説明

保険料算出システム及び運行配置決定システム

【課題】ドライブレコーダ等により得られる各ドライバの各地域における運転特性を用いて保険料を算出できるようにする。
【解決手段】複数のドライバそれぞれにおいて、複数の地域毎の運転特性を示すドライバ−地域運転特性データを取得する運転特性データ取得部2と、複数のドライバそれぞれを複数の地域それぞれに配置した組み合わせを示すドライバ−地域組み合わせデータを取得するドライバ−地域組み合わせデータ取得部3と、ドライバ−地域運転特性データ及びドライバ−地域組み合わせデータに基づいて、各地域に配置されたドライバの当該地域に関する運転特性によって保険料を算出する保険料算出部4とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの運転特性及び地域特性等を考慮した保険料を算出できる保険料算出システム、又は運転特性及び地域特性を考慮して運行配置を決定できる運行配置決定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車保険の保険料算出システムとしては、特許文献1に示すように、車両の運転者の運転情報及び車両が存在する位置情報に基づいて、運転者の運転対応を予測してその運転対応に関する情報に基づいて運転者に注意喚起すると共に、その注意喚起後の運転者の運転情報と前記予測された運転対応に関する情報とを比較して、運転者の保険料を設定するものが考えられている。
【0003】
しかしながら、この自動車保険は、個人契約を前提として、予測された運転対応に関する情報と運転者の運転情報との比較結果に基づいて保険料を設定するものであり、フリート契約等の複数台の一括契約を想定したものではない。
【0004】
ここでフリート契約では、どの運転者がどこの地域を走行するかで事故発生率等が異なり、どのように運転者を配置するかが重要な問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4416374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、フリート契約等の複数台の一括契約において、各地域における各ドライバの運転特性を考慮して保険料を算出する保険料算出システム又は各地域における各ドライバの運転特性を考慮して運行配置を決定できる運行配置決定システムを提供することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る保険料算出システムは、複数のドライバそれぞれにおいて、複数の地域毎の運転特性を示すドライバ−地域運転特性データを取得するドライバ−地域運転特性データ取得部と、前記複数のドライバそれぞれを前記複数の地域それぞれに配置した組み合わせを示すドライバ−地域組み合わせデータを取得するドライバ−地域組み合わせデータ取得部と、前記ドライバ−地域運転特性データ及び前記ドライバ−地域組み合わせデータに基づいて、各地域に配置されたドライバの当該地域に関する運転特性によって保険料を算出する保険料算出部とを具備することを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、フリート契約等の複数台の一括契約において、各地域における各運転者の運転特性を考慮して組み合わせ毎の保険料を算出することができる。これにより、ユーザは最も保険料が安くなる複数のドライバと複数の地域との組み合わせを選ぶことができる。
【0009】
保険料を算出する上で、運転特性の指標として各ドライバの事故情報又はヒヤリハット情報を用いることが保険料算出の判断基準としては分かりやすい。このため、前記ドライバ−地域運転特性が、各ドライバの各地域における事故情報及びヒヤリハット情報に基づいて算出された安全運転度を含むものであることが望ましい。
【0010】
ドライバと車両との相性も考慮して保険料を算出するためには、複数のドライバそれぞれにおいて、複数の車両毎の運転特性を示すドライバ−車両運転特性データを取得するドライバ−車両運転特性データ取得部と、前記複数のドライバそれぞれを前記複数の車両それぞれに配置した組み合わせを示すドライバ−車両組み合わせデータを取得するドライバ−車両組み合わせデータ取得部とを備え、前記保険料算出部が、前記ドライバ−地域運転特性データ及び前記ドライバ−地域組み合わせデータ並びに前記ドライバ−車両運転特性データ及び前記ドライバ−車両組み合わせデータに基づいて、各地域に配置されたドライバの当該地域に関する運転特性並びに各車両を運転するドライバの当該車両に関する運転特性によって保険料を算出するものであることが望ましい。
【0011】
また本発明に係る保険料算出システムは、複数の地域それぞれの地域特性を示す地域特性データを取得する地域特性データ取得部と、複数のドライバそれぞれの運転特性を示す運転特性データを取得する運転特性データ取得部と、前記複数のドライバそれぞれを前記複数の地域それぞれに配置した組み合わせを示すドライバ−地域組み合わせデータを取得するドライバ−地域組み合わせデータ取得部と、前記地域特性データ、前記運転特性データ及び前記ドライバ−地域組み合わせデータを用いて保険料を算出する保険料算出部とを具備することができる。
【0012】
保険料を算出する上で、地域特性の指標として各ドライバの事故情報又はヒヤリハット情報を用いることが保険料算出の判断基準としては分かりやすい。このため、前記地域特性が、当該地域を複数のドライバが走行した際の事故情報及びヒヤリハット情報により算出された危険度を含むものであることが望ましい。
【0013】
客観的な運転特性データを用いて正確な保険料算出を行うようにするためには、前記事故情報及びヒヤリハット情報が、車両搭載型のドライブレコーダにより得られたものであることが望ましい。ここで、事故情報だけでなくヒヤリハット情報を用いることで保険料算出の正確性を向上させることができる。
【0014】
また本発明に係る運行配置決定システムは、複数のドライバそれぞれにおいて、複数の地域毎の、安全運転の指標となる安全運転度又は運行スピードを含む運転特性を示すドライバ−地域運転特性データを取得するドライバ−地域運転特性データ取得部と、前記複数のドライバが運行する複数の地域及びそれら各地域を運行した場合の売り上げを示す地域データを取得する地域データ取得部と、取得したドライバ−地域運転特性データに含まれる安全運転度又は運行スピードと、取得した地域データに含まれる売り上げとを用いて、前記複数のドライバを一括契約した場合における保険料、又は、少なくとも運行による利益又は運行スピードを含む運行効率を最適化の基準として、前記複数の地域及び前記複数のドライバの運行配置の組み合わせを決定する配置決定部とを具備することを特徴とする。ここで運行効率には、例えば運行による会社の利益、運行スピード(配達等の運行時間)、運行する際に必要な諸経費(例えば人件費、車両の燃料代)、車両の燃費又は車両の維持費等が含まれる。
【0015】
このようなものであれば、フリート契約等の複数台の一括契約を行う場合に、各地域における各ドライバの運転特性を考慮して、複数の地域及び複数のドライバの運行配置の組み合わせを決定することができる。これにより、例えば最も保険料が安くなるように運行配置の組み合わせを決定する、保険料が高額となっても売上が大きくなるように運行配置の組み合わせを決定する、又は運行スピードを速くするように運行配置の組み合わせを決定する等の種々のシミュレーションができる。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、フリート契約等の複数台の一括契約において、各地域の地域特性及び各運転者の運転特性を考慮して保険料を算出する保険料算出システム又は運転特性及び地域特性を考慮して運行配置を決定できる運行配置決定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る保険料算出システムの全体構成図。
【図2】同実施形態の保険料算出システムの機能を示す機能構成図。
【図3】同実施形態の各地域における各ドライバの安全運転度を示す図。
【図4】第2実施形態に係る保険料算出システムの機能を示す機能構成図。
【図5】同実施形態の各車両における各ドライバの安全運転度等を示す図。
【図6】第3実施形態に係る最適配置決定システムの機能を示す機能構成図。
【図7】同実施形態の各地域における各ドライバの安全運転度等を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下に、本発明に係る保険料算出システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係る保険料算出システム100は、フリート契約等の複数台の一括契約において、図1に示すように、各車両V(例えば物品運搬車両や営業用車両)に設けられたドライブレコーダ200の加速度等の運転情報データから得られる各ドライバの運転特性を考慮して保険料を算出するものである。各車両Vに設けられたドライブレコーダ200が取得した運転情報は、当該車両を管轄している事業所に設けられた事業所端末(ユーザ端末)である運行管理装置300に収集される。そして、複数の運行管理装置300は、インターネットを介して保険料算出システム100と情報通信可能に接続されている。
【0020】
具体的に保険料算出システム100は、CPU、メモリ、I/Oチャネル、A/Dコンバータ等を備えた専用乃至汎用のコンピュータであり、前記メモリに記憶させた保険料算出プログラムにしたがってCPU及びその周辺機器が協働することにより、図2に示すように、ドライバ−地域運転特性データ取得部2、ドライバ−地域組み合わせデータ取得部3及び保険料算出部4等としての機能を発揮する。この保険料算出システム100は、前記各部2〜4が物理的に分離されて有線又は無線で通信可能に構成したものであっても良い。
【0021】
以下、各部2〜4の機能と併せて保険料算出システム100の動作について図2及び図3を参照して説明する。
【0022】
まずドライバ−地域運転特性データ取得部2は、事業所端末である運行管理装置300からドライバ−地域運転特性データを取得する。このドライバ−地域運転特性データは、ドライブレコーダ200により取得された車両周囲画像、車速データ、加速度データ、ブレーキデータ、位置データ等を含む運転情報データから算出されるデータであり、各ドライバの各地域における事故情報及びヒヤリハット情報に基づいて算出された安全運転の指標となる安全運転度を含むものである。具体的にドライバ−地域運転特性データは、図3に示すように、各ドライバ毎に各地域(本実施形態では運行ルート)における安全運転度を0(不可)〜10(良)の11段階に数値化したものである。この運転特性データは、各車両Vからの運転情報データを取得する運行管理装置300により演算される。
【0023】
また、ドライバ−地域組み合わせデータ取得部3は、複数のドライバそれぞれを複数の地域それぞれに配置した組み合わせを示すドライバ−地域組み合わせデータを取得するものである。このドライバ−地域組み合わせデータは、保険料算出システム100の入力装置(例えばキーボード等)により入力されるものであっても良いし、事業所端末である運行管理装置300やユーザ端末であるその他のコンピュータを用いて入力されるように構成しても良い。事業所端末やユーザ端末から入力される場合は、ドライバ−地域組み合わせデータはインターネット等を介して保険料算出システム100に送信される。
【0024】
そして前記ドライバ−地域運転特性データ取得部2は、取得したドライバ−地域運転特性データを保険料算出部4に送信するとともに、前記ドライバ−地域組み合わせデータ取得部3は、取得したドライバ−地域組み合わせデータを保険料算出部4に送信する。その後、保険料算出部4は、ドライバ−地域運転特性データ及びドライバ−地域組み合わせデータに基づいて、各地域に配置されたドライバの当該地域に関する運転特性によって保険料を算出する。具体的には、ドライバ−地域組み合わせデータが示す各地域と各ドライバとの組み合わせから、ドライバ−地域運転特性データが示す当該地域の安全運転度の数値(0〜10)の合計により保険料を算出する。
【0025】
例えば各地域と各ドライバとの組み合わせが、ドライバ01−ルートB(安全運転度6)、ドライバ02−ルートC(安全運転度8)、ドライバ03−ルートA(安全運転度1)、ドライバ04−ルートD(安全運転度5)であれば、安全運転度の合計が20となる。そしてこの合計と保険料毎に定めた基準値との大小に基づいて保険料を算出する。
【0026】
<第1実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る保険料算出システム100によれば、フリート契約等の複数台の一括契約において、各地域における各運転者の運転特性(各地域毎の安全運転度)を考慮して組み合わせ毎の保険料を算出することができる。これにより、ユーザは最も保険料が安くなる複数のドライバと複数の地域との組み合わせを選ぶことができる。
【0027】
<第2実施形態>
次の本発明の保険料算出システム100の第2実施形態について説明する。本実施形態の保険料算出システム100は、前記第1実施形態に加えて各ドライバと各車両Vとの組み合わせを考慮して保険料を算出するものである。具体的に保険料算出システム100は、図4に示すように、ドライバ−車両運転特性データ取得部5及びドライバ−車両組み合わせデータ取得部6としての機能をさらに発揮する。
【0028】
ドライバ−車両運転特性データ取得部5は、複数のドライバそれぞれにおいて、複数の車両毎の運転特性を示すドライバ−車両運転特性データを取得するものである。このドライバ−車両運転特性データ取得部5は、図5に示すように、各車両Vと各ドライバとの組み合わせにおける運行スピード、安全運転度及び運行正確性を0(不可)〜10(良)の11段階に数値化したデータを取得する。なお、この運行スピード、安全運転度及び運行正確性もドライブレコーダ200により得られる運転情報データから算出される。
【0029】
ドライバ−車両組み合わせデータ取得部6は、複数のドライバそれぞれを複数の車両Vそれぞれに配置した組み合わせを示すドライバ−車両組み合わせデータを取得するものである。このドライバ−車両組み合わせデータ6は、保険料算出システム100の入力装置(例えばキーボード等)により入力されるものであっても良いし、事業所端末である運行管理装置300やユーザ端末であるその他のコンピュータを用いて入力されるように構成しても良い。事業所端末やユーザ端末から入力される場合は、ドライバ−車両組み合わせデータはインターネット等を介して保険料算出システム100に送信される。
【0030】
そして保険料算出部4は、各地域における各ドライバの安全運転度に加えて、各車両における各ドライバの運行スピード、安全運転度及び運行正確性を用いて保険料を算出する。なお保険料の算出方法としては、前記実施形態の各地域と各ドライバの安全運転度だけでなく、各車両Vと各ドライバの運行スピード、安全運転度及び運行正確性を算出して合計することによって保険料を算出することが考えられる。その他、例えば安全運転度を特に重視して保険料を算出する場合は、安全運転度の数値はそのまま用いて、他の運行スピードや運行正確性の数値にはある比率を掛けて得た値を合計して、この値に基づき保険料を算出することも可能である。
【0031】
<第2実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の保険料算出システム100によれば、フリート契約等の複数台の一括契約において、各地域における各ドライバの運転特性(各地域毎の安全運転度)及び各車両における各ドライバの運転特性(各車両毎の運行スピード、安全運転度及び運行正確性)を考慮して保険料を算出することができる。
【0032】
なお、本発明の保険料算出システムは前記第1実施形態及び第2実施形態に限られるものではない。例えば保険料算出システムは、複数の地域それぞれの地域特性を示す地域特性データを取得する地域特性データ取得部と、複数のドライバそれぞれの運転特性を示すドライバ運転特性データを取得するドライバ運転特性データ取得部と、前記複数のドライバそれぞれを前記複数の地域それぞれに配置した組み合わせを示すドライバ−地域組み合わせデータを取得するドライバ−地域組み合わせデータ取得部と、前記地域特性データ、前記ドライバ運転特性データ及び前記ドライバ−地域組み合わせデータを用いて保険料を算出する保険料算出部とを具備するものであっても良い。ここで地域特性データは、その地域を一人又は複数のドライバが走行した際の運転特性から平均等して算出した値をその地域に関連付けた値であり、事故情報及びヒヤリハット情報により算出された危険度を含む。このように構成した保険料算出システムにより地域特性及び運転特性を考慮してフリート契約等の一括契約における保険料を算出することができる。
【0033】
また、各ドライバ−地域運転特性データを事業所端末300からインターネットを介して保険料算出システム100に送信することの他、各ドライバ−地域運転特性データを記憶したUSBメモリ等の外部メモリを用いて保険料算出システム100にドライバ−地域運転特性データを入力するようにしても良い。
【0034】
さらにドライブレコーダ200が取得した前方画像を用いて安全運転度をより詳細に算出しても良い。具体的には撮影された前方画像を画像処理して標識の認識を行い、ドライバが当該標識通りの運転を行っているか否かを判定して安全運転度に反映させるようにしても良い。その他ドライバ自身を撮影して、わき見運転や居眠り運転の有無を安全運転度に反映させるようにしても良い。
【0035】
また、安全運転度を算出するに際して、各ドライバの運転割合(走行距離や走行時間など)を考慮して保険料を算出するように構成しても良い。
【0036】
<第3実施形態>
次に本発明の運行配置決定システムに一実施形態について図6及び図7を参照して説明する。
【0037】
本実施形態に係る運行配置決定システム400は、フリート契約等の複数台の一括契約において、保険料及び会社の利益を考慮したドライバの配置を決定するためのシミュレーション等に用いるものである。
【0038】
具体的にこのものは、CPU、メモリ、I/Oチャネル、A/Dコンバータ等を備えた専用乃至汎用のコンピュータであり、前記メモリに記憶させた運行配置決定プログラムにしたがってCPU及びその周辺機器が協働することにより、図6に示すように、ドライバ−地域運転特性データ取得部7、地域データ取得部8及び配置決定部9等としての機能を発揮する。この運行配置決定システム400は、前記各部7〜9が物理的に分離されて有線又は無線で通信可能に構成したものであっても良い。
【0039】
以下、各部7〜9の機能と併せて運行配置決定システム400の動作について説明する。
【0040】
まずドライバ−地域運転特性データ取得部7は、事業所端末である運行管理装置300からインターネットを介してドライバ−地域運転特性データを取得する。このドライバ−地域運転特性データは、ドライブレコーダ200により取得された車両周囲画像、車速データ、加速度データ、ブレーキデータ、位置データ等を含む運転情報データから算出されるデータであり、各ドライバの各地域における事故情報及びヒヤリハット情報に基づいて算出された安全運転度を含むものである。具体的にドライバ−地域運転特性データは、図7に示すように、各ドライバの各地域における運行スピード、各ドライバ毎に各地域(本実施形態では運行ルート)における安全運転度、及び各ドライバの各地域における運行ルートの運行正確性等を含むものである。具体的にドライバ−地域運転特性データは、図7に示すように、各ドライバ01〜05毎に各地域(運行ルート)の運行スピード/安全運転度/運行正確性を0(不可)〜10(良)の11段階に数値化したものである。このドライバ−地域運転特性データは、各車両Vからの運転情報データを取得する運行管理装置300により演算される。なお、運転特性データを記憶したUSBメモリ等の外部メモリを用いて運行配置決定システム400に運転特性データを入力するようにしても良い。
【0041】
地域データ取得部8は、複数のドライバを配置すべき複数の地域(ルート)及びそれら各地域を運行した場合の売り上げを示す地域データを取得する。この地域データは、運行配置決定システム400の入力装置(例えばキーボード等)により入力されるものであっても良いし、事業所端末である運行管理装置300やユーザ端末であるその他のコンピュータを用いて入力されるように構成しても良い。事業所端末やユーザ端末から入力される場合は、組み合わせデータはインターネット等を介して運行配置決定システム400に送信される。
【0042】
そして、前記ドライバ−地域運転特性データ取得部7は、取得したドライバ−地域運転特性データを配置決定部9に送信するとともに、前記地域データ取得部8は、取得した地域データを配置決定部9に送信する。そして、配置決定部9は、運転特性データ及び地域データを用いて、複数の地域及び複数のドライバの運行配置の組み合わせを決定する。配置決定部9の具体的な配置決定方法を以下に説明する。
【0043】
ドライバ−地域運転特性データに示される各地域(各ルート)は、それぞれ「売り上げ」が決まっている。なお、この売り上げのデータは地域データに含まれている。また、ドライバ−地域運転特性データ内の「安全運転度」の数値から「保険料」が算出可能である。さらに、ドライバ−地域運転特性データ内の「運行正確性」は、正確性が低いほど、誤配送等が多いことを意味しており、別の工数や手間がかかることになる。よって、この「運行正確性」の数値から「別途かかる費用」が算出可能である。
【0044】
そこで、例えばドライバ01をルートAに配置する場合には、上記で算出された「保険料」及び「別途かかる費用」を用いて、「ルートAの売り上げ」−「保険料」−「別途かかる費用」=「ドライバ01がルートAを走った場合の会社の実際の利益」が算出できる。さらにその値を「運行スピード」で割ると、「ドライバ01がルートAを走った場合の単位時間当たりの単位利益」が算出できる。そして、各ドライバ毎に上記の計算を行うことで単位利益の総和が最大値となるように最適な「ルート及びドライバ」の組み合わせを演算する。
【0045】
<第3実施形態の効果>
このように構成した運行配置決定システム400によれば、フリート契約等の複数台の一括契約を行う場合に、各地域における各ドライバの運転特性を考慮して、複数の地域及び複数のドライバの運行配置の組み合わせを決定することができる。これにより、例えば最も保険料が安くなるように運行配置の組み合わせを決定する等のシミュレーションを行うことができる。また、保険料だけでなく、運行による会社の利益、運行スピード及び運行正確性に基づいて、複数の地域及び複数のドライバの運行配置の組み合わせを決定することができ、例えば保険料が高額となっても売上を大きくする、又は運行スピードを速くする等の種々のシミュレーションができる。
【0046】
なお、前記実施形態では、ドライブレコーダを用いて運転情報データを得たが、これに限らず、いわゆる運行管理計やドライブレコーダと運行管理計との複合器等のように、運転情報データが取得できる車載器であれば良い。
【0047】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
100・・・保険料算出システム
200・・・ドライブレコーダ
300・・・事業所端末(ユーザ端末)
2 ・・・ドライバ−地域運転特性データ取得部
3 ・・・ドライバ−地域組み合わせデータ取得部
4 ・・・保険料算出部
5 ・・・ドライバ−車両運転特性データ取得部
6 ・・・ドライバ−車両組み合わせデータ取得部
400・・・運行配置決定システム
7 ・・・ドライバ−地域運転特性データ取得部
8 ・・・地域データ取得部
9 ・・・配置決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のドライバそれぞれにおいて、複数の地域毎の運転特性を示すドライバ−地域運転特性データを取得するドライバ−地域運転特性データ取得部と、
前記複数のドライバそれぞれを前記複数の地域それぞれに配置した組み合わせを示すドライバ−地域組み合わせデータを取得するドライバ−地域組み合わせデータ取得部と、
前記ドライバ−地域運転特性データ及び前記ドライバ−地域組み合わせデータに基づいて、各地域に配置されたドライバの当該地域に関する運転特性によって保険料を算出する保険料算出部とを具備する保険料算出システム。
【請求項2】
前記ドライバ−地域運転特性が、各ドライバの各地域における事故情報及びヒヤリハット情報に基づいて算出された安全運転度を含むものである請求項1記載の保険料算出システム。
【請求項3】
複数のドライバそれぞれにおいて、複数の車両毎の運転特性を示すドライバ−車両運転特性データを取得するドライバ−車両運転特性データ取得部と、
前記複数のドライバそれぞれを前記複数の車両それぞれに配置した組み合わせを示すドライバ−車両組み合わせデータを取得するドライバ−車両組み合わせデータ取得部とを備え、
前記保険料算出部が、前記ドライバ−地域運転特性データ及び前記ドライバ−地域組み合わせデータ並びに前記ドライバ−車両運転特性データ及び前記ドライバ−車両組み合わせデータに基づいて、各地域に配置されたドライバの当該地域に関する運転特性並びに各車両を運転するドライバの当該車両に関する運転特性によって保険料を算出するものである請求項1又は2記載の保険料算出システム。
【請求項4】
複数の地域それぞれの地域特性を示す地域特性データを取得する地域特性データ取得部と、
複数のドライバそれぞれの運転特性を示すドライバ運転特性データを取得するドライバ運転特性データ取得部と、
前記複数のドライバそれぞれを前記複数の地域それぞれに配置した組み合わせを示すドライバ−地域組み合わせデータを取得するドライバ−地域組み合わせデータ取得部と、
前記地域特性データ、前記ドライバ運転特性データ及び前記ドライバ−地域組み合わせデータを用いて保険料を算出する保険料算出部とを具備する保険料算出システム。
【請求項5】
前記地域特性が、当該地域を複数のドライバが走行した際の事故情報及びヒヤリハット情報により算出された危険度を含むものである請求項4記載の保険料算出システム。
【請求項6】
前記事故情報及びヒヤリハット情報が、車両搭載型のドライブレコーダにより得られたものである請求項2又は5記載の保険料算出システム。
【請求項7】
複数のドライバそれぞれにおいて、複数の地域毎の、安全運転の指標となる安全運転度又は運行スピードを含む運転特性を示すドライバ−地域運転特性データを取得するドライバ−地域運転特性データ取得部と、
前記複数のドライバが運行する複数の地域及びそれら各地域を運行した場合の売り上げを示す地域データを取得する地域データ取得部と、
取得したドライバ−地域運転特性データに含まれる安全運転度又は運行スピードと、取得した地域データに含まれる売り上げとを用いて、前記複数のドライバを一括契約した場合における保険料、又は、少なくとも運行による利益又は運行スピードを含む運行効率を最適化の基準として、前記複数の地域及び前記複数のドライバの運行配置の組み合わせを決定する配置決定部とを具備する運行配置決定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−164289(P2012−164289A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26338(P2011−26338)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】