疫反応を引き出す任意の作用物質を指す。免疫原の例には、天然または合成(修飾を含む)のペプチド、タンパク、脂質、オリゴヌクレオチド(RNA、DNA、等々)、化学物質、または他の作用物質が含まれるが、それらに限定されない。
【0045】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「アレルゲン」という用語は、アレルギー性反応を引き出す任意の作用物質を指す。アレルゲンのいくつかの例には、化学物質および植物、薬物(抗生物質、血清など)、食物(ミルク、小麦、卵、等々)、細菌、ウイルス、他の寄生生物、吸入因子(埃、花粉、芳香物質、煙)、および/または物理的外因(熱、光、摩擦、放射線)が含まれるが、それらに限定されない。本明細書中で使用される際に、アレルゲンは免疫原であってよい。
【0046】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「アジュバント」という用語およびその任意の派生物は、別の作用物質の効果を修正する一方で、それ自体が投与される際に仮にあるにしてもわずかにしか直接的な効果を有さない作用物質を指す。例えば、アジュバントが、薬剤の効能または効力を増大させてよく、または、アジュバントが、免疫反応を変えるかまたはそれに影響を及ぼしてよい。
【0047】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「オピオイド」という用語は、オピオイド受容体と結合するおよび/または相互作用する任意の作用物質を概して指す。オピオイド類の中でもとりわけ、例としては、内因性オピオイドペプチド、アヘンアルカロイド(例えばモルヒネおよびコデイン等々)、半合成オピオイド(例えばヘロインおよびオキシコドン等々)、合成オピオイド(例えばブプレノルフィンメペリジン、フェンタニル、モルフィナン、およびベンゾモルファン誘導体等々)、およびアヘンアルカロイドと関連しない構造を有するオピオイド(例えばペチジンおよびメタドン等々)が含まれる。
【0048】
本明細書および特許請求の範囲において使用される際に、「賦形剤」、「担体」、「医薬賦形剤」、「医薬担体」、「薬学的に許容可能な賦形剤」、または「薬学的に許容可能な担体」という用語は、互換的に用いられ、通常は医薬組成物を製造するために製薬産業において使用される、薬学的に許容可能な固体または液体の、希釈または封入するための賦形作用物質または担持作用物質を指し得る。賦形剤の例には、被術対象との接触において使用するのに適した、任意の液体、ゲル、軟膏、クリーム、溶剤、希釈剤、流体軟膏基剤、小胞、リポソーム、ニソーム、エタソーム、トランスフェルソーム、ウィロソーム、非イオン性界面活性作用物質小胞、リン脂質界面活性作用物質小胞、およびミセル等々が含まれる。
【0049】
いくつかの実施形態においては、医薬賦形剤は、薬理学的活性作用物質を含むおよび/または送達するが、他の面では薬理学的に不活性であると一般的にみなされる組成物を指してよい。いくつかの他の実施形態においては、医薬賦形剤は、粘膜または皮膚などの部位に適用された場合に、例えば損傷、高度損傷、またはある成分への曝露などの条件から適用部位を保護することなどによって、ある治療的効果を有してよい。したがって、いくつかの実施形態においては、医薬賦形剤は、その調合物中の薬理作用物質を用いずに保護を行なうために使用されてよい。
【0050】
本明細書において使用される表題は、便宜上のものにすぎず、実施形態の範囲または趣旨を説明するものではない。
【0051】
図1および図2は、1つの例示的な実施形態による電気駆動型または能動型経皮送達デバイス10(例えばイオントフォレーシス式、エレクトロポレーション式、電気泳動式、等々のタイプの送達デバイス)を示す。
【0052】
電気駆動型または能動型経皮送達デバイス10は、2つの別個の部分、すなわち活性作用物質送達構成要素12と、活性作用物質送達構成要素12に電力を供給するように選択的に連結可能であり、活性作用物質送達構成要素12から選択的に連結解除可能である可搬式電力供給システム14とを備える。この電気機械インターフェースは、電子機器(すなわち可搬式電力供給システム14)を経皮パッチ(すなわち活性作用物質送達構成要素12)から独立させることにより、それらがそれぞれ別個に製造され得るようにする。
【0053】
活性作用物質送達構成要素12は、生体被術対象において治療的効果をもたらし得る1つまたは複数の活性作用物質16(図2)を、1つまたは複数の活性作用物質貯留槽18(図2)内に収容した状態で収容または別様に担持する。活性作用物質送達構成要素12の1つまたは複数の電極20a(図2)を介して印加される電位を使用することにより、活性作用物質16を送達することができ、または送達を促進することができる。活性作用物質送達構成要素12は、例えば、パッチの形態をとってよい。活性作用物質送達構成要素12は、1つまたは複数の対貯留槽22(図2)および/または対電極20b(図2)を備えてよく、この対電極20bは、活性作用物質16の極性とは逆の極性を有するイオンを受領する。活性作用物質送達構成要素12は、典型的には、生物学的実体の生物学的界面(例えば皮膚、粘膜)上に直接的にまたは間接的に接触した状態で配置される。したがって、活性作用物質送達構成要素12は、典型的には、1度使用すると処分される。
【0054】
活性作用物質送達構成要素12は、磁気カプラの少なくとも1つのカプラ要素24a(図2)(集合的には24)を備える。カプラ要素24aは、磁石または鉄要素の形態をとってよい。
【0055】
活性作用物質送達構成要素12は、活性作用物質送達構成要素12上における可搬式電力供給システム14の正確な位置決めを容易にする位置決め構造体26を備えてよい。これは、例えばリッジまたはリップの形態をとってよい。
【0056】
活性作用物質送達構成要素12は、可搬式電力供給システム14の各電気連結構造体30a、30b(集合的には30)との電気的接続を可能にする、1つまたは複数の電気連結構造体28a、28b(集合的には28)を備えてよい。電気連結構造体28、30の例には、可搬式電力供給システム10と活性作用物質送達構成要素12との間で電力を効果的に伝達するように互いに位置決めされる、または位置決めされ得る、1つまたは複数の接触子、リード線、端子、有極連結要素、マルチピンコネクタ、DINコネクタ、有極マルチピンコネクタ、円形コネクタ、スロットタイプインタコネクタ、誘導子、およびプレート等々が含まれ得る。電力の伝達は、例えば電気的、導電的、または容量結合的に行なわれてよく、または誘導的に行なわれてもよい。誘導的なものである場合には、可搬式電力供給システム10および活性作用物質送達構成要素12のそれぞれは、1つまたは複数の巻線(例えば一次巻線および二次巻線のそれぞれ)を担持してよく、これらの巻線は、可搬式電力供給システム10から活性作用物質送達構成要素12に電力を誘導的に伝達するように互いに位置決めされ得る。かかる実施形態においては、可搬式電力供給システム10は、電源30からのDC電流を巻線に供給するために交流電流に変換するように構成されたインバータ(例えばスイッチモードインバータ)を備えてよい。かかる実施形態においては、活性作用物質送達構成要素12は、AC電流を、電極に所望の電位を印加するのに適したDC電流に整流するように構成された、整流器(例えばダイオードブリッジ)を備えてよい。
【0057】
電気連結構造体28a、28bは、例えば、正電荷接触子および負電荷接触子を備えてよく、電気連結構造体30a、30bは、同様に、正電荷接触子および負電荷接触子を備えてよい。いくつかの実施形態においては、電気連結構造体28、30の間の間隔、および/または電気連結構造体28、30のジオメトリにより、可搬式電力供給システム10が磁気カプラ24によって活性作用物質送達構成要素12に物理的に連結される際の短絡が防がれる。例えば、この例示的な実施形態においては、電気連結構造体28、30は、電気連結構造体28、30を全配向において適切に電気極性的に整列させる同心状ジオメトリパターンを形成する、電気トレースまたは電気接触子の形態をとる。さらに、電気連結構造体28、30の対により形成される同心状パターンは、ユーザに対して、可搬式電力供給システム10を活性作用物質送達構成要素12に連結する際の視覚的目標(例えば「照準点」)を与えることができる。
【0058】
可搬式電力供給システム10は、可搬式電力供給システム10を活性作用物質送達構成要素12に物理的に磁気により連結するための、1つまたは複数のカプラ要素24bを備えてよい。
【0059】
磁気カプラ24のカプラ要素24a、24bは、例えば1つまたは複数の永久磁石、1つまたは複数の鉄常磁性体、1つまたは複数の鉄の、強磁性の、もしくはフェリ磁性の要素またはコーティング、および/または複数の電磁石などの、様々な形態をとってよい。永久磁石には、高エネルギー可撓性磁石、ネオジム磁石、セラミック磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、および希土類磁石等々が含まれ得る。常磁性体(例えばアルミニウム、銅、リチウム、マグネシウム、モリブデン、白金、およびタンタル等々)は、典型的には、磁場に対して低い陽性の磁気感受性(1よりも高い相対透磁率)を有し、磁場(例えば磁石)に引き付けられる。強磁性体(例えばコバルト、鉄、ニッケル、ガドリニウム、および鋼等々)は、典型的には、磁場に対して高い陽性の磁気感受性(1よりも高い相対透磁率)を有し、磁場に引き付けられる。カプラ要素24a、24bは、互いに相補的であるべきである。すなわち、要素24a、24bは、例えば通常利用などの際に、活性作用物質送達構成要素12に対して可搬式電力供給システム14を保持することが可能であるべきである。例えば、カプラ要素24a、24bは、相対する磁極の磁石であってよく、または磁石および鉄材料であってもよい。
【0060】
したがって、いくつかの実施形態においては、電気駆動型または能動型経皮送達デバイス10は、電気供給部(可搬式電気供給システム10)および経皮パッチ(活性作用物質送達構成要素12)の対合表面上の2つの同心状電極接触子と、電気供給部および経皮パッチの両方内への希土類磁石の同軸配置とを利用してよい。これらの磁石は、対合部分を位置合わせし、保持力を生じさせる一方で、同心状接触子は、経皮パッチに対して電気供給部を配向する必要性を解消する。その結果、使用が簡単で容易なソリューションが得られる。
【0061】
可搬式電力供給システム14の種々の要素は、1つの例示的な実施形態による図3において、最もよく示されている。
【0062】
上述のように、可搬式電力供給システム14は、磁気カプラ24の少なくとも1つのカプラ要素24bを備える。いくつかの実施形態が、可搬式電力供給システム14の上において2つ以上のカプラ要素24b(例えば相対する磁極の)を使用してよく、これらにより、例えば、電気連結構造体28、30間において正確な電気磁性が確保され得る。磁気カプラ24により、活性作用物質送達構成要素12に対して可搬式電力供給システム14を磁気により選択的に解除可能に装着するおよび/または磁気により選択的に解除可能に連結することが可能となる。いくつかの実施形態においては、カプラ要素24a、24bは、電導性であってよく、さらに、電気連結構造体28、30のそれぞれとして機能してよい。
【0063】
さらに、可搬式電力供給システム14は、電源30を備える。電源30は、例えば1つまたは複数の蓄電池、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタ、または燃料電池などの、様々な形態をとってよい。例えば、電源30は、少なくとも1つの一次電池または二次電池の形態をとってもよい。さらに、例えば、電源30は、ボタン電池、コイン電池、アルカリ電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、亜鉛空気電池、およびニッケル金属水素化物電池等々の形態をとってよい。いくつかの実施形態においては、電源30は、少なくとも1つのプリント電池、エネルギー電池ラミネート、薄膜電池、およびパワーペーパ等々、またはそれらの組合せの形態をとる。
【0064】
さらに、可搬式電力供給システム14は、回路基板32aにより(すなわちその上または中に)担持され得る回路32を備えてよい。この回路は、電気連結構造体30a、30bに電源30を電気的に連結する。さらに、この回路は、以下においてさらに詳細に説明されるように、1つまたは複数の機能(例えば電圧および/または電流の調整、監視)を果たすように構成されてもよい。
【0065】
任意には、電力供給システム14は、電力供給システム14の様々な他の要素に対して環境的保護を与え、生体被術対象に対して保護(例えば電気絶縁および/または断熱)を与え得るカバー34を備えてよい。
【0066】
任意には、電力供給システム14は、電源ホルダ36を備えてよい。これは、製造を容易化して、回路32に対して電源30を容易に電気的に連結することが可能となる。いくつかの実施形態においては、電源ホルダ36により、例えば残りの充電量が不十分になった場合などに、電源30を交換することが可能となり得る。かかる実施形態においては、回路基板32aは、電源ホルダ36内の電源30を交換するためにカバー34の内部へのアクセスが可能となるように、カバー34に取外し可能な態様で取り付けられてよい。例えば、回路基板32aは、1つまたは複数のカプラ、固定具、摩擦嵌め構造体、ネジ連結構造体、バヨネット連結構造体、および溝中のリップまたはリム等々を使用して、カバー34に取外し可能な態様で取り付けられてよい。回路基板32aは、カバー34からの回路基板32aの取外しまたは係合解除を容易にするためのノッチ32b(図3中において1つだけが指定されている)を備えてよい。いくつかの実施形態においては、回路基板32は、カバー34からの回路基板32の取外しまたは係合解除を容易にするためのタブ(図示せず)を備えてよい。
【0067】
任意には、電力供給システム14は、カプラ要素ホルダ37を備えてよい。これは、製造を容易化して、回路32に対してカプラ要素24b(例えば磁石)を容易に物理的に連結することが可能となる。
【0068】
有利には、電力供給システム14は、磁束ブロッカ40を備える。磁束ブロッカ40は、例えば、鉄材料のディスクなどの鉄要素の形態をとってよい。磁束ブロッカ40は、カプラ要素24bと電源30との間に位置決めされて、磁束が電源30に悪影響を及ぼすのを防ぐ。磁束ブロッカ40は、少なくとも電源30またはカプラ要素24bの対応する側方向寸法以上の直径または他の側方向寸法を有してよい。磁束ブロッカ40は、電源30に対する悪影響を妨げるのに十分な磁束の阻止または方向転換を生じさせる厚さまたは他の長手方向寸法を有してよい。
【0069】
任意には、電力供給システム14は、磁束ブロッカ40と電源30との間に受けられるスペーサ42を備える。スペーサ42は、カプラ要素24bと電源30との間の距離を広げ、それにより電源30に対する磁束の悪影響をさらに低減させることができる。スペーサ42は、少なくとも電源30またはカプラ要素24bの対応する側方向寸法以上の直径または他の側方向寸法を有してよい。スペーサ42は、電源30に対する磁束の悪影響を緩和するのに十分な間隔を与える厚さまたは他の長手方向寸法を有してよい。
【0070】
電源の開発中に、プロトタイプが、ある保管寿命の限界を示した。2年以上が期待されるのに対して、化学電池電源を有する電気供給部の保管寿命は、2週間を殆ど超えなかった。一連の実験により、性能上のこの劣化が、強い磁場が化学電池電源の近傍に存在することに起因し得ることが明らかになった。電池製造業者へのその後の問い合わせにより、電池製造業者は、電池を磁場にさらした経験が殆どまたは全くなく、磁場にさらした場合に電池が劣化するという考え方には信頼性を与えられないことが判明した。一連の実験により、以下のことが証明された。1)イオントフォレーシス電気供給部内において見られるものと同様の磁場に2週間以上にわたってさらされた化学電池は、電池電圧および電池容量の両方において著しい劣化を示す。2)透磁性材料の使用により、磁束を電池から離れる方向に配向することが可能となり、それにより劣化の度合いを低減させることが可能となる。
【0071】
図4は、2週間の零入力電流後の複数の電力供給システムの電池放電特性を示すグラフである。第1の曲線50は、化学電池を有するが磁石を有さない電力供給システムの電池放電特性を示す。第2の曲線52は、化学電池および隣接する磁気カプラ要素を有するが磁場ブロッカおよびスペーサを有さない電力供給システムの電池放電特性を示す。第3の曲線54は、化学電池および磁気カプラ要素を有するが、化学電池と磁気カプラ要素との間に位置決めされた磁場ブロッカおよびスペーサを備える、電力供給システムの電池放電特性を示す。特に、第3の曲線54(磁場ブロッカおよびスペーサを備える)は、第1の曲線50(磁石が存在しない)に近似的に倣い、第2の曲線52(磁石が存在するが、磁場ブロッカまたはスペーサは存在しない)よりも著しく低い悪影響を示す。したがって、磁場ブロッカおよびスペーサは、磁石の磁場が化学電池に対して有する悪影響を低減させる、または解消することが可能である。理論に縛られるものではないが、磁場ブロッカは、磁場または磁束を科学電池から離れる方向に曲げるまたは「配向する」と考えられる。また、スペーサは、化学電池に対する磁場の強度を低減させると考えられる。
【0072】
表1は、種々の物理的構成についての磁場強度を測定するためにガウスメータを使用することにより実施された試験の梗概を示す。磁気ブロッカとして0.030インチ(0.762mm)厚の鉄ディスクを使用することにより、十分な成果が達成されたが、この製品については0.040インチ(1mm)が選択された。このより従来的なソリューションを選択する根本的理由は、以下の通りである。a)1mmは、容易に利用可能な標準的材料厚さである。b)所望の成果を達成するために1つの部分を使用することが好ましい場合がある。c)必要な場合には、デバイスの他の部分については細工に影響を与えることなく、0.030インチ(0.762mm)の厚さのディスクおよび0.010インチ(0.254mm)の不活性スペーサに戻ることが可能である。
【0073】
【表1】

【0074】
図5は、磁場ブロッカおよびスペーサの様々な厚さについての、磁場ブロッカ厚さ磁束のグラフを示す。
【0075】
第1の曲線56は、電池が存在しない場合の磁場の制御を表し、その配向性を示す。第2の曲線58は、スペーサが存在しない場合の厚さによる磁場ブロッカの影響を示す。第3の曲線60は、0.66インチ(16.8mm)のスペーサが存在する場合の厚さによる磁場ブロッカの影響を示す。第4の曲線62は、.25インチ(6.35mm)の厚さのスペーサが存在する場合の厚さによる磁場ブロッカの影響を示す。
【0076】
カプラ要素24bが磁石である場合に関して説明すると、磁石が、活性作用物質送達構成要素12により担持されるカプラ要素24aである場合には、磁場ブロッカおよびスペーサは、やはり有効である場合があり、有利である。
【0077】
図6および図7は、例示的な一実施形態による可搬式電力供給システム14を示す。
【0078】
可搬式電力供給システム14は、活性作用物質送達構成要素12(図1および図2)に送達される電圧、電流、および/または電力を制御するための、制御回路32の形態の制御システムを備えてよい。制御回路32は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)(図示せず)、特定用途向け集積回路(ASIC)(図示せず)、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)等々の、1つまたは複数の制御装置70を備えてよい。さらに、制御回路32は、1つまたは複数のバス76(例えばインストラクションバス、データバス、電力バス、等々)により制御装置(または複数の制御装置)70に連結される、例えばROM72およびRAM74等々の1つまたは複数のメモリを備えてよい。さらに、制御回路32は、1つまたは複数の入力デバイス78(例えばディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ、キー、ボタン、LCD、およびLED等々)を備えてよい。
【0079】
さらに、制御回路32は、電圧、電流、および/または電力を制御するためのディスクリート回路素子および/または集積回路素子80a、80b、80cを備えてよい。例えば、制御回路32は、活性作用物質送達構成要素12(図1および図2)の電極に一定の電流を供給するためにダイオードを備えてよい。いくつかの実施形態においては、制御回路32は、直流電流電圧を供給するための、および/または電圧/電流調整器として機能するための、整流回路素子を備えてよい。他の実施形態においては、制御回路32は、活性作用物質送達構成要素12(図1および図2)の定常作動位置するために、電圧を下げ、電圧を供給する。制御回路32は、電気接触子82を介して電源30からの電流を受領するように電気的に連結されてよい。いくつかの実施形態においては、制御回路32は、少なくとも第1の電流プロファイルを実現するように作動可能なプログラマブル制御回路の形態をとってよい。いくつかの実施形態においては、制御回路32は、複数の電流プロファイルを実現するように作動可能なプログラマブル制御回路の形態をとってよい。例えば、制御回路32は、被術対象の生体界面への1つまたは複数の活性作用物質の経皮送達に関する制御送達および持続送達等々に関与する少なくとも第1の電流プロファイルを実現するように作動可能であってよい。いくつかの実施形態においては、可搬式電力供給システム14は、約1分から約24時間までの範囲の期間にわたり、約10mA・分から約80mA・分までの範囲の電流を供給するように作動可能である。
【0080】
いくつかの実施形態においては、制御回路32は、処置管理データを記録、保存、伝送、受領、および/または検索するように構成される。例えば、制御回路32は、経皮送達デバイス情報を記録、保存、伝送、受領、および/または検索するように構成されてよい。いくつかの実施形態においては、制御回路32は、例えば保存されたデータコード、ユーザデータ、患者データ、および薬物送達デバイスデータ等々を含む、タグデータ(例えば無線認証(RFID)タグ)を照会するように構成されてよい。
【0081】
いくつかの実施形態においては、制御回路32は、履歴データ、ユーザデータ、および患者データ等々を保存および/または記録するように構成される。いくつかの実施形態においては、制御回路32は、送達デバイス(例えばイオントフォレーシス送達デバイスおよび経皮パッチ等々)情報を保存、記録、受領、および検索するために、タグデータを照会するために、データコードを保存するために、ユーザデータを記録するために、および患者データを記録する等々のために、RFIDタイプチップを備える。RFIDタイプチップは、例えば能動型RFIDタイプチップなどの形態をとってよく、可搬式電力供給システム14から電力を受領する。いくつかの実施形態においては、RFIDタイプチップは、例えばRFIDタイプチップのメモリ部分のみなどを使用して、受動型RFIDタイプチップの形態をとってもよい。いくつかの実施形態においては、RFIDタイプチップの一部分が、RFIDタイプチップのRF能力を使用せずに、メモリのために使用される。有利には、これは、RFIDなどの高容量アプリケーションのために作製された低コストチップを活用してよい。
【0082】
図7に図示されるように、いくつかの実施形態においては、制御回路32は、可搬式電力供給システム14が活性作用物質送達構成要素12に取外し可能に装着されるのに応答して自動的に閉じるように構成される。例えば、可搬式電力供給システム14と活性作用物質送達構成要素12との間において回路が完成すると閉じるスイッチ86aを備えてよい。さらにはまたは代替的には、いくつかの実施形態において、制御回路32は、活性作用物質送達構成要素12のカプラ要素24aが近位に位置するのに応答して自動的に閉じる(すなわち回路を完成させる)、磁気応答スイッチ86bを備えてよい。さらに、制御回路32は、制御回路32への電流の流れを選択的に制御するように作動可能な開始および/または停止スイッチ86cを備えてよい。スイッチ86cは、ドームスイッチ、メンブレンスイッチ、タクタイルスイッチ、使い捨て式ドームスイッチ、使い捨て式メンブレンスイッチ、および使い捨て式タクタイルスイッチ等々の形態をとってよい。
【0083】
いくつかの実施形態においては、制御回路32は、制御回路32が閉じられると開始される自己診断能力を備えてよい。
【0084】
いくつかの実施形態においては、制御回路32は、可搬式電力供給システム14が活性作用物質送達構成要素12に取外し可能に装着されるのに応答して、電源極性を検出し、活性作用物質送達構成要素12の正電気接触子および負電気接触子のそれぞれに適切な極性の電荷を供給するように作動可能であってよい。
【0085】
さらに、可搬式電力供給システム14は、例えば可搬式電力供給システム14が適切に作動していることをユーザに通知するためなどに、1つまたは複数のインジケータ(集合的には88)を備えてよい。1つまたは複数のインジケータ88の例には、視覚的フィードバック要素88a、88b(例えば緑色LEDおよび赤色LEDなどの発光ダイオードすなわちLED、およびディスプレイ等々)が含まれる。さらには、または代替的には、インジケータ88は、聴覚的フィードバック要素(図示せず)(例えばスピーカ)および/または触覚的フィードバック要素等々を含んでよい。
【0086】
いくつかの実施形態においては、可搬式電力供給システム14は、約25mm未満の最大寸法と、約10mm未満の最小寸法とを有する。いくつかの実施形態においては、可搬式電力供給システム14は、約2:1から約13:1までの範囲のアスペクト比を有する。
【0087】
図8は、1つの例示的な実施形態による制御回路32を示す。
【0088】
制御回路32は、複数の入力端子90、複数の出力端子92、入力端子90と出力端子92との間において連結される調整回路94、複数のインジケータD3〜D6、および制御装置U2を備える。
【0089】
入力端子90は、例えば化学蓄電池、電源30(図6および図7)に制御回路32を電気的に連結するための構造体を形成する。図示されるように、制御回路32は、第1の極性の3つの入力端子B1〜B3と、第2の極性の3つの入力端子M1〜M3とを備えてよい。これにより、電源30との良好な電気的接触が確保され得るが、いくつかの実施形態は、より少数のまたはより多数の入力端子を用いてもよい。
【0090】
出力端子92は、例えばイオントフォレーシスパッチなどの活性作用物質送達構成要素12(図1および図2)の電極に電力を供給するための構造体を形成する。先述のように、出力端子92は、各極性に対して第1の端子および第2の端子の一方を備えてよい。出力端子92は、例えば活性作用物質送達構成要素12に可搬式電力供給システム14を連結する場合などに、正確な極性が確実に維持されるように、構成され、形状設定され、および/または配置されてよい。例えば、出力端子92は、例えば内方パッドと、内方パッド28a、28b(図1)を囲む外方環状部またはリングとなどの、2つの同心状構造体として形成されてよい。いくつかの実施形態においては、内方パッドは、環状形状部またはリング形状部の形態をとってよいが、他の形状部も可能である。さらに、いくつかの実施形態においては、他方の構造体が、環状部またはリング以外の形状部であってよい。いくつかの実施形態においては、一方の出力端子92が、他方の出力端子92を実質的にまたは完全に囲んでよい一方で、他の実施形態においては、一方の出力端子92が、他方の出力端子92を部分的にのみ囲んでよく、または部分的にも囲まなくてもよい。
【0091】
調整回路94は、例えば以下において詳細に説明されるように、出力端子92における電流およびまた電圧を調節または維持するように作動可能な電力変換器96を備える。電力変換器96は、例えばスイッチモード電力変換器などの、電流調整器、ブーストコンバータ、バックコンバータ、またはそれらのいくつかの組合せの形態をとってよい。図示されるように、調整回路94は、例えば接地に誘導子L1を選択的に連結するように作動可能なスイッチQ1の入力端子と出力端子との間において連結される誘導子L1などによって形成される、ブーストコンバータの形態をとってよい。図8に図示される実施形態においては、スイッチQ1は、ゲート、ドレイン、およびソースを有するトランジスタの形態をとってよい。
【0092】
制御回路32は、極性が反転する場合の損傷を防ぐために、ショットキーダイオードD1を備えてよい。制御回路32は、出力電圧が所望のレベルを超過するのを防ぐために、接地に連結されたツェナーダイオードD7を備えてよい。さらに、制御回路32は、入力フィルタとしての役割を果たすために、出力端子92とインジケータL1との間に接地に連結された入力コンデンサC1を備えてもよい。さらに、制御回路32は、出力フィルタとしての役割を果たすことにより出力電流中のリップルを低減させるために、インジケータL1と出力端子92との間に設置に連結された出力コンデンサC2を備えてよい。
【0093】
制御装置U2は、例えばマイクロコントローラ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、またはFPGA等々の、様々な形態をとってよい。制御装置U2は、電源コネクタまたは電源ピンVDDおよび接地コネクタまたは接地ピンVSSを備える。制御装置U2は、制御装置U2の出力またはピン3を介してトランジスタQ1のゲートに駆動信号を供給する。制御装置U2の入力またはピン1、6は、それぞれ出力端子92の端子1、2に連結される。したがって、制御装置U2は、出力端子92にて作動特徴を判定または感知することが可能である。例えば、制御装置U2は、負荷感知抵抗R12を介して、出力端子92間の負荷の有無に対して応答してよい。R12の値は、皮膚または他の生体組織に関するインピーダンス(例えば20KΩ)が制御装置U2を作動させるのに十分なものとなるように選択されてよい。さらに、制御装置U2は、出力端子92間の電圧および/または出力端子92における電流の流れの測定値に対して応答してもよい。例えば、図示される実施形態においては、制御装置U2は、電流感知抵抗R15を介して、電流の測定値に対して応答する。
【0094】
制御装置U2は、通常は、給電されるおよび/またはオン状態にあってよく、負荷感知抵抗R12を介して出力端子92間の負荷の検出時にまたはその負荷に応答してある機能を果たすように、プログラムされるか、または別様に構成されてよい。例えば、制御装置U2は、1つまたは複数の試験を実施し、適切な指示を提示し、および/または試験結果に基づき適切な処置を行なうように、および/または、1つまたは複数の送達プロファイルにしたがって活性作用物質の送達を開始するように、構成されるか、またはプログラムされてよい。例えば、制御装置U2は、負荷を検出した場合には、試験モードまたは起動モードに進んでよく、試験モードおよび起動モードが正常に完了した場合には、電流供給モードに進んでよい。制御装置U2は、例えば可搬式電力供給システム14が保管状態にある間など、負荷を検出するまでは、待機モードまたはスリープモードにあってよい。省エネルギー型制御装置U2は、特に電源30(図2、図3、図6、および図7)がカプラ要素24b(図2および図3)の磁束から保護される場合には、負荷の存在を監視しつつ、長年にわたって保管することができる。
【0095】
制御装置U2は、例えば一定の電流送達プロファイルなどの所望の送達プロファイルを維持するために、出力端子92間の電圧または出力端子92を通過する電流の測定値を使用するように、プログラムされるか、または別様に構成されてよい。一実施形態においては、制御装置U2は、送達プロファイルの少なくとも一部分にかけて、出力端子92における一定の、またはほぼ一定の電流出力を維持するために、駆動信号を供給してよい。一実施形態においては、制御装置U2は、送達プロファイルの少なくとも一部分にかけて、出力端子92における電流出力を上昇させるために、駆動信号を供給してよい。例えば、制御装置U2は、送達プロファイルの初期部分にかけて電流の上昇を生じさせるために、駆動信号を供給してよい。上昇する電流は、一次的にまたは非一次的に上昇してよい。さらに、例えば、制御装置U2は、送達プロファイルの終焉部分にかけて電流の上昇を生じさせるために、駆動信号を供給してよい。一実施形態においては、制御装置U2は、送達プロファイルの少なくとも一部分にかけて、出力端子92における電流出力を変動させるために、駆動信号を供給してよい。例えば、制御装置U2は、送達プロファイルの初期部分、送達プロファイルの終焉部分、または送達プロファイルのある中間部分にかけて、電流の変動を生じさせるために、駆動信号を供給してよい。電流は、例えば正弦波状になど周期的に変動してよく、または非周期的に変動してよい。図示される実施形態においては、制御装置U2は、出力端子92において一定の電流出力を維持するために、トランジスタQ1のゲートに印加される駆動信号のデューテサイクル(duty cycle)を設定する。特に、制御装置U2は、低いデューテサイクルで始動して、電流感知抵抗R15を介してピン1にて印加される電圧が基準電圧Vrefに合致するまで、デューテサイクルを上昇させてよい。基準電圧Vrefは、制御装置U2において内的に保存または規定されてよく、例えば約0.6Vなどであってよい。制御装置U2は、所望の定電流作動を維持するために、デューテサイクルを動揺または変動させてよい。
【0096】
図示される実施形態においては、インジケータD5、D6は、電気的に直列連結される2つ以上の発光ダイオード(LED)D5、D6の形態をとってよい。2つ以上の発光ダイオードD5、D6は、抵抗R11と電気的に並列連結されてよい。発光ダイオードD5、D6は共に、発光するように駆動された場合には、例えば緑(または緑色光)など、同一の色(または同一の複数の色)を発してよい。点灯された場合には、発光ダイオードD5、D6は、電流が出力端子に流れていることを示す。
【0097】
図示される実施形態においては、インジケータD3、D4は、発光ダイオードD3、D4の形態をとってよい。発光ダイオードD3および発光ダイオードD4はそれぞれ、各抵抗R6、R7により、制御装置U2の出力と設置との間において電気的に連結される。発光ダイオードD3、D4は共に、発光するように駆動された場合には、同一の色(または同一の複数の色)を発してよい。発光ダイオードD3、D4は、例えば、発光ダイオードD5、D6により発せられる色とは異なる色などを発してよい。例えば、発光ダイオードD3、D4は、赤色光またはオレンジ色光を発してよい。発光ダイオードD3、D4は、起動の際にまたは適切な起動を示すために、第1の指示を示してよい(例えば所定の回数明滅する)。発光ダイオードD3、D4は、送達プロファイルが終了するまたは終了したことを示すために、停止の際に第1の指示を示してもよい(例えば所定の速度で明滅する)。
【0098】
いくつかの実施形態においては、制御装置U2は、例えば送達デバイスタイプ(例えばイオントフォレーシス送達デバイスタイプ、経皮パッチタイプ、および薬物送達デバイス等々)、薬物タイプ、および投与計画等々を示す、電圧、電流、抵抗、およびインピーダンス等々の中の少なくとも1つを測定するように、プログラムされるか、または別様に構成されてよい。さらに、制御装置U2は、電圧、電流、抵抗、およびインピーダンス等々の中の少なくとも1つの測定値に基づいて、例えば電流送達プロファイルなどの送達プロファイルを調節するように構成されてよい。例えば、制御装置U2は、電気駆動型デバイス11に照会し、その照会の応答に基づいて例えば電流送達プロファイルなどの送達プロファイルを調節するように、プログラムされるか、または別様に構成されてよい。
【0099】
制御回路32は、例えば回路基板32a(図3)などの基板の上のプリント回路の形態をとってよい。導電経路が、概して同心状のジオメトリパターンを形成する導電性トレースの形態をとってよい。いくつかの実施形態においては、導電性トレースは、回路基板32aに配設され、エッチングされ、または別様に施されてよい。導電性トレースは、導電性ポリマー、金属材料、銅、金、銀、銀または錫により被覆された銅、アルミニウム、および/または合金、またはそれらの組合せを含む、導電性トレースの作製に適した任意の材料を含んでよい。回路基板32aの上に回路32を作製するための技術は、当技術においてよく知られており、リソグラフィ技術、導電性塗料シルクスクリーン技術、金属堆積、従来のパターニング技術、およびレーザエッチング等々を含む。例えば、よく知られているリソグラフィ技術を使用して、回路基板32aの少なくとも第1の表面上に導電性トレースのレイアウトを形成することが可能である。導電トレースのレイアウトを形成するためのリソグラフィプロセスは、例えば、基板上にレジスト膜を塗布すること(例えばフォトレジスト膜をスピン塗布すること)、回路レイアウト(例えば1つまたは複数の導電トレースのジオメトリパターン)の像を用いてレジストを露光すること、レジストを熱処理すること、レジストを現像すること、レイアウトを基板上に転写すること、および残りのレジストを除去することを含んでよい。さらに、回路基板32a上へのレイアウトの転写は、減法転写(subtractive transfer)、エッチング、加法転写(additive transfer)、選択的堆積、不純物ドーピング、およびイオン注入等々の技術を使用することを含んでよい。いくつかの実施形態は、例えば片面可撓性回路、両面可撓性回路、多層可撓性回路、接着剤無使用可撓性回路、軽量可撓性回路、およびリジッド−フレックス回路等々の、可撓性回路を使用してよい。いくつかの実施形態においては、可撓性回路は、少なくとも1つの屈曲軸を中心として撓曲可能な一部分を少なくとも有する、例えば約7000μm未満の厚さの薄膜可撓性回路などの薄膜集積回路を含んでよい。いくつかの実施形態においては、可撓性回路は、導電性繊維から製造される1つまたは複数の部分を含む。
【0100】
図9は、1つの例示的な実施形態による、活性作用物質送達構成要素12および可搬式電力供給システム14を備える活性式経皮送達デバイス102を示す。活性作用物質送達構成要素12は、1つの例示的な実施形態によれば、作用電極アセンブリ112および非作用電極アセンブリ114を備える。
【0101】
作用電極アセンブリ112は、作用電極アセンブリ112の内部120から外部122にかけて、作用電極要素124、電解質128を収容するための電解質貯留槽126、内方イオン選択膜130、1つまたは複数の活性作用物質136を収容する1つまたは複数の内方活性作用物質貯留槽134、追加の活性作用物質141を任意に貯蔵するオプションの最外イオン選択膜138、および、最外イオン選択膜138の外方表面144により担持されるオプションのさらなる活性作用物質142を備えてよい。上述の要素または構造体のそれぞれを、以下において詳細に説明する。
【0102】
作用電極アセンブリ112は、例えば内方イオン選択膜130と内方活性作用物質貯留槽134との間など、作用電極アセンブリ112の2つの層の間にオプションの内方シールライナ(inner sealing liner)(図示せず)を備えてよい。この内方シールライナがある場合には、この内方シールライナは、生体表面118にイオントフォレーシスデバイスを適用する前に除去される。作用電極アセンブリ112は、オプションの外方剥離ライナ146をさらに備えてよい。
【0103】
いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の活性作用物質貯留槽134は、1つまたは複数の活性作用物質136、140、142を搬送、送達、封入、および/または担持するための賦形剤および/または医薬組成物で充填可能である。いくつかの実施形態においては、医薬組成物は、治療的有効量の1つまたは複数の活性作用物質136、140、142を含む。
【0104】
作用電極要素124は、第1の極116aを介して可搬式電力供給システム14に電気的に連結可能であり、作用電極アセンブリ112内に位置決めされて、起電力を印加して、作用電極アセンブリ112の種々の他の構成要素を介して活性作用物質136、140、142を搬送する。通常使用条件下においては、印加される起電力の大きさは、概して、治療的有効投与量プロトコルに応じて1つまたは複数の活性作用物質を送達するのに必要とされる大きさである。いくつかの実施形態においては、この大きさは、経皮送達デバイス102の通常使用時の作動電気化学ポテンシャルに合致するかまたはそれを超過するように選択される。少なくとも1つの作用電極要素124は、1つまたは複数の活性作用物質136、140、142を含む医薬組成物を、少なくとも1つの活性作用物質貯留槽134から被術対象の生体界面118に追いやるための起電力を生成するように作動可能である。
【0105】
作用電極要素124は、様々な形態をとってよい。一実施形態においては、有利には、作用電極要素124は、炭素ベースの作用電極要素の形態をとってよい。これは、例えば炭素を含むポリマーマトリクスおよび炭素繊維または炭素繊維紙を含む導電性シート(2004年10月29日に出願された同一出願人による係属中の特許文献1に記載されているものなど)などの、複数の層を備えてよい。炭素ベース電極は、それ自体が電気化学反応を受けないまたは電気化学反応に関与しない点において、不活性電極である。したがって、不活性電極は、システムに印加される電位にて電子を受けるまたは与えることが可能な化学種の酸化または還元(例えば水の還元または酸化によるイオンの生成)によって電流を分配する。不活性電極のさらなる例には、ステンレス鋼、金、白金、キャパシタ炭素、またはグラファイトが含まれる。
【0106】
あるいは、化合物またはアマルガムなどの犠牲導電性材料の作用電極を使用してもよい。犠牲電極は、水の電気分解を引き起こさないが、それ自体が酸化されるかまたは還元される。典型的には、アノードについては、金属/金属塩が使用されてよい。このような場合には、金属は、金属イオンへと酸化し、この金属イオンは、次いで不溶性塩として析出される。かかるアノードの一例は、Ag/AgCl電極を含む。逆反応がカソードで生じ、金属イオンが還元され、対応する陰イオンが電極の表面から放出される。
【0107】
電解質貯留槽126は、電解質128を保持することが可能な任意の構造を含む様々な形態をとってよく、いくつかの実施形態においては、例えば電解質128がゲル、半固体、または固体の形態である場合には、電解質128自体であってもよい。例えば、電解質貯留槽126は、特に電解質128が液体である場合には、小袋もしくは他の嚢、または、孔、空洞部、もしくは隙間を有する膜の形態をとってよい。
【0108】
一実施形態においては、電解質128は、水性媒質中にイオン性成分またはイオン化性成分を含み、これらは、作用電極要素の方向に、または作用電極要素から離れるように電流を伝達する役割を果たすことが可能である。適切な電解質には、例えば塩の水溶液が含まれる。好ましくは、電解質128は、ナトリウム、カリウム、塩化物、およびリン酸塩などの生理学的イオンの塩を含む。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の電解質貯留槽124は、アスコルベート、フマレート、ラクテート、およびマレート、またはそれらの塩から選択される、少なくとも1つの生物学的に適合性の酸化防止剤を含む電解質128を含む。
【0109】
不活性電極要素の使用時に電位が印加されると、水が、作用電極アセンブリおよび対電極アセンブリの両方にて電気分解される。作用電極アセンブリがアノードである場合などのいくつかの実施形態においては、水は酸化される。その結果、酸素が水から除去されると共に、陽子(H+)が生成される。一実施形態においては、電解質128は、酸化防止剤をさらに含んでよい。いくつかの実施形態においては、酸化防止剤は、例えば水などの電位よりも低い電位を有する酸化防止剤から選択される。かかる実施形態においては、選択される酸化防止剤は、水の加水分解を生じさせずに、消費される。いくつかの他の実施形態においては、酸化した状態の酸化防止剤が、カソードにて使用され、還元された状態の酸化防止剤が、アノードで使用される。生物学的に適合性の酸化防止剤の例には、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)、またはクエン酸ナトリウムが含まれるが、それらに限定されない。
【0110】
上述のように、電解質128は、貯留槽126内に収容される水溶液の形態をとってよく、またはかなりの量の水を保持することが可能なヒドロゲルまたは親水性ポリマー中の分散物の形態をとってもよい。例えば、ある適切な電解質は、0.5Mフマル酸二ナトリウム:0.5Mポリアクリル酸:0.15M酸化防止剤の溶液の形態をとってよい。
【0111】
内方イオン選択膜130が含まれる場合には、この内方イオン選択膜130は、電解質128と内方活性作用物質貯留槽134とを隔てるように概して配置される。内方イオン選択膜130は、電荷選択膜の形態をとってよい。例えば、活性作用物質136、140、142が、陽イオン性活性作用物質を含む場合には、内方イオン選択膜130は、陰イオンを実質的に通し、陽イオンを実質的に阻止するような選択性を有するアニオン交換膜の形態をとってよい。有利には、内方イオン選択膜130は、電解質128と内方活性作用物質貯留槽134との間における望ましくない成分または化合物の移送を防止してよい。例えば、内方イオン選択膜130は、電解質128からのナトリウム(Na+)イオンの移送を防止または抑制し、それにより経皮送達デバイス102の移送速度および/または生物学的適合性を高めてよい。
【0112】
内方活性作用物質貯留槽134は、内方イオン選択膜130と最外イオン選択膜138との間に概して配置される。内方活性作用物質貯留槽134は、活性作用物質136を一時的に保持することの可能な任意の構造体を含む、様々な形態をとってよい。例えば、内方活性作用物質貯留槽134は、特に活性作用物質136が液体である場合には、小袋もしくは他の嚢、または、孔、空洞部、もしくは隙間を有する膜の形態をとってよい。内方活性作用物質貯留槽134は、ゲルマトリクスをさらに含んでよい。
【0113】
任意には、最外イオン選択膜138は、作用電極アセンブリ112において作用電極要素124の概して対向側に位置決めされる。最外膜138は、イオン交換材料またはイオン交換基150を含むイオン選択膜138の孔148を有するイオン交換膜の形態をとってよい。起電力または電流の影響下において、イオン交換材料またはイオン交換基150は、選択的に、活性作用物質136、140と同一の極性のイオンを実質的に通すと共に、逆の極性のイオンを実質的に阻止する。したがって、最外イオン交換膜138は、電荷選択性のものである。活性作用物質136、140、142が、陽イオン(例えばリドカイン)である場合には、最外イオン選択膜138は、カチオン交換膜の形態をとってよく、したがって陽イオン性活性作用物質の通過を許容すると共に、皮膚などの生体界面に存在する陰イオンの逆流を阻止する。
【0114】
任意には、最外イオン選択膜138は、活性作用物質140を貯蔵してよい。理論に縛られるものではないが、イオン交換基またはイオン交換材料150は、起電力または電流が存在しない場合には、活性作用物質の極性と同一の極性のイオンを一時的に保持し、起電力または電流の影響下において同様の極性または電荷の置換イオンと置換される際に、それらのイオンを実質的に放出する。
【0115】
あるいは、最外イオン選択膜138は、サイズによる選択性を有する半透過性膜または微小孔膜の形態をとってよい。いくつかの実施形態においては、有利には、かかる半透過性膜は、例えば使用前に外方剥離ライナが除去されるまで活性作用物質140を保持するために、取外し可能な態様で剥離可能な外方剥離ライナを使用することなどによって、活性作用物質140を貯蔵してよい。
【0116】
任意には、最外イオン選択膜138は、イオン化されたまたはイオン化性の薬物または治療作用物質、および/または分極化されたまたは分極可能な薬物または治療作用物質などの、追加的な活性作用物質140で事前充填されてよい。最外イオン選択膜138が、イオン交換膜である場合には、かなりの量の活性作用物質140が、最外イオン選択膜138の孔、空洞部、または隙間148内のイオン交換基150に結合し得る。
【0117】
材料150のイオン交換基に結合できない活性作用物質142は、さらなる活性作用物質142として最外イオン選択膜138の外方表面144に接着してよい。代替的には、またはさらには、さらなる活性作用物質142は、例えば噴霧、フラッディング、被覆、静電蒸着、蒸着、および/または他の方法などにより、最外イオン選択膜138の外方表面144の少なくとも一部分の上にしっかりと堆積され、および/または接着されてよい。いくつかの実施形態においては、さらなる活性作用物質142は、別個の層152を形成するのに十分なだけ外方表面144を覆ってよく、および/または十分な厚みのものであってよい。他の実施形態においては、さらなる活性作用物質142は、層という用語の従来的な意味における層を構築するのに十分な堆積、厚さ、または被覆面積のものでなくてもよい。さらなる活性作用物質142は、起電力または電流がない場合には外方表面144に接着してよい。
【0118】
活性作用物質142は、例えば固体形態、ほぼ飽和された溶液の形態、またはゲル形態などの様々な高濃縮形態で堆積されてよい。固体形態である場合には、水和源が、作用電極アセンブリ112に組み込まれるか、または使用直前に作用電極アセンブリ112の外部から与えられる態様で、用意される。
【0119】
いくつかの実施形態においては、活性作用物質136、追加的な活性作用物質140、および/またはさらなる活性作用物質142は、同一のまたは同様の組成物または成分であってよい。他の実施形態においては、活性作用物質136、追加的な活性作用物質140、および/またはさらなる活性作用物質142は、互いに異なる組成物または成分であってよい。したがって、第1のタイプの活性作用物質が、内方活性作用物質貯留槽134内に収容されてよい一方で、第2のタイプの活性作用物質は、最外イオン選択膜138中に貯蔵されてよい。かかる実施形態においては、第1のタイプまたは第2のタイプの活性作用物質のいずれかが、さらなる活性作用物質142として最外イオン選択膜138の外方表面144の上に堆積されてよい。あるいは、第1のタイプおよび第2のタイプの活性作用物質の混合物が、さらなる活性作用物質142として最外イオン選択膜138の外方表面144の上に堆積されてよい。さらにそれに代わるものとして、第3のタイプの活性作用物質の組成物または成分が、さらなる活性作用物質142として最外イオン選択膜138の外方表面144の上に堆積されてよい。別の実施形態においては、第1のタイプの活性作用物質が、活性作用物質136として内方活性作用物質貯留槽134内に収容され、追加的な活性作用物質140として最外イオン選択膜138中に貯蔵されてよく、第2のタイプの活性作用物質は、さらなる活性作用物質142として最外イオン選択膜138の外方表面144の上に堆積されてよい。典型的には、1つまたは複数の異なる活性作用物質が使用される実施形態においては、活性作用物質136、140、142は全て、活性作用物質136、140、142が互いに競合するのを防ぐように、共通の極性のものとなる。他の組合せも可能である。
【0120】
外方剥離ライナは、概して、最外イオン選択膜138の外方表面144により担持されるさらなる活性作用物質142に重なるかまたはそれを覆う状態で位置決めされてよい。外方剥離ライナは、起電力または電流が印加されるまで、保管の際にさらなる活性作用物質142および/または最外イオン選択膜138を保護してよい。外方剥離ライナは、一般的には感圧性接着剤を伴う剥離ライナなどの、防水材料から作製される選択的に剥離可能なライナであってよい。
【0121】
界面結合媒質(図示せず)が、電極アセンブリと生体界面118との間において使用されてよい。界面結合媒質は、例えば接着剤および/またはゲルの形態をとってよい。ゲルは、例えば水和ゲルの形態をとってよい。適切な生体接着性ゲルの選択は、当業者の知識の範囲内のものである。
【0122】
図9に図示される実施形態においては、対電極アセンブリ114は、対電極アセンブリ114の内部164から外部166にかけて、対電極要素168、電解質172を収容する電解質貯留槽170、内方イオン選択膜174、緩衝材料178を収容するオプションの緩衝材貯留槽176、オプションの最外イオン選択膜180、およびオプションの外方剥離ライナ182を備える。
【0123】
対電極要素168は、第2の極116bを介して可搬式電力供給システム14に電気的に連結可能であり、第2の極116bは、第1の極116aとは逆の極性を有する。一実施形態においては、対電極要素168は不活性電極である。例えば対電極要素168は、上述の炭素ベースの電極要素の形態をとってよい。
【0124】
電解質貯留槽170は、電解質172を保持することが可能な任意の構造体を含む、様々な形態をとってよく、いくつかの実施形態においては、例えば電解質172がゲル、半固体または固体の形態である場合には、電解質172自体であってもよい。例えば、電解質貯留槽170は、特に電解質172が液体である場合には、小袋または他の嚢、または、孔、空洞部、もしくは隙間を有する膜の形態をとってよい。
【0125】
電解質172は、概して、対電極要素168と最外イオン選択膜180との間において、対電極要素168の近位に位置決めされる。上述のように、電解質172は、イオンを生成するかまたは電荷を与えることにより、対電極要素168上に気泡(電極の極性に応じて例えば水素または酸素など)が形成されるのを防止または抑制してよく、酸または塩基が形成されるのを防止または抑制するか、またはそれらを中和してよく、これらにより、生体界面118を刺激するための効率が高められ、および/またはそのための電位が低減され得る。
【0126】
内方イオン選択膜174は、電解質172と緩衝材料178との間に位置決めされてよい。内方イオン選択膜174は、第1の極性または電荷のイオンの通過を実質的に許容すると共に、第2の逆の極性のイオンまたは電荷の通過を実質的に阻止する、例示されるイオン交換膜などの、電荷選択膜の形態をとってよい。内方イオン選択膜174は、典型的には、最外イオン選択膜180を通されるイオンと逆の極性または電荷のイオンを通す一方で、同様の極性または電荷のイオンを実質的に阻止する。あるいは、内方イオン選択膜174は、サイズに基づく選択性を有する半透過性膜または微小孔膜の形態をとってよい。
【0127】
内方イオン選択膜174は、緩衝材料178中への望ましくない成分または化合物の移送を防いでよい。例えば、内方イオン選択膜174は、電解質172から緩衝材料178中へのヒドロキシイオン(OH-)または塩化物イオン(Cl-)の移送を防止または抑制してよい。
【0128】
オプションの緩衝材貯留槽176は、概して、電解質貯留槽と最外イオン選択膜180との間に配設される。緩衝材貯留槽176は、緩衝材料178を一時的に保持することが可能な様々な形態をとってよい。例えば、緩衝材貯留槽176は、空洞部、多孔性膜、またはゲルの形態をとってよい。緩衝材料178は、最外イオン選択膜142を介して生体界面118に移送するためのイオンを供給してよい。結果として、緩衝材料178は、例えば塩(例えばNaCl)を含んでよい。
【0129】
対電極アセンブリ114の最外イオン選択膜180は、様々な形態をとってよい。例えば、最外イオン選択膜180は、電荷選択性イオン交換膜の形態をとってよい。典型的には、対電極アセンブリ114の最外イオン選択膜180は、作用電極アセンブリ112の最外イオン選択膜138のイオンとは逆の電荷または極性を有するイオンに対する選択性を有する。したがって、最外イオン選択膜180は、アニオン交換膜であり、これは、陰イオンを実質的に通し、陽イオンを阻止し、それにより生体界面からの陽イオンの逆流を防ぐ。適切なイオン交換膜の例には、先述の膜が含まれる。
【0130】
あるいは、最外イオン選択膜180は、イオンのサイズまたは分子量に基づきイオンを実質的に通すおよび/または阻止する半透過性膜の形態をとってよい。
【0131】
外方剥離ライナ(図示せず)は、概して、最外イオン選択膜180の外方表面184に重なるかまたは覆った状態で位置決めされてよい。外方剥離ライナは、起電力または電流を印加するまで、保管の際に最外イオン選択膜180を保護してよい。外方剥離ライナは、一般的には感圧性接着剤を伴う剥離ライナなどの、防水材料から作製される選択的に剥離可能なライナであってよい。いくつかの実施形態においては、外方剥離ライナは、作用電極アセンブリ112の外方剥離ライナ(図示せず)と同一の広さを有してよい。
【0132】
経皮送達デバイス102は、作用電極アセンブリ112および対電極アセンブリ114を形成する様々な他の構造体の露出面に隣接する不活性成形材料186をさらに含む。有利には、成形物質186は、作用電極アセンブリ112および対電極アセンブリ114の様々な構造体に対して環境保護を与えてよい。作用電極アセンブリ112および対電極アセンブリ114を封入するものは、収容材料190である。
【0133】
作用電極アセンブリ112および対電極アセンブリ114は、生体界面(図示せず)上に位置決めされてよい。生体界面上に位置決めすることにより、回路が閉じられて、それにより、起電力が印加され、および/または電流が可搬式電力供給システム14から作用電極アセンブリ112、生体界面、および対電極アセンブリ114に流れることが可能となってよい。
【0134】
使用時には、最外作用電極イオン選択膜138は、生体界面と直接接触状態で配置されてよい。あるいは、界面結合媒質(図示せず)が、最外作用電極イオン選択膜122と生体界面との間において使用されてよい。界面結合媒質は、例えば接着剤および/またはゲルの形態をとってよい。ゲルは、例えば水和ゲルまたはヒドロゲルの形態をとってよい。界面結合媒質が使用される場合には、この界面結合媒質は、活性作用物質136、140、142による透過が可能なものであるべきである。
【0135】
いくつかの実施形態においては、可搬式電力供給システム14は、所望の生理学的効果を与えるために、貯留槽134から生体界面(例えば膜)を越えて1つまたは複数の活性作用物質136、140、142が送達されるのを確実にするのに十分な電圧、電流、および/または時間を実現するように、選択される。可搬式電力供給システム14は、例えば0.8V DCの許容誤差の12.8V DCの電圧と、0.3mAの電流とを供給してよい。可搬式電力供給システム14は、例えば炭素繊維リボンを介してなど制御回路を介して、作用電極アセンブリ112および対電極アセンブリ114に、選択的に電気的に連結されてよい。経皮送達デバイス102は、電極アセンブリ112、114に送達される電圧、電流、および/または電力を制御するために、ディスクリート回路素子および/または集積回路素子を備えてよい。例えば、経皮送達デバイス102は、電極要素124、168に定電流を供給するためのダイオードを備えてよい。
【0136】
制御回路32は、電力供給部が活性作用物質送達構成要素12に磁気的に取外し可能な態様で連結されると、ある期間の少なくとも一部分の間にわたり電力供給部により担持される電源30から、経皮送達デバイス102の対電極要素168および作用電極要素124全体に電圧を印加するように、電気的に連結可能である。いくつかの実施形態においては、制御回路32は、少なくとも第1の活性作用物質送達プロファイルを実現するように作動可能なプログラマブル制御回路の形態をとる。いくつかの実施形態においては、制御回路32は、活性作用物質の制御送達または持続送達に関連する少なくとも1つの活性作用物質送達プロファイルを実現するように作動可能なプログラマブル制御回路の形態をとる。プログラマブル送達プロファイルの他の例には、特定の活性作用物質の送達、増加機能および自動遮断機能、用量送達計画前のボーラス用量、および薬物送達要件に合わせて調整される電流源のデジタルパルス幅変調(例えばパルス幅変調を用いた擬似定電流)等々に合わせて調整される、プログラマブル電流プロファイルが含まれる。
【0137】
上述において示唆されるように、1つまたは複数の活性作用物質136、140、142は、1つまたは複数のイオン性、陽イオン性、イオン化性、および/または中性の薬物または他の治療作用物質の形態をとってよい。その結果、可搬式電力供給システム14の極または端子、ならびに最外イオン選択膜138、180および内方イオン選択膜130、174の選択性は、それらに応じて選択される。
【0138】
イオントフォレーシスの際には、上述のような電極アセンブリ中の起電力は、生体界面を介して生体組織内への、帯電した活性作用物質分子ならびにイオンおよび他の帯電した成分の移動を生じさせる。この移動は、界面を越えた生体組織内における活性作用物質、イオン、および/または他の帯電した成分の蓄積を生じさせ得る。イオントフォレーシスの際には、斥力に応じた帯電分子の移動に加えて、電極および生体界面を介した組織中への溶媒(例えば水)の電気浸透流も生じる。いくつかの実施形態においては、この電気浸透溶媒流は、帯電分子および非帯電分子の両方の移動を促進する。電気浸透溶媒流による移動の促進は、特に分子のサイズがより大きくなるにつれて起こり得る。
【0139】
いくつかの実施形態においては、活性作用物質は、比較的高分子量の分子であってよい。いくつかの態様においては、この分子は、極性高分子電解質であってよい。いくつかの他の態様においては、この分子は、親油性のものであってよい。いくつかの実施形態においては、かかる分子は、作用電極内の条件下において、帯電されてよく、低い正味電荷を有してよく、または帯電されなくてもよい。いくつかの態様においては、かかる活性作用物質は、イオントフォレーシス斥力の影響下における小さな比較的高く帯電した活性作用物質の移動とは対照的に、イオントフォレーシス斥力下における移動が不十分なものとなる場合がある。したがって、これらの比較的高分子量の活性作用物質は、主に電気浸透溶媒流により、生体界面を介して下の組織内に運ばれてよい。いくつかの実施形態においては、この比較的高分子量の高分子電解質活性作用物質は、タンパク、ポリペプチド、または核酸であってよい。他の実施形態においては、活性作用物質は、別の活性作用物質と混合されて、上述の移動誘引方法の中の1つにより生体界面を越えて搬送され得る複合体を形成してよい。
【0140】
いくつかの実施形態においては、活性作用物質送達構成要素12は、作用電極アセンブリ112と流体連通状態にあり、作用電極アセンブリ112と生体界面との間に位置決めされる、複数のマイクロニードル(図示せず)をさらに備えてよい。これらのマイクロニードルは、1つまたは複数のアレイの一部として、個別に設けられまたは形成されてよい。いくつかの実施形態においては、マイクロニードルは、基体の中の1つから一体的に形成される。マイクロニードルは、固体および透過性の形態、固体および半透過性の形態、および/または固体および非透過性の形態をとってよい。いくつかの他の実施形態においては、固体の非透過性のマイクロニードルは、1つまたは複数の活性作用物質の経皮送達を補助するために、それらの外方表面に沿って溝をさらに備えてよい。いくつかの他の実施形態においては、マイクロニードルは、中空マイクロニードルの形態をとってよい。いくつかの実施形態においては、中空マイクロニードルは、イオン交換材料、イオン選択性材料、透過性材料、半透過性材料、および固体材料等々で充填されてよい。マイクロニードルは、例えば、皮膚または粘膜などの生体界面を介して生体に、様々な医薬組成物、分子、化合物、および活性作用物質等々を送達するためなどに使用されてよい。いくつかの実施形態においては、医薬組成物、分子、化合物、および活性作用物質等々は、生体界面内にまたはそれを介して送達されてよい。例えば、皮膚を介した医薬組成物、分子、化合物、および活性作用物質等々の送達においては、個別のまたはアレイ状のマイクロニードルの長さおよび/またはその挿入深度を利用することにより、医薬組成物、分子、化合物、および活性作用物質等々の投与を、表皮中のみとするか、表皮を通り真皮までとするか、または皮下へのものとするかを制御してよい。いくつかの実施形態においては、マイクロニードルは、タンパク、ペプチド、および/または核酸、およびそれらの対応する組成物を含むものなどの、高分子量の活性作用物質を送達するのに有用であってよい。例えば流体がイオン性溶液であるいくつかの実施形態においては、マイクロニードルは、可搬式電力供給システム14とマイクロニードルの先端部との間において電気的連続性を実現することが可能である。いくつかの実施形態においては、マイクロニードルは、個別にまたはアレイ状において、中空開口を介して、固体の透過性材料または半透過性材料を介して、または外部溝を介して、流体を分配、送達、および/または抽出するために使用されてよい。さらに、マイクロニードルは、本明細書中に開示されるように、イオントフォレーシス方法により医薬組成物、分子、化合物、および活性作用物質等々を分配、送達、および/または抽出するために使用されてもよい。マイクロニードルは、医薬組成物、分子、化合物、および活性作用物質等々の透過性および経皮搬送を高めるために、皮膚の外方層を貫通するようにサイズ設定および形状設定されてよい。いくつかの実施形態においては、マイクロニードルは、生体界面(例えば非以遠者上の皮膚または粘膜等々)内への挿入に適したジオメトリおよびそれに十分な強度を有し、それにより医薬組成物、分子、化合物、および活性作用物質等々の界面越しの(例えば経皮)搬送を高めるように、サイズ設定および形状設定される。
【0141】
マイクロニードルは、セラミック、エラストマー、エポキシフォトレジスト、ガラス、ガラスポリマー、ガラス/ポリマー材料、金属(例えばクロム、コバルト、金、モリブデン、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、およびタングステン鋼等々)、成形プラスチック、ポリマー、生分解性ポリマー、非生分解性ポリマー、有機ポリマー、無機ポリマー、ケイ素、二酸化ケイ素、ポリシリコン、ケイ素ゴム、ケイ素ベースの有機ポリマー、および超伝導材料(例えば超伝導体ウェーハ)等々、ならびにそれらの組合せ、複合体、および/または合金を含む、様々な材料から製造されてよい。マイクロニードルを製造するための技術は、当技術においてよく知られており、例えば電着、レーザ穿孔ポリマー成形物上への電着、レーザ切断および電解研磨、レーザ微細機械加工、表面微細機械加工、ソフトリソグラフィ、X線リソグラフィ、LIGA技法(例えばX線リソグラフィ、電気めっき、および成形)、注入成形、従来的なケイ素ベースの製造方法(例えば誘導結合プラズマエッチング、ウエットエッチング、等方性エッチングおよび異方性エッチング、等方性ケイ素エッチング、異方性ケイ素エッチング、異方性GaAsエッチング、深堀り反応性イオンエッチング、ケイ素等方性エッチング、およびケイ素バルク微細機械加工等々)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術、および深X線露光技術等々が含まれる。本明細書中の教示のいくつかまたは全てが、イオントフォレーシス用途におけるマイクロニードルデバイス、その製造、およびその使用に適用されてよい。いくつかの技術においては、マイクロニードルの物理的特徴が、例えば陽極処理条件(例えば電流密度、エッチング時間、HF濃度、温度、およびバイアス設定等々)および基体特性(例えばドーピング密度およびドーピング配向等々)によって左右される。
【0142】
上述の様々な実施形態は、他の実施形態を実現するために組み合わせることが可能である。2004年8月24日に出願された特許文献2、2004年11月16日に出願された特許文献3、2007年11月29日に出願された特許文献4、2006年12月12日に出願された特許文献5、および2007年7月13日に出願された特許文献6を含むがそれらに限定されない、本明細書において参照されるおよび/または出願データシート中に列挙される全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物が、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0143】
当業者には容易に理解されるであろうが、本開示は、本明細書において説明される構成物および/または方法のいずれかにより被術対象を処置する方法を含む。
【0144】
様々な実施形態の態様は、必要な場合には、本明細書において特定される特許および出願を含む様々な特許、出願、および公開のシステム、回路、およびコンセプトを使用して、さらに他の実施形態を実現するために、変更することが可能である。ある実施形態が、上述の全ての膜、貯留槽、および他の構造体を備えてよい一方で、他の実施形態が、それらの膜、貯留槽、または他の構造体の中のいくつかを省いてもよい。さらに他の実施形態が、上記において概説された膜、貯留槽、および構造体の中のものをさらに追加して使用してもよい。さらに他の実施形態が、上述の膜、貯留槽、および構造体の中のいくつかを省く一方で、上記において概説された膜、貯留槽、および構造体の中のものをさらに追加して使用してもよい。
【0145】
これらのおよび他の変更は、上述した説明に鑑みて行なうことが可能である。一般に、特許請求の範囲においては、使用される用語は、本明細書および特許請求の範囲内に開示される特定の実施形態に限定されるように解釈されるべきではなく、特許請求の範囲にしたがって行なわれる全てのシステム、デバイス、および/または方法を含むように解釈されるべきである。したがって、本発明は、本開示により限定されず、代わりに、その範囲は、もっぱら特許請求の範囲によって決定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
電位を生じさせるように選択的に作動可能な少なくとも1つの電極を備え、かつ磁気カプラの少なくとも第1の要素を備える、第1の部分と、
少なくとも1つの電池を備え、かつ前記磁気カプラの少なくとも第2の要素を備える、第2の部分であって、前記磁気カプラの前記第2の要素は、前記磁気カプラの前記第1の要素と相補的であり、この医療デバイスの前記第2の部分は、前記磁気カプラの前記第1の要素と前記第2の要素との間における磁気相互作用により、前記医療デバイスの前記第1の部分に、選択的に取外し可能な態様で磁気により連結可能である、第2の部分と、
前記第1の部分または前記第2の部分の一方により物理的に担持される鉄要素と
を備え、
前記第1の要素または前記第2の要素の少なくとも一方が、磁石であり、前記鉄要素は、前記電池と前記磁石との間に物理的に位置決めされて、前記電池から離れる方向に前記磁石の磁束を配向することを特徴とする医療デバイス。
【請求項2】
前記磁気カプラの前記第2の要素は、前記磁石であり、前記磁気カプラの前記第1の要素は、鉄金属であることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記磁気カプラの前記第2の要素は、前記磁石であり、前記磁気カプラの前記第1の要素は、別の磁石であり、前記医療デバイスの前記第2の部分が、前記医療デバイスの前記第1の部分に磁気により連結される場合には、前記2つの磁石の相反する磁極が、互いに向き合うことを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記磁気カプラの前記第1の要素は、前記磁石であり、前記磁気カプラの前記第2の要素は、鉄金属または別の磁石の一方であることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記第2の部分は、前記第1の部分の前記少なくとも1つの電極にて生成される前記電位を制御するように構成された制御回路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記第1の部分は、活性作用物質貯留槽をさらに備え、前記活性作用物質貯留槽は、前記第1の部分の前記少なくとも1つの電極にて生成される前記電位が前記活性物質貯留槽から活性作用物質を追いやるように位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記電池は、ディスク形状であり、前記鉄要素は、ディスク形状であることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記鉄要素の直径は、少なくとも前記電池の直径にほぼ等しいことを特徴とする請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記磁石は、ディスク形状であり、前記鉄要素の前記直径は、前記磁石の直径よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記医療デバイスの前記第1の部分または前記第2の部分の少なくとも一方が、非鉄スペーサを備え、前記非鉄スペーサは、前記鉄要素と前記電池との間に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記磁石は、少なくとも1つの永久磁石の形態をとることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの永久磁石は、高エネルギー可撓性磁石、ネオジム磁石、セラミック磁石、サマリウムコバルト磁石、またはアルニコ磁石の中の少なくとも1つであることを特徴とする請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記第1の部分は、第1の電気接触子および第2の電気接触子をさらに備え、
前記第2の部分は、相補的な第1の電気接触子および相補的な第2の電気接触子を備え、
前記医療デバイスの前記第2の部分が前記医療デバイスの前記第1の部分に磁気により連結される場合に、前記第1の相補的な電気接触子が前記第1の電気接触子と導電接続状態となり、前記第2の相補的な電気接触子が前記第2の電気接触子と導電接続状態となるように、前記第1の電気接触子および前記第2の電気接触子は、前記磁気カプラの前記第1の要素に対して位置決めされ、前記相補的な第1の電気接触子および前記相補的な第2の電気接触子は、前記磁気カプラの前記第2の要素に対して位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項14】
電池を保持するように構成された電池ホルダと、
前記電池ホルダに物理的に連結され、前記電池ホルダの近位に位置決めされる、第1の連結磁石と、
前記電池ホルダと前記第1の連結磁石との間に位置決めされて、前記電池ホルダから離れる方向に前記第1の連結磁石の磁束を配向する、鉄要素と
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項15】
前記鉄要素と前記電池ホルダとの間に位置決めされる非鉄スペーサさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記電池から送達される電流または電圧の少なくとも一方を制御するために連結された制御回路をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記電池ホルダ内に受けられた前記電池をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、前記第1の連結磁石を介して別のデバイスに磁気により連結可能な着脱式電源であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、医療デバイスであり、
前記電池に連結された場合に電位を生じさせるように作動可能な少なくとも1つの電極をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記医療デバイスは、経皮的活性作用物質送達デバイスであり、
活性作用物質を収容する少なくとも1つの活性作用物質貯留槽をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
活性作用物質を収容する少なくとも1つの活性作用物質貯留槽は、前記電池ホルダを担持する第2の部分に着脱自在に装着可能な第1の部分によって担持されることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記装置の外部からアクセス可能な少なくとも2つの電気接触子であって、前記電池が前記電池ホルダにより保持される場合に前記電池と電気接続状態となる、少なくとも2つの電気接触子をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−501799(P2012−501799A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526936(P2011−526936)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/056353
【国際公開番号】WO2010/030659
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(511062287)トランスキュー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】