説明

保険会社システム

【課題】自動車同士の自動車事故の事故処理をスムーズに行う。
【解決手段】保険会社システム100は、被保険者の過失割合を含む自動車同士の自動車事故の報告を受け付け、当該被保険者の加入している保険に、当該自動車事故の相手側が負担すべき自動車の修理費を保険会社が負担する肩代わり特約が設定されている場合に、当該被保険者の過失割合が50%より大きく100%未満の所定の範囲内であるか否かを判断し、当該所定の範囲内の場合に、当該相手側の同意を得るための処理を行う肩代わり処理部108を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険会社システムに関し、とくに自動車同士の自動車事故を扱う保険の保険会社システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転手は、車両保険や対物賠償保険等に加入しており、自動車事故が生じた場合、通常、保険会社の担当者に連絡する等して、事故処理を行う。
【0003】
特許文献1(特開2003−242276号公報)には、保険会社端末が、インターネットを介して車両修理工場端末に事故情報を送信し、車両修理工場端末から事故車情報および見積情報を受信し、さらに車両修理工場端末に修理依頼情報を送信する方法が記載されている。これにより、自動車保険を利用した車両修理の処理を迅速に行うことが可能であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−242276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車同士の自動車事故が生じた場合、たとえば追突や信号無視等の場合を除き、双方とも過失が問われる。ここで、互いの過失割合は、過去の交通事故の判例等に基づいて、事故の種類に応じて決められていることが多い。
【0006】
たとえば、図10に示したように、交差点で、運転手Aの自動車500と運転手Bの自動車510とが衝突事故を起こしたとする。ここで、自動車500が走行していた道路には一時停止標識520があったにもかかわらず、運転手Aが一時停止を行わずに事故が生じた場合、運転手Aの方が過失割合が高くなる。ここで、たとえば運転手Aと運転手Bとの過失割合がA:B=7:3であるとする。
【0007】
このような場合、運転手Bは、自分では不注意がないと思うにもかかわらず、過失割合が発生することになる。そのため、自分の車の修理費に加えて、運転手Aの車の修理費の負担もしなければならなくなる。たとえば、運転手Aの車の修理費がX円、運転手Bの車の修理費がY円とすると、運転手Aが支払う必要のある支払額は0.7(X+Y)円、運転手Bが支払う必要のある支払額は0.3(X+Y)円となる。
【0008】
ここで、運転手Aと運転手Bとがそれぞれ対物賠償保険と車両保険に入っている場合、それぞれ自分が契約している保険会社から、図11に示したような保険が適用される。しかし、事故が生じて保険金が支払われた場合、次回の契約更新時に保険料が値上がりするのが一般的である。そのため、たとえば運転手Bの保険料も値上がりすることになり、運転手Bにとっては不満が生じることになる。そのため、従来、事故の当事者間でトラブルが生じるおそれがあった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動車同士の自動車事故の事故処理をスムーズに行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、被保険者の過失割合を含む自動車同士の自動車事故の報告を受け付け、当該被保険者の加入している保険に、当該自動車事故の相手側が負担すべき自動車の修理費を保険会社が負担する肩代わり特約が設定されている場合に、当該被保険者の過失割合が50%より大きく100%未満の所定の範囲内であるか否かを判断し、当該所定の範囲内の場合に、当該相手側の同意を得るための処理を行う肩代わり処理部を含む保険会社システムが提供される。
【0011】
この構成によれば、自動車同士の自動車事故において、相手側の過失割合が低い場合に、相手側の運転手が自分の加入する自動車保険を利用する必要がなく、保険料が値上がりする等の心配をしなくてよくなる。また、被保険者も、相手側の運転手との間でトラブルが生じるおそれが低くなりメリットが得られる。これにより、自動車同士の自動車事故の事故処理をスムーズに行うことができる。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自動車同士の自動車事故の事故処理をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態において、肩代わり特約が適用される場合に保険会社が支払う支払額を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における保険会社システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における保険会社システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における契約情報記憶部の構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における条件記憶部の構成の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における修理工場情報記憶部の構成の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における事故処理記憶部の構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における保険会社システムの肩代わり処理部の処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の実施の形態における保険会社システムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】自動車同士の自動車事故の一例を示す模式図である。
【図11】図10に示したような事故が生じた際に保険が適用される場合の支払額の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
以下の実施の形態において、保険会社は、自動車同士の自動車事故の被保険者の過失割合が50%より大きくかつ100%未満の所定の範囲の場合に、当該自動車事故の相手側が負担すべき自動車の修理費を保険会社が負担する特約を設けた保険サービスを提供する。以下、この特約を「肩代わり特約」という。
【0017】
図1に、図10および図11を参照して上述した例において、肩代わり特約が適用される状態を示す。
本実施の形態において、運転手Aが肩代わり特約付きの保険の被保険者で、運転手Aの事故の過失割合が運転手Bの過失割合よりも高い場合で、かつ運転手Aの過失割合が100%でない場合、後述するように所定の条件を満たした場合に、肩代わり特約が適用される。この場合、本来運転手Bが負担すべき自動車の修理費、0.3(X+Y)円を、運転手Aが加入している保険の保険会社が負担する。これにより、運転手Bは、自分の加入する自動車保険を利用する必要がなく、保険料が値上がりする等の心配をしなくてよくなる。また、運転手Aも運転手Bとの間でトラブルが生じるおそれが低くなりメリットが得られる。
【0018】
図2は、本実施の形態における保険会社システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。保険会社システム100は、被保険者端末300、相手側端末310、および修理工場サーバ200と、ネットワーク400を介して接続されている。ネットワーク400は、たとえばインターネット、イントラネット、携帯電話網等の組合せとすることができる。
【0019】
保険会社システム100は、保険会社が管理するシステムである。被保険者端末300は、当該保険会社の自動車保険の被保険者が所有する、たとえば携帯電話端末や、パーソナルコンピュータ等の端末である。相手側端末310は、被保険者が自動車事故を起こした相手が所有する、たとえば携帯電話端末や、パーソナルコンピュータ等の端末である。修理工場サーバ200は、自動車の各修理工場にそれぞれ設けられたたとえばパーソナルコンピュータ等の端末である。
【0020】
図3は、本実施の形態における保険会社システム100の構成の一例を示すブロック図である。
保険会社システム100は、通信制御部102と、事故報告受付部104と、肩代わり処理部108と、契約情報記憶部130と、修理工場情報記憶部132と、条件記憶部134と、事故処理記憶部136と、事例データベース140とを含む。
【0021】
通信制御部102は、ネットワーク400を介して、他の端末との間でデータの送受信を行う。事故報告受付部104は、事故報告を受け付ける。事故報告受付部104は、受け付けた事故報告を事故処理記憶部136に記憶する。
【0022】
保険会社システム100は、たとえばウェブアプリケーションを備え、事故報告受付のためのウェブ画面をユーザに提供する機能を有することができる。この場合、たとえば事故が発生したときに、被保険者が事故現場で被保険者端末300からネットワーク400を介して保険会社システム100が提供するウェブアプリケーションにアクセスすることができる。また、たとえば被保険者が事故現場から保険会社の担当者に電話連絡すると、担当者は、予めメールアドレス等が記憶されている被保険者の被保険者端末300に、事故報告受付のためのウェブ画面にアクセスするためのURL等を通知して、被保険者に当該ウェブ画面にアクセスさせることができる。被保険者が被保険者端末300から事故報告を入力すると、事故報告受付部104は、ネットワーク400および通信制御部102経由で事故報告を受け付ける。
【0023】
事故報告は、たとえば被保険者を特定するための情報、事故の状況、相手側の情報等を含むことができる。被保険者を特定するための情報は、たとえば被保険者の証券番号やユーザID等とすることができる。事故の状況は、事故のパターンや、事故の相手側が自動車か、人か、自転車か等の情報、事故の過失割合等を含むことができる。また、相手側の情報は、事故の相手側の住所やメールアドレス等の連絡先や、相手側が自動車の場合にその自動車の車両番号等を含むことができる。
【0024】
事例データベース140は、過去の事故例に基づき、事故のパターンとその際の当事者の過失割合とを対応付けた事例情報を記憶する。事故の過失割合は、事故報告受付部104が事故報告として入力を受け付けるのではなく、入力を受け付けた事故のパターンに基づき、事故報告受付部104が事例データベース140等を参照して取得することもできる。
【0025】
事故報告受付部104は、事故のパターンを受け付けた場合、事例データベース140を参照して、受け付けた事故のパターンに基づき、被保険者の過失割合を取得することができる。また、事故報告受付部104は、事例データベース140を参照して読み出した事故のパターンをウェブ画面等で被保険者に提示して、被保険者に選択させることもできる。また、事故報告受付部104は、ネットワーク400を介してたとえば裁判所の判例データベース等にアクセスして、事故のパターンに基づき、過失割合を取得することもできる。
【0026】
また、事故報告は、たとえば被保険者から電話で連絡を受けた保険会社の担当者が入力し、事故報告受付部104がそれを受け付けることもできる。この場合、事故の過失割合は、保険会社の担当者が事例データベース140や裁判所の判例データベース等を参照して算出して入力してもよく、保険会社の担当者から聞いた事故の過失割合を被保険者が被保険者端末300から入力することもできる。
【0027】
契約情報記憶部130は、自動車保険の契約情報を記憶する。契約情報記憶部130は、たとえば保険契約毎に、契約識別情報、証券番号、保険名称、ユーザID、契約者名、被保険者名、保険期間(保険契約の適用期間)、保険金額、特約の有無等を記憶する。本実施の形態において、契約情報記憶部130は、契約識別情報に対応付けて、肩代わり特約の設定の有無を記憶する。
【0028】
図4は、契約情報記憶部130の構成の一例を示す図である。ここでは、契約情報記憶部130は、契約識別情報欄、証券番号欄、ユーザID欄、契約者名欄、被保険者名欄、および肩代わり特約設定欄等を含む。肩代わり特約設定欄には、上述したような肩代わり特約の設定がされているか否かが記憶される。
【0029】
図3に戻り、修理工場情報記憶部132は、保険会社が予め契約している自動車の修理を行う修理工場の情報を記憶する。条件記憶部134は、肩代わり特約を適用する適用条件を記憶する。事故処理記憶部136は、事故の状況を示す情報や、保険会社の処理状態等の情報を記憶する。
【0030】
肩代わり処理部108は、当該被保険者の加入している保険に、当該自動車事故の相手側が負担すべき自動車の修理費を保険会社が負担する肩代わり特約が設定されている場合に、当該被保険者の過失割合が50%より大きく100%未満の所定の範囲内であるか否かを判断し、当該所定の範囲内の場合に、当該相手側の同意を得るための処理を行う。
【0031】
肩代わり処理部108は、条件判断部110、相手側契約処理部112、工場選出部114、および債権放棄処理部116を含む。
条件判断部110は、条件記憶部134を参照して、被保険者の過失割合が所定の範囲内か否かを判断する。
【0032】
図5は、条件記憶部134の構成の一例を示す図である。条件記憶部134は、肩代わり特約の適用条件として、当該被保険者の過失割合の所定の範囲を記憶する。ここでは、条件として、「1:肩代わり特約設定あり」、「2:被保険者過失割合50より大〜100未満」、「3:対車両」、「4:相手側同意」等が記憶されている。つまり、本例では、肩代わり特約が適用される被保険者の過失割合の所定の範囲は、被保険者の過失割合が50より大〜100未満と設定されている。
【0033】
なお、肩代わり特約を適用するための被保険者の過失割合の所定の範囲は、契約毎に設定することもできる。この場合、肩代わり特約を適用するための被保険者の過失割合の所定の範囲は、条件記憶部134ではなく、契約情報記憶部130の各契約に対応付けて記憶しておくこともできる。
【0034】
たとえば、被保険者の過失割合が50より大〜100未満の範囲内で、契約の種類によって適宜設定することができる。被保険者は、保険に加入する際に、オプション料金を払って肩代わり特約を設定するか、肩代わり特約を設定しないかを選択する。この際、たとえばオプション料金が高い場合は、肩代わり特約を適用するための被保険者の過失割合の所定の範囲が広くなり、オプション料金が低い場合は、肩代わり特約を適用するための被保険者の過失割合の所定の範囲が狭くなるように、段階的なサービスを設けておくこともできる。たとえば、肩代わり特約を適用するための被保険者の過失割合の所定の範囲が「80以上100未満」と設定されている場合は、図1に示したように、被保険者の過失割合:相手側の過失割合=7:3の場合は、肩代わり特約が適用されないことになる。
【0035】
図3に戻り、相手側契約処理部112は、条件判断部110が被保険者の過失割合が所定の範囲内であると判断した場合に、当該相手側を当該相手側が負担すべき自動車の修理費が補償される保険の契約者として仮設定し、当該相手側の同意に基づき、当該相手側の仮設定を本契約とする処理を行う。
【0036】
工場選出部114は、相手側契約処理部112が相手側を仮設定したとき、修理工場情報記憶部132に設定された修理工場の中から、当該相手側が当該相手側の自動車の修理を行うための修理工場の候補を選出する。図6は、修理工場情報記憶部132の構成の一例を示す図である。ここでは、修理工場情報記憶部132は、工場識別情報欄、住所欄、連絡先欄等を含む。
【0037】
工場選出部114は、たとえば事故報告受付部104が受け付けた事故の相手側の住所に基づき、修理工場情報記憶部132を参照して、当該相手側と住所が近い修理工場を候補として選出することができる。ここで、工場選出部114は、複数の修理工場を候補として選出することができる。
【0038】
相手側契約処理部112は、相手側が、工場選出部114が選出した修理工場で自動車を修理することに同意した場合に、当該相手側の仮設定を本契約とする処理を行う。相手側契約処理部112は、たとえば事故報告受付部104が受け付けた事故の相手側のメールアドレスに、工場選出部114が選出した修理工場の情報を含めるとともに、自動車の修理を当該修理工場で行うことに同意するか否かを問い合わせるメールを送り、相手側からの返信を受け付けることができる。また、後述するように、相手側の相手側端末310にもウェブ画面を提供するような場合、当該ウェブ画面から相手側の指示を受け付けることもできる。
【0039】
なお、ここでは、相手側契約処理部112が、工場選出部114が選出した修理工場の候補を相手側に通知して同意を求める例を示しているが、相手側が、保険会社システム100を管理する保険会社が予め契約している自動車の修理工場で自分の自動車の修理を行うことに同意するのであれば、修理工場が特定されていない状態で、相手側が同意したとして当該相手側の仮設定を本契約とする処理を行うこともできる。
【0040】
また、相手側契約処理部112が相手側の仮設定を本契約とする処理を行った場合、工場選出部114は、候補として選出した修理工場の修理工場サーバ200に、相手側の車両番号等を含む相手側の情報を通知して、自動車の修理依頼が生じる予定等を修理工場に通知しておくこともできる。
【0041】
債権放棄処理部116は、相手側契約処理部112が相手側の仮設定を本契約とする処理を行った場合に、被保険者の自動車の修理費のうち、当該相手側が負担すべき自動車の修理費が相手側が加入する自動車保険の保険会社に請求されることがないように処理する。
【0042】
たとえば、通常の処理では、図11を参照して説明したように、被保険者である運転手Aの車の修理費X円のうち、0.3X円は、相手側の運転手Bが負担することになっている。そのため、保険会社システム100を管理する保険会社は、運転手Bが加入する保険会社に、「0.3X円」分の債権を請求する処理を行う。しかし、本実施の形態においては、被保険者である運転手Aの肩代わり保険が適用される場合、この修理費についても運転手Aの保険会社が負担することになる。そのため、債権放棄処理部116は、相手側契約処理部112が相手側の仮設定を本契約とする処理を行った場合に、このような債権を放棄する処理を行う。具体的には、たとえば事故処理記憶部136の該当する箇所に、「債権請求なし」等を記憶する。
【0043】
図7は、事故処理記憶部136の構成の一例を示す図である。
ここでは、基本契約欄と、肩代わり特約契約欄とが含まれる。基本契約欄は、事故識別情報、契約識別情報、証券番号、契約者名、被保険者名、事故種別、事故パターン、自己過失割合、相手側過失割合、相手側氏名、相手側連絡先、相手側保険会社、相手側債権等を含む。この情報は、事故報告受付部104が書き込むことができる。また、肩代わり特約契約欄は、契約状況、契約識別情報、被保険者名、ユーザID、修理工場、債権放棄処理等を含む。この情報は、肩代わり処理部108が書き込むことができる。ここでは、まだ相手側の仮設定が本契約となっていない状態を示している。
【0044】
ここで、通常は、被保険者の自動車の修理費が決定されると、基本契約欄の「相手側債権」の欄には、「相手側過失割合×被保険者の自動車の修理費」が相手側の保険会社に請求される債権として記憶される。しかし、本実施の形態において、相手側の仮設定が本契約となると、相手側契約処理部112は、「相手側債権」に、「債権請求なし」等を記憶することができる。これにより、事故処理記憶部136に記憶された情報に基づき、各種事故処理を行う保険会社の担当者が、相手側の保険会社への債権請求をする処理を行わないようにすることができる。なお、ここで、相手側の保険会社としているが、相手側も、被保険者と同じ保険会社の自動車保険に加入している可能性もある。この場合は、自社内での処理になるが、相手側の保険契約に対して債権請求処理が行われないようにすることができる。
【0045】
図8は、本実施の形態における保険会社システム100の肩代わり処理部108の処理手順を示すフローチャートである。
事故報告受付部104が事故報告を受け付けると、肩代わり処理部108は、事故報告の通知を受ける(ステップS102)。
【0046】
条件判断部110は、条件記憶部134を参照して、条件記憶部134に設定された条件を満たすか否かの判断を行う。まず、条件判断部110は、該当する保険に肩代わり特約が設定されているか否かを判断する(ステップS104)。肩代わり特約が設定されている場合(ステップS104のYES)、被保険者の過失割合が所定範囲内か否かを判断する(ステップS106)。
【0047】
ここで、被保険者の過失割合が所定範囲内の場合(ステップS106のYES)、事故が対車両か否かを判断する(ステップS108)。事故が対車両の場合(ステップS108のYES)、相手側契約処理部112に通知を行い、相手側契約処理部112は、相手側を肩代わり特約契約に仮設定する(ステップS110)。
【0048】
この後、工場選出部114は、修理工場の候補を選出する(ステップS112)。次いで、相手側契約処理部112は、工場選出部114が選出した修理工場の候補を相手側に通知し、肩代わり特約契約に同意するか否かを問い合わせる。相手側が同意した場合(ステップS114のYES)、相手側契約処理部112は、相手側の仮設定を本契約とする処理を行う(ステップS116)。この後、債権放棄処理部116は、債権放棄処理を行う(ステップS118)。
【0049】
一方、ステップS104、ステップS106、ステップS108で条件を満たさない場合(ステップS104のNO、ステップS106のNO、ステップS108のNO)、肩代わり特約は適用されず、処理を終了する。また、ステップS114で相手側が同意しない場合(ステップS114のNO)も肩代わり特約は適用されず、処理を終了する。
【0050】
また、肩代わり処理部108は、条件判断部110の判断により、肩代わり特約の適用が設定されている場合、この特約の説明のウェブ画面を被保険者端末300に提供することができる。これにより、被保険者は、たとえばウェブ画面を相手側に見せながら、処理をすすめることができる。また、たとえば相手側は、被保険者の被保険者端末300のディスプレイに表示される説明画面を見ながら、自分の相手側端末310で自分の保険会社の担当者と電話で話をすることもできる。
【0051】
また、たとえば相手側が希望する場合は、相手側の相手側端末310にも特約の説明画面を提供して、相手側が自分の相手側端末310で説明情報を確認するようにすることもできる。
【0052】
図9は、このような場合の保険会社システム100の処理手順の一例を示すフローチャートである。
事故が発生し、被保険者が被保険者端末300から事故報告受付のためのウェブ画面にアクセスして、事故報告を入力すると(ステップS120)、事故報告受付部104が事故報告を受け付ける(ステップS122)。
【0053】
この後、肩代わり処理部108の条件判断部110が図8のステップS104〜ステップS108の処理で肩代わり特約の適用条件を満たすか否か判断する(ステップS124)。ここで、条件を満たす場合(ステップS126のYES)、相手側契約処理部112が相手側を肩代わり特約に仮設定する(ステップS128)。この後、相手側契約処理部112は、被保険者端末300および相手側端末310に、肩代わり特約の説明のウェブ画面を提供する(ステップS130)。これにより、相手側が、相手側端末310から同意指示を行い(ステップS132)、相手側の同意が得られると(ステップS134のYES)、相手側契約処理部112は、相手側の仮設定を本契約とする(ステップS136)。ステップS126で条件を満たさない場合は(ステップS126のNO)、肩代わり特約の説明のウェブ画面等は提供されず、事故報告の入力のみを受付、今後の処理手順を説明する等通常の処理が行われる。
【0054】
なお、図8のステップS116で相手側の仮設定を本契約とする処理を行った場合、相手側契約処理部112は、相手側の自動車の修理費を保険会社が負担することを示す証明書等を発行して、相手側に渡すこともできる。この場合、たとえば相手側の相手側端末310に、証明書を表示して、相手側がその証明書をダウンロードできるようにすることもできる。
【0055】
図3に示した保険会社システム100の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。保険会社システム100の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0056】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0057】
100 保険会社システム
102 通信制御部
104 事故報告受付部
108 肩代わり処理部
110 条件判断部
112 相手側契約処理部
114 工場選出部
116 債権放棄処理部
130 契約情報記憶部
132 修理工場情報記憶部
134 条件記憶部
136 事故処理記憶部
140 事例データベース
200 修理工場サーバ
300 被保険者端末
310 相手側端末
400 ネットワーク
500 自動車
510 自動車
520 一時停止標識

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保険者の過失割合を含む自動車同士の自動車事故の報告を受け付け、当該被保険者の加入している保険に、当該自動車事故の相手側が負担すべき自動車の修理費を保険会社が負担する肩代わり特約が設定されている場合に、当該被保険者の過失割合が50%より大きく100%未満の所定の範囲内であるか否かを判断し、当該所定の範囲内の場合に、当該相手側の同意を得るための処理を行う肩代わり処理部を含む保険会社システム。
【請求項2】
請求項1に記載の保険会社システムにおいて、
前記肩代わり処理部は、
前記肩代わり特約の適用条件として、当該被保険者の過失割合の前記所定の範囲を記憶する条件記憶部と、
前記条件記憶部を参照して、前記被保険者の過失割合が前記所定の範囲内か否かを判断する条件判断部と、
前記条件判断部が前記被保険者の過失割合が前記所定の範囲内であると判断した場合に、当該相手側を当該相手側が負担すべき自動車の前記修理費が補償される保険の契約者として仮設定し、当該相手側の同意に基づき、当該相手側の前記仮設定を本契約とする処理を行う相手側契約処理部と、
を含む保険会社システム。
【請求項3】
請求項2に記載の保険会社システムにおいて、
保険会社が予め契約している自動車の修理を行う修理工場の情報を記憶する修理工場情報記憶部をさらに含み、
前記相手側契約処理部は、前記相手側が、前記修理工場情報記憶部に記憶された前記修理工場で当該相手側の自動車を修理することに同意した場合に、当該相手側の前記仮設定を本契約とする処理を行う保険会社システム。
【請求項4】
請求項3に記載の保険会社システムにおいて、
前記肩代わり処理部は、
前記相手側契約処理部が前記相手側を前記仮設定したとき、前記修理工場情報記憶部に設定された前記修理工場の中から、当該相手側が当該相手側の自動車の修理を行うための修理工場の候補を選出する工場選出部をさらに含み、
前記相手側契約処理部は、前記相手側が、前記工場選出部が候補として選出した前記修理工場で当該相手側の自動車を修理することに同意した場合に、当該相手側の前記仮設定を本契約とする処理を行う保険会社システム。
【請求項5】
請求項2から4いずれかに記載の保険会社システムにおいて、
前記肩代わり処理部は、
前記相手側契約処理部が前記相手側の前記仮設定を本契約とする処理を行った場合に、前記被保険者の自動車の修理費のうち、当該相手側が負担すべき自動車の修理費が相手側が加入する自動車保険の保険会社に請求されることがないように処理する債権放棄処理部をさらに含む保険会社システム。
【請求項6】
コンピュータを、
被保険者の過失割合を含む自動車同士の自動車事故の報告を受け付け、当該被保険者の加入している保険に、当該自動車事故の相手側が負担すべき自動車の修理費を保険会社が負担する肩代わり特約が設定されている場合に、当該被保険者の過失割合が50%より大きく100%未満の所定の範囲内であるか否かを判断し、当該所定の範囲内の場合に、当該相手側の同意を得るための処理を行う肩代わり処理手段、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−204116(P2011−204116A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72327(P2010−72327)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(506032233)MS&AD基礎研究所株式会社 (11)