説明

便器

【課題】少ない数の光源によって光を鉢面の広い範囲に十分に照射することが可能な便器を提供する。
【解決手段】リモコン等の便器洗浄スイッチを操作すると、所定時間給水制御弁が開弁し、放水路4から洗浄水が流出し、鉢面に旋回流Sが形成される。この放水路4から洗浄水が流出している間、光源6から光が出射する。この光は、放水路4及び棚状水路5を流れている洗浄水並びに鉢面に沿って流下している洗浄水内を導波し、鉢面の広い範囲に光が十分に照射される。この光は、紫外線であってもよく、可視光であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便器に係り、特に紫外線、可視光などの光を出射する光源を備えた便器に関する。
【背景技術】
【0002】
洋風便器の鉢面に光触媒層を設けると共に、便座内やリムの下面にランプを設け、このランプからの光を光触媒層に照射することにより、便器への汚物残留を防止することが特開平11−299689号に記載されている。
【特許文献1】特開平11−299689号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特開平11−299689号において、便座にランプを設けたときには、リムが影になり、リム直下の鉢面に光が当りにくい。
【0004】
また、同号においてリムの下面にランプを設けた場合、鉢面の全体に光を万遍なく当てるようにするためには、ランプの数を増やしたり、ランプとしてリム内縁形状に倣った湾曲したものを用いたりする必要があり、コスト高である。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、少ない数の光源によって光を鉢面の広い範囲に十分に照射することが可能な便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の便器は、鉢を洗浄するための洗浄水を流す流路を有する便器において、該流路のうち外部から隠蔽される位置に光源が設けられており、該光源からの光が該流路を流れる水に導波されて鉢内に照射可能とされていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の便器は、請求項1において、該便器は洋風便器であり、前記流路はリム又はリムの上流側部分であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の便器は、請求項2において、該便器は、前記リムからの流出水によって鉢内に旋回流が形成されるようにリムからの水の流出方向が一方向となっているものであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の便器は、請求項1ないし3のいずれか1項において、少なくとも前記流路に洗浄水が流れているときに前記光源から光を出射させる光源制御手段を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の便器にあっては、洗浄水流路を流すための流路に紫外線光源を設け、この光源からの光を洗浄水内に導波させるようにしているので、光源の数が少なくても鉢面の広い範囲に十分に光を照射することができる。この光によって防汚作用を奏することも可能である。また可視光が鉢洗浄水に光のゆらめきを与え、独得の美感を醸成することも可能である。
【0011】
この便器では、光源を外部から隠蔽される位置に設けているので、美観に優れる。
【0012】
本発明において、光源をリム又はその上流側部分に設けた場合には、清掃用具が当って損壊することも防止される。
【0013】
この場合、リムは鉢内に旋回流を形成するように設けられていることが好ましい。リムからの洗浄水に光源からの光が導波しているので、旋回流が鉢面を覆うように流れることにより鉢面のきわめて広い範囲に十分に光を照射することができる。
【0014】
洗浄水中に光を導波させるために、少なくとも洗浄水が流れているときに光源から光を出射させる光源制御手段を設けることが望ましい。ただし、光源は連続的に光を出射するものであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1(a)は実施の形態に係る便器の斜視図、図1(b),(c)は同(a)のB−B線、C−C線断面図である。
【0016】
この便器1は洋風便器であり鉢2の上縁にリム3が周回するように設けられている。
【0017】
鉢面に洗浄水を流し出すために、リム3の右側の後部に空洞状の放水路4が設けられると共に、この放水路4に引き続いて棚段形の棚状水路5が設けられている。この棚状水路5は、リム3の右側から鉢2の前部を回り、さらに左側のリム3にまで延在している。従って、放水路4から棚状水路5に洗浄水が流出すると、棚状水路5から水がこぼれ落ちるように鉢面に流下し、これにより鉢2内に旋回流Sが形成される。
【0018】
この空洞状放水路4内に光源6が設けられている。この光源6としては、リード線の先端にLEDを設けたものであってもよく、光ファイバーであってもよい。光ファイバーの場合は、好ましくは、光ファイバーの先端が放水路4内における棚状水路5側の端部直近に位置され、後端がLEDなどの発光体に接続される。
【0019】
リード線の先端にLEDを設けた場合には、このLEDを放水路4内における棚状水路5側の端部直近に位置させるのが好ましい。
【0020】
このリード線や光ファイバーは、便座ボックス7内に引き込まれている。この便座ボックス7には、LEDへの給電回路や、光ファイバー末端の発光体及びそれへの給電制御回路などが設置されている。
【0021】
この便座ボックス7内には、人体臀部洗浄用の温水洗浄装置や温風ファン、脱臭ファンなどの各種機器が設置されている。また、便座ボックス7には便器及び便蓋(いずれも図示略)が上下方向回動可能に取り付けられている。
【0022】
この実施の形態では、便座ボックス7内又は便器1の後方部に、放水路4への給水制御弁と、この給水制御弁の制御回路(いずれも図示略)が設けられている。トイレルーム壁面の設けられたリモコン等に設けられた便器洗浄スイッチを操作すると、給水制御弁が所定時間開弁し、鉢2に洗浄水が供給される。
【0023】
この実施の形態ではこの給水制御弁が開弁している間、上記光源6から光が出射する。
【0024】
このように構成された便器1において、上記のようにリモコン等の便器洗浄スイッチを操作すると、所定時間給水制御弁が開弁し、放水路4から棚状水路5へ洗浄水が流出し、鉢面に旋回流Sが形成される。この放水路4から洗浄水が流出している間、光源6から光が出射する。この光は、放水路4及び棚状水路5を流れている洗浄水並びに鉢面に沿って流下している洗浄水内を導波し、棚状水路5及び鉢面の広い範囲に光が十分に照射される。光が紫外線である場合には、この紫外線により、鉢面等の防汚作用が奏される。なお、鉢面等に光触媒を保持させておいてもよい。このようにすれば光が可視光の場合であっても光触媒作用によって防汚作用を奏することができる。
【0025】
光源からの光が可視光の場合、棚状水路5から流下し鉢面に沿って旋回している水の表面から光が出射し、光のゆらめきが感取され、独得の美観を醸し出すことも可能である。
【0026】
この実施の形態では、光源6は放水路4内に配置されており、外部からは見えないので、美観に優れると共に、清掃用具などが当って損壊することも防止される。
【0027】
この実施の形態では、光源6は単に放水路4内に差し込まれるようにして設置されており、紫外線光源設置部を便器1に設けることが不要である。そのため、既存品番の片回り洗浄式洋風便器であってもこの実施の形態を適用することが可能である。
【0028】
ただし、本発明では、陶磁器製の便器に孔を設け、この孔から光ファイバやリード線を差し込むようにして光源を設置してもよい。
【0029】
上記実施の形態では片回り式の洋風便器となっているが、便器の左右両側から洗浄水を供給するタイプの便器であってもよい。この場合左右両側にそれぞれ光源を設けるのが好ましい。
【0030】
本発明は小便器にも適用可能である。この場合、例えば小便器上部の洗浄水分配水路内に光源を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1(a)は実施の形態に係る便器の斜視図、図1(b),(c)は同(a)のB−B線、C−C線断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 便器
4 放水路
5 棚状水路
6 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉢を洗浄するための洗浄水を流す流路を有する便器において、
該流路のうち外部から隠蔽される位置に光源が設けられており、該光源からの光が該流路を流れる水に導波されて鉢内に照射可能とされていることを特徴とする便器。
【請求項2】
請求項1において、該便器は洋風便器であり、前記流路はリム又はリムの上流側部分であることを特徴とする便器。
【請求項3】
請求項2において、該便器は、前記リムからの流出水によって鉢内に旋回流が形成されるようにリムからの水の流出方向が一方向となっているものであることを特徴とする便器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、少なくとも前記流路に洗浄水が流れているときに前記光源から光を出射させる光源制御手段を備えたことを特徴とする便器。

【図1】
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