便座便蓋自動開閉装置
【課題】開放されている便座または便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるにあたり、回転操作が重く感じられる不具合を解消させるのに有利な便座便蓋自動開閉装置を提供する。
【解決手段】自動開閉装置は、便器100に取り付けられる便座2と、便器100に取り付けられる便蓋3と、便座2または便蓋3を開閉させる駆動機構4と、便座2または便蓋3が便器100に対して立起される状態に開放させる指令信号を出力する制御装置5とを備えている。制御装置5は、便座2または便蓋3が立起開放状態に開放されるとき駆動機構4にブレーキを作用させるブレーキ制御、または、立起開放状態においてまたは立起開放状態に近づくにつれて便座2または便蓋3の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構4に対して第1所定時間実行し、第1所定時間経過Δt1後にブレーキ制御または減速制御を解除する。
【解決手段】自動開閉装置は、便器100に取り付けられる便座2と、便器100に取り付けられる便蓋3と、便座2または便蓋3を開閉させる駆動機構4と、便座2または便蓋3が便器100に対して立起される状態に開放させる指令信号を出力する制御装置5とを備えている。制御装置5は、便座2または便蓋3が立起開放状態に開放されるとき駆動機構4にブレーキを作用させるブレーキ制御、または、立起開放状態においてまたは立起開放状態に近づくにつれて便座2または便蓋3の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構4に対して第1所定時間実行し、第1所定時間経過Δt1後にブレーキ制御または減速制御を解除する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレに配置される便座便蓋自動開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、便座または便蓋が閉鎖状態であるとき、これらを開閉させる駆動モータをオープン回路状態とさせ、且つ、便座または便蓋が開放状態であるとき、これらを開閉させる駆動モータをショート(短絡)状態とさせて駆動モータにブレーキ作用を発生させることにしている。
【0003】
特許文献2は、便座便蓋自動開閉装置において、便蓋・便座の開動作中における2点間の測定した時間と、基準として設定した時間を比較して、差異が生じていた場合には、モータの出力を調整して動作をスムーズに行わせている。このものによれば、便蓋、便座にカバーを取り付けたときにおいては、測定時間に差異が生じるおそれがあるため、出力マップのパターンを変えてトルク変動に対応する制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−418978号公報
【特許文献2】特開平9−313404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、便座または便蓋が開放状態であるときには、駆動モータ(DCモータ)をショート(短絡)状態とさせて駆動モータに常にブレーキ作用を発生させている。このため、便座または便蓋が開放状態である限り、ブレーキ作用が常に発生している。従って、開放状態で且つブレーキが作用している便座や便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるには、かなり力が必要とされ、回転操作がかなり重く感じられる不具合がある。例えば、子供、高齢者、障害者等によっては、便座や便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるにあたり、閉鎖方向への回転操作がかなり重く感じられる不具合がある。殊に、回転操作の初期において、回転操作がかなり重く感じられる不具合がある。
【0006】
特許文献2によれば、作動中のモータの出力を負荷トルク変動に対応して可変させるもので、全開後の作動停止と見なした後の状態は、モータ出力「0」となる。この際、出力「0」となる直前に部品のたわみ・変形等による反力が残っていると、この反力による戻りのため、便蓋・便座が自立点以下になった場合、重力の影響で閉方向に自動的に閉じてしまう問題がある。
【0007】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、子供、高齢者、障害者等であっても、勿論、健常者であっても、開放されている便座や便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるにあたり、回転操作が重く感じられる不具合を解消させるのに有利な便座便蓋自動開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る便座便蓋自動開閉装置は、便器に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便座と、便器に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋と、便座または便蓋を開閉させる駆動機構と、便座または便蓋が便器に対して立起される状態に開放させ、便座または便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に開放指令信号を出力する制御装置とを具備しており、
制御装置は、便座または便蓋が立起開放状態に開放されるとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、立起開放状態に近づくにつれて便座または便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行し、便座または便蓋が立起開放状態にされているとき第1所定時間経過後にブレーキ制御または減速制御を解除することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る装置によれば、制御装置は、便座または便蓋が立起開放状態に開放されているとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、立起開放状態に近づくにつれて便座または便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行する。便座または便蓋が立起開放状態にされているとき、制御装置は、第1所定時間経過後にブレーキ制御または減速制御を解除する。立起開放状態とは、開放終点または開放終点付近の状態わ意味する。
【0010】
本発明に係る装置によれば、便座または便蓋が立起開放状態にされ、開放終点に到達するとき、ブレーキ制御または減速制御が実行されるため、便座または便蓋の開放速度が速いときであっても、開放終点付近における便座または便蓋のリバウンドが抑制される。このため、開放終点付近に開放された便座または便蓋が重力の影響で閉鎖方向に動作することが抑制される。
【0011】
更に本発明に係る装置によれば、第1所定時間経過した後には、便座または便蓋は立起開放状態に維持されているものの、ブレーキ制御または減速制御による拘束から解除されている。この結果、第1所定時間経過後には、便座または便蓋は立起開放状態においてフリー状態とされている。フリー状態とは、使用者が手指で便座または便蓋を閉鎖方向に回転操作させれば、回転操作を容易且つ円滑に実行できる状態を意味する。従って、子供、高齢者、障害者等であっても、勿論、健常者であっても、開放終点付近に開放されている便座や便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるにあたり、回転操作が重く感じられる不具合が解消される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る装置によれば、制御装置は、便座または便蓋が立起開放状態に開放されるとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、立起開放状態に近づくにつれて便座または便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行する。よって、便座または便蓋が立起開放状態にされるとき、便座または便蓋のリバウンドが抑制される。このため、一旦開放された便座または便蓋が重力の影響で閉鎖方向に動作することが抑制される。
【0013】
更に本発明に係る装置によれば、ブレーキ制御または減速制御は第1所定時間の経過により解除されるため、便座または便蓋は立起開放状態でフリーとなる。よって、子供、高齢者、障害者等であっても、勿論、健常者であっても、開放されている便座や便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるにあたり、回転操作が重く感じられる不具合を解消させるのに有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係り、便座便蓋自動開閉装置が便器に取り付けられている状態において便座および便蓋が閉鎖されている状態を模式的に示す図である。
【図2】実施形態1に係り、便座便蓋自動開閉装置が便器に取り付けられている状態において、便座および便蓋が開放されている状態を模式的に示す図である。
【図3】実施形態1に係り、制御装置の概念を示すブロック図である。
【図4】実施形態2に係り、便座モータの駆動回路を示す電気回路図である。
【図5】実施形態3に係り、便座モータショート信号、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図6】実施形態4に係り、制御装置のCPUが実行する制御を示すフローチャートである。
【図7】実施形態5に係り、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図8】実施形態6に係り、制御装置のCPUが実行する制御を示すフローチャートである。
【図9】実施形態7に係り、便座モータショート信号、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図10】実施形態8に係り、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図11】実施形態9に係り、制御装置のCPUが実行する制御を示すフローチャートである。
【図12】実施形態10に係り、便座モータショート信号、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図13】実施形態11に係り、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図14】実施形態12に係り、制御装置のCPUが実行する制御を示すフローチャートである。
【図15】適用形態に係り、便器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
便座または便蓋とは、便座および便蓋のうちの少なくとも一方という意味である。従って駆動機構は便座を開閉させるものでも良いし、便蓋を開閉させるものでも良いし、便座および便蓋を開閉させるものでも良い。制御装置は、便座を立起開放状態とさせるように駆動機構に開放指令信号を出力するものでも良いし、便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に開放指令信号を出力するものでも良いし、便座および便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に開放指令信号を出力するものでも良い。好ましくは、制御装置は、便座が立起開放状態に開放されるとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、立起開放状態に近づくにつれて便座の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行し、便座が立起開放状態にされているとき第1所定時間経過後にブレーキ制御または減速制御を解除する。駆動機構はモータおよびモータ駆動回路を含むことができる。
【0016】
また、好ましくは、制御装置は、便蓋が立起開放状態に開放されるとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、立起開放状態に近づくにつれて便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行し、便蓋が立起開放状態にされているとき第1所定時間経過後にブレーキ制御または減速制御を解除する。
【0017】
本発明の好ましい形態によれば、便座または便蓋の開放方向への回転を検知する回転検知部が設けられている。回転検知部としてはロータリエンコーダが例示される。この場合、好ましくは、制御装置は、便座または便蓋を立起開放状態に開放させる開放指令信号を駆動機構に出力すると共に、便座または便蓋の開放方向への回転を検知した回転検知部からの開放検知信号を受け取る。且つ、好ましくは、制御装置は、便座または便蓋が立起開放状態に開放して回転検知部からの開放検知信号の受け取りが停止されるとき、停止から第2所定時間経過するまで、便座または便蓋を開放させる開放指令信号を駆動機構に更に出力する。これにより便座または便蓋は立起開放状態に維持され易くなる。そして、制御装置は、第2所定時間経過した後、開放指令信号の出力を停止すると共に、ブレーキ制御または減速制御を開始する指令を駆動機構に出力する。制御装置は、前述したようにブレーキ制御または減速制御は第1所定時間実行する。制御装置は、第1所定時間経過後にブレーキ制御または減速制御を解除する解除制御を実行する。このため第1所定時間経過した後には、前述したように、便座または便蓋は立起開放状態に維持されているものの、ブレーキ制御または減速制御による拘束から解除されている。この結果、便座または便蓋は立起開放状態においてフリー状態とされている。このため、使用者が手指で便座または便蓋を閉鎖方向に回転操作させれば、回転操作を容易に実行できる。第1所定時間は固定値でも良いし、使用者の好みに応じて可変でも良い。
【0018】
便座または便蓋が開放方向に回転するとき、回転速度が速いと、便座または便蓋が開放終点に到達するとき、リバウンドするおそれがある。この場合、便座または便蓋は重力の影響で閉鎖方向に回転してしまうおそれがある。この点について、本発明の好ましい形態によれば、駆動機構のモータがデューティ制御される場合には、減速制御は、立起開放状態において、駆動機構のモータに給電するデューティ比を次第に低下させることにより行われる。これにより便座または便蓋が開放終点に到達するとき、便座または便蓋の回転速度は減速されているため、閉鎖方向に向けてリバウンドすることが抑制される。この場合、便座または便蓋は閉鎖方向に動作することなく、立起開放状態に維持され易くなる。本発明の好ましい形態によれば、制御装置は、駆動機構に対して減速制御を実施した後にブレーキ制御を実施する。これにより便座または便蓋が開放終点に到達するとき、開放速度が低速であるため、便座または便蓋が閉鎖方向に向けてリバウンドすることが抑制される。この場合、便座または便蓋は立起開放状態に維持され易くなる。
【0019】
ところで、制御装置が便座または便蓋を開放させる開放指令信号を出力した後、便座または便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知されるときがある。この場合には、何らかの事情により、便座または便蓋は閉鎖方向に回転していることになる。事情とは、便座または便蓋のリバウンドの発生、回転検知部の誤検知、便器を設置している設置面の水平不良等が挙げられる。この点について、本発明の好ましい形態によれば、制御装置は、便座または便蓋を開放させる開放指令信号を出力した後、便座または便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知されるとき、便座または便蓋を開放させる開放指令信号を駆動機構に再び出力させる。これにより便座または便蓋を強制的に開放させて立起開放状態とさせる。
【0020】
制御装置が便座または便蓋を開放させる開放指令信号を出力した後、便座または便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知される場合がある。立起開放状態とされた便座または便蓋のリバウンドの発生、回転検知部の誤検知、便器を設置している設置面の水平不良等が挙げられる。この場合、開放された便座または便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知されると、制御装置は、便座または便蓋にブレーキをかける。そして、当該検知が終了した後に(特に、当該検知が終了した時刻から所定時間経過した後に)、ブレーキを解除させることが好ましい。この場合、便座または便蓋の閉鎖が停止される。あるいは、リバウンドの検知が終了した後に(特に、当該リバウンドの検知が終了した時刻から所定時間Δt7(図13(C)参照)経過した後に)、ブレーキを解除させることが好ましい。このように便座または便蓋のリバウンドが停止された後に、便座または便蓋のブレーキを解除させることが好ましい。
【0021】
本発明の好ましい形態によれば、便座に着座する使用者の背中に対面するタンク表面をもつロータンクが、便器の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋はロータンクのタンク表面に接近または接触し、便蓋または便座はカバーを被着可能とされている。このような場合には、ロータンク、カバー等の影響を受けて、便座または便蓋は立起開放状態の正姿勢に維持されないおそれがある。この場合、便座または便蓋は立起開放状態の手前の回転角度までしか開放できなくなる不具合がある。このような場合、便座または便蓋が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座または便蓋が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。
【0022】
そこで、制御装置は、便座または便蓋が開放終点付近すなわち立起開放状態に開放されるとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、または、立起開放状態において便座または便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行する。このためロータンク、カバー等の影響が存在したとしても、便座または便蓋は閉鎖方向に動作することなく、立起開放状態に維持される。この場合、便座または便蓋が立起開放状態の手前の回転角度までしか開放できなくなる不具合が抑制される。この結果、便座または便蓋が開放終点付近まで開放回転するとき、リバウンド等の影響で、便座または便蓋が開放終点付近から閉鎖方向に回転してしまうおそれが解消される。
【0023】
(実施形態1)
図1〜図3は実施形態1の概念を示す。本実施形態に係る便座便蓋自動開閉装置は、洋式の便器100の後部に据え付けられるケース1w内に保持されている。便座便蓋自動開閉装置は、便器100に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便座2と、便器100に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋3と、便座2または便蓋3を開閉させるための駆動機構4と、制御装置5とを有する。駆動機構4および制御装置5はケース1w内に保持されている。便座2および便蓋3は、ケース1wに回転可能に枢支されている。制御装置5は、便座2または便蓋3が便器100に対して立起される状態に開放させ、便座2または便蓋3を立起開放状態とさせるように駆動機構4に指令信号を出力する。便座2および便蓋3はケース1wに保持された横軸形の回転軸に回転可能に枢支されている。この場合、回転軸は、便座2および便蓋3に共通する軸でも良いし、あるいは、便座2を回転可能に枢支させるための軸と、便蓋3を回転可能に枢支させるための軸との双方を併有していても良い。要するに回転軸は、便座2および便蓋3を開閉方向に回転させ得るものであれば良い。
【0024】
開放とは、便座2または便蓋3を矢印Pu方向に回転させて便器100の上面100uから離脱させることを意味する。便座2の立起開放状態とは、便座2が便器100の上面100uに対向しつつ寝ている初期状態から、便座2を開放方向(矢印Pu方向)に回転させて開放終点付近に到達している状態を意味する。便蓋3の立起開放状態とは、便蓋3が便器100の上面100uに対向しつつ寝ている閉鎖状態から、便蓋3を開放方向(矢印Pu方向)に回転させて開放終点または開放終点付近に到達している状態を意味する。従って、開放とは、閉鎖されている便座2または便蓋3を矢印Pu方向に回転させて便器100の上面100uから遠ざけることを意味する。上記した立起開放状態では、便座2および便蓋3はほぼ鉛直線状に沿って立設状態に配向している。なお、周知のように、男性の小用時には、便座2および便蓋3の双方を開放させる。排便時等には便座2を閉鎖させた状態で便蓋3を開放させる。
【0025】
図3は制御装置5を示す。図3に示すように、制御装置5は、入力処理回路50と、CPU51をもつ制御部52と、出力処理回路53と、メモリ54とを有する。便座2の開放方向および閉鎖方向への回転を検知する回転検知部としてロータリエンコーダ55が、ケース1w内に設けられている。ロータリエンコーダ55およびスイッチ59は入力処理回路50を介して制御部52に入力される。ロータリエンコーダ55は、複数の細孔をもつ細孔群を有する回転部材と、信号光を発光する受光素子と、スリット等の細孔を介して信号光を受光する受光素子とを有する。便座2が回転されると、回転部材が連動して回転し、パルス状の便座回転検知信号S3がロータリエンコーダ55から入力処理回路50を介して制御装置5のCPU51に連続的に入力される。制御装置5のCPU51は、ロータリエンコーダ55から出力されるパルス状の便座回転検知信号S3の数をカウントすることにより、便座2の回転角度を認識できる。制御装置5のCPU51は、出力処理回路53およびモータ駆動回路40mを介して便座モータ40の回転を制御し、便座2を開閉させる。同様に、制御装置5のCPU51は、出力処理回路53およびモータ駆動回路45mを介して便蓋モータ45の回転を制御し、便蓋3を開閉させる。なお、駆動機構4は、モータ駆動回路40m、便座モータ40、モータ駆動回路45m、便蓋モータ45を含む。
【0026】
図1に示すように、ロータンク6が、便器100の後部100rの上側に配置されている。ロータンク6は便器100に流す洗浄水を溜めるタンクであり、水道管などの水源に繋がり、水源から給水される。ロータンク6は、閉鎖状態の便座2に着座する使用者の背中に対面するタンク表面60をもつ。コンパクト化を図りつつロータンク6の貯水量を増加させるため、ロータンク6のタンク表面60は、高さ方向に沿って立起状態とされていることが多い。ロータンク6の上面63は、立起開放状態の便座2の重心G1の高さよりも高い位置とされていることが多い(図2参照)。このような本実施形態によれば、立起開放状態に開放された便蓋3は、ロータンク6のタンク表面60に接近または接触するおそれがある。このように便座2または便蓋3を立起開放状態に開放させるとき、便座2の重心G1および便蓋3の重心が、回転軸を通過する仮想的な鉛直線WAよりもロータンク6側の安定領域に位置すれば、便座2または便蓋3は基本的には重力の影響で自然閉鎖されない。なお、便蓋3が立起開放状態に開放されるとき、便蓋3やタンク表面60等の損傷回避を考慮すると、便蓋3をロータンク6のタンク表面60に衝突させたり接触させたりさせない方が好ましい。この場合、便蓋3とタンク表面60との間には隙間ΔD(図2参照)が形成される。このため、便座2または便蓋3を立起開放状態に開放させるとき、便座2の重心Gは鉛直線WAよりも便器100の先端部100e側の安定領域に寄るおそれがある。この場合、便座2に作用する重力の影響で、立起開放状態の便座2は矢印Pd方向に自然に回転して閉鎖されてしまうおそれがある。
【0027】
更に実用上、便蓋3および/または便座2に、樹脂または布製のカバー7が被着される場合がある。図2は、便蓋3にカバー7が被着されている状態を模式的に示す。この場合、閉鎖状態の便座2を開放方向(矢印Pu方向)に回転させて立起開放状態に開放させるとき、カバー7の厚みの影響を受け、便座2の重心G1が鉛直線WAよりも便器100の先端部100e側の不安定領域に寄るおそれがある。図2はこの状態を誇張して示す。この場合、図2に示すように、便座2に作用する重力の影響で、便座2は開放終点付近に開放したにもかかわらず、便座2は閉鎖方向(矢印Pd方向)に自然に回転して閉鎖されてしまうおそれがあり、好ましくない。殊に、閉鎖状態の便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転して立起開放状態に開放されるとき、便座2のリバウンドの影響があると、便座2が重力の影響で矢印Pd方向に自然に回転して閉鎖されてしまうおそれがあり、好ましくない。
【0028】
そこで本実施形態によれば、便蓋3が立起開放状態に開放されている状態において、閉鎖状態の便座2が立起開放状態に開放されるとき、制御装置5は、駆動機構4の便座モータ40自体にブレーキを作用させるブレーキ制御を第1所定時間Δt1実行する。このように閉鎖状態の便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転して立起開放状態に開放されるとき、便座2のリバウンドの影響が低減される。このため、開放終点付近に開放された便座2または便蓋3が重力の影響で閉鎖方向(矢印Pd方向)に自然に回転して閉鎖されてしまうおそれが解消される。
【0029】
ここで、ブレーキ制御を行う本実施形態によれば、第1所定時間Δt1はブレーキをかけている時間であり、便座モータ40の種類、便座2、便蓋3のサイズ、更に、使用者が小用を済ませてから、便座2を閉鎖させる意思をもった使用者の手指が便座2に到達するまでの時間等を考慮し、適宜設定できるものであり、40〜3000ミリ秒、特に60〜3000ミリ秒、100〜500ミリ秒が例示される。但しこれらに限定されるものではない。なお、第1所定時間Δt1は、制御装置5に搭載されているメモリ54のエリアに固定値として格納されていて良いし、あるいは、使用者の好み、便器100の設置場所の事情、便器100等の事情等に応じてスイッチ59の操作により可変とする方式でも良い。
【0030】
本実施形態によれば、制御装置5は、第1所定時間Δt1経過後にはブレーキ制御を解除する。このため第1所定時間Δt1経過した後には、便座2または便蓋3は立起開放状態に維持されているものの、ブレーキ制御による拘束から解除されている。この結果、第1所定時間Δt1経過した後には、便座2は立起開放状態のままフリー状態とされている。従って、使用者が手指で便座2または便蓋3を閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転操作させれば、回転操作を容易に且つ円滑に実行でき、便座2を自由に且つ簡単に閉鎖できる。この点、従来技術とは異なる。
【0031】
上記した実施形態によれば、図2に示すように、立起開放状態の便蓋3の後方にロータンク6が配置されている場合、便蓋3や便座2にカバー7が被着される場合について例示しているが、これらは、立起開放状態の便座2を重力の影響で自然閉鎖させる代表的な場合である。従って、本実施形態は、立起開放状態の便蓋3の後方にロータンク6が配置されていない場合であっても、便蓋3や便座2にカバー7が被着されない場合であっても、同様に適用できるものである。
【0032】
(実施形態2)
図4は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用できる。本実施形態は便座モータ40としてDCモータを使用する。図4は便座モータ40を駆動させる駆動回路40mを示す。駆動回路40mは、電源に繋がる給電線401と、アースに繋がるアース線402と、給電線401とアース線402との間に配置されたHブリッジ制御回路403とを有する。Hブリッジ制御回路403は、互いに直列に配置された第1スイッチング素子411および第2スイッチング素子412と、互いに直列に配置された第3スイッチング素子413および第4スイッチング素子414とを有する。第1スイッチング素子411および第2スイッチング素子412の中間点と、第3スイッチング素子413および第4スイッチング素子414の中間点との間には便座モータ40(DCモータ)が接続されている。便座2を開放方向に回転させるときには、第1スイッチング素子411のベース411bおよび第4スイッチング素子414のベース414bにそれぞれ電圧を印加させて第1スイッチング素子411および第4スイッチング素子414を同時にターンオンさせる。これにより便座モータ40に正方向にモータ電流が流れ、便座モータ40により便座2は開放方向(図2の矢印Pu方向)へ回転する。この場合、第2スイッチング素子412および第3スイッチング素子413、更には第5スイッチング素子415はターンオフ状態に維持される。
【0033】
これに対して便座2を閉鎖方向に回転させるときには、第2スイッチング素子412のベース412bおよび第3スイッチング素子413のベース413bにそれぞれ電圧を印加させて第2スイッチング素子412および第3スイッチング素子413を同時にターンオンさせる。これにより便座モータ40に逆方向にモータ電流が流れ、便座モータ40により便座2は閉鎖方向(図2の矢印Pd方向)へ回転する。この場合、第1スイッチング素子411および第4スイッチング素子414、更には第5スイッチング素子415はターンオフ状態に維持される。
【0034】
ブレーキ制御を実行する場合には、制御装置5は、第1スイッチング素子411〜第4スイッチング素子414をターンオフ状態に維持させた状態において、第5スイッチング素子415のベース415bに電圧を印加させて第5スイッチング素子415をターンオンさせ、便座モータ40の端子をショート(短絡)させる。この結果、便座モータ10にブレーキ作用が得られる。
【0035】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば便座モータ40をショート(短絡)させてブレーキを作用させ得るため、便座2を立起開放状態に維持させることができる。スイッチング素子411,412,413,413はトランジスタ、FET等が例示される。なお、便蓋モータ45を駆動させる駆動回路45mについても、図3と同様の構成にできる。
【0036】
(実施形態3)
図5は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用できる。本実施形態においても、便蓋3が既に開放されており便座2が閉鎖されている状態において、使用者の操作により、または、使用者が便器に接近すると、便座2を開放させる制御が実行される。図5は制御装置5における信号波形を示す。図5の(A)は、制御装置5のCPU51から駆動回路40mを介して便座モータ40の駆動回路50mに入力されるショート信号(ブレーキ信号)を示す。図5の(B)は、制御装置5のCPU51が便座モータ40を回転駆動させるために出力するパルス状の便座開放指令信号S1を示す。図5の(C)は、便座モータ40により便座2が回転するときにおいてエンコーダ55から制御装置5に出力される便座回転検知信号S3を示す。
【0037】
制御装置5は、閉鎖状態の便座2を開放させるとき、閉鎖状態の便座2を開放方向(矢印Pu方向)に回転させて立起開放状態に開放させるために、パルス状の便座開放指令信号S1を間欠的に連続させて便座モータ40の駆動回路50mに出力する。これによりパルス状の便座開放指令信号S1の数に応じて、便座モータ40を開放方向(矢印Pu方向)に回転させる。結果として、閉鎖状態の便座2は次第に開放方向(矢印Pu方向)に回転され、便座2は立起開放状態(図2参照)となる。便座2の立起開放状態とは、便器100の上面100uに対面している閉鎖状態から、便座2を開放方向に回転させて開放終点または開放終点付近に到達している状態を意味する。この場合、ロータリエンコーダ55から出力された便座回転検知信号S3は、制御装置5のCPU51に受け取られるため、便座2が開放動作しているとき、便座2の開放角度は制御装置5のCPU51に認識される。
【0038】
ここで、便座2が立起開放状態に到達すると、便座2の回転は停止されるため、図5(C)に示すように、ロータリエンコーダ55により検知される便座回転検知信号S3の出力が停止される。すなわち、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3を制御装置5のCPU51が受け取ることが停止される。ここで、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止された停止時刻をtbとする。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過するまで、制御装置5のCPU51は、便座開放指令信号S1を駆動機構4の便座モータ40の駆動回路40mに出力する。これにより便座モータ40が回転し、便座2の開放動作が進行するため、便座2が立起開放状態の安定状態に維持され易くなる。そして、停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過した後において、即ち、第2所定時間Δt2経過した時刻tcにおいて、制御装置5は、便座開放指令信号S1の出力を停止すると共に、ブレーキ制御を開始するモータショート信号(ブレーキ信号)S5を便座モータ40の駆動回路40mに出力する。ここで、第2所定時間Δt2は、便座モータ40の種類、便座2および便蓋3のサイズ等に応じて適宜設定できるものであり、100〜1000ミリ秒、特に300〜600ミリ秒が例示される。但しこれらに限定されるものではない。なお、第2所定時間Δt2は、メモリ54のエリアに固定値として格納されていて良いし、あるいは、使用者の好みに応じてスイッチ59(図3参照)の操作により可変とする方式でも良い。
【0039】
本実施形態によれば、制御装置5は、便座モータ40のブレーキ制御を時刻tcから第1所定時間Δt1実行する。制御装置5は、ブレーキ制御の開始時刻tcから第1所定時間Δt1経過した時刻tdにおいて、ブレーキ制御を解除する。このため第1所定時間Δt1経過した後には、前述したように、便座2は便蓋3と共に立起開放状態に維持されているものの、ブレーキ制御による拘束から解除されている。このようにブレーキ制御が解除された便座2は、立起開放状態においてフリー状態とされている。このため、使用者が手指で、立起開放状態の便座2を閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転操作させれば、便座2の回転操作を容易且つ円滑に実行できる。ここで、もし便座モータ40のブレーキ制御が解除されていない場合には、便座モータ40にブレーキが作用しているため、立起開放状態の便座2を使用者が手指で閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転操作させようとすれば、従来技術に係る特許文献1の場合と同様に、重くて抵抗がある回転操作となる。しかし本実施形態によれば、便座モータ40のブレーキ制御は第1所定時間Δt1のみであり、第1所定時間Δt1経過後にはブレーキ制御が解除されているため、立起開放状態の便座2を使用者が手指で閉鎖方向(矢印Pd方向)に容易に回転操作させ得る。なお、第1所定時間Δt1はブレーキをかけている時間であり、便座モータ40の種類、便座2、便蓋3のサイズ、更に、使用者が小用を済ませてから、便座2を閉鎖させる意思をもった使用者の手指が便座2に到達するまでの時間等を考慮し、適宜設定できるものであり、40〜3000ミリ秒、特に60〜3000ミリ秒、100〜500ミリ秒が例示される。但しこれらに限定されるものではない。
【0040】
ところで便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転するとき、便座2の開放回転速度が速い場合には、便座2が開放終点に到達するとき、開放終点においてリバウンドが発生するおそれがある。この場合、リバウンドの影響で便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転してしまうおそれがある。この点について本実施形態によれば、閉鎖状態の便座2が開放終点に到達するとき、制御装置5はブレーキ制御を実行するため、便座2が開放終点において閉鎖方向(矢印Pd方向)に向けてリバウンドすることが確実に抑制される。この場合、便座2は立起開放状態に維持され易くなり、便座2が重力により閉鎖動作することが回避される。
【0041】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2が立起開放状態に解法されたとしても、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転するおそれがある。このような場合であっても本実施形態によれば、便座モータ40に第1所定時間Δt1ぶんブレーキを作用させるため、便座2を立起開放状態に維持させることができる。更に、第1所定時間Δt1経過すれば、便座モータ40のブレーキは解除されるため、立起開放状態の便座2を使用者の手指で簡単に閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転させることができる。
【0042】
(実施形態4)
図6は実施形態4を示す。実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用できる。図6は制御装置5のCPU51が実行するフローチャートを示す。図6に示すように、便蓋3が既に立起開放状態とされていとるき、閉鎖されている便座2を開放させる信号が使用者または図略のセンサ等から制御装置5に入力されているか否か判定する(ステップS102)。もし、便座2を開放させる信号が出力されていると(ステップS102のYES)、制御装置5は、便座モータ40を便座2の開放方向に駆動させ便座2を開放動作させる(ステップS104)。次に、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止された停止時刻tbから、パルス状の便座回転検知信号S3なし状態が第2所定時間Δt2経過しているか判定する(ステップS106)。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過していないとき(ステップS106のNO)、制御装置5のCPU51は、便座2の開放動作を継続させるべく、便座開放指令信号S1を駆動回路40mを介して便座モータ40に出力する(ステップS104)。これにより便座2の開放動作が進行するため、便座2が立起開放状態の安定領域に維持され易くなる。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過しているとき(ステップS106のYES)、制御装置5のCPU51は、便座2を開放させるための便座開放指令信号S1の出力を停止する(ステップS108)。更に制御装置5のCPU51は、便座モータ40(DCモータ)のブレーキ制御を開始するために、便座モータ40のショート信号(ブレーキ信号)を出力し(ステップS120)、便座モータ40の端子をショート(短絡)させる。これにより便座モータ40にはブレーキが作用する。便座モータ40のショート状態(ブレーキ状態)が第1所定時間Δt1経過しているか否か判定する(ステップS122)。便座モータ40のショート状態が第1所定時間Δt1経過していないとき(ステップS122のNO)、便座モータ40のショート状態(ブレーキ状態)を継続させる(ステップS110)。便座モータ40のショート状態が第1所定時間Δt1経過しているとき(ステップS112のYES)、便座モータ40のショート信号(プレーキ信号)を解除させ(ステップS124)、便座2の開放動作終了を示す信号を出力し(ステップS126)、メインルーチンにリターンする。
【0043】
ところで、前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば、便座モータ40に第1所定時間Δt1ぶんブレーキを作用させるため、便座2を立起開放状態に維持させることができる。更に、第1所定時間Δt1経過すれば、便座モータ40のブレーキは解除されるため、立起開放状態の便座2を使用者の手指で簡単に閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転させることができる。
【0044】
(実施形態5)
図7は実施形態5を示す。実施形態5は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用する。本実施形態によれば、閉鎖状態の便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転して立起開放状態に開放されるとき、便座2が立起開放状態に近づくと、便座2の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構4の便座モータ40に対して第1所定時間Δt1実行する。そして、第1所定時間Δt1経過後に減速制御を解除する。前述同様に、便座2の開放方向への回転を検知する回転検知部としてロータリエンコーダ55がケース1w内に設けられている。
【0045】
図7の(A)は、便座2を開放させるように制御装置5のCPU51が便座モータ40に出力するパルス状の便座開放信号S1を示す。図7の(B)は制御装置5のエンコーダ55が検出するパルス状の便座回転検知信号S3を示す。閉鎖状態の便座2を立起開放状態に開放させるにあたり、制御装置5のCPU51は、パルス状の便座開放信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに連続的に出力する。これにより便座モータ40が開放方向(矢印Pu方向)に回転し、閉鎖状態の便座2は次第に開放方向(矢印Pu方向)に回転され、立起開放状態となる。この場合、ロータリエンコーダ55から出力された便座回転検知信号S3は制御装置5のCPU51に入力されるため、便座2が開放しているとき、便座2の開放角度は制御装置5のCPU51に認識される。
【0046】
ここで、閉鎖状態の便座2が立起開放状態にまで開放されると、図7(B)に示すように、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止される。ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止された停止時刻をtbとすると、停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過するまで、制御装置5のCPU51は、便座モータ40を便座2の開放方向に回転させる便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに更に出力する。これにより便座2が一旦立起開放状態とされたとしても、便座2の開放動作が進行するため、便座2の重心Gが安定領域に移行し、便座2が立起開放状態に維持され易くなり、便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に転倒することが抑制される。そして、停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過した時刻tcにおいて、制御装置5は、便座モータ40を減速させる減速制御を第1所定時間Δt1実行する。そして、制御装置5は、第1所定時間Δt1経過した時刻teにおいて減速制御を解除する。このため時刻tcから第1所定時間Δt1経過した後には、前述したように、便座2は、便蓋3と共に立起開放状態に維持されているものの、減速制御による拘束から解除されている。この結果、時刻te以降においては、便座2は立起開放状態においてフリー状態とされている。このため、使用者が手指で便座2を閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転操作させれば、便座2の回転操作を容易且つ円滑に実行できる。便座2の減速制御を行う本実施形態によれば、第1所定時間Δt1は減速させている時間であり、便座モータ40の種類、便座2、便蓋3のサイズ等を考慮し、適宜設定できるものであり、40〜5000ミリ秒、特に60〜4000ミリ秒、100〜2000ミリ秒が例示される。但しこれらに限定されるものではない。なお、第1所定時間Δt1は、制御装置5に搭載されているメモリ54のエリアに固定値として格納されていて良いし、あるいは、使用者の好み、便器100の設置場所の事情、便器100等の事情等に応じてスイッチ59の操作により可変とする方式でも良い。
【0047】
ところで閉鎖状態の便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転するとき、便座2の開放回転速度が速いと、便座2が開放終点に到達するとき、リバウンドが発生するおそれがある。この場合、便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転し、便座2の重心が不開放安定領域に存在し、便座2が重力の影響で閉鎖方向(矢印Pd方向)に転倒してしまうおそれがある。
【0048】
この点について本実施形態によれば、便座2が開放終点に到達するとき、即ち時刻tcにおいて、制御装置5は減速制御を開始する。このため、便座2が閉鎖方向に向けて強くリバウンドすることが抑制される。この場合、便座2は立起開放状態の安定領域に維持され易くなる。図7(A)に示すように、減速制御では、便座モータ40の駆動回路40mに給電されるパルスのパルス幅Dは、デューティ制御により時間経過につれて次第に小さくなる。パルス幅Dは便座モータ40への給電量に相当するため、パルス幅Dが小さくなると、便座モータ40は減速され、便座2の開放速度が次第に低下する。結果として、開放方向に動作する便座2が、立起開放状態において、便座2が閉鎖方向に向けて強くリバウンドすることが抑制される。
【0049】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば、便座モータ40の回転速度を次第に減速させるため、便座2の開放終点におけるリバウントが抑制され、便材2を立起開放状態に維持させることができる。更に、第1所定時間Δt1経過すれば、便座モータ40の減速制御は解除されるため、立起開放状態の便座2を使用者の手指で簡単に閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転させることができる。
【0050】
(実施形態6)
図8は実施形態6を示す。本実施形態は図7に示す減速制御を実行する実施形態5と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用する。図8は制御装置5のCPU51が実行するフローチャートを示す。図8に示すように、閉鎖されている便座2を開放させる信号が使用者または図略のセンサ等から制御装置5に入力されているか否か判定する(ステップSB102)。この信号が使用者または図略のセンサから制御装置5に入力されている場合(ステップSB102のYES)、制御装置5ハ、便座モータ40の駆動回路40mに給電し、便座モータ40を便座2の開放方向に駆動させ便座2を開放動作させる(ステップSB104)。次に、制御装置5は、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止された停止時刻tbから、第2所定時間Δt2経過しているか判定する(ステップSB106)。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過していないとき(ステップSB106のNO)、制御装置5のCPU51は、便座2の開放動作を継続させるべく、便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに出力する(ステップSB104)。これにより便座2の開放動作が進行するため、便座2が立起開放状態に維持され易くなる。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過しているとき(ステップSB106のYES)、制御装置5のCPU51は、減速制御を開始するため、デューティ制御により便座開放信号S1のパルス幅Dを次第に減少させ、便座モータ40の出力を前回の出力よりも低下させる(ステップSB108)。このように便座モータ40へ給電されるパルス信号のパルス幅Dを次第に小さくさせる。これにより便座モータ40を減速させる。次に、便座モータ40へ給電されるパルス状の便座開放指令信号S1のパルス幅Dが0になり、設定出力が0になったか否かを判定する(ステップSB110)。便座モータ40へ給電されるパルス信号のパルス幅Dが0でなければ(ステップSB110のNO)、便座開放指令信号S1のパルス幅Dを更に低下させる(ステップSB108)。パルス信号のパルス幅Dが0になった場合(ステップSB110のYES)、便座2の開放動作終了を示す信号を出力し(ステップSB112)、メインルーチンにリターンする。
【0051】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば便座2を立起開放状態に維持させることができる。
【0052】
(実施形態7)
図9は実施形態7を示す。本実施形態は前記した実施形態6と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏する。本実施形態によれば、実施形態6の場合と同様に、閉鎖状態の便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転して立起開放状態に開放されるとき、便座2が立起開放状態に近づくと、図9に示すように、便座2の開放速度を次第に減速させる減速制御を便座モータ40に対して第1所定時間Δt1実行する。そして、制御装置5は、第1所定時間Δt1経過した時刻teから減速制御を解除する。加えて減速制御を解除させた後、制御装置5は、便座モータ40に対してショート信号(ブレーキ信号)を出力し、便座モータ40にブレーキをかけるブレーキ制御を第1所定時間Δt5実行する。第1所定時間Δt5経過した時刻tfにおいて、ブレーキ制御を解除させる。
【0053】
このような本実施形態によれば、便座2の立起開放状態において、便座2の開放速度を減速させる。更に減速させた後に、便座モータ40をショートさせて便座モータ40にブレーキをかけるブレーキ制御を実行する。このため開放動作する便座2が立起開放状態において閉鎖方向に向けて強くリバウンドすることが抑制される。この場合、便座2は立起開放状態に維持され易くなる。なお、Δt5=Δt1でも良いし、Δt5>Δt1でも良いし、Δt5<Δt1でも良い。
【0054】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば便座2を立起開放状態に維持させることができる。
【0055】
(実施形態8)
図10は実施形態8を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏する。図10(A)は、制御装置5のCPU51が便座モータ40に指令する便差開放指令信号S1を示す。図10(B)は、便座2が回転するときにおいて制御装置5のエンコーダ55が実際に検出する便座回転検知信号S3を示す。便座2を開放させるときには、制御装置5のCPU51は、閉鎖状態の便座2を立起開放状態にまで開放させるパルス状の便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに出力する。これにより便座モータ40が開放方向(矢印Pu方向)に回転し、閉鎖状態の便座2は次第に開放方向(矢印Pu方向)に回転され、立起開放状態となる。この場合、ロータリエンコーダ55から出力された便座回転検知信号S3は制御装置5のCPU51に入力されるため、便座2が開放しているとき、便座2の開放角度は制御装置5のCPU51に認識される。
【0056】
ここで、閉鎖状態の便座2が立起開放状態に開放されると、図10(B)に示すように、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止される。ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止された停止時刻をtbとする。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過する時刻tcまで、制御装置5のCPU51は、便座モータ40を便座2の開放方向に回転させる便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに更に出力する。これにより便座2が立起開放状態とされたとしても、便座2の開放動作が更に進行するため、便座2が立起開放状態の安定領域に移行し易くなり、便座2が立起開放状態に維持され易くなる。そして時刻tcにおいて、制御装置5は、便座モータ40を停止させる停止制御を実行する。
【0057】
しかしながら便座モータ40を時刻tcにおいて停止させたとしても、便座2が閉鎖方向に回転していることが検知されるときがある。この場合、エンコーダ55からの信号としてS7(図10(B))として検知される。この場合、何らかの事情により、開放されることが指令された便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転していることになる。事情とは、便座2または便蓋3のリバウンドの発生、エンコーダ55の誤検知、便器100を設置する設置面の水平不足等が挙げられる。
【0058】
この点について、本実施形態によれば、制御装置5は、便座モータ40の開放動作を停止させる停止指令信号を出力した後、便座2が閉鎖方向に回転していることが信号S7が検知されるときには、便座2を開放させるパルス状の便開放指令信号S10を便座モータ40の駆動回路40mに再び入力させる。これにより便座2を強制的に開放させて立起開放状態とさせる。
【0059】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば便座2を立起開放状態に維持させることができる。
【0060】
(実施形態9)
図11は実施形態9を示す。本実施形態は実施形態8と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用する。図11は制御装置5のCPU51が実行するフローチャートを示す。図11に示すように、閉鎖されている便座2を開放させる便座開放信号が使用者または図略のセンサから制御装置5に入力されているか否か判定する(ステップSC102)。便座開放信号が使用者または図略のセンサから制御装置5に入力されている場合(ステップSC102のYES)、便座モータ40の駆動回路40mに給電され、便座モータ40を便座2の開放方向に駆動させ便座2を開放動作させる(ステップSC104)。次に、便座2が開放状態にあるとき、便座回転検知信号S3のパルスなし状態が続き、第2所定時間Δt2経過しているか判定する(ステップSC106)。第2所定時間Δt2経過していないとき(ステップSC106のNO)、制御装置5のCPU51は、便座2の開放動作を継続させるべく、便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに出力する(ステップSC104)。これにより便座2の開放動作が進行するため、便座2が立起開放状態に維持され易くなる。第2所定時間Δt2経過しているとき(ステップSC106のYES)、制御装置5のCPU51は、便座開放指令信号S1をオフとさせる(ステップSC108)。
【0061】
次に、エンコーダ55からのパルス状の信号S7が検出されるか否か判定する(ステップSC110)。パルス状の信号S7が検出されることは、何らかの事情により、便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転していることに相当する。パルス状の信号S7が検出されないとき(ステップSC110のYES)、便座開放指令信号をオフとし(ステップSC112)、便座開放動作終了信号を出力する(ステップSC114)。パルス状の信号S7が検出されるとき(ステップSC110のNO)、便座2は閉鎖方向に動作している可能性が大きいため、便座開放指令信号をオンとし(ステップSC116)、ステップSC104に至る。
【0062】
(実施形態10)
図12は実施形態10を示す。本実施形態は図10に示す実施形態8と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏しており、図1〜図3を準用できる。本実施形態によれば、閉鎖状態の便座2が立起開放状態に開放される途中において、図12(C)に示すように、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3が出力される。そして、便座2が立起開放状態に開放されると、便座2の開放動作が基本的には停止されるため、図12(C)に示すように、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止される。ここで、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止された停止時刻をtbとする。
【0063】
図12(B)に示すように、停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過する時刻tcまで、制御装置5のCPU51は、便座モータ40を便座2の開放方向に回転させる便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに更に出力する。これにより便座2が立起開放状態とされたとしても、便座モータ40の開放動作が更に進行するため、便座2の重心Gが立起開放状態の安定領域に移行し易くなる。そして時刻tcにおいて、制御装置5は、便座モータ40を停止させる停止制御を実行する。
【0064】
しかしながら時刻tcにおいて便座モータ40を停止させた後においても、便座2が閉鎖方向に回転していることが検知されるときがある。この場合、エンコーダ55からの便座回転検知信号S7(図12(C)参照)として検知される。この場合、何らかの事情により、一旦開放された便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転していることに相当する。この点について本実施形態によれば、便座モータ40の開放動作を停止させる停止指令信号を出力した後において、便座2が閉鎖方向に回転している便座回転検知信号S7が検知されるときには、制御装置5は、便座2を強制的に開放させる便座開放指令信号S10を便座モータ40の駆動回路40mに再び入力させる。これにより閉鎖方向に動作していた便座2を強制的に開放させて立起開放状態とさせる。その後、時刻teにおいて便座2の強制開放を解除すると共に、便座モータ40にショート信号S5を入力させて便座モータ40にブレーキを第1所定時間Δt5作用させる。第1所定時間Δt5が経過すれば、ブレーキは解除される。
【0065】
(実施形態11)
図13は実施形態11を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏しており、図1〜図3を準用できる。本実施形態によれば、閉鎖状態の便座2が立起開放状態に開放される途中において、図13(C)に示すように、ロータリエンコーダ55からパルス状の便座開放検知信号S3が連続的に出力される。そして便座2が立起開放状態の開放終点に開放されると、便座2の開放動作が基本的には停止されるため、図13(C)に示すように、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止される。ここで、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止された停止時刻をtbとする。
【0066】
本実施形態によれば、図13(B)に示すように、便座開放検知信号S3の出力が停止されたとしても、停止時刻tbから第2所定時間Δt2(例えば100〜1000ミリ秒、400〜600ミリ秒)経過する時刻tcまで、制御装置5のCPU51は、便座モータ40を便座2の開放方向に回転させる便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに更に出力する。これにより便座2が立起開放状態とされたとしても、便座モータ40の開放動作が更に進行するため、便座2の重心Gが立起開放状態の安定領域に移行し易くなる。そして時刻tcにおいて制御装置5は便座モータ40を停止させる。
【0067】
しかしながら時刻tcにおいて便座モータ40を停止させるとしても、リバンド等の影響で便座2が閉鎖方向に微少量回転することがある。この現象は、エンコーダ55からの便座回転検知信号S7(図13(C)参照)として検知される。この点について本実施形態によれば、便座2がリバウンドし、便座2が閉鎖方向に回転している便座回転検知信号S7が検知されるときには、制御装置5は、便座回転検知信号S7が検知される時刻tcから、便座モータ40にショート信号S5を入力させて便座モータ40にブレーキを第1所定時間Δt5作用させて便座2の動作を停止させる。この場合、便座回転検知信号S7の検知が終了する時刻をtk(リバウンドが終了する時刻)とする。時刻tkから更に第5所定時間Δt7が経過する時刻tdにおいて、便座モータ40のブレーキは解除される。このように便座回転検知信号S7の検知が終了する時刻tk(即ち、便座2のリバウンドが終了する時刻)から更に第5所定時間Δt7が経過するまで、便座モータ40のブレーキは維持され、その後、ブレーキは解除される。このため便座2のリバウンドは確実に抑えられる。ここで、ブレーキは便座2のリバンドを停止させる機能をもつため、便座2のリバウンドが収まれば、ブレーキが解除されても、便座2が閉鎖方向に動作することは抑えられている。なお、便座回転検知信号S7が継続的に検出される場合において、便座モータ40をショートさせて便座モータ40にブレーキを作用させる時間Δt5は400〜1000ミリ秒にできる。
【0068】
(実施形態12)
図14は実施形態12を示す。本実施形態は前記した図13に示す実施形態11と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏しており、図1〜図3を準用できる。図14は制御装置5のCPU51が実行するフローチャートを示す。図14に示すように、閉鎖されている便座2を開放させる信号が使用者または図略のセンサ等から制御装置5に入力されているか否か判定する(ステップSD102)。もし、便座2を開放させる信号が出力されていると(ステップSD102のYES)、制御装置5は、便座モータ40を便座2の開放方向に駆動させ、便座2を開放動作させる(ステップSD104)。次に、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止された停止時刻tbから、パルス状の便座回転検知信号S3なし状態が第2所定時間Δt2経過しているか判定する(ステップSD106)。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過していないとき(ステップSD106のNO)、制御装置5のCPU51は、便座2の開放動作を継続させるべく、便座開放指令信号S1を駆動回路40mを介して便座モータ40に出力する(ステップSD104)。これにより便座2の開放動作が進行するため、便座2が立起開放状態の安定領域に維持され易くなる。
【0069】
停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過しているとき(ステップSD106のYES)、制御装置5のCPU51は、便座2を開放させるための便座開放指令信号S1の出力を停止(OFF)する(ステップSD108)。更に制御装置5のCPU51は、便座モータ40(DCモータ)のブレーキ制御を開始するために、便座モータ40のショート信号(ブレーキ信号)を出力し(ステップSD110)、便座モータ40の端子をショート(短絡)させ、これにより便座モータ40にブレーキを作用させる。便座モータ40のショート状態(ブレーキ状態)が第1所定時間Δt5経過しているか否か判定する(ステップS122)。便座モータ40のショート状態が第1所定時間Δt5経過しているとき(ステップS112のYES)、便座ショート信号をOFFにしてブレーキを解除させ(ステップSD122)、便座開放動作を終了させる(ステップSD122)。
【0070】
これに対してステップSD112において、便座モータ40のショート状態が第1所定時間Δt5経過していないとき(ステップS112のNO)、便座2が立起開放状態であるとき、便座回転信号S7(便座2が閉じる方向に動作していることに相当)を検知したか否かを判定する(ステップSD114)。便座回転信号S7が検知されていれば(ステップSD114のYES)、検知フラグをセットする(ステップSD116)と共に、便座モータ40にブレーキを継続して作用させる(ステップSD110)。ステップSD114において、便座回転信号S7が検知されていなければ(ステップSD114のNO)、検知フラグがセットされているか否か判定する(ステップSD118)。検知フラグがセットされていれば(ステップSD118のYES)、所定時間Δt7待機する(ステップSD124)。その後、便座ショート信号をOFFにして^便座モータ40のブレーキを解除させ(ステップSD122)、便座開放動作を終了させる(ステップSD126)。検知フラグがセットされているか否か判定する(ステップSD118)。検知フラグがセットされていなければ(ステップSD118のNO)、時刻tcから所定時間Δt5待機した後、便座ショート信号をOFFにしてブレーキを解除させる(ステップSD122)。
【0071】
本実施形態においても、便座2の開放後の閉鎖動作を示す便座回転検知信号S7(便座2のリバウンドに相当)が検知された場合には、便座回転検知信号S7の検知が終了(便座2のリバウンドの終了に相当)してから第5所定時間Δt7(図13参照)が経過した後、便座モータ40のブレーキは解除される。このように便座2のリバウンドの終了が確実となるまで便座モータ40のブレーキは維持される。その後、便座モータ40のブレーキは解除される。このため本実施形態によれば、便座2の開放時において便座2のリバウンドが発生したとしても、便座2のリバウンドは便座モータ40のブレーキにより確実に抑えられる。
【0072】
(適用形態)
図15は適用形態の一例を示す。図15に示すように、ロータンク6が便器100の後部の取付部に配置されている。ロータンク6は、閉鎖状態の便座2に着座する使用者の背中に対面可能なタンク表面60をもつ。コンパクト化を図りつつ、ロータンク6に貯水できる水量を増加させるため、タンク表面60を寝かせるためには限界がある。このため、ロータンク6のタンク表面60はほぼ鉛直方向に沿っている。この場合、閉鎖されている便蓋3と共に便座2が開放する場合、立起開放状態に開放された便座2がロータンク6のタンク表面60に近づき難くなり、何らかの事情(便座2または便蓋3にカバーが被着されること、建築物の経年変化等の影響で便器100を設置する設置面200の水平度が低下していること等の事情)により、便座2は重力の影響で自然に閉鎖回転されるおそれがある。このような場合に、本発明は有効である。
【0073】
(その他)上記した実施形態によれば、便座2の開放方向および閉鎖方向への回転を検知する回転検知部としてロータリエンコーダ55がケース1w内に設けられている。ロータリエンコーダ55に限らず、便座2の開放方向および閉鎖方向への回転を検知する他のセンサを設けることにしても良い。ロータリエンコーダ55は光式に限らず、磁気式でも良い。便座便蓋自動開閉装置1は、局部洗浄機能を有するものでも良いし、有しないものでも良い。便座便蓋自動開閉装置1は、暖房便座機能を有するものでも良いし、有しないものでも良い。ロータンク6は便器100の後部に取り付けられるが、便器100から離間するタイプでも良い。便座モータ40はDCモータを採用し、DCモータの端子間をショート(短絡)させることによりブレーキをかけることにしているが、これに限らず、交流モータでも良い。必要に応じて、ブレーキパッド、ディスクブレーキ等のブレーキ要素を装備させることにしても良い。便蓋3が立起開放状態に開放されるとき、便蓋3をロータンク6のタンク表面60に接触させる構造でも良い。
【0074】
上記した実施形態では、便蓋3が開放されており且つ便座2が閉鎖されている場合において、便座2を開放させる場合の制御について説明しているが、これに限らず、便蓋3および便座2が閉鎖されている場合において、便蓋3を開放させる場合の制御について同様に適用できる。更に、便蓋3および便座2が閉鎖されている場合において、便蓋3および便座2を同時に開放させる場合の制御について同様に適用できる。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
【0075】
(付記項1)便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便座と、便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋と、便座または便蓋を開閉させる駆動機構と、便座または便蓋が便器に対して立起される状態に開放させ、便座または便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に指令信号を出力する制御装置とを具備することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【0076】
(付記項2)便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便座と、便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋と、便座または便蓋を開閉させる駆動機構と、便座または便蓋が便器に対して立起される状態に開放させ、便座または便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に指令信号を出力する制御装置とを具備しており、制御装置は、前記便座または便蓋が立起開放状態に開放されるとき駆動機構(モータを含む)にブレーキを作用させるブレーキ制御、または、立起開放状態に近づくにつれて便座または前記便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して実行することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。この場合、便座または便蓋のリバンドが抑制され、便座または便蓋が立起開放状態から重力により閉鎖することが抑制される。
【0077】
(付記項3)付記項2において、前記制御装置は、前記駆動機構に対して前記減速制御を実施した後にブレーキ制御を実施することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。ブレーキ制御は所定時間かけ、その後解除しても良いし、継続的にかけても良い。
【0078】
(付記項4)便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便座と、便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋と、便座または便蓋を開閉させる駆動機構と、便座または便蓋が便器に対して立起される状態に開放させ、便座または便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に指令信号を出力する制御装置とを具備しており、制御装置は、便座または便蓋を開放させる開放指令信号を出力した後、便座または便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知されるとき、便座または便蓋を開放させる開放指令信号を駆動機構に再び出力させ、便座または便蓋を強制開放させることを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。この場合、開放されている便座または便蓋が重力により閉鎖方向に動作することが抑制される。強制開放後に、便座または便蓋に対してブレーキ制御することが好ましい。ブレーキ制御は所定時間かけ、その後解除しても良いし、継続的にかけても良い。
【符号の説明】
【0079】
1は便座便蓋自動開閉装置、2は便座、3は便蓋、4は駆動機構、40は便座モータ、40mは駆動回路、45は便蓋モータ、45mは駆動回路、5は制御装置、51はCPU、55はロータリエンコーダ(回転検知部)、6はロータンク、60はタンク表面、7はカバーを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレに配置される便座便蓋自動開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、便座または便蓋が閉鎖状態であるとき、これらを開閉させる駆動モータをオープン回路状態とさせ、且つ、便座または便蓋が開放状態であるとき、これらを開閉させる駆動モータをショート(短絡)状態とさせて駆動モータにブレーキ作用を発生させることにしている。
【0003】
特許文献2は、便座便蓋自動開閉装置において、便蓋・便座の開動作中における2点間の測定した時間と、基準として設定した時間を比較して、差異が生じていた場合には、モータの出力を調整して動作をスムーズに行わせている。このものによれば、便蓋、便座にカバーを取り付けたときにおいては、測定時間に差異が生じるおそれがあるため、出力マップのパターンを変えてトルク変動に対応する制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−418978号公報
【特許文献2】特開平9−313404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、便座または便蓋が開放状態であるときには、駆動モータ(DCモータ)をショート(短絡)状態とさせて駆動モータに常にブレーキ作用を発生させている。このため、便座または便蓋が開放状態である限り、ブレーキ作用が常に発生している。従って、開放状態で且つブレーキが作用している便座や便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるには、かなり力が必要とされ、回転操作がかなり重く感じられる不具合がある。例えば、子供、高齢者、障害者等によっては、便座や便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるにあたり、閉鎖方向への回転操作がかなり重く感じられる不具合がある。殊に、回転操作の初期において、回転操作がかなり重く感じられる不具合がある。
【0006】
特許文献2によれば、作動中のモータの出力を負荷トルク変動に対応して可変させるもので、全開後の作動停止と見なした後の状態は、モータ出力「0」となる。この際、出力「0」となる直前に部品のたわみ・変形等による反力が残っていると、この反力による戻りのため、便蓋・便座が自立点以下になった場合、重力の影響で閉方向に自動的に閉じてしまう問題がある。
【0007】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、子供、高齢者、障害者等であっても、勿論、健常者であっても、開放されている便座や便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるにあたり、回転操作が重く感じられる不具合を解消させるのに有利な便座便蓋自動開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る便座便蓋自動開閉装置は、便器に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便座と、便器に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋と、便座または便蓋を開閉させる駆動機構と、便座または便蓋が便器に対して立起される状態に開放させ、便座または便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に開放指令信号を出力する制御装置とを具備しており、
制御装置は、便座または便蓋が立起開放状態に開放されるとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、立起開放状態に近づくにつれて便座または便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行し、便座または便蓋が立起開放状態にされているとき第1所定時間経過後にブレーキ制御または減速制御を解除することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る装置によれば、制御装置は、便座または便蓋が立起開放状態に開放されているとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、立起開放状態に近づくにつれて便座または便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行する。便座または便蓋が立起開放状態にされているとき、制御装置は、第1所定時間経過後にブレーキ制御または減速制御を解除する。立起開放状態とは、開放終点または開放終点付近の状態わ意味する。
【0010】
本発明に係る装置によれば、便座または便蓋が立起開放状態にされ、開放終点に到達するとき、ブレーキ制御または減速制御が実行されるため、便座または便蓋の開放速度が速いときであっても、開放終点付近における便座または便蓋のリバウンドが抑制される。このため、開放終点付近に開放された便座または便蓋が重力の影響で閉鎖方向に動作することが抑制される。
【0011】
更に本発明に係る装置によれば、第1所定時間経過した後には、便座または便蓋は立起開放状態に維持されているものの、ブレーキ制御または減速制御による拘束から解除されている。この結果、第1所定時間経過後には、便座または便蓋は立起開放状態においてフリー状態とされている。フリー状態とは、使用者が手指で便座または便蓋を閉鎖方向に回転操作させれば、回転操作を容易且つ円滑に実行できる状態を意味する。従って、子供、高齢者、障害者等であっても、勿論、健常者であっても、開放終点付近に開放されている便座や便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるにあたり、回転操作が重く感じられる不具合が解消される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る装置によれば、制御装置は、便座または便蓋が立起開放状態に開放されるとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、立起開放状態に近づくにつれて便座または便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行する。よって、便座または便蓋が立起開放状態にされるとき、便座または便蓋のリバウンドが抑制される。このため、一旦開放された便座または便蓋が重力の影響で閉鎖方向に動作することが抑制される。
【0013】
更に本発明に係る装置によれば、ブレーキ制御または減速制御は第1所定時間の経過により解除されるため、便座または便蓋は立起開放状態でフリーとなる。よって、子供、高齢者、障害者等であっても、勿論、健常者であっても、開放されている便座や便蓋を使用者の手指で閉鎖方向に回転させるにあたり、回転操作が重く感じられる不具合を解消させるのに有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係り、便座便蓋自動開閉装置が便器に取り付けられている状態において便座および便蓋が閉鎖されている状態を模式的に示す図である。
【図2】実施形態1に係り、便座便蓋自動開閉装置が便器に取り付けられている状態において、便座および便蓋が開放されている状態を模式的に示す図である。
【図3】実施形態1に係り、制御装置の概念を示すブロック図である。
【図4】実施形態2に係り、便座モータの駆動回路を示す電気回路図である。
【図5】実施形態3に係り、便座モータショート信号、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図6】実施形態4に係り、制御装置のCPUが実行する制御を示すフローチャートである。
【図7】実施形態5に係り、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図8】実施形態6に係り、制御装置のCPUが実行する制御を示すフローチャートである。
【図9】実施形態7に係り、便座モータショート信号、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図10】実施形態8に係り、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図11】実施形態9に係り、制御装置のCPUが実行する制御を示すフローチャートである。
【図12】実施形態10に係り、便座モータショート信号、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図13】実施形態11に係り、便座開放指令信号および便座回転検知信号のタイミングを示す図である。
【図14】実施形態12に係り、制御装置のCPUが実行する制御を示すフローチャートである。
【図15】適用形態に係り、便器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
便座または便蓋とは、便座および便蓋のうちの少なくとも一方という意味である。従って駆動機構は便座を開閉させるものでも良いし、便蓋を開閉させるものでも良いし、便座および便蓋を開閉させるものでも良い。制御装置は、便座を立起開放状態とさせるように駆動機構に開放指令信号を出力するものでも良いし、便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に開放指令信号を出力するものでも良いし、便座および便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に開放指令信号を出力するものでも良い。好ましくは、制御装置は、便座が立起開放状態に開放されるとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、立起開放状態に近づくにつれて便座の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行し、便座が立起開放状態にされているとき第1所定時間経過後にブレーキ制御または減速制御を解除する。駆動機構はモータおよびモータ駆動回路を含むことができる。
【0016】
また、好ましくは、制御装置は、便蓋が立起開放状態に開放されるとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、立起開放状態に近づくにつれて便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行し、便蓋が立起開放状態にされているとき第1所定時間経過後にブレーキ制御または減速制御を解除する。
【0017】
本発明の好ましい形態によれば、便座または便蓋の開放方向への回転を検知する回転検知部が設けられている。回転検知部としてはロータリエンコーダが例示される。この場合、好ましくは、制御装置は、便座または便蓋を立起開放状態に開放させる開放指令信号を駆動機構に出力すると共に、便座または便蓋の開放方向への回転を検知した回転検知部からの開放検知信号を受け取る。且つ、好ましくは、制御装置は、便座または便蓋が立起開放状態に開放して回転検知部からの開放検知信号の受け取りが停止されるとき、停止から第2所定時間経過するまで、便座または便蓋を開放させる開放指令信号を駆動機構に更に出力する。これにより便座または便蓋は立起開放状態に維持され易くなる。そして、制御装置は、第2所定時間経過した後、開放指令信号の出力を停止すると共に、ブレーキ制御または減速制御を開始する指令を駆動機構に出力する。制御装置は、前述したようにブレーキ制御または減速制御は第1所定時間実行する。制御装置は、第1所定時間経過後にブレーキ制御または減速制御を解除する解除制御を実行する。このため第1所定時間経過した後には、前述したように、便座または便蓋は立起開放状態に維持されているものの、ブレーキ制御または減速制御による拘束から解除されている。この結果、便座または便蓋は立起開放状態においてフリー状態とされている。このため、使用者が手指で便座または便蓋を閉鎖方向に回転操作させれば、回転操作を容易に実行できる。第1所定時間は固定値でも良いし、使用者の好みに応じて可変でも良い。
【0018】
便座または便蓋が開放方向に回転するとき、回転速度が速いと、便座または便蓋が開放終点に到達するとき、リバウンドするおそれがある。この場合、便座または便蓋は重力の影響で閉鎖方向に回転してしまうおそれがある。この点について、本発明の好ましい形態によれば、駆動機構のモータがデューティ制御される場合には、減速制御は、立起開放状態において、駆動機構のモータに給電するデューティ比を次第に低下させることにより行われる。これにより便座または便蓋が開放終点に到達するとき、便座または便蓋の回転速度は減速されているため、閉鎖方向に向けてリバウンドすることが抑制される。この場合、便座または便蓋は閉鎖方向に動作することなく、立起開放状態に維持され易くなる。本発明の好ましい形態によれば、制御装置は、駆動機構に対して減速制御を実施した後にブレーキ制御を実施する。これにより便座または便蓋が開放終点に到達するとき、開放速度が低速であるため、便座または便蓋が閉鎖方向に向けてリバウンドすることが抑制される。この場合、便座または便蓋は立起開放状態に維持され易くなる。
【0019】
ところで、制御装置が便座または便蓋を開放させる開放指令信号を出力した後、便座または便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知されるときがある。この場合には、何らかの事情により、便座または便蓋は閉鎖方向に回転していることになる。事情とは、便座または便蓋のリバウンドの発生、回転検知部の誤検知、便器を設置している設置面の水平不良等が挙げられる。この点について、本発明の好ましい形態によれば、制御装置は、便座または便蓋を開放させる開放指令信号を出力した後、便座または便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知されるとき、便座または便蓋を開放させる開放指令信号を駆動機構に再び出力させる。これにより便座または便蓋を強制的に開放させて立起開放状態とさせる。
【0020】
制御装置が便座または便蓋を開放させる開放指令信号を出力した後、便座または便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知される場合がある。立起開放状態とされた便座または便蓋のリバウンドの発生、回転検知部の誤検知、便器を設置している設置面の水平不良等が挙げられる。この場合、開放された便座または便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知されると、制御装置は、便座または便蓋にブレーキをかける。そして、当該検知が終了した後に(特に、当該検知が終了した時刻から所定時間経過した後に)、ブレーキを解除させることが好ましい。この場合、便座または便蓋の閉鎖が停止される。あるいは、リバウンドの検知が終了した後に(特に、当該リバウンドの検知が終了した時刻から所定時間Δt7(図13(C)参照)経過した後に)、ブレーキを解除させることが好ましい。このように便座または便蓋のリバウンドが停止された後に、便座または便蓋のブレーキを解除させることが好ましい。
【0021】
本発明の好ましい形態によれば、便座に着座する使用者の背中に対面するタンク表面をもつロータンクが、便器の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋はロータンクのタンク表面に接近または接触し、便蓋または便座はカバーを被着可能とされている。このような場合には、ロータンク、カバー等の影響を受けて、便座または便蓋は立起開放状態の正姿勢に維持されないおそれがある。この場合、便座または便蓋は立起開放状態の手前の回転角度までしか開放できなくなる不具合がある。このような場合、便座または便蓋が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座または便蓋が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。
【0022】
そこで、制御装置は、便座または便蓋が開放終点付近すなわち立起開放状態に開放されるとき駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、または、立起開放状態において便座または便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して第1所定時間実行する。このためロータンク、カバー等の影響が存在したとしても、便座または便蓋は閉鎖方向に動作することなく、立起開放状態に維持される。この場合、便座または便蓋が立起開放状態の手前の回転角度までしか開放できなくなる不具合が抑制される。この結果、便座または便蓋が開放終点付近まで開放回転するとき、リバウンド等の影響で、便座または便蓋が開放終点付近から閉鎖方向に回転してしまうおそれが解消される。
【0023】
(実施形態1)
図1〜図3は実施形態1の概念を示す。本実施形態に係る便座便蓋自動開閉装置は、洋式の便器100の後部に据え付けられるケース1w内に保持されている。便座便蓋自動開閉装置は、便器100に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便座2と、便器100に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋3と、便座2または便蓋3を開閉させるための駆動機構4と、制御装置5とを有する。駆動機構4および制御装置5はケース1w内に保持されている。便座2および便蓋3は、ケース1wに回転可能に枢支されている。制御装置5は、便座2または便蓋3が便器100に対して立起される状態に開放させ、便座2または便蓋3を立起開放状態とさせるように駆動機構4に指令信号を出力する。便座2および便蓋3はケース1wに保持された横軸形の回転軸に回転可能に枢支されている。この場合、回転軸は、便座2および便蓋3に共通する軸でも良いし、あるいは、便座2を回転可能に枢支させるための軸と、便蓋3を回転可能に枢支させるための軸との双方を併有していても良い。要するに回転軸は、便座2および便蓋3を開閉方向に回転させ得るものであれば良い。
【0024】
開放とは、便座2または便蓋3を矢印Pu方向に回転させて便器100の上面100uから離脱させることを意味する。便座2の立起開放状態とは、便座2が便器100の上面100uに対向しつつ寝ている初期状態から、便座2を開放方向(矢印Pu方向)に回転させて開放終点付近に到達している状態を意味する。便蓋3の立起開放状態とは、便蓋3が便器100の上面100uに対向しつつ寝ている閉鎖状態から、便蓋3を開放方向(矢印Pu方向)に回転させて開放終点または開放終点付近に到達している状態を意味する。従って、開放とは、閉鎖されている便座2または便蓋3を矢印Pu方向に回転させて便器100の上面100uから遠ざけることを意味する。上記した立起開放状態では、便座2および便蓋3はほぼ鉛直線状に沿って立設状態に配向している。なお、周知のように、男性の小用時には、便座2および便蓋3の双方を開放させる。排便時等には便座2を閉鎖させた状態で便蓋3を開放させる。
【0025】
図3は制御装置5を示す。図3に示すように、制御装置5は、入力処理回路50と、CPU51をもつ制御部52と、出力処理回路53と、メモリ54とを有する。便座2の開放方向および閉鎖方向への回転を検知する回転検知部としてロータリエンコーダ55が、ケース1w内に設けられている。ロータリエンコーダ55およびスイッチ59は入力処理回路50を介して制御部52に入力される。ロータリエンコーダ55は、複数の細孔をもつ細孔群を有する回転部材と、信号光を発光する受光素子と、スリット等の細孔を介して信号光を受光する受光素子とを有する。便座2が回転されると、回転部材が連動して回転し、パルス状の便座回転検知信号S3がロータリエンコーダ55から入力処理回路50を介して制御装置5のCPU51に連続的に入力される。制御装置5のCPU51は、ロータリエンコーダ55から出力されるパルス状の便座回転検知信号S3の数をカウントすることにより、便座2の回転角度を認識できる。制御装置5のCPU51は、出力処理回路53およびモータ駆動回路40mを介して便座モータ40の回転を制御し、便座2を開閉させる。同様に、制御装置5のCPU51は、出力処理回路53およびモータ駆動回路45mを介して便蓋モータ45の回転を制御し、便蓋3を開閉させる。なお、駆動機構4は、モータ駆動回路40m、便座モータ40、モータ駆動回路45m、便蓋モータ45を含む。
【0026】
図1に示すように、ロータンク6が、便器100の後部100rの上側に配置されている。ロータンク6は便器100に流す洗浄水を溜めるタンクであり、水道管などの水源に繋がり、水源から給水される。ロータンク6は、閉鎖状態の便座2に着座する使用者の背中に対面するタンク表面60をもつ。コンパクト化を図りつつロータンク6の貯水量を増加させるため、ロータンク6のタンク表面60は、高さ方向に沿って立起状態とされていることが多い。ロータンク6の上面63は、立起開放状態の便座2の重心G1の高さよりも高い位置とされていることが多い(図2参照)。このような本実施形態によれば、立起開放状態に開放された便蓋3は、ロータンク6のタンク表面60に接近または接触するおそれがある。このように便座2または便蓋3を立起開放状態に開放させるとき、便座2の重心G1および便蓋3の重心が、回転軸を通過する仮想的な鉛直線WAよりもロータンク6側の安定領域に位置すれば、便座2または便蓋3は基本的には重力の影響で自然閉鎖されない。なお、便蓋3が立起開放状態に開放されるとき、便蓋3やタンク表面60等の損傷回避を考慮すると、便蓋3をロータンク6のタンク表面60に衝突させたり接触させたりさせない方が好ましい。この場合、便蓋3とタンク表面60との間には隙間ΔD(図2参照)が形成される。このため、便座2または便蓋3を立起開放状態に開放させるとき、便座2の重心Gは鉛直線WAよりも便器100の先端部100e側の安定領域に寄るおそれがある。この場合、便座2に作用する重力の影響で、立起開放状態の便座2は矢印Pd方向に自然に回転して閉鎖されてしまうおそれがある。
【0027】
更に実用上、便蓋3および/または便座2に、樹脂または布製のカバー7が被着される場合がある。図2は、便蓋3にカバー7が被着されている状態を模式的に示す。この場合、閉鎖状態の便座2を開放方向(矢印Pu方向)に回転させて立起開放状態に開放させるとき、カバー7の厚みの影響を受け、便座2の重心G1が鉛直線WAよりも便器100の先端部100e側の不安定領域に寄るおそれがある。図2はこの状態を誇張して示す。この場合、図2に示すように、便座2に作用する重力の影響で、便座2は開放終点付近に開放したにもかかわらず、便座2は閉鎖方向(矢印Pd方向)に自然に回転して閉鎖されてしまうおそれがあり、好ましくない。殊に、閉鎖状態の便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転して立起開放状態に開放されるとき、便座2のリバウンドの影響があると、便座2が重力の影響で矢印Pd方向に自然に回転して閉鎖されてしまうおそれがあり、好ましくない。
【0028】
そこで本実施形態によれば、便蓋3が立起開放状態に開放されている状態において、閉鎖状態の便座2が立起開放状態に開放されるとき、制御装置5は、駆動機構4の便座モータ40自体にブレーキを作用させるブレーキ制御を第1所定時間Δt1実行する。このように閉鎖状態の便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転して立起開放状態に開放されるとき、便座2のリバウンドの影響が低減される。このため、開放終点付近に開放された便座2または便蓋3が重力の影響で閉鎖方向(矢印Pd方向)に自然に回転して閉鎖されてしまうおそれが解消される。
【0029】
ここで、ブレーキ制御を行う本実施形態によれば、第1所定時間Δt1はブレーキをかけている時間であり、便座モータ40の種類、便座2、便蓋3のサイズ、更に、使用者が小用を済ませてから、便座2を閉鎖させる意思をもった使用者の手指が便座2に到達するまでの時間等を考慮し、適宜設定できるものであり、40〜3000ミリ秒、特に60〜3000ミリ秒、100〜500ミリ秒が例示される。但しこれらに限定されるものではない。なお、第1所定時間Δt1は、制御装置5に搭載されているメモリ54のエリアに固定値として格納されていて良いし、あるいは、使用者の好み、便器100の設置場所の事情、便器100等の事情等に応じてスイッチ59の操作により可変とする方式でも良い。
【0030】
本実施形態によれば、制御装置5は、第1所定時間Δt1経過後にはブレーキ制御を解除する。このため第1所定時間Δt1経過した後には、便座2または便蓋3は立起開放状態に維持されているものの、ブレーキ制御による拘束から解除されている。この結果、第1所定時間Δt1経過した後には、便座2は立起開放状態のままフリー状態とされている。従って、使用者が手指で便座2または便蓋3を閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転操作させれば、回転操作を容易に且つ円滑に実行でき、便座2を自由に且つ簡単に閉鎖できる。この点、従来技術とは異なる。
【0031】
上記した実施形態によれば、図2に示すように、立起開放状態の便蓋3の後方にロータンク6が配置されている場合、便蓋3や便座2にカバー7が被着される場合について例示しているが、これらは、立起開放状態の便座2を重力の影響で自然閉鎖させる代表的な場合である。従って、本実施形態は、立起開放状態の便蓋3の後方にロータンク6が配置されていない場合であっても、便蓋3や便座2にカバー7が被着されない場合であっても、同様に適用できるものである。
【0032】
(実施形態2)
図4は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用できる。本実施形態は便座モータ40としてDCモータを使用する。図4は便座モータ40を駆動させる駆動回路40mを示す。駆動回路40mは、電源に繋がる給電線401と、アースに繋がるアース線402と、給電線401とアース線402との間に配置されたHブリッジ制御回路403とを有する。Hブリッジ制御回路403は、互いに直列に配置された第1スイッチング素子411および第2スイッチング素子412と、互いに直列に配置された第3スイッチング素子413および第4スイッチング素子414とを有する。第1スイッチング素子411および第2スイッチング素子412の中間点と、第3スイッチング素子413および第4スイッチング素子414の中間点との間には便座モータ40(DCモータ)が接続されている。便座2を開放方向に回転させるときには、第1スイッチング素子411のベース411bおよび第4スイッチング素子414のベース414bにそれぞれ電圧を印加させて第1スイッチング素子411および第4スイッチング素子414を同時にターンオンさせる。これにより便座モータ40に正方向にモータ電流が流れ、便座モータ40により便座2は開放方向(図2の矢印Pu方向)へ回転する。この場合、第2スイッチング素子412および第3スイッチング素子413、更には第5スイッチング素子415はターンオフ状態に維持される。
【0033】
これに対して便座2を閉鎖方向に回転させるときには、第2スイッチング素子412のベース412bおよび第3スイッチング素子413のベース413bにそれぞれ電圧を印加させて第2スイッチング素子412および第3スイッチング素子413を同時にターンオンさせる。これにより便座モータ40に逆方向にモータ電流が流れ、便座モータ40により便座2は閉鎖方向(図2の矢印Pd方向)へ回転する。この場合、第1スイッチング素子411および第4スイッチング素子414、更には第5スイッチング素子415はターンオフ状態に維持される。
【0034】
ブレーキ制御を実行する場合には、制御装置5は、第1スイッチング素子411〜第4スイッチング素子414をターンオフ状態に維持させた状態において、第5スイッチング素子415のベース415bに電圧を印加させて第5スイッチング素子415をターンオンさせ、便座モータ40の端子をショート(短絡)させる。この結果、便座モータ10にブレーキ作用が得られる。
【0035】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば便座モータ40をショート(短絡)させてブレーキを作用させ得るため、便座2を立起開放状態に維持させることができる。スイッチング素子411,412,413,413はトランジスタ、FET等が例示される。なお、便蓋モータ45を駆動させる駆動回路45mについても、図3と同様の構成にできる。
【0036】
(実施形態3)
図5は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用できる。本実施形態においても、便蓋3が既に開放されており便座2が閉鎖されている状態において、使用者の操作により、または、使用者が便器に接近すると、便座2を開放させる制御が実行される。図5は制御装置5における信号波形を示す。図5の(A)は、制御装置5のCPU51から駆動回路40mを介して便座モータ40の駆動回路50mに入力されるショート信号(ブレーキ信号)を示す。図5の(B)は、制御装置5のCPU51が便座モータ40を回転駆動させるために出力するパルス状の便座開放指令信号S1を示す。図5の(C)は、便座モータ40により便座2が回転するときにおいてエンコーダ55から制御装置5に出力される便座回転検知信号S3を示す。
【0037】
制御装置5は、閉鎖状態の便座2を開放させるとき、閉鎖状態の便座2を開放方向(矢印Pu方向)に回転させて立起開放状態に開放させるために、パルス状の便座開放指令信号S1を間欠的に連続させて便座モータ40の駆動回路50mに出力する。これによりパルス状の便座開放指令信号S1の数に応じて、便座モータ40を開放方向(矢印Pu方向)に回転させる。結果として、閉鎖状態の便座2は次第に開放方向(矢印Pu方向)に回転され、便座2は立起開放状態(図2参照)となる。便座2の立起開放状態とは、便器100の上面100uに対面している閉鎖状態から、便座2を開放方向に回転させて開放終点または開放終点付近に到達している状態を意味する。この場合、ロータリエンコーダ55から出力された便座回転検知信号S3は、制御装置5のCPU51に受け取られるため、便座2が開放動作しているとき、便座2の開放角度は制御装置5のCPU51に認識される。
【0038】
ここで、便座2が立起開放状態に到達すると、便座2の回転は停止されるため、図5(C)に示すように、ロータリエンコーダ55により検知される便座回転検知信号S3の出力が停止される。すなわち、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3を制御装置5のCPU51が受け取ることが停止される。ここで、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止された停止時刻をtbとする。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過するまで、制御装置5のCPU51は、便座開放指令信号S1を駆動機構4の便座モータ40の駆動回路40mに出力する。これにより便座モータ40が回転し、便座2の開放動作が進行するため、便座2が立起開放状態の安定状態に維持され易くなる。そして、停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過した後において、即ち、第2所定時間Δt2経過した時刻tcにおいて、制御装置5は、便座開放指令信号S1の出力を停止すると共に、ブレーキ制御を開始するモータショート信号(ブレーキ信号)S5を便座モータ40の駆動回路40mに出力する。ここで、第2所定時間Δt2は、便座モータ40の種類、便座2および便蓋3のサイズ等に応じて適宜設定できるものであり、100〜1000ミリ秒、特に300〜600ミリ秒が例示される。但しこれらに限定されるものではない。なお、第2所定時間Δt2は、メモリ54のエリアに固定値として格納されていて良いし、あるいは、使用者の好みに応じてスイッチ59(図3参照)の操作により可変とする方式でも良い。
【0039】
本実施形態によれば、制御装置5は、便座モータ40のブレーキ制御を時刻tcから第1所定時間Δt1実行する。制御装置5は、ブレーキ制御の開始時刻tcから第1所定時間Δt1経過した時刻tdにおいて、ブレーキ制御を解除する。このため第1所定時間Δt1経過した後には、前述したように、便座2は便蓋3と共に立起開放状態に維持されているものの、ブレーキ制御による拘束から解除されている。このようにブレーキ制御が解除された便座2は、立起開放状態においてフリー状態とされている。このため、使用者が手指で、立起開放状態の便座2を閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転操作させれば、便座2の回転操作を容易且つ円滑に実行できる。ここで、もし便座モータ40のブレーキ制御が解除されていない場合には、便座モータ40にブレーキが作用しているため、立起開放状態の便座2を使用者が手指で閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転操作させようとすれば、従来技術に係る特許文献1の場合と同様に、重くて抵抗がある回転操作となる。しかし本実施形態によれば、便座モータ40のブレーキ制御は第1所定時間Δt1のみであり、第1所定時間Δt1経過後にはブレーキ制御が解除されているため、立起開放状態の便座2を使用者が手指で閉鎖方向(矢印Pd方向)に容易に回転操作させ得る。なお、第1所定時間Δt1はブレーキをかけている時間であり、便座モータ40の種類、便座2、便蓋3のサイズ、更に、使用者が小用を済ませてから、便座2を閉鎖させる意思をもった使用者の手指が便座2に到達するまでの時間等を考慮し、適宜設定できるものであり、40〜3000ミリ秒、特に60〜3000ミリ秒、100〜500ミリ秒が例示される。但しこれらに限定されるものではない。
【0040】
ところで便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転するとき、便座2の開放回転速度が速い場合には、便座2が開放終点に到達するとき、開放終点においてリバウンドが発生するおそれがある。この場合、リバウンドの影響で便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転してしまうおそれがある。この点について本実施形態によれば、閉鎖状態の便座2が開放終点に到達するとき、制御装置5はブレーキ制御を実行するため、便座2が開放終点において閉鎖方向(矢印Pd方向)に向けてリバウンドすることが確実に抑制される。この場合、便座2は立起開放状態に維持され易くなり、便座2が重力により閉鎖動作することが回避される。
【0041】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2が立起開放状態に解法されたとしても、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転するおそれがある。このような場合であっても本実施形態によれば、便座モータ40に第1所定時間Δt1ぶんブレーキを作用させるため、便座2を立起開放状態に維持させることができる。更に、第1所定時間Δt1経過すれば、便座モータ40のブレーキは解除されるため、立起開放状態の便座2を使用者の手指で簡単に閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転させることができる。
【0042】
(実施形態4)
図6は実施形態4を示す。実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用できる。図6は制御装置5のCPU51が実行するフローチャートを示す。図6に示すように、便蓋3が既に立起開放状態とされていとるき、閉鎖されている便座2を開放させる信号が使用者または図略のセンサ等から制御装置5に入力されているか否か判定する(ステップS102)。もし、便座2を開放させる信号が出力されていると(ステップS102のYES)、制御装置5は、便座モータ40を便座2の開放方向に駆動させ便座2を開放動作させる(ステップS104)。次に、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止された停止時刻tbから、パルス状の便座回転検知信号S3なし状態が第2所定時間Δt2経過しているか判定する(ステップS106)。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過していないとき(ステップS106のNO)、制御装置5のCPU51は、便座2の開放動作を継続させるべく、便座開放指令信号S1を駆動回路40mを介して便座モータ40に出力する(ステップS104)。これにより便座2の開放動作が進行するため、便座2が立起開放状態の安定領域に維持され易くなる。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過しているとき(ステップS106のYES)、制御装置5のCPU51は、便座2を開放させるための便座開放指令信号S1の出力を停止する(ステップS108)。更に制御装置5のCPU51は、便座モータ40(DCモータ)のブレーキ制御を開始するために、便座モータ40のショート信号(ブレーキ信号)を出力し(ステップS120)、便座モータ40の端子をショート(短絡)させる。これにより便座モータ40にはブレーキが作用する。便座モータ40のショート状態(ブレーキ状態)が第1所定時間Δt1経過しているか否か判定する(ステップS122)。便座モータ40のショート状態が第1所定時間Δt1経過していないとき(ステップS122のNO)、便座モータ40のショート状態(ブレーキ状態)を継続させる(ステップS110)。便座モータ40のショート状態が第1所定時間Δt1経過しているとき(ステップS112のYES)、便座モータ40のショート信号(プレーキ信号)を解除させ(ステップS124)、便座2の開放動作終了を示す信号を出力し(ステップS126)、メインルーチンにリターンする。
【0043】
ところで、前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば、便座モータ40に第1所定時間Δt1ぶんブレーキを作用させるため、便座2を立起開放状態に維持させることができる。更に、第1所定時間Δt1経過すれば、便座モータ40のブレーキは解除されるため、立起開放状態の便座2を使用者の手指で簡単に閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転させることができる。
【0044】
(実施形態5)
図7は実施形態5を示す。実施形態5は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用する。本実施形態によれば、閉鎖状態の便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転して立起開放状態に開放されるとき、便座2が立起開放状態に近づくと、便座2の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構4の便座モータ40に対して第1所定時間Δt1実行する。そして、第1所定時間Δt1経過後に減速制御を解除する。前述同様に、便座2の開放方向への回転を検知する回転検知部としてロータリエンコーダ55がケース1w内に設けられている。
【0045】
図7の(A)は、便座2を開放させるように制御装置5のCPU51が便座モータ40に出力するパルス状の便座開放信号S1を示す。図7の(B)は制御装置5のエンコーダ55が検出するパルス状の便座回転検知信号S3を示す。閉鎖状態の便座2を立起開放状態に開放させるにあたり、制御装置5のCPU51は、パルス状の便座開放信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに連続的に出力する。これにより便座モータ40が開放方向(矢印Pu方向)に回転し、閉鎖状態の便座2は次第に開放方向(矢印Pu方向)に回転され、立起開放状態となる。この場合、ロータリエンコーダ55から出力された便座回転検知信号S3は制御装置5のCPU51に入力されるため、便座2が開放しているとき、便座2の開放角度は制御装置5のCPU51に認識される。
【0046】
ここで、閉鎖状態の便座2が立起開放状態にまで開放されると、図7(B)に示すように、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止される。ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止された停止時刻をtbとすると、停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過するまで、制御装置5のCPU51は、便座モータ40を便座2の開放方向に回転させる便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに更に出力する。これにより便座2が一旦立起開放状態とされたとしても、便座2の開放動作が進行するため、便座2の重心Gが安定領域に移行し、便座2が立起開放状態に維持され易くなり、便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に転倒することが抑制される。そして、停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過した時刻tcにおいて、制御装置5は、便座モータ40を減速させる減速制御を第1所定時間Δt1実行する。そして、制御装置5は、第1所定時間Δt1経過した時刻teにおいて減速制御を解除する。このため時刻tcから第1所定時間Δt1経過した後には、前述したように、便座2は、便蓋3と共に立起開放状態に維持されているものの、減速制御による拘束から解除されている。この結果、時刻te以降においては、便座2は立起開放状態においてフリー状態とされている。このため、使用者が手指で便座2を閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転操作させれば、便座2の回転操作を容易且つ円滑に実行できる。便座2の減速制御を行う本実施形態によれば、第1所定時間Δt1は減速させている時間であり、便座モータ40の種類、便座2、便蓋3のサイズ等を考慮し、適宜設定できるものであり、40〜5000ミリ秒、特に60〜4000ミリ秒、100〜2000ミリ秒が例示される。但しこれらに限定されるものではない。なお、第1所定時間Δt1は、制御装置5に搭載されているメモリ54のエリアに固定値として格納されていて良いし、あるいは、使用者の好み、便器100の設置場所の事情、便器100等の事情等に応じてスイッチ59の操作により可変とする方式でも良い。
【0047】
ところで閉鎖状態の便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転するとき、便座2の開放回転速度が速いと、便座2が開放終点に到達するとき、リバウンドが発生するおそれがある。この場合、便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転し、便座2の重心が不開放安定領域に存在し、便座2が重力の影響で閉鎖方向(矢印Pd方向)に転倒してしまうおそれがある。
【0048】
この点について本実施形態によれば、便座2が開放終点に到達するとき、即ち時刻tcにおいて、制御装置5は減速制御を開始する。このため、便座2が閉鎖方向に向けて強くリバウンドすることが抑制される。この場合、便座2は立起開放状態の安定領域に維持され易くなる。図7(A)に示すように、減速制御では、便座モータ40の駆動回路40mに給電されるパルスのパルス幅Dは、デューティ制御により時間経過につれて次第に小さくなる。パルス幅Dは便座モータ40への給電量に相当するため、パルス幅Dが小さくなると、便座モータ40は減速され、便座2の開放速度が次第に低下する。結果として、開放方向に動作する便座2が、立起開放状態において、便座2が閉鎖方向に向けて強くリバウンドすることが抑制される。
【0049】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば、便座モータ40の回転速度を次第に減速させるため、便座2の開放終点におけるリバウントが抑制され、便材2を立起開放状態に維持させることができる。更に、第1所定時間Δt1経過すれば、便座モータ40の減速制御は解除されるため、立起開放状態の便座2を使用者の手指で簡単に閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転させることができる。
【0050】
(実施形態6)
図8は実施形態6を示す。本実施形態は図7に示す減速制御を実行する実施形態5と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用する。図8は制御装置5のCPU51が実行するフローチャートを示す。図8に示すように、閉鎖されている便座2を開放させる信号が使用者または図略のセンサ等から制御装置5に入力されているか否か判定する(ステップSB102)。この信号が使用者または図略のセンサから制御装置5に入力されている場合(ステップSB102のYES)、制御装置5ハ、便座モータ40の駆動回路40mに給電し、便座モータ40を便座2の開放方向に駆動させ便座2を開放動作させる(ステップSB104)。次に、制御装置5は、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止された停止時刻tbから、第2所定時間Δt2経過しているか判定する(ステップSB106)。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過していないとき(ステップSB106のNO)、制御装置5のCPU51は、便座2の開放動作を継続させるべく、便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに出力する(ステップSB104)。これにより便座2の開放動作が進行するため、便座2が立起開放状態に維持され易くなる。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過しているとき(ステップSB106のYES)、制御装置5のCPU51は、減速制御を開始するため、デューティ制御により便座開放信号S1のパルス幅Dを次第に減少させ、便座モータ40の出力を前回の出力よりも低下させる(ステップSB108)。このように便座モータ40へ給電されるパルス信号のパルス幅Dを次第に小さくさせる。これにより便座モータ40を減速させる。次に、便座モータ40へ給電されるパルス状の便座開放指令信号S1のパルス幅Dが0になり、設定出力が0になったか否かを判定する(ステップSB110)。便座モータ40へ給電されるパルス信号のパルス幅Dが0でなければ(ステップSB110のNO)、便座開放指令信号S1のパルス幅Dを更に低下させる(ステップSB108)。パルス信号のパルス幅Dが0になった場合(ステップSB110のYES)、便座2の開放動作終了を示す信号を出力し(ステップSB112)、メインルーチンにリターンする。
【0051】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば便座2を立起開放状態に維持させることができる。
【0052】
(実施形態7)
図9は実施形態7を示す。本実施形態は前記した実施形態6と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏する。本実施形態によれば、実施形態6の場合と同様に、閉鎖状態の便座2が開放方向(矢印Pu方向)に回転して立起開放状態に開放されるとき、便座2が立起開放状態に近づくと、図9に示すように、便座2の開放速度を次第に減速させる減速制御を便座モータ40に対して第1所定時間Δt1実行する。そして、制御装置5は、第1所定時間Δt1経過した時刻teから減速制御を解除する。加えて減速制御を解除させた後、制御装置5は、便座モータ40に対してショート信号(ブレーキ信号)を出力し、便座モータ40にブレーキをかけるブレーキ制御を第1所定時間Δt5実行する。第1所定時間Δt5経過した時刻tfにおいて、ブレーキ制御を解除させる。
【0053】
このような本実施形態によれば、便座2の立起開放状態において、便座2の開放速度を減速させる。更に減速させた後に、便座モータ40をショートさせて便座モータ40にブレーキをかけるブレーキ制御を実行する。このため開放動作する便座2が立起開放状態において閉鎖方向に向けて強くリバウンドすることが抑制される。この場合、便座2は立起開放状態に維持され易くなる。なお、Δt5=Δt1でも良いし、Δt5>Δt1でも良いし、Δt5<Δt1でも良い。
【0054】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば便座2を立起開放状態に維持させることができる。
【0055】
(実施形態8)
図10は実施形態8を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏する。図10(A)は、制御装置5のCPU51が便座モータ40に指令する便差開放指令信号S1を示す。図10(B)は、便座2が回転するときにおいて制御装置5のエンコーダ55が実際に検出する便座回転検知信号S3を示す。便座2を開放させるときには、制御装置5のCPU51は、閉鎖状態の便座2を立起開放状態にまで開放させるパルス状の便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに出力する。これにより便座モータ40が開放方向(矢印Pu方向)に回転し、閉鎖状態の便座2は次第に開放方向(矢印Pu方向)に回転され、立起開放状態となる。この場合、ロータリエンコーダ55から出力された便座回転検知信号S3は制御装置5のCPU51に入力されるため、便座2が開放しているとき、便座2の開放角度は制御装置5のCPU51に認識される。
【0056】
ここで、閉鎖状態の便座2が立起開放状態に開放されると、図10(B)に示すように、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止される。ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止された停止時刻をtbとする。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過する時刻tcまで、制御装置5のCPU51は、便座モータ40を便座2の開放方向に回転させる便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに更に出力する。これにより便座2が立起開放状態とされたとしても、便座2の開放動作が更に進行するため、便座2が立起開放状態の安定領域に移行し易くなり、便座2が立起開放状態に維持され易くなる。そして時刻tcにおいて、制御装置5は、便座モータ40を停止させる停止制御を実行する。
【0057】
しかしながら便座モータ40を時刻tcにおいて停止させたとしても、便座2が閉鎖方向に回転していることが検知されるときがある。この場合、エンコーダ55からの信号としてS7(図10(B))として検知される。この場合、何らかの事情により、開放されることが指令された便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転していることになる。事情とは、便座2または便蓋3のリバウンドの発生、エンコーダ55の誤検知、便器100を設置する設置面の水平不足等が挙げられる。
【0058】
この点について、本実施形態によれば、制御装置5は、便座モータ40の開放動作を停止させる停止指令信号を出力した後、便座2が閉鎖方向に回転していることが信号S7が検知されるときには、便座2を開放させるパルス状の便開放指令信号S10を便座モータ40の駆動回路40mに再び入力させる。これにより便座2を強制的に開放させて立起開放状態とさせる。
【0059】
前記したようにロータンク6が便器100の後部に配置されており、立起状態に開放された便蓋3はロータンク6のタンク表面60に接近または接触するとき、あるいは、便蓋3または便座2にカバー7が被着される場合には、ロータンク6およびカバー7等の影響を受けて、便座2は立起開放状態の正姿勢に必ずしも維持されないおそれがある。このような場合、便座2が開放終点付近まで開放回転したとしても、リバウンド等の影響で、便座2が開放終点付近から閉鎖方向に回転するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態によれば便座2を立起開放状態に維持させることができる。
【0060】
(実施形態9)
図11は実施形態9を示す。本実施形態は実施形態8と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏するため、図1〜図3を準用する。図11は制御装置5のCPU51が実行するフローチャートを示す。図11に示すように、閉鎖されている便座2を開放させる便座開放信号が使用者または図略のセンサから制御装置5に入力されているか否か判定する(ステップSC102)。便座開放信号が使用者または図略のセンサから制御装置5に入力されている場合(ステップSC102のYES)、便座モータ40の駆動回路40mに給電され、便座モータ40を便座2の開放方向に駆動させ便座2を開放動作させる(ステップSC104)。次に、便座2が開放状態にあるとき、便座回転検知信号S3のパルスなし状態が続き、第2所定時間Δt2経過しているか判定する(ステップSC106)。第2所定時間Δt2経過していないとき(ステップSC106のNO)、制御装置5のCPU51は、便座2の開放動作を継続させるべく、便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに出力する(ステップSC104)。これにより便座2の開放動作が進行するため、便座2が立起開放状態に維持され易くなる。第2所定時間Δt2経過しているとき(ステップSC106のYES)、制御装置5のCPU51は、便座開放指令信号S1をオフとさせる(ステップSC108)。
【0061】
次に、エンコーダ55からのパルス状の信号S7が検出されるか否か判定する(ステップSC110)。パルス状の信号S7が検出されることは、何らかの事情により、便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転していることに相当する。パルス状の信号S7が検出されないとき(ステップSC110のYES)、便座開放指令信号をオフとし(ステップSC112)、便座開放動作終了信号を出力する(ステップSC114)。パルス状の信号S7が検出されるとき(ステップSC110のNO)、便座2は閉鎖方向に動作している可能性が大きいため、便座開放指令信号をオンとし(ステップSC116)、ステップSC104に至る。
【0062】
(実施形態10)
図12は実施形態10を示す。本実施形態は図10に示す実施形態8と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏しており、図1〜図3を準用できる。本実施形態によれば、閉鎖状態の便座2が立起開放状態に開放される途中において、図12(C)に示すように、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3が出力される。そして、便座2が立起開放状態に開放されると、便座2の開放動作が基本的には停止されるため、図12(C)に示すように、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止される。ここで、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止された停止時刻をtbとする。
【0063】
図12(B)に示すように、停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過する時刻tcまで、制御装置5のCPU51は、便座モータ40を便座2の開放方向に回転させる便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに更に出力する。これにより便座2が立起開放状態とされたとしても、便座モータ40の開放動作が更に進行するため、便座2の重心Gが立起開放状態の安定領域に移行し易くなる。そして時刻tcにおいて、制御装置5は、便座モータ40を停止させる停止制御を実行する。
【0064】
しかしながら時刻tcにおいて便座モータ40を停止させた後においても、便座2が閉鎖方向に回転していることが検知されるときがある。この場合、エンコーダ55からの便座回転検知信号S7(図12(C)参照)として検知される。この場合、何らかの事情により、一旦開放された便座2が閉鎖方向(矢印Pd方向)に回転していることに相当する。この点について本実施形態によれば、便座モータ40の開放動作を停止させる停止指令信号を出力した後において、便座2が閉鎖方向に回転している便座回転検知信号S7が検知されるときには、制御装置5は、便座2を強制的に開放させる便座開放指令信号S10を便座モータ40の駆動回路40mに再び入力させる。これにより閉鎖方向に動作していた便座2を強制的に開放させて立起開放状態とさせる。その後、時刻teにおいて便座2の強制開放を解除すると共に、便座モータ40にショート信号S5を入力させて便座モータ40にブレーキを第1所定時間Δt5作用させる。第1所定時間Δt5が経過すれば、ブレーキは解除される。
【0065】
(実施形態11)
図13は実施形態11を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏しており、図1〜図3を準用できる。本実施形態によれば、閉鎖状態の便座2が立起開放状態に開放される途中において、図13(C)に示すように、ロータリエンコーダ55からパルス状の便座開放検知信号S3が連続的に出力される。そして便座2が立起開放状態の開放終点に開放されると、便座2の開放動作が基本的には停止されるため、図13(C)に示すように、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止される。ここで、ロータリエンコーダ55からの便座開放検知信号S3の出力が停止された停止時刻をtbとする。
【0066】
本実施形態によれば、図13(B)に示すように、便座開放検知信号S3の出力が停止されたとしても、停止時刻tbから第2所定時間Δt2(例えば100〜1000ミリ秒、400〜600ミリ秒)経過する時刻tcまで、制御装置5のCPU51は、便座モータ40を便座2の開放方向に回転させる便座開放指令信号S1を便座モータ40の駆動回路40mに更に出力する。これにより便座2が立起開放状態とされたとしても、便座モータ40の開放動作が更に進行するため、便座2の重心Gが立起開放状態の安定領域に移行し易くなる。そして時刻tcにおいて制御装置5は便座モータ40を停止させる。
【0067】
しかしながら時刻tcにおいて便座モータ40を停止させるとしても、リバンド等の影響で便座2が閉鎖方向に微少量回転することがある。この現象は、エンコーダ55からの便座回転検知信号S7(図13(C)参照)として検知される。この点について本実施形態によれば、便座2がリバウンドし、便座2が閉鎖方向に回転している便座回転検知信号S7が検知されるときには、制御装置5は、便座回転検知信号S7が検知される時刻tcから、便座モータ40にショート信号S5を入力させて便座モータ40にブレーキを第1所定時間Δt5作用させて便座2の動作を停止させる。この場合、便座回転検知信号S7の検知が終了する時刻をtk(リバウンドが終了する時刻)とする。時刻tkから更に第5所定時間Δt7が経過する時刻tdにおいて、便座モータ40のブレーキは解除される。このように便座回転検知信号S7の検知が終了する時刻tk(即ち、便座2のリバウンドが終了する時刻)から更に第5所定時間Δt7が経過するまで、便座モータ40のブレーキは維持され、その後、ブレーキは解除される。このため便座2のリバウンドは確実に抑えられる。ここで、ブレーキは便座2のリバンドを停止させる機能をもつため、便座2のリバウンドが収まれば、ブレーキが解除されても、便座2が閉鎖方向に動作することは抑えられている。なお、便座回転検知信号S7が継続的に検出される場合において、便座モータ40をショートさせて便座モータ40にブレーキを作用させる時間Δt5は400〜1000ミリ秒にできる。
【0068】
(実施形態12)
図14は実施形態12を示す。本実施形態は前記した図13に示す実施形態11と基本的には同様の構成、同様の作用効果を奏しており、図1〜図3を準用できる。図14は制御装置5のCPU51が実行するフローチャートを示す。図14に示すように、閉鎖されている便座2を開放させる信号が使用者または図略のセンサ等から制御装置5に入力されているか否か判定する(ステップSD102)。もし、便座2を開放させる信号が出力されていると(ステップSD102のYES)、制御装置5は、便座モータ40を便座2の開放方向に駆動させ、便座2を開放動作させる(ステップSD104)。次に、ロータリエンコーダ55からの便座回転検知信号S3の出力が停止された停止時刻tbから、パルス状の便座回転検知信号S3なし状態が第2所定時間Δt2経過しているか判定する(ステップSD106)。停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過していないとき(ステップSD106のNO)、制御装置5のCPU51は、便座2の開放動作を継続させるべく、便座開放指令信号S1を駆動回路40mを介して便座モータ40に出力する(ステップSD104)。これにより便座2の開放動作が進行するため、便座2が立起開放状態の安定領域に維持され易くなる。
【0069】
停止時刻tbから第2所定時間Δt2経過しているとき(ステップSD106のYES)、制御装置5のCPU51は、便座2を開放させるための便座開放指令信号S1の出力を停止(OFF)する(ステップSD108)。更に制御装置5のCPU51は、便座モータ40(DCモータ)のブレーキ制御を開始するために、便座モータ40のショート信号(ブレーキ信号)を出力し(ステップSD110)、便座モータ40の端子をショート(短絡)させ、これにより便座モータ40にブレーキを作用させる。便座モータ40のショート状態(ブレーキ状態)が第1所定時間Δt5経過しているか否か判定する(ステップS122)。便座モータ40のショート状態が第1所定時間Δt5経過しているとき(ステップS112のYES)、便座ショート信号をOFFにしてブレーキを解除させ(ステップSD122)、便座開放動作を終了させる(ステップSD122)。
【0070】
これに対してステップSD112において、便座モータ40のショート状態が第1所定時間Δt5経過していないとき(ステップS112のNO)、便座2が立起開放状態であるとき、便座回転信号S7(便座2が閉じる方向に動作していることに相当)を検知したか否かを判定する(ステップSD114)。便座回転信号S7が検知されていれば(ステップSD114のYES)、検知フラグをセットする(ステップSD116)と共に、便座モータ40にブレーキを継続して作用させる(ステップSD110)。ステップSD114において、便座回転信号S7が検知されていなければ(ステップSD114のNO)、検知フラグがセットされているか否か判定する(ステップSD118)。検知フラグがセットされていれば(ステップSD118のYES)、所定時間Δt7待機する(ステップSD124)。その後、便座ショート信号をOFFにして^便座モータ40のブレーキを解除させ(ステップSD122)、便座開放動作を終了させる(ステップSD126)。検知フラグがセットされているか否か判定する(ステップSD118)。検知フラグがセットされていなければ(ステップSD118のNO)、時刻tcから所定時間Δt5待機した後、便座ショート信号をOFFにしてブレーキを解除させる(ステップSD122)。
【0071】
本実施形態においても、便座2の開放後の閉鎖動作を示す便座回転検知信号S7(便座2のリバウンドに相当)が検知された場合には、便座回転検知信号S7の検知が終了(便座2のリバウンドの終了に相当)してから第5所定時間Δt7(図13参照)が経過した後、便座モータ40のブレーキは解除される。このように便座2のリバウンドの終了が確実となるまで便座モータ40のブレーキは維持される。その後、便座モータ40のブレーキは解除される。このため本実施形態によれば、便座2の開放時において便座2のリバウンドが発生したとしても、便座2のリバウンドは便座モータ40のブレーキにより確実に抑えられる。
【0072】
(適用形態)
図15は適用形態の一例を示す。図15に示すように、ロータンク6が便器100の後部の取付部に配置されている。ロータンク6は、閉鎖状態の便座2に着座する使用者の背中に対面可能なタンク表面60をもつ。コンパクト化を図りつつ、ロータンク6に貯水できる水量を増加させるため、タンク表面60を寝かせるためには限界がある。このため、ロータンク6のタンク表面60はほぼ鉛直方向に沿っている。この場合、閉鎖されている便蓋3と共に便座2が開放する場合、立起開放状態に開放された便座2がロータンク6のタンク表面60に近づき難くなり、何らかの事情(便座2または便蓋3にカバーが被着されること、建築物の経年変化等の影響で便器100を設置する設置面200の水平度が低下していること等の事情)により、便座2は重力の影響で自然に閉鎖回転されるおそれがある。このような場合に、本発明は有効である。
【0073】
(その他)上記した実施形態によれば、便座2の開放方向および閉鎖方向への回転を検知する回転検知部としてロータリエンコーダ55がケース1w内に設けられている。ロータリエンコーダ55に限らず、便座2の開放方向および閉鎖方向への回転を検知する他のセンサを設けることにしても良い。ロータリエンコーダ55は光式に限らず、磁気式でも良い。便座便蓋自動開閉装置1は、局部洗浄機能を有するものでも良いし、有しないものでも良い。便座便蓋自動開閉装置1は、暖房便座機能を有するものでも良いし、有しないものでも良い。ロータンク6は便器100の後部に取り付けられるが、便器100から離間するタイプでも良い。便座モータ40はDCモータを採用し、DCモータの端子間をショート(短絡)させることによりブレーキをかけることにしているが、これに限らず、交流モータでも良い。必要に応じて、ブレーキパッド、ディスクブレーキ等のブレーキ要素を装備させることにしても良い。便蓋3が立起開放状態に開放されるとき、便蓋3をロータンク6のタンク表面60に接触させる構造でも良い。
【0074】
上記した実施形態では、便蓋3が開放されており且つ便座2が閉鎖されている場合において、便座2を開放させる場合の制御について説明しているが、これに限らず、便蓋3および便座2が閉鎖されている場合において、便蓋3を開放させる場合の制御について同様に適用できる。更に、便蓋3および便座2が閉鎖されている場合において、便蓋3および便座2を同時に開放させる場合の制御について同様に適用できる。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
【0075】
(付記項1)便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便座と、便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋と、便座または便蓋を開閉させる駆動機構と、便座または便蓋が便器に対して立起される状態に開放させ、便座または便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に指令信号を出力する制御装置とを具備することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【0076】
(付記項2)便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便座と、便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋と、便座または便蓋を開閉させる駆動機構と、便座または便蓋が便器に対して立起される状態に開放させ、便座または便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に指令信号を出力する制御装置とを具備しており、制御装置は、前記便座または便蓋が立起開放状態に開放されるとき駆動機構(モータを含む)にブレーキを作用させるブレーキ制御、または、立起開放状態に近づくにつれて便座または前記便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を駆動機構に対して実行することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。この場合、便座または便蓋のリバンドが抑制され、便座または便蓋が立起開放状態から重力により閉鎖することが抑制される。
【0077】
(付記項3)付記項2において、前記制御装置は、前記駆動機構に対して前記減速制御を実施した後にブレーキ制御を実施することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。ブレーキ制御は所定時間かけ、その後解除しても良いし、継続的にかけても良い。
【0078】
(付記項4)便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便座と、便器に開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋と、便座または便蓋を開閉させる駆動機構と、便座または便蓋が便器に対して立起される状態に開放させ、便座または便蓋を立起開放状態とさせるように駆動機構に指令信号を出力する制御装置とを具備しており、制御装置は、便座または便蓋を開放させる開放指令信号を出力した後、便座または便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知されるとき、便座または便蓋を開放させる開放指令信号を駆動機構に再び出力させ、便座または便蓋を強制開放させることを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。この場合、開放されている便座または便蓋が重力により閉鎖方向に動作することが抑制される。強制開放後に、便座または便蓋に対してブレーキ制御することが好ましい。ブレーキ制御は所定時間かけ、その後解除しても良いし、継続的にかけても良い。
【符号の説明】
【0079】
1は便座便蓋自動開閉装置、2は便座、3は便蓋、4は駆動機構、40は便座モータ、40mは駆動回路、45は便蓋モータ、45mは駆動回路、5は制御装置、51はCPU、55はロータリエンコーダ(回転検知部)、6はロータンク、60はタンク表面、7はカバーを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便座と、
前記便器に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋と、
前記便座または前記便蓋を開閉させる駆動機構と、
前記便座または前記便蓋が便器に対して立起される状態に開放させ、前記便座または前記便蓋を立起開放状態とさせるように前記駆動機構に開放指令信号を出力する制御装置とを具備しており、
前記制御装置は、
前記便座または前記便蓋が立起開放状態に開放されるとき前記駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、前記立起開放状態に近づくにつれて前記便座または前記便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を前記駆動機構に対して第1所定時間実行し、
前記便座または前記便蓋が前記立起開放状態にされているとき前記第1所定時間経過後に前記ブレーキ制御または前記減速制御を解除することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項2】
請求項1において、前記便座または前記便蓋の開放方向への回転を検知する回転検知部が設けられており、
前記制御装置は、前記便座または前記便蓋を前記立起開放状態に開放させる開放指令信号を前記駆動機構に出力すると共に、前記便座または前記便蓋の開放方向への回転を検知した前記回転検知部からの開放検知信号を受け取り、且つ、
前記制御装置は、前記便座または前記便蓋が前記立起開放状態に開放して前記回転検知部からの前記開放検知信号の受け取りが停止されるとき、前記停止から第2所定時間経過するまで、前記便座または前記便蓋を開放させる開放指令信号を前記駆動機構に更に出力し、前記第2所定時間経過した後、前記開放指令信号の出力を停止すると共に、前記ブレーキ制御または前記減速制御を開始する指令を前記駆動機構に出力することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記減速制御は、前記便座または前記便蓋の前記立起開放状態において、前記駆動機構のモータに給電するデューティ比を次第に低下させることにより行われることを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記制御装置は、前記駆動機構に対して前記減速制御を実施した後に前記ブレーキ制御を実施することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちの一項において、前記制御装置は、前記便座または前記便蓋を開放させる開放指令信号を出力した後、前記便座または前記便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知されるとき、前記便座または前記便蓋を開放させる前記開放指令信号を前記駆動機構に再び入力させることを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項6】
請求項1または2において、前記便座に着座する使用者の背中に対面するタンク表面をもつロータンクが、前記便器の後部に配置されており、前記立起開放状態に開放された前記便蓋は前記ロータンクの前記タンク表面に接近または接触し、前記便蓋または前記便座はカバーを被着可能とされていることを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項1】
便器に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便座と、
前記便器に対して開放および閉鎖可能に取り付けられる便蓋と、
前記便座または前記便蓋を開閉させる駆動機構と、
前記便座または前記便蓋が便器に対して立起される状態に開放させ、前記便座または前記便蓋を立起開放状態とさせるように前記駆動機構に開放指令信号を出力する制御装置とを具備しており、
前記制御装置は、
前記便座または前記便蓋が立起開放状態に開放されるとき前記駆動機構にブレーキを作用させるブレーキ制御、あるいは、前記立起開放状態に近づくにつれて前記便座または前記便蓋の開放速度を次第に減速させる減速制御を前記駆動機構に対して第1所定時間実行し、
前記便座または前記便蓋が前記立起開放状態にされているとき前記第1所定時間経過後に前記ブレーキ制御または前記減速制御を解除することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項2】
請求項1において、前記便座または前記便蓋の開放方向への回転を検知する回転検知部が設けられており、
前記制御装置は、前記便座または前記便蓋を前記立起開放状態に開放させる開放指令信号を前記駆動機構に出力すると共に、前記便座または前記便蓋の開放方向への回転を検知した前記回転検知部からの開放検知信号を受け取り、且つ、
前記制御装置は、前記便座または前記便蓋が前記立起開放状態に開放して前記回転検知部からの前記開放検知信号の受け取りが停止されるとき、前記停止から第2所定時間経過するまで、前記便座または前記便蓋を開放させる開放指令信号を前記駆動機構に更に出力し、前記第2所定時間経過した後、前記開放指令信号の出力を停止すると共に、前記ブレーキ制御または前記減速制御を開始する指令を前記駆動機構に出力することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記減速制御は、前記便座または前記便蓋の前記立起開放状態において、前記駆動機構のモータに給電するデューティ比を次第に低下させることにより行われることを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記制御装置は、前記駆動機構に対して前記減速制御を実施した後に前記ブレーキ制御を実施することを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちの一項において、前記制御装置は、前記便座または前記便蓋を開放させる開放指令信号を出力した後、前記便座または前記便蓋が閉鎖方向に回転していることが検知されるとき、前記便座または前記便蓋を開放させる前記開放指令信号を前記駆動機構に再び入力させることを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【請求項6】
請求項1または2において、前記便座に着座する使用者の背中に対面するタンク表面をもつロータンクが、前記便器の後部に配置されており、前記立起開放状態に開放された前記便蓋は前記ロータンクの前記タンク表面に接近または接触し、前記便蓋または前記便座はカバーを被着可能とされていることを特徴とする便座便蓋自動開閉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−45272(P2012−45272A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191965(P2010−191965)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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