便器の排水口と排水管との接続装置
【課題】排水ソケットを排水管に対し着脱可能とした便器の排水口と排水管との接続装置を提供する。
【解決手段】便器の排水口と排水管との接続装置は、アダプタ20と、該アダプタ20に装着されたOリング30と、該アダプタ20に外嵌接続される排水ソケット40と、該排水ソケット40に装着されたジョイントパッキン50とを有する。この下環状部21が排水管10に内嵌され、接着剤によって接着固定される。下部41を上環状部22に外嵌させるようにして排水ソケット40を床面1上に設置すると、該下部41の内周面が全周にわたってOリング30に水密的に重なる。この排水ソケット40の上端のジョイントパッキン50に対し上方から排水口60を差し込むようにして便器が床面1上に据え付けられる。
【解決手段】便器の排水口と排水管との接続装置は、アダプタ20と、該アダプタ20に装着されたOリング30と、該アダプタ20に外嵌接続される排水ソケット40と、該排水ソケット40に装着されたジョイントパッキン50とを有する。この下環状部21が排水管10に内嵌され、接着剤によって接着固定される。下部41を上環状部22に外嵌させるようにして排水ソケット40を床面1上に設置すると、該下部41の内周面が全周にわたってOリング30に水密的に重なる。この排水ソケット40の上端のジョイントパッキン50に対し上方から排水口60を差し込むようにして便器が床面1上に据え付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器の排水口と排水管との接続装置に関するものであり、特にトイレルーム床面の排水管と便器の排水口とを排水ソケットを介して接続するようにした便器の排水口と排水管との接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレルーム床面の排水管と便器の排水口とを排水ソケットを介して接続するようにした便器の排水口と排水管との接続装置の従来例にあっては、特開平11−324082号に記載されている通り、排水口に排水ソケットを嵌合させて接着剤によって接着し、この排水ソケットに対し便器の排水口を上方から嵌合させるようにしている。
【0003】
第13,14図はかかる特開平11−324082号の便器の排水口と排水管との接続装置を示す断面図及び分解斜視図である。
【0004】
トイレルームの床面1に排水管2が上下方向に設置され、該排水管2の上端が床面1から若干上方に突出している。
【0005】
排水ソケット3が該排水管2の上端に嵌合し、接着剤によって接着されている。なお、排水ソケット3は筒状の下胴部3aを有しており、該下胴部3aが排水管2の上部に外嵌し、下胴部3aの内周面と排水管2の外周面とが接着されている。排水ソケット3の下部からフランジ部3bが外方に突設され、該フランジ部3bがビス4によって床面1に固定されている。
【0006】
排水ソケット3の上端部に環状のジョイントパッキン5が装着され、該ジョイントパッキン5に便器6の排水口6aが上方から差し込まれている。
【特許文献1】特開平11−324082号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特開平11−324082号の便器の排水口と排水管との接続装置にあっては、排水ソケット3が排水管2に対し接着されているため、便器のリフォームに際し排水ソケット3を別機種のものに交換することができない。また、排水管2内に閉塞等が生じたときにも、排水ソケット3を外すことができないので、排水管2内の作業を行いにくい。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決するために、排水ソケットを排水管に対し着脱可能とした便器の排水口と排水管との接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の便器の排水口と排水管との接続装置は、床の排水管に対し便器の排水口を接続する接続装置において、該排水口が上方から差し込まれる排水ソケットと、該排水管に取り付けられ、該排水ソケットが着脱可能に嵌合する環状のアダプタとを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の便器の排水口と排水管との接続装置は、請求項1において、該排水ソケットとアダプタとの嵌合部をシールするOリングを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の便器の排水口と排水管との接続装置は、請求項2において、前記アダプタは、前記排水管に対し内嵌する下環状部と、該下環状部に連なっており、前記排水ソケットが着脱可能に嵌合する上環状部とを有しており、該上環状部と排水ソケットとの間がOリングでシールされていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4の便器の排水口と排水管との接続装置は、請求項3において、前記排水ソケットは該上環状部に対し外嵌するものであり、前記Oリングは該上環状部に装着されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5の便器の排水口と排水管との接続装置は、請求項3において、前記排水ソケットは該上環状部に対し内嵌するものであり、前記Oリングは該排水ソケットに装着されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6の便器の排水口と排水管との接続装置は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記排水ソケットは、床面に沿って張り出す張出部を備えており、該張出部に該排水ソケットを床面に固定する固定具の挿通部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の便器の排水口と排水管との接続装置は、排水管に装着されるアダプタと、このアダプタに装着される排水ソケットとを有している。このアダプタに対し排水ソケットが着脱可能に装着されるため、排水ソケットを排水管から分離することができる。従って、例えば便器のリフォーム時などに、便器に合わせて排水ソケットを別のものに交換することができる。また、排水管詰まり等が生じたときには、排水ソケットを取り外して排水管内の作業を行うことができる。
【0016】
この排水ソケットとアダプタとの間をOリングによってシールすることにより、排水ソケットをアダプタに対し回転させて向きを自在に変更、調節することができる。
【0017】
アダプタを下環状部と上環状部とで構成し、下環状部を排水管に内嵌させ、上環状部に排水ソケットを嵌合させる場合には、この上環状部と排水ソケットとの間にOリングを配置するのが好ましい。
【0018】
この場合、Oリングを上環状部側に装着してもよく、排水ソケット側に装着してもよい。
【0019】
この排水ソケットを床面に固定することにより、排水ソケットが外れたり、位置ずれによるシール不良が発生したりすることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(a)〜(d)は実施の形態に係る便器の排水口と排水管との接続装置を示す断面図である。
【0021】
トイレルームの床面1に管軸心方向を上下方向として塩ビ等よりなる排水管10が設けられている。この排水管10の上端は床面1と略面一となっている。
【0022】
便器の排水口と排水管との接続装置は、アダプタ20と、該アダプタ20に装着されたOリング30と、該アダプタ20に外嵌接続される排水ソケット40と、該排水ソケット40に装着されたジョイントパッキン50とを有する。
【0023】
アダプタ20は、排水管10に内嵌する下環状部21と、該下環状部21よりも大径であり、床面1上に配置される上環状部22とを有している。この上環状部22の外周面に複数条(この実施の形態では2条)の溝が周設され、該溝にOリング30が装着されている。
【0024】
この下環状部21が排水管10に内嵌され、接着剤によって接着固定される。なお、上環状部22の底面が床面1上に当接する。
【0025】
排水ソケット40は、略円筒状であり、その下部41が該上環状部22に外嵌し、該下部41よりも小径の中部42が上方に立ち上がり、該中部42よりも大径の上部43の上端にジョイントパッキン50が装着されている。
【0026】
なお、本実施の形態では中部42は上部43よりも小径であるが、中部42は上部43と同一径であってもよい。
【0027】
下部41を上環状部22に外嵌させるようにして排水ソケット40を床面1上に設置すると、該下部41の内周面が全周にわたってOリング30に水密的に重なる。
【0028】
この排水ソケット40の上端のジョイントパッキン50に対し、上方から排水口60を差し込むようにして、便器が床面1上に据え付けられる。
【0029】
この実施の形態では、排水ソケット40はアダプタ20に対し外嵌し、着脱自在であり、またアダプタ20に外嵌させた状態で回転可能である。従って、排水管10内の詰まり除去作業を行うときなどには排水ソケット40を容易に取り外すことができる。また、排水ソケット40の向きを自在に調節することもできる。
【0030】
なお、上環状部22が床面1の上面に当接しているので、アダプタ20の姿勢が安定する。また、上環状部22が下環状部21よりも大径であり、Oリング30も大径となるため、上環状部22の外周面と排水ソケット下部41の内周面とのシール性が向上する。
【0031】
第1図ではOリング30がアダプタ20に装着されているが、第2図では排水ソケット40Aの下部41の外周面にOリング装着溝を設け、この溝にOリング30を装着している。アダプタ20Aの上環状部22の外周面は平滑となっている。
【0032】
第2図のその他の構成は第1図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0033】
第2図は第1図と比べて、排水ソケット40Aの下部41の外周面にOリング装着溝を設け、この溝にOリング30を装着し、該下部41がアダプタ20に対し内嵌している点で異なるが、この第2図の便器の排水口と排水管との接続装置によっても第1図の便器の排水口と排水管との接続装置と同様の作用効果が奏される。
【0034】
第1,2図の排水ソケット40,40Aはオリフィスを有していないが、第3,4図の排水ソケット40B,40Cのように中部42から下方に垂下する垂下部44を設けてもよい。この垂下部44は中部42と同軸等径であり、下端は若干内方へ鍔状に突出してオリフィスを形成している。この垂下部44を設けたことにより、便器の排水トラップにサイホンを容易に形成することができる。第3,4図のその他の構成はそれぞれ第1,2図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0035】
本発明では、第5,6図の排水ソケット40’,40A’のように下部41の側方へ張り出す張出部45を設け、この張出部45を床面1に重ね、ビス70で床面1に留め付けるようにしてもよい。このように排水ソケット40’,40A’を床面1に固定すると、便器据え付け時に排水ソケット40’,40A’がずれ動くことが防止される。なお、ビス70は着脱可能であるため、排水ソケット40’,40A’も着脱可能である。
【0036】
第5,6図のその他の構成は第1,2図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。なお、第3,4図など、その他の排水ソケットにおいても張出部を設けてもよいことは当然である。
【0037】
本発明では、第7,8図に示すように、アダプタは床面1の上面に当接しないように構成されてもよい。このアダプタ80は、下部81と上部82とが略等内径であり、上部82の外径が下部81の外径よりも若干大きなものとなっている。この上部82の外周面に2条の溝が周設され、Oリング30が装着されている。
【0038】
このアダプタ80は、下部81を排水管10の上端に挿入し、該下部81の外周面と排水管10の上部内周面とが接着剤で接着固定される。このアダプタ80に対し排水ソケット90が装着される。
【0039】
この排水ソケット90は、筒軸心方向を若干傾斜させた筒状胴部91と、該胴部91に連なり、アダプタ81内に差し込まれた筒状オリフィス92と、該オリフィス92を取り巻く脚筒部93と、該脚筒部93の下端に連なり、外方に張り出す張出部94とを備えている。脚筒部93をアダプタ80の上部82に外嵌させ、脚筒部93の下端及び張出部94を床面1上に当接させる。脚筒部93の内周面はOリング30に水密的に接触する。なお、張出部94を床面1にビス留めしてもよい。
【0040】
この排水ソケット90の上端にジョイントパッキン50Aが装着される。便器の排水口(第7,8図では図示略)が該ジョイントパッキン50Aを通って排水ソケット90の上部に差し込まれる。
【0041】
第8図の排水ソケット90では、胴部91の筒軸心方向が傾斜しているが、第9図の排水ソケット90Aのように胴部91の筒軸心方向が鉛直方向となっていてもよい。第9図のその他の構成は第8図と同様であり同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0042】
本発明では、排水管の口径に合わせて下環状部の口径の異なるアダプタを用いてもよく、アダプタと排水管との間にパッキン等の部材を介在させて、異口径排水管に同一機種のアダプタを装着するようにしてもよい。
【0043】
第10図(a),(b)は前者(専用型)のアダプタ21’,20を対比して示している。
【0044】
第10図(b)のアダプタ20は、前記第1図に示したものと同一であり、排水管10はVU75(JIS K 6741で規定する硬質塩化ビニル管。外径89mm、厚さ2.7mm)である。
【0045】
第10図(a)の排水管11はVP75(外径89mm、厚さ5.5mm)である。VU75に比べて肉厚、小口径であるので、アダプタ20’の下環状部21’はアダプタ20の下環状部20よりも外径が小さいものとなっている。アダプタ20’,20のその他の構成、寸法は同一となっている。
【0046】
第11図は、このアダプタ20’をVU75よりなる排水管10に用いた場合を示している。下環状部21’と排水管10との間には、パッキン等の隙間閉塞部材100が介在されている。
【0047】
第12図(a)はVP100(外径114mm、厚さ6.6mm)よりなる排水管12に対し、下部81及び上部82を有したアダプタ80Aを装着している。このアダプタ80Aの上部82は、下部81よりも内径及び外径がいずれも若干大きいものとなっている。上部82の外径は排水管12と略等径である。上部82にOリング30が装着されている。なお、下部81は排水管12に差し込まれ、接着剤によって接着されている。
【0048】
第12図(b)は、VU100(外径114mm、厚さ3.1mm)よりなる排水管13にこのアダプタ80Aを装着した状態を示している。排水管13の内周面と下部81の外周面との間にはパッキン等の閉塞部材100Aが介在されている。
【0049】
本発明の接続装置は、排水管が可撓管よりなる場合にあっても用いることができる。第15図は第1図の接続装置を可撓管よりなる排水管に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【0050】
トイレルームの床面1に管軸心方向を上下方向として塩ビ等よりなる可撓管(排水管)10Aが設けられている。この可撓管10Aの上端には、外周面の溝部に沿ってCリング110が装着されている。このCリング110の底面が床面1の上面に当接している。該Cリング110によって該可撓管10Aが床下に落ち込むことが防止されている。
【0051】
便器の排水口と排水管との接続装置は、アダプタ20と、該アダプタ20に装着されたOリング30と、該アダプタ20に外嵌接続される排水ソケット40と、該排水ソケット40に装着されたジョイントパッキン50とを有する。
【0052】
アダプタ20は、可撓管10Aに内嵌する下環状部21と、該下環状部21よりも大径であり、床面1上に配置される上環状部22とを有している。この上環状部22の外周面に複数条(この実施の形態では2条)の溝が周設され、該溝にOリング30が装着されている。この下環状部21が可撓管10Aに内嵌され、接着剤によって接着固定される。
【0053】
排水ソケット40は、略円筒状であり、その下部41が該上環状部22に外嵌し、該下部41よりも小径の中部42が上方に立ち上がり、該中部42よりも大径の上部43の上端にジョイントパッキン50が装着されている。
【0054】
下部41を上環状部22に外嵌させるようにして排水ソケット40をCリング110上に設置すると、該下部41の内周面が全周にわたってOリング30に水密的に重なる。
【0055】
この排水ソケット40の上端のジョイントパッキン50に対し、上方から図示しない排水口を差し込むようにして、便器が床面1上に据え付けられる。
【0056】
第16図は、第2図の接続装置を可撓管よりなる排水管に取り付けた状態を示す縦断面図である。第16図では排水ソケット40Aの下部41の外周面にOリング装着溝を設け、この溝にOリング30を装着している。アダプタ20Aの上環状部22の外周面は平滑となっている。第16図のその他の構成は第15図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0057】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施の形態を示す断面図である。
【図2】実施の形態を示す断面図である。
【図3】実施の形態を示す断面図である。
【図4】実施の形態を示す断面図である。
【図5】実施の形態を示す断面図である。
【図6】実施の形態を示す断面図である。
【図7】実施の形態を示す断面図である。
【図8】実施の形態を示す断面図である。
【図9】実施の形態を示す断面図である。
【図10】実施の形態を示す断面図である。
【図11】実施の形態を示す断面図である。
【図12】実施の形態を示す断面図である。
【図13】従来例を示す断面図である。
【図14】従来例を示す斜視図である。
【図15】第1図の接続装置を可撓管よりなる排水管に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図16】第2図の接続装置を可撓管よりなる排水管に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 床面
10,11,12,13 排水管
20,20’,20A,20A’,80,80A アダプタ
30 Oリング
40,40’,40A,40A’,90,90A 排水ソケット
50,50A ジョイントパッキン
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器の排水口と排水管との接続装置に関するものであり、特にトイレルーム床面の排水管と便器の排水口とを排水ソケットを介して接続するようにした便器の排水口と排水管との接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレルーム床面の排水管と便器の排水口とを排水ソケットを介して接続するようにした便器の排水口と排水管との接続装置の従来例にあっては、特開平11−324082号に記載されている通り、排水口に排水ソケットを嵌合させて接着剤によって接着し、この排水ソケットに対し便器の排水口を上方から嵌合させるようにしている。
【0003】
第13,14図はかかる特開平11−324082号の便器の排水口と排水管との接続装置を示す断面図及び分解斜視図である。
【0004】
トイレルームの床面1に排水管2が上下方向に設置され、該排水管2の上端が床面1から若干上方に突出している。
【0005】
排水ソケット3が該排水管2の上端に嵌合し、接着剤によって接着されている。なお、排水ソケット3は筒状の下胴部3aを有しており、該下胴部3aが排水管2の上部に外嵌し、下胴部3aの内周面と排水管2の外周面とが接着されている。排水ソケット3の下部からフランジ部3bが外方に突設され、該フランジ部3bがビス4によって床面1に固定されている。
【0006】
排水ソケット3の上端部に環状のジョイントパッキン5が装着され、該ジョイントパッキン5に便器6の排水口6aが上方から差し込まれている。
【特許文献1】特開平11−324082号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特開平11−324082号の便器の排水口と排水管との接続装置にあっては、排水ソケット3が排水管2に対し接着されているため、便器のリフォームに際し排水ソケット3を別機種のものに交換することができない。また、排水管2内に閉塞等が生じたときにも、排水ソケット3を外すことができないので、排水管2内の作業を行いにくい。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決するために、排水ソケットを排水管に対し着脱可能とした便器の排水口と排水管との接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の便器の排水口と排水管との接続装置は、床の排水管に対し便器の排水口を接続する接続装置において、該排水口が上方から差し込まれる排水ソケットと、該排水管に取り付けられ、該排水ソケットが着脱可能に嵌合する環状のアダプタとを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の便器の排水口と排水管との接続装置は、請求項1において、該排水ソケットとアダプタとの嵌合部をシールするOリングを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の便器の排水口と排水管との接続装置は、請求項2において、前記アダプタは、前記排水管に対し内嵌する下環状部と、該下環状部に連なっており、前記排水ソケットが着脱可能に嵌合する上環状部とを有しており、該上環状部と排水ソケットとの間がOリングでシールされていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4の便器の排水口と排水管との接続装置は、請求項3において、前記排水ソケットは該上環状部に対し外嵌するものであり、前記Oリングは該上環状部に装着されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5の便器の排水口と排水管との接続装置は、請求項3において、前記排水ソケットは該上環状部に対し内嵌するものであり、前記Oリングは該排水ソケットに装着されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6の便器の排水口と排水管との接続装置は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記排水ソケットは、床面に沿って張り出す張出部を備えており、該張出部に該排水ソケットを床面に固定する固定具の挿通部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の便器の排水口と排水管との接続装置は、排水管に装着されるアダプタと、このアダプタに装着される排水ソケットとを有している。このアダプタに対し排水ソケットが着脱可能に装着されるため、排水ソケットを排水管から分離することができる。従って、例えば便器のリフォーム時などに、便器に合わせて排水ソケットを別のものに交換することができる。また、排水管詰まり等が生じたときには、排水ソケットを取り外して排水管内の作業を行うことができる。
【0016】
この排水ソケットとアダプタとの間をOリングによってシールすることにより、排水ソケットをアダプタに対し回転させて向きを自在に変更、調節することができる。
【0017】
アダプタを下環状部と上環状部とで構成し、下環状部を排水管に内嵌させ、上環状部に排水ソケットを嵌合させる場合には、この上環状部と排水ソケットとの間にOリングを配置するのが好ましい。
【0018】
この場合、Oリングを上環状部側に装着してもよく、排水ソケット側に装着してもよい。
【0019】
この排水ソケットを床面に固定することにより、排水ソケットが外れたり、位置ずれによるシール不良が発生したりすることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(a)〜(d)は実施の形態に係る便器の排水口と排水管との接続装置を示す断面図である。
【0021】
トイレルームの床面1に管軸心方向を上下方向として塩ビ等よりなる排水管10が設けられている。この排水管10の上端は床面1と略面一となっている。
【0022】
便器の排水口と排水管との接続装置は、アダプタ20と、該アダプタ20に装着されたOリング30と、該アダプタ20に外嵌接続される排水ソケット40と、該排水ソケット40に装着されたジョイントパッキン50とを有する。
【0023】
アダプタ20は、排水管10に内嵌する下環状部21と、該下環状部21よりも大径であり、床面1上に配置される上環状部22とを有している。この上環状部22の外周面に複数条(この実施の形態では2条)の溝が周設され、該溝にOリング30が装着されている。
【0024】
この下環状部21が排水管10に内嵌され、接着剤によって接着固定される。なお、上環状部22の底面が床面1上に当接する。
【0025】
排水ソケット40は、略円筒状であり、その下部41が該上環状部22に外嵌し、該下部41よりも小径の中部42が上方に立ち上がり、該中部42よりも大径の上部43の上端にジョイントパッキン50が装着されている。
【0026】
なお、本実施の形態では中部42は上部43よりも小径であるが、中部42は上部43と同一径であってもよい。
【0027】
下部41を上環状部22に外嵌させるようにして排水ソケット40を床面1上に設置すると、該下部41の内周面が全周にわたってOリング30に水密的に重なる。
【0028】
この排水ソケット40の上端のジョイントパッキン50に対し、上方から排水口60を差し込むようにして、便器が床面1上に据え付けられる。
【0029】
この実施の形態では、排水ソケット40はアダプタ20に対し外嵌し、着脱自在であり、またアダプタ20に外嵌させた状態で回転可能である。従って、排水管10内の詰まり除去作業を行うときなどには排水ソケット40を容易に取り外すことができる。また、排水ソケット40の向きを自在に調節することもできる。
【0030】
なお、上環状部22が床面1の上面に当接しているので、アダプタ20の姿勢が安定する。また、上環状部22が下環状部21よりも大径であり、Oリング30も大径となるため、上環状部22の外周面と排水ソケット下部41の内周面とのシール性が向上する。
【0031】
第1図ではOリング30がアダプタ20に装着されているが、第2図では排水ソケット40Aの下部41の外周面にOリング装着溝を設け、この溝にOリング30を装着している。アダプタ20Aの上環状部22の外周面は平滑となっている。
【0032】
第2図のその他の構成は第1図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0033】
第2図は第1図と比べて、排水ソケット40Aの下部41の外周面にOリング装着溝を設け、この溝にOリング30を装着し、該下部41がアダプタ20に対し内嵌している点で異なるが、この第2図の便器の排水口と排水管との接続装置によっても第1図の便器の排水口と排水管との接続装置と同様の作用効果が奏される。
【0034】
第1,2図の排水ソケット40,40Aはオリフィスを有していないが、第3,4図の排水ソケット40B,40Cのように中部42から下方に垂下する垂下部44を設けてもよい。この垂下部44は中部42と同軸等径であり、下端は若干内方へ鍔状に突出してオリフィスを形成している。この垂下部44を設けたことにより、便器の排水トラップにサイホンを容易に形成することができる。第3,4図のその他の構成はそれぞれ第1,2図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0035】
本発明では、第5,6図の排水ソケット40’,40A’のように下部41の側方へ張り出す張出部45を設け、この張出部45を床面1に重ね、ビス70で床面1に留め付けるようにしてもよい。このように排水ソケット40’,40A’を床面1に固定すると、便器据え付け時に排水ソケット40’,40A’がずれ動くことが防止される。なお、ビス70は着脱可能であるため、排水ソケット40’,40A’も着脱可能である。
【0036】
第5,6図のその他の構成は第1,2図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。なお、第3,4図など、その他の排水ソケットにおいても張出部を設けてもよいことは当然である。
【0037】
本発明では、第7,8図に示すように、アダプタは床面1の上面に当接しないように構成されてもよい。このアダプタ80は、下部81と上部82とが略等内径であり、上部82の外径が下部81の外径よりも若干大きなものとなっている。この上部82の外周面に2条の溝が周設され、Oリング30が装着されている。
【0038】
このアダプタ80は、下部81を排水管10の上端に挿入し、該下部81の外周面と排水管10の上部内周面とが接着剤で接着固定される。このアダプタ80に対し排水ソケット90が装着される。
【0039】
この排水ソケット90は、筒軸心方向を若干傾斜させた筒状胴部91と、該胴部91に連なり、アダプタ81内に差し込まれた筒状オリフィス92と、該オリフィス92を取り巻く脚筒部93と、該脚筒部93の下端に連なり、外方に張り出す張出部94とを備えている。脚筒部93をアダプタ80の上部82に外嵌させ、脚筒部93の下端及び張出部94を床面1上に当接させる。脚筒部93の内周面はOリング30に水密的に接触する。なお、張出部94を床面1にビス留めしてもよい。
【0040】
この排水ソケット90の上端にジョイントパッキン50Aが装着される。便器の排水口(第7,8図では図示略)が該ジョイントパッキン50Aを通って排水ソケット90の上部に差し込まれる。
【0041】
第8図の排水ソケット90では、胴部91の筒軸心方向が傾斜しているが、第9図の排水ソケット90Aのように胴部91の筒軸心方向が鉛直方向となっていてもよい。第9図のその他の構成は第8図と同様であり同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0042】
本発明では、排水管の口径に合わせて下環状部の口径の異なるアダプタを用いてもよく、アダプタと排水管との間にパッキン等の部材を介在させて、異口径排水管に同一機種のアダプタを装着するようにしてもよい。
【0043】
第10図(a),(b)は前者(専用型)のアダプタ21’,20を対比して示している。
【0044】
第10図(b)のアダプタ20は、前記第1図に示したものと同一であり、排水管10はVU75(JIS K 6741で規定する硬質塩化ビニル管。外径89mm、厚さ2.7mm)である。
【0045】
第10図(a)の排水管11はVP75(外径89mm、厚さ5.5mm)である。VU75に比べて肉厚、小口径であるので、アダプタ20’の下環状部21’はアダプタ20の下環状部20よりも外径が小さいものとなっている。アダプタ20’,20のその他の構成、寸法は同一となっている。
【0046】
第11図は、このアダプタ20’をVU75よりなる排水管10に用いた場合を示している。下環状部21’と排水管10との間には、パッキン等の隙間閉塞部材100が介在されている。
【0047】
第12図(a)はVP100(外径114mm、厚さ6.6mm)よりなる排水管12に対し、下部81及び上部82を有したアダプタ80Aを装着している。このアダプタ80Aの上部82は、下部81よりも内径及び外径がいずれも若干大きいものとなっている。上部82の外径は排水管12と略等径である。上部82にOリング30が装着されている。なお、下部81は排水管12に差し込まれ、接着剤によって接着されている。
【0048】
第12図(b)は、VU100(外径114mm、厚さ3.1mm)よりなる排水管13にこのアダプタ80Aを装着した状態を示している。排水管13の内周面と下部81の外周面との間にはパッキン等の閉塞部材100Aが介在されている。
【0049】
本発明の接続装置は、排水管が可撓管よりなる場合にあっても用いることができる。第15図は第1図の接続装置を可撓管よりなる排水管に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【0050】
トイレルームの床面1に管軸心方向を上下方向として塩ビ等よりなる可撓管(排水管)10Aが設けられている。この可撓管10Aの上端には、外周面の溝部に沿ってCリング110が装着されている。このCリング110の底面が床面1の上面に当接している。該Cリング110によって該可撓管10Aが床下に落ち込むことが防止されている。
【0051】
便器の排水口と排水管との接続装置は、アダプタ20と、該アダプタ20に装着されたOリング30と、該アダプタ20に外嵌接続される排水ソケット40と、該排水ソケット40に装着されたジョイントパッキン50とを有する。
【0052】
アダプタ20は、可撓管10Aに内嵌する下環状部21と、該下環状部21よりも大径であり、床面1上に配置される上環状部22とを有している。この上環状部22の外周面に複数条(この実施の形態では2条)の溝が周設され、該溝にOリング30が装着されている。この下環状部21が可撓管10Aに内嵌され、接着剤によって接着固定される。
【0053】
排水ソケット40は、略円筒状であり、その下部41が該上環状部22に外嵌し、該下部41よりも小径の中部42が上方に立ち上がり、該中部42よりも大径の上部43の上端にジョイントパッキン50が装着されている。
【0054】
下部41を上環状部22に外嵌させるようにして排水ソケット40をCリング110上に設置すると、該下部41の内周面が全周にわたってOリング30に水密的に重なる。
【0055】
この排水ソケット40の上端のジョイントパッキン50に対し、上方から図示しない排水口を差し込むようにして、便器が床面1上に据え付けられる。
【0056】
第16図は、第2図の接続装置を可撓管よりなる排水管に取り付けた状態を示す縦断面図である。第16図では排水ソケット40Aの下部41の外周面にOリング装着溝を設け、この溝にOリング30を装着している。アダプタ20Aの上環状部22の外周面は平滑となっている。第16図のその他の構成は第15図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0057】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施の形態を示す断面図である。
【図2】実施の形態を示す断面図である。
【図3】実施の形態を示す断面図である。
【図4】実施の形態を示す断面図である。
【図5】実施の形態を示す断面図である。
【図6】実施の形態を示す断面図である。
【図7】実施の形態を示す断面図である。
【図8】実施の形態を示す断面図である。
【図9】実施の形態を示す断面図である。
【図10】実施の形態を示す断面図である。
【図11】実施の形態を示す断面図である。
【図12】実施の形態を示す断面図である。
【図13】従来例を示す断面図である。
【図14】従来例を示す斜視図である。
【図15】第1図の接続装置を可撓管よりなる排水管に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図16】第2図の接続装置を可撓管よりなる排水管に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 床面
10,11,12,13 排水管
20,20’,20A,20A’,80,80A アダプタ
30 Oリング
40,40’,40A,40A’,90,90A 排水ソケット
50,50A ジョイントパッキン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床の排水管に対し便器の排水口を接続する接続装置において、
該排水口が上方から差し込まれる排水ソケットと、
該排水管に取り付けられ、該排水ソケットが着脱可能に嵌合する環状のアダプタと
を備えたことを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項2】
請求項1において、該排水ソケットとアダプタとの嵌合部をシールするOリングを備えたことを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項3】
請求項2において、前記アダプタは、前記排水管に対し内嵌する下環状部と、
該下環状部に連なっており、前記排水ソケットが着脱可能に嵌合する上環状部とを有しており、
該上環状部と排水ソケットとの間がOリングでシールされていることを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項4】
請求項3において、前記排水ソケットは該上環状部に対し外嵌するものであり、前記Oリングは該上環状部に装着されていることを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項5】
請求項3において、前記排水ソケットは該上環状部に対し内嵌するものであり、前記Oリングは該排水ソケットに装着されていることを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記排水ソケットは、床面に沿って張り出す張出部を備えており、該張出部に該排水ソケットを床面に固定する固定具の挿通部が設けられていることを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項1】
床の排水管に対し便器の排水口を接続する接続装置において、
該排水口が上方から差し込まれる排水ソケットと、
該排水管に取り付けられ、該排水ソケットが着脱可能に嵌合する環状のアダプタと
を備えたことを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項2】
請求項1において、該排水ソケットとアダプタとの嵌合部をシールするOリングを備えたことを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項3】
請求項2において、前記アダプタは、前記排水管に対し内嵌する下環状部と、
該下環状部に連なっており、前記排水ソケットが着脱可能に嵌合する上環状部とを有しており、
該上環状部と排水ソケットとの間がOリングでシールされていることを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項4】
請求項3において、前記排水ソケットは該上環状部に対し外嵌するものであり、前記Oリングは該上環状部に装着されていることを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項5】
請求項3において、前記排水ソケットは該上環状部に対し内嵌するものであり、前記Oリングは該排水ソケットに装着されていることを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記排水ソケットは、床面に沿って張り出す張出部を備えており、該張出部に該排水ソケットを床面に固定する固定具の挿通部が設けられていることを特徴とする便器の排水口と排水管との接続装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−162305(P2007−162305A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359166(P2005−359166)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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