説明

保持具と容器

【課題】重みで容器が傾斜して中身がこぼれないようにすること、また容器そのものが作業周部の構造物に衝突して落下しないこと、さらに容器の保持具への着脱が容易であり片手で行えること。
【解決手段】内容物の重量による保持具1の、使用者の腰部への食い込みを想定して、基盤部6にブラケット部10を設け、係止部7を傾斜板9に配置して解決し、容器2自体の脱落にはストッパー13を設け容器保持をより確実なものとしていることを特徴としている。着脱の容易さは機能要素を集中した配置で解決、刷毛塗り容器には開口部を長円形状として解決し、容器の収納、展示などには、壁面に設ける固定保持具で解決している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は塗装作業、野外での農作物の採取作業、また工場内での組立作業等において、塗装作業においては塗料容器、採取では穀物容器、組み立てなどにおいては、部品容器として使用が見込まれるものであり、腰のベルトに装着した保持具に係止する、コの字形取っ手を2本有した容器と、それを係止する保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、塗装作業に用いる塗料容器としては、円筒状容器に弓形取っ手を一つ有した容器がある、これは刷毛塗りに適している。理由はいくつかあるが、一つは攪拌に適していることがあげられる、円筒状容器の内曲面が刷毛の塗料乗せに適しているからでもある。もう一つはローラ塗りに使用される開口部が長方形の筒状容器である。これにコの字形取っ手2本を有したものである。それらの容器を係止して作業する係止具は先行技術としてあるかも知れないが私の調査では発見していない。ただ特許文献1に記載されたものがある。この携帯できる塗料容器は刷毛塗り作業に使用されるものである。保持具はベルトに装着されたカラビナにぶら下げ使用するものである。弓形取っ手は容器に起伏自在に設けられているから、安定感に欠く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2007−307536
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第一の課題は塗料作業、農作物採取作業、工場内での組み立て作業等において腰ベルトに保持具を装着し、それに容器を係止して作業を行うことが出来る幅広い使用を想定しているが、以後の説明においては、ローラー塗り用の容器を例にして述べることとする。容器内の塗料の重量とベルトの緩みなどで保持具下端は使用者の装着部(身体)に食い込み、容器は傾いて塗料がこぼれることが想定される。このことから、容器取っ手の、構造を重視した形の創出と、容器をなるべく水平に保つことができる保持具とすることが第一の課題である。
【0006】
第二の課題は塗装作業では作業移動時に、保持具に係止した容器が作業周部の構造物に衝突し、保持具から容器そのものが落下する恐れがある、これを防止することが第二の課題である。
【0007】
第三なる課題は容器の保持具への着脱が容易である事と、ローラー塗り塗装作業などでは片方の手は、ローラー刷毛を所持しているため着脱を片手で行える様にすることである。
【0008】
第四の課題は塗装工事の刷毛塗りにも適した容器を提供することである。
【0009】
第五は積極的な課題として、容器の保管、展示などにも展開することが出来る固定保持具を設けることを課題とする。加えて各要素において生産コストも考慮することも課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の課題の使用時においての、容器内の内容物の重量で保持具下端が使用者の装着部(身体)に食い込み、容器が傾斜するのを防ぐために、垂直にベルト挿入孔を設けた板状基盤にブラケット部を介した傾斜板を設け、この傾斜板に容器本体を係止する係止部を設け、なおかつ傾斜板下部は係止された容器の側面まで伸びて当接して容器を保持する部分を設ける。コの字形取っ手を2本有する容器においては、使用時つまり把手部を合わせ持ったとき、取っ手と容器の側面軸部との間に剛構造体を形成している、これをより確かなものとするために2本のコの字形取っ手の当接部を垂直面とした。
【0011】
第二の課題の容器の確実な装着には基盤上部にストッパーを設ける。ストッパーは90度回転するだけで開閉でき、位置決めのための凹部凸部を基盤部上部とストッパー底面にそれぞれ設ける。
【0012】
第三の課題の着脱の容易さは片手で出来ることが条件である、塗装作業などでは片方の手はローラー刷毛、あるいは刷毛を持っているためである。把手部を持ったままの作業状態と同じ姿勢で係止できる係止部を設ける。係止部は、取っ手支持部上端を係止する係止溝を有し、把手部端部を係止する切り欠きを設け、この係止部上端の切り欠きの左右を、係止溝と平行に切り落とした形状とする。
【0013】
第四の課題の保持が出来る刷毛塗り塗装に必要な要素を持つ容器には、長円形状筒状容器にコの字形取っ手2本を設ける。
【0014】
第5の課題を保持具とは別に固定保持具を設ける。固定保持具は壁面に取り付けて係止溝を形成し、把手部を係止する切り欠きとからなり、係止部前面上下にビス穴を設ける。なお係止溝の左右に広がる傾斜角度は係止する2本の取っ手支持部上端の広がり角度と同じとする。
【発明の効果】
【0015】
第一の発明による容器の使用時の傾斜を防ぐために垂直にベルト孔を有する基盤部にブラケット部10を介して傾斜板を設け、傾斜板上部に係止部を設けることで、容器内が空であれば容器は跳ね上げられた状態であるが、当然のこととして内容物の量を最大8割として、水平に保つことが出来る角度を設ければ効果を生む。加えて傾斜板下部を容器側面に当接する長さを有することは、さらに容器の跳ね上げ状態を維持する保持部となる効果を持つ。容器については2本のコの字形取っ手同士の当接面を垂直にすることは言い換えれば摩擦面が多くなるということで、剛構造にずれが生じにくく成るから、より容器は安定した状態となる効果がある。
【0016】
第2の発明による基盤上部にストッパーを設けることによる効果は、切り欠きに挿入した把手部端部を上部より抑えるような形であるから、決して容器が抜け落ちることはない。位置決めも90度を回すだけであるから黙視状態で開閉操作が出来る。
【0017】
第三の発明の着脱の容易さは容器取っ手の把手部中央あたりを持って、コの字形取っ手の曲節部を係止部に乗せるような形で係止するだけである。容器内の内容物が重いと、取っ手を握ったまま、つまり把手部当接面を開かずに係止しようとすると、重くて無理が生じる、そのために本発明は切り欠き部左右を、取っ手支持部の下方へのひろがり角度と同じ角度で切り落としてある。それにより着脱の動作として、片手で把手部2本を滑らす形で把手部を押し広げた後、前方に突き出せば楽にはずすことが出来る。ことを試作テストで結果を得ている。装着はその逆を行えばよい。
【0018】
第4の発明による長円形状容器とした事で、コの字形取っ手を設けることができ、刷毛塗りに必要な容器内曲面を得ることが出来る。
【0019】
第5の発明の固定保持具は第1発明の係止部の要素だけを壁面に設けたもので、壁面に数多く配置すれば効率的なスペースを確保できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】使用時斜視図である
【図2】容器斜視図である
【図3】保持具本体斜視図である
【図4】保持具断面図であり、取っ手係止状態と容器側面リブとの当接部を表した図である
【図5】取っ手把手部断面と支持部と容器側面リブの略収まり断面図である
【図6】容器側面の軸部斜視図である
【図7】ストッパー部と取っ手係止状態の斜視図である(ストッパーは180度上下に回転した軸部を表している)
【図8】固定保持具斜視図である
【図9】長円形状容器斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の保持具本体1(図3)と容器本体2(図2)、について、まず容器本体2について説明すると容器本体2は上げ底を有する略長方角形状筒状の容器で開口部は底板平面(図示せず)よりやや大きい開口部を有し、開口周部外側にリブ25を設けている。そのリブ25の短辺側左右にコの字形取っ手5の軸部を保持する軸保持部20が(図6参照)、リブ25より突出する形で下方へもはみ出す形で設けられている。軸保持部20の下側面より軸18、フランジ19を装着する軸装着溝23を設けており、溝入り口においては軸側のみ軸18の直径よりわずかに小さい幅となっており溝上部は半円形で閉じられている。
【0022】
容器に装着するコの字形取っ手5は同形のものを2本(図5を参照)設けることで成り立ち、使用時(把手部を握り込んだとき)把手部16の断面はコの字形としているから当接面積が最大となる、把手部両端は90度曲節して下方へ広がる形で取っ手支持部17を設けており、その端部はそれぞれC型断面を終息するかたちで幅も狭くなりながら容器側面と平行な板状となり円盤形で閉じられている。この端部より容器側に軸18、フランジ19が設けられている。以上のごとく容器本体2は容器部とコの字形取っ手5(×2点)で構成されている。
【0023】
保持具本体1(図1、図3、図4)の大きく分けた構成要素は、上下方に板状の基盤部6に側面を貫通する形で側面上側にベルト挿入孔8が設けられ、基盤6下方外側(使用者26の)にブラケット部10を介して、(このブラケット部は基盤6と傾斜板9が強度を持って一体成型されれば中空ともなる)傾斜板9が設けられ、傾斜板9の上部に係止部7が設けら、下方に長くのびて容器を保持する保持部(図番示せず)を設け、基盤6上面にストッパー13を設けた構成となっている。
【0024】
基盤部6の上部にはストッパー13図7参照のストッパー軸とフランジ14を装着するストッパー装着溝15を、基盤部6の内側より設け、装着仕様は取っ手5の軸装着溝23と同じである。ストッパー軸装着溝15の軸中心を基点とした円周部に位置決め凹部21を2箇所90度間に設ける。次に傾斜板9について説明する、その基盤部6の板面下方外側中心に、長3角形板状のブラケット部10を設け、それを介して傾斜板9が、基盤部6の上部より下方に平行に設けられ途中より先端に向かってほそくなり、容器本体2の側面リブ24に当接して一辺を残す形で設けている。
【0025】
係止部7(図1,3,4,7)は傾斜板9の上部に設けられる。係止部7は係止溝11と切り欠き12が設けられており、係止溝11の溝断面は角形で大きさはコの字形取っ手5の取っ手支持部を迎え入れることができ、下方に広がる角度は、コの字形取っ手5の下方への広がり角度はと同一であるを設ける。切り欠き12は把手部と嵌合できる大きさである。さらに係止溝11、切り欠き12を設けた係止部上部左右両端は係止溝11の角度と同じくカットされた形状を設ける。
【0026】
ストッパー13は略長四角立方体であり、外側角部は指に優しくR面を有し、底面は把手部端部上面と当接する面と基盤6の上面と当接する折面底を有する、底面にストッパー軸とフランジ14を設け、基盤部6上部に設けたストッパー溝15と嵌合する形で設ける。
【0027】
図8にある長円形状容器ついて説明をする。この容器は前記記載の容器本体2の、コの字形取っ手5を2本設けることが出来るように開口部形状を長円形とし、2本の直線部を得てそこにコの字形取っ手5を設ける。各部の仕様は容器本体2と同じである。
【0028】
固定保持具29を図9で説明する。固定保持具29は保持具本体1の係止部7の係止溝11と切り欠き12を有した、固定保持具29である。上記二つの要素は容器本体2を迎え入れる嵌合性を有し、前面より上下にビス孔27を設ける。正面よりの形状は切り欠き12を有せば、円形、三角形、形は自由である。
【実施例】
【0029】
本発明の保持具1と容器本体2の実施例を説明するとベルトを除いて保持具本体1と容器本体2は樹脂成型で製作されることが望ましい、部品数は容器本体2側は容器とコの字形取っ手5で2点、保持具本体1は基盤部と一体化した係止部7とストッパーの2点である、コの字形取っ手は2本であるから合計5点ということになる。しかしながら金属で作ることも出来る。(図示せず)鉄板切抜き加工、プレス加工した各部材を溶接加工、ビス接続等はをすれば保持具はでき、容器本体も当然出来る。
【0030】
使用時は容器本体2の図5参照軸装着溝23にコの字形取っ手5の軸18とフランジ19を装着する、このとき軸部直径は軸装着溝23の軸溝側のみ大きくしてあるから、加圧して4箇所を挿入する。保持具はベルト3をベルト孔8に挿入し腰に装着する。ストッパー13を解除した状態で塗料が入った容器本体2を係止部7に上部より乗せる形で係止する、この時把手部16を手のひら上でひろげた状態で行うと、容器を高く持ち上げる必要はなく、その状態で切り欠き上部を前方より手前にまたぐ形でもってきて、把手部を握りこみ落とせば係止される。内容物が重たく容器が傾斜するときは、手を添える形で持ち上げなければならない。移動時はストッパーを閉じる。
以上の動作は慣れれば片手で黙視の状態で行うことが出来る。
【0031】
固定保持具29の数を増やせば、収納場所として棚の代用として可能であり(図示せず)積極的には商店などの展示などにも展開することが出来る。この時大切なのは容器本体2と固定保持具29は嵌合性を要さなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の利用可能性は課題に記述したように腰に容器を携帯してする作業などにとどまらず、容器の収納時においても、また在庫管理、積極的には商品展示などにも利用する事ができる。
【符号の説明】
【0033】
1.保持具本体
2.容器本体
3.ベルト
4.長円形状容器
5.コの字形取っ手
6.基盤部
7.係止部
8べルト挿入孔
9.傾斜板
10.ブラケット部
11.係止溝
12.切り欠き
13.ストッパー
14.ストッパー軸とフランジ
15.ストッパー軸装着溝
16.把手部
17.取っ手支持部
18.軸
19.フランジ
20.軸保持部
21.位置止め凹部
22.位置止め凸部
23.軸装着溝
24.容器側面リブ
25.リブ(各容器に共通)
26.使用者
27.取り付け孔
28.取り付けビス
29.固定保持具
30.壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コの字形取っ手を2本を有する長方形筒状容器の保持具において、ベルト孔を有する基盤上部にストッパーを設け、下方にブラケット部を介して傾斜板を設け、この傾斜板上部に、係止溝、切り欠きを有した、係止部左右両端をカットした係止部を設け、傾斜板下方端部が係止される容器の側面に当接して保持する長さを有するこれらを特徴とする保持具
【請求項2】
請求項1に係止されるコの字形取っ手を2本有する長方形状筒状の容器において、コの字形取っ手2本の当接面が垂直になるように把手部をコの字形断面としたことを特徴とする容器
【請求項3】
請求項1記載の保持具に係止する容器において、請求項1の保持具と嵌合するよう取っ手を設けており、開口部を長円形状としたことを特徴とする筒状容器
【請求項4】
コの字形取っ手を2本有する容器を壁に係止する固定保持具において請求項1記載の係止部を傾斜板に変わって壁に取り付けて、係止溝を形成する固定保持具であって正面より上下にビス孔を設けたことを特徴とする固定保持具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−246020(P2012−246020A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119818(P2011−119818)
【出願日】平成23年5月28日(2011.5.28)
【出願人】(592188287)
【Fターム(参考)】