説明

便器洗浄装置

【課題】給水流路からの分岐給水流路の分岐点よりも上流側の給水流路に主弁を設けることにより、調圧弁やバキュームブレーカの数を減らすことができる便器洗浄装置を提供する。
【解決手段】給水流路としての給水管10に主弁V、調圧弁VREGが設けられ、その下流側から分岐給水流路としての配管15が分岐し、エゼクタ21に接続されている。便鉢洗浄のために第1起動弁Vを操作すると、まず主弁Vが開弁する。エゼクタ給水弁Vは開となっている。これにより、洗浄水が給水管10からリム3を通って便鉢2に給水される。また、エゼクタ21によりエアタンク20内に負圧が蓄積する。リム3への給水開始後、所定時間が経過して汚物排出工程になると、開閉弁Vを開とし、排水流路5内の空気をエアタンク20内に吸引し、強力なサイホン排出流を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
便鉢の下部に連なる第1トラップ部と、この第1トラップ部の下流側の第2トラップ部と、便器洗浄時に第1トラップ部と第2トラップ部との間から排気してサイホン形成を早期化するための負圧発生用アスピレータとを設けた洋風便器設備が特開平10−96255号公報に記載されている。
【0003】
特開2002−61262号には、便器洗浄に際し、エゼクタによってトラップの頂部から空気を吸い出し、この空気をトラップの下降管路へ吐出するようにした便器の洗浄方法が記載されている。
【特許文献1】特開平10−96255号公報
【特許文献2】特開2002−61262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開平10−96255号公報では、便器のリムへ供給される便器洗浄水の全量がアスピレータを通過するよう構成されているため、リムへ短時間に多量の洗浄水を供給することができず、便器洗浄特性に劣る。
【0005】
特開2002−61262号公報では、給水流路から分岐した分岐給水流路にエゼクタ(同号公報では、エジェクタ作用を有するジェットポンプと称している。)を設けているが、この分岐点よりも下流側の給水流路と分岐給水流路とに各々主弁及びバキュームブレーカを設けている。
【0006】
本発明は、この分岐点よりも上流側の給水流路に主弁を設けることにより、調圧弁やバキュームブレーカの数を減らすことができる便器洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の便器洗浄装置は、便器の便鉢に便器洗浄水を供給する給水流路と、便器のトラップの下流側に連なる排水流路と、該給水流路から分岐した分岐給水流路を介して水が導入されて負圧を発生させ、この負圧によって該排水流路から空気を吸引排出するエゼクタとを有する便器洗浄装置において、該給水流路のうち分岐給水流路の分岐点よりも上流側に便器洗浄用の主弁を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の便器洗浄装置は、請求項1において、前記分岐給水流路にエゼクタ給水弁を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の便器洗浄装置は、請求項1又は2において、前記主弁と分岐点との間の給水流路に調圧弁を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4の便器洗浄装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記分岐点よりも下流側の給水流路にバキュームブレーカが設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、便器洗浄に際し、トラップ下流側の排水流路から空気を吸引排出するので、便鉢から排水流路へ流出するサイホン排出流が早期に形成される。
【0012】
本発明では、給水流路から便器の便鉢に便器洗浄水が供給され、給水流路から分岐した分岐給水流路を介してエゼクタに水が導入されるので、便鉢へ供給される便器洗浄水は、エゼクタを通過することなく便鉢へ供給される。このため、便鉢へ短時間に多量の洗浄水を供給することができ、便器洗浄特性に優れる。
【0013】
本発明では、便器洗浄水供給用の給水流路のうち、分岐給水流路よりも上流側に主弁を設けているので、分岐給水流路よりも下流側の給水流路には便器洗浄弁は不要である。
【0014】
また、この主弁と分岐点との間に調圧弁を設けることにより、便器洗浄用及びエゼクタ給水用の水の調圧を1個の調圧弁で行うことができる。
【0015】
バキュームブレーカは、分岐点よりも下流側の給水流路に設ければ足りる。
【0016】
なお、分岐給水流路にエゼクタ給水弁を設けることにより、便器洗浄中の任意の時期にエゼクタを作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
第1図は実施の形態に係る便器洗浄装置を備えた洋風便器設備の模式図、第2図は第1図の便器洗浄装置の作動を説明するフロー図である。第3図〜第8図は、第1図の洋風便器設備が、それぞれ順に、非洗浄時、便鉢水位上昇工程、汚物排出工程、トラップ−サブとラップ間圧力の大気開放工程、覆水・負圧蓄積工程及び待機状態にあるときの作動状態を示す模式図である。なお、第3図〜第8図では、見易くするために第1図のうちの一部の図示を省略している。
【0019】
陶器製の洋風便器本体1における便鉢2の上部内周にリム3が設けられている。便鉢2は、トラップ4、排水流路5及びサブトラップ6を介して排水口7と連通している。この排水流路5は、トラップ最高位部4aから、下方に立ち下がってサブトラップ6に連なっている。排水口7は排水管に接続される。
【0020】
このサブトラップ6は、該排水流路5の管壁下部の最低位部6bの下側を回り込み、次いで溢出用の最高位部6aに到るU字状流路よりなる。このサブトラップ6の該最高位部6aの高さは、該最低位部6bよりも若干高位となっており、便器の非使用時に該最低位部6bがサブトラップ6の封水中に没している。
【0021】
ただし、該最低位部6bは、最高位部6aよりも若干高位とされ、便器非使用時のサブトラップ6の封水面よりも若干上位に位置してもよい。このように最低位部6bが封水面よりも上位となっていても、排水流路5に負圧がかけられたり、サブトラップ6に水が流れ込んだりして水位が上昇したときには、該最低位部6bが封水中に浸り、排水流路5内と排水口7側とを封隔することが可能である。
【0022】
上記リム3に対し給水流路としての給水管10が接続されている。なお、この便器本体1は、リム3に対し便鉢後方側から右側又は左側3にのみ水が供給される片回り給水方式となっている。給水管10より便鉢後方側から右側又は左側のリム3に向って水が前方に供給されると、便鉢2内に右回り又は左回りの旋回流が形成される。
【0023】
この給水管10には、上流側から順次に主弁V、調圧弁VREG、水車12を有する水車ユニット11及びバキュームブレーカ14が設けられている。
【0024】
この主弁Vは弁体のヘッド側に給水圧を印加して弁体を弁シート部に着座させて閉弁させると共に、このヘッド側の水圧を第1起動弁V又は第2起動弁Vによって開放することにより開弁する水圧管制式の弁である。
【0025】
この第1起動弁Vの排水側は配管18aを介して主弁Vと調圧弁VREGとの間に接続されている。第2起動弁Vの排水側は配管18bによって後述するケーシング50内に連通している。第1起動弁Vは、押すことにより開弁し、手を離すと閉弁する自閉弁よりなる。
【0026】
該給水管10の水車ユニット11とバキュームブレーカ14との間の位置から、エゼクタ給水弁Vを備えた分岐給水流路としての配管15が分岐している。この配管15の末端は、負圧蓄積用エアタンク20内に配置されたエゼクタ21の流入口に接続されている。
【0027】
エゼクタ21のスロート部に設けられた空気吸引口に、逆止弁23を備えた空気吸引配管22の基端が接続されている。該配管22の先端はエアタンク20の底面近傍に配置されており、エアタンク20内に水が溜っても、エゼクタ21の作動時にこの水を配管22を介して吸引排出することが可能とされている。
【0028】
上記逆止弁23は、空気が空気吸引配管22からエゼクタ21へ流れることを許容し、これと反対方向へ空気が流れることを阻止するものである。
【0029】
エゼクタ21の流出口に配管16の一端が接続されており、該配管16の他端はエアタンク20外に引き出され、フロート弁装置30の上部の水用ポート30aに接続されている。このフロート弁装置30の下部は配管33を介して排水流路5の上部に連通している。フロート弁装置30の構成については後述する。
【0030】
エゼクタ21は通水方向を上向きとして設置されており、前記配管15はエゼクタ給水弁Vから立ち下ってエゼクタ21の下端の流入口に連なっている。前記配管16は、エゼクタ21の上端の流出口に連なって上方に立ち上っている。これらの配管15、エゼクタ21及び配管16により、略U字形のトラップが構成されている。このトラップは、配管16から配管15側への水の流れを阻止する機能を有する。
【0031】
エアタンク20の上部に負圧伝達用の配管24が接続されており、該配管24は開閉弁V及び配管25を介してフロート弁装置30の上端部の負圧用ポート30bに接続されている。
【0032】
フロート弁装置30内の下部にはフロート弁支持体32が設けられており、このフロート弁支持体32の上側に上下方向に遊動可能なフロート弁31が配置されている。フロート弁31が支持体32上に載っているときには、前記ポート30a,30bは配管33を介して排水流路5に連通している。配管33を介して排水流路5から水がフロート弁装置30内に流入してきたときには、このフロート弁31はこの水に乗って上昇し、ポート30bに下側から着座して該ポート30bを塞ぎ、汚水が配管25よりもエアタンク20側へ流入することを阻止する。
【0033】
配管25の途中部分から配管26が分岐しており、この配管26の末端がサブトラップ6よりも下流側(排水口7の近傍)に接続されている。この配管26に開閉弁Vが設けられている。
【0034】
前記エゼクタ給水弁Vは弁体のヘッド側に給水圧を印加して弁体を弁シート部に着座させて閉弁させると共に、このヘッド側の水圧を起動弁Vによって開放することにより開弁する水圧管制式の弁である。この起動弁Vは配管35によって該エゼクタ給水弁Vのヘッド側に連通している。
【0035】
前記主弁Vの管制用の第2起動弁Vと、このエゼクタ起動弁Vと、前記開閉弁V,Vとは、いずれもカム駆動式となっており、共通のカムシャフト40に固着されたカム41,42,43,44とカムロッド41a,42a,43a,44aとによって作動される。このカムシャフト44は、前記水車ユニット11内の水車12に対し歯車列45を介して連結されている。また、このカムシャフト40には手動レバー46が固着され、手動によっても回動可能とされている。
【0036】
起動弁V,Vを囲むようにケーシング50が設けられている。起動弁V,Vからの排水は、該ケーシング50から配管51を介してリム3へ排出される。
【0037】
このように構成された洋風便器設備の作動について次に説明する。
【0038】
[非洗浄時(第3図)]
第2図において、t時点よりも前の非洗浄時には、主弁V及び主弁用の第1,第2起動弁V,Vは閉弁している。
【0039】
この状態では、エゼクタ起動弁Vが開とされており、エゼクタ給水弁Vも開となっている。ただし、給水管10には通水されていないので、エゼクタ21は停止している。
【0040】
この状態では、開閉弁Vは閉弁しており、エアタンク20内が密閉されている。従って、後述する覆水・負圧蓄圧工程においてエアタンク20内に蓄圧された負圧がそのまま保持されている。
【0041】
また、この状態では、開閉弁Vは開弁している。開閉弁Vが開弁しているため、排水流路5は排水管内と連通し、通常は大気圧となっている。
【0042】
[便鉢水位上昇工程(第4図)]
用便後、便器使用者によって第1起動弁V又は手動レバー45が操作される。
【0043】
説明の便宜上、ここでは第1起動弁Vが操作された場合について説明する。
【0044】
起動弁Vが操作されたときには、主弁Vのヘッド側の水圧が起動弁Vを介して主弁Vの下流側へ抜け、主弁Vが開弁する。これにより、給水管10から洗浄水がリム3に供給され、便鉢2の内面に沿って旋回しながら流れ落ち、便鉢2内に旋回流が形成される。このとき、便鉢2内の水の一部はトラップ最高位部4aを溢流して流出するが、リム3からの流入水量の方が多いので、便鉢2内の水位が上昇する。この旋回流により、固形排泄物が便鉢の中央側に集められると共に、ペーパーがほぐれて水となじみ、水中に分散するようになるので、後にサイホン排出流が形成されると、排泄物及びペーパーがスムーズに排出される。なお、トラップ最高位部4aを溢流した水はサブトラップ6に溜まる。このため、乾燥等によってサブトラップ6内の水位が低下していた場合にあっても、この溢流水によってサブトラップ6内の水位が上昇する。これにより、後述するサイホン排出流の形成が容易になる。
【0045】
また、給水管10内に洗浄水が流れると、水車ユニット11内の水車12が回転し、歯車列45を介してカムシャフト40が水車11の回転よりも減速して回転する。
【0046】
カムシャフト40の回転に伴ってカム42,43,44も回転し、弁V,V,Vが所定のタイミングで開弁する。
【0047】
この開弁や閉弁のタイミングについて第2図を参照して説明する。
【0048】
時点でカムシャフト40の回転が開始すると、直ちに主弁用の第2起動弁Vが開弁する。そのため、第1起動弁Vから手を離して該第1起動弁Vが閉弁した後も、主弁Vのヘッド側には水圧がかからず、主弁Vは開のままとなる。なお、主弁Vは、後述の通り、第2起動弁Vが閉となるまで開のままである。
【0049】
主弁Vの開の後、所定時間は便鉢2内の水位が上昇すると共に鉢面が洗浄され、また、前述の通り旋回流が形成される。
【0050】
このとき、エゼクタ起動弁Vが開のままでありエゼクタ給水弁Vも開となっているので、給水管10に水が流れるとエゼクタ21にも水が流れて負圧が発生し、この負圧によってエアタンク20内に負圧が蓄積される。なお、エゼクタ21の排出水は、配管16、フロート弁装置30を介して排水流路5へ排出される。このときのエゼクタ排水により、フロート弁装置30内が水洗いされる。また、このエゼクタ排水は、排水流路5を通ってサブトラップ6内に溜まり、これによりサブトラップ6内の水位が上昇する。
【0051】
所定時間が経過した時点tになると、エゼクタ起動弁Vが閉となり、エゼクタ給水弁Vが閉となる。これにより、給水管10を通る水のすべてが便鉢2へ供給されるようになる。
【0052】
このtと同一又は近接した時点tに達すると、開閉弁Vが閉とされ、排水流路5と排水口7側との配管25,26を介した連通が遮断され、排水流路5が閉空間となる。
【0053】
[汚物排出工程(第5図)]
の時点に達すると開閉弁Vが開放する。これにより、エアタンク20内の負圧が配管24,25、フロート弁装置30及び配管33を介して排水流路5に伝達され、排水流路5内が減圧される。このとき、便鉢2内の水位は第1図のΔHで示されるように十分に高くなっており、トラップ最高位部4aとの間の水頭差ΔHが十分に大きなものとなっている。このため、便鉢2内の汚水は、この水頭差ΔHと排水流路5内の負圧との重畳した付勢力によりトラップ4から排水流路5へ勢いよく排出され、トラップ4及び排水流路5内に強力なサイホン排出流が形成される。
【0054】
このように、本工程では負圧蓄圧のためにエゼクタ21に水を供給する必要がないため、給水管10を通るすべての水が便鉢2へ供給される。このため、便鉢2内の水位が十分に大きなものとなり、強力なサイホン排出流が形成される。また、前記便鉢水位上昇工程で予めエアタンク20内に十分に負圧が蓄積され、この負圧が本工程で排水流路5に伝達されるため、排水流路5内が瞬間的に減圧され、早期にサイホン排出流が形成される。
【0055】
なお、排水流路5内の汚水がフロート弁装置30内に吸引された場合、フロート弁31が浮力によって上昇し、ポート30bを閉止する。これにより、排水流路5内の汚水が配管25やエアタンク20内に逆流することが防止される。また、汚水で汚染されたフロート弁装置30の内面は、前述の通り、エゼクタ21の動作時にエゼクタ排出水により水洗いされる。
【0056】
この汚物排出工程の末期の時点tになると、開閉弁Vが閉弁し、エアタンク20からの負圧伝達が停止される。
【0057】
[トラップ−サブトラップ間圧力の待機開放工程(第6図)]
その後、t’の時点になると、開放弁Vが開となり、トラップ4とサブトラップ6との間が排水口7と連通し、このトラップ4とサブトラップ6との間が大気圧に戻る。これにより、後述する覆水・負圧蓄積工程において、便鉢2、トラップ4及びサブトラップ6への覆水・封水を安定して行うことができる。
【0058】
[覆水・負圧蓄積工程(第7図)]
その後、tの時点になると、エゼクタ起動弁Vが開とされ、これによりエゼクタ給水弁Vが開とされる。また、開閉弁Vが開とされる。このtの時点では便鉢2内の汚水はほぼ全量が排出されており、汚水と空気とが混合して所謂ゴボゴボと音をたてて排水流路5に向って流れている。このとき、開閉弁Vが閉とされているので、エアタンク20へ大気が流入することがなく、エアタンク30内の負圧の無駄な消費が回避される。
【0059】
の時点で開閉弁Vが開とされることにより排水流路5の負圧が解消し、便鉢2からの排水も停止する。このとき、主弁V、給水管10を介してリム3への給水が継続しているので、便鉢2内に徐々に水が溜まり、覆水が行われる。便鉢2内の水位は、トラップ最高位部4aと同水位まで上昇する。
【0060】
なお、tの時点でエゼクタ給水弁Vが開となることにより、エゼクタ21が起動し、エアタンク20内に再び負圧が蓄積される。
【0061】
[待機状態(第8図)]
の時点になると、主弁用第2起動弁Vが閉となり、これに追従して主弁Vが閉となり、給水管10の通水が停止する。これにより、便器洗浄装置は待機状態となる。
【0062】
給水管10の通水停止に伴って、エゼクタ21への通水も停止する。エゼクタ21のスロート部とエアタンク20との間には逆止弁23が設けられているので、停止したエゼクタ21からエアタンク20内へ大気が流入することはなく、エアタンク20内に蓄積された負圧がそのまま維持される。
【0063】
なお、tの時点になってもエゼクタ給水弁V、開閉弁Vは開のままであり、この状態が次回の便器洗浄(第1起動弁Vの操作)まで継続する。
【0064】
<手動ハンドル時の動作>
上記の動作説明は主弁用第1起動弁Vを操作した場合であるが、手動ハンドル46を操作した場合にも同様の一連の動作が行われる。この場合、主弁用第1起動弁Vは閉のままである。主弁Vは第2起動弁Vの開閉に追従して開閉する。その他の弁V〜V,Vの動作順序は第2図と同一である。
【0065】
<tとtとの時間差>
主弁Vが開となり、リム3へ給水が開始される時点tと、排水流路5内を吸引開始する時点tとの時間差は3〜20秒特に7〜15秒程度が好ましい。このようにt〜tの間隔を時間差で設定する代りに、リム3への給水量で設定してもよい。
【0066】
<主弁V、エゼクタ給水弁V及び調圧弁REGの位置>
この実施の形態では、給水流路たる給水管10から分岐給水流路たる配管15が分岐しており、この分岐点よりも上流側の給水管10に主弁Vが設けられ、該主弁Vと分岐点との間に調圧弁VREGが設けられている。また、この配管15にエゼクタ給水弁Vが設けられている。
【0067】
この実施の形態では、この分岐点よりも下流側の給水管10に便器洗浄弁が不要である。また、1個の調圧弁VREGによって、便器洗浄水圧及びエゼクタ給水圧を調圧することができる。
【0068】
さらに、バキュームブレーカ14は分岐点よりも下流側の給水管10に1個だけ設ければ足りる。
【0069】
なお、リム3へは10〜14L/分程度の給水速度とし、エゼクタ21へは2〜4L/分程度の給水速度とするのが好適である。エゼクタへの給水速度がリム3への給水速度に比べて小さいので、便器洗浄動作中にエゼクタ21へ給水しても便器洗浄動作に影響はない。
【0070】
<別態様>
本実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に何ら限定されない。例えば、すべて又は一部の弁の開閉を電気制御により行ってもよい。
【0071】
上記実施の形態はサイホン式洗浄であるが、サイホンジェット式洗浄としてもよい。
【0072】
また、大便と小便とで洗浄工程を異なるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施の形態に係る洋風便器設備の模式図である。
【図2】第1図の洋風便器設備の作動を説明するフローである。
【図3】非洗浄時における第1図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。
【図4】便鉢水位上昇工程における第1図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。
【図5】汚物排出工程における第1図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。
【図6】トラップ−サブトラップ間圧力の大気開放工程における第1図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。
【図7】覆水・負圧蓄積工程における第1図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。
【図8】待機状態における第1図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0074】
REG 調圧弁
1 便器本体
2 便鉢
3 リム
4 トラップ
5 排水流路
6 サブトラップ
7 排水口
10 給水管(給水流路)
11 水車ユニット
14 バキュームブレーカ
15 配管(分岐給水流路)
20 エアタンク
21 エゼクタ
30 フロート弁装置
40 カムシャフト
41,42,43,44 カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の便鉢に便器洗浄水を供給する給水流路と、
便器のトラップの下流側に連なる排水流路と、
該給水流路から分岐した分岐給水流路を介して水が導入されて負圧を発生させ、この負圧によって該排水流路から空気を吸引排出するエゼクタとを有する便器洗浄装置において、
該給水流路のうち分岐給水流路の分岐点よりも上流側に便器洗浄用の主弁を設けたことを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
請求項1において、前記分岐給水流路にエゼクタ給水弁を設けたことを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記主弁と分岐点との間の給水流路に調圧弁を設けたことを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記分岐点よりも下流側の給水流路にバキュームブレーカが設けられていることを特徴とする便器洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−46308(P2007−46308A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230956(P2005−230956)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】