保温板およびその設置方法
【課題】型枠を支持する端太材の設置を省くとともに、コンクリートの硬化後には補強材を必要としない保温板およびその設置方法を提供することである。
【解決手段】保温板1は、発泡樹脂製の保温板本体2の前面または後面のうちの少なくとも一面に嵌合用スリット3が形成され、該嵌合用スリット3に補強材4が取外自在に設置されたことである。
【解決手段】保温板1は、発泡樹脂製の保温板本体2の前面または後面のうちの少なくとも一面に嵌合用スリット3が形成され、該嵌合用スリット3に補強材4が取外自在に設置されたことである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は鉄筋コンクリート造の躯体の内側などに張って使用するか、あるいは型枠の堰板に使用する保温板およびその設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造の躯体の内側に張る保温板としては、図17の(1)に示すようなものが使用されている。これは発泡樹脂製の保温板40の一面に硬質合成樹脂製の補強材41が一体的に設置されたものであり、これを同図の(2)に示すように、型枠42の堰板に使用して縦横の端太材43、44で支持している。また、その他の保温板としては、例えば特公平7−6244号公報の発明が知られている。
【特許文献1】特公平7−6244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の保温板には硬質合成樹脂製の補強材が一体に設置されているが、型枠の堰板に使用するときにも縦横の端太材で支持する必要がある他、コンクリートが硬化して型枠を解体した後にも補強材が保温板と一体になっているため非経済的であった。
【0004】
本願発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、型枠を支持する端太材の設置を省くとともに、コンクリートの硬化後には補強材を必要としない保温板およびその設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するための保温板は、発泡樹脂製の保温板本体の前面または後面のうちの少なくとも一面に嵌合用スリットが形成され、該嵌合用スリットに補強材が取外自在に設置されたことを特徴とする。また補強材は金属製であることを含む。また保温板本体が厚さ40mm以上で、熱抵抗値1.18m2K/W以上を有し、かつ曲げ強さ35N/cm2以上の発泡プラスチック断熱材ボードであり、この発泡プラスチック断熱材ボードに、断面二次モーメントが2cm4以上を有する断面コ字形の補強材を230mm以下の間隔で少なくとも一方向に配置したことを含む。また嵌合用スリットは縦側嵌合用スリットと横側嵌合用スリットとが交差して設けられたことを含むものである。
また保温板の設置方法は、発泡樹脂製の保温板本体の前面または後面のうちの少なくとも一面に嵌合用スリットが形成され、該嵌合用スリットに補強材が取外自在に設置された保温板を堰板とした型枠を形成し、該堰板としての保温板を端太材で支持した後、該端太材で支持された型枠内にコンクリートを打設し、該コンクリートが硬化した後に端太材を撤去して保温板における補強材を嵌合用スリットから取り外すことを特徴とする。また補強材は金属製であることを含む。また保温板本体が厚さ40mm以上で、熱抵抗値1.18m2K/W以上を有し、かつ曲げ強さ35N/cm2以上の発泡プラスチック断熱材ボードであり、この発泡プラスチック断熱材ボードに、断面二次モーメントが2cm4以上を有する断面コ字形の補強材を230mm以下の間隔で少なくとも一方向に配置したことを含む。また嵌合用スリットは縦側嵌合用スリットと横側嵌合用スリットとが交差して設けられたことを含むものである。
【発明の効果】
【0006】
保温板を型枠の堰板として使用するときに、補強材を嵌合用スリットに嵌め込んでおくと、堰板を支持する縦横いずれかの端太材の設置を省くことができる。またコンクリートが硬化して型枠を解体した後には、補強材を嵌合用スリットから引き抜いて他に転用することができる。また保温板の嵌合用スリットに使用用途に応じた形状の補強材を設置することができる。また断面二次モーメントが2cm4以上を有する補強材を取り付けた保温板の強度は3mmたわみで、たわみ荷重が約70kg以上でかつ曲げ弾性率が約150MP以上である。また断面二次モーメントが2cm4以上を有する補強材を取り付けた保温板を堰板として使用した型枠は、水平方向の外端太の縦方向の間隔を、合板の型枠と同じ間隔にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本願発明の保温板および保温板の設置方法の実施の形態について説明する。はじめに保温板の実施の形態について説明し、次に、保温板の設置方法の実施の形態について説明するが、各実施の形態において同じ構成は同じ符号を付して説明し、異なった構成は異なった符号を付して説明する。
【0008】
この保温板は鉄筋コンクリート造の躯体の内側に張り付けるものであり、まずは型枠の堰板として使用し、該型枠の解体後には保温板として使用する。
【0009】
図1〜図4は第1の実施の形態の保温板1である。この保温板1は保温板本体2の一面(前面または後面)に形成された嵌合用スリット3に補強材4が取外自在に嵌め込まれて構成されている。この保温板本体2は厚さ40mm以上で、熱抵抗値1.18m2K/W以上を有し、かつ曲げ強さ35N/cm2以上の平面長方形の発泡プラスチック断熱材ボードであり、短辺方向に沿って2本1組の嵌合用スリット3が230mm以下の間隔をもって7本形成され、これに補強材4が取外自在に嵌め込まれている。
【0010】
この補強材4は普通軟鋼で垂直片5と水平片6とからなる断面コ字形に形成され、断面二次モーメントが2cm4以上を有する。したがって、補強材4が保温板本体2の嵌合用スリット3に嵌め込まれたときは、保温板1が補強されるので型枠の堰板として使用されるが、補強材4が嵌合用スリット3から取り外されると、躯体に張り付けられた保温板1として使用される。
【0011】
また補強材4は、図2の(2)に示すように、断面二次モーメントIxが2cm4以上(弾性率1×1011Pa以上)を有するため、この補強材4を嵌合用スリット3に嵌め込んだ保温板1の強度は、たわみ荷重が3mmたわみで約70kg以上であり、曲げ弾性率が約150MP以上となり、型枠の堰板として使用可能になる。
【0012】
また図5〜図7は第2の実施の形態の保温板7である。この保温板7は補強材8が、図に示すように、コ字形の水平片6の先端に折曲片(内側に折り曲げられた)9を備えたものであり、これ以外は第1の実施の形態の保温板1と同じ構成である。
【0013】
この補強材4は、図6の(2)に示すように、断面二次モーメントIYが2cm4以上(弾性率1×1011Pa以上)を有するため、この補強材4を嵌合用スリット3に嵌め込んだ保温板1の強度は、たわみ荷重が3mmたわみで約70kg以上であり、曲げ弾性率が約150MP以上となり、型枠の堰板として使用可能になる。
【0014】
また図8および図9は第3の実施の形態の保温板10である。これは保温板本体2に短辺方向に沿った縦側嵌合用スリット11と、これに直交した横側嵌合用スリット12とが形成され、これらの嵌合用スリット11、12に補強材13、14が嵌め込まれたものであり、これ以外は第1の実施の形態の保温板1と同じ構成である。
【0015】
この保温板10は、図9に示すように、保温板本体2の縦横方向に補強材13、14が設置されているため、強度をさらに大きくして、型枠の堰板として使用することができる。この縦側嵌合用スリット11と、横側嵌合用スリット12とに嵌め込まれた補強材13、14も取外自在である。また、この縦側嵌合用スリット11の補強材13を一本にして、横側嵌合用スリット12の補強材14を複数に分割することもできる。なお、横側嵌合用スリット12は、図9のように、1本に限らず、複数本形成することもできる。
【0016】
また図10は第4の実施の形態の保温板15である。この保温板15は縦側嵌合用スリット11と横側嵌合用スリット12との交差部にのみ平面十字状の補強材16が嵌め込まれたものであり、これ以外は第3の実施の形態の保温板10と同じ構成である。
【0017】
この保温板10は縦側嵌合用スリット11と横側嵌合用スリット12に嵌め込まれた補強材13,14を取り外した後、特定の交差部に十字状の補強材16を設置するものであり、この補強材16を、何かを取り付けるための取付用支持具として使用するものである。
【0018】
また図11は第5の実施の形態の保温板17である。これは保温板本体2の短辺方向に沿って断面T字形の縦側嵌合用スリット18を形成し、これにH形の補強材19またはT字形の補強材20を嵌め込んだものであり、これ以外は第1の実施の形態の保温板1と同じ構成である。これは縦側嵌合用スリット18がT字形であるため、保温板本体2の強度を大きくすることができるとともに、補強材19、20を縦側嵌合用スリット18から抜け難くする。
【0019】
また図12は第6の実施の形態の保温板21である。これは保温板本体2の短辺方向に沿って断面L字形の縦側嵌合用スリット22を一対平行に形成し、これに補強材23を嵌め込んだものであり、これ以外は第1の実施の形態の保温板1と同じ構成である。
【0020】
この補強材23はコ字形の水平片24の先端が外側に折れ曲がったL字形のものであり、保温板本体2の前面との間に僅かな空隙部25を形成して縦側嵌合用スリット22に嵌め込まれ、この空隙部25に充填材26が充填されている。このように補強材23が保温板本体2の前面から僅かに突出しているため、この補強材23に内装材27を張り付けると、保温板本体2との間に空気層28を形成することができる。
【0021】
また図13は第7の実施の形態の保温板29である。これは保温板本体2の前面にL字形の縦側嵌合用スリット30を一対平行に形成するとともに、後面に第1の実施の保温板1と同じ形状の嵌合用スリット3を形成し、これらに補強材31、32を嵌め込んだものであり、これ以外は第1の実施の形態の保温板1と同じ構成である。
【0022】
また図13の(1)は、後面側がコ字形の補強材31であり、前面側が平板にL字形差込片が設置された補強材32である。また同図の(2)における後面はコ字形の補強材31であり、前面がコ字形の補強材33を向かい合わせたものである。この保温板29は保温板本体2の両面に補強材31、32、33が設置されているため、例えば天井に設置すると、補強材31、32、33が照明などの吊下用支持具として使用可能になる。
【0023】
次に、保温板の設置方法について、第1の実施の形態の保温板1を用いて説明する。まず、工場などで、嵌合用スリット3に断面二次モーメントIxが2cm4以上の補強材(弾性率1×1011Pa以上)4が嵌め込まれた保温板1を製造する。この補強材4は工場で予め嵌合用スリット3に嵌め込んでも良いが、現場において嵌め込ようにしてもよい。
【0024】
次に、図14に示すように、この保温板1を堰板として型枠34を組立形成するが、補強材4が縦側に位置するように組み立てて横側の外端太35で支持すると、外側の堰板が合板36で、内側の堰板が保温板1の型枠34が形成される。このように断面二次モーメントIxが2cm4以上の補強材4を取り付けた保温板1を堰板として使用した型枠34は、図15に示すように、水平方向の外端太35の設置間隔37を、合板の型枠と同じ設置間隔にすることができる。
【0025】
次に、この型枠34内にコンクリートを打設する前に保温板1の上面に、補強材4を覆うように粘着テープ(図示せず)を張る(またはコーキング材でコートする)。これは生コンが保温板1の上面に付着して補強材4が引き抜けなくなるのを防ぐものである。そして、この型枠34内にコンクリート38を打設し、このコンクリート38が硬化した後に、型枠34を解体すると、躯体39の内側に保温板1が設置される。そして、この保温板1の上面から粘着テープを除去して、嵌合用スリット3から補強材4を引き抜くと、図16に示すように、堰板としての役割が終わる。
【0026】
なお、上記の保温板の設置方法は第1の実施の形態の保温板1を使用したが、その他の第2〜第7の実施の形態の保温板7、10、15、17、21、29も同じ方法で設置するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施の形態の保温板の斜視図である。
【図2】(1)は第1の実施の形態の保温板の平面図、(2)は補強材の正面図である。
【図3】(1)は第1の実施の形態の保温板の一部省略斜視図、(2)は水平方向の断面図、(3)は(2)のA−A線断面図である。
【図4】補強材を引き抜いた第1の実施の形態の保温板の正面図である。
【図5】第2の実施の形態の保温板の斜視図である。
【図6】(1)は第2の実施の形態の保温板の平面図、(2)は補強材の正面図である。
【図7】(1)は第2の実施の形態の保温板の一部省略斜視図、(2)は水平方向の断面図、(3)は(2)のB−B線断面図である。
【図8】第3の実施の形態の保温板の斜視図である。
【図9】補強材を引き抜いた第3の実施の形態の保温板の正面図である。
【図10】第4の実施の形態の保温板の一部省略斜視図である。
【図11】(1)および(2)は第5の実施の形態の保温板の一部省略斜視図である。
【図12】第6の実施の形態の保温板の一部省略斜視図である。
【図13】(1)および(2)は第7の実施の形態の保温板の一部省略斜視図である。
【図14】保温板の設置方法において型枠内にコンクリートを打設した断面図である。
【図15】保温板の設置方法における型枠の正面図である。
【図16】躯体に保温板を設置した断面図である。
【図17】(1)は従来の保温板の平面図、(2)は従来の保温板の設置方法において型枠内にコンクリートを打設した断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1、7、10、15、17、21、29、40 保温板
2 保温板本体
3 嵌合用スリット
4、8、13、14、16、19、20、23、31、32、33、41 補強材
5 垂直片
6、24 水平片
9 折曲片
11、18、22、30 縦側嵌合用スリット
12 横側嵌合用スリット
25 空隙部
26 充填材
27 内装材
28 空気層
34、42 型枠
35 外端太
36 合板
37 設置間隔
38 コンクリート
39 躯体
43、44 端太材
【技術分野】
【0001】
本願発明は鉄筋コンクリート造の躯体の内側などに張って使用するか、あるいは型枠の堰板に使用する保温板およびその設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造の躯体の内側に張る保温板としては、図17の(1)に示すようなものが使用されている。これは発泡樹脂製の保温板40の一面に硬質合成樹脂製の補強材41が一体的に設置されたものであり、これを同図の(2)に示すように、型枠42の堰板に使用して縦横の端太材43、44で支持している。また、その他の保温板としては、例えば特公平7−6244号公報の発明が知られている。
【特許文献1】特公平7−6244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の保温板には硬質合成樹脂製の補強材が一体に設置されているが、型枠の堰板に使用するときにも縦横の端太材で支持する必要がある他、コンクリートが硬化して型枠を解体した後にも補強材が保温板と一体になっているため非経済的であった。
【0004】
本願発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、型枠を支持する端太材の設置を省くとともに、コンクリートの硬化後には補強材を必要としない保温板およびその設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するための保温板は、発泡樹脂製の保温板本体の前面または後面のうちの少なくとも一面に嵌合用スリットが形成され、該嵌合用スリットに補強材が取外自在に設置されたことを特徴とする。また補強材は金属製であることを含む。また保温板本体が厚さ40mm以上で、熱抵抗値1.18m2K/W以上を有し、かつ曲げ強さ35N/cm2以上の発泡プラスチック断熱材ボードであり、この発泡プラスチック断熱材ボードに、断面二次モーメントが2cm4以上を有する断面コ字形の補強材を230mm以下の間隔で少なくとも一方向に配置したことを含む。また嵌合用スリットは縦側嵌合用スリットと横側嵌合用スリットとが交差して設けられたことを含むものである。
また保温板の設置方法は、発泡樹脂製の保温板本体の前面または後面のうちの少なくとも一面に嵌合用スリットが形成され、該嵌合用スリットに補強材が取外自在に設置された保温板を堰板とした型枠を形成し、該堰板としての保温板を端太材で支持した後、該端太材で支持された型枠内にコンクリートを打設し、該コンクリートが硬化した後に端太材を撤去して保温板における補強材を嵌合用スリットから取り外すことを特徴とする。また補強材は金属製であることを含む。また保温板本体が厚さ40mm以上で、熱抵抗値1.18m2K/W以上を有し、かつ曲げ強さ35N/cm2以上の発泡プラスチック断熱材ボードであり、この発泡プラスチック断熱材ボードに、断面二次モーメントが2cm4以上を有する断面コ字形の補強材を230mm以下の間隔で少なくとも一方向に配置したことを含む。また嵌合用スリットは縦側嵌合用スリットと横側嵌合用スリットとが交差して設けられたことを含むものである。
【発明の効果】
【0006】
保温板を型枠の堰板として使用するときに、補強材を嵌合用スリットに嵌め込んでおくと、堰板を支持する縦横いずれかの端太材の設置を省くことができる。またコンクリートが硬化して型枠を解体した後には、補強材を嵌合用スリットから引き抜いて他に転用することができる。また保温板の嵌合用スリットに使用用途に応じた形状の補強材を設置することができる。また断面二次モーメントが2cm4以上を有する補強材を取り付けた保温板の強度は3mmたわみで、たわみ荷重が約70kg以上でかつ曲げ弾性率が約150MP以上である。また断面二次モーメントが2cm4以上を有する補強材を取り付けた保温板を堰板として使用した型枠は、水平方向の外端太の縦方向の間隔を、合板の型枠と同じ間隔にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本願発明の保温板および保温板の設置方法の実施の形態について説明する。はじめに保温板の実施の形態について説明し、次に、保温板の設置方法の実施の形態について説明するが、各実施の形態において同じ構成は同じ符号を付して説明し、異なった構成は異なった符号を付して説明する。
【0008】
この保温板は鉄筋コンクリート造の躯体の内側に張り付けるものであり、まずは型枠の堰板として使用し、該型枠の解体後には保温板として使用する。
【0009】
図1〜図4は第1の実施の形態の保温板1である。この保温板1は保温板本体2の一面(前面または後面)に形成された嵌合用スリット3に補強材4が取外自在に嵌め込まれて構成されている。この保温板本体2は厚さ40mm以上で、熱抵抗値1.18m2K/W以上を有し、かつ曲げ強さ35N/cm2以上の平面長方形の発泡プラスチック断熱材ボードであり、短辺方向に沿って2本1組の嵌合用スリット3が230mm以下の間隔をもって7本形成され、これに補強材4が取外自在に嵌め込まれている。
【0010】
この補強材4は普通軟鋼で垂直片5と水平片6とからなる断面コ字形に形成され、断面二次モーメントが2cm4以上を有する。したがって、補強材4が保温板本体2の嵌合用スリット3に嵌め込まれたときは、保温板1が補強されるので型枠の堰板として使用されるが、補強材4が嵌合用スリット3から取り外されると、躯体に張り付けられた保温板1として使用される。
【0011】
また補強材4は、図2の(2)に示すように、断面二次モーメントIxが2cm4以上(弾性率1×1011Pa以上)を有するため、この補強材4を嵌合用スリット3に嵌め込んだ保温板1の強度は、たわみ荷重が3mmたわみで約70kg以上であり、曲げ弾性率が約150MP以上となり、型枠の堰板として使用可能になる。
【0012】
また図5〜図7は第2の実施の形態の保温板7である。この保温板7は補強材8が、図に示すように、コ字形の水平片6の先端に折曲片(内側に折り曲げられた)9を備えたものであり、これ以外は第1の実施の形態の保温板1と同じ構成である。
【0013】
この補強材4は、図6の(2)に示すように、断面二次モーメントIYが2cm4以上(弾性率1×1011Pa以上)を有するため、この補強材4を嵌合用スリット3に嵌め込んだ保温板1の強度は、たわみ荷重が3mmたわみで約70kg以上であり、曲げ弾性率が約150MP以上となり、型枠の堰板として使用可能になる。
【0014】
また図8および図9は第3の実施の形態の保温板10である。これは保温板本体2に短辺方向に沿った縦側嵌合用スリット11と、これに直交した横側嵌合用スリット12とが形成され、これらの嵌合用スリット11、12に補強材13、14が嵌め込まれたものであり、これ以外は第1の実施の形態の保温板1と同じ構成である。
【0015】
この保温板10は、図9に示すように、保温板本体2の縦横方向に補強材13、14が設置されているため、強度をさらに大きくして、型枠の堰板として使用することができる。この縦側嵌合用スリット11と、横側嵌合用スリット12とに嵌め込まれた補強材13、14も取外自在である。また、この縦側嵌合用スリット11の補強材13を一本にして、横側嵌合用スリット12の補強材14を複数に分割することもできる。なお、横側嵌合用スリット12は、図9のように、1本に限らず、複数本形成することもできる。
【0016】
また図10は第4の実施の形態の保温板15である。この保温板15は縦側嵌合用スリット11と横側嵌合用スリット12との交差部にのみ平面十字状の補強材16が嵌め込まれたものであり、これ以外は第3の実施の形態の保温板10と同じ構成である。
【0017】
この保温板10は縦側嵌合用スリット11と横側嵌合用スリット12に嵌め込まれた補強材13,14を取り外した後、特定の交差部に十字状の補強材16を設置するものであり、この補強材16を、何かを取り付けるための取付用支持具として使用するものである。
【0018】
また図11は第5の実施の形態の保温板17である。これは保温板本体2の短辺方向に沿って断面T字形の縦側嵌合用スリット18を形成し、これにH形の補強材19またはT字形の補強材20を嵌め込んだものであり、これ以外は第1の実施の形態の保温板1と同じ構成である。これは縦側嵌合用スリット18がT字形であるため、保温板本体2の強度を大きくすることができるとともに、補強材19、20を縦側嵌合用スリット18から抜け難くする。
【0019】
また図12は第6の実施の形態の保温板21である。これは保温板本体2の短辺方向に沿って断面L字形の縦側嵌合用スリット22を一対平行に形成し、これに補強材23を嵌め込んだものであり、これ以外は第1の実施の形態の保温板1と同じ構成である。
【0020】
この補強材23はコ字形の水平片24の先端が外側に折れ曲がったL字形のものであり、保温板本体2の前面との間に僅かな空隙部25を形成して縦側嵌合用スリット22に嵌め込まれ、この空隙部25に充填材26が充填されている。このように補強材23が保温板本体2の前面から僅かに突出しているため、この補強材23に内装材27を張り付けると、保温板本体2との間に空気層28を形成することができる。
【0021】
また図13は第7の実施の形態の保温板29である。これは保温板本体2の前面にL字形の縦側嵌合用スリット30を一対平行に形成するとともに、後面に第1の実施の保温板1と同じ形状の嵌合用スリット3を形成し、これらに補強材31、32を嵌め込んだものであり、これ以外は第1の実施の形態の保温板1と同じ構成である。
【0022】
また図13の(1)は、後面側がコ字形の補強材31であり、前面側が平板にL字形差込片が設置された補強材32である。また同図の(2)における後面はコ字形の補強材31であり、前面がコ字形の補強材33を向かい合わせたものである。この保温板29は保温板本体2の両面に補強材31、32、33が設置されているため、例えば天井に設置すると、補強材31、32、33が照明などの吊下用支持具として使用可能になる。
【0023】
次に、保温板の設置方法について、第1の実施の形態の保温板1を用いて説明する。まず、工場などで、嵌合用スリット3に断面二次モーメントIxが2cm4以上の補強材(弾性率1×1011Pa以上)4が嵌め込まれた保温板1を製造する。この補強材4は工場で予め嵌合用スリット3に嵌め込んでも良いが、現場において嵌め込ようにしてもよい。
【0024】
次に、図14に示すように、この保温板1を堰板として型枠34を組立形成するが、補強材4が縦側に位置するように組み立てて横側の外端太35で支持すると、外側の堰板が合板36で、内側の堰板が保温板1の型枠34が形成される。このように断面二次モーメントIxが2cm4以上の補強材4を取り付けた保温板1を堰板として使用した型枠34は、図15に示すように、水平方向の外端太35の設置間隔37を、合板の型枠と同じ設置間隔にすることができる。
【0025】
次に、この型枠34内にコンクリートを打設する前に保温板1の上面に、補強材4を覆うように粘着テープ(図示せず)を張る(またはコーキング材でコートする)。これは生コンが保温板1の上面に付着して補強材4が引き抜けなくなるのを防ぐものである。そして、この型枠34内にコンクリート38を打設し、このコンクリート38が硬化した後に、型枠34を解体すると、躯体39の内側に保温板1が設置される。そして、この保温板1の上面から粘着テープを除去して、嵌合用スリット3から補強材4を引き抜くと、図16に示すように、堰板としての役割が終わる。
【0026】
なお、上記の保温板の設置方法は第1の実施の形態の保温板1を使用したが、その他の第2〜第7の実施の形態の保温板7、10、15、17、21、29も同じ方法で設置するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施の形態の保温板の斜視図である。
【図2】(1)は第1の実施の形態の保温板の平面図、(2)は補強材の正面図である。
【図3】(1)は第1の実施の形態の保温板の一部省略斜視図、(2)は水平方向の断面図、(3)は(2)のA−A線断面図である。
【図4】補強材を引き抜いた第1の実施の形態の保温板の正面図である。
【図5】第2の実施の形態の保温板の斜視図である。
【図6】(1)は第2の実施の形態の保温板の平面図、(2)は補強材の正面図である。
【図7】(1)は第2の実施の形態の保温板の一部省略斜視図、(2)は水平方向の断面図、(3)は(2)のB−B線断面図である。
【図8】第3の実施の形態の保温板の斜視図である。
【図9】補強材を引き抜いた第3の実施の形態の保温板の正面図である。
【図10】第4の実施の形態の保温板の一部省略斜視図である。
【図11】(1)および(2)は第5の実施の形態の保温板の一部省略斜視図である。
【図12】第6の実施の形態の保温板の一部省略斜視図である。
【図13】(1)および(2)は第7の実施の形態の保温板の一部省略斜視図である。
【図14】保温板の設置方法において型枠内にコンクリートを打設した断面図である。
【図15】保温板の設置方法における型枠の正面図である。
【図16】躯体に保温板を設置した断面図である。
【図17】(1)は従来の保温板の平面図、(2)は従来の保温板の設置方法において型枠内にコンクリートを打設した断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1、7、10、15、17、21、29、40 保温板
2 保温板本体
3 嵌合用スリット
4、8、13、14、16、19、20、23、31、32、33、41 補強材
5 垂直片
6、24 水平片
9 折曲片
11、18、22、30 縦側嵌合用スリット
12 横側嵌合用スリット
25 空隙部
26 充填材
27 内装材
28 空気層
34、42 型枠
35 外端太
36 合板
37 設置間隔
38 コンクリート
39 躯体
43、44 端太材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂製の保温板本体の前面または後面のうちの少なくとも一面に嵌合用スリットが形成され、該嵌合用スリットに補強材が取外自在に設置されたことを特徴とする保温板。
【請求項2】
補強材は金属製であることを特徴とする請求項1に記載の保温板。
【請求項3】
保温板本体が厚さ40mm以上で、熱抵抗値1.18m2K/W以上を有し、かつ曲げ強さ35N/cm2以上の発泡プラスチック断熱材ボードであり、この発泡プラスチック断熱材ボードに、断面二次モーメントが2cm4以上を有する断面コ字形の補強材を230mm以下の間隔で少なくとも一方向に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の保温板。
【請求項4】
嵌合用スリットは縦側嵌合用スリットと横側嵌合用スリットとが交差して設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保温板。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかの保温板を堰板とした型枠を形成し、該堰板としての保温板を端太材で支持した後、該端太材で支持された型枠内にコンクリートを打設し、該コンクリートが硬化した後に端太材を撤去して保温板における補強材を嵌合用スリットから取り外すことを特徴とする保温板の設置方法。
【請求項1】
発泡樹脂製の保温板本体の前面または後面のうちの少なくとも一面に嵌合用スリットが形成され、該嵌合用スリットに補強材が取外自在に設置されたことを特徴とする保温板。
【請求項2】
補強材は金属製であることを特徴とする請求項1に記載の保温板。
【請求項3】
保温板本体が厚さ40mm以上で、熱抵抗値1.18m2K/W以上を有し、かつ曲げ強さ35N/cm2以上の発泡プラスチック断熱材ボードであり、この発泡プラスチック断熱材ボードに、断面二次モーメントが2cm4以上を有する断面コ字形の補強材を230mm以下の間隔で少なくとも一方向に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の保温板。
【請求項4】
嵌合用スリットは縦側嵌合用スリットと横側嵌合用スリットとが交差して設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保温板。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかの保温板を堰板とした型枠を形成し、該堰板としての保温板を端太材で支持した後、該端太材で支持された型枠内にコンクリートを打設し、該コンクリートが硬化した後に端太材を撤去して保温板における補強材を嵌合用スリットから取り外すことを特徴とする保温板の設置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−46965(P2009−46965A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311051(P2007−311051)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(303059990)油化三昌建材株式会社 (29)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(303059990)油化三昌建材株式会社 (29)
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