説明

保冷剤格納バッグ及びそれを有する保冷バッグ

【課題】 保冷剤を長期間にわたって保冷能力を保持したまま保管することができる保冷剤格納バッグ提供する。
【解決手段】 底面120及び蓋体130と、断熱層(図示省略)が設けられた周壁110と、前記底面120の上に載置される断熱層を有する下側内蓋150と、この下側内蓋150の上に格納した保冷剤500の上に載置される断熱層を有する上側内蓋140とを備えている。底部120の上に載置された下側内蓋150の上に横にした状態で積層されて格納された保冷剤500の最上部と、前記蓋体130との間には上側内蓋140が載置されるだけのスペースが確保されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷剤を格納する保冷剤格納バッグと、この保冷剤格納バッグを有する保冷バッグとに関する。
【背景技術】
【0002】
保冷バッグは、生鮮食料品の屋外での保管や輸送等で多種のものが用いられている。その一つとして、特開平11−79261号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この保冷バッグは、バック内部の温度調整を容易にし、またバッグ本体内を冷蔵又は冷凍室と保冷室とに分けられるようにしたものである。
【0003】
【特許文献1】特開平11−79261号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年のアウトドアブームの隆盛により、1週間程度の長期間の屋外生活を楽しむ人々も増えてきている。
従来の通常の保冷バッグでは、1〜1.5日程度で保冷剤が使用不能になってしまうため、生鮮食料品の長期間の保管が困難であり、長期間の屋外生活では保管の容易なレトルト食品やインスタント食品を食せざるをえないことが多い。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、保冷剤を長期間にわたって保冷能力を保持したまま保管することができる保冷剤格納バッグと、より保冷剤の保冷能力を保持したまま保管することができ、温度の異なる2つの収納スペースを持った保冷バッグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る保冷剤格納バッグは、底面及び蓋体と、断熱層が設けられた周壁と、前記底面の上に載置される断熱層を有する下側内蓋と、この下側内蓋の上に格納した保冷剤の上に載置される断熱層を有する上側内蓋とを備えている。
【0007】
前記保冷剤格納バッグであって、内側の各部の寸法は、格納すべき保冷剤の外寸法に対応して設定されており、前記底面の上に載置した下側内蓋の上に積層又は並べて格納された複数の保冷剤の最上部と、前記蓋体との間には上側内蓋が載置されるだけのスペースが確保されている。
【0008】
本発明に係る他の保冷剤格納バッグは、断熱層が設けられた周壁、底面及び蓋体と、格納した保冷剤の上に載置される断熱層を有する上側内蓋とを備えている。
【0009】
前記保冷剤格納バッグであって、内側の各部の寸法は、格納すべき保冷剤の外寸法に対応して設定されており、積層又は並べて格納された複数の保冷剤の最上部と、前記蓋体との間には上側内蓋が載置されるだけのスペースが確保されている。
【0010】
前記保冷剤格納バッグと、この保冷剤格納バッグを収納しても収納スペースが余る断熱性を有する外側バッグとを備えている。
【0011】
前記保冷バッグであって、外側バッグと保冷剤格納バッグとの間には、外側バッグに収納された保冷剤格納バッグを固定する固定手段が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る保冷剤格納バッグは、底面及び蓋体と、断熱層が設けられた周壁と、前記底面の上に載置される断熱層を有する下側内蓋と、この下側内蓋の上に格納した保冷剤の上に載置される断熱層を有する上側内蓋とを備えているので、下側内蓋及び上側内蓋がない場合より長期間にわたって保冷能力を保持したまま保管できる。
【0013】
また、本発明に係る保冷剤格納バッグは、内側の各部の寸法は、格納すべき保冷剤の外寸法に対応して設定されており、前記底面の上に載置した下側内蓋の上に積層又は並べて格納された複数の保冷剤の最上部と、前記蓋体との間には上側内蓋が載置されるだけのスペースが確保されているので、格納可能最大個数の保冷剤を格納したとしても、最上部の保冷剤に確実に上側内蓋を載置することができる。
【0014】
また、本発明に係る他の保冷剤格納バッグは、断熱層が設けられた周壁、底面及び蓋体と、格納した保冷剤の上に載置される断熱層を有する上側内蓋とを備えているので、上側内蓋がない場合より長期間にわたって保冷能力を保持したまま保管できる。
【0015】
また、本発明に係る保冷剤格納バッグは、内側の各部の寸法は、格納すべき保冷剤の外寸法に対応して設定されており、積層又は並べて格納された複数の保冷剤の最上部と、前記蓋体との間には上側内蓋が載置されるだけのスペースが確保されているので、格納可能最大個数の保冷剤を格納したとしても、最上部の保冷剤に確実に上側内蓋を載置することができる。
【0016】
一方、本発明に係る保冷バッグは、前記保冷剤格納バッグと、この保冷剤格納バッグを収納しても収納スペースが余る断熱性を有する外側バッグとを有しているので、保冷剤格納バッグ単体の場合より、保冷剤をより長期間にわたって保冷能力を保持したまま保管できるようにすることができる。
【0017】
また、この保冷バッグは、外側バッグと保冷剤格納バッグとの間に、外側バッグに収納された保冷剤格納バッグを固定する固定手段が設けられているので、保冷剤格納バッグは移動しないから、外側バッグの余った収納スペースに潰れやすいもの、例えば、卵やケース、果物等を収納しても、保冷剤格納バッグによって潰されるおそれを格段に少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る保冷剤格納バッグの概略的一部破断分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る保冷剤格納バッグに保冷剤を横に積層して格納した状態を示す概略的断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る保冷剤格納バッグに保冷剤を縦にして横に並べて格納した状態を示す概略的断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る保冷バッグの概略的断面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施の形態に係る保冷剤格納バッグ100は、図1や図2に示すように、底面120及び蓋体130と、断熱層(図示省略)が設けられた周壁110と、前記底面120の上に載置される断熱層を有する下側内蓋150と、この下側内蓋150の上に格納した保冷剤500の上に載置される断熱層を有する上側内蓋140とを備えている。
【0020】
まず、この保冷剤格納バッグ100に格納される保冷剤500は、例えば、幅寸法×奥行き寸法×厚さ寸法が、16.4cm×25.5cm×2.5cmの薄い直方体状に形成されている。この保冷剤500は、外殻はポリエチレンで、内部に植物性の天然高分子材が充填されている。なお、この種の保冷剤500としては、出願人の商品である『氷点下パック』(登録商標)等がある。
【0021】
かかる保冷剤500が格納される保冷剤格納バッグ100は、外形が略直方体状であって、4つの周壁110と、この周壁110を底でつなぐ底面120と、前記周壁110の1つに連結され、他の3つの周壁110とはスライドファスナー(図示省略)で開閉可能に連結される蓋体130とを有している。前記周壁110の内部には例えば、アルミニウムシートやポリスチレン等からなる断熱層が形成されている。なお、この保冷剤格納バッグ100には持ち運びのための着脱可能な肩掛けベルト(図示省略)を有している。
【0022】
かかる保冷剤格納バッグ100には、上側内蓋140及び下側内蓋150が別途設けられている。このうち、下側内蓋150は底面120の上に載置されるものであって、前記保冷剤500の幅寸法×奥行き寸法とほぼ同一の寸法に設定されている。この下側内蓋150には、アルミニウムシートやポリスチレン等からなる断熱層が設けられている。
【0023】
また、前記上側内蓋140は、格納した保冷剤500の上に載置されるものであって、前記保冷剤500の幅寸法×奥行き寸法とほぼ同一の寸法に設定されている。この上側内蓋140には、アルミニウムシートやポリスチレン等からなる断熱層が設けられている。
【0024】
すなわち、保冷剤格納バッグ100に格納された保冷剤500は、上側内蓋140と下側内蓋150とでサンドイッチのように挟み込まれるのである。
【0025】
また、この保冷剤格納バッグ100の内側の幅寸法及び奥行き寸法は、格納すべき保冷剤500の幅寸法、奥行き寸法に対応して設定されている。例えば、保冷剤500を横に積層して格納するタイプの場合の保冷剤格納バッグ100の深さ寸法は、保冷剤500の厚さ寸法×格納できる保冷剤500の数+上側内蓋140+下側内蓋150の厚さ寸法となっている。
すなわち、上述した保冷剤500を最大10個格納する保冷剤格納バッグ100であり、かつ上側内蓋140、下側内蓋150の厚さ寸法がそれぞれ3.0cmである場合には、この保冷剤格納バッグ100の深さ寸法は、2.5cm×10+3.0cm+3.0cm=31.0cmとなるのである。
すなわち、下側内蓋150の上に積層されて格納された複数(10個)の保冷剤500の最上部と、前記蓋体130との間には上側内蓋140が載置されるだけのスペース(3.0cm)が確保されていることになる。
【0026】
かかる保冷剤格納バッグ100であると、10個に満たない保冷剤500を格納しても、最上部に位置する保冷剤500と蓋体130との間には必ず内蓋140が存在するため、格納した保冷剤500を内蓋140がない場合より長期間にわたって保冷剤500の保冷能力を保持したまま保管できる。しかも、下側内蓋150が最下部に位置する保冷剤500の下に存在するため、より確実に長期間にわたって保冷剤500の保冷能力を保持したまま保管できる。
【0027】
上述した保冷剤格納バッグ100では、保冷剤500を横にして積層して格納するタイプを挙げたが、図3に示すように、あたかも本を本箱に並べるように、保冷剤500を縦にして横方向に並べるようにして格納するタイプも考えられる。
【0028】
かかるタイプの場合は、保冷剤500を最大格納個数だけ格納した場合には横方向にはスペースは余らないが、最大格納個数より少ない個数の保冷剤500を格納した場合には、横側にスペースが余る。この場合には、余ったスペースに内蓋140と同様のものを詰めるとよい。
【0029】
また、この余ったスペースを冷凍室として機能させる場合には、格納した保冷剤500が不用意に動かないようにするため、例えばブックエンド状のストッパを設けることが望ましい。また、ブックエンド状のストッパのような別体部品を用いるのではなく、保冷剤格納バッグ100の内側に保冷剤500の厚さ寸法に応じた凹凸を設けておき、この凹凸で保冷剤500を動かないように固定するという手法もある。
【0030】
また、この保冷剤格納バッグ100は、一般的なソフト型の保冷バッグにあるようなスライドファスナーでの蓋体130の開け閉めするようなものとしたが、他の手段、例えば、一般的なハード型の保冷バッグにあるようなロック片により開け閉めされるような構造にしてもよい。さらに、食品保管用容器にみられるような凹溝及びそれに挿入される凸脈であってもよい。
【0031】
本発明の第2の実施の形態に係る保冷剤格納バッグ(図示省略)は、上述した第1の実施の形態に係る保冷剤格納バッグ100のような独立した下側内蓋150が存在しない。しかし、底面120にアルミニウムシートやポリスチレン等からなる断熱層が設けられていたり、下側内蓋150に相当するものが、底面120の上に積層固定されていたりする。
【0032】
上述した保冷剤格納バッグ100を有する保冷バッグ300は、図4に示すように、前記保冷剤格納バッグ100と、この保冷剤格納バッグ100を収納しても収納スペース250が余る断熱性を有する外側バッグ200とを有している。
【0033】
この保冷バッグ300は、保冷剤500をより長期間にわたって保冷能力を保持したまま保管できるようにするという第1の機能と、保冷剤格納バッグ100をより低温の保管室(例えば、冷凍室)として使用するとともに、保冷剤格納バッグ100の内部より低温ではない保管室(例えば、冷蔵室)として使用するという第2の機能とを合わせ持ったものである。
【0034】
前記外側バッグ200も、保冷剤格納バッグ100と同様に、外形が略直方体状であって、4つの周壁210と、この周壁210を底でつなぐ底面220と、前記周壁210の1つに連結され、他の3つの周壁210とはスライドファスナー(図示省略)で開閉可能に連結される蓋体230とを有している。前記周壁210、底面220及び蓋体230には、例えば、アルミニウムシートやポリスチレン等からなる断熱層が設けられている。なお、この外側バッグ200には持ち運びのための着脱可能な肩掛けベルト(図示省略)を有している。
【0035】
ただし、この外側バッグ200の内部の収納スペース250は、保冷剤格納バッグ100より大きく設定されていなければならない。すなわち、収納スペース250に保冷剤格納バッグ250を収納しても、収納スペース250が余るようになっているのである。この余った収納スペース250は、保冷剤格納バッグ100の内部より低温ではない保管室(例えば、冷蔵室)として使用されるのである。
【0036】
この外側バッグ200の収納スペース250に保冷剤格納バッグ100と保冷剤500とを収納すると、保冷剤格納バッグ100の内部はより低温になる。このため、前記第1の機能、すなわち保冷剤格納バッグ100単体の場合より、保冷剤500をより長期間にわたって保冷能力を保持したまま保管できるようにするという機能を発揮させることができるのである。
【0037】
また、保冷剤格納バッグ100に格納可能な保冷剤500の個数より少ない個数の保冷剤500を格納している場合、例えば、最大10個の保冷剤500を格納可能な保冷剤格納バッグ100で格納する保冷剤500が9個以下であると、スペースが余るため、この余ったスペースを冷凍室として使用するのである。すなわち、保冷剤格納バッグ100をより低温の保管室(例えば、冷凍室)として使用するとともに、保冷剤格納バッグ100の内部より低温ではない保管室(例えば、冷蔵室)として使用するという第2の機能を発揮させることができるのである。
【0038】
すなわち、この保冷バッグ300であると、保冷剤格納バッグ100の内部と、外側バッグ200の内部という温度の異なった2つの収納スペースを確保することができるのである。
【0039】
また、この保冷バッグ300を構成する外側バッグ200と保冷剤格納バッグ100との間には、外側バッグ200に収納された保冷剤格納バッグ100を固定する固定手段400が設けられている。
この固定手段400としては、例えば、面ファスナーがある。面ファスナーの一方を保冷剤格納バッグ100の周壁110の外側に取り付け、面ファスナーの他方を外側バッグ200の、周壁210の内側に取り付けておき、両者を連結すると、保冷剤格納バッグ100は外側バッグ200の内部で固定される。
【0040】
このように、保冷剤格納バッグ100が外側バッグ200の内部で固定されると、保冷剤格納バッグ100は動かないから、外側バッグの余った収納スペース250に潰れやすいもの、例えば、卵やケース、果物等を収納しても、保冷剤格納バッグ100によって潰されるおそれを格段に少なくすることができる。
【0041】
前記固定手段400としては、面ファスナーの他に磁石とこれに吸着される磁性体も考えられる。保冷剤格納バッグ100に磁石を、外側バッグ200に鉄板等の磁性体を内蔵させるのである。また、保冷剤格納バッグ100の外面に固定手段として吸盤を設けることも考えられる。
【0042】
なお、前記外側バッグ200の周壁210や底面部220、蓋体230の外側面には、衝撃吸収のための低反発性クッション材等を設けておくとよい。
【符号の説明】
【0043】
100 保冷剤格納バッグ
110 周壁
120 底面
130 蓋体
140 内蓋
200 外側バッグ
300 保冷バッグ
500 保冷剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面及び蓋体と、断熱層が設けられた周壁と、前記底面の上に載置される断熱層を有する下側内蓋と、この下側内蓋の上に格納した保冷剤の上に載置される断熱層を有する上側内蓋とを具備したことを特徴とする保冷剤格納バッグ。
【請求項2】
請求項1記載の保冷剤格納バッグにおいて、内側の各部の寸法は、格納すべき保冷剤の外寸法に対応して設定されており、前記底面の上に載置した下側内蓋の上に積層又は並べて格納された複数の保冷剤の最上部と、前記蓋体との間には上側内蓋が載置されるだけのスペースが確保されていることを特徴とする保冷剤格納バッグ。
【請求項3】
断熱層が設けられた周壁、底面及び蓋体と、格納した保冷剤の上に載置される断熱層を有する上側内蓋とを具備したことを特徴とする保冷剤格納バッグ。
【請求項4】
請求項1記載の保冷剤格納バッグにおいて、内側の各部の寸法は、格納すべき保冷剤の外寸法に対応して設定されており、積層又は並べて格納された複数の保冷剤の最上部と、前記蓋体との間には上側内蓋が載置されるだけのスペースが確保されていることを特徴とする保冷剤格納バッグ。
【請求項5】
請求項1乃至4記載のいずれかの保冷剤格納バッグと、この保冷剤格納バッグを収納しても収納スペースが余る断熱性を有する外側バッグとを具備していることを特徴とする保冷バッグ。
【請求項6】
請求項5記載の保冷バッグにおいて、外側バッグと保冷剤格納バッグとの間には、外側バッグに収納された保冷剤格納バッグを固定する固定手段が設けられていることを特徴とする保冷バッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−57226(P2011−57226A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205541(P2009−205541)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(391036404)株式会社ロゴスコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】