説明

保護テープ貼付け装置

【課題】 カッタ刃を半導体ウエハや保護テープに対応した適切な位置姿勢に速やかに調整セットして、ウエハ外形に沿った保護テープ切り抜き切断を円滑良好に行うことができるようにする。
【解決手段】 保護テープ切断機構9に、カッタ刃12を上方の待機位置と下方の切断作用位置とに亘って昇降させるカッタ昇降手段と、切断作用位置のカッタ刃12をチャックテーブル5の略中心を通る縦軸心X周りに旋回させるカッタ旋回手段と、カッタ刃12を所定の軸心Z,P周りに向き変更する調整手段、あるいは、カッタ刃12を所定の方向Yに位置変更する調整手段の複数を備えるとともに、複数の調整手段をそれぞれアクチュエータ29,37など独立制御可能に構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャックテーブルに載置保持された半導体ウエハの表面に保護テープを貼付けた後、貼付けられた保護テープにカッタ刃を突き刺した状態でウエハの外周に沿ってカッタ刃を走行させて、貼付けられた保護テープをウエハ外形に沿って切り抜くよう構成した保護テープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの表面に貼付けられた保護テープを切り抜き切断する手段としては、例えば特許文献1に示されているように、チャックテーブルに載置保持されたウエハの表面に保護テープを供給し、貼付けローラを転動移動させて保護テープをウエハの表面に貼付け、その後、保護テープにカッタ刃を突き刺した状態で、テーブルを回転させることでウエハの外周に沿ってカッタ刃を相対走行させ、保護テープをウエハ外周に沿って切断し、また、ウエハの表面に対するカッタ刃の交差角度を変更調節することで、ウエハの外周縁に対する保護テープのはみ出し量を、ウエハの厚さやウエハ外周縁の面取り形態などに応じて任意に調整することができるよう構成したものが知られている。
【特許文献1】特開2004−25438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記保護テープの切断手段においては、ウエハの表面に対するカッタ刃の交差角度を変更調節する手段として、テーブル上方の高い位置に設定された支点を中心としてカッタユニットの傾斜角度を変更調整する構造が採用されているために、カッタ刃の角度を変更するとカッタ刃全体の上下方向位置が変化して保護テープの切断位置が変化することになり、カッタ刃の角度調整と高さ調整とを行う必要があり、調整に手間取るものとなっていた。
【0004】
本発明はこのような実情に着目してなされたものであって、カッタ刃を半導体ウエハや保護テープに対応した適切な位置姿勢に速やかに調整セットして、ウエハ外形に沿った保護テープ切り抜き切断を円滑良好に行うことができる保護テープ貼付け装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、チャックテーブルに載置保持された半導体ウエハの表面に保護テープを供給する保護テープ供給手段と、貼付けローラを転動移動させて保護テープをウエハの表面に押圧して貼付ける貼付けユニットと、貼付けられた保護テープにカッタ刃を突き刺した状態でウエハの外周に沿ってカッタ刃を走行させて貼付けられた保護テープをウエハ外形に沿って切り抜く保護テープ切断機構とを備えた保護テープ貼付け装置において、前記保護テープ切断機構に、カッタ刃を上方の待機位置と下方の切断作用位置とに亘って昇降させるカッタ昇降手段と、切断作用位置のカッタ刃をチャックテーブルの略中心を通る縦軸心周りに旋回させるカッタ旋回手段と、カッタ刃の姿勢や位置を変更する複数の調整手段とを備えるとともに、前記複数の調整手段をそれぞれアクチュエータで独立制御可能に構成してあることを特徴とする。
【0006】
上記構成によると、半導体ウエハの表面に保護テープを貼付けた後の保護テープ切断工程において、複数の調整手段を作動させてカッタ刃の姿勢や位置を半導体ウエハのサイズ、保護テープの種類などの各種条件に合わせて調整制御する。この場合、各調整作動はアクチュエータを用いて独立的に制御するので、予め各種の切断条件に対応した各調整制御の仕様プログラムを設定しておくことで、処理対象の条件を入力セットするだけで好適な保護テープ切断処理を速やかに遂行することができる。
【0007】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記複数の調整手段のうちの一つは、カッタ刃を所定の軸心周りに向き変更する調整手段であり、この調整手段は、カッタ刃の刃先背縁に沿った軸心を中心にカッタ刃をアクチュエータによって回動変更し、カッタ刃の進行方向に対する切り込み角度を変更するよう構成したものである。
【0008】
上記構成によると、カッタ刃の走行位置検出に応じて切り込み角度を変更制御することで、例えば、ウエハ位置決め用のオリエンテーションフラットを備えた半導体ウエハや、位置決め用のノッチを備えた半導体ウエハなど、外形が変化するものに対しても、その外形に沿ったテープ切断を円滑に実行することができる。
【0009】
第3の発明は、上記第2の発明において、前記調整手段は、アクチュエータによって強制回動される部材に対して前記カッタ刃をその刃先背縁に沿った前記軸心を中心にして設定範囲で相対回動可能に支持するとともに、カッタ刃をカッタ旋回方向と逆向きに回動付勢するよう構成したものである。
【0010】
上記構成によると、カッタ刃の刃先に所定以上の切断抵抗が働くと、回動付勢力に抗してカッタ刃の切り込み角度が自動的に変化して、良好な切断が続行される。
【0011】
第4の発明は、上記第1の発明において、前記複数の調整手段のうちの一つは、カッタ刃を所定の軸心周りに姿勢変更する調整手段であり、この調整手段は、カッタ刃のテープ切断箇所を中心にしてカッタ刃をアクチュエータによって強制傾動させて半導体ウエハの表面に対するカッタ刃の交差角度を変更するよう構成したものである。
【0012】
従って、第4の発明によると、半導体ウエハの表面に対するカッタ刃の交差角度を変更調整することで、ウエハ外周縁に対する保護テープのはみ出し量を、ウエハ厚さやウエハ外周縁の面取り形態、などに応じて調整することができる。この場合、半導体ウエハの仕様に対するカッタ刃の交差角度調整のための制御プログラムを予め設定しておくことで、処理対象の条件を操作キーやバーコードリーダなどの適宜入力手段を用いて入力セットするだけで、好適な交差角度での切断処理を速やかに開始することができる。
【0013】
しかも、カッタ刃はテープ切断箇所を中心にして傾動されるものであるから、この調整によってカッタ刃の切断部位の高さが大きく変化することはなく、処理対象が変わった際の調整に要する時間は短いものとなる。
【0014】
第5の発明は、上記第1の発明において、前記複数の調整手段のうちの一つは、カッタ刃を所定の軸心方向に位置変更する調整手段であり、この調整手段は、カッタ刃の旋回中心からの距離が異なる複数位置にカッタ刃をアクチュエータによって強制移動させるよう構成したものである。
【0015】
上記構成によると、処理対象を適宜入力手段を用いて入力セットすることで、処理対象に好適な旋回半径にカッタ刃が位置変更することが可能となる。
【0016】
第6の発明は、上記第1の発明において、前記複数の調整手段のうちの一つは、カッタ刃を所定の軸心方向に位置変更する調整手段であり、この調整手段は、カッタ刃をその旋回半径方向に移動可能に支持するとともに、カッタ刃を旋回中心に接近する方向に付勢し、付勢されたカッタ刃をアクチュエータによって付勢方向と反対方向に強制移動させるよう構成したものである。
【0017】
上記構成によると、テープ切断工程の最初では、アクチュエータを用いてカッタ刃をウエハ外形から少し外側に外れた位置に強制変位させておくことで、ウエハに接触することなくカッタ刃を下降させて保護テープに突き刺すことができ、その後、アクチュエータによる強制変位作動を解除することでカッタ刃を旋回中心に向けて付勢移動可能にし、カッタ刃を付勢力によってウエハ外周に適度に弾性押圧しながら走行させて、ウエハ外形に沿った精度の高いテープ切断を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
従って、本発明によれば、保護テープの貼付けから切り抜き切断までの処理を、処理対象に対応した調整に時間をかけるようなことなく速やかに行うことができ、半導体ウエハへの保護テープ貼付け切断処理を能率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0020】
図1は、保護テープ貼付け装置の全体構成を示す斜視図である。この保護テープ貼付け装置は、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と略称する)Wを収納したカセットCが装填されるウエハ供給/回収部1、ロボットアーム2を備えたウエハ搬送機構3、アライメントステージ4、ウエハWを載置して吸着保持するチャックテーブル5、ウエハWに向けて表面保護用の保護テープTを供給するテープ供給部6、テープ供給部6から供給されたセパレータ付きの保護テープTからセパレータsを剥離回収するセパレータ回収部7、チャックテーブル5に載置されて吸着保持されたウエハWに保護テープTを貼付ける貼付けユニット8、ウエハWに貼付けられた保護テープTをウエハWの外形に沿って切り抜き切断するテープ切断機構9、ウエハWに貼付けて切断処理した後の不要テープT’を剥離する剥離ユニット10、剥離ユニット10で剥離された不要テープT’を巻き取り回収するテープ回収部11、等が備えられており、上記各構造部および機構についての具体的な構成を以下に説明する。
【0021】
ウエハ供給/回収部1には2台のカセットCを並列して装填可能であり、各カセットCには、配線パターン面を上向きにした多数枚のウエハWが多段に水平姿勢で差込み収納されている。
【0022】
ウエハ搬送機構3に備えられたロボットアーム2は、水平に進退移動可能に構成されるとともに、全体が駆動旋回および昇降可能となっている。そして、ロボットアーム2の先端には、馬蹄形をした真空吸着式のウエハ保持部2aが備えられており、カセットCに多段に収納されたウエハW同士の間隙にウエハ保持部2aを差し入れてウエハWを裏面から吸着保持し、吸着保持したウエハWをカセットCから引き出して、アライメントステージ4、チャックテーブル5、およびウエハ供給/回収部1の順に搬送するようになっている。
【0023】
アライメントステージ4は、ウエハ搬送機構3によって搬入載置されたウエハWを、その外周に形成されたオリエンテーションフラットやノッチなどに基づいて位置合わせを行うようになっている。
【0024】
チャックテーブル5は、ウエハ搬送機構3から移載されて所定の位置合わせ姿勢で載置されたウエハWを真空吸着するようになっている。また、このチャックテーブル5の上面には、後述するテープ切断機構9に備えたカッタ刃12をウエハWの外形に沿って旋回移動させて保護テープTを切断するためにカッタ走行溝13(図2参照)が形成されている。
【0025】
テープ供給部6は、供給ボビン14から繰り出されたセパレータ付きの保護テープTをガイドローラ15群に巻回案内し、セパレータsを剥離した保護テープTを貼付けユニット8に導くよう構成されており、供給ボビン14に適度の回転抵抗を与えて過剰なテープ繰り出しが行われないように構成されている。
【0026】
セパレータ回収部7は、保護テープTから剥離されたセパレータsを巻き取る回収ボビン16が巻き取り方向に回転駆動されるようになっている。
【0027】
貼付けユニット8には貼付けローラ17が前向き水平に備えられており、スライド案内機構18(図7参照)および図示されないネジ送り式の駆動機構によって左右水平に往復駆動されるようになっている。
【0028】
剥離ユニット10には剥離ローラ19が前向き水平に備えられており、前記スライド案内機構18および図示されないネジ送り式の駆動機構によって左右水平に往復駆動されるようになっている。
【0029】
テープ回収部11は、不要テープT’を巻き取る回収ボビン20が巻き取り方向に回転駆動されるようになっている。
【0030】
テープ切断機構9は、基本的には、駆動昇降可能な可動台21の下部に、チャックテーブル5の略中心を通る縦向きの軸心Xを旋回中心として駆動旋回可能に支持アーム22(図2参照)が片持ち水平姿勢で装備されるとともに、この支持アーム22の先端側に備えたカッタユニット23に、刃先を下向きにしたカッタ刃12が装着され、支持アーム22が軸心X周りに旋回することでカッタ刃12がウエハWの外周に沿って走行して保護テープTを切り抜くよう構成されており、その詳細な構造が図2〜図5に示されている。
【0031】
図2に示すように、可動台21は、モータ24を正逆回転駆動することで縦レール25に沿ってねじ送り昇降されるようになっており、この可動台21の遊端部に備えられたボス部21aに回動体26が前記縦軸心X周りに回動可能に支持されている。この回動体26は可動台21の上に配備されたモータ27に2本のベルト28を介して減速連動されており、モータ27の作動によって回動体26が所定の方向に低速で回動されるようになっている。
【0032】
そして、回動体26の下部に、支持アーム22がエアーシリンダ(アクチュエータ)29によって水平方向Yに進退可能に支持されるとともに、この支持アーム22の遊端部22aにカッタユニット23が後述のように装着支持されており、エアーシリンダ29を作動制御して支持アーム22を水平方向Yに移動調節することでカッタ刃12の旋回半径をウエハ径に対応して調節制御することが可能となっている。
【0033】
図3に示すように、カッタユニット23は、支持アーム22の先端部22aに支軸30を介して縦向きの軸心Zを中心として回動可能に支持された逆L形の回動ブラケット31、この回動ブラケット31における縦辺部31aの前面に支持された可動部材32、この可動部材32の前面に連結支持されたカッタ支持部材33、このカッタ支持部材33に取り付けられたカッタホルダ34、等から構成され、カッタ刃12はカッタホルダ34に、その刃先背縁が軸心Zと略一致するように取り付けられている。
【0034】
回動ブラケット31の基端ボス31bの上端には回動プレート31cが連設されるとともに、この回動プレート31cに対して軸心Z周りに相対回転可能に支持プレート35が配備され、支持アーム22の先端部にステー36を介して取り付けたパルスモータ(アクチュエータ)37と支持プレート35とがベルト38を介して巻き掛け連動されている。
【0035】
そして、図13に示すように、支持プレート35と回動プレート31cとは、回動プレート31cに形成した切欠き凹部39に支持プレート35に設けたストッパーピン40が係合されることによって軸心Z周りの相対回動範囲が制限されるとともに、回動プレート31cに設けたピン41と支持プレート35のストッパーピン40とに亘ってバネ42が張設され、このバネ42の張力によって回動プレート31cが支持プレート35に対して軸心Z周りにカッタ旋回方向Fと逆向きに回動付勢されており、通常、回動プレート31cは、図13(a)に示すように、相対回動範囲の一端に付勢保持されている。
【0036】
上記構成によると、パルスモータ37を作動させて支持プレート35の回動姿勢を制御することで、回動プレート31cを介して回動ブラケット31全体を軸心Z周りに回動させることができ、これによってカッタ刃12の進行方向に対する切込み角α(図11参照)を制御することができるのである。また、所定の切込み角αがもたらされた状態で回動プレート31cがバネ42に抗して強制的に軸心Z周りに回動されると、カッタ刃12が軸心Z周りにカッタ旋回方向と同方向に回動されて、切込み角αが支持プレート35の回動調節によって設定された切込み角αよりも大きくなるように構成されている。
【0037】
図3〜図5に示すように、可動部材32は回動ブラケット31の縦辺部31aに対してスライド案内機構45を介してスライド移動可能に連結されている。このスライド案内機構45は、縦辺部31aの前面に取り付けられた部分円弧状の案内レール46と、可動部材32の背面に取り付けられて案内レール46に摺動自在に外嵌されたスライドブロック47とからなり、スライドブロック47を案内レール46に沿って移動させることで、案内レール46の曲率中心Pを支点にして可動部材32が縦辺部31aに対してスライド回動することができるようになっている。そして、案内レール46の曲率中心Pがカッタ刃12の刃先におけるテープ切断部位Cに位置するよう設定されており、このスライド回動調節によって、ウエハ表面に対するカッタ刃12の交差角度β(図6参照)を所定範囲内で変更調節することが可能となっている。
【0038】
そして、可動部材32を案内レール46に沿って駆動移動させる駆動構造が以下のように構成されている。つまり、可動部材32の下部に下向きに凹曲した円弧状のラックギヤ48が備えられるとともに、回動ブラケット31における縦辺部31aの下部前面にはラックギヤ48に咬合されたピニオンギヤ49が軸支され、かつ、このピニオンギヤ49が、回動ブラケット31の上部に設けられたパルスモータ(アクチュエータ)50にベルト51を介して巻き掛け連動されており、パルスモータ51を作動させてピニオンギヤ49を回動制御することで相対的にラックギヤ48が咬合移動され、このラックギヤ48を備えた可動部材32が案内レール46に沿ってスライド移動制御されるようになっているのである。
【0039】
また、上記のようにスライド回動制御される可動部材32に対してカッタ支持部材33は、直線案内レール52とこれに外嵌されたスライドブロック53を介して支持アーム22の進退方向Yと平行に直線スライド自在に支持されている。そして、可動部材32に設けたバネ受け金具54とカッタ支持部材33に設けたバネ受け金具55とに亘って張設されたバネ56によってカッタ支持部材33がカッタ旋回中心である軸心Xに接近するようスライド付勢されるとともに、可動部材32にブラケット57を介して取り付けたエアーシリンダ(アクチュエータ)58のピストンロッド58aがバネ受け金具55に当接可能に配備されており、ピストンロッド58aが伸出駆動されてバネ受け金具55を押圧することで、カッタ支持部材33がバネ54に抗して軸心Xから遠ざかる方向にスライド変位されるようになっている。
【0040】
次に、上記実施例装置を用いて保護テープTをウエハWの表面に貼付けて切り抜き切断するための一連の基本動作を説明する。
【0041】
(1)貼付け指令が出されると、先ず、ウエハ搬送機構3におけるロボットアーム2がウエハ供給/回収部1に載置装填されたカセットCに向けて移動され、ウエハ保持部2aがカセットCに収容されているウエハ同士の隙間に挿入され、ウエハ保持部2aでウエハWを裏面(下面)から吸着保持して搬出し、取り出したウエハWをアライメントステージ4に移載する。
【0042】
(2)アライメントステージ4に載置されたウエハWは、ウエハWの外周に形成されているノッチを利用して位置合わせされ、位置合わせの済んだウエハWは再びロボットアーム2によって搬出されてチャックテーブル5に載置される。
【0043】
(3)チャックテーブル5に載置されたウエハWは、その中心がチャックテーブル5の中心上にあるように位置合わせされた状態で吸着保持される。この時、図7に示すように、貼付けユニット8と剥離ユニット10は左側の初期位置に、また、テープ切断機構9のカッタ刃12は上方の初期位置でそれぞれ待機している。
【0044】
(4)次に、図7中の仮想線で示すように、貼付けユニット8の貼付けローラ17が下降されるとともに、この貼付けローラ17で保護テープTを下方に押圧しながらウエハW上を前方(図7では右方向)に転動し、これによって保護テープTがウエハWの表面全体に貼付けられる(図8参照)。
【0045】
(5)次に、貼付けユニット8が終端位置に達すると、図9に示すように、上方の所定旋回位相で待機していたカッタ刃12が下降されて、チャックテーブル5のカッタ走行溝13において保護テープTに突き刺される。
【0046】
なお、カッタ刃12の下降作動に先立って、予め入力されたウエハWの種類やサイズ、保護テープTの種類、ウエハ外周縁の面取り仕様、などの処理対象の情報に基づいて、カッタ刃12の調整制御がなされる。
【0047】
つまり、入力情報に基づいて図2に示したエアーシリンダ29が作動制御されて支持アーム22が進退され、カッタ刃12の旋回半径がウエハ半径となる基準の位置にまでカッタ刃12が移動調整されるとともに、図5に示したエアーシリンダ58のピストンロッド58aがバネ受け金具55をバネに抗して少し押圧移動させる所定の位置まで伸出駆動されて、カッタ刃12がウエハWの外周縁から若干外側に外れた位置に修正され、この状態で下降されることでカッタ刃s12がウエハWに干渉接触することなく保護テープTに突き刺されるのである。
【0048】
この場合、入力情報に基づいて図3に示したパルスモータ37が制御されて、カッタ刃12の進行方向に対する切込み角度αが調整された状態でカッタ刃12が保護テープTに突き刺される。また、その後、入力情報に基づいて図3に示したパルスモータ50が制御されてカッタ刃12のウエハ表面に対する交差角度βが調整される。
【0049】
(6)カッタ刃12が所定の位置において所定の姿勢で保護テープTに突き刺されると、図2に示したモータ27によって支持アーム22が所定の方向に駆動回転され、これに伴ってカッタ刃12が軸心X周りに旋回移動して保護テープTがウエハ外形に沿って切断される。この場合、カッタ刃12の前進走行が開始されると図5のエアーシリンダ58が伸縮自由状態に切り換えられ、カッタ支持部材33がバネ56によってカッタ刃旋回中心に向けてスライド付勢された状態になる。従って、カッタ刃12は、バネ56によるスライド付勢力によってウエハWの外周縁に適度の圧力で摺接しながら走行し、ウエハWの外形に沿ったテープ切断が行われるのである。
【0050】
なお、図11に示すように、外周に位置合わせ用のオリエンテーションフラットofが備えられたウエハWを対象とする場合には、カッタ刃12はオリエンテーションフラットofの一端をテープ切断基点として旋回走行され、カッタ刃12の旋回方向での位置検出に対応してパルスモータ37が予め入力設定されたプログラムに基づいて制御されることで、カッタ刃12の進行方向に対する切込み角αが所定値に維持される。
【0051】
また、外周に位置合わせ用のノッチnが備えられたウエハWを対象とする場合には、図12に示すように、カッタ刃12がノッチnの形成範囲に至ると、カッタ刃12の旋回方向での位置検出に対応してパルスモータ37が予め入力設定されたプログラムに基づいて制御されることで、カッタ刃12がノッチnに食い込むようにカッタ刃12の進行に伴って切込み角αの変更制御がなされ、ノッチnの内部における保護テープTの切り残しを少なくしたテープ切断が行われる。
【0052】
また、支持プレート35に対して一定の回動姿勢に付勢保持された回動プレート31cは、所定の角度姿勢に制御されて固定維持されている支持プレート35に対して軸心Y周りにカッタ旋回方向と同方向に相対回動可能であるので、テープ切断作動中に大きいテープ切断抵抗が働いてカッタ刃12の進行が遅れると、回動プレート31cがバネ42に抗して相対回動されることになり、その結果、カッタ刃12の進行方向に対する切込み角αが大きくなってテープ切断が続行される。このようにテープ切断作動中に大きなテープ切断抵抗が働いたときに、カッタ刃12の進行方向に対する切込み角αが大きくなる方向に変位させることにより、カッタ刃12はウエハWの周縁に食い込むように変位するので、保護テープをガタツキ無く切断することができる。
【0053】
(7)ウエハWの外周に沿ったテープ切断が終了すると、図10に示すように、カッタ刃12は元の待機位置まで上昇され、次いで、剥離ユニット10が前方へ移動しながらウエハW上で切り抜き切断されて残った不要テープT’を巻き上げ剥離する。
【0054】
(8)剥離ユニット10が剥離作業の終了位置に達すると、剥離ユニット10と貼付けユニット8とが逆方向に移動して初期位置に復帰する。この時、不要テープT’が回収ボビン20に巻き取られるとともに、一定量の保護テープTがテープ供給部6から繰り出される。
【0055】
(9)テープ貼付け作動が終了すると、チャックテーブル5における吸着が解除された後、貼付け処理のすんだウエハWはロボットアーム2のウエハ保持部2aに移載されてウエハ供給/回収部1のカセットCに差込み回収される。
【0056】
以上で1回のテープ貼付け処理が完了し、以後、上記作動を順次繰返してゆく。
【0057】
なお、上記実施例では、カッタ刃12の姿勢や位置を調整制御するアクチュエータとしてエアーシリンダ、パルスモータなど利用する場合を例示したが、電動シリンダ、電磁ソレノイドなどを使用することもでき、調整制御に必要なストローク、操作力、応答速度、などに応じてこれらを適宜選択すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施例に係る保護テープ貼付け装置の全体を示す斜視図である。
【図2】テープ切断機構の正面図である。
【図3】テープ切断機構の要部の側面図である。
【図4】テープ切断機構の要部の正面図である。
【図5】テープ切断機構の要部の正面図である。
【図6】カッタ刃の交差角度の説明図である。
【図7】実施例装置の動作説明図である。
【図8】実施例装置の動作説明図である。
【図9】実施例装置の動作説明図である。
【図10】実施例装置の動作説明図である。
【図11】オリエンテーションフラット付きの半導体ウエハのテープ切断処理手順の説明図である。
【図12】ノッチ付きの半導体ウエハのテープ切断処理手順の説明図である。
【図13】切り込み角度自動調整作動を説明する概略平面図である。
【符号の説明】
【0059】
5 チャックテーブル
8 貼付けユニット
9 テープ切断機構
12 カッタ刃
17 貼付けローラ
29 アクチュエータ(エアーシリンダ)
37 アクチュエータ(パルスモータ)
50 アクチュエータ(パルスモータ)
58 アクチュエータ(エアーシリンダ)
C 切断箇所
F カッタ旋回方向
T 保護テープ
W 半導体ウエハ
X 軸心
Z 軸心
α 切込み角度
β 交差角度



【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックテーブルに載置保持された半導体ウエハの表面に保護テープを供給する保護テープ供給手段と、貼付けローラを転動移動させて保護テープをウエハの表面に押圧して貼付ける貼付けユニットと、貼付けられた保護テープにカッタ刃を突き刺した状態でウエハの外周に沿ってカッタ刃を走行させて貼付けられた保護テープをウエハ外形に沿って切り抜く保護テープ切断機構とを備えた保護テープ貼付け装置において、
前記保護テープ切断機構に、カッタ刃を上方の待機位置と下方の切断作用位置とに亘って昇降させるカッタ昇降手段と、切断作用位置のカッタ刃をチャックテーブルの略中心を通る縦軸心周りに旋回させるカッタ旋回手段と、カッタ刃の姿勢や位置を変更する複数の調整手段とを備えるとともに、
前記複数の調整手段をそれぞれアクチュエータで独立制御可能に構成してあることを特徴とする保護テープ貼付け装置。
【請求項2】
請求項1記載の保護テープ貼付け装置において、
前記複数の調整手段のうちの一つは、カッタ刃を所定の軸心周りに向き変更する調整手段であり、この調整手段は、カッタ刃の刃先背縁に沿った軸心を中心にカッタ刃をアクチュエータによって回動変更し、カッタ刃の進行方向に対する切り込み角度を変更するよう構成したものである保護テープ貼付け装置。
【請求項3】
請求項2記載の保護テープ貼付け装置において、
前記調整手段は、アクチュエータによって強制回動される部材に対して前記カッタ刃をその刃先背縁に沿った前記軸心を中心にして設定範囲で相対回動可能に支持するとともに、カッタ刃をカッタ旋回方向と逆向きに回動付勢してある保護テープ貼付け装置。
【請求項4】
請求項1記載の保護テープ貼付け装置において、
前記複数の調整手段のうちの一つは、カッタ刃を所定の軸心周りに姿勢変更する調整手段であり、この調整手段は、カッタ刃のテープ切断箇所を中心にしてカッタ刃をアクチュエータによって強制傾動させて半導体ウエハの表面に対するカッタ刃の交差角度を変更するよう構成したものである保護テープ貼付け装置。
【請求項5】
請求項1記載の保護テープ貼付け装置において、
前記複数の調整手段のうちの一つは、カッタ刃を所定の軸心方向に位置変更する調整手段であり、この調整手段は、カッタ刃の旋回中心からの距離が異なる複数位置にカッタ刃をアクチュエータによって強制移動させるよう構成したものである保護テープ貼付け装置。
【請求項6】
請求項1記載の保護テープ貼付け装置において、
前記複数の調整手段のうちの一つは、カッタ刃を所定の軸心方向に位置変更する調整手段であり、この調整手段は、カッタ刃をその旋回半径方向に移動可能に支持するとともに、カッタ刃を旋回中心に接近する方向に付勢し、付勢されたカッタ刃をアクチュエータによって付勢方向と反対方向に強制移動させるよう構成したものである保護テープ貼付け装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−55935(P2006−55935A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239502(P2004−239502)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)