説明

便器装置

【課題】リモートコントローラーから送られた信号を良好に受信できる便器装置を提供する。
【解決手段】便器1に設けられるケース7内の付属装置をリモートコントローラー2から送られる信号によって操作する便器装置において、受信部16,17に向かう信号が障害物等によって遮られることをなくするために、便器1の異なる外面に、リモートコントローラー2から送られる信号の受信部16,17を夫々設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリモートコントローラーによって操作される便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、リモートコントローラーによって操作される便器装置が開示されている。この便器装置は、リモートコントローラーから送られた信号を通すための受信部が便器後部に設けられた洗浄装置の上部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−154575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トイレ室の壁には手洗いや棚等が設置されたり、手拭き用のタオルが掛けられる場合があるが、これらが受信部の上側に位置すると、リモートコントローラーから受信部に向かう信号が遮られる場合がある。また、便器に回動自在に設けられた便座や便蓋を開いたときには、これら開いた便座や便蓋によっても、受信部に向かう信号が遮られる場合がある。このため、リモートコントローラーを操作しても便器装置が応答しないといった事態が生じる恐れがある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、リモートコントローラーから送られた信号を良好に受信できる便器装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の便器装置は、便器の異なる外面に、リモートコントローラーから送られた信号が至る受信部が夫々設けられたことを特徴とする。
【0007】
また、便器の外面に外方に突出する突出部が設けられ、この突出部の互いに反対側を向く外面の夫々に前記受信部が設けられることが好ましい。
【0008】
また、前記突出部が前記便器の側面又は後面に設けられ、この突出部の上面及び下面の夫々に前記受信部が設けられることが好ましい。
【0009】
また、前記両受信部が信号を透過させる透過部材を備えて構成され、前記突出部の内部に受信素子が両面に実装された基板が設けられ、前記透過部材が前記各受信素子に対応する箇所に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、リモートコントローラーから送られた信号を良好に受信できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一例の便器装置の設置状態を示す側面図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】一例の便器の基板を示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図5】一例の便器装置において、リモートコントローラーの信号が、上下の受信部に至る様子を示す説明図である。
【図6】他例の便器装置の設置状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。本実施形態の便器装置は、図1に示されるように付属装置を有する便器1と、前記付属装置を操作するリモートコントローラー2(図5参照)を備えている。
【0013】
図2に示すように、便器1は、ボウル部4を有して、トイレ室の床上に設置される便器本体5と、前記付属装置を構成する洗浄装置6を備えている。また、便器1には、図示は省略するが、便器本体5上に載置される便座と便座を覆う便蓋が設けられ、これらは便器本体5上に倒した状態から後方で起立した状態まで回動可能となっている。
【0014】
洗浄装置6は、人体の局部を洗浄する局部洗浄手段やボウル部4内を洗浄する便器洗浄手段等を有している。これら手段は、洗浄装置6に設けられた操作部8や、リモートコントローラー2に設けられた操作部9(図5参照)を操作することで、その動作が制御される。
【0015】
洗浄装置6の外郭をなすケース7は、図1のように便器本体5のボウル部4後方の上面に載置されており、便器本体5の後端部から上方に向かって突出している。図2に示されるように、ケース7は平面視で便器本体5の後端部と重複し、便器本体5の後部の左右方向全長に亘って設けられている。ケース7の上面部、前面部、後面部、及び両側面部によって、便器1後端部の上端部における、上面部、前面部、後面部、及び両側面部の夫々が構成されている。なお、本実施形態のケース7は、便器本体5と一体的な外観となるように左右方向の両端位置が平面視で便器本体5の後端部の左右両端位置と略一致しているが、ケース7の左右方向の両端部は便器本体5よりも外側方に突出してもよい。
【0016】
図1及び図2に示されるように、ケース7の一方の側面部を構成する右側面部には、外側方に向かって突出する突出部10が形成されている。突出部10は上下方向に対して垂直な板状で、平面視で前後に長い長方形状に形成されており、下方の便器本体5の側面部よりも外側方に突出している。図示は省略するが、突出部10の内部には基板収納空間が形成されており、この基板収納空間には図4に示される基板11が配置されている。
【0017】
基板11はプリント基板からなり、平面視で長手方向が前後方向と平行な長方形状に形成されている。基板11には、洗浄装置6操作用の三個のスイッチ12と、リモートコントローラー2から送信された操作信号を受信する受信素子13,14が実装されている。各受信素子13,14は赤外線受光素子からなる受信モジュールで構成されている。
【0018】
三個のスイッチ12と一方の受信素子13は基板11の上面に前後方向に並べて実装されており、これら電子部品のうち、受信素子13は最も後方に位置し、基板11の後端部に設けられている。他方の受信素子14は基板11の下面において受信素子13に対応する位置に実装されている。以下、特に区別する場合には、受信素子13を第一受信素子13と記載し、受信素子14を第二受信素子14と記載する。
【0019】
図3に示されるように、突出部10の水平な上面においてスイッチ12及び第一受信素子13の対応する箇所には操作部8及び受信部16が夫々設けられている。なお、図3では、受信部16を明確にするため、受信部16にクロスハッチングを付している。また、突出部10の水平な下面には、図1のように第二受信素子14に対応する箇所に受信部17が設けられている。以下、特に区別する場合には、受信部16を第一受信部16と記載し、受信部17を第二受信部17と記載する。
【0020】
各受信部16,17は突出部10内の基板11が外部から視認されないように赤外線透過率の高い黒色の透過部材で構成されている。また、各操作部8が手動操作されると、対応するスイッチ12が切り替えられるようになっている。
【0021】
一方、図5に示されるリモートコントローラー2の外面には、洗浄装置6操作用の三個の操作部9と、送信部18が設けられている。リモートコントローラー2の内部には、操作部9が操作されたときに、操作信号として赤外線を発する送信素子(図示せず)が設けられており、送信素子から発せられた赤外線は送信部18を介してリモートコントローラー2の外方に送られる。
【0022】
前記リモートコントローラー2から出た赤外線は、便器1に設けられた第一受信部16又は第二受信部17に、直接又は図5に示されるように天井や床、壁等を反射した後、到達する。そして、突出部10の上側から第一受信部16に至った赤外線は、第一受信部16を透過し、この後、突出部10内において第一受信素子13に至る。また、突出部10の下側から第二受信部17に至った赤外線は、第二受信部17を透過し、この後、突出部10内において第二受信素子14に至る。そして、このように、リモートコントローラー2から出た赤外線が、第一受信素子13又は第二受信素子14によって受けられることで、洗浄装置6の局部洗浄手段や便器洗浄手段の動作が制御される。
【0023】
以上説明した本実施形態の便器装置は、便器1の異なる外面に、リモートコントローラー2から送られた信号が至る受信部16,17が設けられている。この構成により、トイレ室の壁に設置された手洗いや棚等によって、リモートコントローラー2から一方の受信部16に向かう信号が遮られる場合に、他方の受信部17を介してリモートコントローラー2からの信号を受信素子14に至らせることができる。従って、リモートコントローラー2から送られた操作信号を良好に受信することができる。
【0024】
また、本実施形態では、便器1の外面に外方に突出する突出部10が設けられ、突出部10の互いに反対側を向く外面に受信部16,17が夫々設けられている。このため、突出部10の両側から来た信号を良好に受信することができ、これにより受信性能が向上する。
【0025】
また、本実施形態では、突出部10が便器1の側面に設けられ、突出部10の上面及び下面に受信部16,17が夫々設けられている。このため、図5に示されるように、リモートコントローラー2から天井を反射してきた信号と、リモートコントローラー2から床を反射してきた信号の両者を良好に受信することができる。この点、特に突出部10の上方に、トイレ室の壁に設置された手洗いや棚、トイレ室の壁に掛けられた手拭き用のタオル等が位置する場合に有効である。また、突出部10の下面に設けられた第二受信部17は外観上目立ち難く、見栄えが良い。
【0026】
また、本実施形態では、受信部16,17が信号を透過させる透過部材を備えて構成されている。また、突出部10の内部に基板11が設けられ、基板11の両面に受信素子13,14が夫々実装されている。そして、透過部材が各受信素子13,14に対応する箇所に設けられている。この構成により、一枚の両面基板11を用いて突出部10の両側から来た信号を良好に受信することができ、コストを削減できる。
【0027】
なお、本実施形態では、受信部16,17を信号を透過させる透過部材で構成して、受信用窓部として機能するものとしたが、受信部16,17は、リモートコントローラー2から送られた信号を受ける受信素子で構成しても構わない。
【0028】
また、本実施形態では、リモートコントローラー2によって操作される付属装置を洗浄装置6としたが、付属装置はこれに限定されるものではなく、例えばボウル部4内の脱臭を行う脱臭装置等であってもよい。
【0029】
また、本実施形態では、便器1の側面に突出部10を設けたが、図6のように便器1の後面に突出部10を設け、この突出部10の上下面に受信部16,17の夫々を設けてもよい。さらに、突出部10を付属装置である洗浄装置6に設けたが、便器本体5の外面等、便器1のその他の外郭を構成する部分に設け、この突出部10に受信部16,17を設けてもよい。また、本実施形態では、突出部10の上下面に受信部16,17を設けたが、突出部10の前後面等、突出部10の異なる面に受信部16,17の夫々を設けても構わない。さらに、受信部16,17は便器1から突出した突出部10に設けなくてもよく、便器1の異なる面に設けてあればよい。
【符号の説明】
【0030】
1 便器
2 リモートコントローラー
10 突出部
11 基板
13 第一受信素子
14 第二受信素子
16 第一受信部
17 第二受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の異なる外面に、リモートコントローラーから送られた信号が至る受信部が夫々設けられたことを特徴とする便器装置。
【請求項2】
便器の外面に外方に突出する突出部が設けられ、この突出部の互いに反対側を向く外面の夫々に前記受信部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記突出部が前記便器の側面又は後面に設けられ、この突出部の上面及び下面の夫々に前記受信部が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の便器装置。
【請求項4】
前記両受信部が信号を透過させる透過部材を備えて構成され、前記突出部の内部に受信素子が両面に実装された基板が設けられ、前記透過部材が前記各受信素子に対応する箇所に設けられたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−193543(P2012−193543A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58304(P2011−58304)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】