説明

保険業務における見積書と申込書の作成支援システム

【課題】 見積書の作成が簡単に行なえ、作成された見積書の記載内容に応じて、申込書と重要事項説明書が自動的に作成できる、保険業務における見積書と申込書の作成支援システムに関する。
【解決手段】 見積書作成機能は、端末装置上で基本情報入力画面と契約条件入力画面と見積書作成画面を切り替え表示でき、基本情報入力画面では基本情報を、契約条件入力画面では保険契約条件を入力する。保険契約条件等の入力後に、保険料と保険契約条件を取り込んだ見積書を端末装置の見積書作成画面に表示し、この見積書を印刷可能とするものである。申込書作成機能は、見積書作成機能場面で入力された基本情報と保険契約条件を取り込んだ申込書を端末装置の申込書作成画面に表示し、この申込書を印刷可能とするものであり、重要事項説明書作成機能は、見積書作成機能場面で入力された保険契約条件に対応した重要事項説明書を印刷可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保険業務における見積書と申込書の作成支援システムに係り、さらに詳しくは、見積書の作成が基本情報と保険契約条件を端末装置に入力するだけで簡単に行なえ、ここで作成された見積書の記載内容に応じて、申込書と重要事項説明書が自動的に作成され、さらには災害補償規程ひな型が自動的に作成できるようになっている、保険業務における見積書と申込書の作成支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災保険、傷害保険、賠償責任保険、自動車保険などの損害保険の保険業務を営む保険会社においては、契約者(顧客)に損害保険の内容を理解してもらうために見積書を作成することが一般的に行なわれている。
この見積書の作成に際しては、契約者名のほか、代理店情報、契約者情報、記名被保険者情報などからなる基本情報と、業務内容及び売上高または延べ床面積、割増引適用条件、担保内容、保険金額などからなる保険契約条件の記入が不可欠である。
【0003】
従来、上記の見積書の作成は、代理店や保険会社が契約者とヒヤリングをした後、見積書に基本情報と保険契約条件とを手書きまたはワープロなどで記入して行なっていた。
しかしながら、このような見積書の作成は大変手間取るものであった。
【0004】
この見積書が功を奏して、保険契約の締結に至る場合には、その段階で改めて見積書の記載内容と同様の記載内容を申込書に再度記入する必要がある。さらに代理店や保険会社が契約者に説明すべき重要事項(保険業法により、契約に関する重要事項の説明が義務付けられている)は保険契約条件で異なっているため、重要事項の説明にはことさら気を遣うことが多く、またこの重要事項は実務上の理由から、重要事項説明書として文書化されることが多いものであった。
従来の重要事項説明書では、保険契約条件によっては本来必要のない重要事項まで総花的に記載してあることが多かったが、これでは重要事項説明書を読む側(契約者)にとっては、当該契約において本当に必要な重要事項が不鮮明となり、その結果契約者の重要事項違反が発生し、保険金の支払いに支障を来たすおそれもあった。
【0005】
このような問題を解決する目的から、ホストコンピュータを使用して申込書の作成と証券発行までを系統的にコンピュータ処理するようなシステム等も存在するが、そのシステムによってもやはり上記の問題を全て解決することはできなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平7−239885号公報
【0007】
すなわち、この特許文献1に記載された保険業務システムでは、申込書の作成から証券発行までを系統的に処理できるようにはなっているが、見積書と申込書の間の作成処理は全く考慮されておらず、さらには申込書作成時に重要事項説明書を契約条件を入力することで可変表示する点は全く考慮されておらず、依然として上記の問題を解決できる態勢ではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明にあっては、見積書を端末装置画面上で簡単に作成・印刷することができ、その見積書に入力された内容に対応して、自動的に申込書の作成・印刷ができ、当該契約条件に対応した重要事項だけを文書化したもの(以下、「重要事項説明書」という)を自動的に作成・印刷できるようにして、上記の全ての問題点を解消し、容易に保険業務における適正な見積書と申込書を作成し、当該申込書に付随すべき重要事項説明書も容易に入手できるようにする目的で提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、見積書作成機能と、申込書作成機能と、重要事項説明書作成機能とを有する保険業務における見積書と申込書の作成支援システムであって、
見積書作成機能は、端末装置上で基本情報入力画面と契約条件入力画面と見積書作成画面を切り替え表示可能に構成されるもので、基本情報入力画面では基本情報を入力し、契約条件入力画面では保険契約条件を入力するもので、基本情報及び保険契約条件の入力後に保険料算出ボタンを操作することにより、保険料と保険契約条件を取り込んだ見積書を端末装置の見積書作成画面に表示し、印刷手段によりこの見積書を印刷可能とするものであり、
申込書作成機能は、申込書作成ボタンを操作することにより、見積書作成機能場面で入力された基本情報と保険契約条件を取り込んだ申込書を端末装置の申込書作成画面に表示し、印刷手段によりこの申込書を印刷可能とするものであり、
重要事項説明書作成機能は、見積書作成機能場面で入力された保険契約条件に対応した重要事項説明書を印刷手段により印刷可能とするものであることを特徴とする保険業務における見積書と申込書の作成支援システムである。
【0010】
請求項2記載の発明は、申込書作成機能は、申込書記載例ボタンを操作することにより、見積書作成機能場面で入力された基本情報と保険契約条件を取り込んだ申込書記載例を端末装置の申込書作成画面に表示し、印刷手段によりこの申込書記載例を印刷可能とするものであることを特徴とする請求項1記載の保険業務における見積書と申込書の作成支援システムである。
【0011】
請求項3記載の発明は、入力データ保存・取込み機能を備え、この入力データ保存・取込み機能は、見積書履歴をテキストファイルとして外部保存・取込み可能としたものである請求項1又は2記載の保険業務における見積書と申込書の作成支援システムである。
【0012】
請求項4記載の発明は、災害補償規程ひな形作成機能を備え、この災害補償規程ひな形作成機能は、見積書作成機能場面で入力された基本情報と保険契約条件に対応した災害補償規程ひな形を端末装置の災害補償規程ひな形確認画面に表示し、印刷手段によりこの災害補償規程ひな形を印刷可能とするものである請求項1乃至3の何れかに記載の保険業務における見積書と申込書の作成支援システムである。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、請求項1及び2の保険業務における見積書と申込書の作成支援システムによれば、見積書作成場面で入力された基本情報と保険契約条件が申込書作成場面に自動的に反映するため、間違いのない申込書(または申込書記載例)が容易に得られ、かつ申込書に対応した過不足のない重要事項説明書が容易に得られるため、保険事務の正確性が確保されると共に、保険業法にかなう適正な業務が行えるという優れた効果がある。
【0014】
請求項3の保険業務における見積書と申込書の作成支援システムによれば、作成した見積書履歴を別のテキストファイルとして外部保存することができるので、次年度の保険契約の更改時には、この外部保存したデータを取り込むことで、前年度の見積内容を簡単に参照できるという効果がある。
【0015】
請求項4の保険業務における見積書と申込書の作成支援システムによれば、例えば中小企業であって、災害補償規程が未実施の企業などに対して、申込書に記載した保険の傷害ユニットの内容に対応した災害補償規程のひな形を作成して印刷できるので、実際に企業が災害補償規程を制定する際の有効な情報提供を行なえるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下添付図面に基づいて、本発明に係る保険業務における見積書と申込書の作成支援システムの実施例を詳説する。
図1は本発明の対象とするシステム全体の構成図であり、図2は同システムの操作関連図、図3は見積書作成機能についての説明図、図4は申込書作成機能についての説明図である。
【実施例1】
【0017】
本発明のシステムにおいて、見積書作成機能1は、端末装置100上で基本情報入力画面12と契約条件入力画面13と見積書作成画面14を切り換え表示可能に構成されており、基本情報入力画面12では、代理店情報、契約者情報、記名被保険者情報などの基本情報を入力する。
【0018】
ここで基本情報入力画面12の入力に際しては、使用方法説明画面15とリンクさせておくと使用性が向上する。この使用方法説明画面15では、操作上のあらゆる場面での対応を解説した説明文が事前に準備されており、操作で迷った場合には適切にその対応が説明されるようになっている。
【0019】
ついで契約条件入力画面13の入力に際しては、使用方法説明画面15のほかに、エラー参照画面16、その他の参考画面17とリンクさせておくと使用性が向上する。このエラー参照画面16はエラー表示が現れた場合の対処方法が解説され、その他の参考画面17では、各項目に応じた説明がされるようになっている。この契約条件入力画面13では、業務内容及び売上高または延べ床面積、割増引適用条件、担保内容、保険金額などの保険契約条件を入力する。また必要に応じて、各種の詳細設定画面24とリンクさせておくと、より細かい契約条件の設定ができるようになり便利となる。
【0020】
ついでこの入力が完了した後、保険料算出ボタン10を操作して保険料と保険契約条件を取り込んだ見積書11を端末装置100の見積書作成画面14に表示し、必要に応じてプリンタなどの印刷手段で見積書11を印刷する。なお見積書作成画面14では、必要に応じて追加入力をすることが可能となっている。
【0021】
上記した基本情報と保険契約条件を入力することで、本発明の申込書作成機能2の働きで、実際の契約締結に使用できる申込書21が申込書作成画面22上に作成される。この申込書21には、見積書作成時の入力データが全て反映するようになっているので、同一内容のデータを再度入力する手間は省かれ、かつ見積書11との齟齬を来たさないものとなる。
【0022】
上記の申込書21に代えて、申込書記載例画面23を作成・印刷することも可能であり、その手順は申込書21の作成の場合と同様である。このようにして申込書記載例25を入手した場合には、手書きによる従来型の複写式の申込書の作成に際し、記載例の見本が得られるので大変便利なものとなる。
【0023】
つぎに重要事項説明書作成機能3について説明する。
本発明の重要事項説明書作成機能3により、申込書21作成時には、自動的にその申込書に記載された保険契約条件に対応した重要事項説明書31が完成する。
ここで得られる重要事項説明書31には、申込書に記載された保険契約にとって過不足のない必要にして十分な重要事項を可変表示してあり、申込書の印刷に合わせて適切な重要事項説明書31が同時印刷されるようになっている。
【0024】
また入力データ保存・取り込み機能を備えることにより、作成した見積書履歴のデータを、ファイルサイズを小さくする目的でテキストファイルなどの別ファイルとして適宜の保存形式で保存できるようにしている。このようにしたことで、効率的な操作を可能とし、次年度の保険契約の更改時には、その見積書履歴を利用して新たな見積内容の提案が効果的にできるようになる。
【0025】
さらに本発明では、見積書作成場面で入力された基本情報と保険契約条件に対応した災害補償規程ひな形を作成するためのデータを利用して、適切な災害補償規程ひな形を作成できるという災害補償規程ひな形作成機能を備えたので、ここで作成されたひな形をワードファイルなどとして保存することも可能となり、例えば中小企業であって、災害補償規程が未実施の企業などに対して、申込書に記載した保険の傷害ユニットの内容に対応した災害補償規程のひな形を作成して印刷でき、実際に企業が災害補償規程を制定する際の有効な情報提供を行なえる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の保険業務における見積書と申込書の作成支援システムは、損害保険分野において特に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の対象とするシステム全体の構成図である。
【図2】同システムの操作関連図である。
【図3】見積書作成機能についての説明図である。
【図4】申込書作成機能についての説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1…見積書作成機能
2…申込書作成機能
3…重要事項説明書機能
4…入力データ保存・取込み機能
5…災害補償規程ひな形作成機能
10…保険料算出ボタン
11…見積書
12…基本情報入力が面
13…契約条件入力画面
14…見積書作成画面
15…使用方法説明画面
16…エラー参照画面
17…その他の参考画面
21…申込書
22…申込書作成画面
23…申込書記載例画面
24…詳細設定画面
25…申込書記載例
31…重要事項説明書
41…保存データ
50…災害補償規程ひな形確認画面
51…災害補償規程ひな形
100…端末装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
見積書作成機能と、申込書作成機能と、重要事項説明書作成機能とを有する保険業務における見積書と申込書の作成支援システムであって、
見積書作成機能は、端末装置上で基本情報入力画面と契約条件入力画面と見積書作成画面を切り替え表示可能に構成されるもので、基本情報入力画面では基本情報を入力し、契約条件入力画面では保険契約条件を入力するもので、基本情報及び保険契約条件の入力後に保険料算出ボタンを操作することにより、保険料と保険契約条件を取り込んだ見積書を端末装置の見積書作成画面に表示し、印刷手段によりこの見積書を印刷可能とするものであり、
申込書作成機能は、申込書作成ボタンを操作することにより、見積書作成機能場面で入力された基本情報と保険契約条件を取り込んだ申込書を端末装置の申込書作成画面に表示し、印刷手段によりこの申込書を印刷可能とするものであり、
重要事項説明書作成機能は、見積書作成機能場面で入力された保険契約条件に対応した重要事項説明書を印刷手段により印刷可能とするものであることを特徴とする保険業務における見積書と申込書の作成支援システム。
【請求項2】
申込書作成機能は、申込書記載例ボタンを操作することにより、見積書作成機能場面で入力された基本情報と保険契約条件を取り込んだ申込書記載例を端末装置の申込書作成画面に表示し、印刷手段によりこの申込書記載例を印刷可能とするものであることを特徴とする請求項1記載の保険業務における見積書と申込書の作成支援システム。
【請求項3】
入力データ保存・取込み機能を備え、この入力データ保存・取込み機能は、見積書履歴をテキストファイルとして外部保存・取込み可能としたものである請求項1又は2記載の保険業務における見積書と申込書の作成支援システム。
【請求項4】
災害補償規程ひな形作成機能を備え、この災害補償規程ひな形作成機能は、見積書作成機能場面で入力された基本情報と保険契約条件に対応した災害補償規程ひな形を端末装置の災害補償規程ひな形確認画面に表示し、印刷手段によりこの災害補償規程ひな形を印刷可能とするものである請求項1乃至3の何れかに記載の保険業務における見積書と申込書の作成支援システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−99294(P2006−99294A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282825(P2004−282825)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(397009716)日本興亜損害保険株式会社 (8)