説明

便器

【課題】通常時は水などの洗浄流体により使用でき、かつ、災害時などには洗浄流体なしに使用できるようにした通常時および非常時兼用可能な便器、この便器を用いたトイレおよびその施工方法を提供する。
【解決手段】洗浄流体を供給することによりトラップを介して汚物を排出する便器において、通常時は閉塞されているボウルの底部を開放可能とした非常排出口を汚物の落下する位置の真下方向に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器やトイレの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住居などの建造物には、水などの洗浄流体で汚物を洗い流す水洗式の便器が広く利用されている。このように住居などにある便器は、例えば、便器本体内のボウルの底部の排出口からトラップを介して汚物が下水道に排出される構造となっている(特許文献1参照)。このボウル内に一定量の水が満たされるとトラップ内に負圧が生じ、この負圧によりボウルの底部の水や汚物が吸引排出され、排出後に再度ボウルの底部に所定量だけ水が満たされる構造となっている。即ち、サイホン作用を利用して汚物の排出がなされている。このように水などの洗浄流体により汚物を外部へと導けば衛生的である。また、トラップの存在により下水道側からの悪臭も遮断できる。
【0003】
これに対して、災害用のトイレは、住居や公衆トイレなどの建造物というよりは避難所等の屋外に設置されるのが通例であり、上下水道や電気などのライフラインの停止等を考慮して水洗式が採用されていない(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−152664号公報
【特許文献2】特開平9−296618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
住居などの建造物においては、大地震などの災害時に上下水道や電気などのライフラインが何らかの理由で機能不全に陥ることが予想されるが、このような場合には水洗式便器として全く使用できなくなってしまうといった問題がある。
【0006】
上水道が機能不全に陥ると、汚物を流すための水をボウル内に供給できないために、汚物がボウル内に溜まってしまう。勿論バケツ等でボウル内に水を供給すれば、汚物を流すことは可能であるが、上水道が機能しない状況下でそのような水の確保は困難である。仮に、溜め水があったとしても、そのような状況下では飲料水としての利用が優先されるのが常である。また、上水道と下水道が同時に機能不全に陥った場合には、飲み水の確保を考慮すると下水道より上水道の方が優先されることが想定される。即ち、下水道は上水道より復旧に時間を要することから、従来の水洗式の便器は災害時においては何の役にも立たない代物となってしまう可能性が高い。
【0007】
一方、発明者らは、災害時に備えて特願2007−321431号の倉庫兼トイレを提供している。これは普段は倉庫として使用しつつ、災害時に倉庫の中身を取り出して簡易トイレとして利用するというものであるが、あくまでも災害時にのみ使用するトイレであって、通常時に水洗式で利用できるものではない。
【0008】
本発明は、上述の実情に鑑みて開発されたものであって、通常時は水などの洗浄流体により使用でき、かつ、災害時などには洗浄流体なしに使用できるようにした通常時および非常時兼用可能な便器、この便器を用いたトイレ、およびその施工方法を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る便器は、水などの洗浄流体を供給することにより汚物を排出する便器において、ボウルの底部に常時は閉塞し非常時は開放可能とした非常排出口が設けられ、非常排出口は汚物の落下する位置の真下方向に設けられている。
【0010】
この便器は、通常時は非常排出口を閉じたまま既存の水洗式として使用される。災害等が起こった際には、ボウルの底部を開放して非常排出口を開口することで、汚物の落下する位置の真下方向、即ち使用者の真下方向、の非常排出口へと汚物がその自重によって落下する。通常時の水洗式から災害時の自重落下式へと切り換え機能が兼備されている。
【0011】
また本発明に係るトイレは、通常時は洗浄流体を供給するボウルの底部を非常時に開放可能にして汚物の落下する位置の真下方向に汚物を落下させる非常排出口を設けてなる便器と、この便器を床に設置するとともに非常排出口の垂直方向下位にある床板を非常排出口と同等またはそれ以上の径に開口してなる床開口部と、便器の下部の床下空間に設置され便器の非常排出口から床開口部を介して落下される汚物を受容可能な便槽とを備えている。
【0012】
このトイレは、通常時は住居や公衆トイレなどの建造物において、水洗式として汚物を下水道へと流し出している。災害等が起こったときには、ボウルの底部を開放して便槽に汚物を直接落下させるように排出する。また、非常排出口は、汚物の落下する位置の真下、即ち使用者の真下位置、に設けられているので、汚物が便器に触れることなく床開口部を通って便槽に落下され、便器が汚れにくい。
【0013】
さらに、本発明に係るトイレの施工方法は、便器を床に設置するにあたって、便器の非常排出口の垂直方向下位に非常排出口と同等またはそれ以上の径の床開口部を穿設し、床下空間には便槽を設置するものである。
【0014】
この施工方法は、既存のトイレに追加的に施工する形で便器を取り替えて施工してもよいし、新設時に施工してもよい。便槽は、据え置き型のものや取り替え型のものなど建物構造に応じて柔軟に対応される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の便器によれば、通常時には水洗式として使用可能であるうえに、災害時にはボウルの底部を開放することで自重落下式の便器として使用可能であり、住居空間において水洗式と災害時対応式とを1台で兼用させることができる。即ち、災害時でも普段水洗式として使っている便器を現住する住居空間でそのまま利用できる。
【0016】
本発明のトイレによれば、水洗式として使用可能な既存の便器の下部に便槽を設置し、床板を開口するだけで施工することができ、仮設トイレ設備などを要することなく住居空間において水洗式に代わる災害時対応式を装備させておくことができる。即ち、災害時対応式トイレを水洗式トイレに兼用させることができる。
【0017】
さらに、本発明のトイレの施工方法によれば、便器を床に設置するにあたって、便器の非常排出口の垂直方向下位の床板に非常排出口と同等またはそれ以上の径の床開口部を設け、床下空間に便槽を設置するだけで施工することができ、既存住居空間を利用して施工作業を簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態における便器の一部を切欠いて示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態における可動式便槽を有するトイレを示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す要部拡大断面図、(B)はボウルの底部の開放した状態を示す要部拡大断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態における便器の密閉状態を説明する図であって、(A)は平面図、(B)は使用状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態として固定式便槽を有するトイレを示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す要部拡大断面図、(B)はボウルの底部の開放した状態を示す要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す要部拡大断面図、(B)はボウルの底部の開放状態を示す要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す要部拡大断面図、(B)はボウルの底部に案内パイプを介在させた開放状態を示す要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す要部拡大断面図、(B)はボウルの底部の開放状態を示す要部拡大断面図である。
【図10】本発明の第7実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す要部拡大断面図、(B)はボウルの底部の開放状態を示す要部拡大断面図である。
【図11】本発明の第8実施形態における和式の便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す拡大断面図、(B)は非常排出口を開放した状態を示す断面図である。
【図12】本発明の第8実施形態におけるトイレを示す断面図である。
【図13】本発明の第9実施形態における和式の便器の密閉状態を説明する断面図である。
【図14】本発明の第10実施形態における和式の便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す拡大断面図、(B)は反転してボウルの底部の開放状態を示す拡大断面図である。
【図15】本発明の第11実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す拡大断面図、(B)は非常排出口を開放した状態を示す拡大断面図である。
【図16】本発明の第11実施形態において便器に取り付けた栓部材を示す斜視図である。
【図17】本発明の第12実施形態における便器の密閉状態を示す側面から見た拡大断面図である。
【図18】本発明の第12実施形態において便器の非常排出口を開放した状態を示す側面から見た拡大断面図である。
【図19】本発明の第12実施形態において便器の非常排出口を開放した状態を示す正面から見た拡大断面図である。
【図20】本発明の第13実施形態において便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す拡大断面図、(B)は非常排出口を開放した状態を示す拡大断面図である。
【図21】本発明の第14実施形態における和式の便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態を示す拡大断面図、(B)は非常排出口を開放した状態を示す拡大断面図である。
【図22】本発明の第15実施形態における便器を説明する図であって、(A)は通常時における拡大断面図、(B)は栓部材を開放した状態を示す拡大断面図、(C)は栓部材の開放時において第2の栓部材の開放状態を示す拡大断面図である。
【図23】本発明の第16実施形態における便器を説明する図であって、(A)は通常時における拡大断面図、(B)はロック機構による栓部材の開閉機構の係止を解除された状態を示す拡大断面図、(C)はロック機構による栓部材の開閉機構の係止解除時において栓部材の開放状態を示す拡大断面図である。
【図24】本発明の第17実施形態における便器を説明する図であって、(A)は通常時における拡大断面図、(B)はI−I拡大断面図である。
【図25】本発明の第17実施形態において便器の非常排出口を開放した状態を示す側面から見た拡大断面図である。
【図26】本発明の第17実施形態における便器を説明する図であって、(A)は栓部材の開放時において第2の栓部材の開放状態を示す拡大断面図、(B)はII−II拡大断面図である。
【図27】本発明の第18実施形態として屋外に便槽を有するトイレを示す断面図である。
【図28】本発明の第19実施形態として複数階にトイレを有するトイレを示す断面図である。
【図29】本発明の第20実施形態として洗浄流体を流す代りに噴霧器を使用して便器を洗浄する状態を示す参考図である。
【図30】本発明の第21実施形態として洗浄流体を流す代りに石油ポンプを使用して便器を洗浄する状態を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態における便器の一部を切欠いて示しており、図2は第1実施形態における、可動式便槽を有するトイレを示しており、図3は第1実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明しており、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)はボウルの底部の開放した状態をそれぞれ示しており、図4は第1実施形態における便器の密閉状態を説明しており、(A)はその平面、(B)は使用状態をそれぞれ示している。以下、本発明の第1実施形態に係る便器とこの便器を用いたトイレの一例について図1〜図4を参照して説明する。
【0020】
第1実施形態に係る便器101は、床150に載置され、床下空間148には便槽160が設置されている。図中、140はスラブ、142は床スラブ、146は壁材、153は床を補強する補強部材である。また、102は便器本体、104は給水タンク、106は水などの洗浄流体がたまるボウル、107はボウル106の底部、108はトラップ、110は排出口、111は排水パイプ、114は便座、116は便器カバー、118はボウル106に水などを供給する給水経路である。
【0021】
本実施形態では、特に、便器本体102には、通常時は閉塞されているボウル106の底部107を非常時に開放する非常排出口112が形成されている。非常排出口112は便座114に腰掛けたときに汚物が落下する位置のほぼ真下の底部107の位置に配置され、通常時には栓部材120によってボウル106の底部107が密閉されている。栓部材120は、非常排出口112の口形状に応じた外形を有する平板状を呈し、その外周端に設けられた凹状溝部120Bにリング状パッキンなどのシール部材120Cが設けられ、非常排出口112の段部112Aに嵌め込みされて水密性が確保されている。非常排出口112はその周壁112Bが下方向に向かって縮径されたテーパ面形状となっており、水洗式の水圧に対して栓部材120によるくさび効果を付与することができる。この場合には、栓部材120の外周端もテーパ面形状となっている。ここで、シール部材120Cの素材としては、ゴム系材料や樹脂系材料などの非常排出口112と栓部材120との接触面とのなじみが良い材料とすることが好ましい。
【0022】
非常排出口112は、図示の例においては底部107のうちで最下部に位置しているが、ボウル106の形状に対応して位置や大きさが選択されることは明らかである。即ち、ボウル106の形状には楕円形や方形などの種々のものがあるため、栓部材120の位置である非常排出口112の位置はボウル106の最下部(最底部)だけに制限されるものではない。汚物が落下する位置である使用者の真下位置である限り、いずれの部分に設けてもよい。要するに、栓部材120を取り外して非常排出口112を開放した際に、汚物がこの非常排出口112を通って真っ直ぐ下方へと落ちる位置に設けられていれば足りる。
【0023】
また、非常排出口112には落下案内筒113が接続されており、この落下案内筒113は真下に向けて垂直に床150の上面付近まで伸長している。落下案内筒113は、非常排出口112と同一径かまたはやや大きな径を有している。この落下案内筒113は、円筒形とするが、栓部材120の外形に相似して落下障害を起こさない形状とすべきであり、ボウル106の素材と同一素材でこのボウル106と一体成形されることが望ましい。勿論、落下案内筒113を合成樹脂製や金属製または陶磁器製のパイプとし、既存の便器の底部外側に装備させることも可能である。
【0024】
また、栓部材120は、上面側をボウル106の曲面に連続する形状、即ち、図示するように凹状とするなだらかな球面形状とされている。よって非常排出口112の入り口にこの栓部材120を取り付けると、ボウル106の曲面とつながる連続曲面となるので、底部107の上位面から最底部を介してトラップ108へと流れる水や汚物を滞りなくスムースに流すことが可能となっている。
【0025】
また、栓部材120の密閉・開放手段としては、その下面中央に下端部に雄ネジ122Aを有するロングボルト122が固定されている。このロングボルト122は、栓部材120を非常排出口112に位置合わせすると、このロングボルト122の下端が落下案内筒113の下端113Aよりも若干突出するようにその長さが調整されている。一方、ボウル106の裏面にはチェーン等の連結具125が取り付けられ、この連結具125の先に有底円筒形状の支持プレート124が取り付けられている。この支持プレート124の底部略中央には、ロングボルト122の下端が貫通可能な貫通孔が設けられており、更に、この貫通孔に連通するように蝶ナット123が回転可能に取り付けられている。
【0026】
このような構成により、ロングボルト122の下端部に形成された雄ネジ122Aをこの蝶ナット123に螺合させることによって、栓部材120と支持プレート124とが引き寄せられ、結果として栓部材120を非常排出口112の入り口に確実に密閉して固定することができる。
【0027】
便器本体102の正面側のやや下よりの位置には点検扉130が設けられている。点検扉130は、扉本体131がヒンジなどを介して開閉自在に構成され、ノブロック132により常時ロックされている。このような点検扉130を設けることにより、正面側から容易に内部に手を入れることができ、栓部材120を取り外す場合は、蝶ナット123を緩めるという簡単な作業で足りることとなる。
【0028】
また、床150における落下案内筒113の略真下の位置には、床開口部154が穿設されており、床下空間148と床上とを繋いでいる。この床開口部154の径W2は、非常排出口112の径W1よりも大きく設定されている。勿論、床開口部154の径W2は非常排出口112の径W1以上が確保されていれば足りる。床開口部154には例えばキャップ155を被せて常時閉塞しておく。これにより、虫や冷気の進入を防止できる。
【0029】
また、床下空間148には便槽160が設置されている。便槽160は非常時に汚物を収容するための収容容器であり、本実施形態においてはバスタブ様の便槽本体160Aと蓋160Bとで構成された箱状体である。蓋160Bの略中央には、汚物の入り口となる汚物取入口162が形成され、キャップ163が取り付けられている。便槽160を使用する際には、このキャップ163が取り外される。また、キャップ163の上面には図示しないガス抜きが設けられている。このガス抜きは、便槽160に蓄えられた汚物が発酵して発生するガスを抜き、便槽160の破裂や破損を防止するものである。なお、便槽160はスライドレール152上にスライド可能に載置され、引出又は収納交換が容易に行われる。
【0030】
さらに、便器本体102の手前側の床150の一部は取り外し可能なパネル扉151になっている。このパネル扉151の大きさは、便槽160を出し入れできる大きさとされている。
【0031】
このような構成によれば、通常時は、蝶ナット123によって栓部材120と支持プレート124とが引き寄せられ、栓部材120が非常排出口112の入り口に確実に密着しているので、水洗式便器として従来通り使用される。
【0032】
次に、災害時で水道のライフラインが遮断されたときには、点検扉130のノブロック132を解除して扉本体131を開放し、正面側から手などを差し込み、床150の床開口部154からキャップ155を取り外し、その後に蝶ナット123を緩め、図3(B)に示すように栓部材120を非常排出口112から上方へ引き上げ、連結具125を介した支持プレート124が内部空間に置かれる。また、便槽160のキャップ163が取り外されて簡易水洗の便器となる。
【0033】
その結果、ボウル106の底部107の最底部が丁度抜け落ちたように非常排出口112が開放され、汚物が、落下案内筒113と床開口部154とを介して便槽160の汚物取入口162へと落下可能な状態となる。栓部材120は、使用者Pが便座114に腰掛けたときに汚物が落下する位置の略真下に設けられている。もちろんボウル106の形状には種々のものがあるため、栓部材120の位置、即ち非常排出口112の位置はボウルの最底部だけに制限されるものではない。使用者Pの真下位置である限り、いずれの部分に設けてもよい。要するに、栓部材120を取り外して非常排出口112を開放した際に、汚物がこの非常排出口112を通って真っ直ぐ下方へと落ちる位置に設けられていれば足りる。なお、床開口部154のキャップ155を最初に外しておき、その空間を利用して蝶ナット123の作業を行うことが望ましい。
【0034】
使用者Pが便座114に腰掛けると、汚物はボウル106の最底部にある非常排出口112から落下案内筒113と床開口部154を通過して汚物取入口162へと落下して便槽160に到達することとなる。したがって、非常時において、水洗式ではない落下式であっても、汚物はボウル106に残ることなく便槽160に落下することとなる。
【0035】
災害等が発生してから上下水道が復旧するまでの間、臨時的に便槽160に汚物を溜めておくことで住居内のトイレ100、更には便器101をそのまま使用し続けることが可能となっている。便槽160が一杯になってしまった場合には、隣の空の便槽160と取り替えることにより継続的な利用が可能となっている。特に、本実施形態のように便槽160がスライドレール152上に配置されていれば、便槽160に汚物が溜まり重くなった場合でも容易に移動させることができ、交換作業が容易である。
【0036】
さらに、本実施形態におけるトイレの施工に際しては、(a)床150に床開口部154を穿け、(b)床開口部154の垂直方向上位に落下案内筒113を有する非常排出口112を位置させて便器101を固定し、(c)床下空間148に便槽160を設置する。
【0037】
したがって、このトイレの施工方法によれば、上述の(a)〜(c)の簡略化された作業工程でよく、既存の住居空間を利用して施工作業できるうえに、既存住居空間に災害用設備を敷設可能となる。
【0038】
〔第2実施形態〕
図5は本発明の第2実施形態として、固定式便槽を有するトイレを示している。以下、同図を用いてこの実施形態を説明する。なお、本実施形態において第1実施形態と同一または類似する部分については、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0039】
本実施形態において、便器101は床下に設けられた据え付け型の便槽260の上部に設置されている。この場合は、床開口部254が第1実施形態の床開口部154(図3)より大きな径に設計されており、汚物の便槽260内への落下が正確になされる。汲み取り口266から便槽260内の汚物を汲み取ることによって、この便槽260の継続使用が可能となる。
【0040】
図示しないが、第1実施形態の場合と同様に、通常時は、栓部材120で非常排出口112が密閉された状態となっており、水洗式便器として利用される。この場合、水などの洗浄流体は、トラップ108を介して排水パイプ111から流出される。
【0041】
〔第3実施形態〕
非常排出口112に取り付けられる栓部材としては種々の構成を採用することができ、特にその内容は限定されるものではないが、以下にいくつかの構成例を説明する。
【0042】
図6は本発明の第3実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)はボウルの底部の開放した状態をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態における栓部材320は、非常排出口112と落下案内筒113とに挿入される円柱形状の挿入部321と、この挿入部321よりも一回り大きく形成された枠部322とを有し、更にこの枠部322の内周面にネジ溝323が形成され、枠部322の底部にはパッキン324が設けられている。栓部材320の円柱形状の上面部325は、ボウル106の底部107の曲面に連続する面形状に形成されている。また、非常排出口112の落下案内筒113の下端部の外周面にはネジ溝114が設けられている。
【0043】
栓部材320は、非常排出口112と落下案内筒113の内部に下端から円柱形状の挿入部321が挿入され、枠部322のネジ溝323が落下案内筒113のネジ溝114に螺合し、上面部325を底部107と連続する面位置まで押し上げ、連続面が構成されている。また、栓部材320は連結具125によりボウル106の裏面に連結されている。
【0044】
これにより、便器本体102は、通常時は、供給された洗浄流体が、連続曲面として構成されるボウル106の底部107と栓部材320の上面部325とを通り、さらに、図示しないトラップおよび排水パイプを通って流出するように機能する。
【0045】
非常時には、栓部材320を枠部322の螺合解除方向へ回転することにより、挿入部321が非常排出口112と落下案内筒113から後退して取り外しされ、これによりボウル106の底部107に床開口部154へと連通する落下路が形成される簡易水洗の便器となる。
【0046】
本実施形態によれば、パッキン324の存在、および、挿入部321と非常排出口112および落下案内筒113の内周面との垂直方向での挿入代が大きく確保されていることから、密閉性を高く維持することができる。なお、非常排出口112と上面部325との間に隙間が生じている場合には、シール部材によって密閉性を高くしておくことがより望ましい。
【0047】
〔第4実施形態〕
図7は本発明の第4実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)はボウルの底部の開放した状態をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態における栓部材420は、非常排出口112の内周面に形成されているネジ溝112Cを利用して、非常排出口112に上方向から螺合される。栓部材420の下部外周面には、非常排出口112のネジ溝112Cに螺合可能なネジ溝421が設けられている。また、栓部材420の上面には指などを引っ掛けてこの栓部材420を回すための凸条422が形成されている。凸条422とネジ溝421との間の外周方向に突出した部分が鍔部423である。
【0048】
この栓部材420の取り外しは、便器のボウル106側から凸条422に指を掛けてこの栓部材420を回動させることにより行う。取り付けはその逆である。栓部材420を取り付ける場合、鍔部423の下面が、非常排出口112の上部に形成されている段部112Dに当接して高さ方向の位置決めがなされる。
【0049】
本実施形態の利点は、栓部材420の取り付け、取り外しをボウル106の上側から行えることであり、前述した実施形態における検査扉などを設ける必要はない。また、栓部材420は、非常排出口421に上方向から螺合しているため、通常時の使用(水洗式で汚物を排出している場合)において栓部材420の上面を通過する水や汚物の圧力を受けてもそれにより却って密着性が増加し、漏れなどが生じにくいといったメリットがある。また凸条422は、洗浄流体の流れに長手方向が沿うように配置されることから、水や汚物の流れを妨げない。図示しないが、凸条422に代えて凹条を設けることも可能である。
【0050】
〔第5実施形態〕
図8は本発明の第5実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)はボウルの底部に案内パイプを介在させた開放状態をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態における栓部材520は、非常排出口112の下端部の外周面に形成されているネジ溝112Eを利用して、非常排出口112に下方向から嵌め込まれる。栓部材520は、非常排出口112内に挿入される円柱形状の挿入部521と、この挿入部521よりも一回り大きく形成された枠部522とを有し、更にこの枠部522の内周面にネジ溝523が形成されている。このねじ溝523は、非常排出口112の下端部の外周面に形成されているネジ溝112Eと螺合可能である。なお、同図(B)に示す符号524はパッキン、525はボウルの底部107に連続する栓部材520の上面部である。また、案内パイプ526が別途設けられており、この案内パイプ526の上端部の内周面には、非常排出口112のネジ溝112Eに螺合可能なネジ溝527が形成されている。
【0051】
この栓部材520は、挿入部521の上面部525が底部107に滑らかに繋がるように凹状に形成されており、水洗式として使用する場合の水や汚物の流れがスムースとなるように構成されている。また、パッキン524の存在により密閉性を高く維持することができる。
【0052】
栓部材520は回転することで取り外すことができ、その後に、案内パイプ526を非常排出口112の下端部のネジ溝112Eに螺合して取り付ける。案内パイプ526は、床開口部154に入り込むように延長されているので、汚物を便槽へと正確に案内できると共に、便器本体の形状をそれほど複雑に構成しなくてもよいといったメリットがある。勿論、この案内パイプ526は場合により省略されていてもよいし、テーパでなくストレート形状または下端を拡開するスカート形状であっても問題ない。
【0053】
〔第6実施形態〕
図9は本発明の第6実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)はボウルの底部の開放状態をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態における栓部材620は、ボウル106の底部107に設けられた非常排出口112に対して上方向から密着嵌合する略円盤状の平面形状を有しており、その外周端面にはパッキン621が設けられている。この栓部材620の下面の略中央には支持アーム622が連結されており、栓部材620と支持アーム622とはネジ620Aにより取り外し可能に構成されている。この支持アーム622は、支点部材623によりシーソー様に回動可能な連結棒624の一方の端部に接続され、連結棒624の他方の端部はコイルバネ625を介してボウル106の裏面に取り付けられた係合部材626に接続されている。なおこの支点部材623は連結棒624を水平方向にも回動させることを可能に構成されている。
【0054】
即ち、コイルバネ625が連結棒624の他方の端部を上方向に引き上げることにより、連結棒624の一方の端部が下方に押し下げられ、これにより、栓部材620は支持アーム622を介して非常排出口112に上側から密着されるように構成されている。
【0055】
この栓部材620の取り外しは、コイルバネ625と連結棒624との連結を解き、更に支持アーム622から栓部材620を取り外すことにより実現できる。コイルバネ625を取り外した後は、連結棒624の一方の端部を下方に降ろし、更に支点部材623を支点として水平方向に回動させておくことにより、落下障害となることを防止する。
【0056】
栓部材620は、非常排出口112に上方向から嵌合しているため、通常時の使用(水洗式で汚物を排出している場合)において栓部材620の近傍を通過する水や汚物の圧力を受けてもそれにより却って密着性が増加し、漏れなどが生じにくいといったメリットがある。
【0057】
図示しないが、コイルバネ625が連結棒624の他方の端部を下方向に引き下げて一方の端部を上方に押し上げ、栓部材620を非常排出口112の下方から密着させる構造も同様に採用可能である。
【0058】
〔第7実施形態〕
図10は本発明の第7実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)はボウルの底部の開放状態をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態における栓部材720は、ボウル106の底部107に設けられた非常排出口112に対して上方向から密着嵌合する略円盤状の平面形状を有する部材である。この栓部材720は例えば三層構造に形成できる。取外し爪721を有する上層722は陶器で構成することができ、中間層723はゴムで構成でき、下層724は磁石で構成することができる。この磁石724は例えばネオジウムマグネット等の磁力が強いものが望ましい。栓部材720の外周面は下方に向けて小径となるテーパ面を有し、これに対応して非常排出口112は受けテーパ面に形成されている。金属製の蓋部材725は下方から支持されて近接配置される。即ち、栓部材720の下層(磁石)724に対して、蓋部材725を磁着させるようにして固定する。
【0059】
栓部材720の取り外しは、蓋部材725の先端726を指でつまんで下方に押し下げて蓋部材725と下層(磁石)724との磁着を解いた上で、ボウル106側から、例えばマイナスドライバなどの工具780の先端を取外し爪721に挿入して抉るように動かすことで、栓部材720を非常排出口112から容易に取り外すことができる。取り付けはその逆である。
【0060】
なお栓部材720は、非常排出口112に上方向から嵌合していると同時にクサビ作用を有しているため、水洗式として使用している場合において、栓部材720の近傍を通過する水や汚物の圧力を受けてもそれにより却って密着性が増加し、漏れなどが生じにくいといったメリットがある。
【0061】
〔第8実施形態〕
図11は本発明の第8実施形態における和式の便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)は非常排出口を開放した状態をそれぞれ示しており、図12は本実施形態におけるトイレを示している。これらの図に示すように、本実施形態における和式の便器本体801には、底面に2つの排出経路が設けられている。図面中左側に設けられているのが通常時に水洗式として使用される水洗排出口810であり、図面中右側に設けられているのが、災害等の際に使用される非常排出口812である。水洗排出口810には栓部材820に係合するリング状の受け段部803が設けられているが通常時にはこの部分には何も係合されていない。この水洗排出口810はトラップ108を介して下水パイプ111に接続されている。一方、非常排出口812には受け段部803と同一形状の受け段部813が設けられており、この受け段部813には略円盤状の平面形状を有する栓部材820がネジなどの固定手段821により固定されている。固定手段821としては、ねじや粘着剤などが選択される。栓部材820は、広い平板状を呈し、ボウル内部形状に沿う上面を有している。
【0062】
通常時は便器後方(図面中右方向)から便器内に供給される水などの洗浄流体が、非常排出口812に落ちてしまうことなく前方(図面中左方向)へと流れ、トラップ108を介して下水パイプ111へと排出される。
【0063】
災害等の場合には、栓部材820を固定している固定手段821を緩めて栓部材820を取り外し、図11(A)に矢印で示すように取り外した栓部材820の前後方向を逆にして水洗排出口810側の受け段部803に押し当てて固定手段821により固着することで簡易水洗の便器となる。これにより、汚物を便槽260内へ落下によって導くことができると同時に、汚物が水洗排出口810側に流入して詰まることを防止できる。
【0064】
〔第9実施形態〕
図13は本発明の第9実施形態における和式の便器の密閉状態を示している。同図に示すように、本実施形態では図11の第8実施形態に対して固定手段のみが相違している。同図に示すように、本実施形態においては、水洗排出口810と非常排出口812との受け段部803及び813の各々には、磁石921がリング状または複数個所に分散して埋設されている。一方、栓部材820は金属製部材とするか、または磁性粉末を分散した合成樹脂材などにより成形される。
【0065】
本実施形態によれば、非常排出口812の受け段部813に栓部材820が着磁されているので、通常時は便器後方(図面中右方向)から便器内に供給される水などの洗浄流体が、非常排出口812に落ちてしまうことなく前方(図面中左方向)へと流れる。
【0066】
また、災害等の場合には、栓部材820を磁石921に抗して離隔させ、水洗排出口810の受け段部803に位置合わせし、磁石921に着磁させて密閉する。これにより、汚物を便槽へと直接的に落下させると同時に、汚物が水洗排出口810側に流入することを防止できる。
【0067】
〔第10実施形態〕
図14は本発明の第10実施形態における和式の便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)は反転してボウルの底部の開放状態をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態における和式の便器本体1402には、底面に2つの排出経路が設けられている。図面中左側に設けられているのが通常時に水洗式として使用される水洗排出口1410であり、図面中右側に設けられているのが、災害等の際に使用される非常排出口1412である。また、便器本体1402の内部には、底面に1つの貫通孔1422が形成された略バスタブ形状(便器の底面に沿った形状)のプレート部材1420が嵌合される。このプレート部材1420はここでは磁性体とされ、上部外周縁にパッキン1421が設けられている。なおこのプレート部材1420は、便器内に埋設されている磁石1423の磁力により固着されている。
【0068】
通常時は便器の前側(図面中左側)に貫通孔1422が位置するようにプレート部材1420が嵌め込まれている。即ち、非常排出口1412が遮蔽されると共に、水洗排出口1410が開放されるように取り付けられている。これにより、便器内に供給される水などの洗浄流体が、非常排出口1412に落ちてしまうことなく前方(図面中左方向)へと流れ、トラップ1408を介して下水パイプ1411へと排出される。また、災害等の場合には、プレート部材1420をいったん取り外し、前後を逆にして再度取り付けることで簡易水洗の便器となる。即ち、便器の後側(図面中右側)に貫通孔1422が位置するようにプレート部材1420を嵌め込む。つまり、非常排出口1412が開放されると共に、水洗排出口1410が遮蔽されるように取り付ける。これにより、汚物を便槽へと落下させることができると同時に、汚物が水洗排出口1410側に流入することを防止できる。
【0069】
〔第11実施形態〕
図15は本発明の第11実施形態における便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)は非常排出口を開放した状態をそれぞれ示しており、図16は本実施形態において便器に取り付けた栓部材を示している。これらの図に示すように、本実施形態における栓部材920は、非常排出口912の形状に応じた円盤状の平面形状を有しており、その周囲の側面上部には凹溝920Bが設けられ、側面下部には段部920Eが設けられて縮径している。この凹溝920Bにはリング状パッキンなどのシール部材920Aを嵌め込み、栓部材920の上面中心部にはすり鉢状の凹部920Dが形成されている。この凹部920Dには牽引部920Cが凹部920Dを渡るように設けられている。
【0070】
また、非常排出口912の下部にはソケット部912Cが設けられ、ソケット部912Cに案内パイプ926が固定されている。非常排出口912と案内パイプ926との固定方法は、便器本体902がFRP(ガラス繊維強化プラスチック)製である場合には、案内パイプ926もFRP製を素材とし、ソケット部912Cと案内パイプ926との間にFRP樹脂を充填することで接着固定される。便器本体902が陶器の場合には、案内パイプ926も陶器を素材とし、ソケット部912Cと案内パイプ926との相互に対応するねじ溝を設け、図8に示すようにねじ込みによって固定される。なお、栓部材920の素材については第1実施形態における落下案内筒と同様の素材が適宜選択され、シール部材820Aの素材については、第1実施形態の場合と同様である。
【0071】
本実施形態によれば、通常時には非常排出口912を栓部材920で閉塞している状態で使用し、汚物は水洗排出口110を通って下水パイプへ流れる。ここで、栓部材920と非常排出口912は、垂直方向では栓部材920の段部920Eが非常排出口912の段部912Aに当接しつつ、上部からは水圧により絶えず圧力を受けている。水平方向では凹溝920Bに設けられているシール部材920Aによって非常排出口912の周壁912Bと当接している。従って、非常排出口912における水密性が確保されている。
【0072】
非常時には便器本体902の上方から牽引フック970等を栓部材920の牽引部920Cに掛けて、栓部材920を上方へ引き上げて非常排出口912を開放することで簡易水洗の便器とする。引き上げられた栓部材920は便器本体902の外側へ取り出され、牽引フック970とともに別途保管されることとなる。通常時に戻す手順については、別途保管されている栓部材920と牽引フック970を上述した手順と逆の手順で操作することによって非常排出口912を閉塞する。
【0073】
これにより、汚物は水洗排出口110を通らず、非常排出口912を通って便槽160に落下する。また、便器本体902の底部107に手を近づけることに抵抗感を持っている人であっても、牽引フック970を使用して栓部材920を引き上げるので、容易に非常排出口912を開放状態にすることができる。
【0074】
〔第12実施形態〕
図17は本発明の第12実施形態における便器の密閉状態を示しており、図18及び図19は本実施形態において便器の非常排出口を開放した状態を示している。これらの図に示すように、本実施形態における非常排出口912には、閉塞されている栓部材1020を開放状態にするための開放装置1080が設けられている。この開放装置1080は、主として、操作レバー1081と、開放部材1083と、操作レバー1081の動作に開放部材1083を連動させる連結部材1082とによって構成されている。操作レバー1081と連結部材1082との連結は、便器本体902から横方向に突出している連結部材1082の端部に設けられている連結孔1082Aに操作レバー1081を挿入してなる。
【0075】
なお、操作レバー1081についてはドライバー等の工具780(図10(B))による代用が可能であり、栓部材1020により非常排出口912を閉塞し、水密性を確保するための構造については、第10実施形態の場合と同様であるため説明を省略する。
【0076】
また、非常排出口912の下部にはソケット部912Cが設けられ、このソケット部912Cに案内パイプ926が挿入固定されている。取付け構造および素材については、第10実施形態の場合と同様であるため説明を省略する。
【0077】
本実施形態によれば、通常時には連結孔1082Aから操作レバー1081が取り外された状態にして、かつ非常排出口912を栓部材1020で閉塞している状態で使用するため、汚物は水洗排出口110を通って下水パイプへ流れる。これにより、通常時には安易に開放部材1083が操作されることがないので、非常排出口912の閉塞状態が解除されるおそれのない便器となっている。
【0078】
非常時においては、連結孔1082Aに操作レバー1081またはドライバー等の工具780(図10(B))を挿入し、開放部材1083の自由端側先端部が下方から上方へ動くように連結部材1082を操作することにより、栓部材1020の底部が自由端側先端部に押し上げられて非常排出口912との閉塞状態が解除される。閉塞状態を解除された栓部材1020は、手または挟掴具(図示せず)等によって摘み、便器本体902の外部に取り出すことによって非常排出口912を開放状態とするので、汚物は水洗排出口110を通らずに非常排出口912を通って便槽内に落下する。取り出された栓部材1020と使用した操作レバー1081または工具780については、通常時に戻す際に必要となるので一緒に別途保管することとなる。通常時に戻す手順については、別途保管されている栓部材1020と操作レバー1081または工具780とを使用し、開放部材1083の自由端側先端部が下方に位置していることを確認した上で、上述した手順と逆の手順で操作することによって非常排出口912を閉塞する。開放部材1083の自由端側先端部が上方に位置している場合には、操作レバー1081または工具780で下方へ移動させてから非常排出口912を閉塞する。
【0079】
これにより、栓部材1020が非常排出口912に強固に閉塞している場合においても、容易に閉塞状態を解除することが出来る。また、便器の底部170に手を近づけることに抵抗感を持っている人であっても挟掴具を使用することで栓部材1020を摘み、取り出して非常排出口912を開放状態にすることができる。
【0080】
〔第13実施形態〕
図20は本発明の第13実施形態において便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)は非常排出口を開放した状態をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態における栓部材1120は上面がボウル内部形状に沿っており軸断面が門形の蓋部材1120Cと、この蓋部材1120Cの外周を囲む枠部材1120Dと、枠部材1120Dの外周に設けられている凹溝1120Bに嵌め込まれるシール部材1120Aとから構成されている。蓋部材1120Cは枠部材1120Dに嵌め込まれ、樹脂接着剤によって接着されている。蓋部材1120Cは突き棒1180等で容易に突き割れるような素材、例えば陶器または陶器と同程度の強度の樹脂モルタル、ガラス、FRP樹脂等によって形成され、枠部材1120Dはステンレス製金具等によって形成されている。ここで、蓋部材1120Cは、突き棒1180等で容易に突き割れる構造または素材であればよく、好ましくは便器本体902と同様の素材とする事が好ましい。栓部材1120により非常排出口912を閉塞し、水密性を確保するための構造については、第11実施形態の場合と同様であるため説明を省略する。
【0081】
また、非常排出口912の下部にはソケット部912Cが設けられ、このソケット部912Cに案内パイプ926が挿入固定されている。取付け構造および素材については、第11実施形態の場合と同様であるため説明を省略する。
【0082】
本実施形態によれば、通常時には非常排出口912を栓部材1120で閉塞している状態で使用し、汚物は水洗排出口110を通って下水パイプへ流れる。
【0083】
非常時においては、非常排出口912を閉塞している栓部材1120の蓋部材1120Cを突き棒1180等で突き割ることで、突き割られた蓋部材1120Cが便槽内に落下し、非常排出口912に残存している枠部材1120Dを手または突き棒1180等で取り外して開放状態にする。突き割られた蓋部材1120Cが全て便槽内に落下していない場合には、突き棒1180等で便槽内に全て落としてから、非常排出口912に残存している枠部材1120Dを取り外して開放状態にすることとなる。通常時に戻す手順については、予備の栓部材1120を非常排出口912に押し当てることによって閉塞する。
【0084】
これにより、災害時においては、突き棒1180等で蓋部材1120Cを突き割ることで容易に災害用の簡易水洗便器にすることができる。また、突き割られた栓部材1120は、割られると同時に非常排出口912を通って便槽内に落下するため、栓部材1120の破片によって怪我をするおそれもない。
【0085】
〔第14実施形態〕
図21は本発明の第14実施形態における和式の便器の密閉状態および開放状態を説明する図であって、(A)は水洗式として使用する密閉状態、(B)は非常排出口を開放した状態をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態では、第8実施形態の便器802における栓部材820(図11)に代えて栓部材1120が蓋部材1220Cと、枠部材1220Dと、シール部材1220Aとから構成されている。蓋部材1220Cは枠部材1220Dに嵌め込まれ、シール部材1220Aは枠部材1220Dの外周に設けられている凹溝1220Bに嵌め込まれている。蓋部材1220Cと枠部材1220との接着構造、栓部材1220の各構成素材については第12実施形態の場合と同様であるため説明を省略する。以下は相違点についてのみ詳述することにする。
【0086】
本実施形態によれば、通常時は非常排出口812が栓部材1220によって閉塞されているので、汚物は水洗排出口110側を通って下水パイプへ流れる。
【0087】
非常時においては、栓部材1220の蓋部材1220Cを突き棒1180等によって突き割り、割られた栓部材1220は非常排出口812を通って便槽内に落下し、非常排出口812に残存している枠部材1220Dを手等で取り外して開放状態にする。突き割られた蓋部材1220Cが全て便槽内に落下していない場合には、突き棒1180等で便槽内に全て落としてから、非常排出口812に残存している枠部材1220Dを取り外して開放状態にすることとなる。さらに、予備の栓部材1220によって水洗排出口110を閉塞し、汚物が水洗排出口110に入らないようにする。通常時に戻す手順については、第8実施形態の場合と同様の手順で水洗排出口110を閉塞している予備の栓部材1120を取り外し、非常排出口812を閉塞することとなる。
【0088】
これにより、災害時においては、突き棒1180等で蓋部材1220Cを突き割ることで容易に災害用便器にすることができ、汚物を便槽内へ落下するように導くことができるので、汚物が水洗排出口110に流入して詰まることを防止できる。また、突き割られた栓部材1220は、割られると同時に非常排出口812を通って便槽内に落下するため、栓部材820の破片によって怪我をするおそれもない。また、通常時に戻す場合には、水洗排出口110に予備の栓部材1120が取り付けられているため、新たに予備の栓部材1120を準備する必要がない。
【0089】
[第15実施形態]
図22は本発明の第15実施形態における便器を説明する図であって、(A)は通常時、(B)は栓部材を開放した状態、(C)は栓部材の開放時において第2の栓部材の開放状態をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態においては、第11実施形態における便器902の栓部材920(図15および図16)の下部に第2の栓部材1590が設けられており、この第2の栓部材1590は連動部材1593の一端に重り部1591が、他端に蓋部1592が設けられ、軸1594を支点としており、重り部1591は蓋部1592より質量が大きくなっている。ここで、第2の栓部材1590の素材としては、栓部材920と同様の素材が適宜選択される。
【0090】
本実施形態によれば、通常時は非常排出口912が栓部材920によって閉塞されているので、汚物は水洗排出口110側を通って下水パイプへ流れる。
【0091】
非常時においては、栓部材920を牽引フック970で引き上げるだけで、簡易水洗の便器となる。これにより、汚物が非常排出口912の入口にさしかかって蓋部1592に汚物による荷重がかかると軸1594を支点に重り部1591が持ち上がる一方、蓋部1592が下がり、汚物が非常排出口912を通過して便槽内へ落下する。その後、重り部1591が蓋部1592より重くなるので下がり、蓋部1592は持ち上がって非常排出口912の縁部に当接してとまる。通常時に戻す手順については、別途保管されている栓部材920と牽引フック970を上述した手順と逆の手順で操作することによって非常排出口912を閉塞する。
【0092】
これにより、通常時には栓部材920によって非常排出口912が常時閉止され、水洗便器として使用されているので便槽内から臭気が立ち上ることはなく、非常時には非常排出口912から栓部材920が取り除かれるものの汚物が流れるときだけ蓋部1592が下がり開放されるため、汚物の通過時以外は便槽内から臭気が立ち上らないようにすることができる。
【0093】
[第16実施形態]
図23は、本発明の第16実施形態における便器を説明する図であって、(A)は通常時における拡大断面図、(B)はロック機構による栓部材の開閉機構の係止を解除された状態を示す拡大断面図、(C)はロック機構による栓部材の開閉機構の係止解除時において栓部材の開放状態を示す拡大断面図である。同図に示すように、本実施形態は第15実施形態における便器902の栓部材920(図22)を取り除き、栓部材1590の開閉機構を固定するためのロック機構1795が設けられている。さらに、このロック機構1795は、便器902に設けられている軸部1797を支点とし、かつ、一端は栓部材1590の連動部材1593に固着し、他端はバネ部材と係合する連動部材1798と、一端が前述の連動部材1593と係合し、他端は便器902に連結するバネ部材1796を有している。
【0094】
本実施形態によれば、通常時は非常排出口912を閉止している栓部材1590の開閉機構がロック機構1795によって作動阻止されているため、栓部材1590に荷重が掛かった場合においても開閉機構は作動することなく、汚物は水洗排出口110を通過し、下水パイプへ流れる。
【0095】
非常時は、バネ部材1796と連動部材1799との係合を解除することによって、栓部材1590の開閉機構を作動可能にすることで第15実施形態と同様の簡易水洗便器となる。栓部材1590の開閉機構は第15実施形態と同様であるため省略する。ここで、栓部材1590の表面には、水密性を確保するためのシール部材が設けられていることが好ましい。また、ロック機構1795は、栓部材1590の上部に荷重が掛かっても非常排出口912を開放しないようにするための機構であれば良い。
【0096】
これにより、通常時には非常排出口912が栓部材1590によって常時閉止され、水洗便器として使用されているので便槽内から臭気が立ち上ることはなく、非常時には栓部材1590の開閉機構を係止しているロック機構を解除することによって、前述の第15実施形態と同様に汚物が流れるときだけ蓋部1592が下がり開放されるため、汚物の通過時以外は便槽内から臭気が立ち上らないようにすることができる。また、栓部材1590の開閉機構を作動させるためには、特別な道具を必要としないため容易に非常用便器に切り替えることが出来る。
【0097】
[第17実施形態]
図24は、本発明の第17実施形態における便器を説明する図であって、(A)は通常時における拡大断面図、(B)はI−I拡大断面図である。図25は、本発明の第17実施形態において便器の非常排出口を開放した状態を示す側面から見た拡大断面図である。図26は、本発明の第17実施形態における便器を説明する図であって、(A)は栓部材の開放時において第2の栓部材の開放状態を示す拡大断面図、(B)はII−II拡大断面図である。これらの図に示すように、本実施形態においては、第8実施形態における便器802の非常排出口812側を栓部材820によって閉止している状況において、栓部材820の下部に第15実施形態における第2の栓部材1590が設けられている。
【0098】
通常時は、第8実施形態と同様に便器802後方(図面中右方向)から便器内に供給される水などの洗浄流体が、非常排出口812に落ちてしまうことなく前方(図面中左方向)の水洗排出口810へと流れ、トラップ108を介して下水パイプへ排出される。
【0099】
非常時は第8実施形態と同様に非常排出口812側を閉止している栓部材820を取り外して水洗排出口810側を閉止することで簡易水洗の便器となる。汚物が非常排出口812の入口にさしかかって蓋部1592に汚物による荷重がかかった場合には、第15実施形態の栓部材1590と同様の開閉機構が作動し、汚物を便槽に落下させた後に蓋部1592が非常排出口812を閉止する。通常時に戻す手順については、第8実施形態と同様である。
【0100】
これにより、和式の便器においても、第14実施形態の洋式便器と同様に便槽内から臭気が立ち上らないようにすることができる。
【0101】
[第18実施形態]
図27は、本発明の第18実施形態として、屋外に便槽を有するトイレを示す断面図である。同図に示すように、本実施形態は便槽1660が屋外に設置されており、それに伴い非常排出口1612から屋外の便槽1660に汚物を誘導するための誘導パイプ1613が屋外斜め下方へ向かって傾斜して設けられている。
【0102】
これにより、通常時は非常排出口1612が栓部材920によって閉止されているため、汚物は水洗排出口1610を通過し、下水パイプ111へ流れる。非常時は、非常排出口1612から栓部材920を引き上げ、非常排出口1612を通過する汚物は、屋外に設置されている便槽1660へ、重力に従い傾斜を利用して落下する。そのため、汲取り自動車は建物内に入ることなく、外部の便槽1660から汚物を汲取ることができる。
【0103】
[第19実施形態]
図28は、本発明の第19実施形態として、複数階に便器を有するトイレの断面図である。同図に示すように、本実施形態においては各階の便器の非常排出口1612に接続されている誘導バイプ1613が便槽1660へ直結する主パイプ1714に合流するように設けられている。なお、本実施形態において第16実施形態と同一または類似する部分については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0104】
これにより、非常時に各トイレの非常排出口1612を通過する汚物は、各誘導パイプ1612を通過し主パイプ1714に合流し、便槽1660に集約されるため、複数の便器1601が備えつけられている場合においても、汲取り自動車で汲取る必要のある便槽1660は一つとなる。
【0105】
[第20実施形態]
図29は本発明の第20実施形態として、洗浄流体を流す代りに噴霧器を使用して便器を洗浄する状態を示す参考図である。同図に示すように、噴霧器1671は、タンク1671aに予め水を入れた後、タンクキャップ1671bを閉めてハンドル1671cを操作することによりタンク1671a内に圧力を掛け、ノズルレバー1671dを操作することでタンク1671a内の圧力を開放すると共に霧状の水をノズル1671eの先端から噴霧するものである。本実施形態は、非常時においては水供給施設が停止している場合が多いものの、飲料用に限定しなければ川等から水を得ることが出来るため、そのような水を使用した便器の洗浄方法を示している。特にトイレは日常的に使用されることから、可能な限り清潔に使用することが求められ、噴霧器1671程度の水量で十分な洗浄が可能となっている。
【0106】
[第21実施形態]
図30は本発明の第21実施形態として、洗浄流体を流す代りに石油ポンプを使用して便器を洗浄する状態を示す参考図である。同図に示すように、石油ポンプ1673は、給水タンク1672内に予め水を入れ、直状ホース部1673aを給水タンク1672内に挿入し、ポンプ1673b内の空気を空気調節部1673cから排出することで、蛇腹状ホース部1673dの先端部から水を放出するものである。本実施形態は、前述の第20実施形態と同様に便器の洗浄方法を示すものであり、十分な洗浄が可能となっている。
【0107】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含まれるものである。例えば、栓部材は略円盤状の平面形状を有するものばかりを例に説明しているが、他の楕円状や方形状の平面形状を有するものであっても差し支えない。また、例えば、粘着性を有する樹脂シート部材を栓部材として利用することも可能である。
【0108】
また、便槽の構造においても以上説明したものに限定される趣旨のものではなく、例えば、非常排出口の先端にゴムバンドなどで取り付ける袋状のものであってもよい。
【0109】
本発明は、上述した各実施形態の一部を互いに組み合わせても実施可能である。
【符号の説明】
【0110】
100 トイレ
101 便器
102 便器本体
104 給水タンク
106 ボウル
107 底部
108 トラップ
110 水洗排出口
111 下水パイプ
112 非常排出口
113 落下案内筒
114 便座
116 便器カバー
118 給水経路
120 栓部材
125 連結具
130 点検扉
132 ノブロック
140 スラブ
142 床スラブ
146 壁材
150 床
152 スライドレール
154 床開口部
155 キャップ
160 便槽
162 汚物取入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄流体を供給することによりトラップを介して汚物を排出する便器において、ボウルの底部に常時は閉塞し非常時は開放可能とした非常排出口が設けられ、前記非常排出口は汚物の落下する位置の真下方向に設けられていることを特徴とする便器。
【請求項2】
通常時は洗浄流体を供給するボウルの底部を非常時に開放可能にして汚物の落下する位置の真下方向に汚物を落下させる非常排出口を設けてなる便器と、この便器を床に設置するとともに前記非常排出口の垂直方向下位にある床板を前記非常排出口と同等またはそれ以上の径に開口してなる床開口部と、前記便器の下部の床下空間に設置され前記便器の非常排出口から床開口部を介して落下される前記汚物を受容可能な便槽とを備えることを特徴とするトイレ。
【請求項3】
請求項1記載の便器を床に設置するにあたって、前記便器の非常排出口の垂直方向下位に前記非常排出口と同等またはそれ以上の径の床開口部を穿設し、床下空間に便槽を設置することを特徴とするトイレの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−21458(P2011−21458A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226844(P2009−226844)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(506218343)
【Fターム(参考)】