説明

便器装置

【課題】きしみや異音の発生を抑制可能な便器装置を提供することである。
【解決手段】便器装置1の上部を形成するリム部材2と、水溜部7を構成するボウル部材3と、便器装置1の側面を構成するスカート部材5とを有し、スカート部材5の上部にリム部材2が接合され、リム部材2の下部にボウル部材3が接合されて成る便器装置1において、ボウル部材3の水溜部7と一体の支持部材4、またはボウル部材3の水溜部7とは別体の支持部材4を有し、支持部材4によってボウル部材3の水溜部7が床面に対して支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器装置に関し、さらに詳細には、使用時におけるきしみや異音の発生が抑制された便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製の便器装置は、従来の陶器製のものと比べ軽くて丈夫であり、意匠性にも優れることから、益々その需要が高まっている。例えば、特許文献1には、樹脂製であり、分割された部品を組み合わせた便器装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−328827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された便器装置の構造は、図5(a)、(b)に示すとおりであり、便座85と、リム部材86と、ボウル部材87と、リブ90を有したスカート部材88とが一体化されて、便器装置80が構成されている。便座85を除いた便器装置80の断面構造は、図6に示すとおりであり、リム部材86とボウル部材87とが一部の面同士で溶着され、溶着されたリム部材86とボウル部材87とがスカート部材88とリブ90で支持されている。つまり、ボウル部材87はスカート部材88(リブ90を含む)に吊られた状態であり、ボウル部材87に排水等が流れて荷重が加わると、ボウル部材87が上下左右に揺れることがあった。このため、便器装置80がきしみ、異音が生じることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、きしみや異音の発生を高度に抑制可能な便器装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、便器本体の上部を形成するリム部材と、水溜部を構成するボウル部材と、便器本体の側面を構成するスカート部材とを有し、前記スカート部材の上部に前記リム部材が接合され、前記リム部材の下部に前記ボウル部材が接合されて成る便器装置において、前記ボウル部材の水溜部と一体の支持部材、またはボウル部材の水溜部とは別体の支持部材を有し、前記支持部材によってボウル部材の水溜部が床面に対して支持されることを特徴とする便器装置である。
【0007】
本発明の便器装置は、ボウル部材の水溜部と一体の支持部材、またはボウル部材の水溜部とは別体の支持部材を有するものであり、前記支持部材によってボウル部材の水溜部が床面に対して支持されるものである。すなわち、ボウル部材の水溜部に対して、排水等の流動の影響を抑制することができるようにしたものである。本発明の便器装置によれば、きしみや異音の発生を高度に抑制可能である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、家屋の床部に設置される便器台を有し、便器本体は、前記便器台の上に設置されていてスカート部材の下端部及び前記支持部材の下端部が便器台の表面に接することを特徴とする請求項1に記載の便器装置である。
【0009】
本発明の便器装置は、家屋の床部に設置される便器台を有するものであり、便器本体は、前記便器台の上に設置されていてスカート部材の下端部及び支持部材の下端部が便器台の表面に保持されるものである。本発明の便器装置によれば、スカート部材等に汚れた水や尿等が付着し垂れた場合であっても、便器台で受けることが可能であり、床が汚れることを防止できる。
【0010】
また、本発明の便器装置において、スカート部材と、支持部材と、便器台とを接合することにより、より高い剛性を有する便器装置とすることができる。すなわち、この構成によれば便器装置が高い剛性を有するので、ボウル部材の水溜部に対して、より確実に排水等の流動の影響を抑制することができる。その結果、きしみや異音の発生をより確実に抑制可能となる。
【0011】
さらに、スカート部材と、支持部材と、便器台との一体化を「溶着」等で行うことにより、スカート部材と支持部材の寸法のバラツキを補正することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の便器装置によれば、ボウル部材の水溜部に対して排水等の流動の影響を抑制することができる。よって、きしみや異音の発生を高度に抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る便器装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る便器装置を示す断面図である。
【図3】(a)、(b)は、いずれも本発明の変形例に係る便器装置のスカート部材と便器台の接合部分を示す断面図であり、(a)は変形例1、(b)は変形例2を示す。
【図4】(a)〜(c)は、いずれも本発明の変形例に係る便器装置を示す断面図であり、(a)は変形例3、(b)は変形例4、(c)は変形例5を示す。
【図5】(a)、(b)は、いずれも従来の便器装置を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図6】図5の従来の便器装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の便器装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0015】
まず、本発明の第1実施形態に係る便器装置1の構成について説明する。図1に示す便器装置1は、樹脂成形部材を接合して一体化されたものである。便器装置1は、便器装置1の上部を構成するリム部材2と、水溜部7を構成するボウル部材3と一体の支持部材4と、便器装置1の側面を構成するスカート部材5とを有し、これらが溶着等により接合され、一体化されている。
【0016】
上記の構成により、ボウル部材3の水溜部7は、支持部材4によって床面に対して支持される。このことにより、ボウル部材3の水溜部4に対して、排水等の流動の影響を抑制することができる。よって、便器装置1は、きしみや異音の発生を高度に抑制可能である。
【0017】
つぎに、本発明の第2実施形態に係る便器装置10の構成について説明する。なお、便器装置1の各構成部材と同一のものについては、説明を省略すると共に、同一の符号を使用するものとする。
【0018】
図2に示す便器装置10では、支持部材4の下端部と、スカート部材5の下端部と、便器台15とが溶着等により接合され、一体化されている。
【0019】
上記の構成により、便器装置10は高い剛性を有することとなり、ボウル部材3の水溜部7に対して、より確実に排水等の流動の影響を抑制することができる。よって、便器装置10は、きしみや異音の発生をより確実に抑制可能である。
【0020】
また、便器装置10のスカート部材5の下端部は、便器台15の上に設置されている。スカート部材5等に汚れた水や尿等が付着し垂れた場合に、便器台15で受けることが可能であり、床が汚れることを防止できる。
【0021】
さらに、スカート部材5と、支持部材4と、便器台15との一体化を「溶着」で行うことにより、スカート部材5と支持部材4の寸法のバラツキを補正することが可能である。
【0022】
つぎに、本発明の変形例1〜5に係る便器装置21〜25の構成について説明する。なお、便器装置1,10の各構成部材と同一のものについては、説明を省略すると共に、同一の符号を使用するものとする。
【0023】
図3(a)に示す便器装置21では、スカート部材5と便器台15との接合箇所の角部分に堰30が接合されている。このような構成とすることにより、例えばスカート部材5に汚れた水や尿等が付着し垂れた場合に、スカート部材5と便器台15との接合箇所に汚れた水や尿等が入り込むことを防止できる。よって、便器装置21は、衛生面で優れた便器となる。
【0024】
図3(b)に示す便器装置22では、スカート部材5が接合される箇所の便器台15の中に、圧電素子等で構成された着座センサー31が埋設されている。このような構成とすることにより、利用者が便器装置22に座った時にのみ、電気式洗浄装置(図示せず)等のスイッチングを行うことができる。また、着座センサー31が便器台15の中に埋設されていることにより、着座センサー31が汚れた水等で濡れることはなく、着座センサー31の故障リスクを軽減できる。
【0025】
図4(a)に示す便器装置23では、支持部材4の一部となるフレーム28を有した便器台32が用いられている。フレーム28と便器台32は、同一素材で一体成形されている。このような構成とすることにより、便器装置23は、より高い剛性を有することができる。
【0026】
図4(b)に示す便器装置24では、リム部材2と、ボウル部材3と、スカート部材5と、便器台15とで囲まれた空洞部分に、発泡樹脂33が充填されている。このような構成とすることにより、便器装置24は、さらに高い剛性を有することができる。また、ボウル部材3の水溜部7に尿等が当たり発生する音を軽減することができる。
【0027】
図4(c)に示す便器装置25では、リム部材34によって、リム部材34とボウル部材3との接合面が隠れており、外から容易に見ることができない。このような構成とすることにより、例えばリム部材34及びボウル部材3の接合予定面に製造上で発生したバリ等があっても、仕上げ加工を簡略化できる。
【0028】
上記した実施形態では、ボウル部材3と支持部材4とが一体化させた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ボウル部材3と支持部材4は別体でも構わない。
【0029】
便器装置1等を構成する樹脂成形部材に用いる樹脂については、例えば、高強度であり撥水性に優れた有機ガラス系素材や、加工性や耐衝撃性に優れたABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、高強度であり耐酸性に優れたPBT(ポリブチレン・テレフタート)樹脂等を用いることが好適である。
【符号の説明】
【0030】
1,10,21,22,23,24,25 便器装置
2 リム部材
3 ボウル部材
4 支持部材
5 スカート部材
7 水溜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の上部を形成するリム部材と、水溜部を構成するボウル部材と、便器本体の側面を構成するスカート部材とを有し、前記スカート部材の上部に前記リム部材が接合され、前記リム部材の下部に前記ボウル部材が接合されて成る便器装置において、前記ボウル部材の水溜部と一体の支持部材、またはボウル部材の水溜部とは別体の支持部材を有し、前記支持部材によってボウル部材の水溜部が床面に対して支持されることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
家屋の床部に設置される便器台を有し、便器本体は、前記便器台の上に設置されていてスカート部材の下端部及び前記支持部材の下端部が便器台の表面に保持されることを特徴とする請求項1に記載の便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−69075(P2011−69075A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219830(P2009−219830)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】