説明

便器

【課題】便座の回動側の一端部と便器本体との間に、便座が円滑に回動するための隙間を設けてある便器において、便器のボウル部から飛び跳ねた汚水がこの隙間に入り込んだり、この隙間を通り抜けて隙間の先の部分に付着することを抑制できる便器を提供すること。
【解決手段】本発明の便器は、便器本体1の後部上面部に便座2の一端部21が回動自在に取り付けられた便器であって、便座2の一端部21と便器本体1の間の隙間3を前方から覆うフィルム4が設けられ、フィルム4の一端部41が便座2の一端部21の便座裏面22に取り付けられると共に、フィルム4の他端部42が隙間3前方近傍の便器本体上面11に取り付けられてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器本体に便座が回動自在に取り付けられた便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器本体の後部上面部に便座の一端部が回動自在に取り付けられた便器がある(特許文献1参照)。
【0003】
上記構成の便器においては、便座の一端部と便器本体の後部上面部との間に、便座が円滑に回動するための隙間が設けてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−174268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように隙間が設けられた便器では、便座を上げて小便をする際や便座に座って大便や小便をする際に、便器のボウル部から飛び跳ねた汚水が、この隙間に入り込むことや、この隙間を通り抜けて隙間の先の部分に付着することがある。そのため、上記隙間があることは、衛生的に好ましくなく、掃除もし難いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、便座の一端部と便器本体の後部上面部との間に、便座が円滑に回動するための隙間を設けてある便器において、便器のボウル部から飛び跳ねた汚水がこの隙間に入り込んだり、この隙間を通り抜けて隙間の先の部分に付着することを抑制できる便器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の便器は、便器本体の後部上面部に便座の一端部が回動自在に取り付けられた便器であって、前記便座の前記一端部と前記便器本体の間の隙間を前方から覆うフィルムが設けられ、前記フィルムの一端部が前記便座の前記一端部の便座裏面に取り付けられると共に、前記フィルムの他端部が前記隙間前方近傍の便器本体上面に取り付けられてなることを特徴とする。
【0008】
また、前記フィルムからは、前記隙間の側方を覆う側方カバー部が延設され、前記側方カバー部の一端部が前記便座の前記一端部の便座側面に取り付けられると共に、前記側方カバー部の他端部が前記隙間の下方の前記便器本体に取り付けられ、前記側方カバー部は、前記上端部と前記下端部の間に、前記便座の回動に追従して撓む撓み部を有することが好ましい。
【0009】
また、前記便座と前記便器本体と前記フィルムは樹脂製であり、前記フィルムは、前記便座及び前記便器本体に溶着されることが好ましい。
【0010】
また、前記便座と前記フィルムの溶着部と、前記便器本体と前記フィルムの溶着部とは、それぞれ平滑処理されていることが好ましい。
【0011】
また、前記便器本体の前記後部上面部に前記便座を覆う便蓋の一端部が回動自在に取り付けられた便器であって、前記便蓋の前記一端部と前記便座の前記一端部の間の第2の隙間を前方から覆う第2のフィルムが設けられ、前記第2のフィルムの一端部が前記便蓋の前記一端部の便蓋裏面に取り付けられると共に、前記第2のフィルムの他端部が前記便座の前記一端部の便座表面に取り付けられてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、便座の一端部と便器本体の後部上面部との間に、便座が円滑に回動するための隙間を設けてある便器において、便器のボウル部から飛び跳ねた汚水がこの隙間に入り込んだり、この隙間を通り抜けて隙間の先の部分に付着することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の便器の便座を上げた状態の斜視図を示す。
【図2】同上の便器を示し、(a)は正面図を示し、(b)は(a)のX−X線における側面断面図を示し、(c)は側面図を示す。
【図3】同上の便器の便座を下げた状態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図に示す実施形態の便器に基づいて説明する。
【0015】
まず、本実施形態の便器の基本構造について説明をする。
【0016】
本実施形態の便器は、図1に示すように、ボウル部10と、ボウル部10の上端に設けたリム部12と、局部洗浄装置等(図示せず)が内蔵された装置ケース13と、からなる樹脂製の便器本体1に、便座2と便蓋6を回動自在に軸支したものである。以下においては、便座2と便蓋6は略鉛直に起こした状態を基準として、説明を行う。
【0017】
ボウル部10は、この便器本体1の前部に設けられていて、装置ケース13は、この便器本体1の後部上部に設けられている。
【0018】
この装置ケース13の上面部130の略中央部分の左右側面には、図2(a)に示すように、ヒンジ軸132,132がそれぞれ水平方向に突出して設けている。これらのヒンジ軸132,132を介して便座2の一端部21が回動自在に軸支される。
【0019】
便座2の一端部21の両側端部からは、ヒンジ軸132,132を軸受けする係止部25,25が突出して設けられている。
【0020】
装置ケース13のヒンジ軸132,132の後方には、便座2が略鉛直に起きた位置よりもさらに後方へ回動することを規制する回動規制構造を設けている。本実施形態では、図2(b)に示すように、ヒンジ軸132,132を設けた箇所の後方の装置ケース13に、略鉛直な規制壁134,134がそれぞれ設けられている。この規制壁134に便座表面24が接触すると、それ以上、便座2は後方に回動しない状態となる。なお、規制壁134,134を設けるのではなく、係止部25の軸受け構造を一定角度以上後方に回動しないような構造にしてもよいし、略鉛直に起きた便蓋6に便座2が当たって、それ以上後方に回動しないようにしてもよい。
【0021】
すなわち、便座2は、リム部12に便座2が載置される載置状態(図3参照)から、図1に示す、回動規制構造によって後方への回動が規制される起立状態(便座2が略鉛直に起きた位置)までの所定回動範囲内で、前後に回動自在となっている。
【0022】
ここで、図2(a)に示すように、便座2の一端部21が装置ケース13のヒンジ軸132,132に軸支された状態において、便座2の係止部25と、その下方の装置ケース13の上面135との間には、所定の隙間30が設けられている。また、便座2の係止部25,25それぞれの内側面250,250と、装置ケース13のヒンジ軸132,132を突出させた側面136,136との間には、所定の隙間31が設けられている。また、便座2の係止部25,25の間の一端部21の端面26と、対向する装置ケース13の上面135との間には、所定の隙間32が設けられている。
【0023】
このように、便座2の一端部21は、間に隙間3(30,31,32)をおいて装置ケース13に軸支されており、便座2は、所定回動範囲の前端及び後端を除いては、装置ケース13のヒンジ軸132,132以外の部位に接触しない。このように隙間3を設けることで、便座2が装置ケース13に対して円滑に回動自在となっている。
【0024】
装置ケース13の上面部130のヒンジ軸132,132よりも後方部分の左右側面には、図2(c)に示すように、それぞれ固定軸133,133が水平方向に突出して設けてある。これらの固定軸133,133を介して便蓋6の一端部61が回動自在に軸支されている。
【0025】
便蓋6は、図3に示すように、便器本体1の平面視形状と同形状のカバー部60と、そのカバー部60の周縁部から全周に亘って垂直に設けられた周壁部64から構成される。
【0026】
便蓋6の一端部61の両側端部の周壁部64からは、図3に示すように、固定軸133,133を軸受けする係止部63,63がそれぞれ内側に突出して設けられている。
【0027】
便蓋6は、略鉛直に起こすと、一端部61の一部が装置ケース13の後面に接触して、それ以上後方に回動しない状態となる。
【0028】
すなわち、便蓋6は、リム部12に載置された便座2を覆う載置状態から、装置ケース13の後面に接触する起立状態(便蓋6が略鉛直に起きた位置)までの所定回動範囲内で、前後に回動自在となっている。
【0029】
ここで、図3に示すように、便蓋6の一端部61が装置ケース13の固定軸133,133に軸支された状態において、便蓋6の係止部63と、その前方の装置ケース13との間には、所定の隙間70が設けられている。また、便蓋6の係止部63と、その内側の装置ケース13との間には、所定の隙間71が設けられている。また、便蓋6の一端部61のカバー部60の便蓋裏面62と、その前方の装置ケース13との間には、所定の隙間72が設けられている。
【0030】
このように、便蓋6の一端部61は、間に隙間7(70,71,72)をおいて装置ケース13に軸支されており、便蓋6は、所定回動範囲の前端及び後端を除いては、装置ケース13の固定軸133,133以外の部位に接触しない。このように隙間7を設けることで、便蓋6が装置ケース13に対して円滑に回動自在となっている。
【0031】
なお、以下において、リム部12に載置した状態の便座2と装置ケース13との間にできる隙間と、隙間7とを合せて、便座2と便蓋6の間の第2の隙間という。
【0032】
続いて、本実施形態の便器の特徴部分の構成について説明する。以下においても、便座2と便蓋6は略鉛直に起こした状態を基準として、説明を行う。
【0033】
本実施形態においては、図2(a)に示すように、便座2の一端部21と装置ケース13の間の隙間3を前方から覆う覆い部材が設けられている。本実施形態では、覆い部材として、薄膜であるフィルム4を用いており、フィルム4は、便器本体1と同様に樹脂で形成されている。
【0034】
フィルム4は、図1及び図2(c)に示すように、便座2の一端部21と装置ケース13との間の隙間3を前方から覆う前方カバー部40と、隙間3を側方から覆う側方カバー部43,43とから構成される。側方カバー部43,43は、前方カバー部40の両側端部から延設されている。
【0035】
フィルム4の前方カバー部40は、図2(a),(b)に示すように、矩形状の薄膜であって、前方カバー部40の上端の一端部41が、便座2の一端部21の便座裏面22の略全幅(左右方向の幅全体)に亘って溶着によって取り付けられている。また、前方カバー部40の下端の他端部42は、隙間3の前方近傍の装置ケース13の上面135の略全幅(左右方向の幅全体)に亘って溶着によって取り付けられている。
【0036】
ここで、前方カバー部40の一端部41と便座2の一端部21の便座裏面22との溶着部51の段差部分は、ヤスリ等で研磨することによって、平滑処理されている。また、前方カバー部40の他端部42と隙間3の前方近傍の装置ケース13の上面135との溶着部52の段差部分も同様に、平滑処理されている。
【0037】
前方カバー部40の一端部41と他端部42の間の長さは、最後方まで回動させた状態における便座2の溶着部51から装置ケース13の溶着部52までの距離と略同じ寸法で形成されている。よって、この前方カバー部40は便座2の回動を規制しないようになっており、便座2を回動する際に、溶着部51,52にテンションがかかる等の過度な力が働いて外れたり、前方カバー部40が破損したりしてしまうことを抑制できる。なお、前方カバー部40の一端部41と他端部42の間の長さは、最後方まで回動させた状態における便座2の溶着部51から装置ケース13の溶着部52までの距離より、やや長くてもよい。
【0038】
また、フィルム4の側方カバー部43は、図2(c)に示すように、略台形状の薄膜で形成されている。ここで、側方カバー部43の上端の一端部44は、便座2の一端部21の便座側面23の前後(厚み)方向全幅に亘って溶着によって取り付けられている。
【0039】
また、側方カバー部43の下端の他端部45は、隙間3の下方の装置ケース13の側面または上面135に全幅に亘って、溶着によって取り付けられている。
【0040】
ここで、側方カバー部43と便座側面23との溶着部の段差部分と、側方カバー部43と装置ケース13との溶着部の段差部分とは、それぞれヤスリ等の研磨によって平滑処理されている。
【0041】
そして、側方カバー部43の一端部44と他端部45の間には、便座2の回動に追従して撓む撓み部46を有する。
【0042】
詳しくは、側方カバー部43の一端部44を取り付けた便座側面23は、便座2の回動によって、装置ケース13との位置関係が変化する。この変化に応じて、撓み部46が引っ張られたり撓んだりすることで、便座2の回動角度に関わらず、側方カバー部43は、溶着部が外れたり、破損したりすることなく、隙間3を常に側方から覆うことができる。
【0043】
本実施形態の便器には、さらに、便蓋6と便座2の間の第2の隙間を前方側から上方を覆う覆い部材が設けられている。ここで、本実施形態においては、覆い部材として薄膜である第2のフィルム8を用いている。第2のフィルム8は、矩形状であり、フィルム4と同様に樹脂で形成されている。
【0044】
第2のフィルム8は、図2(b)、図2(c)及び図3に示すように、上端の一端部81が、便蓋6の一端部61の便蓋裏面62の全幅に亘って溶着によって取り付けられている。
【0045】
また、第2のフィルム8の下端の他端部82は、便座2の一端部21の便座表面24の全幅に亘って溶着によって取り付けられている。
【0046】
ここで、第2のフィルム8の一端部81と他端部82との間の長さは、便座2及び便蓋6をそれぞれ自在に回動させても、第2のフィルム8の一端部81と他端部82それぞれの溶着部が外れたり、第2のフィルム8が破損したりしない程度の寸法に設定している。
【0047】
上述のように本実施形態の便器は、便器本体1の後部上面部に便座2の一端部21が回動自在に取り付けられた便器である。この便器には、便座2の一端部21と便器本体1の間の隙間3を前方から覆うフィルム4が設けられている。このフィルム4は、一端部41が便座2の一端部21の便座裏面22に取り付けられると共に、他端部42が隙間3前方近傍の便器本体上面11に取り付けられている。
【0048】
このような構成とすることで、便器本体1に対して便座2が円滑に回動自在となるように、便座2の一端部21と便器本体1の後部上面部の間に隙間3が設けられた便器においても、フィルム4で、この隙間3を前方から覆うことができる。ここで、フィルム4の一端部41は、便座2の一端部21の便座裏面22に取り付けてあるので、便座裏面22とフィルム4の取付部分には隙間が生じ難い。また、フィルム4の他端部42は、隙間3前方近傍の便器本体上面11に取り付けてあるので、便器本体上面11とフィルム4の取付部分には隙間が生じ難い。
【0049】
よって、便座2を上げて小便をする際や便座2に座って大便や小便をする際に、ボウル部10から飛び跳ねてきた汚水が、隙間3に入り込むことや、この隙間3を通り抜けて、隙間3の先の便器本体1に付着してしまうことをフィルム4で抑制できる。なお、間違って隙間3に向けて小便をした場合であっても、このフィルム4で、隙間3に入り込むことを抑制できる。また、上述のようにフィルム4を設けたことで、狭い隙間3に付着した汚水等の掃除をする必要もなくなるので、便器全体の掃除のし易さが上がるとともに、清潔な状態を保ち易い便器となる。
【0050】
ところで、便座2を便器本体1上に載置させるときには、便座2と便器本体1の間にフィルム4が存在する。しかし、隙間3を覆うための部材として薄膜であるフィルム4を使用しているので、便座2が浮いているように感じさせることを抑制できる。
【0051】
また、本実施形態の便器は、フィルム4から、隙間3の側方を覆う側方カバー部43が延設されている。側方カバー部43は、一端部44が便座2の一端部21の便座側面23に取り付けられると共に、他端部45が隙間3の下方の便器本体1に取り付けられ、一端部44と他端部45の間に、便座2の回動に追従して撓む撓み部46を有する。
【0052】
このような構成とすることで、隙間3の側方は側方カバー部43で覆うことができる。ここで、側方カバー部43の一端部44は、便座2の一端部21の便座側面23に取り付けてあるので、側方カバー部43と便座側面23の取付部分には隙間が生じ難い。また、側方カバー部43の他端部45は、隙間3の下方の便器本体1に取り付けてあるので、側方カバー部43と便器本体1の取付部分には隙間が生じ難い。
【0053】
よって、仮に隙間3の側方に向けて小便をしたり、ボウル部10から飛び跳ねた汚水が隙間3の側方に飛び跳ねてきたりした場合であっても、この側方カバー部43で、隙間3に側方から汚水等が入り込むことを抑制できる。また、隙間3の前方を覆うフィルム4に掛かった汚水がフィルム4に伝わって側方に流れて来ても、この側方カバー部43で、隙間3に側方から入り込むことを抑制できる。
【0054】
また、側方カバー部43は、動かない便器本体1と、回動する便座2の便座側面23に取付けているが、間に撓み部46を設けているので、便座2の回動に追従して、撓み部46が撓む。よって、側方カバー部43と便器本体1の取付部分、及び側方カバー部43と便座側面23の取付部分に力が集中して取り付け状態が解除されることや、側方カバー部43が破損することを抑制できる。そのため、便座2がどの回動位置にあっても、隙間3を側方カバー部43で側方からカバーした状態を保持できる。
【0055】
また、本実施形態の便器は、便座2と便器本体1とフィルム4は樹脂製であり、フィルム4は、便座2及び便器本体1に溶着されている。
【0056】
このような構成とすることで、便座2とフィルム4、及び、便器本体1とフィルム4はそれぞれ強固に取り付けられるので、取り付けた箇所が外れることを抑制して、長い間、隙間3に汚水が入ることを防止できる便器となる。
【0057】
また、本実施形態の便器は、便座2とフィルム4の溶着部51と、便器本体1とフィルム4の溶着部52とは、それぞれ平滑処理されている。
【0058】
このような構成とすることで、溶着部51,52にできる便座2とフィルム4の段差部分や、便器本体1とフィルム4の段差部分に埃や汚水等が溜まらずに済むので、掃除がさらにし易いものとなる。
【0059】
また、本実施形態の便器は、便器本体1の前記後部上面部に、便座2を覆う便蓋6の一端部61が回動自在に取り付けられた便器である。この便器には、便蓋6の一端部61と便座2の一端部21の間の第2の隙間を前方から覆う第2のフィルム8が設けられている。第2のフィルム8は、一端部81が便蓋6の一端部61の便蓋裏面62に取り付けられると共に、他端部82が便座2の一端部21の便座表面24に取り付けられている。
【0060】
このような構成とすることで、便蓋6の一端部61と便座2の一端部21の間の第2の隙間を、第2のフィルム8で前方から覆うことができる。ここで、第2のフィルム8の一端部81は、便蓋6の一端部61の便蓋裏面62に取り付けてあるので、便蓋裏面62とフィルム8の取付部分には隙間が生じ難い。また、第2のフィルム8の他端部82は、便座2の一端部21の便座表面24に取り付けてあるので、便座2と第2のフィルム8の取付部分には隙間が生じ難い。
【0061】
よって、この第2の隙間に埃等が入り込むことを防止できる。また、万が一、便座2を降ろした状態で、この第2の隙間に汚水が飛んでくるようなことがあっても、この第2の隙間に汚水が浸入することを第2のフィルム8で防止することができるので、さらに掃除のし易い便器となる。
【0062】
(変更例)
なお、本実施形態においては、フィルム4は隙間3の前方と側方の両方を覆うように設けたが、フィルム4は隙間3の側方を覆わないものであってもよい。
【0063】
また、規制壁134を有さない便器であれば、隙間3の後方を覆う後方カバー部を、側方カバー部43の後方の側端部から延設させて設けてもよい。このようにした場合、第2のフィルム8は、便蓋6と、便器本体1との間の隙間7を覆うだけのものとすればよい。
【0064】
また、フィルム4及びフィルム8を、伸縮性のある樹脂フィルムとしてもよい。このようにすれば、側方カバー部43に撓み部46を設けなくても、便座2の回動に追従して、側方カバー部43が伸縮して、隙間3を常に側方からカバーすることができる。
【0065】
また、本実施形態においては、フィルム4及びフィルム8は溶着によって、装置ケース13(便器本体1)、便座2及び便蓋6にそれぞれ取り付けたが、接着による取り付けであっても構わない。
【0066】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 便器本体
11 便器本体上面
2 便座
21 一端部
22 便座裏面
23 便座側面
24 便座表面
3 隙間
4 フィルム
41 一端部
42 他端部
43 側方カバー部
44 一端部
45 他端部
46 撓み部
51 溶着部
52 溶着部
6 便蓋
61 一端部
62 便蓋裏面
8 第2のフィルム
81 一端部
82 他端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の後部上面部に便座の一端部が回動自在に取り付けられた便器であって、前記便座の前記一端部と前記便器本体の間の隙間を前方から覆うフィルムが設けられ、前記フィルムの一端部が前記便座の前記一端部の便座裏面に取り付けられると共に、前記フィルムの他端部が前記隙間前方近傍の便器本体上面に取り付けられてなることを特徴とする便器。
【請求項2】
前記フィルムからは、前記隙間の側方を覆う側方カバー部が延設され、前記側方カバー部の一端部が前記便座の前記一端部の便座側面に取り付けられると共に、前記側方カバー部の他端部が前記隙間の下方の前記便器本体に取り付けられ、前記側方カバー部は、前記上端部と前記下端部の間に、前記便座の回動に追従して撓む撓み部を有することを特徴とする請求項1に記載の便器。
【請求項3】
前記便座と前記便器本体と前記フィルムは樹脂製であり、前記フィルムは、前記便座及び前記便器本体に溶着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の便器。
【請求項4】
前記便座と前記フィルムの溶着部と、前記便器本体と前記フィルムの溶着部とは、それぞれ平滑処理されていることを特徴とする請求項3に記載の便器。
【請求項5】
前記便器本体の前記後部上面部に前記便座を覆う便蓋の一端部が回動自在に取り付けられた便器であって、前記便蓋の前記一端部と前記便座の前記一端部の間の第2の隙間を前方から覆う第2のフィルムが設けられ、前記第2のフィルムの一端部が前記便蓋の前記一端部の便蓋裏面に取り付けられると共に、前記第2のフィルムの他端部が前記便座の前記一端部の便座表面に取り付けられてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−246961(P2011−246961A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120945(P2010−120945)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】