説明

保持体

【課題】 テーパ状の複数の被保持物がまとめて保持された状態において、各被保持物の商品としての展示性を向上させることができるとともに、簡易かつ安定して各被保持物を保持する。
【解決手段】 カートン7は、カップ容器2のうち外径寸法が底面4より大きい頂面3を被覆する主壁10と、主壁9に対向するように配置し、各カップ容器2の周面5を保持する保持壁10と、主壁9および保持壁10を接続する第1接続壁12、第2接続壁18、第3接続壁19とを有し、保持壁10に、保持される各カップ容器2の数と同数であって、各カップ容器2における周面5に嵌合する大きさの保持用開口16を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカートンにより被保持物を保持してなる保持体に係り、特に、頂面および底面の外径寸法が異なるテーパ状の複数の被保持物と、各被保持物をまとめて保持するカートンとを有する保持体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品のカップ容器等として、頂面、底面、および前記頂面と前記底面とを接続する円筒状の周面を有し、頂面の外径寸法が底面の外径寸法よりも長いテーパ状の容器が多用されている。そして、このようなテーパ形状の容器としての複数の被保持物を保管してまとめて運搬するために、これら複数の被保持物を一体に保持するカートンが知られている。
【0003】
このようなカートンは、例えば複数の被保持物の頂面を被覆する頂壁と、頂壁の両側辺に折曲可能に連設され、各被保持物の周面を被覆する一対の側壁と、両側壁の一側辺に折曲可能に連設され、各被保持物の底面を被覆する底壁とを有し、このカートンの両端部には、開口が形成されて筒状に構成されるようになっている。また、カートン内部に収容された各被保持物の周面を外部から見えるようにするために、両側壁における各被保持物の周面に対向する位置に、それぞれ視認用開口が形成されたカートンも考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、前述のようなカートンによれば、両側壁に視認用開口を形成しても、カートンの外部からは被保持物の周面のうち視認用開口から露出された狭い領域しか視認することができない。このため、前記カートンに各被保持物を収容した包装体を店頭に陳列した場合であっても、被保持物の周面全体を視認することができず、商品としての展示性が悪くなってしまうという問題を有していた。
【0005】
また、筒状または箱状のカートンの内部にテーパ状の被保持物を保持する場合、各被保持物の周面は傾斜しているため、カートンの内部において各被保持物を整列配置させても、各被保持物の下端部分における各被保持物間に空隙が生じてしまい各被保持物の底部は固定されないこととなる。このため、前記各被保持物をカートンの内部において安定して収容するためには、各被保持物の底部を支持するための支持部材等を設けなければならなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平8−217137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、テーパ状の複数の被保持物がまとめて保持された状態において、各被保持物の商品としての展示性を向上させることができるとともに、簡易かつ安定して各被保持物を保持することができる保持体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る保持体の特徴は、頂面、底面、および前記頂面と前記底面とを接続する周面を有し、前記頂面の外径寸法と前記底面の外径寸法とが異なるテーパ状の複数の被保持物と、前記各被保持物を保持するカートンとを有する保持体において、前記カートンは、前記頂面および前記底面のうち前記外径寸法が大きいいずれか一方を被覆する主壁と、前記主壁に対向するように配置され、前記各被保持物の周面を保持する保持壁と、前記主壁および前記保持壁を接続する接続壁とを有し、前記保持壁に、保持される前記各被保持物の数と同数であって、前記各被保持物における前記周面に嵌合する大きさの保持用開口を設けた点にある。
【0009】
この本発明に記載の保持体によれば、各被保持物はテーパ形状であり、各カップ容器における各保持用開口に嵌合している周面の外径寸法よりも、前記周面の主壁側の外径寸法の方が大きい。このため、各保持用開口と各被保持物の周面とを嵌合させることにより、保持壁に保持された各被保持物を、保持体から抜け落ちることなく一体に保持することができる。そして、各被保持物を保持する保持壁を、さらに各接続壁を介して主壁により支持することができる。
【0010】
さらに、各被保持物の周面を保持することにより、各被保持物の周面の一部分をカートンから露出させながら、各被保持物をまとめて保持することができる。
【0011】
また、本発明において、前記保持壁は、各被保持物の周面における前記主壁に被覆されている面に近接する部分を保持することが好ましい。
【0012】
これにより、さらに各被保持物の周面における広い範囲をカートンから露出させながら、各被保持物を保持することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、本発明に係る保持体によれば、各被保持物を、保持壁および主壁によって2重に保持して保持することができ、さらに各保持物は各保持用開口に嵌合され、カートンから抜け落ちないように保持されているので、各被保持物を安定して保持することができる。
【0014】
また、前記カートンの保持壁は、各被保持物の周面を保持するようになっており、各保持物の一部分はカートンから露出されるようになっているので、保持体を店頭等に陳列させた場合であっても、各被保持物の一部分の周面全体を視認することができ、各被保持物の商品としての展示性を向上させることができる。さらに、保持壁によって各被保持物の周面における主壁に被覆されている面に近接する部分を保持することにより、各被保持物をカートンからより露出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る保持体の一実施形態を図1から図3を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る保持体を示す斜視図、図2は、図1の保持体のカートンを構成するカートンブランクを示す平面図、図3は、図1のA−Aにおける断面図である。
【0017】
図1に示すように、保持体1は、被保持物として複数のカップ容器2を、図22に示すようなカートンブランク8により保持されている。各カップ容器2は、円形状の頂面3および底面4と、頂面3および底面4を接続する円筒状の周面5とを有し、頂面3の外径寸法が底面4の外径寸法よりも長いテーパ状に形成されている。ここで、本実施形態の保持体1は、3つのカップ容器2を、1個のカップ容器2が配置された第1列と、第1列に隣位して2個のカップ容器2が並列配置された第2列との合計2列によって、平面形状が略三角形状となるように整列配置させて収容するものとする。
【0018】
図2に示すように、保持体1のカートン7を構成するカートンブランク8は、一例として厚紙により形成されているが、プラスチックシートその他の材料により形成することも可能である。このカートンブランク8は、各カップ容器2のうち外径寸法が底面4よりも大きい頂面3を被覆する程度の大きさの略三角形状の主壁9を有している。
【0019】
また、このカートンブランク8は、カートン7の完成時において主壁9と対向するように位置し各カップ容器2の周面5を保持するための保持壁10を有しており、保持壁10は、主壁9と同一形状の三角形状に形成されている。
【0020】
主壁9における1辺には、長方形状の第1接続壁12の一端辺が折曲線13を介して連設され、第1接続壁12の他端辺は、保持壁10の一端辺に折曲線14を介して連設されており、これにより主壁9と保持壁10とは第1接続壁12によって接続されている。第1接続壁12は、主壁9と保持壁10とを対向して位置させたときの主壁9と保持壁10との間隙寸法に対応した幅寸法に形成されている。
【0021】
保持壁10には、各カップ容器2の周面5における上端部を保持するため、各カップ容器2の数と同数(本実施形態においては3つ)の円形状の保持用開口16が設けられており、各保持用開口16は、図3に示すように、各カップ容器2における周面5の所定位置において嵌合する大きさに形成されている。
【0022】
詳しくは、各保持用開口16は、保持壁10における各カップ容器2の配置位置に相当する位置に、保持壁10が配置される高さ位置における各カップ容器2の周面5の大きさとほぼ同一の大きさになるように形成されている。すなわち、各保持用開口16の直径寸法は頂面3の直径寸法と比較して短くなるように形成されている。
【0023】
保持壁10における他の2辺には、長方形状の第2接続壁18および第3接続壁19の一端辺が折曲線20,21を介して連設されており、第2接続壁18および第3接続壁19は、第1接続壁12の幅寸法と同一の幅寸法に形成されている。第2接続壁18および第3接続壁19の他端辺には、折曲線23,24を介して長方形状の折り込み片25が連設されている。
【0024】
主壁9における他の2辺には、主壁9と保持壁10とを接続するための係止手段として突出タブ27が折曲線26を介して前記2辺から突出して形成されている。
【0025】
各突出タブ27は、カートン7の内部において所定位置に配置される各カップ容器2の間隙に相当する位置に形成されており、本実施形態においては、前記2辺の中央部に形成されている。
【0026】
第2接続壁18と折り込み片25との間、および第3接続壁19と折り込み片25との間には、カートンブランク8の各折曲線13,14,20,21を折曲してカートン7を形成したとき主壁9の突出タブ27と対向する位置に、係止手段としてのタブ挿入孔28が切断線29により形成されている。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0028】
まず、カートンブランク8の状態において、各カップ容器2の底部を保持壁10の各保持用開口16にカートンブランク8の内面から挿入した後、各保持用開口16と各カップ容器2の周面5とが嵌合する位置まで各カップ容器2を挿入する。
【0029】
次に、各折曲線13,14を山折りに折曲して、主壁9と保持壁10とを対向するように位置させることにより、主壁9によって各カップ容器2の頂面3を被覆するとともに、折曲線20,21を山折りに折曲して、各突出タブ27と各タブ挿入孔28とを対向するように位置させる。
【0030】
さらに、各折り込み片25の外面が主壁9の内面に接するように折曲線23,24を山折りに折曲するとともに、折曲線26を山折りに折曲して各突出タブ27を各タブ挿入孔28に挿入して、各突出タブ27を各タブ挿入孔28に係止させる。
【0031】
これにより、カートン7によって各カップ容器2をまとめて保持する保持体1を形成することができる。
【0032】
本実施形態によれば、各カップ容器2はテーパ形状であり、各カップ容器2における各保持用開口16に嵌合している周面5の外径寸法よりも、前記周面5の主壁9側の外径寸法の方が大きい。このため、各保持用開口16と各カップ容器2の周面5とを嵌合させることにより、保持壁10に保持された各カップ容器2が、保持体1から抜け落ちることはない。そして、各カップ容器2を保持する保持壁10を、さらに各接続壁12,18,19を介して主壁9により支持することができる。
【0033】
また、各カップ容器2の周面5における上端部を保持することにより、各カップ容器2の周面5の下端部分をカートン7から露出させながら、各カップ容器2をまとめて保持することができる。
【0034】
したがって、各カップ容器2を、保持壁10および主壁9によって2重に保持して保持することができ、さらに各カップ容器2は各保持用開口16に嵌合され、カートン7から抜け落ちないように保持されているので、各カップ容器2を安定して保持することができる。
【0035】
また、カップ容器2の下端部分をカートン7から露出させながら複数のカップ容器2をまとめて保持することができるので、保持体1を店頭等に陳列させた場合であっても、各カップ容器2の周面5における広い範囲を視認することができ、各カップ容器2の商品としての展示性を向上させることができる。
【0036】
さらに、各カップ容器2の周面5全体を被覆するカートンと比較して、カートン7の材料を省略することができ、カートン7の製造コストの低廉化を図ることができる。
【0037】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0038】
例えば、本実施形態においては、突出タブ27をタブ挿入孔28に係止させることにより第2接続壁18および第3接続壁19を主壁9に接続するようにしているが、これに限定されず、他の係止手段を用いたり、あるいは接着剤により接着してもよい。
【0039】
また、第2接続壁18および第3接続壁19を一対の接続片により構成し、一対の接続片のうち一方の一端辺を主壁9に、他方の一端辺を保持壁10に連設して、各接続片の他端辺を係止したり、あるいは接着剤を用いて接続するものであってもよい。
【0040】
さらに、本実施形態においては、円筒状の周面5を有する3つのカップ容器2を保持する場合を用いて説明したが、これに限定されず、頂面3と底面4との外径寸法が異なるテーパ状の被保持物であれば、三角錐、四角錐形状であってもよく、また保持する被保持物の数も本実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る保持体の一実施形態を示す斜視図
【図2】図1の保持体のカートンを構成するカートンブランクを示す平面図
【図3】図1のA−Aにおける断面図
【符号の説明】
【0042】
1 保持体
2 カップ容器
3 頂面
4 底面
5 周面
7 カートン
8 カートンブランク
9 主壁
10 保持壁
12 第1接続壁
16 保持用開口
18 第2接続壁
19 第3接続壁
25 折り込み片
27 突出タブ
28 タブ挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂面、底面、および前記頂面と前記底面とを接続する周面を有し、前記頂面の外径寸法と前記底面の外径寸法とが異なるテーパ状の複数の被保持物と、前記各被保持物を保持するカートンとを有する保持体において、
前記カートンは、前記頂面および前記底面のうち前記外径寸法が大きいいずれか一方を被覆する主壁と、
前記主壁に対向するように配置され、前記各被保持物の周面を保持する保持壁と、
前記主壁および前記保持壁を接続する接続壁とを有し、
前記保持壁に、保持される前記各被保持物の数と同数であって、前記各被保持物における前記周面に嵌合する大きさの保持用開口を設けることを特徴とする保持体。
【請求項2】
前記保持壁は、各被保持物の周面における前記主壁に被覆されている面に近接する部分を保持することを特徴とする請求項1に記載の保持体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−327646(P2006−327646A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155379(P2005−155379)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(590000732)ザ ミード コーポレーション (1)
【氏名又は名称原語表記】THE MEAD CORPORATION
【Fターム(参考)】