説明

信号保安システム

【課題】従来の信号保安システムでは、保安電文を送受信できる保安エリアを広げるとコストが掛かり、また、列車や転てつ器の保安情報の入手が保安電文を一巡する時間の分だけ遅れ、保安電文の巡回経路内に通信品質の確保が難しい経路が含まれると、保安情報の入手が遅れる問題点があった。
【解決手段】予め決められた保安エリアに存在する列車や沿線機器の間でブロック占有権や転てつ器状態などの保安情報を含む保安電文を巡回させて列車の進路を排他制御する信号保安システムにおいて、近くの列車や沿線機器へ優先的に保安電文を送信するための宛先決定ルールを設けておき、近くの機器同士で保安電文を次々と伝送して、毎伝送の通信品質を確保し、列車の通信能力向上や中継局設置のコストを省いて遠くの機器まで保安電文を行き渡らせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道、モノレール、LRT(Light Rail Transit)、AGT(Automated Guided Train)、車等の車両を運行する際の信号保安に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道では、従来から連動装置が保安の核として、列車の在線位置を検知する軌道回路装置と、転てつ器の転換と鎖錠を行う転てつ器装置と、信号灯等を点灯させて列車の進行許可もしくは不許可を運転士に伝達する信号機装置とを連動させて、衝突もしくは脱線する危険のある進路へ列車の進入を許可しない保安システムを構築してきた。
【0003】
近年、特許文献1に開示のように、ある区間に存在する列車や転てつ器の間で、区間を複数分割したブロック毎の占有権や、転てつ器の状態や、転てつ器への動作指示を記した保安電文を巡回させることでエリアの保安を確保する信号保安システムが考案されている。
【特許文献1】特開2006−232106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より広いエリアで列車や沿線設備の保安情報を共有できれば、先にある転てつ器の状態や他の列車の動きを把握した上できめ細かく進路を制御でき、運行効率や保安度を向上できる。また、巡回する保安情報が最新に保たれるほど、高精度に進路を制御でき、運行効率や保安度を向上できる。
【0005】
特許文献1の信号保安システムでは、保安エリアが保安電文を送受信できるエリアに限定される。保安装置の通信能力の向上や中継装置の設置によりエリアを広げられるが、その分コストがかかる。また、直面した要求進路に関わる列車や転てつ器の保安情報であっても、入手が保安電文を一巡する時間の分だけ遅れる可能性がある。また、保安電文の巡回経路に通信品質の確保が難しい経路が含まれ、その確保に要する時間だけ保安情報の入手が遅れる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の信号保安システムは、第一に、予め決められた区間内を走行する列車の保安が前記予め決められた区間内に存在する列車や沿線機器を巡回する電文に基づいて確保される信号保安システムにおいて、前記電文を巡回させる経路の優先度を予め定めた優先経路表と、前記優先経路表に従って前記電文の宛先を決定する宛先決定手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
第二に、第一の信号保安システムにおいて、前記列車や沿線機器が、前記電文を巡回させる経路の優先度を予め定めた優先経路表と、前記優先経路表に従って前記電文の宛先を決定する宛先決定手段と、を有することを特徴とする。
第三に、第一の信号保安システムにおいて、前記電文が、巡回させられる経路の優先度を予め定めた優先経路表を有し、前記列車や沿線機器が、前記優先経路表に従って前記電文の宛先を決定する宛先決定手段を有することを特徴とする。
【0008】
第四に、第一の信号保安システムにおいて、前記列車が予め決められた進行経路を有し、前記優先経路表が、前記進行経路を逆行する経路を優先するように定められることを特徴とする。
第五に、第二の信号保安システムにおいて、前記列車が予め決められた進行経路を有し、前記優先経路表が、前記進行経路を逆行する経路を優先するように定められることを特徴とする。
第六に、第一乃至第五のいずれかの信号保安システムにおいて、前記電文が、前記区間内が複数分割されたブロック1つ1つに列車の占有権が設定可能なブロック占有権情報を有し、前記優先経路表が、前記ブロックの単位で経路の優先度を決めるように定められることを特徴とする。
第七に、第六の信号保安システムにおいて、前記優先経路表が、隣接したブロック間を最優先の経路とするように定められることを特徴とする。
【0009】
第八に、第一乃至第七のいずれかの信号保安システムにおいて、前記電文が、前記列車や沿線機器の配置に依らない巡回経路を定める常用経路表を有し、前記列車や沿線機器が、前記常用経路表に従って前記電文の宛先を決める常用宛先決定手段と、前記常用宛先決定手段が決めた宛先の列車や沿線機器との通信品質を検出する通信品質検出手段と、前記通信品質検出手段が検出した通信品質を予め定めた水準と比較した結果に基づき前記宛先決定手段と前記常用宛先決定手段のうち一方を選択する宛先選択手段と、を有することを特徴とする。
第九に、第八の信号保安システムにおいて、前記常用経路表が、前記列車や沿線機器を一度ずつ通って一巡する経路を定めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安価で高性能な信号保安システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の一実施形態である信号保安システムの構成を図1に示す。本実施形態の信号保安システムは、列車1に設置する列車保安装置10と、転てつ器2に設置または接続された転てつ器保安装置20と、その列車保安装置と転てつ器保安装置間を巡回させる電文である保安電文3とから構成される。列車1は図1に記載の通り、路線内において複数台存在する。
【0013】
本発明の信号保安システムは、保安電文2を巡回させる経路の優先度を予め定めた優先経路表と、優先経路表に従って保安電文2の宛先を決定する宛先決定手段とを有しており、例えば、図1に示すように、保安電文2が優先経路表を有し、列車1の列車保安装置10、あるいは、転てつ器2の転てつ器保安装置20が宛先決定手段を有している。
【0014】
本実施形態では、図2に示すように、列車が走行する路線全体を、予め決められた複数のエリア(区間)に分割する。次に、1つのエリアを1列車のみが占有を許される単位に分割し、この分割された区間をブロックと呼ぶ。図2では、エリア2を11のブロックに分割している。そのとき図に示した通り、各ブロック内には転てつ器が存在するブロックと存在しないブロックがある。第三に、本実施形態の信号保安システムが列車に対して走行を許可する単位を決める。この単位を進路と呼ぶ。この進路はブロックで構成される。
【0015】
図3はエリア2の列車の進路を示した図である。本実施形態では、進路1R、2R、3R、4L、5Lが存在している。ここで4Lという進路は、ブロック11、進路4Lの開通方向が反位の転てつ器3を持つブロック10、進路4Lの開通方向が反位の転てつ器2を持つブロック5、進路4Lの開通方向が反位の転てつ器1を持つブロック4、ブロック1の5つのブロックから構成される。ブロック11、10、5、4、1の全てのブロックの占有権が1つの列車によって確保されており、各ブロック上の転てつ器の方向が全て進路4Lの開通方向を向いている状態を確認できた場合に、その列車に対して進路4Lの進行許可を与える。なお、定位・反位は、転てつ器の方向を表す用語である。定位は定常の開通方向、反位は定位の逆方向の状態を言う。
【0016】
本実施形態では、1つのエリア内の全てのブロックの占有権と全ての転てつ器に対する方向指示と全ての転てつ器の方向状態とを1つの保安電文3で管理し、その保安電文3をエリア内に既に進入している全列車と、エリア内に進入しようとしている全列車と、エリア内の全転てつ器間で巡回させる。もちろん、管理する内容が重複しないようにすれば、複数の保安電文で管理してもよい。尚、エリア内に進入しようとしている列車は、エリア内の列車に進入通知を送信し、その事を伝える。
【0017】
次に、保安電文の一実施形態について図4を用いて説明する。本実施の形態では、保安電文3が、図4に示すように、エリア識別情報が記されるエリア識別欄36、送信先及び送信元の情報が記される通信制御欄31、ブロック占有権情報が記されるブロック占有権欄32、転てつ器方向指示情報が記される転てつ器方向指示欄33、転てつ器方向状態情報が記される転てつ器方向状態欄34、保安電文の巡回順序を優先的に特定するために利用する番号が記される通信制御番号欄37で構成される。
【0018】
エリア識別欄36には、保安電文が管理するエリアの識別情報が記入される。通信制御欄31には、保安電文の送信先及び送信元の通信制御情報が記入される。ブロック占有権欄32には、ブロックの占有権を持つ列車の識別情報が記入される。ブロック占有権とは、列車がブロックに進入するためには必ず確保しなければならない権利である。このブロック占有権は1ブロックに対して1つだけ存在し、他列車による記入がない場合に限り、自列車の識別情報を記入することによって、ブロック占有権を確保することができる。
【0019】
転てつ器方向指示欄33には、転てつ器の所属するブロック占有権を持つ列車によって、転てつ器の方向を指示するための指示情報が記入される。転てつ器は、この指示に従って転てつ器の方向を制御する。転てつ器方向状態欄34には、転てつ器によって、転てつ器の方向状態情報が記入される。列車は、この方向状態欄を確認することによって、転てつ器の開通方向を認識する。通信制御番号欄37には、保安電文の次の送信先を優先的に特定するための番号が記入され、列車や転てつ器により更新される。これについては、以降の巡回順序の決め方の所で説明する。
【0020】
以上のような保安電文をエリア内で巡回することで、各列車が要求する進路のブロック占有権、転てつ器状態を確認し、可能であれば電文を更新してブロックの占有や転てつ器の転換を行い、進行許可を取得できる。これにより、進路の排他制御を実現し、エリアを保安できる。
【0021】
保安電文3の巡回順序の決め方を以下で説明する。列車と転てつ器は、図6に示すブロックリスト4を予め記憶している。ブロックリスト4は、リストの中のNo.が連続する2つのブロックがいずれも、エリア2の線区の中で隣接して存在しているように作成されている。且つ、全てのブロックがリストの中に現れるように作成されている。ここで、リストのNo.28の次順はNo.1とする.すなわちNo.1〜No.28に沿ってNo.1に戻る一連のブロック列は、エリア2の全てのブロックを重複を許して一巡する。
【0022】
このようなブロックリストは、例えばあるブロックを起点に一筆書きで全ての線区を撫ぞった時に通るブロックの順番を写せば作成できる。尚、エリア1やエリア3からの列車の入出を管理するため、ブロック2に隣接するエリア1のブロック(エリア1(2)と記述)をはじめ、エリア1(7)、エリア3(11)、エリア3(6)もメンバに加えている。先の保安電文3のフォーマットの中の通信制御番号欄37には、このブロックリスト4のNo欄の番号が記入される。
【0023】
列車と転てつ器は、図7に示す転てつ器リスト5を予め記憶している。転てつ器リスト5の転てつ器欄には転てつ器の識別子が、ブロック欄には各転てつ器の存在するブロックが記されている。転てつ器は移動しないため、転てつ器5を参照すれば、ある転てつ器がどのブロックに存在するか、或いは、あるブロックにどの転てつ器が存在するかを特定できる。
【0024】
図8は列車や転てつ器が保安電文3の宛先決定を行う処理フローである。処理61では、保安電文3の通信制御番号欄37に記された番号をインデックスiにセットする。その後、処理62に移る。処理62では、インデックスiを用いてブロックリスト4のNo欄を参照し、対応するブロックDを特定する。その後、処理63に移る。
【0025】
処理63では、転てつ器リスト5を参照し、ブロックDに転てつ器があればその識別子を記憶して処理66へ移り、なければ処理64に移る。但し、ブロックDがエリア2外であるか、自身が転てつ器であるか、または自身がブロックDを占有する列車であれば、処理64への移行を優先する。
【0026】
処理64では、ブロックDに列車があればその識別子を記憶して処理66に移り、なければ処理65に移る。但し、ブロックDの列車が自分自身であれば、処理65への移行を優先する。ブロックDにある列車は、例えばGPSを用いた位置検出手段で特定できる。以降、特に説明が無ければ,位置検出手段はGPSを用いた方法を前提にする。
【0027】
処理65では、インデックスiを1つ増やす。この時、iの値がブロックリスト4のNo欄の最大値を越えた時は、値を1にする。その後、処理62に戻る。処理66では、通信制御番号欄37にインデックスiの値を記入する。その後、処理67に移る。
【0028】
処理67では、通信制御欄31の送信先に、処理63で記憶した転てつ器の識別子または処理64で記憶した列車の識別子を記入する。その後、処理フローを終了する。
以上は保安電文3の宛先決定を行うための処理であり、ブロック占有権や転てつ器方向指示や転てつ器方向状態や送信元などは、もちろんこれとは別に、必要に応じて処理する。その後、列車や転てつ器は、保安電文3を上記で決めた宛先へと送信する。
【0029】
本実施例において保安電文3が巡回される様子を示す。一例として、図5のように、ブロック3に列車Aが、ブロック11に列車Bが、ブロック5に列車Dが存在しており、エリア1からブロック2へ列車Cが進入しようとしている場合を挙げる。便宜上、列車Aが転てつ器1から保安電文3を受信した所から説明を始める。保安電文3の通信制御番号欄37には優先経路であるブロック6が記入されている。
【0030】
列車Aは、図8の処理61でインデックスiに6をセットし、処理62でブロック3を特定する。処理63でブロック3に転てつ器が存在しないことを確認し、処理64へ移る。処理64ではブロック3を占有する列車の識別子が自身の識別子と一致するので、優先的に処理65へ移る。処理65でインデックスiを1増やして7にし、次に処理62でブロック2を特定する。処理63でブロック2に転てつ器が存在しないこと、処理64でブロック2に列車が存在しないことを確認し、処理65でインデックスiを8にし、再び処理62に戻る。処理62では、エリア1(2)を特定する。
【0031】
エリア1(2)はエリア2外であるため処理63から処理64へ移り、処理64で列車Cからのブロック2への進入要求の受信を確認する。その後、列車Cの識別子を記憶して処理66へ移る。処理66で、通信制御番号欄37にインデックスiの値である8を記入し、処理67で送信先を先で記憶した列車Cの識別子にセットする。以上のようにして、列車Aは列車Cへ保安電文3を送信する。
【0032】
次に、列車Cは、同様の処理により、列車Aに保安電文3を送信する。この時の通信制御番号欄37の値は10である。次に、列車Aは、同様の処理により、転てつ器1に保安電文3を送信する。この時の通信制御番号欄37の値は11である。以降、保安電文3が巡回する機器の順番と、巡回の各時点での通信制御番号欄37の値を図9の巡回順序表7に示す。保安電文3は、巡回順序表7の巡回No欄の番号の順に沿って巡回される。巡回No.12からは巡回No.1へ戻る。
【0033】
本実施例の方法によれば、保安電文は毎回、線区に沿って直近に存在する列車や転てつ器との間で送受信される。列車が移動して機器の配置が変わっても、このルールは変わらない。これにより、通信品質を比較的確保し辛い遠方の機器同士で保安電文を送受信する機会を減らし、通信品質が比較的確保し易い近くの列車や転てつ器を中継する形で保安電文を巡回できる。特に、列車や転てつ器が高密度に存在する線区では遠方まで保安電文を巡回でき、保安エリアを広げられる。
【0034】
尚、本実施例において、保安電文が一巡し終わるまでに2度以上保安電文を受信した列車や転てつ器では、処理を保安電文の転送に徹するようにしても良い。これにより、保安電文の一巡にかかる時間が短縮され、列車や転てつ器は高頻度に保安情報を更新でき、保安度を向上できる。この際、保安電文を一巡までに2度以上受信したかどうかは、例えば保安電文に巡回回数を記録する欄を設け、各列車や転てつ器が最近に保安電文を送信した時の巡回回数を記憶し、保安電文を受信した時に両者を照合すれば判定できる。このとき両者が一致すれば2度以上目の受信である。
【実施例2】
【0035】
第二の実施例は、第一の実施例と同様のエリア及びブロック構成である。保安電文3のフォーマットと、列車や転てつ器が保安電文3の宛先決定の方法が異なる。本実施例の保安電文3のフォーマットを図10に示す。保安電文3は、第一の実施例と同じ内容のエリア識別欄36、通信制御欄31、ブロック占有権欄32、転てつ器方向指示欄33及び転てつ器方向状態欄34に加え、新規に追加したメンバーリスト35、転送先欄38から構成される。
【0036】
メンバーリスト35は、保安電文3が巡回される順番に列車や転てつ器の識別子を並べて構成される。例えば列車B→転てつ器1→転てつ器2→転てつ器3の順で保安電文3を巡回するとき、メンバーリスト35は、1番:列車B、2番:転てつ器1、3番:転てつ器2、4番:転てつ器3と記される。新たに列車Aがエリアに進入する時、列車Aからの進入要求を受信した機器が、保安電文3を受信したタイミングでメンバーリスト35に列車Aを追加する。追加する位置は特に限定しない。例えば末尾に5番:列車Aのように追加する。列車や転てつ器は、受信した保安電文3のメンバーリスト35を参照し、宛先を自身の次のメンバーに設定する。この際、リストの末尾の次順に先頭を参照することで、保安電文3を巡回させられる。
【0037】
転送先欄38は、保安電文3の転送先の列車や転てつ器の識別子を記入する欄である。転送先の指示が無い空欄状態と、列車や転てつ器の識別子が記入された記入済み状態の2つの状態を有する。用法については後述する。
【0038】
本実施例の列車や転てつ器は、図11に示した通信品質表8を共有する。この表は、ブロック間の通信品質を事前に調査し、記録したものである。表中の印(レ)の有るブロック同士は、距離や遮蔽物などの影響で、直接電文を伝送した時に事前に定めた水準の通信品質を確保できないことが分かっている。したがって、例えばブロック11の列車からブロック2の列車へ電文を伝送する際は、一旦中継を入れるのが望ましい。
【0039】
本実施例の列車や転てつ器が保安電文3の宛先決定を行う処理フローを図12に示す。初めに処理96を行う。処理96では、転送先欄38を参照し、空欄であれば処理91へ、記入済みであれば処理97へ移る。処理97では、転送先欄38に記入された識別子を宛先Dに設定した後、転送先欄を空欄にする。その後、処理92に移る。
【0040】
処理91ではメンバーリスト35を参照し、自身の次のメンバーを宛先Dに設定する。その後、処理92に移る。処理92では、自身が存在するブロックSと宛先Dが存在するブロックBを特定する。その後、処理93へ移る。ブロックの特定には、例えばGPSによる位置検出手段を利用できる。また対象が転てつ器であれば、転てつ器リストを参照しても良い。
【0041】
処理93では、処理92で特定したブロックSとブロックBの間の通信品質を通信品質表8で調べ、通信品質が良好であれば処理フローを終了し、良好でなければ処理95へ移る。処理95では、転送先欄38に宛先Dを記入する。その後、処理94へ移る。処理94では、ブロックリスト4から自身の存在するブロックを1つ見付け、第一の実施例と同様の手順により、近接する列車や転てつ器を特定し、その識別子で宛先Dを更新する。その後、処理フローを終了する。
【0042】
本実施例において保安電文3が巡回される様子を、図13の状況を例に説明する。この例では、ブロック2に列車Aが、ブロック11に列車Bが存在する。メンバーリストは1番:列車A、2番:転てつ器1、3番:転てつ器2、4番:転てつ器3、5番:列車Bとする。転送先欄38は空欄である。便宜上、列車Aが保安電文3を保有した時点から説明を開始する。
【0043】
列車Aは、初めに処理96で転送先欄38が空欄であることを確認して処理91へ移る。処理91で保安電文3のメンバーリスト35を参照し、自身の次のメンバーである転てつ器1を宛先Dに設定する。次に、処理92で列車位置検出手段により自身がブロック2に存在することと、転てつ器リスト5から転てつ器1がブロック4に存在することを特定する。第三に、処理93で通信品質表8を参照し、ブロック2とブロック4の間の通信品質を調べる。両ブロック間の通信品質は良好であるので、宛先Dは転てつ器1のままでよい。以上により、列車Aは、保安電文を転てつ器1へ送信する。
【0044】
次に保安電文3を受信した転てつ器1は、同様にして転てつ器2へ保安電文3を送信する。その後、転てつ器2も同様にして転てつ器3へ保安電文3を送信する。また、転てつ器3は、列車Bへ保安電文3を送信する。
【0045】
列車Bは、初めに処理96で転送先欄38が空欄であることを確認して処理91へ移る。処理91で保安電文3のメンバーリスト35を参照し、自身の次のメンバーである列車Aを宛先Dに設定する。次に、処理92で列車位置検出手段により自身がブロック11に存在することと、列車Aがブロック2に存在することを特定する。第三に、処理93で通信品質表8を参照し、ブロック11とブロック2の間の通信品質を調べる。これらのブロック間の通信品質は予め定めた水準に達していないので、処理95で宛先Dに設定されている列車Aの識別子を優先的に保安電文3の転送先欄38に記入する。
【0046】
その後、処理94でブロックリスト4を参照し、宛先Dを設定し直す。まず、ブロックリスト4のブロック欄を自身の存在するブロック11で検索し、最初にNo.11のエントリを見付ける。次に、列車位置検出手段で検出した他の列車位置を参照しながら、No.11の次順以降のエントリのブロック欄に記されたブロックのうち他の列車や転てつ器が存在する最初のブロックを探す。これにはNo.17のエントリのブロック10が該当する。その後、ブロック10に存在する転てつ器3の識別子で宛先Dを更新する。以上により、列車Bは、保安電文3を転てつ器3へ送信する。
【0047】
列車Bから保安電文3を受信した転てつ器3は、処理96で転送先欄38が記入済みであることを見付けて処理97へ移り、転送先欄38に記入された列車Aの識別子を宛先Dに設定し、転送先欄38を空欄にする。こうして転てつ器3は保安電文3を列車Aに転送する。
【0048】
本実施例によれば、通常従うべき巡回経路を示したメンバーリストの中で通信品質を確保できない経路が現れた時、直近の列車や転てつ器を中継させる形でうまく保安電文3を巡回できる。特に、メンバーリストの中に重複する列車や転てつ器がない場合、伝送品質を確保し、且つできるだけ素早く保安電文を巡回できる。
【0049】
尚、本実施例では通信品質表8を予め定めた情報で構成されるとしたが、例えば保安電文を巡回する中で通信品質が良くないと判断したり、逆に良好と判断されることがあればそれを記録する等、随時更新しても良い。また、列車の運行ダイヤを参照して得た保安エリアの列車配置の予測情報を通信品質表に反映しても良い。これにより、保安エリアの通信状況の変化に応じたより良い巡回経路を選択できる。
【実施例3】
【0050】
第三の実施例は、第一の実施例に対してブロックリスト4の内容が異なる。本実施例のブロックリスト4の内容を図14に示す。ブロックリストのNo.1〜No.7は、進路1R及び進路3Rに対応してブロック2からブロック6へ向かう方向が列車の進行方向であることを考慮し、これらのブロックを進行方向とは逆順に並べて作成されている。ブロックリストのNo.8〜No.14は、進路5L及び進路6Lに対応してブロック11からブロック7へ向かう方向が列車の進行方向であることを考慮し、これらのブロックを進行方向とは逆順に並べて作成されている。最後に、まだ現れていないブロック1をNo.15とした。
【0051】
保安電文3を受信した列車及び転てつ器の処理フローは第一の実施例の図8と同様である。本実施例において保安電文が巡回される様子を示す。図5と同様の状況を例とする。図15の巡回順序表9に、巡回順序と通信制御番号欄37の値を示す。便宜上、列車Aが保安電文を有する状態をNo.1とした。進路1R及び進路3Rを構成するブロック2〜ブロック6の上では、巡回No.5〜No.2に示される通り、保安電文は転てつ器2→列車D→転てつ器1→列車A→列車Cの順に巡回される。この順は、同一ブロック内の転てつ器と列車の順序の区別を除けば、列車の進行方向の逆順に一致する。同様に、進路5L及び進路6Lを構成するブロック11〜ブロック7の上では、No.3とNo.4に示される通り、保安電文は列車の進行方向とは逆順の転てつ器3→列車Bの順に巡回される。
【0052】
列車が進路を確保できるかどうかは、進行方向前方のブロックに存在する転てつ器や列車の状態に依る。本実施例によれば、保安電文は進行方向前方から後方の順に優先的に巡回される。この結果、各列車は最新の保安情報(転てつ器の状態情報やブロックの占有・解放の情報)を取得でき、精度の高い進路制御が可能となる。
【実施例4】
【0053】
第四の実施例は、第一の実施例において、保安対象のエリアの形状が異なる。これに伴い、ブロックリスト4の内容も異なる。また、保安電文3のフォーマットが異なる。保安対象のエリアの形状を図16に示す。環状の線区全てが一つの保安エリアである。環状線区は8つのブロック(ブロック1〜ブロック8)に分割される。各ブロックは同時に一つの列車のみが占有可能である。列車は図の通り環状の線区を時計回りに進行する。以下、ブロック1〜ブロック8の各々に列車A〜列車Hがそれぞれ存在する高密度運用時を例に考える。
【0054】
各列車が有するブロックリスト4を図17に示す。ブロックリスト4は、No.1〜No.8の順に、8つのブロックを進行方向と逆順に並べて構成されている。この方法によれば、本実施例のような環状線区では、ブロックリスト内の連続する全ての2ブロックを、実際の線区内で進行方向と逆順に並んで隣接するブロックに優先して対応付けられる。
【0055】
本実施例の保安電文3のフォーマットを図25に示す。図4に示した保安電文3と同じ内容のエリア識別欄36、通信制御欄31、ブロック占有権欄32、通信制御番号欄39で構成される。本実施例では保安エリアに転てつ器が存在しない場合を考えるため、転てつ器に関する情報は保安電文3には含まれない。また、図7の転てつ器リスト5に当たる情報も不要である。
【0056】
本実施例において保安電文3が巡回する様子を図18の巡回順序表11に示す。便宜上、巡回No.1を列車Aが保安電文3を保有する時点とする。巡回順序は列車A→列車H→列車G→列車F→列車E→列車D→列車C→列車Bである。
【0057】
本実施例によれば、保安電文が毎回隣り合うブロック同士で送受信され、且ついつも列車の進行方向と逆方向に巡回される。この結果、保安電文の伝送の通信品質を確保しつつ、且つ各列車が進行方向前方の最新の保安情報を取得できる。
【実施例5】
【0058】
第五の実施例は、保安エリアが第四の実施例と同様で、保安電文3のフォーマットと、列車が保安電文3の宛先を決める方法が異なる。本実施例の保安電文3のフォーマットを図19に示す。保安電文3は、第二の実施例の保安電文3と同様の内容のエリア識別欄36、通信制御欄31、ブロック占有権欄32、メンバーリスト35と、新規に追加した方向情報欄39で構成される。
【0059】
方向情報欄39には順方向または逆方向のいずれかを示す方向情報が記入される。方向情報は、メンバーリスト35を順/逆どちらの方向に走査するかを表している。本実施例の列車が保安電文3の宛先決定を行う処理フローを図20に示す。初めに処理121を実行する。
【0060】
処理121では、方向情報欄39に記された方向情報に従ってメンバーリスト35を走査し、自身の次のメンバーDを特定する。その後、処理122に移る。処理122では、自身の存在するブロックSを起点とし、方向情報の方向に沿ってメンバーDが存在するブロックBに至るまでの経路上のブロック数Xを検出する。次に処理123へ移る。ここで、ブロックSやブロックBは、例えばGPSによる位置検出手段で特定できる。或いは別の列車位置検出手段の情報に依っても良い。ブロックSとブロックBが決まれば、ブロック数Xは線区に沿ってブロック数を数えることで容易に算出できる。尚、便宜上、ブロックSとブロックBもブロック数Xの数に入れる。
【0061】
処理123では、ブロックSを起点とし、方向情報の反対の方向に沿ってブロックBに至るまでの経路上のブロック数Yを検出する。これは処理122と同様にできる。その後、処理124に移る。処理124では、ブロック数Xとブロック数Yを比較し、ブロック数Xの方が大きければ処理125へ、小さければ処理127へ移る。処理125では、方向情報欄39を順/逆を入れ替えた方向情報で更新する。その後、処理126に移る。処理126では、方向情報欄39に記された方向情報に従ってメンバーリストを走査し、自身の次のメンバーEを特定し、メンバーEを宛先に設定する。その後、処理フローを終了する。処理127では、メンバーDを宛先に設定する。その後、処理フローを終了する。
【0062】
本実施例において保安電文3を巡回する様子を以下に示す。図21のように、ブロック1に列車Aが、ブロック2に列車Bが、ブロック4に列車Dが存在する状態を例とする。メンバーリスト35が列車D→列車B→列車Aという巡回順序を示し、方向情報欄39の値が順方向を示し、列車Bが保安電文3を保有している状態から開始する。
【0063】
保安電文3が巡回される様子を図22の巡回順序表13に示す。保安電文3は巡回Noの順番に沿って伝送される。各エントリは、保安電文3を保有する機器欄の列車が次の宛先を決定した時点における情報を示している。具体的には、保安電文3を保有する機器と、方向情報欄39の示す方向と、図20の処理121で特定した次のメンバーDと、処理122で検出したブロック数Xと、処理123で検出したブロック数Yを示している。
【0064】
巡回No.1では、列車Bが、処理121でメンバーリスト35を順方向に走査し、次のメンバーDとして列車Aを特定する。次に処理122で列車Bが存在するブロックSとしてブロック2を、列車Aが存在するブロックBとしてブロック1を特定し、両ブロック間のブロック数Xが2で、ブロック数Yが8であることを検出する。次に処理124でブロック数Xとブロック数Yを比較する。X≦Yであるため、処理127で宛先を優先的に列車Aとする。
【0065】
巡回No.2では、列車Aが、処理121でメンバーリスト35を順方向に走査し、次のメンバーDとして列車Dを特定する。次に処理122で列車Aが存在するブロックSとしてブロック1を、列車Dが存在するブロックBとしてブロック4を特定し、両ブロック間のブロック数Xが6で、ブロック数Yが4であることを検出する。次に処理124でブロック数Xとブロック数Yを比較する。X≦Yではないため、処理125で保安電文の方向情報欄の値を順方向から逆方向へ反転させる。その後、処理126で、メンバーリスト35を逆方向に走査し、次のメンバーEとして列車Bを特定し、宛先を列車Bとする。
【0066】
以降、同様にして、巡回No.3では列車Bから列車Dへ保安電文3を送り、巡回No.4では列車Dが方向情報を反転させ、列車Bへ保安電文3を送る。巡回No.5は巡回No.1と同じ状態である。このようにして保安電文3が一巡する。
【0067】
本実施例によれば、列車が単一の環状線区に比較的低い密度で並ぶ時、線区に沿って遠く離れた比較的通信品質を確保し辛い列車へ保安電文を直接送信するのを避け、比較的通信品質を確保し易い近接する列車を利用して保安電文を巡回できる。
【実施例6】
【0068】
第六の実施例は、保安エリアが第五の実施例と異なる。本実施例の保安エリアの形状を図23に示す。エリアは、列車の進行方向に沿ってブロック7、ブロック8、ブロック1、ブロック2、ブロック3、ブロック4、ブロック5、ブロック6の順に8つのブロックが直線的に並んで構成されている。これは、図21の環状線区をブロック6とブロック7で切り離したものと見なせる。すなわち、環状線区を反時計回りに沿ってブロック6からブロック7へ至る経路上のブロック数が無限大、時計回りに沿ってブロック7からブロック6へ至る経路上のブロック数が無限大とみなす。この仮定の下で、第五の実施例と同様の処理を行う。
【0069】
本実施例において保安電文が巡回される様子を、図24の巡回順序表14に示す。各欄の内容は巡回順序表13と同様である。エリアの両端に位置する列車A及び列車Dでブロック数Yが無限大になり、方向情報が反転される。この結果、第五の実施例と同様の順序で保安電文が巡回される。
【0070】
本実施例によれば、列車が単一の直線線区に並ぶ時、線区に沿って遠く離れた比較的通信品質を確保し辛い列車へ保安電文を直接送信するのを避け、比較的通信品質を確保し易い近接する列車を利用して保安電文を巡回できる。
【実施例7】
【0071】
第七の実施例は、第一の実施例において、ブロックリスト4が列車や転てつ器各々ではなく保安電文3で管理される。本実施例の保安電文3のフォーマットを図26に示す。図4に示した第一の実施例の保安電文3の内容に加え、ブロックリスト欄310が新たに追加されている。
【0072】
ブロックリスト欄310は、No及びブロックを組にしたエントリの列で、図7のブロックリスト4の内容に対応する。各列車や転てつ器は、保安電文3を受信した時、ブロックリスト欄310を参照することで、第一の実施例と同様に保安電文3を巡回できる。
【0073】
本実施例によれば、ブロックリスト4が保安エリアのただ一箇所で管理される。このため、ブロックリストを変更して保安電文の巡回順序を変えたい時、変更が容易である。
尚、図7に示した転てつ器リスト5や、図11に示した通信品質表8のように、保安エリアに唯一つ決まる保安用の情報は、同じく保安電文3に記載して管理できる。こうすることで、保安エリア内の列車や転てつ器がこの情報を共有でき、また万一情報の内容に変更が生じたときでも更新が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は本発明の信号保安システムの一実施形態を示す図である。
【図2】図2は本発明の第一の実施形態におけるエリアの範囲とブロックの区間を示す図である。
【図3】図3は本発明の第一の実施形態における進路上の各ブロックと転てつ器の方向とを示す図である。
【図4】図4は本発明の第一の実施形態における保安電文の構成を示す図である。
【図5】図5は本発明の第一の実施形態における列車及び転てつ器の配置の一例を示す図である。
【図6】図6は本発明の第一の実施形態における保安電文の巡回順序を決めるためのブロックリストを示す図である。
【図7】図7は本発明の第一の実施形態における転てつ器とブロックの対応を示す転てつ器リストを示す図である。
【図8】図8は本発明の第一の実施形態における列車や転てつ器が保安電文の宛先を決めるための処理フローを示す図である。
【図9】図9は本発明の第一の実施形態における保安電文の巡回順序の一例を示す図である。
【図10】図10は本発明の第二の実施形態における保安電文の構成を示す図である。
【図11】図11は本発明の第二の実施形態におけるブロック間の通信品質を示す図である。
【図12】図12は本発明の第二の実施形態における列車や転てつ器が保安電文の宛先を決めるための処理フローを示す図である。
【図13】図13は本発明の第二の実施形態における列車及び転てつ器の配置の一例を示す図である。
【図14】図14は本発明の第三の実施形態における保安電文の巡回順序を決めるためのブロックリストを示す図である。
【図15】図15は本発明の第三の実施形態における保安電文の巡回順序の一例を示す図である。
【図16】図16は本発明の第四の実施形態における保安エリアとブロック区間と列車の配置の一例を示す図である。
【図17】図17は本発明の第四の実施形態における保安電文の巡回順序を決めるためのブロックリストを示す図である。
【図18】図18は本発明の第四の実施形態における保安電文の巡回順序の一例を示す図である。
【図19】図19は本発明の第五の実施形態における保安電文の構成を示す図である。
【図20】図20は本発明の第五の実施形態における列車が保安電文の宛先を決めるための処理フローを示す図である。
【図21】図21は本発明の第五の実施形態における保安エリアとブロック区間と列車の配置の一例を示す図である。
【図22】図22は本発明の第五の実施形態における保安電文の巡回順序の一例を示す図である。
【図23】図23は本発明の第六の実施形態における保安エリアとブロック区間と列車の配置の一例を示す図である。
【図24】図24は本発明の第六の実施形態における保安電文の巡回順序の一例を示す図である。
【図25】図25は本発明の第四の実施形態における保安電文の構成を示す図である。
【図26】図26は本発明の第七の実施形態における保安電文の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 列車
2 転てつ器
3 保安電文
4 ブロックリスト
5 転てつ器リスト
7 巡回順序表
8 通信品質表
9 巡回順序表
10 列車保安装置
11 巡回順序表
13 巡回順序表
14 巡回順序表
20 転てつ器保安装置
31 通信制御欄
32 ブロック占有権欄
33 転てつ器方向指示欄
34 転てつ器方向状態欄
35 メンバーリスト
36 エリア識別欄
37 通信制御番号欄
38 転送先欄
39 方向情報欄
61〜67 列車や転てつ器が保安電文の宛先決定を行う処理
91〜96 列車や転てつ器が保安電文の宛先決定を行う処理
121〜127 列車が保安電文の宛先決定を行う処理
310 ブロックリスト欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められた区間内を走行する列車の保安が前記予め決められた区間内に存在する列車や沿線機器を巡回する電文に基づいて確保される信号保安システムにおいて、前記電文を巡回させる経路の優先度を予め定めた優先経路表と、前記優先経路表に従って前記電文の宛先を決定する宛先決定手段と、を有することを特徴とする信号保安システム。
【請求項2】
請求項1に記載の信号保安システムにおいて、前記列車や沿線機器が、前記電文を巡回させる経路の優先度を予め定めた優先経路表と、前記優先経路表に従って前記電文の宛先を決定する宛先決定手段と、を有することを特徴とする信号保安システム。
【請求項3】
請求項1に記載の信号保安システムにおいて、前記電文が、巡回させられる経路の優先度を予め定めた優先経路表を有し、前記列車や沿線機器が、前記優先経路表に従って前記電文の宛先を決定する宛先決定手段を有することを特徴とする信号保安システム。
【請求項4】
請求項1に記載の信号保安システムにおいて、前記優先経路表が、期待される通信品質が高い経路を優先するように定められることを特徴とする信号保安システム。
【請求項5】
請求項2に記載の信号保安システムにおいて、前記列車が予め決められた進行経路を有し、前記優先経路表が、前記進行経路を逆行する経路を優先するように定められることを特徴とする信号保安システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかの請求項に記載の信号保安システムにおいて、前記電文が、前記区間内が複数分割されたブロック1つ1つに列車の占有権が設定可能なブロック占有権情報を有し、前記優先経路表が、前記ブロックの単位で経路の優先度を決めるように定められることを特徴とする信号保安システム。
【請求項7】
請求項6に記載の信号保安システムにおいて、前記優先経路表が、隣接したブロック間を最優先の経路とするように定められることを特徴とする信号保安システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項に記載の信号保安システムにおいて、前記電文が、前記列車や沿線機器の配置に依らない巡回経路を定める常用経路表を有し、前記列車や沿線機器が、前記常用経路表に従って前記電文の宛先を決める常用宛先決定手段と、前記常用宛先決定手段が決めた宛先の列車や沿線機器との通信品質を検出する通信品質検出手段と、前記通信品質検出手段が検出した通信品質を予め定めた水準と比較した結果に基づき前記宛先決定手段と前記常用宛先決定手段のうち一方を選択する宛先選択手段と、を有することを特徴とする信号保安システム。
【請求項9】
請求項8に記載の信号保安システムにおいて、前記常用経路表が、前記列車や沿線機器を一度ずつ通って一巡する経路を定めることを特徴とする信号保安システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−149673(P2010−149673A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329315(P2008−329315)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)