説明

便器簡易清掃具

【課題】男性が立位で小便をした際に、便器の縁や床面に散った雫を拭き取ったり、大便終了後、何度水を流しても、流れずに便器にわずかに付着した大便をすぐに簡単に拭き取って、便器に捨てて水に流すことを可能にする。素手で持って拭いても、しみ込んだ小便や大便で手が汚れることがないようにする。又、拭き取る際に便器や床面に押圧しても折れ曲がったりしないようにする。
【解決手段】トイレットペーパー用の製紙原料で厚板紙を製造し、これを所定の長さと幅を有する水解性の短冊状や切り出しナイフ状の清掃具に加工する。家庭において、日々のことなので多数枚を収納容器に入れて掛止具で便器の横の方に取り付けるか、床掃除などの邪魔にならず、すぐ手の届くところに設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立位で小便をした際に便器の縁や床面に散った雫を拭き取ったり、大便終了後水洗しても流れずに便器にわずかに付着した大便を拭き取って、水に流すことのできる便器簡易清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
男性が立位で小便をした際に、便器1の縁6や周囲の床面2に飛沫が飛び散ることが度々あった。陶器製の洋風便器の縁6に付着した雫13は時間がたつと乾いて黄変し、後で入った人はこれを見ると気持ちのいいものではなかった。それと、そのままにしておくと床面2に落ちた雫13は変色して床を汚すし、床材の寿命を縮める原因にもなっていた。そのため、飛び散った雫13はすぐに拭き取っておかねばならない。しかし、これをちょっと拭き取るのに適当な器具は柄付きの清掃具や水に流せる清掃用シートぐらいしか見当たらない。それで、このような清掃具を取り出して使用するのはめんどうなため、間近にある紙巻き器のトイレットペーパーを適当な長さに切り取って何重かに折り畳んで手に持って、目では確認できないため、しみ込んでくる小便が手に付くかもしれないという不安を感じながら、気持ち悪いのを我慢して雫13に押しつけて拭き取り、水に流していた。そのため、通常よりも念入りに時間をかけて手を洗わなくてはならなかった。
【0003】
又、便器1に腰掛け、大便を済ませてから尻を清拭し、大便を流すべく水洗の水を流す。しかし、きれいに流れずにわずかの便が便器に付着して、何度水を流してもこれが流れないことは時々あることである。洋風便器1の乾燥面部3に付着した大便13をそのままにしておくと乾燥して変色し、次の人が使用する際に大変気持ちの悪いものである。そして、乾燥して便器にこびりついた大便は掃除しても、直後よりも大変落ちにくくなっている。そのため、すぐに拭き取っておかないとならないし、これが次の人に対するエチケットというものである。しかし、間近には適当な清掃具がないためトイレットペーパーを適当な長さに切り、これを何重かに折り畳んで気持ち悪いのを我慢して、直接手に持って、この汚れに押しつけて拭き取り、水たまり部5の水に捨てていた。水洗直後の乾燥面部3はまだ少し濡れているため、わずかの大便を拭き取るにも吸水性大なるトイレットペーパーは水がしみ込んでくるし、濡れた大便13もしみ込んできて、手持ち部と拭き取り部が近接しているため、指先に付いてしまうかもしれないと思いながら、非衛生的な行為を仕方なくしなければならなかった。そして、後で何度も何度も手を洗わなくてはならなかった。
【0004】
このようなことをすることが気持ち悪くてできない人もたくさんいる。このような人は便器清掃用の柄の付いたタワシや柄の先端に水洗用清掃シートを付けた清掃具を床に置いた収納具や造り付の収納庫から取り出して、わずかの便を拭き取らねばならなかった。そして、作業終了後には水できれいに洗って、又、収納しておかねばならなかった。本来はこのような柄付きの清掃具は便器に付着した頑固な汚れを、時々、力を入れてこすり落とすためのものである。前記のような排便直後のわずかに付着した汚れを拭き取るのには大袈裟すぎて適当なものではなかった。又、消毒液等をしみこませた水解性の清掃用シートは従来より、密封容器に収納したものが市販されているが、これも前述のトイレットペーパーと同じことで吸水性がある柔らかいシート状であるため、直接手に持って清掃箇所に押し当てると、手持ち部と清掃部がくっ付いてしまい、しみ込んできた便が手に付く可能性があり、気持ちの良いものではなかった。それと、このシートで指先を包むようにして拭き取るため、丸い指先では便器との接触幅が狭く、汚れの幅が広い場合は一度で拭き取ることができない。そのため、数度往復させないと拭き取れないこともあった。又、この清掃用シートも便器の複雑な個所等の乾燥した頑固な汚れを落とすのが本来の目的である。時々使用するものであるため、密封容器に入れたものを収納庫に納めているのが通常であり、排便後、便器の前に立ったままでは取り出すことができないし、密封容器からシートを取り出すのも時間がかかって面倒でもあるし、不便なことであった。
【0005】
柄付きの清掃具は狭い便所の中で置場に困るし、見た目も不潔そうで気持ちのいいものではなかった。又、柄の先端に取り付ける水解性の清掃用シートは便器の縁の複雑な構造の裏側部や水たまり部の喫水線付近にできる頑固な汚れを時々清掃するための清掃具であり、一か月ではかなり消費されるであろう本願のような簡易清掃具として、比較的高価なこのシートを、毎日のように繰り返される前述のような直後のわずかに付着した小便の雫や大便をちょっと拭き取るのに、一枚を使用するにはもったいないことでもあったし、収納庫から取り出すのもめんどうなことであった。
【0006】
そこで、従来技術として、便器の複雑な構造の部分の汚れを効率よく落とすことができる水解性の紙ヘラというのがある(特許文献1参照。)。これは、ツルツルした陶器面に付着した乾燥した汚れを拭き取るには水分が浸み込んでくることもなく、良いかもしれないが、山型突出部2を手で摘まんで押し付けると、清掃部である平坦部3が近接しているため、吸水性の強いこの紙では、まだ濡れている小便や大便を拭き取る場合には、水分や便がしみ込んできて、手が汚れる可能性があるし、これで拭き取ることは決して気持ちの良いものではなかった。又、原料も高価であるし、製造工程も複雑なため製造原価が高そうでもある。
【0007】
それと、水解性シートをコルゲート状に加工して円筒状に巻いて強度を付与してこすり洗いに耐えるようにしたものがあった(特許文献2参照。)。これも、頑固な汚れをこすり落とすにはいいが、わずかな汚れを拭き取るには大げさすぎるし、高価すぎるものであろう。
【0008】
また、清掃後に水洗便器に捨てることが可能な水解性又は水溶性の清掃用パッドというのがあるが、保持具に保持して使用するにはいいが、直接手に持って簡易に使用するには適していないものであった(特許文献3参照。)。
【0009】
それから、トイレットペーパーのような水溶性物質と水溶性の糊のような物質を混合して粘土状にし、棒状、ヘラ状、U字状、棒状爪型、凹凸型、等に形成して、これを乾燥させた水溶性のタワシという掃除用具があった。これらは時々乾いた頑固な汚れを拭き取るには硬くて強度が大で、いいかもしれないが、直後の小便の雫や柔らかい大便を拭き取るにはこれほどの強度は不要だし、日々使用するために便器の間近に置いておくには、置場に困るものでもあるし、又、硬すぎて水に解けにくそうで便器に流すことは憚れるものである。「水に浸して置き、しばらくして水にふやけたところで水に流す。」との記載があるが、直後のわずかな汚れを拭き取ってから、ふやけるまで便所の中で待つことも困難であろう(特許文献4参照。)。
【0010】
そして、水解性の材質でできた使い捨て清拭具というのもあるが、複雑な構成であり高価そうで置場にも困るものであった。(特許文献5参照。)。
【0011】
また、通常の厚紙程度の高い強度を有する水解性の使い捨ての清掃用紙ヘラ用の板紙を得るというものがあるが、目的や手段が段落番号0007以下に記載されている(特許文献6参照。)。しかし、これは、頑固な汚れを拭い取るためのものであり、図面は添付されていないものの紙ヘラなどの清掃具用の高強度の板紙との記載である。しかし、本発明のように、直後のまだ濡れているような大便や小便の雫を拭き取るのを目的としているものには、そこまでの強度は必要ないし、実施例1以下に記載されているような高級な原料や高度な製造工程では製造費用が高額になるであろう。日々ちょっと使用するような清掃具には高価すぎて使用することは困難と思われる。
【0012】
そして、前特許文献6に記載されている実用化されているという清掃用の紙ヘラを薬局などで探してみたが、ネット販売もされている製品で、ノロウィルス等の二次感染を防ぐために嘔吐物や汚物を処理するのに、チリトリ状の紙ヘラですくい取って回収するというのが見つかった。しかし、これは本願とは異なるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−23227
【特許文献2】特開平08−150099
【特許文献3】特開2006−6456
【特許文献4】実開H02-13484
【特許文献5】特開2000−229053
【特許文献6】特開2007−262596
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような従来の技術が有していた問題点を解決しようとするものであり、排便終了後、水洗しても便器1の乾燥面部3にわずかに付着した大便14や、立位で小便をした際に便器の縁や床面に散った小便の雫13を、すぐに拭き取って水に流すことができる便器簡易清掃具10を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の問題解決手段は上記の目的を達成するために、トイレットペーパー用の製紙原料よりなる厚板紙より形成された細長い平板状の手持ち部と拭き取り部を有する水解性の便器簡易清掃具としたものである。
【0016】
それから、本発明の第2の問題解決手段は上記の目的を達成するために、収納容器に収納して便器に取り付けることが可能な請求項1記載の便器簡易清掃具としたものである。
【発明の効果】
【0017】
上記の課題解決手段による効果は次の通りである。
(1)本発明の便器簡易清掃具が収納容器に多数枚を収納して、便器の側面等に吸盤等の掛止具で取り付けてあるため、便器の前に立ったまま手を伸ばすだけで取り出すことができて、すぐに、清掃作業に取り掛かることができる。
(2)水解性の原料よりできているため、吸水率が大であり便器の縁などに付着した小便の雫を簡単に吸い取ることができるし、床面に飛び散った雫を吸い取ったり、きれいに拭き取ることもできる。
(3)便器1の乾燥面部3に付着したまだ濡れているわずかな大便14を、この清掃具の手持ち部11を手に持って、清掃部12の角部121を乾燥面部3に持っていき、45度程度の角度で押し当ててこすり取るように拭き取っていくと、きれいに簡単に、拭き取ることができるものである。一度目でほとんど汚れは落ちるが、それでも少し残った場合はもう一度反対側の角部121で軽く拭いてやるときれいに落とすことができるものである。45度程度に当てて押圧してもこの清掃具は折れ曲がることがないように、厚さや幅等により最低限の強度は確保されている。
(4)又、水たまり部の中の陶器部分に付着した大便はそのままにしておいても自然に水に解けて底に落とされるので問題ないが、気になる人はこの清掃具で水面の上やすぐ下の陶器面に付着した大便を手早く拭きとれば、2秒間くらいは水中でも形崩れしないのでこれを清掃することができるものである。
(5)短冊状や切り出しナイフ状やバチ状に加工した吸水率大なる厚板紙であるため、拭き取り部が清掃中に濡れると色が濡れ色となる。時間の経過とともに、濡れ色が上の方に上がってきて、手持ち部に近づくのが目視できる。この清掃具は充分な長さが取ってあるため、手早くやれば手持ち部まで上昇することはないが、目視可能なため、指先を濡らすことなく、安心して清掃することができる。そのため、衛生的でもあるし、気持ちが悪くない。又、指の近くまで上昇してきたらこれは便器に捨ててしまって、新しいのに取り換えることも簡単にできる。切り出しナイフ状に加工したこの清掃具は短冊状のものより拭き取り部が広いという長所があるが、先端の尖った部分は水を吸うと早く形崩れしてしまい、同じ幅の短冊状のと変わらないことになるため、どちらでも効果はたいして変わりないが、短冊状だとどちらを手持ち部又は清掃部としてもいいため、短冊状の方が便利であろう。又、バチ状に加工したものは清掃部が広く使いやすい面はあるが、広い清掃部に比して手持ち部の幅が狭く強度的に劣るとか、形状が複雑で収納容器に詰め込みにくいということがあるため推奨できるものではない。
(6)水解性の原料よりなる水解性の清掃具であるため、小便や大便を拭き取ったらそのまま便器に流すことができる。従来のように、収納庫から柄付きの清掃具を取り出したり、清掃後に柄部分の先端を水洗いしたり、乾燥させたり、再び清掃具を収納庫に収納したりするような面倒な手間を省くことができる。
(7)従来の清掃用シートに比べて本発明の便器簡易清掃具は古紙を原料としているし、製造工程も簡単なため、安価に製造することができる。
(8)本発明の便器簡易清掃具を手軽に使用して、便器や周囲を簡単に清掃できて、毎日を気持ち良く、衛生的に保つことができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の簡単な製造法について、一例を以下(1)から(8)に述べてみる。
(1)原料として家庭用のロール状トイレットペーパー(上山製紙、シルクホワイト12ダブル。これの原料は古紙100パーセントである。)を使用した。これを5メートル切り取る。重さは約20グラムであった。
(2)水2リットル程度を入れた洗面器に(1)を入れて、2〜3分間手でかき混ぜると、トイレットペーパーは水に解けて繊維状に分離される。
(3)台所の流しに置いた直径180ミリ、高さ45ミリ、網目10メッシュのフルイに(2)をゆっくりと注ぐ。
(4)フルイの半分程度だったのが、そのままにしておくと、数時間でかなり抄かれて、厚さ10ミリ程度までになる。
・ これを天日で2日間乾かすと完全に乾燥して、直径180ミリ、重さ約20グラムの少し弾力性のある厚板紙ができた。表面は網目など多少の凹凸はあるものの平板状で、厚さは約4ミリとなっていた。
(6)これをカッターナイフで幅25ミリ程度、長さ70ミリ程度に切りとって短冊状の簡易清掃具が完成した。
(7)こうしてできた(6)の簡易清掃具の強度を調べてみる。手持ち部11を手に持って、料理用はかりの上皿に45度程度の角度で清掃部12の角部121を押し当てて力を真下に向けて加えていくと、250グラムになったときに、曲げに耐えられなくなって、中間部が折れ曲がった。一方、乾燥面部に付着した柔らかい大便を拭き取るには100から150グラム程度の力を加えると充分きれいに拭き取ることが可能である。そのため、(6)の簡易清掃具10を手に持って、強度上からみて、中間部が折れ曲がることなく、柔らかい大便14をきれいに拭き取ることができる。もちろん、便器の縁や床面に散った小便の雫13を拭き取るには150グラム以下の力で充分きれいに拭き取ることが可能である。
(8)又、この簡易清掃具の水解時間について調べてみると、この簡易清掃具を、水を入れた洗面器に投げ込んでみると、すぐに(1から2秒ほどで)水を吸って沈み、15秒程度で形崩れし始めて、水を手でかき回すと3秒程度で水流により繊維状に分離して水中に分散した。原料としたトイレットペーパーも5秒程度で形崩れし、水をかき回すと水流により繊維状に分離してしまうので、前記(1)から(6)に記載したような加工をしても、糊などのつなぎとなるものは使用していないため、水解時間に大差は生じなかった。そのため、トイレットペーパーと同様に便器に詰まることはなく、安心して、水洗便器に捨てて流すことができるものである。
【0019】
又、前述の特許文献4に記載されているような、水解性のトイレットペーパーに水溶性の糊を加えて粘土状にして形成して乾燥させたものについても、以下(1)から(4)に述べてみる。
(1)前記製造法の(4)の段階で出来たものをフキンで包んで絞ってさらに水を切り、水に溶けるでんぷん糊(市販品のフエキ糊FP10)を少しずつ加えながら手でよく練っていくと、最初のうちはパサパサして粘土状にはならなかったが、20グラム程度の段階で粘土状のものができた。これを机の上で厚さ5ミリ程度の板状に伸ばして、幅30ミリ、長さ80ミリ程度の短冊状に切り取った。
(2)これを天日で2日間乾かしたがまだ湿っぽいため、ヘアドライヤーを強にして30分程度乾燥させると、乾燥して少し縮み前記(6)に記載した本発明の短冊状の簡易清掃具とほぼ同寸法のものが完成した。
(3)こうしてできた簡易清掃具は糊が入れてあるため、木のように固くて丈夫なものとなった。強度を調べてみると、手持ち部を手に持って、清掃部を料理用はかりの上皿に45度程度の角度で角部121を押し当てて力を鉛直に加えていくと、2000グラムでようやく折れ曲がる程丈夫な強度を有するものであった。
(4)又、この木のように固い簡易清掃具の水解時間について調べてみた。この簡易清掃具を水を入れた洗面器に投げ込んでみると、10秒程度で水を吸って沈みはしたが、2分経っても形は崩れず、3分程度経って、指で摘まんでみると少し曲がりはするものの、ふやけるような状態ではない。10分経ってもまだ形状に変化はなかった。1時間後、2時間後、24時間後と観察してみても形崩れは見られなかった。このように水に解けにくいため、水解性がある清掃具とはいえないようなものであり、安心して便所に流せるようなものではなかった。強度上や水解時間からみて、直後の小便の雫や柔らかい大便をちょっと拭き取ってすぐに流すことを目的とした本願のような簡易清掃具には適さないものであった。
【0020】
つぎに、本発明の実施例を図1ないし図4に基づいて説明する。
図1は水洗式洋風便器の構造を示す概略断面図であるが、男性が立位で小便をした際に、縁1に小便の雫13が散ったり、床面2に雫13が落ちたりすることはよくあることである。又、腰掛けて大便をした際に大便終了後、水を流しても、乾燥面部3や水たまり部5の中の陶器部に大便13がわずかに付着して残ったりすることも時々あることである。
【0021】
図2は本発明の便器簡易清掃具の形状を示す正面図であるが、(a)は短冊状であり、(b)は切り出しナイフ状である。それぞれ所定の厚さと長さと幅を有している。厚さは4ミリ程度、幅は25ミリ程度、長さは70ミリ程度に形成したものであり、図3に示すように手持ち部11を指でつまんで清掃部12を便器1の乾燥面部3に対して45度程度の角度で当てて、付着したまだ柔らかい大便を清掃部12の角部17で押圧しながら、こすり取るようにして拭き取るのであるが、250グラム程度の力で押圧しても折れ曲がらない強度はあるが、安全のため、100グラム程度の力で押圧して拭き取れば折れ曲がることはない。又、前記角部121が多少の弾力性も有しているため陶器面になじみ易く、少し残った水分で濡れると角部121は少し形崩れして陶器面に幅全体が密着するため、わずかに残った大便を一度で拭き取ることができるものである。もし、まだ少し残っているようならもう一度軽く拭いただけできれいにすることができる。そして水たまり部5にこれを落として水を流したら、繊維状となって水にほぐれていっしょに流すことができるものである。
【0022】
又、長さが70ミリ程度で親指と人差し指で手持ち部11を指でつまみやすい長さとしてあり、清掃部12までの距離があるため、手早く作業をすれば、水分が手持ち部まで浸みて上昇してくることはない。又、前述した寸法に形成した本発明の便器簡易清掃具は、水たまり部5に落として見ていると、15秒程度で形がかなり崩れる。そのとき、水を流すとその水流により完全に分解されて水と混ざりあって流される。そのため配管や便器に詰まるということはない。又、厚さ1ミリ程度の短冊状のものも試作してみたが、薄すぎるため、清掃部12が乾燥面部3に残った少しの水分で濡れるとすぐに形崩れしてしまい清掃が困難になるし、少し力を加えて押圧すると強度が不足しているため、手持ち部の下の方ですぐに折れ曲がってしまう。そのため、前記のようなトイレットペーパーを折り畳んで拭き取るのと同様に非衛生的なことになってしまう。厚板紙の厚さはやはり3ミリ程度以上として、ある程度以上の強度を確保するのが効果的である。又は、製造段階で加圧加工を施して強度を増しても良いであろう。
【0023】
そして、便器の縁6に付着した小便の雫13は本発明の簡易清掃具10で簡単に吸い取ったり拭きとったりすることができる。又、床面2に飛散した小便の雫13も、直後なら光っているため目視が可能であり、本発明の簡易清掃具10を床面に対して斜め45度程度に立てたままで、250グラム程度の力で床面に押しつけて清掃することができる強度を有しているし、多少の弾力性もあるため床材の凹凸にもなじみ易く、手を汚すことなく、きれいに拭き取ることが簡単にできる。そして、従来のように床材の寿命を縮めることがなくなる。それと、間違って多量の小便を床にこぼしたような場合でも、多数枚の簡易清掃具11が箱や袋等の収納容器15に入れて用意してあるため、濡れたら、新しいのに取り換えて手を汚すことなく清掃できるものである。又、清掃具の幅は20から40ミリ程度が使いやすいが、2,3種類用意しておいて、汚れの幅によって使い分けても良い。
【0024】
それと、下端の清掃部12を水に浸した場合、濡れ色が時間の経過とともに上昇してくるが、その時間を測定してみると、次のような結果であった。
5秒で約20ミリ、10秒で約30ミリ、20秒で約40ミリ、30秒で約50ミリ、60秒で約70ミリであった。ゆえに、20秒以内程度で清掃を済ませたら手持ち部11まで濡れ色が上昇してくることはなく、わずかな汚れに対しては充分な清掃時間が確保されている。又、汚れが多くて1枚で足りない場合は、新しい簡易清掃具10に取り換えれば何ら問題なく清掃することができるものである。前述のような短冊状や切り出しナイフ状の清掃具10を図4に示すように、箱や袋等の収納容器15に多数枚を詰めて、吸盤等の掛止具15でタンク7の側面に取り付けておくと、床掃除の際等に邪魔にならず、取り付け痕が残らず、便器の前に立ったまま手を伸ばすだけで簡単に取り出すことができる。そして、日々、小便の飛沫やわずかに付着した大便をすぐに清掃することができ、水に流したら従来になく簡単に衛生的に清掃が完了するものである。
【0025】
本発明の便器簡易清掃具は大量生産する場合には、トイレットペーパーを製造する製紙工場において従来は回収した古紙を溶解、叩解、精選、脱墨、の工程を経て、抄紙の工程で通常は抄紙機にてトイレットペーパーの厚さに薄く抄くのであるが、これを変更して厚板紙になるように厚く抄いて、乾燥、成形、又は、成形、乾燥すれば良いであろう。また、水解時間を損なわない程度の適度な加圧により曲げ強度を増しても良いであろう。なお、トイレットペーパーは水解性を良くするために、多くの場合、繊維の短い再生紙が使用されており、つなぎとなる糊などは一切使用されていないものである。又、水解性の厚板紙に抄いて製造するとはいうものの、型枠に詰めて脱水、成形する方法でもかまわないが製造原価が高くつくであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の説明図。
【図2】本発明の実施例を示す正面図。
【図3】本発明の実施例を示す拡大断面図。
【図4】本発明の実施例を示す斜視図。
【産業上の利用可能性】
【0027】
トイレットペーパーを製造している製紙会社が本発明の便器簡易清掃具を製造すれば、需要は多いと思われるので、新規事業として発展させることができるであろう。
【符号の説明】
【0028】
3 乾燥面部
5 水たまり部
10 清掃具
11 手持ち部
12 清掃部
121 角部
13 雫
14 大便
15 収納容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレットペーパー用の製紙原料よりなる厚板紙より形成された細長い平板状の手持ち部と拭き取り部を有する水解性の便器簡易清掃具。
【請求項2】
収納容器に収納して便器に取り付けることが可能な請求項1記載の便器簡易清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−253137(P2010−253137A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108712(P2009−108712)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【特許番号】特許第4496559号(P4496559)
【特許公報発行日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(304007248)
【Fターム(参考)】